繰り返すニキビにお悩みの方へ。従来の内服薬や外用薬では改善しなかったしつこいニキビに、根本からアプローチする治療法があります。それが「アグネス(AGNES)」です。アグネス治療は、ニキビの原因となる皮脂腺そのものに高周波(RF)を照射して破壊することで、同じ場所にニキビが再発することを防ぐ画期的な治療法として注目を集めています。
本記事では、新宿エリアでアグネス治療をご検討の方に向けて、アグネスの仕組みから効果、治療の流れ、ダウンタイム、注意点まで、皮膚科専門の視点から詳しく解説します。思春期ニキビから大人ニキビまで、あらゆるニキビでお悩みの方に、この新しい治療の選択肢について正確な情報をお届けします。

目次
- ニキビ(尋常性ざ瘡)とは
- なぜニキビは繰り返すのか?発症メカニズムを解説
- アグネス治療とは
- アグネスの治療効果と特徴
- アグネス治療が適している方
- アグネス治療の流れ
- ダウンタイムと副作用
- アグネスと他のニキビ治療との比較
- アグネス治療の回数と費用
- アグネス治療を受ける際の注意点
- 治療後のスキンケアと生活習慣
- まとめ
1. ニキビ(尋常性ざ瘡)とは
ニキビは医学用語では「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる皮膚疾患です。日本人の約90%以上が生涯のうちに一度は経験するといわれており、最も一般的な皮膚トラブルの一つです。「ニキビは青春のシンボル」と捉えられ、以前は病気として認識されにくい側面もありましたが、現在では慢性炎症性疾患として医学的な治療対象となっています。
ニキビは主に顔面、胸部、背中など、皮脂腺が発達している部位に発生します。思春期に多く見られるのは、この時期に男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が活発になり、皮脂腺が刺激されて皮脂分泌が増加するためです。女性の場合は、月経周期に伴うホルモンバランスの変化により、生理前にニキビが悪化することも珍しくありません。
ニキビを放置して炎症が強まったり長引いたりすると、治癒後に凹凸のある瘢痕(ニキビ跡)が残ってしまうことがあります。いわゆる「クレーター肌」と呼ばれる状態は、一度形成されると治療が非常に困難です。そのため、日本皮膚科学会のガイドラインでも、ニキビは早期に適切な治療を開始し、瘢痕形成を予防することの重要性が強調されています。
ニキビの種類と進行段階
ニキビは進行段階によって以下のように分類されます。
まず初期段階として、毛穴の出口が狭くなり、皮脂や角質が詰まった状態を「面皰(めんぽう)」または「コメド」と呼びます。毛穴が閉じているものは「白ニキビ」、毛穴が開いて内容物が酸化して黒く見えるものは「黒ニキビ」と呼ばれます。
面皰の内部でアクネ菌が増殖し、炎症が起こると「赤ニキビ(丘疹)」になります。さらに炎症が進行して膿がたまると「黄ニキビ(膿疱)」となり、より重症化すると皮膚の深い層まで炎症が及び、しこりのような硬結や嚢腫を形成することもあります。
2. なぜニキビは繰り返すのか?発症メカニズムを解説
ニキビが繰り返し同じ場所にできてしまう理由を理解するためには、まずニキビの発症メカニズムを知ることが重要です。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」によると、ニキビの発症には主に4つの要因が関与しています。
皮脂分泌の増加
皮脂腺は毛穴に付属する組織で、皮脂を分泌しています。皮脂は本来、肌を外部刺激から守るバリア機能を担う重要な存在です。しかし、ホルモンバランスの乱れやストレス、遺伝的要因などにより皮脂分泌が過剰になると、毛穴に皮脂がたまりやすくなり、ニキビの発症リスクが高まります。
思春期には成長ホルモンや男性ホルモンの分泌が活発になることで皮脂腺が刺激され、皮脂分泌量が増加します。大人になってからも、ストレスや睡眠不足、偏った食生活などが皮脂の過剰分泌を招く要因となります。
毛穴の閉塞(角化異常)
毛穴の出口部分で角質が異常に厚くなると、皮脂の排出が妨げられます。この状態を「毛漏斗部の過角化」と呼びます。角化異常が起こる原因としては、男性ホルモンの影響、皮脂の分解産物による刺激、肌の乾燥、不適切なスキンケアなどが挙げられます。
毛穴が詰まると、本来であれば皮膚表面に排出されるはずの皮脂が毛穴内に蓄積し、面皰(コメド)が形成されます。
アクネ菌の増殖
