はじめに
鏡を見たときに、顔の頬や鼻に赤い血管が浮き出ているのが気になったことはありませんか。それは毛細血管拡張症かもしれません。毛細血管拡張症は、皮膚の表面にある細い血管が拡張して、赤い線状や網目状に見える状態です。痛みやかゆみなどの症状がないことが多いため、見た目の問題として悩まれる方が多くいらっしゃいます。
東京都内には数多くの皮膚科がありますが、毛細血管拡張症の治療に対応している医療機関を選ぶことが大切です。本記事では、毛細血管拡張症の原因や症状、最新の治療法、そして東京で治療を受ける際のポイントについて詳しく解説します。

毛細血管拡張症とは
毛細血管拡張症の定義
毛細血管拡張症(テランギエクタシア)は、皮膚の表面近くにある毛細血管が持続的に拡張し、肉眼で確認できるようになった状態を指します。通常、毛細血管は非常に細く、肉眼では見えませんが、何らかの原因で拡張すると、赤色や紫色の細い線状、あるいは網目状の模様として皮膚表面に現れます。
毛細血管拡張症は医学的には良性の状態であり、健康上の重大な問題を引き起こすことは稀です。しかし、顔面など目立つ部位に生じることが多いため、美容的な観点から治療を希望される方が多くいらっしゃいます。
発症しやすい部位
毛細血管拡張症は、身体のさまざまな部位に発症する可能性がありますが、特に以下の部位に多く見られます。
顔面では、鼻翼部、頬部、眉間などに好発します。これらの部位は皮膚が薄く、紫外線の影響を受けやすいため、毛細血管拡張症が生じやすいと考えられています。鼻の周囲に赤い血管が目立つケースは、日常診療でも非常によく見られます。
下肢にも毛細血管拡張症は発症します。特に太もも外側や膝の裏側、足首周辺に細かい赤紫色の血管が網目状に広がることがあります。女性に多く見られ、立ち仕事が多い方や妊娠・出産を経験された方に発症しやすい傾向があります。
胸部や背部にも毛細血管拡張症が生じることがあります。加齢や日光による皮膚の老化が原因となることが多く、細かい血管が放射状や網目状に広がって見えます。
有病率と年齢分布
毛細血管拡張症は、年齢とともに発症率が上昇する傾向があります。日本皮膚科学会のデータによると、成人の約30〜50パーセントに何らかの形で毛細血管拡張症が認められるとされています。
特に30代以降の女性に多く見られ、加齢とともに発症頻度が高くなります。これは、女性ホルモンの影響や、紫外線による累積的なダメージが関係していると考えられています。男性でも発症しますが、女性と比較すると頻度は低い傾向にあります。
小児期に発症する毛細血管拡張症もあり、先天性のものや特定の疾患に伴うものが含まれます。ただし、一般的に成人になってから発症するケースが圧倒的に多いのが特徴です。
毛細血管拡張症の原因
加齢による変化
加齢は毛細血管拡張症の主要な原因の一つです。年齢を重ねるにつれて、皮膚のコラーゲンやエラスチンといった弾力性を保つ成分が減少し、血管壁を支える組織が弱くなります。その結果、毛細血管が拡張しやすくなり、皮膚表面に赤い線として見えるようになります。
また、加齢に伴って血管の収縮・拡張機能が低下することも要因の一つです。若い頃は正常に働いていた血管の調節機能が衰えることで、血管が拡張したまま元に戻らなくなってしまうのです。
真皮の厚みも年齢とともに薄くなる傾向があり、これにより皮膚表面近くの血管がより目立ちやすくなります。特に顔面の皮膚は身体の他の部位と比べて薄いため、加齢による影響が顕著に現れやすいと言えます。
紫外線の影響
紫外線は毛細血管拡張症の重要な発症因子です。長年にわたる紫外線曝露は、皮膚に累積的なダメージを与え、血管周囲の組織を劣化させます。特にUVA波は真皮層まで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊するため、血管を支える構造が弱くなってしまいます。
