冬になると「目がゴロゴロする」「目が疲れやすい」「コンタクトレンズがつらい」といった症状に悩まされる方が増えてきます。これらの症状は、冬特有の環境要因によって引き起こされる目の乾燥やドライアイが原因かもしれません。ドライアイは日本人の約2,200万人が罹患しているとされる非常に身近な疾患ですが、冬場は特に症状が悪化しやすい季節です。本記事では、冬に目の乾燥やドライアイが起こりやすくなる原因から、暖房による影響、日常生活で実践できる効果的な対策方法、市販の目薬の正しい選び方まで、眼科専門医の知見をもとに詳しく解説します。適切なケアを行うことで、つらい冬の目の乾燥を乗り越えましょう。

目次
- 📌 ドライアイとは?基本的な仕組みと症状
- 📌 冬に目の乾燥・ドライアイが悪化する原因
- 📌 暖房使用時の目の乾燥対策
- 📌 日常生活でできるドライアイ予防法
- 📌 冬におすすめの目薬の選び方と使い方
- 📌 コンタクトレンズユーザーの冬場の注意点
- 📌 食事と栄養によるドライアイ対策
- 📌 眼科を受診すべき症状と治療法
- 📌 よくある質問
- 📌 参考文献
🎯 ドライアイとは?基本的な仕組みと症状
この章では、ドライアイの正確な定義と基本的なメカニズム、そして見逃しがちな症状まで詳しく解説します。
ドライアイは、涙の量が不足したり、涙の質が低下したりすることによって、目の表面に障害が生じる疾患です。日本眼科学会の定義によると、ドライアイは「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」とされています。
🔍 涙の構造と役割
涙は単なる水分ではなく、3層構造を持つ精巧な液体です。最も外側には油層(脂質層)があり、涙の蒸発を防ぐ役割を果たしています。中間には水層(液層)があり、涙の大部分を占め、目に栄養や酸素を供給します。最も内側にはムチン層があり、涙を目の表面に均一に広げる働きをしています。これらの層のバランスが崩れることで、ドライアイが発症します。
涙には目を保護する重要な役割があります。まず、📌 目の表面を潤して乾燥から守ります。また、📌 細菌やウイルスから目を守る抗菌作用も持っています。さらに、📌 角膜に酸素や栄養を供給し、目の健康を維持しています。そして、📌 目に入った異物を洗い流す洗浄作用もあります。
💧 ドライアイの主な症状
ドライアイの症状は多岐にわたります。代表的な症状として、🔸 目が乾く感覚、🔸 目がゴロゴロする異物感、🔸 目の痛みやヒリヒリ感、🔸 目の疲れ(眼精疲労)、🔸 目のかすみ、🔸 まぶしさを感じる、🔸 目が赤くなる充血、🔸 涙が出る(反射性流涙)などがあります。
意外に思われるかもしれませんが、ドライアイで「涙が出る」という症状が起こることがあります。これは、目の乾燥によって刺激を受けた神経が反射的に涙を分泌させるためです。しかし、この反射性の涙は本来の涙とは成分が異なり、目を十分に保護する機能を持っていません。
🦠 ドライアイのタイプ
ドライアイは大きく分けて2つのタイプがあります。1つ目は涙液減少型で、涙の分泌量そのものが減少するタイプです。加齢やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患、一部の薬剤の副作用などが原因となります。2つ目は蒸発亢進型で、涙の蒸発が過剰になるタイプです。マイボーム腺機能不全(MGD)による油層の異常、まばたきの減少、環境要因などが原因となります。現在、日本人のドライアイ患者の多くは蒸発亢進型であり、特に冬場はこのタイプの症状が悪化しやすくなります。
❄️ 冬に目の乾燥・ドライアイが悪化する原因
この章では、なぜ冬になるとドライアイが悪化するのか、その具体的なメカニズムを科学的データとともに解説します。
冬場にドライアイが悪化する原因は複数あり、これらが複合的に作用することで症状が顕著になります。それぞれの原因を理解することで、効果的な対策を立てることができます。
