はじめに
皮膚にできる「しこり」や「できもの」で悩んでいませんか?その中でも特に多いのが「粉瘤(ふんりゅう)」です。粉瘤は良性の皮膚腫瘍で、日本人の約1%が経験すると言われている身近な疾患です。しかし、一部の人は繰り返し粉瘤ができてしまい、「なぜ自分ばかり粉瘤ができるのだろう」と疑問に思う方も少なくありません。
アイシークリニック新宿院では、年間数千件の粉瘤治療を行っており、多くの患者様から「粉瘤ができやすい体質なのでしょうか?」というご質問をいただきます。本記事では、形成外科専門医の知見を基に、粉瘤ができやすい人の特徴、原因、予防法、そして最新の治療法について詳しく解説いたします。

粉瘤(アテローム)とは?基礎知識を理解する
粉瘤の定義とメカニズム
粉瘤(ふんりゅう)は、正式には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」または「アテローム」と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。皮膚の内側に袋状の構造(嚢胞)ができ、その中に本来であれば皮膚表面から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂などの老廃物が蓄積することで形成されます。
粉瘤の発生メカニズムは以下のようになります:
- 袋状構造の形成:何らかの原因で皮膚の表皮成分が皮下に入り込み、袋状の空間を形成
- 老廃物の蓄積:袋の中に角質、皮脂、毛髪などが徐々に蓄積
- サイズの拡大:蓄積した老廃物により袋が徐々に大きくなる
- 症状の出現:大きくなった粉瘤が皮膚表面に盛り上がって見える
粉瘤の特徴的な症状
粉瘤には以下のような特徴があります:
- 半球状の盛り上がり:皮膚の下に丸くて弾力のあるしこりができる
- 中央の黒い点(へそ):多くの場合、中央部に小さな黒い開口部が見られる
- 独特の臭い:内容物が漏れ出ると特有の悪臭を放つ
- 徐々に大きくなる:時間とともにサイズが拡大する傾向
- 自然治癒しない:放置しても自然に消失することはない
粉瘤と他の皮膚疾患との違い
粉瘤はしばしば他の皮膚疾患と混同されることがあります:
疾患名 | 特徴 | 触感 | 治癒性 |
---|---|---|---|
粉瘤 | 中央に黒い点、独特の臭い | 弾力があり可動性あり | 自然治癒しない |
ニキビ | 毛穴の炎症、一時的 | 硬く腫れている | 自然治癒する |
脂肪腫 | 皮膚と同色、柔らかい | 非常に柔らかく可動性あり | 自然治癒しない |
おでき(せつ) | 初期から痛みと赤み | 硬く熱感あり | 抗生剤で治癒可能 |
粉瘤ができやすい人の特徴 – 体質・年齢・性別による違い
遺伝的要因と体質
家族歴がある人 粉瘤には明確な遺伝的要因は解明されていませんが、家族や親族に粉瘤ができやすい人がいる場合、自分自身も繰り返し粉瘤ができる可能性が高くなることが臨床的に観察されています。特に外毛根鞘性嚢腫については、家族性発症の傾向が報告されています。
皮脂腺が活発な体質 皮脂の分泌が過剰な方は、毛穴が詰まりやすく、古くなった角質や皮脂が皮膚の下に蓄積しやすい傾向があります。特に脂性肌(オイリースキン)の方は要注意です。
年齢・性別による傾向
男性に多い傾向 統計的に男性の方が女性より粉瘤ができやすいことが知られています。これは男性ホルモンが皮脂の分泌を促進し、毛穴が詰まりやすくなることが関係していると考えられています。
年齢層別の特徴
- 20~40代:最も発症頻度が高い年齢層
- 思春期以降:ホルモンバランスの変化により発症リスクが上昇
- 中高年:皮膚のターンオーバーが遅くなり、角質が蓄積しやすくなる