日本では、屋外での活動が多い方や、日焼け止めなどの紫外線対策を十分に行わなかった方に、顔面の毛細血管拡張症が発症しやすいことが知られています。特に鼻や頬などの突出した部位は紫外線の影響を受けやすく、血管拡張が目立ちやすい傾向があります。
紫外線による光老化は、単に血管拡張だけでなく、シミやシワなど他の皮膚老化現象も引き起こします。そのため、毛細血管拡張症の予防には、若い頃からの適切な紫外線対策が非常に重要です。
遺伝的要因
遺伝的な体質も毛細血管拡張症の発症に関与しています。家族内で毛細血管拡張症が多く見られるケースがあり、遺伝的に血管壁が弱い体質や、皮膚が薄い体質などが関係していると考えられています。
特に色白で皮膚が薄い北欧系の人種に多く見られることから、肌質や血管の構造に遺伝的な違いがあることが示唆されています。日本人でも、色白で皮膚が薄い方は毛細血管拡張症が目立ちやすい傾向があります。
オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)のように、遺伝性疾患として毛細血管拡張症が生じるケースもあります。この場合は、皮膚だけでなく粘膜や内臓にも血管拡張が生じ、鼻出血や消化管出血などの症状を伴うことがあります。
ホルモンの影響
女性ホルモンは血管の拡張に影響を与えることが知られており、毛細血管拡張症の発症にも関与しています。妊娠中や経口避妊薬の服用中に毛細血管拡張症が悪化したり、新たに出現したりすることがあります。
妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が増加し、血管拡張作用が強まります。また、血液量の増加も血管への負担を増大させ、特に下肢の毛細血管拡張症が発症しやすくなります。多くの場合、出産後に自然に改善しますが、完全には消失せずに残存することもあります。
更年期における女性ホルモンの変動も、毛細血管拡張症の発症や悪化と関連することがあります。ホルモンバランスの乱れが血管の調節機能に影響を与え、顔面の紅潮や毛細血管拡張を引き起こすことがあるのです。
皮膚疾患との関連
いくつかの皮膚疾患は、毛細血管拡張症を合併することが知られています。代表的なものとして、酒さ(しゅさ)があります。酒さは、顔面の紅斑や丘疹を特徴とする慢性炎症性疾患で、進行すると毛細血管拡張症を伴うことが多くあります。
酒さの患者さんでは、慢性的な炎症により血管が拡張しやすくなり、特に鼻や頬に赤い血管が目立つようになります。温度変化や辛い食べ物、アルコールなどの刺激によって症状が悪化することが特徴です。
光線性角化症や基底細胞癌などの皮膚腫瘍に伴って毛細血管拡張症が生じることもあります。腫瘍組織が血管新生を促進するため、病変部に細かい血管が増えて見えることがあります。
膠原病の一つである全身性エリテマトーデスや強皮症でも、毛細血管拡張症が見られることがあります。これらの疾患では、自己免疫による血管障害が関与していると考えられています。
生活習慣と環境因子
日常生活における様々な要因が、毛細血管拡張症の発症や悪化に関与します。アルコールの過度な摂取は、血管拡張作用があるため、特に顔面の毛細血管拡張症を悪化させる可能性があります。
極端な温度変化への曝露も血管に負担をかけます。サウナや熱い風呂に頻繁に入る習慣や、逆に寒冷な環境での作業なども、血管の収縮・拡張を繰り返すことで血管壁を傷つける可能性があります。
喫煙も毛細血管拡張症のリスク因子の一つです。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる一方で、一酸化炭素は血管を拡張させるため、血管への負担が増加します。また、喫煙は皮膚の老化を促進し、血管周囲の組織を劣化させることも知られています。
ステロイド外用薬の長期使用も、皮膚の萎縮や血管拡張を引き起こすことがあります。特に顔面に強いステロイド外用薬を長期間使用すると、毛細血管拡張症が生じるリスクが高まります。
毛細血管拡張症の症状と種類
臨床的な見た目の特徴