🌬️ 空気の乾燥
冬は気温が下がることで空気中に含まれる水蒸気量が減少し、相対湿度も低下します。日本の冬の平均湿度は50%前後まで下がることがあり、これは目にとって非常に乾燥した環境です。特に晴れた日や風の強い日は湿度がさらに低下し、目の表面からの涙の蒸発が促進されます。
気象庁のデータによると、東京の1月の平均相対湿度は約52%で、7月の約77%と比較すると大幅に低くなっています。この25%以上の湿度差が、冬場のドライアイ症状悪化の大きな要因となっています。
🔥 暖房による室内環境の変化
冬場は暖房を使用する機会が増えますが、これが室内の乾燥をさらに悪化させます。エアコン暖房を使用すると、室温が上がる一方で相対湿度は急激に低下します。例えば、外気温5℃、湿度60%の空気を室内で20℃に暖めると、相対湿度は約20%まで低下することがあります。
暖房器具の種類によっても影響は異なります。🔸 エアコンは温風を直接吹き出すため、顔や目に風が当たると涙の蒸発がさらに促進されます。🔸 電気ストーブやハロゲンヒーターなどの輻射熱を利用する暖房器具は、直接風を出さないものの、やはり室内を乾燥させます。🔸 石油ストーブやガスファンヒーターは燃焼時に水蒸気を発生させるため、相対的に乾燥しにくいとされていますが、換気のために窓を開けると再び乾燥が進みます。
👀 まばたきの減少
冬は室内で過ごす時間が増え、パソコンやスマートフォン、テレビなどのデジタルデバイスを使用する時間も長くなりがちです。これらの画面を見ている間、まばたきの回数は通常の約3分の1にまで減少することが研究で明らかになっています。通常、人は1分間に約20回まばたきをしますが、画面を見ているときは5〜7回程度まで減少します。
まばたきは涙を目の表面全体に均一に広げる重要な役割を担っています。まばたきの回数が減ると、涙の分布が不均一になり、目の表面が乾燥しやすくなります。また、まばたきの質も低下し、完全にまぶたを閉じない不完全なまばたきが増えることで、目の下部が特に乾燥しやすくなります。
☀️ 紫外線による影響
冬でも紫外線は目に影響を与えます。特に雪の降る地域では、雪面からの反射によって紫外線量が増加し、目にダメージを与えることがあります。これは「雪目」とも呼ばれる状態を引き起こし、角膜の表面が傷つくことでドライアイの症状を悪化させることがあります。また、冬は太陽の位置が低いため、夏よりも直接目に入る紫外線量が多くなることがあります。
💊 風邪薬や花粉症の薬の影響
冬は風邪やインフルエンザが流行する季節です。これらの治療に使用される抗ヒスタミン薬や総合感冒薬には、涙の分泌を減少させる副作用があるものがあります。また、早春の花粉症に備えて抗アレルギー薬を服用し始める方もいますが、これらの薬も同様に涙の分泌に影響を与えることがあります。関連記事:喉の乾燥・イガイガを解消!原因と今すぐできる対策方法を徹底解説では、同じく冬の乾燥による症状について詳しく解説しています。

🏠 暖房使用時の目の乾燥対策
この章では、暖房を使いながらでも目の乾燥を効果的に防ぐ具体的な方法をご紹介します。
暖房を使用しながらも目の乾燥を防ぐためには、室内環境を適切に整えることが重要です。以下に具体的な対策方法を紹介します。
💧 適切な湿度を保つ
室内の適切な湿度は50〜60%とされています。この湿度を維持するために、加湿器の使用が最も効果的です。加湿器には🔸 超音波式、🔸 スチーム式、🔸 気化式、🔸 ハイブリッド式など様々なタイプがありますが、それぞれに特徴があります。超音波式は電気代が安く静音性に優れていますが、加湿器内のこまめな清掃が必要です。スチーム式は加熱殺菌されるため衛生的ですが、電気代がやや高くなります。気化式は電気代が安く安全性が高いですが、加湿能力はやや劣ります。
