エピデュオゲルとは?ニキビ治療の効果・使い方・副作用を皮膚科医が解説

ニキビは多くの方が経験する肌トラブルですが、「市販の薬を試しても改善しない」「繰り返しできて悩んでいる」という方も少なくありません。近年、皮膚科でのニキビ治療は大きく進歩しており、エピデュオゲルは日本皮膚科学会のガイドラインでも高く推奨されている治療薬です。この記事では、エピデュオゲルの効果や正しい使い方、副作用への対処法まで、わかりやすく解説します。ニキビでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。


目次

  1. ニキビ(尋常性痤瘡)とは?発生メカニズムを理解しよう
  2. エピデュオゲルとは?2つの有効成分とその働き
  3. エピデュオゲルに期待できる効果
  4. エピデュオゲルの正しい使い方
  5. エピデュオゲルの副作用と対処法
  6. エピデュオゲルを使用できない方・注意が必要な方
  7. 他のニキビ治療薬との違い(ディフェリン・ベピオとの比較)
  8. エピデュオゲルに関するよくある質問
  9. まとめ
  10. 参考文献

1. ニキビ(尋常性痤瘡)とは?発生メカニズムを理解しよう

ニキビができる仕組み

ニキビは医学的には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれ、毛穴を中心に発生する慢性的な炎症性疾患です。日本人の約90%以上が一度は経験するとされ、思春期だけでなく20代以降の大人になっても悩まされる方が多い皮膚トラブルです。

ニキビが発生するメカニズムには、主に以下の3つの要因が関わっています。

まず第一に、皮脂分泌の増加があります。思春期になると性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂腺が刺激されて皮脂の分泌量が増加します。大人の場合も、ストレスやホルモンバランスの乱れ、生活習慣の変化などにより皮脂分泌が増えることがあります。

第二に、毛穴の詰まり(角化異常)が起こります。通常、皮脂は毛穴を通って肌表面に排出されますが、毛穴の出口付近で角質が厚くなると、皮脂がスムーズに排出されなくなります。この状態を「角化異常」といい、毛穴の中に皮脂や古い角質が溜まってしまいます。

第三に、アクネ菌の増殖と炎症があります。毛穴が詰まると、酸素が少なく皮脂が豊富な環境が作られます。この環境を好むアクネ菌(キューティバクテリウム・アクネス)が増殖し、炎症を引き起こすことでニキビが進行します。

ニキビの種類と進行

ニキビは進行段階によって以下のように分類されます。

微小面皰(マイクロコメド)は、目に見えないニキビの赤ちゃんとも呼ばれる初期段階です。毛穴の中で角質が厚くなり始め、皮脂が溜まり始めた状態で、肉眼では確認できませんが、ニキビ治療においてはこの段階からケアすることが重要とされています。

白ニキビ(閉鎖面皰)は、毛穴が閉じた状態で皮脂が詰まり、白くポツポツと盛り上がって見える状態です。コメドとも呼ばれ、ニキビの初期段階にあたります。

黒ニキビ(開放面皰)は、白ニキビの毛穴が開き、詰まった皮脂が空気に触れて酸化し、黒く見える状態です。炎症はまだ起きていません。

赤ニキビ(丘疹)は、毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症が起きて赤く腫れ上がった状態です。触ると痛みを感じることもあります。

黄ニキビ(膿疱)は、赤ニキビがさらに進行し、毛穴の中に膿が溜まった状態です。中心部が黄色や白っぽく見えます。

このように、ニキビは段階的に進行していきます。早期の段階で適切な治療を行うことで、炎症の悪化やニキビ跡の形成を防ぐことができます。


2. エピデュオゲルとは?2つの有効成分とその働き

エピデュオゲルの基本情報

エピデュオゲルは、2016年11月に日本で承認されたニキビ治療用の外用薬です。製造販売元はマルホ株式会社で、医師の処方箋が必要な医療用医薬品として、皮膚科などで処方されます。保険適用で使用できるため、患者さんの経済的負担も比較的軽く抑えられます。

エピデュオゲルの最大の特徴は、2つの有効成分を1本に配合した「合剤」であるという点です。これまで別々に使用されていたディフェリンゲル(アダパレン)とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の成分を組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。

エピデュオという名前の由来について、「EPI」は表皮を意味するepidermisから、「DUO」は2つの有効成分(dual active ingredient)と2つの作用機序(dual mode of action)を表しています。