毛細血管拡張症の最も特徴的な症状は、皮膚表面に見える赤色または紫色の細い線状の模様です。これらは通常、直径0.1〜1ミリメートル程度の細い血管が皮膚を透けて見えているもので、指で押すと一時的に色が消えることがあります。
血管の走行パターンには個人差があり、直線状、樹枝状、クモの巣状、網目状など様々な形態を示します。顔面では、鼻翼から頬にかけて放射状に広がるパターンが多く見られます。下肢では、細かい網目状のパターンが特徴的です。
多くの場合、毛細血管拡張症そのものに痛みやかゆみなどの自覚症状はありません。ただし、酒さなど他の皮膚疾患に伴う場合は、紅潮感やほてり、ヒリヒリとした刺激感を伴うことがあります。
大きさや範囲は個人差が大きく、ごく小さな範囲に限局するものから、頬全体に広がる広範囲のものまで様々です。一度発症すると自然に消失することは少なく、時間とともに徐々に拡大したり、新たな血管拡張が出現したりする傾向があります。
一次性と二次性の分類
毛細血管拡張症は、その成因によって一次性と二次性に分類されます。
一次性毛細血管拡張症は、他の基礎疾患を伴わない、いわゆる単純性のものです。加齢、紫外線、遺伝的要因などが主な原因で、最も一般的なタイプです。健康上の問題はなく、美容的な理由で治療を希望されるケースがほとんどです。
二次性毛細血管拡張症は、何らかの基礎疾患や原因に伴って生じるものです。酒さ、膠原病、放射線治療後、ステロイド外用薬の長期使用などが原因となります。この場合、基礎疾患の治療も同時に必要となります。
くも状血管腫との違い
毛細血管拡張症と似た見た目の皮膚病変として、くも状血管腫があります。くも状血管腫は、中心に小さな赤い点があり、そこから放射状に細い血管が広がるクモの巣のような外観を呈します。
くも状血管腫は、妊娠中や肝疾患のある方に多く見られます。中心部を圧迫すると周囲の血管が一時的に消失し、圧迫を解除すると再び血液が流れて赤くなるという特徴があります。
一般的な毛細血管拡張症では、このような中心点がなく、血管が比較的均一に分布しているため、両者は区別されます。ただし、治療法は類似しており、レーザー治療などが有効です。
静脈瘤との鑑別
下肢に生じる毛細血管拡張症は、下肢静脈瘤と混同されることがあります。両者は関連していることもありますが、区別が重要です。
毛細血管拡張症は、皮膚表面の非常に細い血管(直径1ミリ以下)が拡張したものです。一方、静脈瘤は、より深い層にある静脈(直径3ミリ以上)が拡張して瘤状に膨らんだものです。
静脈瘤は、立ち上がると膨らみ、横になると平らになるという特徴があります。また、足のだるさや重さ、むくみ、こむら返りなどの症状を伴うことが多くあります。これに対し、毛細血管拡張症は症状を伴わないことがほとんどです。
下肢静脈瘤がある場合、その周囲に毛細血管拡張症を合併することがあります。静脈の逆流により静脈圧が上昇し、その影響で周囲の毛細血管が拡張するためです。この場合、静脈瘤の治療を行うことで毛細血管拡張症も改善することがあります。
診断方法
視診と触診
毛細血管拡張症の診断は、主に視診によって行われます。皮膚科専門医は、病変の色調、形状、分布、大きさなどを詳細に観察します。典型的な赤色または紫色の線状血管が認められれば、診断は比較的容易です。
触診では、病変部を軽く圧迫して色調の変化を確認します。毛細血管拡張症では、圧迫により一時的に赤みが消失し、圧迫を解除すると再び赤くなるという特徴があります。この反応は、病変が血管由来であることを確認する重要な所見です。
また、周囲の皮膚の状態も観察します。皮膚の萎縮、色素沈着、炎症所見の有無などは、二次性毛細血管拡張症の可能性を示唆する所見となります。
ダーモスコピー検査
ダーモスコピーは、皮膚を拡大して観察する非侵襲的な検査方法です。特殊な拡大鏡を用いることで、毛細血管拡張症の血管構造をより詳細に観察することができます。