加湿器がない場合は、📌 濡れたタオルを室内に干したり、📌 洗濯物を室内干ししたり、📌 観葉植物を置いたりすることでも湿度を上げることができます。植物は葉から水分を蒸散させるため、自然な加湿効果があります。
湿度計を設置して室内の湿度を確認する習慣をつけることをおすすめします。湿度が40%を下回ると目の乾燥が顕著になり、30%を下回るとウイルスの活動も活発になるため、風邪予防の観点からも適切な湿度管理は重要です。
🌪️ エアコンの風を直接受けない
エアコンの温風が直接顔に当たると、涙の蒸発が急速に進みます。座席の位置を調整したり、風向きを変えたりして、エアコンの風が直接目に当たらないようにしましょう。オフィスなど自分で調整が難しい環境では、デスクの位置を変えることを検討したり、パーテーションを利用して風を遮ることも有効です。
自動車の暖房も同様です。車内のエアコン吹き出し口の向きを調整し、顔に直接風が当たらないようにしましょう。また、長時間のドライブ時は適度に換気を行い、外気を取り入れることで、過度な乾燥を防ぐことができます。
🌡️ 暖房温度の適正化
暖房の設定温度が高いほど室内は乾燥しやすくなります。環境省が推奨する冬の室温は20℃程度であり、これは目の健康にとっても適切な温度です。設定温度を1〜2℃下げるだけでも、相対湿度の低下を軽減することができます。寒さを感じる場合は、暖房の温度を上げるよりも、衣類を1枚多く羽織ったり、ひざ掛けを使用したりすることをおすすめします。
✨ 加湿器以外の対策
加湿器が使用できない環境では、📌 デスク周りに小型の卓上加湿器を置いたり、📌 コップに水を入れてデスクに置いたりするだけでも、局所的な湿度を上げる効果があります。また、📌 マスクを着用することで、呼気による保湿効果が得られ、顔周りの湿度を保つことができます。これは風邪予防にもなるため、冬場は一石二鳥の対策といえます。関連記事:鼻の中が乾燥して痛い原因と対処法|ドライノーズの症状・治療を解説でも、冬の乾燥による症状と対策について詳しく解説しています。
📋 日常生活でできるドライアイ予防法
この章では、毎日の生活の中で簡単に実践できる効果的なドライアイ予防法をご紹介します。
環境対策に加えて、日常生活の中で意識的に行える予防法を実践することで、冬のドライアイ症状をさらに軽減することができます。
👁️ 意識的なまばたきの実践
パソコン作業やスマートフォン操作中は、意識的にまばたきをする習慣をつけましょう。「20-20-20ルール」という方法が推奨されています。これは、20分ごとに、20フィート(約6メートル)以上離れた場所を、20秒間見るというものです。この際、ゆっくりと数回まばたきをすることで、涙を目全体に行き渡らせることができます。
また、まばたきの「質」を意識することも重要です。不完全なまばたき(まぶたが完全に閉じない状態)では、涙が目全体に広がりません。意識的にしっかりとまぶたを閉じるまばたきを心がけることで、涙の分布を改善することができます。
📱 画面との適切な距離と角度
パソコンやスマートフォンの画面は、目から40〜70cm程度離して使用することが推奨されています。また、画面の位置は目線よりもやや下に設定すると、まぶたの開きが小さくなり、涙の蒸発を抑えることができます。モニターの上端が目の高さとほぼ同じか、やや下になるように調整しましょう。
画面の明るさも重要です。画面が明るすぎると目が疲れやすくなり、ドライアイの症状を悪化させることがあります。周囲の明るさに合わせて画面の明るさを調整し、まぶしすぎない設定にしましょう。また、ブルーライトカット機能やダークモードの活用も目の負担軽減に効果的です。
⏰ 定期的な休憩の重要性
長時間のデジタルデバイス使用は、まばたきの減少だけでなく、目の筋肉の疲労も引き起こします。1時間に10〜15分程度の休憩を取り、目を休ませることが大切です。休憩中は遠くの景色を眺めたり、目を閉じて休ませたりしましょう。窓際に移動して外の景色を見ることで、目の焦点調節機能をリセットすることもできます。