肌質・肌状態による要因
ターンオーバーの乱れがある人 正常な肌のターンオーバーサイクルは約28日ですが、以下の要因でこのサイクルが乱れると粉瘤ができやすくなります:
- ストレスの蓄積:自律神経やホルモンバランスが乱れ、皮脂分泌が増加
- 睡眠不足:肌の修復機能が低下し、毛穴が詰まりやすくなる
- 不規則な生活習慣:肌のバリア機能が低下
ニキビを潰す癖がある人 ニキビや毛穴の詰まりを無理に押し出す習慣がある方は、皮膚に小さな傷ができ、そこから細菌が侵入しやすくなります。この傷が治癒する過程で皮膚の構造に異常が生じ、粉瘤の原因となることがあります。
生活環境による要因
慢性的な皮膚刺激を受ける人 以下のような慢性的な刺激を受ける環境にいる方は粉瘤ができやすくなります:
- タイトな衣服の着用:首元や脇の下などの摩擦
- ヘルメットや帽子の長時間着用:頭皮への圧迫と摩擦
- カバンのストラップによる摩擦:肩や背中への慢性的な刺激
- 眼鏡のフレームによる圧迫:鼻根部や耳の後ろへの刺激
職業的要因 特定の職業では粉瘤ができやすい傾向があります:
- デスクワーカー:長時間の座位による腰部・臀部への圧迫
- 建設作業員:ヘルメットや作業着による慢性的な刺激
- 調理師:高温多湿な環境での作業による皮脂分泌増加
スキンケア習慣による影響
不適切な洗浄習慣
- 洗いすぎ:皮膚のバリア機能を破壊し、逆に皮脂分泌が増加
- 洗い不足:毛穴に皮脂や角質が蓄積しやすくなる
- 強すぎる洗浄力:肌の乾燥を招き、皮脂の過剰分泌を誘発
スキンケア製品の選択ミス
- 毛穴を詰まらせやすい製品:コメドジェニック(毛穴詰まりを起こしやすい)な成分を含む製品の使用
- 肌質に合わない製品:乾燥肌なのに脱脂力の強い製品を使用するなど

粉瘤の原因 – なぜ皮膚の下に袋ができるのか?
主要な発生原因
外傷による皮膚構造の変化 最も理解しやすい原因の一つが外傷です。切り傷、打撲、手術の傷跡などが治癒する過程で、皮膚の表皮成分が真皮層に迷入し、袋状の構造を形成することがあります。
毛穴の詰まりと構造異常 毛穴の詰まりが長期間続くと、毛穴の構造に異常が生じ、袋状の空間が形成されることがあります。特に皮脂の分泌が多い部位や、摩擦を受けやすい部位で起こりやすいとされています。
ウイルス感染(ヒトパピローマウイルス) 手のひらや足の裏にできる粉瘤の一部は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となることが報告されています。ウイルス感染により皮膚の細胞分裂に異常が生じ、袋状の構造が形成されると考えられています。
発生部位による原因の違い
顔・首周り
- 皮脂腺の発達が良い部位
- 髭剃りや化粧品による刺激
- 紫外線による皮膚ダメージ
背中・肩
- 衣服による慢性的な摩擦
- 汗腺の発達が良い部位
- 手が届きにくくケアが不十分
脇の下・鼠径部
- 汗をかきやすく細菌が繁殖しやすい
- 衣服による摩擦が多い
- リンパ節が多く免疫反応が活発
耳周り
- 眼鏡やイヤホンによる慢性的な刺激
- 洗浄が不十分になりやすい部位
- 皮脂腺の分布が多い
体質的要因の詳細
ホルモンバランスの影響
- 男性ホルモン(アンドロゲン):皮脂腺の活性化、角質の厚化
- 女性ホルモンの変動:月経周期、妊娠、更年期による皮膚状態の変化
- 成長ホルモン:思春期の急激な皮脂分泌増加
免疫機能の個人差 免疫機能が低下している状態では、細菌感染を起こしやすく、炎症性粉瘤に発展するリスクが高くなります。
皮膚のバリア機能 生まれつき皮膚のバリア機能が弱い方は、外部刺激に対して敏感で、皮膚構造の異常を起こしやすい傾向があります。