ダーモスコピー検査により、血管の走行パターン、太さ、分岐の様子などを詳しく評価できます。また、他の皮膚病変との鑑別にも有用です。例えば、基底細胞癌などの皮膚腫瘍でも血管拡張が見られることがありますが、ダーモスコピーで観察すると血管の形態が異なるため、鑑別が可能となります。
超音波検査
下肢の毛細血管拡張症では、超音波検査が行われることがあります。特に、下肢静脈瘤の合併が疑われる場合や、治療方針を決定する際に有用です。
超音波検査により、深部の静脈の状態、血液の逆流の有無、血栓の有無などを評価できます。毛細血管拡張症の背景に静脈不全がある場合、その程度を評価することで、適切な治療方針を立てることができます。
血液検査と全身検査
全身性疾患に伴う毛細血管拡張症が疑われる場合、血液検査や全身検査が必要となることがあります。
膠原病が疑われる場合は、自己抗体検査や炎症マーカーの測定が行われます。肝疾患が疑われる場合は、肝機能検査が必要です。オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)が疑われる場合は、鼻出血の有無、消化管出血の有無、家族歴などを詳しく聴取し、必要に応じて遺伝子検査が行われることもあります。
また、突然広範囲に毛細血管拡張症が出現した場合や、他の皮膚症状を伴う場合は、悪性腫瘍のスクリーニングも考慮されることがあります。
毛細血管拡張症の治療法
レーザー治療
レーザー治療は、毛細血管拡張症に対する最も効果的な治療法の一つです。現在、いくつかの種類のレーザーが使用されており、それぞれに特徴があります。
ロングパルスYAGレーザーは、波長1064ナノメートルのレーザー光を用いる治療法です。このレーザーは、メラニンへの吸収が少なく、深部の血管にも到達しやすいという特徴があります。太めの血管や深い血管に対して効果的で、顔面や下肢の毛細血管拡張症の治療に広く使用されています。
色素レーザー(パルスダイレーザー)は、波長585〜595ナノメートルのレーザー光を用います。ヘモグロビンへの選択的な吸収が高く、表層の細い血管に対して優れた効果を発揮します。ダウンタイムが比較的少なく、顔面の細かい血管拡張の治療に適しています。
IPL(インテンスパルスライト)は、厳密にはレーザーではありませんが、類似の治療効果があります。幅広い波長の光を照射することで、血管だけでなくシミやくすみなども同時に改善できるという利点があります。
レーザー治療の実際の手順としては、まず治療部位を清潔にし、必要に応じて冷却ジェルを塗布します。レーザー照射時には、輪ゴムで弾かれるような痛みを感じることがありますが、多くの場合は麻酔なしで施術可能です。痛みに敏感な方には、麻酔クリームを使用することもあります。
治療後は、照射部位に一時的な赤みや腫れが生じることがあります。数日から1週間程度で自然に軽快します。色素レーザーの場合、照射部位に紫斑(あざ)が生じることがありますが、これも1〜2週間で消失します。
レーザー治療の効果は、1回の治療で完全に消失することは少なく、通常は3〜5回程度の治療が必要です。治療間隔は、4〜8週間程度空けることが一般的です。治療回数や間隔は、病変の大きさや深さ、血管の太さなどによって異なります。
高周波治療
高周波治療は、高周波電流の熱作用を利用して血管を凝固させる方法です。極めて細い針を毛細血管に挿入し、高周波電流を流すことで血管を閉塞させます。
この治療法は、非常に細かい血管や、レーザーでは反応しにくい血管に対して有効です。また、一本一本の血管を確実に処理できるという利点があります。ただし、治療に時間がかかることや、施術者の技術に依存する部分が大きいことが課題です。
治療後は、照射部位に小さなかさぶたが形成されることがありますが、数日から1週間程度で自然に剥がれます。瘢痕が残るリスクは低いとされていますが、施術後の適切なケアが重要です。
硬化療法
硬化療法は、主に下肢の毛細血管拡張症や小さな静脈瘤に対して行われる治療法です。硬化剤と呼ばれる薬液を血管内に注射し、血管壁を刺激して血管を閉塞させます。