😴 十分な睡眠の確保
睡眠中は目を閉じているため、涙の蒸発が抑えられ、目が休息と回復の時間を得ることができます。成人の場合、7〜8時間の睡眠が推奨されています。睡眠不足は目の疲れを蓄積させ、ドライアイの症状を悪化させる原因となります。また、睡眠の質も重要です。寝る前のスマートフォン使用は、ブルーライトの影響で睡眠の質を低下させるだけでなく、就寝直前まで目を酷使することになるため、避けることをおすすめします。
🔥 蒸しタオルによるアイケア
まぶたを温めることで、マイボーム腺から分泌される油分(脂質)の流れが改善され、涙の油層を強化することができます。清潔なタオルを濡らして電子レンジで30秒〜1分程度温め、適度な温度(40℃程度)になったら、閉じた目の上に5〜10分間のせます。これを1日1〜2回行うことで、マイボーム腺の機能改善が期待できます。
市販のホットアイマスクを使用するのも便利です。使い捨てタイプや繰り返し使用できる電子レンジ対応タイプなど、様々な製品があります。温度が均一で安定しているため、手軽にアイケアを行うことができます。
🧼 まぶたの清潔を保つ
まぶたの縁には、涙の油層を作り出すマイボーム腺があります。この腺の出口が皮脂や化粧品の残りなどで詰まると、油分の分泌が低下し、涙の蒸発が進みやすくなります。毎日の洗顔時に、まぶたの縁も優しく清潔に保つことが大切です。綿棒に少量のベビーシャンプーや専用のリッドクリーナーをつけて、まぶたの縁を優しくなでるように清掃する方法も効果的です。
💊 冬におすすめの目薬の選び方と使い方
この章では、市販目薬の正しい選択方法と効果を最大化する使い方のコツをお教えします。
市販の目薬はドライアイの症状緩和に有効ですが、正しく選び、適切に使用することが重要です。
🔸 ドライアイ向け目薬の種類
市販のドライアイ向け目薬は、大きく分けて人工涙液タイプと成分配合タイプがあります。人工涙液タイプは、涙に近い成分で構成されており、不足している涙を補充する働きがあります。塩化ナトリウムや塩化カリウムを主成分とし、涙の浸透圧に近づけた製品が多くあります。防腐剤フリーの製品も多く、1日に何度でも使用できるものがほとんどです。
成分配合タイプには、📌 ヒアルロン酸ナトリウム、📌 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、📌 ビタミンA、📌 ビタミンB12などが配合されています。ヒアルロン酸ナトリウムは保水性が高く、目の表面に潤いの膜を形成します。コンドロイチンは角膜を保護する作用があります。ビタミンAは角膜の代謝を促進し、ビタミンB12は目の疲れを緩和する効果があります。
⚠️ 防腐剤の有無について
多くの目薬には、開封後の細菌繁殖を防ぐために防腐剤(ベンザルコニウム塩化物など)が含まれています。しかし、この防腐剤は頻回使用すると角膜に悪影響を与える可能性があります。1日に4回以上目薬を使用する場合や、コンタクトレンズ装用者は、防腐剤フリーの製品を選ぶことをおすすめします。
防腐剤フリーの目薬は、使い切りタイプ(ユニットドーズ)と、特殊な容器構造で防腐剤を使わずに衛生を保つタイプがあります。使い切りタイプは1回分ずつ小分けされており、衛生的で持ち運びにも便利です。
💡 目薬の正しいさし方
目薬の効果を最大限に引き出すためには、正しい使用方法を守ることが重要です。まず、✅ 手を石鹸で洗い、清潔な状態にします。次に、✅ 頭を軽く後ろに傾け、下まぶたを軽く引き下げて袋状のスペースを作ります。✅ 目薬の容器の先端がまつげや目に触れないように注意しながら、1滴を確実に目に入れます。✅ 点眼後は目を静かに閉じ、目頭を軽く押さえながら1〜2分間そのままの状態を保ちます。これにより、目薬が鼻涙管を通って流れ出るのを防ぎ、目の表面に十分な時間留まることができます。