粉瘤の症状と進行過程
初期段階の症状
無症状期 粉瘤の初期段階では、多くの場合症状がありません:
- 皮膚の下の小さなしこり(直径数mm程度)
- 痛みやかゆみはない
- 皮膚表面の色調変化なし
- 触れると弾力のある感触
発見のきっかけ
- 入浴時に偶然触れて気づく
- 美容院や理容室で指摘される
- 家族や友人からの指摘
- 定期健康診断での発見
進行期の症状
サイズの拡大 時間の経過とともに粉瘤は徐々に大きくなります:
- 直径1~2cmの半球状の盛り上がり
- 中央部に黒い点(開口部)が見えることがある
- 皮膚表面が薄くなり、内容物が透けて見える場合も
特徴的な症状の出現
- 独特の臭い:内容物が漏れ出ると特有の悪臭
- 内容物の排出:圧迫すると白いドロドロした物質が出る
- 皮膚の色調変化:黄色や青黒い色に変色することがある
炎症期(炎症性粉瘤)
急性炎症の症状 粉瘤に細菌が感染すると急激に症状が悪化します:
- 急激な腫脹:数日で大きく腫れ上がる
- 強い痛み:自発痛、圧痛が出現
- 発赤:患部が赤く腫れる
- 熱感:触ると熱を持っている
- 膿の形成:黄色い膿が溜まる
全身症状 炎症が強い場合には全身症状も出現:
- 発熱(37~38℃程度)
- 倦怠感
- 食欲不振
- リンパ節の腫脹
日常生活への影響 炎症性粉瘤は日常生活に大きな支障をきたします:
- 歩行困難(臀部や太ももの粉瘤の場合)
- 睡眠障害(痛みによる)
- 衣服の着脱困難
- 仕事や学業への支障
慢性化・再発パターン
慢性炎症 適切な治療を行わずに放置すると慢性炎症に移行:
- 断続的な腫れと痛み
- 瘢痕組織の形成
- 周囲組織との癒着
- 治療困難な状態
再発のメカニズム 内容物のみを排出し、袋を残したままにすると高確率で再発:
- 数ヶ月~1年以内の再発
- 以前より大きくなって再発
- 炎症を繰り返しやすくなる
粉瘤の予防法 – 発症リスクを下げるための生活習慣
基本的なスキンケア
適切な洗浄習慣 粉瘤の予防には適切な皮膚の清潔維持が重要です:
- 洗浄頻度:1日1~2回、過度な洗浄は避ける
- 洗浄方法:優しく泡で洗い、ゴシゴシこすらない
- 洗浄剤の選択:肌質に合った弱酸性の洗浄剤を選ぶ
- すすぎの徹底:洗浄剤の残留を防ぐため十分にすすぐ
保湿ケア 適切な保湿により皮膚のバリア機能を維持:
- 入浴後の保湿ケア
- 季節に応じた保湿剤の選択
- 乾燥しやすい部位への重点的なケア
生活習慣の改善
ストレス管理 慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させます:
- 十分な睡眠時間の確保(7~8時間)
- 規則正しい生活リズム
- 適度な運動習慣
- リラクゼーション技法の実践
食生活の見直し 皮膚の健康に影響する栄養素の摂取:
- ビタミンA:皮膚のターンオーバー促進(緑黄色野菜、レバー)
- ビタミンE:抗酸化作用(ナッツ類、植物油)
- ビタミンC:コラーゲン合成促進(柑橘類、緑茶)
- 亜鉛:皮膚の修復機能(牡蠣、肉類)
環境要因への対策
衣服による刺激の軽減
- ゆったりとしたサイズの衣服を選ぶ
- 天然素材(綿、麻)の衣服を優先
- こまめな着替えで清潔を保つ
- ブラジャーや下着のサイズを適正にする
職業的要因への対策
- ヘルメットや帽子の内側を清潔に保つ
- 作業着の定期的な洗濯
- 休憩時間の皮膚ケア
- 職場環境の改善提案
紫外線対策 紫外線は皮膚のバリア機能を低下させるため:
- 日焼け止めの適切な使用
- 帽子や日傘の活用
- 長袖衣服による保護
NGな習慣の改善
してはいけないこと
- ニキビや毛穴の詰まりを無理に押し出す
