
👂 耳の付け根にしこりがあって、押すと痛い… そんな症状で不安になっていませんか?
実は、耳の周辺はリンパ節が集中しているエリアで、しこりができやすい場所のひとつ。多くは良性ですが、なかには早めに受診が必要なケースも含まれています。
💬 こんな悩みを抱えていませんか?
- 📌 しこりが気になるけど病院に行くべきか迷っている
- 📌 何科に行けばいいかわからない
- 📌 放置してもいいのか、それとも危険なのか不安…
✅ この記事を読むとわかること
- 🔸 しこりの原因(リンパ節炎・粉瘤など)を症状から見分ける方法
- 🔸 自宅でできるセルフチェックのポイント
- 🔸 「今すぐ受診すべき」危険なサインの見極め方
- 🔸 何科に行けばいいか・治療の流れ
🚨 読まないとこんなリスクが…
「様子見でいいか…」と放置していると、炎症が悪化したり、まれに悪性疾患の発見が遅れるケースも。正しい知識で、必要なら早めに動くことが大切です。
目次
- 耳の付け根にしこりができる仕組み
- 押すと痛いしこりの主な原因一覧
- リンパ節の腫れ(リンパ節炎)
- 粉瘤(アテローム)
- 耳下腺の疾患
- 脂肪腫
- 皮膚炎・毛包炎
- 耳の後ろのしこりとの違い
- しこりの位置・特徴から原因を推測する方法
- 自宅でできるセルフチェックのポイント
- 受診が必要なサイン・緊急性の高い症状
- 何科を受診すればよいか
- 診察・検査の流れ
- 治療法の種類と選択肢
- 日常生活での注意点と予防策
- まとめ
この記事のポイント
耳の付け根の痛みを伴うしこりは、リンパ節炎や粉瘤の炎症が主な原因で、多くは適切な治療で改善できる。急速な増大・高熱・顔面麻痺がある場合は速やかに耳鼻咽喉科や皮膚科を受診すべきだ。
💡 耳の付け根にしこりができる仕組み
耳の付け根は、医学的には「耳介基部」や「耳前部・耳後部」などと呼ばれる領域で、皮膚・皮下組織・軟骨・筋肉・神経・血管・リンパ節など多くの構造が密集しています。特に注目すべきなのは、耳周辺に多数存在するリンパ節です。
リンパ節は体内の免疫を担う重要な器官で、細菌やウイルスなどの異物が侵入したときに反応して腫れることがあります。耳の前側(耳前リンパ節)・耳の後ろ側(耳後リンパ節)・顎下・首などに散在しており、のどや口腔、頭皮などに炎症が起きると反応しやすい部位です。
また、皮膚の毛穴や皮脂腺が詰まってしこりを形成したり、皮下に脂肪組織が異常増殖したりすることでも、しこりができます。耳の周囲は比較的皮膚が薄く、皮脂腺の多い部位でもあるため、さまざまな皮膚トラブルが起きやすいとも言えます。
さらに、耳下腺(唾液腺の一種)が耳の前から顎角にかけて広がっているため、耳下腺自体に問題が起きたときにも、耳の付け根付近に腫れやしこりとして感じられることがあります。