アクネ菌(学名:Cutibacterium acnes、旧名Propionibacterium acnes)は、人の皮膚に常在する細菌です。酸素を嫌う嫌気性菌で、通常は毛穴の中に生息しています。正常な状態では、アクネ菌は皮膚を弱酸性に保ち、他の有害菌の増殖を防ぐなど、肌の健康維持に貢献しています。
しかし、毛穴が閉塞して酸素が乏しい環境になると、アクネ菌は急激に増殖します。増殖したアクネ菌はリパーゼという酵素を分泌し、皮脂を分解して遊離脂肪酸を生成します。この遊離脂肪酸が毛穴周囲の組織を刺激し、炎症を引き起こします。
東京薬科大学の研究では、アクネ菌が「キャンプファクター」と呼ばれる毒素を産生し、これが毛穴や免疫担当細胞にダメージを与えることも明らかになっています。
炎症反応
アクネ菌に対する免疫反応として、白血球などの免疫担当細胞が毛穴周囲に集まり、炎症反応が起こります。この炎症によって毛穴周囲が赤く腫れ上がり、「赤ニキビ」となります。
炎症が強くなると毛穴の壁が破壊され、皮脂やアクネ菌、免疫細胞の死骸などが周囲の真皮組織に漏れ出します。これにより炎症がさらに拡大し、組織の修復過程で瘢痕(ニキビ跡)が形成される原因となります。
なぜ同じ場所に繰り返すのか
ニキビが同じ場所に繰り返しできる理由は、上記の4つの要因が改善されない限り、同じ毛穴で再び条件が整ってしまうからです。従来の外用薬や内服薬による治療は、炎症を抑えたり一時的に皮脂分泌を減らしたりすることはできますが、皮脂腺そのものを消失させることはできません。そのため、治療をやめると再び皮脂が分泌され、同じ場所にニキビが再発してしまうのです。
3. アグネス治療とは
アグネスは、韓国で開発されたニキビ治療専用の医療機器で、RF(Radio Frequency:高周波)エネルギーを用いて皮脂腺を選択的に破壊する治療法です。日本国内では「皮膚組織の凝固」を目的とした電気手術器として厚生労働省から医薬品医療機器等法上の承認を得ています(承認番号:306AFBZX00014000)。
アグネスの最大の特徴は、ニキビの根本原因である皮脂腺そのものにアプローチすることです。永久脱毛が毛根を破壊することで毛が再生しなくなるのと同じ原理で、アグネスは皮脂腺を破壊することで、その毛穴からのニキビの再発を防ぎます。
アグネスの仕組み
アグネスでは、特殊な構造を持つ極細の絶縁針(マイクロニードル)を使用します。この針は先端部分のみが通電する設計になっており、針の側面は絶縁コーティングが施されています。そのため、針を毛穴に刺入してRF(高周波)を照射しても、皮膚表面に熱損傷を与えることなく、皮脂腺が存在する真皮層にのみ熱エネルギーを届けることができます。
治療の際は、ニキビが気になる部分の毛穴一つひとつに極細針を挿入し、高周波電流を流します。針先から発生する熱によって皮脂腺のタンパク質が凝固・変性し、皮脂腺の機能が失われます。一度破壊された皮脂腺は再生しないため、治療した毛穴からは皮脂が分泌されなくなり、ニキビの再発を根本的に防ぐことができるのです。
さらに、高周波の熱刺激には付随的な効果もあります。熱によってアクネ菌も殺菌されるほか、真皮層のコラーゲン生成が促進されることで、毛穴の引き締めや肌質改善の効果も期待できます。
アグネスの対象となる症状
アグネスは以下のような症状に効果を発揮します。
ニキビ治療においては、初期段階の面皰(白ニキビ・黒ニキビ)から、炎症を伴う赤ニキビ・黄ニキビまで、あらゆる段階のニキビに対応可能です。特に、内服薬や外用薬で改善しにくい慢性的な炎症性ニキビや、同じ場所に繰り返しできるしつこいニキビに高い効果を発揮します。思春期ニキビはもちろん、大人ニキビ、フェイスラインや顎、首、背中、胸などにできるニキビにも適応があります。
また、アグネスはニキビ治療だけでなく、汗管腫(かんかんしゅ)の治療にも使用されています。汗管腫とは、目の周りなどにできる小さな良性腫瘍で、従来の治療では傷跡が残りやすいとされてきましたが、アグネスであれば皮膚表面を傷つけずに治療することが可能です。
4. アグネスの治療効果と特徴
アグネス治療には、従来のニキビ治療にはない以下のような特徴と効果があります。
高い再発防止効果
アグネスの最大のメリットは、治療した毛穴からのニキビ再発を長期的に防げることです。韓国の研究者Jin W Leeらによる臨床研究では、アグネス治療を3回受けた患者において、1年後の時点で12人中10人が再発なし、再発した2人も症状は軽度であったと報告されています。この高い再発防止効果は、皮脂腺を根本から破壊するという治療原理に基づいています。
1回の治療から効果を実感