- 粉瘤を自分で潰そうとする
- 不潔な手で患部を触る
- 市販薬での自己治療に頼る
早期発見のための自己チェック
- 入浴時の全身チェック
- 気になる部位の定期的な観察
- 家族によるチェック(背中など見えない部位)
- 美容院・理容室での指摘への注意

粉瘤の治療法 – 根治のための手術療法
手術治療の必要性
なぜ手術が必要なのか 粉瘤は良性腫瘍ですが、以下の理由で手術治療が推奨されます:
- 自然治癒しない:時間が経っても消失することはない
- 徐々に大きくなる:放置すると手術が困難になる
- 炎症のリスク:細菌感染により急激に悪化する可能性
- 悪性化の可能性:極めて稀だが悪性化の報告もある
- 美容的問題:見た目の問題で精神的負担となる
手術のタイミング 理想的な手術タイミングは:
- 粉瘤と診断された時点
- サイズが小さいうち(直径2cm以下)
- 炎症を起こしていない時期
- 患者様の都合の良い時期
主要な手術方法
くりぬき法(へそ抜き法) アイシークリニック新宿院で主に採用している方法:
手術手順
- 局所麻酔の実施
- 専用のトレパン(円筒状のメス)で小さな穴を開ける
- 粉瘤の内容物を絞り出す
- しぼんだ袋状の組織を摘出
- 止血・縫合(場合により縫合しない)
メリット
- 傷跡が小さい(直径2~5mm程度)
- 手術時間が短い(5~20分)
- 日常生活への影響が少ない
- 炎症期でも手術可能
デメリット
- 大きな粉瘤には適応困難
- 技術的に難しい場合がある
切開法(紡錘形切除) 従来からある標準的な方法:
手術手順
- 局所麻酔の実施
- 粉瘤を中心とした紡錘形の切開
- 袋ごと一塊として摘出
- 丁寧な縫合
メリット
- 確実な摘出が可能
- 再発率が低い
- あらゆるサイズに対応
デメリット
- 傷跡が比較的大きい
- 手術時間がやや長い(20~40分)
炎症性粉瘤の治療
急性期の対応 炎症が強い場合は段階的な治療を行います:
保存的治療
- 抗生剤の内服
- 消炎鎮痛剤の使用
- 患部の安静
切開排膿 膿が溜まっている場合:
- 局所麻酔の実施
- 皮膚を切開して膿を排出
- 洗浄・ドレナージ
- 抗生剤治療の継続
根治手術 炎症が落ち着いた後(通常3ヶ月後)に袋の摘出手術を実施
一期的手術 当院では技術的に可能な場合、炎症期でも一回で根治手術を行う「一期的手術」を実施しています:
- ダブルパンチ法
- 切開くりぬき法
- 患者様の負担軽減
- 通院回数の減少
手術の実際の流れ
手術前準備
- 血液検査(感染症チェック)
- 手術説明・同意書の取得
- 術前の注意事項説明
手術当日
- 受付・問診:体調確認、最終意思確認
- 術前準備:手術部位の確認、消毒
- 局所麻酔:極細針を使用し痛みを最小限に
- 手術実施:選択した手術方法で摘出
- 術後処置:止血確認、ガーゼ保護
- 術後説明:注意事項、次回受診日の確認
術後経過
- 当日:安静、飲酒・運動・入浴は控える
- 翌日:創部チェック、シャワー開始
- 1週間後:抜糸(部位により2週間後)
- 2週間後:病理検査結果説明
手術費用と保険適用
保険適用の条件 粉瘤の手術は基本的に健康保険が適用されます:
- 医学的に治療が必要と判断される場合
- 炎症を起こしている、または起こすリスクがある場合
- 日常生活に支障をきたしている場合
費用の目安(3割負担の場合)
- 初診料:約900円
- 再診料:約400円
- 手術費用:約7,000~15,000円(大きさ・部位により変動)
- 病理検査費:約3,000円
自費診療になる場合
- 純粋に美容目的と判断される場合
- 非常に小さく医学的必要性が低い場合
アイシークリニック新宿院での粉瘤治療