Q. 耳の付け根にしこりができる主な原因は何ですか?
耳の付け根のしこりは、リンパ節炎・粉瘤(アテローム)・耳下腺炎・脂肪腫・毛包炎などが主な原因です。耳周辺にはリンパ節が多数集まっており、風邪や扁桃炎などの感染症をきっかけにリンパ節が腫れることが最も頻度の高い原因とされています。
📌 押すと痛いしこりの主な原因一覧
耳の付け根にしこりができて、押すと痛みがある場合に考えられる主な原因をまず一覧でご紹介します。その後、各原因について詳しく説明します。
- リンパ節炎(細菌・ウイルス感染による炎症)
- 粉瘤(アテローム、毛包嚢腫)
- 耳下腺炎(おたふく風邪を含む)
- 脂肪腫
- 毛包炎・皮膚炎
- 外耳炎の波及
- 悪性リンパ腫や転移性リンパ節(まれ)
「押すと痛い」という症状があるしこりは、炎症や感染を伴っている可能性が高い傾向にあります。無痛のしこりと有痛のしこりでは、背景にある原因が異なる場合も多いため、痛みの有無は診断を絞り込む上で重要な情報になります。
✨ リンパ節の腫れ(リンパ節炎)
耳の付け根のしこりで最も頻度が高いと考えられるのがリンパ節の腫れです。特に炎症を伴うリンパ節炎では、しこりが触れると痛みを感じることが多く、皮膚が赤くなったり熱感を持ったりすることもあります。
原因としては、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染、扁桃炎、外耳炎、虫歯・歯周病、口内炎など、頭頸部(頭から首にかけての領域)のさまざまな感染症や炎症が挙げられます。また、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)による伝染性単核球症では、耳周辺を含む全身のリンパ節が腫れることが知られています。
リンパ節炎によるしこりの特徴は、数日から数週間で原因となった感染症が治まるとともに縮小・消失することが多いという点です。ただし、しこりがなかなか小さくならない場合や、発熱・全身倦怠感・体重減少などを伴う場合は、他の疾患を疑う必要があります。
細菌感染が強い場合はリンパ節が化膿して膿瘍(のうよう)を形成することもあります。この状態になると痛みはかなり強くなり、早急な抗生剤治療や場合によっては外科的な処置が必要となります。
🔍 粉瘤(アテローム)
粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の毛穴が詰まって皮膚の一部が袋状になり、その中に垢(角質)や皮脂が蓄積した良性の嚢腫です。「アテローム」や「表皮嚢腫」とも呼ばれます。耳の周囲はこの粉瘤ができやすい部位の一つとして知られており、耳の付け根・耳たぶ・耳の後ろなどによく見られます。
通常の粉瘤は無症状で、触れても痛みがない丸いしこりとして感じられます。しかし、何らかのきっかけで細菌感染を起こすと「炎症性粉瘤」となり、急激に赤く腫れあがって押すと強い痛みを生じます。この状態になると、周囲の組織も含めて炎症が広がることがあり、自然に膿が出ることもあります。
粉瘤の表面を観察すると、中央に黒い点(毛穴のつまった部分)が見えることがあります。これが粉瘤を他のしこりと区別するポイントの一つです。また、絞ると白くてクリーム状の内容物が出てくることがありますが、自己処置は感染を悪化させたり傷跡が残ったりするリスクがあるため、医療機関での処置を受けることが推奨されます。
粉瘤は自然に消えることはなく、根本的な治療は手術による摘出です。炎症が起きている状態では摘出が難しくなるため、炎症がある場合はまず抗生剤の内服や切開排膿処置で炎症を鎮めてから、改めて摘出手術を行うのが一般的な流れです。
Q. 耳の付け根のしこりで押すと痛い場合はどんな状態ですか?
押すと痛みがあるしこりは、炎症や感染を伴っている可能性が高い傾向にあります。代表例はリンパ節炎や炎症性粉瘤で、皮膚が赤くなったり熱感を持つこともあります。一方、痛みのないしこりは脂肪腫や通常の粉瘤に多く、痛みの有無は原因を絞り込む重要な判断材料となります。
💪 耳下腺の疾患
耳下腺は耳の前から顎角にかけて位置する唾液腺で、耳の付け根付近にしこりや腫れを生じる原因となることがあります。耳下腺に関連する主な疾患には以下があります。