目薬の使用量は1回1滴で十分です。目が吸収できる量には限界があり、2滴以上さしても効果は変わりません。むしろ余分な液が目からあふれ出て、まぶたの皮膚に刺激を与える可能性があります。
📝 目薬の使用頻度と注意点
市販の目薬の使用頻度は、製品の説明書に従うことが基本です。一般的に、人工涙液タイプは必要に応じて何度でも使用できますが、成分配合タイプは1日3〜6回程度の使用が推奨されています。
目薬を使用しても症状が改善しない場合や、使用後に目の充血や痛み、かゆみなどが悪化する場合は、使用を中止して眼科を受診してください。また、開封後は説明書に記載された使用期限を守り、期限を過ぎた目薬は使用しないでください。一般的に、開封後1ヶ月以内の使用が推奨されています。
👓 コンタクトレンズユーザーの冬場の注意点
この章では、コンタクトレンズ装用者特有のドライアイリスクと効果的な対策方法を解説します。
コンタクトレンズ装用者は、裸眼の方よりもドライアイのリスクが高く、冬場は特に注意が必要です。
👁️ コンタクトレンズとドライアイの関係
コンタクトレンズは目の表面の涙の層を分断し、涙の循環を妨げます。また、レンズ自体が涙の水分を吸収するため、目の乾燥を促進します。さらに、コンタクトレンズの装用は角膜の感覚を低下させ、涙の分泌反射を鈍らせることがあります。これらの要因により、コンタクトレンズ装用者はドライアイを発症しやすく、冬場の乾燥した環境では症状がさらに悪化しやすくなります。
🔍 レンズの選び方
冬場のドライアイ対策として、コンタクトレンズの種類を見直すことも有効です。一般的に、含水率の低いレンズ(低含水レンズ)は、レンズからの水分蒸発が少なく、乾燥した環境でも比較的装用感が維持されます。一方、含水率の高いレンズ(高含水レンズ)は、装用初期の潤い感は良いものの、時間が経つにつれてレンズが涙の水分を奪い、乾燥感が強くなることがあります。
また、シリコーンハイドロゲル素材のレンズは、酸素透過性が高く、角膜の健康を維持しやすいとされています。ただし、個人の目の状態やライフスタイルによって最適なレンズは異なるため、眼科医や視能訓練士に相談して選ぶことをおすすめします。
⏲️ 装用時間の調整
冬場は装用時間を通常より短くすることを検討してください。特に、暖房の効いた乾燥した室内に長時間いる場合は、目への負担が大きくなります。可能であれば、帰宅後すぐにコンタクトレンズを外し、メガネに切り替えることで目を休ませましょう。1日の装用時間は12時間以内に抑えることが推奨されています。
💧 コンタクトレンズ用の目薬
コンタクトレンズ装用中に目が乾いた場合は、コンタクトレンズ用として販売されている目薬を使用してください。一般的な目薬には、コンタクトレンズの素材に影響を与えたり、レンズに吸着したりする成分が含まれている場合があります。「コンタクトレンズの上から使える」と明記された製品を選びましょう。
また、人工涙液タイプの目薬は、コンタクトレンズ装用時の潤いを補充するのに適しています。装用前にレンズを目薬で濡らしてから装用すると、初期の装用感が改善されることもあります。
🧼 レンズケアの重要性
清潔なコンタクトレンズを使用することは、目の健康を維持する基本です。2週間使い捨てや1ヶ月使い捨てのレンズを使用している場合は、毎日のこすり洗いと消毒を確実に行いましょう。レンズに汚れが蓄積すると、涙の広がりが悪くなり、乾燥感が増すことがあります。また、レンズケースも2〜3ヶ月ごとに新しいものに交換することをおすすめします。
🍽️ 食事と栄養によるドライアイ対策
この章では、体の内側から目をサポートする栄養素と効果的な摂取方法をご紹介します。
目の健康は、日々の食事からも大きな影響を受けます。ドライアイ対策に効果的な栄養素を意識的に摂取することで、体の内側からも目をケアすることができます。