当院の特徴と強み
専門性の高い医療チーム
- 日本形成外科学会認定形成外科専門医による治療
- 年間数千件の粉瘤治療実績
- 皮膚外科を専門とする医師による質の高い手術
患者様に優しい治療環境
- 女性医師も在籍(デリケートな部位も安心)
- 痛みに配慮した麻酔技術
- プライバシーに十分配慮した診療
アクセスと利便性
- JR新宿駅南口から徒歩3分
- 年中無休、土日祝日も19時まで診療
- 24時間Web予約対応
- 当日診察・当日手術可能
当院の治療方針
くりぬき法を第一選択 当院では原則としてくりぬき法を採用しています:
- 傷跡を最小限に抑える
- 患者様の負担を軽減
- 早期の社会復帰を可能に
炎症性粉瘤への積極的対応
- 当日切開排膿処置
- 一期的手術の実施
- 患者様の痛みを迅速に軽減
アフターケアの充実
- 術後の丁寧な経過観察
- 24時間緊急連絡体制
- 傷跡ケアのアドバイス
診療の流れ
初診
- Web予約または電話予約
- 問診票の記入
- 医師による診察・診断
- 治療方針の説明
- 手術日程の調整
手術日
- 術前の最終確認
- 血液検査(初回のみ)
- 手術実施
- 術後処置・説明
- 帰宅
術後フォロー
- 翌日または翌々日:創部チェック
- 1週間後:抜糸
- 2週間後:病理検査結果説明
- 必要に応じて追加フォロー
患者様の声
当院で治療を受けた患者様からは以下のような声をいただいています:
- 「思っていたより痛くなかった」
- 「傷跡がほとんど分からない」
- 「当日手術で早く治せて良かった」
- 「女性医師に診てもらえて安心だった」
- 「丁寧な説明で不安がなくなった」
よくある質問と回答
Q1. 粉瘤は必ず手術しなければいけませんか?
A1. 粉瘤は良性腫瘍なので、必ずしも緊急的に手術が必要ではありません。しかし、以下の理由で早期の手術を推奨しています:
- 自然治癒することがない
- 時間とともに大きくなる
- 炎症を起こすリスクがある
- 大きくなってからの手術は傷跡が大きくなる
小さいうちに手術を受けることで、患者様の負担を最小限に抑えることができます。
Q2. 手術は痛いですか?
A2. 当院では痛みを最小限に抑えるため、以下の配慮をしています:
- 極細針による局所麻酔
- 麻酔薬の配合に工夫
- 振動を与える機械で注射時の痛みを軽減
- 手術中の追加麻酔にも柔軟に対応
多くの患者様から「思っていたより痛くなかった」という感想をいただいています。
Q3. 手術後の日常生活に制限はありますか?
A3. 手術当日は以下の制限があります:
- 飲酒は控える
- 激しい運動は避ける
- 長時間の入浴は控える(シャワーは翌日から可能)
翌日からは通常の日常生活が可能で、仕事や学校にも支障はありません。
Q4. 再発することはありますか?
A4. 当院のくりぬき法では、袋を完全に摘出するため再発率は非常に低くなっています。ただし、以下の場合は再発の可能性があります:
- 袋の一部が残存した場合
- 炎症が強く完全摘出が困難だった場合
- 体質的に粉瘤ができやすい方の新たな発症
万が一再発した場合も、当院で責任を持って対応いたします。
Q5. 傷跡は残りますか?
A5. くりぬき法では非常に小さな傷跡(直径2~5mm程度)しか残りません。多くの場合、時間とともに目立たなくなります:
- 1ヶ月後:傷跡は平坦になる
- 3~6ヶ月後:赤みが引いて目立たなくなる
- 1年後:ほとんど分からないレベルまで改善
体質によってはケロイドや肥厚性瘢痕ができる場合もありますが、適切な治療で改善可能です。
Q6. 粉瘤の特徴である黒い点が見当たらないのですが、それでも粉瘤の可能性はありますか?