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによる感染症で、耳下腺が腫れて痛みを生じます。子どもに多い疾患ですが、成人でも罹患します。耳の付け根から顎にかけてが腫れ、押すと痛みがあり、発熱を伴うことが多いです。多くの場合は両側性ですが、片側だけ腫れることもあります。
細菌性耳下腺炎は、口腔内の細菌が耳下腺に感染して起こる炎症です。高齢者や口腔乾燥症(ドライマウス)の方、全身状態が低下している方に多く見られます。一側性の腫れと強い痛みが特徴で、口を開けるときや食事のときに痛みが増すことがあります。
耳下腺腫瘍は、耳下腺に生じる腫瘍で、良性(多形腺腫、ワルチン腫瘍など)と悪性(耳下腺癌)があります。悪性の場合は周囲に広がるにつれて痛みや顔面神経麻痺が起きることがあります。耳の付け根付近に硬めのしこりを感じたら、腫瘍の可能性を念頭に置いて医療機関を受診することが重要です。
🎯 脂肪腫
脂肪腫は、皮下の脂肪組織が過剰に増殖してできた良性の腫瘤です。体のどの部位にも発生する可能性がありますが、耳の周囲にも見られることがあります。一般的には柔らかくて弾力があり、境界が明瞭なしこりとして触れます。
通常の脂肪腫は痛みを伴わないことが多いですが、神経に近い部位に発生した場合や、炎症を起こした場合には押すと痛みを感じることがあります。また、急速に大きくなる場合や硬さが増してきた場合は、悪性の腫瘍(脂肪肉腫など)との鑑別が必要になることもあります。
脂肪腫そのものは悪性化するリスクが低く、経過観察で問題ないケースも多いですが、気になる場合や大きくなってきた場合は、適切な医療機関での評価を受けることをお勧めします。
💡 皮膚炎・毛包炎
耳の付け根の皮膚表面に近いしこりとして感じられるものには、毛包炎や皮膚炎による腫れも含まれます。毛包炎は毛穴(毛包)に細菌が感染して起こる炎症で、小さな赤いしこりとして現れ、触れると痛みがあります。アクネ菌(ニキビの原因菌)やブドウ球菌などが主な原因菌です。
耳の付け根はメガネのフレームや帽子のゴムなどが当たりやすい部位でもあり、摩擦や圧迫によって皮膚が刺激されてニキビや毛包炎が生じやすい環境にあります。また、汗をかきやすい部位でもあり、蒸れや不衛生な状態が毛包炎の発生を促すことがあります。
接触性皮膚炎(かぶれ)も、耳の付け根周囲に炎症性の腫れや痛みを引き起こすことがあります。イヤリングやピアスの金属成分によるアレルギー反応(金属アレルギー)、耳鼻科で使う点耳薬や耳かきの刺激なども原因になり得ます。
📌 耳の後ろのしこりとの違い
「耳の付け根」と一口に言っても、しこりの位置が耳の前側なのか後ろ側なのかによって、考えられる原因に違いがあります。
耳の前側(耳珠・耳垂の前方)のしこりは、耳前リンパ節・耳下腺・顎関節周囲の問題を反映していることが多いです。特に耳下腺はこの領域にあるため、耳下腺炎やおたふく風邪では耳の前から顎にかけて広く腫れます。
一方、耳の後ろ側(乳様突起周囲)のしこりは、耳後リンパ節の腫れや乳様突起炎(中耳炎が進行して骨に及んだ状態)、また粉瘤や脂肪腫が多く見られます。乳様突起炎は中耳炎の合併症として発症し、耳の後ろが赤く腫れて強い痛みを伴います。発熱もあることが多く、早急な治療が必要です。
どちらの部位であっても、しこりが急速に大きくなる・痛みが強い・発熱を伴うなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
Q. 耳の付け根のしこりはすぐに受診すべきですか?
しこりが数日で急速に大きくなる、38度以上の発熱を伴う、顔面の片側に麻痺が生じる、首全体に複数のしこりが広がるなどの症状がある場合は速やかに受診が必要です。4週間以上経っても縮小しない・硬くて動かない場合も、アイシークリニックを含む耳鼻咽喉科や皮膚科への相談をお勧めします。

✨ しこりの位置・特徴から原因を推測する方法
しこりの性状をある程度観察することで、原因の見当をつけやすくなります。以下のポイントを確認してみましょう。