2つの有効成分の働き

エピデュオゲルには、アダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%が配合されています。それぞれの成分の働きを詳しく見ていきましょう。

アダパレンは、レチノイド様作用を持つ成分で、ビタミンA誘導体に似た構造をしています。主な働きとして、皮膚の角化を調節し、毛穴の出口付近で角質が厚くなるのを防ぎます。これにより毛穴の詰まりが改善され、新しいニキビができにくい状態を作ります。また、毛穴を少し広げるような作用もあり、詰まった皮脂を外に出しやすくします。さらに、軽度の抗炎症作用も持っており、ニキビ跡の色素沈着改善にも効果が期待できます。

過酸化ベンゾイルは、強力な殺菌作用とピーリング作用を持つ成分です。活性酸素を発生させることで、ニキビの原因菌であるアクネ菌やブドウ球菌を殺菌します。抗生物質とは異なる殺菌メカニズムのため、長期間使用しても菌が薬に慣れてしまう「薬剤耐性」が生じにくいという大きな利点があります。また、古い角質を取り除くピーリング作用により、毛穴の詰まりを改善する効果もあります。

この2つの成分が協力することで、「毛穴の詰まりを改善してニキビを予防する」効果と「アクネ菌を殺菌して炎症を抑える」効果を同時に発揮します。つまり、ニキビの主要な原因である「角化異常」と「細菌増殖」の両方にアプローチできるのです。


3. エピデュオゲルに期待できる効果

臨床試験で証明された効果

日本人の尋常性痤瘡患者417例を対象に実施された臨床試験では、エピデュオゲルを12週間使用した結果、総皮疹数(ニキビの総数)が82%減少したと報告されています。この数値は、アダパレン単剤の68.6%、過酸化ベンゾイル単剤の81.6%と比較しても高い効果を示しており、2つの成分を組み合わせることの有効性が科学的に証明されています。

また、日本人436例を対象とした12ヵ月間の長期使用試験では、塗布開始後1週間の時点から総皮疹数の減少が認められ、その効果は12ヵ月間を通じて維持されたことが報告されています。

様々なタイプのニキビに効果的

エピデュオゲルは、初期段階の白ニキビや黒ニキビから、炎症を起こした赤ニキビまで、幅広いタイプのニキビに効果を発揮します。

白ニキビや黒ニキビ(面皰)に対しては、アダパレンと過酸化ベンゾイルの両方が持つ角質剥離作用により、毛穴の詰まりを改善します。これらのニキビの予防効果も高く、新しいニキビができにくい肌状態を作ることができます。

赤ニキビ(炎症性皮疹)に対しては、過酸化ベンゾイルの殺菌作用とアダパレンの抗炎症作用が働き、炎症を鎮めて症状を改善します。ただし、膿を持った激しい炎症がある場合には、抗菌薬の内服や外用を併用した方がより効果的な場合もあります。

さらに、目に見えない微小面皰(マイクロコメド)の段階から治療効果があるため、継続して使用することで新しいニキビの発生を予防する「維持療法」としても有効です。

ニキビ跡への効果

エピデュオゲルは、一部のニキビ跡に対しても改善効果が期待できます。

炎症後の赤みや色素沈着については、アダパレンの作用により肌のターンオーバーが促進され、徐々に改善していくことがあります。6ヵ月間の使用により、軽度の萎縮性瘢痕(軽いクレーター状のニキビ跡)の改善が認められたという報告もあります。

ただし、深いクレーター状のニキビ跡や硬くなった瘢痕組織に対しては、エピデュオゲルだけでは十分な効果が得られないことが多く、レーザー治療などの美容医療が必要になる場合があります。

日本皮膚科学会ガイドラインでの位置づけ

日本皮膚科学会が発行した「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」において、エピデュオゲル(アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲル)は、白ニキビ・黒ニキビ、急性炎症期の赤ニキビ、炎症軽快後の維持療法のいずれにおいても「推奨度A(強く推奨)」とされています。これは、現在の日本の保険診療におけるニキビ治療薬の中で、最も高い推奨度を受けていることを意味します。


4. エピデュオゲルの正しい使い方

基本的な使用方法

エピデュオゲルは1日1回、夕方から就寝前に使用します。朝ではなく夜に使用するのは、成分の一つであるアダパレンが紫外線により分解されやすい性質を持っているためです。また、過酸化ベンゾイルにも光に対する感受性を高める作用があるため、日中の紫外線曝露を避ける意味でも夜間の使用が推奨されています。