使用される硬化剤には、ポリドカノール、エタノラミンオレイン酸塩などがあります。これらの薬剤は、血管内皮を障害し、炎症反応を引き起こすことで血管を閉塞させます。
硬化療法は、非常に細い針を使用するため、痛みは比較的軽度です。治療後は、弾性ストッキングを着用することで、硬化剤の効果を高め、合併症のリスクを減らします。
治療後数週間から数ヶ月かけて、徐々に血管が目立たなくなっていきます。複数回の治療が必要となることが多く、治療間隔は4〜6週間程度です。
硬化療法の合併症としては、色素沈着、毛細血管の再開通、アレルギー反応などがあります。稀ですが、深部静脈血栓症などの重篤な合併症のリスクもあるため、適応を慎重に判断する必要があります。
外用薬による治療
毛細血管拡張症に対する外用薬治療は、効果が限定的ですが、軽症例や他の治療との併用で用いられることがあります。
ビタミンK含有クリームは、毛細血管の強化や血液凝固の促進に関与するとされています。一部の研究では、長期使用により毛細血管拡張症が改善したとの報告がありますが、効果には個人差があります。
レチノイド外用薬は、皮膚のターンオーバーを促進し、コラーゲンの産生を高める作用があります。長期使用により、血管周囲の組織が強化され、血管の拡張が目立ちにくくなる可能性があります。
二次性毛細血管拡張症で、酒さなどの炎症性疾患を伴う場合は、メトロニダゾール外用薬やアゼライン酸外用薬が使用されることがあります。これらは、炎症を抑えることで間接的に血管拡張を改善する効果が期待されます。
内服薬による治療
一次性の毛細血管拡張症に対する特効的な内服薬はありませんが、二次性のものに対しては、基礎疾患に応じた内服治療が行われます。
酒さに伴う毛細血管拡張症では、テトラサイクリン系抗生物質の内服が行われることがあります。これらの薬剤は、抗炎症作用により酒さの症状を改善し、結果として毛細血管拡張症の進行を抑制する効果が期待されます。
下肢の毛細血管拡張症で静脈不全を伴う場合は、静脈強化剤や循環改善薬が処方されることがあります。これらは、静脈の緊張を高め、血液の逆流を減少させることで、毛細血管への負担を軽減します。
オスラー病などの遺伝性疾患に伴う毛細血管拡張症では、出血傾向に対する治療が中心となります。トラネキサム酸などの止血剤や、必要に応じて鉄剤の補給が行われます。
カモフラージュメイク
治療を希望しない場合や、治療の効果が現れるまでの間、カモフラージュメイクで血管拡張を目立たなくする方法もあります。
医療用のカバーファンデーションは、通常の化粧品よりもカバー力が高く、水や汗にも強い特徴があります。赤みを打ち消すグリーン系の下地を使用し、その上から肌色のカバーファンデーションを重ねることで、効果的に血管拡張を隠すことができます。
一部の医療機関では、カモフラージュメイクの指導を行っているところもあります。東京都内の大学病院や専門クリニックでは、形成外科や皮膚科でカモフラージュメイクの外来を設けているところもあります。
東京で毛細血管拡張症の治療を受ける際のポイント
皮膚科専門医の選び方
毛細血管拡張症の治療を受ける際は、皮膚科専門医が在籍する医療機関を選ぶことが重要です。日本皮膚科学会の認定専門医は、皮膚科に関する十分な知識と経験を有しており、適切な診断と治療方針の決定が期待できます。
レーザー治療を希望する場合は、レーザー機器を保有し、レーザー治療の経験が豊富な医師を選ぶことが望ましいです。レーザー治療は、機器の設定や照射方法によって効果や副作用のリスクが変わるため、熟練した医師による施術が重要です。
初診時には、治療方針だけでなく、予想される治療期間、費用、副作用のリスクなどについて、十分な説明を受けることが大切です。疑問点があれば遠慮せずに質問し、納得した上で治療を開始することをお勧めします。
保険診療と自費診療の違い