しこりの硬さについては、柔らかくてぶよぶよしている場合は脂肪腫や粉瘤が疑われます。弾力があって硬い場合はリンパ節の腫れや耳下腺の腫瘍が考えられます。石のように固い場合は悪性腫瘍の可能性も念頭に置く必要があります。
しこりの可動性については、皮膚と一緒に動く・独立して動くかを確認します。リンパ節炎や脂肪腫は比較的可動性が良好なことが多いですが、悪性腫瘍では周囲の組織に固定されて動きにくいことがあります。
表面の状態については、皮膚が赤くなっている・熱感がある場合は炎症が起きているサインです。表面に黒い点が見える場合は粉瘤の可能性があります。
痛みのパターンについては、常に痛みがある場合と触れたときだけ痛い場合とでは、炎症の程度が異なります。食事のときに痛みが増す場合は耳下腺の問題が疑われます。
大きさの変化については、食事のときに一時的に大きくなる場合は唾液腺の問題(唾石症など)を示唆します。日々大きくなっている場合は早急に受診が必要です。
🔍 自宅でできるセルフチェックのポイント
医療機関を受診する前に、自宅でできる範囲でしこりの状態を確認しておくと、医師への説明がスムーズになります。ただし、セルフチェックはあくまで受診の参考情報を集めるためのものであり、自己診断や自己治療の手段ではないことを念頭に置いてください。
確認すべき項目としては以下があります。しこりに気づいたのはいつ頃か(突然現れたのか、徐々に大きくなったのか)、しこりの大きさはどのくらいか(目安として1円玉は直径2cm、小指の爪は約1cmなどで比較)、しこりの数は一つか複数か、両側に同じようなしこりがあるか、痛みの程度(軽く触れただけで痛いのか、強く押して初めて痛いのか)、発熱・倦怠感・食欲不振などの全身症状を伴っているか、最近のど・口・耳の感染症や炎症があったか、などです。
これらの情報を整理しておくことで、医師が原因を判断しやすくなります。スマートフォンで写真を撮っておくことも参考になる場合があります。
しこりを強く押したり、針などで自分で刺したりすることは、感染を広げたり炎症を悪化させたりするリスクがあるため、絶対に避けてください。
💪 受診が必要なサイン・緊急性の高い症状
耳の付け根のしこりは多くが良性ですが、以下のような症状がある場合は早急に医療機関を受診することが必要です。
緊急性が高い状態としては、しこりが短期間(数日)で急速に大きくなっている場合、皮膚が赤く腫れあがり38度以上の発熱がある場合、しこりの部分に波動感(中に液体が溜まっているようなぶよぶよした感触)がある場合、顔面の片側に麻痺(動かしにくい、表情が作れない)が生じている場合、首全体に複数のしこりが広がっている場合、体重が急激に減っている・夜間に大量の発汗がある・強い倦怠感がある場合などが挙げられます。
また、緊急ではないものの受診を強くお勧めするケースとして、しこりが4週間以上経過しても縮小しない場合、少しずつ大きくなっているように感じる場合、しこりが硬くて動かない場合、しこり以外に他の部位でも腫れを感じる場合、などがあります。
特に顔面神経麻痺は、耳下腺悪性腫瘍の症状として現れることがあるため、耳の付け根のしこりと顔の動きにくさが同時に生じた場合は、速やかに専門医の評価を受けてください。
🎯 何科を受診すればよいか
耳の付け根のしこりを診てもらう場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。症状や疑われる原因によって、適切な受診先が異なります。
まず、最初の受診先として最も広くカバーできるのは耳鼻咽喉科です。耳・鼻・のど・頸部(首)を専門とする科であり、リンパ節の腫れ・耳下腺疾患・外耳炎の波及・乳様突起炎など、耳周囲のしこりに関連するほとんどの疾患を診ることができます。
しこりが皮膚の直下にあって、粉瘤や脂肪腫などの皮膚・皮下腫瘍が疑われる場合は、皮膚科や形成外科が適しています。炎症を伴う粉瘤の切開排膿や、根治目的の摘出手術は皮膚科・形成外科・外科で対応してもらえます。
頭頸部腫瘍(悪性リンパ腫や耳下腺癌など)が疑われる場合は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科や血液内科(リンパ腫の場合)での精密検査が必要になります。