アグネス治療は、1回の施術でも効果を実感できるケースが多いです。これは、治療した部位の皮脂腺が即座に機能を失うためです。ただし、ニキビの数が多い場合や広範囲に及ぶ場合は、複数回の治療が必要になります。一般的には、1〜2ヶ月おきに3〜5回程度の治療を行うことで、より確実な効果が得られます。
ダウンタイムが比較的短い
アグネスは皮膚表面にダメージを与えにくい構造のため、CO2レーザーなどと比較してダウンタイムが短いのが特徴です。施術直後から赤みや軽い腫れが生じますが、多くの場合は数日から1週間程度で落ち着きます。翌日からメイクが可能な点も、日常生活への影響を最小限に抑えたい方にとって大きなメリットです。
傷跡が残りにくい
従来のCO2レーザー治療などでは、皮膚を削るため傷跡が残るリスクがありました。一方、アグネスは針先からの熱のみで治療を行い、皮膚表面を傷つけないため、傷跡が残るリスクが非常に低いです。
コラーゲン生成促進による肌質改善
高周波の熱刺激は、真皮層のコラーゲン生成を促進する効果があります。これにより、ニキビ治療と同時に毛穴の引き締め、肌のハリ・ツヤの改善といった美肌効果も期待できます。ニキビ跡の改善にも一定の効果があるとされています。
肌の乾燥リスクが低い
「皮脂腺を破壊すると肌が乾燥しないのか?」という疑問を持つ方も多いかもしれません。しかし、人の顔には約2〜5万個もの毛穴があるとされており、アグネス治療で破壊する皮脂腺は全体のごく一部です。そのため、治療によって肌全体が乾燥するということはほとんどありません。
5. アグネス治療が適している方
アグネス治療は、以下のような方に特におすすめです。
同じ場所に繰り返しニキビができる方には、アグネスは非常に効果的です。従来の治療では一時的に改善しても再発を繰り返していた方でも、皮脂腺を破壊することで根本的な解決が期待できます。
内服薬や外用薬で改善しなかった方にとって、アグネスは新たな選択肢となります。保険診療で処方される塗り薬や飲み薬を長期間使用しても効果が限定的だった場合、皮脂腺へ直接アプローチするアグネスが有効なケースがあります。
大人ニキビにお悩みの方にもアグネスは適しています。大人ニキビは思春期ニキビとは異なり、ホルモンバランスやストレス、生活習慣など複合的な要因が絡んでいることが多く、治りにくい傾向があります。アグネスは原因に関わらず皮脂腺を破壊するため、大人ニキビにも効果を発揮します。
フェイスライン、顎、首などにできるニキビにお悩みの方にも有効です。これらの部位のニキビは特に治りにくく再発しやすいとされていますが、アグネスで効果的に治療できます。
ダウンタイムを最小限にしたい方にとっても、アグネスは適した選択肢です。仕事や学校を長期間休むことが難しい方でも、アグネスなら日常生活への影響を抑えながら治療を受けられます。
抗生物質の長期使用を避けたい方には、アグネスが良い代替手段となります。ニキビ治療では抗生物質の内服が行われることがありますが、長期使用による耐性菌の出現が問題視されています。アグネスは抗生物質に頼らない治療法として注目されています。
アグネス治療を受けられない方
一方で、以下に該当する方はアグネス治療を受けることができません。
妊娠中の方は、安全性が確立されていないため治療をお控えいただいています。ペースメーカーや体内に金属類・機械類が埋め込まれている方も、高周波が機器に影響を与える可能性があるため対象外となります。治療部位にプロテーゼなど異物が挿入されている方、出血傾向のある方(抗血小板凝固薬を内服中の方など)も治療を受けることができません。
また、ニキビの盛り上がったケロイドや陥凹性ニキビ瘢痕(クレーター状のニキビ跡)には効果がありません。これらの症状がある場合は、別の治療法をご検討いただく必要があります。
6. アグネス治療の流れ
アグネス治療は、以下のような流れで進められます。
カウンセリング・診察
まず、医師による診察とカウンセリングを行います。肌の状態を丁寧に確認し、ニキビの種類や重症度、分布などを把握します。アグネス治療が適しているかどうかを判断し、治療内容、期待できる効果、リスク・副作用、必要な治療回数、費用などについて詳しくご説明します。ご納得いただいた上で治療に進みます。
洗顔・クレンジング
治療当日は、メイクを落として清潔な状態でご来院いただくことをおすすめします。クリニックでもクレンジング・洗顔が可能ですので、メイクをしたままお越しいただいても構いません。治療部位の皮脂や汚れをしっかり落とし、施術に備えます。
表面麻酔