🐟 オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、涙の油層を構成する成分の原料となり、涙の蒸発を防ぐ効果があります。また、抗炎症作用もあり、目の炎症を抑えてドライアイの症状を緩和する可能性が示唆されています。オメガ3脂肪酸は、🔸 青魚(サバ、イワシ、サンマ、アジなど)、🔸 亜麻仁油、🔸 エゴマ油、🔸 くるみなどに多く含まれています。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準では、n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)の摂取目安量は成人男性で2.0〜2.2g、成人女性で1.6〜2.0gとされています。週に2〜3回、青魚を食べることでこの目安量を達成しやすくなります。
🥕 ビタミンA
ビタミンAは、涙の粘液層(ムチン層)を作り出す杯細胞の機能を維持するために必要な栄養素です。ビタミンAが不足すると、目の表面が乾燥しやすくなり、角膜に傷がつきやすくなります。ビタミンAは、📌 レバー、📌 うなぎ、📌 卵黄、📌 緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)に多く含まれています。
緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換されます。油と一緒に調理することで吸収率が高まるため、炒め物やドレッシングをかけたサラダなどで摂取すると効果的です。
💊 ビタミンB群
ビタミンB群は、目の粘膜の健康維持や視神経の働きをサポートする役割があります。特にビタミンB2は細胞の代謝を促進し、ビタミンB6は神経の働きを正常に保ちます。ビタミンB12は視神経の機能維持に関与しています。これらは、🔸 肉類、🔸 魚介類、🔸 卵、🔸 乳製品、🔸 大豆製品などに含まれています。
🍊 ビタミンC・E
ビタミンCとビタミンEは抗酸化作用を持ち、目の組織を酸化ストレスから守る働きがあります。ビタミンCは涙に含まれており、目の表面の保護に関与しています。柑橘類、キウイ、イチゴ、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれています。ビタミンEはナッツ類、植物油、アボカドなどに含まれています。
💧 水分摂取の重要性
適切な水分摂取は、全身の健康維持だけでなく、涙の産生にも重要です。体が脱水状態になると、涙の分泌量も減少する可能性があります。1日に1.5〜2リットル程度の水分を、こまめに摂取することを心がけましょう。
ただし、カフェインを含む飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)やアルコールは利尿作用があり、体内の水分を減少させる可能性があるため、摂取量に注意が必要です。これらの飲料を摂取した際は、同量以上の水も一緒に飲むことをおすすめします。関連記事:冬の脱水症状は高齢者に多い?原因・症状・予防法を詳しく解説では、冬の水分不足について詳しく解説しています。
🏥 眼科を受診すべき症状と治療法
この章では、セルフケアの限界を見極め、専門医による治療が必要な症状と最新の治療法について解説します。
セルフケアで症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、眼科を受診することが重要です。ドライアイは放置すると角膜に傷がつき、視力低下につながることもあります。
🚨 眼科受診が必要な症状
以下のような症状がある場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。⚡ 市販の目薬を1〜2週間使用しても症状が改善しない場合、⚡ 目の痛みが強い場合、⚡ 視力の低下を感じる場合、⚡ 目やにが多い場合、⚡ 目の充血がひどい場合、⚡ 光がまぶしく感じる(羞明)場合、⚡ 目を開けているのがつらい場合などは、専門医による診察が必要です。
⚠️ 重要な注意点!