毛細血管拡張症の治療は、原因や目的によって保険診療となる場合と自費診療となる場合があります。
二次性毛細血管拡張症で、基礎疾患の治療が必要な場合は、保険診療の対象となることがあります。例えば、酒さに伴う毛細血管拡張症の治療や、下肢静脈瘤に伴う場合などです。ただし、使用できる治療法や薬剤には制限があります。
一次性毛細血管拡張症で、美容目的の治療の場合は、基本的に自費診療となります。レーザー治療、IPL治療、硬化療法などは、美容目的の場合は保険適用外です。
自費診療の費用は、医療機関によって異なります。顔面の毛細血管拡張症のレーザー治療では、1回あたり1万円から5万円程度が相場です。治療範囲や使用するレーザーの種類によって費用は変動します。下肢の硬化療法では、1回あたり2万円から5万円程度が一般的です。
治療前に、総額でどの程度の費用がかかるかを確認しておくことが重要です。複数回の治療が必要な場合が多いため、トータルのコストを考慮して治療計画を立てることをお勧めします。
アクセスと通院のしやすさ
毛細血管拡張症の治療は、複数回の通院が必要となることが多いため、アクセスの良い医療機関を選ぶことが重要です。
東京都内には、主要駅周辺に多くの皮膚科クリニックがあります。新宿、渋谷、池袋、銀座、品川などの大きなターミナル駅周辺のクリニックは、交通の便が良く、仕事帰りにも通いやすいという利点があります。
平日の夜間や土曜日にも診療を行っているクリニックを選ぶと、仕事や学業との両立がしやすくなります。ただし、人気のあるクリニックは予約が取りにくいこともあるため、早めの予約をお勧めします。
アイシークリニック新宿院での治療
アイシークリニック新宿院は、新宿駅から徒歩圏内に位置し、アクセスが便利な立地にあります。皮膚科専門医が在籍し、毛細血管拡張症をはじめとする様々な皮膚疾患の診療を行っています。
当院では、患者様一人ひとりの症状や希望に応じた治療計画を立て、丁寧な説明とカウンセリングを心がけています。毛細血管拡張症の診断から治療、アフターケアまで、トータルでサポートいたします。
治療前には、症状の詳細な評価を行い、最適な治療法をご提案します。レーザー治療などの最新の治療機器を導入し、効果的で安全な治療を提供しています。
費用や治療スケジュールについても、初診時に詳しくご説明いたします。保険診療と自費診療の違いについても、わかりやすくお伝えし、患者様が納得して治療を選択できるようサポートいたします。
予防とセルフケア
紫外線対策
毛細血管拡張症の予防において、紫外線対策は最も重要です。日常的に適切な紫外線防御を行うことで、新たな血管拡張の発生を抑え、既存の病変の悪化を防ぐことができます。
日焼け止めは、一年を通して使用することをお勧めします。SPF30以上、PA+++以上の製品を選び、2〜3時間ごとに塗り直すことが理想的です。特に屋外での活動が多い日は、より高いSPF値の製品を使用すると良いでしょう。
帽子や日傘の使用も効果的です。つばの広い帽子は、顔面への紫外線照射を大幅に減少させます。特に正午前後の紫外線が強い時間帯の外出時には、これらのアイテムを積極的に活用しましょう。
サングラスの着用も、目の周囲の皮膚を紫外線から守るために有用です。UVカット機能のあるサングラスを選ぶことが重要です。
スキンケアの注意点
適切なスキンケアは、皮膚のバリア機能を保ち、血管への負担を軽減するために重要です。
洗顔時は、熱いお湯は避け、ぬるま湯を使用しましょう。熱いお湯は血管を拡張させ、毛細血管拡張症を悪化させる可能性があります。また、強くこすることも避け、優しく洗うことを心がけてください。
洗顔料は、肌に優しい低刺激性のものを選びましょう。過度な洗浄は皮膚のバリア機能を損なうため、朝晩2回程度の洗顔で十分です。
保湿は、皮膚のバリア機能を維持するために非常に重要です。洗顔後は、速やかに保湿剤を塗布し、皮膚の水分を保ちましょう。セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分を含む製品が効果的です。