治療の痛みを軽減するため、治療部位に麻酔クリームを塗布します。麻酔が効くまで30分〜1時間程度お待ちいただきます。麻酔クリームを使用することで、施術中の痛みはかなり軽減されますが、完全に無痛というわけではなく、チクチクとした軽い刺激を感じる方もいます。
面皰の圧出
ニキビ治療の場合、アグネス照射の効果を最大限に引き出すために、事前にニキビの角栓や膿を丁寧に圧出(面皰圧出)することがあります。これにより、高周波が皮脂腺により効率的に作用するようになります。
アグネス照射
いよいよアグネスによる治療です。治療部位の毛穴一つひとつに極細の絶縁針を挿入し、高周波電流を流して皮脂腺を破壊していきます。施術中は適宜クーリング(冷却)を行い、熱感や痛みを軽減します。
施術時間は治療部位や個数によって異なりますが、30分〜1時間程度が目安です。
クーリング・軟膏塗布
施術後は、治療部位を冷却して鎮静させます。その後、抗炎症作用のある軟膏を塗布します。クリニックによっては、ビタミンAのイオン導入など、治療効果を高める追加施術を行う場合もあります。
翌日〜翌々日のメルティング(オプション)
ニキビ治療の場合、施術の翌日または翌々日に再度来院いただき、「メルティング」という処置を行うことがあります。これは、アグネス治療により皮脂腺内に溜まった残渣物(溶けた皮脂や老廃物)を優しく圧出する処置です。メルティングを行うことで、治療効果がより高まり、ニキビの腫れも早く引くとされています。ただし、メルティングは必須ではなく、患者様の状態や希望に応じて行われます。
7. ダウンタイムと副作用
アグネス治療はダウンタイムが比較的短い治療法ですが、一定の副作用が生じる可能性があります。事前にしっかり理解しておくことが大切です。
一般的な経過
施術直後から数日間は、治療部位に赤みや軽い腫れ、熱感が生じます。これは正常な反応であり、通常は数日から1週間程度で落ち着きます。ただし、肌質や治療範囲によっては、2週間程度赤みが続くこともあります。
施術後、治療部位にニキビのような発疹や浸出液(リンパ液など)が見られることがあります。これは皮脂腺内に溜まっていた老廃物や溶けた皮脂が排出される過程で起こるもので、心配する必要はありません。通常、経過観察で1週間ほどで改善します。
主な副作用
赤み・腫れは最も一般的な副作用です。数日から1〜2週間程度で改善しますが、個人差があります。大切なイベントの1週間前などは施術を避けることをおすすめします。
内出血は、特に目の周りなど皮膚が薄い部位の治療で生じることがあります。通常、1〜2週間程度で消失します。
一時的な色素沈着が起こることがあります。特に首のニキビを治療した場合、1〜2ヶ月間色素沈着が続くことがあります。紫外線対策を徹底することで予防・改善できます。
軽い痛み・かゆみ・乾燥感を感じることがありますが、いずれも一時的なものです。
重篤な副作用について
アグネス治療において、傷跡が残る、感染症を起こすといった重篤な副作用は非常にまれです。臨床研究においても、色素沈着や感染、傷跡といった重篤な副作用は見られなかったと報告されています。ただし、施術後の適切なケアを怠ると、トラブルにつながる可能性がありますので、医師の指示に従うことが大切です。
ダウンタイム中のメイクについて
多くの場合、施術翌日からメイクが可能です。ただし、治療部位を強くこすらないよう、優しくメイクすることが重要です。赤みが気になる場合は、カバー力のあるコンシーラーやファンデーションでカバーすることもできます。
8. アグネスと他のニキビ治療との比較
ニキビ治療にはさまざまな方法があります。アグネスと他の治療法を比較してみましょう。
保険診療(外用薬・内服薬)との比較
保険診療で処方される外用薬(アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌薬など)や内服薬(抗生物質、ビタミン剤、漢方薬など)は、ニキビ治療の基本です。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されており、多くの方に効果があります。
これらの薬剤は、毛穴の詰まりを改善したり、炎症を抑えたり、アクネ菌を減少させたりする効果がありますが、皮脂腺そのものを消失させる作用はありません。そのため、薬の使用を中止すると再発することがあります。また、効果を実感するまでに3ヶ月程度の継続使用が必要です。
アグネスは保険診療では改善が難しかった方や、薬を長期間使い続けることに抵抗がある方に適しています。