A6. はい、可能性があります。全ての粉瘤に黒い開口部があるわけではありません:
- 毛根や脂腺由来の粉瘤には開口部がない場合がある
- 開口部が非常に小さく肉眼では確認できない場合
- 炎症により開口部が塞がっている場合
診断には医師による触診や、必要に応じて超音波検査を行います。
Q7. 市販薬で治すことはできませんか?
A7. 残念ながら、市販薬で粉瘤を根治することはできません:
- 粉瘤は皮膚の下の袋状構造が原因
- 外用薬では袋にアプローチできない
- 炎症を起こした場合の対症療法にしかならない
根本的な治療には袋の摘出手術が必要です。市販薬での自己治療は症状の悪化を招く可能性があります。
Q8. 複数の粉瘤がある場合、一度に手術できますか?
A8. 可能です。当院では患者様のご希望と医学的安全性を考慮して、複数の粉瘤を同時に摘出することがあります:
同時手術のメリット
- 通院回数の減少
- 総合的な費用の削減
- 一度の術後管理で済む
注意点
- 手術時間が長くなる
- 術後の安静が必要
- 部位によっては分割が望ましい場合
詳細は診察時にご相談ください。
まとめ
粉瘤は日本人の多くが経験する身近な皮膚疾患ですが、できやすい人には明確な特徴があります。遺伝的要因、体質、生活習慣、環境要因などが複雑に関与して発症リスクが決まります。
粉瘤ができやすい人の主な特徴:
- 家族歴がある
- 男性(女性より1.5倍多い)
- 皮脂分泌が多い体質
- ニキビを潰す癖がある
- 慢性的な皮膚刺激を受けている
- ストレスが多く生活習慣が乱れている
重要なポイント:
- 早期発見・早期治療:小さいうちの手術が傷跡を最小限に抑える
- 自己判断は危険:市販薬での治療や自分で潰すのは避ける
- 専門医での治療:形成外科専門医による適切な手術が重要
- 予防の限界:完全な予防は困難だが、リスクを下げることは可能
アイシークリニック新宿院では:
- 形成外科専門医による質の高い治療
- くりぬき法による傷跡を最小限に抑えた手術
- 当日診察・当日手術対応
- 年中無休、土日祝日も診療
- 女性医師も在籍
粉瘤でお悩みの方は、放置せずに早めに専門医にご相談ください。適切な診断と治療により、患者様の負担を最小限に抑えた根治治療が可能です。
参考文献
- 日本形成外科学会. 表皮嚢腫(粉瘤)診療ガイドライン. 2023.
- 日本皮膚科学会. 皮膚良性腫瘍の診断と治療. 皮膚科診療. 2024;46(3):234-241.
- Zuber TJ. Minimal excision technique for epidermoid (sebaceous) cysts. Am Fam Physician. 2002;65(7):1409-1412.
- 田辺三菱製薬. ヒフノコトサイト. 粉瘤(アテローム)の症状と原因、治療. https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/778
- 日本形成外科学会. 一般の方へ 形成外科で扱う疾患. https://jsprs.or.jp/general/disease/shuyo/hifu_hika/funryu.html
- 川崎たにぐち皮膚科. 粉瘤(アテローム)の原因と予防方法。粉瘤ができやすいのはどんな人? https://k-derm.net/2023/03/23/3816
- 大阪梅田形成外科粉瘤クリニック. 粉瘤(アテローム)とは. https://www.umeda-keisei.jp/atheroma/
- 海老名皮フ科クリニック. 粉瘤(アテローム)の症状と原因、治療. https://ebinahifu.com/adult/atheroma/
- ひまわり医院. 粉瘤を放置するとどうなる?粉瘤(アテローム)の原因や手術について. https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/atheroma/
- アイシークリニック. 粉瘤(アテローム)とは?安心して治療を受ける方法を解説. https://ic-clinic.com/atheroma/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務