刺激の強い化粧品やスクラブ剤の使用は避けることをお勧めします。特に酒さなどの炎症性疾患を伴う場合は、低刺激性のスキンケア製品を選ぶことが重要です。
生活習慣の改善
日常生活における習慣を見直すことで、毛細血管拡張症の予防や改善につながります。
アルコールの摂取は、血管拡張作用があるため、過度な飲酒は避けることが望ましいです。特に顔面の紅潮や毛細血管拡張が気になる方は、アルコール摂取を控えめにすることをお勧めします。
辛い食べ物や熱い飲み物も、一時的に血管を拡張させる作用があります。頻繁に摂取すると、慢性的な血管拡張につながる可能性があるため、適度な摂取を心がけましょう。
ストレス管理も重要です。ストレスは、自律神経のバランスを乱し、血管の調節機能に影響を与えます。適度な運動、十分な睡眠、リラクゼーションなどを通じて、ストレスを上手にコントロールすることが大切です。
喫煙は、皮膚の老化を促進し、血管にも悪影響を及ぼします。禁煙は、毛細血管拡張症の予防だけでなく、全身の健康のためにも推奨されます。
温度管理
極端な温度変化は、血管に負担をかけるため、適切な温度管理が重要です。
入浴時は、熱すぎる湯船に長時間浸かることは避けましょう。40度程度のぬるめのお湯で、15〜20分程度の入浴が適切です。サウナや岩盤浴も、血管拡張を促進するため、頻繁な利用は控えめにすることをお勧めします。
寒冷な環境への曝露も、血管の収縮と拡張を繰り返すことになるため、注意が必要です。冬季の外出時は、マフラーや帽子などで顔を保護しましょう。
室内の温度も、極端に高温または低温にならないよう調整することが望ましいです。エアコンの風が直接顔に当たらないようにすることも、皮膚への刺激を減らすために有効です。

よくある質問
毛細血管拡張症は自然に治りますか
毛細血管拡張症は、一度発症すると自然に完全に消失することは稀です。加齢や紫外線などの影響により血管が拡張した状態が固定化されてしまうため、適切な治療を行わない限り、持続的に存在することが多いです。
妊娠に伴う毛細血管拡張症の場合は、出産後に自然に改善することがあります。これは、妊娠中に増加したホルモンの影響が出産後に正常化するためです。ただし、完全に消失せずに一部が残存することもあります。
急性の炎症や外傷に伴って一時的に生じた血管拡張は、原因が解消されれば改善する可能性があります。しかし、慢性的な経過をたどる一次性毛細血管拡張症は、自然治癒は期待できません。
レーザー治療は痛いですか
レーザー治療時の痛みの程度は、使用するレーザーの種類、照射部位、個人の痛みに対する感受性などによって異なります。
多くの患者様は、輪ゴムで弾かれるような、あるいはチクチクとした痛みを感じると表現されます。この痛みは瞬間的なもので、照射中のみ持続します。ほとんどの場合、麻酔なしでも十分に耐えられる程度の痛みです。
痛みに敏感な方や、広範囲の治療を行う場合は、麻酔クリームの使用が可能です。治療開始の30分〜1時間前に麻酔クリームを塗布することで、痛みを大幅に軽減できます。
また、最近のレーザー機器には、冷却装置が組み込まれているものが多く、照射と同時に冷却することで痛みを和らげる工夫がされています。
治療後の痛みは、通常は軽度で、数時間から数日で自然に軽快します。必要に応じて、冷却や鎮痛剤の使用で対処できます。
治療後に気をつけることはありますか
レーザー治療後は、適切なアフターケアを行うことで、効果を高め、副作用のリスクを減らすことができます。
治療直後から数日間は、照射部位に赤みや腫れが生じることがあります。これは正常な反応ですが、気になる場合は冷却すると軽減します。保冷剤をタオルで包んで、10〜15分程度冷やすと効果的です。
紫外線対策は、治療後特に重要です。治療部位は紫外線に敏感になっているため、しっかりとした日焼け止めの使用と、帽子や日傘などの物理的な遮光が必要です。