使用の手順としては、まず洗顔料を使って顔を優しく洗い、清潔な状態にします。洗顔後は化粧水や乳液などで十分に保湿を行います。保湿は副作用である乾燥やヒリヒリ感を軽減するために非常に重要なステップです。スキンケアが肌になじんだら、エピデュオゲルを適量手に取り、ニキビのできやすい部位全体に薄く塗り広げます。塗り終わったら手を洗いましょう。

塗る量と範囲のポイント

エピデュオゲルは、ニキビができている部分だけにピンポイントで塗るのではなく、ニキビのできやすい部位全体に「面」で塗り広げることが大切です。これは、目には見えない微小面皰(ニキビの予備軍)がニキビの周辺にも存在しているためです。

塗る量の目安としては、人差し指の第一関節に乗る程度(約1cm)を顔全体に塗り広げます。ただし、使い始めは刺激症状が出やすいため、最初は少量から始めて、肌が慣れてきたら徐々に量を増やしていくことをおすすめします。

塗り方のコツとしては、指の腹を使って優しく塗り広げることが大切です。強くこすったり、ニキビを潰すような塗り方は肌への刺激となり、逆効果になることがあります。

避けるべき部位

エピデュオゲルを塗る際には、以下の部位は避けてください。

目の周りや唇、鼻の中などの粘膜は、皮膚が薄く刺激に敏感なため塗布を避けます。誤って目に入ってしまった場合は、すぐに水で十分に洗い流してください。

傷口やつぶれたニキビ、湿疹がある部位も避けてください。これらの部位に塗ると強い刺激や痛みを感じることがあります。

治療効果が出るまでの期間

エピデュオゲルによる治療効果は、使用開始から2週間ほどで実感し始める方が多いですが、本格的な効果を判断するには3ヵ月程度の継続使用が必要です。

治療開始から2週間までは、むしろ副作用(乾燥、ヒリヒリ感、赤みなど)が出やすい時期です。この時期に効果を感じられなくても、継続することが重要です。

2週間から3ヵ月の間に、徐々にニキビの数が減少していきます。治療開始時に写真を撮っておくと、効果を客観的に確認しやすくなります。

3ヵ月以降は、ニキビが落ち着いた状態を維持する「維持療法」の時期に入ります。ニキビは様々な要因で繰り返しできやすいため、医師の指示に従って治療を継続することが大切です。

なお、治療開始3ヵ月以内に症状の改善が認められない場合には、使用を中止して医師に相談してください。

保管方法

エピデュオゲルは凍結を避け、25度以下で保存してください。過酸化ベンゾイルは熱に弱い性質があるため、直射日光の当たる場所や高温になる場所での保管は避けてください。


5. エピデュオゲルの副作用と対処法

使い始めに起こりやすい症状

エピデュオゲルは効果が高い反面、使い始めに副作用(刺激症状)が出やすい薬です。臨床試験では、使用者の約12.7%に何らかの副作用が認められたと報告されています。

主な副作用としては、皮膚刺激(ヒリヒリ感、刺痛感、灼熱感)、皮膚の乾燥、皮膚剥脱(皮むけ)、紅斑(赤み)、そう痒症(かゆみ)などがあります。

これらの症状は、エピデュオゲルに含まれる成分のピーリング作用や角質調節作用によって起こるもので、薬が効いている証拠ともいえます。通常、使い始めてから2週間以内に症状が現れ、その後は肌が慣れてくるに従って徐々に軽減していきます。

副作用を軽減するための対処法

副作用を軽減するためには、いくつかの工夫が有効です。

まず、しっかりと保湿を行うことが最も重要です。エピデュオゲルを塗る前に、低刺激性の化粧水や乳液で十分に保湿しておくと、乾燥やヒリヒリ感を和らげることができます。ニキビ肌向けのノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせにくい)処方の保湿剤を選ぶとよいでしょう。

症状が強い場合は塗る量を減らしたり、1日おきに塗るなどして、少しずつ肌を慣らしていく方法も有効です。

また、洗顔時にこすりすぎないこと、刺激の強いスキンケア製品(アルコールを含むもの、スクラブ剤など)の併用を避けることも大切です。

使用を中止すべき症状

以下のような症状が現れた場合は、使用を中止して速やかに医師に相談してください。

塗った部位が真っ赤に腫れ上がった場合や、顔全体や首にまで赤みや腫れが広がった場合は、アレルギー反応の可能性があります。特にベピオゲル成分(過酸化ベンゾイル)によるアレルギー性接触皮膚炎が疑われる場合は、使用を継続すると症状が悪化するため注意が必要です。