受診する科に迷う場合は、まずかかりつけの内科や総合診療科、あるいは耳鼻咽喉科を受診するのが一般的に適切です。必要に応じて専門科への紹介を受けることができます。
Q. 粉瘤が炎症を起こした場合の正しい対処法は何ですか?
炎症性粉瘤を自分で絞ったり針で刺したりする自己処置は、感染の拡大や炎症悪化のリスクがあるため避けてください。医療機関で抗生剤の内服または切開排膿処置により炎症を鎮めた後、改めて摘出手術を行うのが適切な流れです。粉瘤は根治のために袋ごと摘出する手術が必要で、自然には消えません。
💡 診察・検査の流れ

医療機関を受診した際の一般的な診察・検査の流れについて説明します。
問診では、しこりに気づいた時期・大きさの変化・痛みの有無と程度・発熱などの全身症状・最近の感染症や体の変化・服薬中の薬などを確認します。これらの情報は診断の方向性を決める上で非常に重要です。
視診・触診では、しこりの位置・大きさ・硬さ・可動性・皮膚の状態・圧痛の有無などを詳しく調べます。耳鼻咽喉科では、耳の内部・外耳道・鼓膜・のど・口腔内なども合わせて観察し、感染の原発巣がないかを確認します。
画像検査としては、超音波(エコー)検査がしこりの性状評価に広く用いられます。リンパ節か腫瘤かの判別、内部の液体成分の有無(膿瘍・嚢腫)の確認、血流の状態などを調べることができます。さらに詳細な評価が必要な場合は、CT検査やMRI検査が行われます。
血液検査では、炎症の程度(白血球数・CRP)・ウイルス感染の有無(EBウイルス・ムンプスウイルスなどの抗体検査)・腫瘍マーカーなどを調べることがあります。
細胞診・生検は、しこりに細い針を刺して細胞を採取して顕微鏡で調べる検査(穿刺細胞診)や、一部の組織を採取して詳しく調べる生検が、悪性が疑われる場合に実施されます。これにより良性・悪性の判別が可能になります。
📌 治療法の種類と選択肢
耳の付け根のしこりの治療法は、原因によって大きく異なります。それぞれの疾患に応じた主な治療法をご説明します。
リンパ節炎の治療は、原因となっている感染症の治療が中心です。細菌感染による場合は抗生剤の内服・点滴が行われます。ウイルス感染による場合は安静と対症療法(解熱鎮痛剤など)が基本で、多くは自然軽快します。化膿性リンパ節炎(膿瘍形成)の場合は、切開排膿処置が必要になることがあります。
粉瘤の治療については、炎症のない状態では局所麻酔下での外科的摘出術が標準的な治療です。袋ごと摘出することで再発を防ぎます。炎症がある場合は、まず抗生剤の内服で炎症を抑えるか、切開排膿で内容物を出して一時的に症状を和らげます。その後、炎症が落ち着いた段階で改めて摘出手術を行います。
耳下腺炎の治療は、ウイルス性(おたふく風邪)の場合は特効薬がなく、安静・水分補給・解熱鎮痛剤による対症療法が中心です。細菌性の場合は抗生剤治療が行われます。耳下腺腫瘍の場合は、良性・悪性の別と腫瘍の性質に応じて、手術(耳下腺摘出術・腫瘍摘出術)・放射線治療・化学療法などが選択されます。
脂肪腫は小さくて症状がなければ経過観察で問題ないことが多いですが、大きくなる・痛みがある・外見的に気になるという場合は手術による摘出が行われます。
毛包炎・ニキビは、軽症であれば洗顔による清潔保持や市販の抗菌成分配合の外用薬で対処できることもありますが、悪化する場合や繰り返す場合は皮膚科で抗生剤の内服や外用薬の処方を受けることが適切です。
✨ 日常生活での注意点と予防策
耳の付け根のしこりは完全に予防できるものではありませんが、日常生活の中でリスクを下げるために意識できることがあります。
感染予防の観点からは、手洗い・うがいなどの基本的な衛生習慣が、のどや口腔の感染症を防ぎ、結果としてリンパ節炎のリスクを下げることにつながります。また、おたふく風邪はワクチンによって予防できる疾患です。子どものうちにMMRワクチン(または単独のムンプスワクチン)を接種しておくことが推奨されています。成人でも抗体がない場合はワクチン接種を検討することができます。
耳周囲の皮膚のケアとして、メガネのフレームや帽子・イヤホンなど耳の付け根に触れるものは清潔に保ち、皮膚への刺激を最小限にすることが大切です。長時間同じ箇所が圧迫されないよう、定期的に当たる位置を変えるのも一つの方法です。ピアスを使用する方は、素材に注意して金属アレルギーが起きにくい素材(チタン・純金・手術用ステンレスなど)を選ぶことをお勧めします。