色素レーザー治療後に紫斑が生じた場合は、カモフラージュメイクで隠すことができます。紫斑は通常1〜2週間で消失しますが、それまでの間、外出時にはメイクでカバーすると良いでしょう。
治療後の洗顔やスキンケアは、通常通り行って問題ありませんが、照射部位を強くこすることは避けてください。また、熱いお湯での洗顔やサウナ、激しい運動など、血流が増加する行為は、治療後数日間は控えることをお勧めします。
再発することはありますか
レーザー治療などで毛細血管拡張症を改善した後も、新たな血管拡張が生じる可能性はあります。これは、治療した血管が再び拡張するというよりは、別の血管が新たに拡張して目立つようになることを意味します。
再発のリスクは、原因因子によって異なります。加齢や紫外線、遺伝的要因などの根本的な原因が継続して存在する場合、新たな血管拡張が生じやすくなります。
再発を予防するためには、治療後も紫外線対策や適切なスキンケア、生活習慣の改善を継続することが重要です。また、定期的に皮膚科を受診し、早期に新たな血管拡張を発見して対処することも有効です。
酒さなどの基礎疾患を伴う場合は、その疾患の管理が不十分だと、毛細血管拡張症も再発しやすくなります。基礎疾患の適切な治療を継続することが、再発予防につながります。
下肢の毛細血管拡張症は放置しても大丈夫ですか
下肢の毛細血管拡張症そのものは良性の状態であり、健康上の重大な問題を引き起こすことは稀です。そのため、美容的に気にならなければ、必ずしも治療が必要というわけではありません。
ただし、下肢の毛細血管拡張症が静脈不全の初期症状である可能性もあります。足のだるさ、重さ、むくみ、こむら返りなどの症状を伴う場合は、深部の静脈に問題がある可能性があるため、医療機関での評価が推奨されます。
また、急速に範囲が拡大する場合や、皮膚の色調変化、潰瘍などを伴う場合は、より深刻な静脈疾患の可能性があります。このような場合は、速やかに血管外科や皮膚科を受診することをお勧めします。
美容的な理由で治療を希望される場合は、早期に治療を開始した方が、範囲が狭く、治療回数や費用を抑えられる可能性があります。
まとめ
毛細血管拡張症は、皮膚表面の細い血管が拡張して赤い線状や網目状に見える状態です。加齢、紫外線、遺伝的要因、ホルモンの影響など、様々な原因によって発症します。多くの場合、健康上の問題はありませんが、美容的な悩みとして治療を希望される方が多くいらっしゃいます。
診断は主に視診によって行われ、レーザー治療、高周波治療、硬化療法などの効果的な治療法があります。東京都内には、毛細血管拡張症の治療を行っている皮膚科が多数あり、アクセスの良さや専門性を考慮して医療機関を選ぶことが重要です。
予防には、紫外線対策、適切なスキンケア、生活習慣の改善が効果的です。すでに発症している場合でも、これらのセルフケアを継続することで、新たな血管拡張の予防や既存の病変の悪化防止につながります。
毛細血管拡張症でお悩みの方は、まず皮膚科専門医に相談し、適切な診断と治療方針の決定を受けることをお勧めします。アイシークリニック新宿院では、経験豊富な医師が丁寧に診察し、患者様一人ひとりに最適な治療をご提案いたします。
参考文献
- 日本皮膚科学会ウェブサイト「皮膚科Q&A」
https://www.dermatol.or.jp/qa/ - 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター「皮膚疾患情報」
https://www.ncgm.go.jp/ - 日本レーザー医学会ウェブサイト
http://www.jslsm.or.jp/ - 厚生労働省「皮膚疾患に関する情報」
https://www.mhlw.go.jp/ - 日本形成外科学会「皮膚腫瘍と血管病変」
http://www.jsprs.or.jp/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務