強い痛みが続く場合や、水ぶくれやびらん(ただれ)ができた場合も使用を中止してください。

2週間以上経過しても症状が改善しない場合や、逆に悪化していく場合も、医師に相談することをおすすめします。

漂白作用について

エピデュオゲルに含まれる過酸化ベンゾイルには漂白作用があります。髪の毛や眉毛、衣類、枕カバーなどに付着すると色が抜けてしまうことがあるため、注意が必要です。

塗布後は手をしっかり洗い、薬剤が乾いてから就寝するようにしましょう。白い枕カバーやタオルを使用すると、万が一色が抜けても目立ちにくくなります。


6. エピデュオゲルを使用できない方・注意が必要な方

使用できない方(禁忌)

エピデュオゲルを使用できない方は以下の通りです。

本剤の成分に対してアレルギー(過敏症)の既往歴がある方は使用できません。過去にアダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、必ず医師に伝えてください。

妊婦または妊娠している可能性のある女性は使用できません。これは、アダパレンの動物実験において、経口投与で催奇形作用が報告されているためです。経皮投与(皮膚から吸収)でも過剰肋骨の発生頻度増加が報告されています。妊娠の可能性がある方は、使用前に妊娠検査を行い、治療期間中は確実な避妊を行う必要があります。妊娠が判明した場合、または妊娠が疑われる場合は、直ちに使用を中止し医師に相談してください。

使用に注意が必要な方

授乳中の方については、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を医師と相談して決める必要があります。動物実験でアダパレンの乳汁への移行が確認されているため、授乳中の使用は慎重に判断されます。

敏感肌やアトピー性皮膚炎がある方は、刺激症状が強く出る可能性があるため、使用前に医師と相談しましょう。

12歳未満の小児に対する臨床試験は実施されていないため、安全性は確立していません。

他の薬剤との併用について

エピデュオゲルと他の外用剤を同時に使用する場合は、皮膚刺激が増す可能性があるため注意が必要です。特に、アルコールを含むスキンケア製品や、他のピーリング作用を持つ製品との併用は避けた方がよいでしょう。

抗菌薬の外用剤(ダラシンTゲル、アクアチムクリーム、ゼビアックスローションなど)との併用は、医師の判断のもとで行われることがあります。


7. 他のニキビ治療薬との違い(ディフェリン・ベピオとの比較)

日本で使用できる主なニキビ外用薬

現在、日本の保険診療で使用できる主なニキビ外用薬には、以下のようなものがあります。

ディフェリンゲル(アダパレン0.1%)は、2008年に承認されたレチノイド様外用薬で、毛穴の角化を調節して毛穴詰まりを改善します。主に白ニキビに対して高い効果を発揮しますが、赤ニキビに対しては効果が限定的です。

ベピオゲル(過酸化ベンゾイル2.5%)は、2015年に承認された外用薬で、殺菌作用とピーリング作用を持ちます。白ニキビと赤ニキビの両方に効果があり、薬剤耐性が生じにくいという特長があります。

デュアック配合ゲルは、過酸化ベンゾイル3%とクリンダマイシン1%(抗生物質)を配合した合剤です。殺菌作用に加えて抗菌作用も強化されており、炎症性のニキビに対して効果的です。

エピデュオゲルは、アダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%を配合した合剤です。

エピデュオゲルとディフェリンゲルの違い

ディフェリンゲルは主に白ニキビ(面皰)に対して効果を発揮しますが、殺菌作用がないため赤ニキビに対しては効果が限られます。一方、エピデュオゲルは過酸化ベンゾイルの殺菌作用も持つため、白ニキビと赤ニキビの両方に効果的です。

効果の面ではエピデュオゲルの方が優れていますが、副作用(刺激症状)もエピデュオゲルの方が出やすい傾向があります。そのため、いきなりエピデュオゲルから治療を始めるのではなく、まずディフェリンゲルで肌を慣らしてからエピデュオゲルに移行するという治療戦略が取られることもあります。

また、妊娠中の使用について、ディフェリンゲルは禁忌ですが、ベピオゲル単剤であれば医師の判断のもと使用できる場合があります。エピデュオゲルはアダパレンを含むため、妊婦には使用できません。