これらの症状は、単純なドライアイだけでなく、他の眼疾患(角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎など)の可能性もあるため、適切な診断を受けることが重要です。
🔍 眼科でのドライアイ検査
眼科では、ドライアイを診断するために様々な検査が行われます。📌 シルマー試験は、下まぶたに専用の濾紙を挟み、5分間で何ミリメートル涙が染み込むかを測定する検査です。📌 涙液層破壊時間(BUT)検査は、まばたき後に涙の膜が壊れるまでの時間を測定します。📌 フルオレセイン染色検査は、蛍光色素を使って角膜や結膜の傷を調べます。これらの検査により、ドライアイの有無と程度、タイプを診断することができます。
💊 眼科での治療法
眼科では、症状の程度や原因に応じて様々な治療が行われます。点眼治療として、人工涙液の処方のほか、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液やジクアホソルナトリウム点眼液(ムコスタ点眼液やジクアス点眼液)など、医療用の点眼薬が処方されます。ジクアホソルナトリウムは涙のムチンと水分の分泌を促進し、レバミピドは角結膜の粘膜を修復する効果があります。
涙点プラグ治療は、涙の排出口である涙点に小さなプラグを挿入し、涙が鼻側へ流れ出るのを防ぐことで、目の表面に涙を長く留まらせる治療法です。比較的簡単な処置で、外来で行うことができます。
マイボーム腺機能不全が原因の場合は、温罨法(まぶたを温める治療)やマイボーム腺圧出、IPL(Intense Pulsed Light)治療などが行われることもあります。
🦠 ドライアイと他の疾患との関連
ドライアイは、全身疾患と関連していることがあります。シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺などの外分泌腺が自己免疫により障害される疾患で、重度のドライアイとドライマウスを引き起こします。関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの他の自己免疫疾患でもドライアイが合併することがあります。また、糖尿病や甲状腺疾患なども涙の分泌に影響を与えることがあります。ドライアイの症状が重い場合や、口の乾燥など他の症状も伴う場合は、これらの疾患の可能性も考慮して検査を受けることが重要です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「冬場の診療では、ドライアイと他の冬特有の症状(肩こり、頭痛、冷え性など)を併発される患者さんが多く見られます。特に暖房による乾燥が原因となることが多いため、環境改善のアドバイスも含めた総合的な治療を心がけています。」
❓ よくある質問
冬は気温低下に伴い空気中の水蒸気量が減少し、相対湿度が低下します。さらに暖房使用により室内の湿度も大幅に低下するため、涙の蒸発が促進されます。また、室内で過ごす時間が増えることでデジタルデバイスの使用時間が長くなり、まばたきの回数が減少することも目の乾燥を悪化させる要因となります。
ドライアイ対策の目薬は、人工涙液タイプと成分配合タイプがあります。頻繁に使用する場合は防腐剤フリーの製品を選ぶことをおすすめします。ヒアルロン酸ナトリウム配合の製品は保水性が高く効果的です。コンタクトレンズ装用中は必ずコンタクトレンズ対応と明記された製品を使用してください。
加湿器を使用して室内の湿度を50〜60%程度に保つことが最も効果的です。エアコンの風が直接顔に当たらないよう風向きを調整し、設定温度は20℃程度に抑えましょう。加湿器がない場合は、濡れタオルを干したり、観葉植物を置いたりすることでも湿度を上げることができます。
装用時間を通常より短くし、1日12時間以内に抑えることをおすすめします。含水率の低いレンズやシリコーンハイドロゲル素材のレンズへの変更も検討してください。コンタクトレンズ用の目薬をこまめに使用し、帰宅後は早めにメガネに切り替えて目を休ませましょう。
オメガ3脂肪酸を含む青魚(サバ、イワシ、サンマなど)は涙の油層を強化し、蒸発を防ぐ効果があります。ビタミンAを含む緑黄色野菜やレバー、ビタミンB群を含む肉類や大豆製品、抗酸化作用のあるビタミンC・Eを含む果物やナッツ類もおすすめです。また、十分な水分摂取も重要です。
蒸しタオルによるアイケアは効果的です。まぶたを温めることでマイボーム腺から分泌される油分の流れが改善され、涙の蒸発を防ぐ油層が強化されます。清潔なタオルを40℃程度に温め、閉じた目の上に5〜10分間のせることを1日1〜2回行うと良いでしょう。市販のホットアイマスクも便利です。
市販の目薬を1〜2週間使用しても改善しない場合、目の痛みが強い場合、視力低下を感じる場合、目やにが多い場合、充血がひどい場合、光がまぶしく感じる場合は眼科受診をおすすめします。これらはドライアイ以外の眼疾患の可能性もあるため、専門医による診断が重要です。
📚 参考文献
- 📌 日本眼科学会 – ドライアイ
- 📌 参天製薬 – ドライアイの症状・原因と予防
- 📌 厚生労働省 – 日本人の食事摂取基準
- 📌 気象庁 – 過去の気象データ
- 📌 日本眼科紀要 – ドライアイの診断と治療
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