ケミカルピーリングとの比較
ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を皮膚に塗布して古い角質を除去し、毛穴の詰まりを改善する治療法です。毛穴の閉塞を解消することでニキビの予防・改善効果がありますが、皮脂腺には作用しないため、根本治療とはなりません。定期的な施術が必要です。
アグネスは皮脂腺を破壊するため、一度治療した毛穴からの再発を防げる点で優れています。
レーザー治療との比較
ニキビ治療に使用されるレーザーにはいくつかの種類があります。例えば、スムースビームなどのダイオードレーザーは、皮脂腺に熱ダメージを与えることでニキビを改善します。ただし、広範囲に照射するタイプが多く、アグネスのように一つひとつの毛穴を狙い撃ちする治療とは作用の仕方が異なります。
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)は、主にニキビ跡の治療に使用されます。皮膚を削ることで凹凸を改善しますが、ダウンタイムが長く、傷跡が残るリスクもあります。アグネスは皮膚表面を傷つけないため、傷跡リスクが低いのが特徴です。
光治療(IPL)との比較
IPL(Intense Pulsed Light)を用いた光治療は、アクネ菌を殺菌したり、炎症を抑えたりする効果があります。しかし、皮脂腺を破壊する作用はなく、症状の一時的な改善にとどまることが多いです。
イソトレチノイン内服との比較
イソトレチノイン(アキュテイン、ロアキュタンなど)は、重症ニキビに対して海外では広く使用されている内服薬です。皮脂分泌を強力に抑制する効果がありますが、日本では未承認であり、催奇形性(胎児への影響)をはじめとする重篤な副作用のリスクがあります。
アグネスは外用でも内服でもなく、物理的に皮脂腺を破壊する治療法であり、全身への副作用がない点が大きな違いです。
9. アグネス治療の回数と費用
治療回数の目安
アグネス治療で必要な回数は、ニキビの数や重症度、分布範囲によって異なります。一般的には、1〜2ヶ月おきに3〜5回程度の治療を行うことが推奨されています。
1回の治療でも効果を実感できることが多いですが、顔全体に多数のニキビがある場合は、1回で全てを治療することが難しいため、複数回に分けて行います。また、時間差で新たなニキビが出現することもあるため、繰り返し治療を行うことでより確実に改善を図ります。
治療間隔は、肌の回復状況を見ながら調整します。最短で1ヶ月間隔、症状によっては2〜3ヶ月間隔で行うこともあります。
費用について
アグネス治療は保険適用外の自由診療となります。そのため、費用は全額自己負担となり、クリニックによって料金設定が異なります。
料金体系は、「ニキビの個数」によって設定されている場合と、「治療部位・範囲」によって設定されている場合があります。一般的な目安として、1個あたり数千円程度、範囲での料金設定の場合は1回あたり数万円程度が相場です。
複数回の治療が必要になることを考慮し、回数プランやセット料金を用意しているクリニックもあります。詳しい料金については、各クリニックにお問い合わせください。
10. アグネス治療を受ける際の注意点
アグネス治療を安全に受け、効果を最大限に引き出すために、以下の点にご注意ください。
治療前の注意点
治療前1ヶ月間は、強い日差しを避け、日焼け止めを使用してください。日焼けした肌は、色素沈着のリスクが高まることがあります。
治療部位にニキビ治療薬(ディフェリン、デュアック、ベピオ、エピデュオなど)を使用している場合は、治療前後3日間は使用を控えてください。また、スクラブ洗顔や、グリコール酸・サリチル酸など酸を含むスキンケア製品も、治療前後3日間は使用を避けてください。
内服薬や外用薬を使用中の方、既往歴のある方は、事前に医師にお申し出ください。使用しているお薬によっては治療できない場合があります。
治療当日の注意点
治療当日は、可能であればノーメイクまたは薄めのメイクでご来院ください。クレンジングの時間を短縮でき、スムーズに治療に進むことができます。
施術後は、治療部位を強くこすらないよう注意してください。洗顔は可能ですが、優しく行いましょう。
治療後の注意点
治療後約1ヶ月間は、治療部位に刺激を与えず、保湿と紫外線対策を徹底してください。紫外線は色素沈着の原因となるため、日焼け止めの使用は必須です。
治療後しばらくは肌がデリケートな状態になっています。刺激の強いスキンケア製品の使用は控え、保湿を十分に行ってください。