口腔衛生の管理も重要です。虫歯・歯周病・扁桃炎などは顎下・耳周辺のリンパ節炎の原因となり得ます。定期的な歯科検診や歯磨き・フロスによる口腔ケアを怠らないことが、間接的に耳周囲のしこりの予防にもつながります。
免疫力の維持という観点では、睡眠不足・過度なストレス・栄養の偏りは免疫機能を低下させ、感染症にかかりやすくなる要因です。規則正しい生活習慣・バランスの良い食事・適度な運動を心がけることが、感染症による二次的なリンパ節炎の予防につながります。
自己判断で放置しないことも重要な「予防策」の一つです。しこりに気づいたら、数週間経過を観察しつつ、改善しない場合や症状が悪化する場合は早めに医療機関を受診するという習慣を持つことが、疾患を重篤化させないために大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「耳の付け根のしこりは、当院でも日常的にご相談いただく症状の一つで、多くの場合はリンパ節炎や粉瘤の炎症など、適切な治療で改善できる良性のものです。しかし、なかには早期対応が必要な疾患が隠れていることもあるため、「しばらく様子を見ていたが一向に小さくならない」とご来院される患者様には、超音波検査などを用いてしっかり原因を見極めるよう心がけています。気になるしこりがあれば自己判断で放置せず、まずはお気軽にご相談ください。」
🔍 よくある質問
最も頻度が高いのはリンパ節炎と粉瘤の炎症です。リンパ節炎は風邪や扁桃炎などの感染症をきっかけに起こることが多く、原因となる感染症が治まると数日〜数週間で縮小することが一般的です。多くは適切な治療で改善できる良性のものです。
押すと痛みがあるしこりは、炎症や感染を伴っている可能性が高い傾向にあります。リンパ節炎や炎症性粉瘤などが代表例です。一方、痛みのないしこりは脂肪腫や通常の粉瘤などに多く見られます。痛みの有無は原因を絞り込む上で重要な判断材料となります。
まずは耳鼻咽喉科への受診が広くお勧めです。リンパ節炎・耳下腺疾患・外耳炎など耳周囲のほとんどの疾患に対応できます。粉瘤や脂肪腫など皮膚・皮下腫瘍が疑われる場合は皮膚科や形成外科が適しています。アイシークリニックでも耳周囲のしこりのご相談を承っております。
以下の場合は速やかに受診してください。しこりが数日で急速に大きくなっている、38度以上の発熱を伴う、顔面の片側に麻痺がある、首全体に複数のしこりが広がっている、急激な体重減少や強い倦怠感がある場合などは、緊急性が高い状態の可能性があります。
自己処置は避けてください。粉瘤を自分で絞ったり針で刺したりすると、感染をさらに広げたり炎症を悪化させたりするリスクがあります。炎症がある場合は医療機関で抗生剤の内服や切開排膿処置を受け、炎症が落ち着いた後に摘出手術を行うのが適切な流れです。
💪 まとめ
耳の付け根にしこりができて押すと痛い場合、その原因はリンパ節炎・粉瘤・耳下腺炎・脂肪腫・毛包炎など、さまざまなものが考えられます。最も多いのはリンパ節炎や粉瘤の炎症であり、多くの場合は適切な治療を受けることで改善します。
しこりの硬さ・大きさ・可動性・痛みのパターン・伴う症状(発熱・倦怠感など)に注目して観察しておくと、受診時の情報提供に役立ちます。特に、急速に大きくなる・強い発熱を伴う・顔面麻痺が出現するなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
しこりの原因を正確に把握するためには、問診・触診・超音波検査・血液検査・必要に応じた画像検査や細胞診など、医療機関での適切な検査が不可欠です。「たぶん大丈夫だろう」と自己判断で長期間放置することなく、気になるしこりがあれば耳鼻咽喉科や皮膚科・形成外科に相談してください。
アイシークリニック新宿院では、耳周囲を含む皮膚・皮下のしこりに関するご相談を承っております。「このしこりは何だろう」と気になっている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 粉瘤(表皮嚢腫・アテローム)の診断基準・治療指針および皮膚腫瘍の分類に関する情報
- 国立感染症研究所 – 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の病原体・症状・予防接種に関する情報
- 日本形成外科学会 – 粉瘤・脂肪腫などの皮下良性腫瘤の外科的治療(摘出手術)に関する情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