異常な赤み、腫れ、痛みなどが現れた場合は、すぐにクリニックにご連絡ください。
11. 治療後のスキンケアと生活習慣
アグネス治療の効果を維持し、新たなニキビの発生を防ぐためには、日常的なスキンケアと生活習慣の改善も重要です。
スキンケアのポイント
洗顔は朝晩の1日2回を基本とし、よく泡立てた洗顔料で優しく洗いましょう。ゴシゴシこするのは厳禁です。洗いすぎもよくありません。過剰な洗顔は肌のバリア機能を低下させ、かえって皮脂分泌を促進してしまうことがあります。
洗顔後は、化粧水や保湿クリームでしっかり保湿してください。肌が乾燥すると、それを補おうとして皮脂分泌が増加し、ニキビの原因となることがあります。
紫外線対策は年間を通じて行いましょう。紫外線は肌のバリア機能を低下させ、ニキビの悪化や色素沈着の原因となります。日焼け止めは毎日使用することをおすすめします。
ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせにくい処方)と表示された化粧品を選ぶのも一つの方法です。
生活習慣の改善
バランスの良い食事を心がけましょう。ビタミンB群やビタミンCは皮脂分泌の調整や肌の健康維持に役立ちます。野菜や果物、良質なタンパク質を積極的に摂取しましょう。過度な糖質や脂質の摂取は、皮脂分泌を増加させる可能性があります。
十分な睡眠をとることも重要です。睡眠不足はホルモンバランスを乱し、肌のターンオーバーを妨げます。規則正しい生活リズムを心がけましょう。
ストレスはニキビの大敵です。ストレスホルモンの分泌は皮脂分泌を促進し、ニキビの悪化につながることが研究で明らかになっています。適度な運動やリラクゼーション、趣味の時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
顔を不必要に触らないことも大切です。手には雑菌がついていることが多く、頬杖をついたり顔をこすったりする癖は、ニキビを悪化させる原因となります。また、髪の毛が常に顔に触れている状態も避けましょう。
便秘はニキビの誘因となることがあります。食物繊維や水分を十分に摂取し、腸内環境を整えましょう。

12. まとめ
アグネス治療は、ニキビの根本原因である皮脂腺を高周波で破壊することで、同じ場所にニキビが繰り返すことを防ぐ画期的な治療法です。従来の内服薬や外用薬では改善が難しかったしつこいニキビに対して、根本からアプローチできる点が最大の特徴です。
治療したその毛穴からはニキビが再発しにくくなるため、長年ニキビに悩んできた方にとって、新たな希望となる治療といえるでしょう。ダウンタイムも比較的短く、日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を受けることができます。
ただし、アグネス治療は万能ではありません。ケロイド状のニキビ跡やクレーター状の瘢痕には効果がなく、適応外となる方もいます。また、新たな毛穴からニキビが発生する可能性はあるため、日常的なスキンケアや生活習慣の改善も合わせて行うことが大切です。
新宿エリアでアグネス治療をご検討の方は、まずは専門の医師によるカウンセリングを受け、ご自身の肌状態に適した治療法かどうかを確認されることをおすすめします。アイシークリニック新宿院では、皮膚科専門医が一人ひとりの症状に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
長年のニキビのお悩みを解決し、健やかな素肌を取り戻すために、アグネス治療という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
参考文献
- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023(日本皮膚科学会)
- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 – Mindsガイドラインライブラリ
- 研究・開発の窓|ヒト皮脂腺代替モデルを開発し、ニキビの発症や悪化のメカニズムを解明(東京薬科大学)
- 皮膚常在菌「アクネ菌」の研究(日本メナード化粧品株式会社)
- 尋常性ざ瘡 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
- 尋常性ざ瘡(にきび) – 済生会
- にきび(尋常性ざ瘡)|ひふ研|第一三共ヘルスケア
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務