エピデュオゲルとベピオゲルの違い

ベピオゲルは殺菌作用とピーリング作用を持ち、白ニキビと赤ニキビの両方に効果がありますが、毛穴の角化を調節する作用はディフェリンゲルほど強くありません。

エピデュオゲルはアダパレンも配合されているため、毛穴詰まりの改善効果がより高く、ニキビ予防の面でも優れています。臨床試験でも、総皮疹数の減少率はエピデュオゲルの方がベピオゲル単剤よりも高い結果が出ています。

ただし、効果が高い分、副作用も出やすくなるため、ベピオゲル単剤では問題なく使えていた方でも、エピデュオゲルでは刺激症状が強く出ることがあります。

治療の流れ

一般的なニキビ治療の流れとしては、まずディフェリンゲルまたはベピオゲルのいずれかの単剤から治療を開始することが多いです。これは、万が一副作用が出た場合に、刺激性の副作用なのかアレルギー性のかぶれなのかを判別しやすくするためです。

単剤での治療効果が不十分な場合や、副作用なく使用できることが確認された場合に、エピデュオゲルへの切り替えが検討されます。

ニキビの症状が落ち着いた後も、維持療法としてエピデュオゲルを継続使用することで、ニキビの再発を防ぐことができます。維持療法は1年以上の継続が基本とされています。


8. エピデュオゲルに関するよくある質問

Q1. エピデュオゲルは市販で購入できますか?

エピデュオゲルは医療用医薬品であり、医師の処方箋が必要です。ドラッグストアや通販で購入することはできません。ニキビでお悩みの方は、皮膚科を受診して医師の診察を受けてください。

Q2. エピデュオゲルを使い始めてニキビが悪化したように感じます。大丈夫でしょうか?

使い始めの2週間程度は、一時的にニキビが悪化したように見えることがあります。これは「好転反応」とも呼ばれ、毛穴の詰まりが解消される過程で、隠れていたニキビが表面化してくるためです。また、赤みや皮むけなどの副作用が出て、肌の状態が悪く見えることもあります。
通常は使い続けるうちに改善していきますので、2〜3週間は様子を見ながら継続してみてください。ただし、強い痛みや腫れ、顔全体への赤みの広がりなどがある場合は、使用を中止して医師に相談してください。

Q3. 化粧はできますか?

エピデュオゲルを使用していても、日中のメイクは可能です。ただし、エピデュオゲルを塗布してから十分に時間をおいて(乾いてから)メイクをすることをおすすめします。

メイク用品は、毛穴を詰まらせにくいノンコメドジェニック処方のものを選ぶとよいでしょう。また、クレンジングは肌に負担をかけないものを使用し、洗顔時にこすりすぎないよう注意してください。

Q4. 日焼け止めは使った方がいいですか?

エピデュオゲルを使用中は、紫外線に対する感受性が高まることがあります。日中は日焼け止めを使用し、過度な紫外線曝露を避けることをおすすめします。

ただし、エピデュオゲル自体は夜間に使用するため、直接日光にさらされることはありません。日中の紫外線対策として、SPF30以上の日焼け止めを使用するとよいでしょう。

Q5. ニキビがなくなったら使用をやめてもいいですか?

ニキビが改善しても、すぐに使用を中止するとニキビが再発しやすくなります。ニキビは繰り返しできやすい性質があるため、症状が落ち着いた後も維持療法として継続使用することが推奨されています。

維持療法の期間については医師と相談してください。一般的には1年以上の継続が基本とされていますが、個人の症状や肌の状態によって異なります。

Q6. エピデュオゲルと他のニキビ治療薬を一緒に使っても大丈夫ですか?

医師の指示のもとであれば、抗菌薬の外用剤や内服薬との併用が行われることがあります。ただし、自己判断で他の薬剤と併用することは避けてください。

特に、他のピーリング作用を持つ製品(サリチル酸、グリコール酸など)や、レチノイド系の化粧品との併用は、刺激が強くなる可能性があるため注意が必要です。

Q7. エピデュオゲルは背中やデコルテのニキビにも使えますか?

エピデュオゲルは顔以外の部位にも使用できますが、添付文書上の適応は顔面への使用を前提としています。背中やデコルテなど顔以外の部位に使用する場合は、医師に相談してください。

これらの部位は顔に比べて皮膚が厚いため、刺激症状は出にくい傾向がありますが、初めて使用する場合は少量から始めることをおすすめします。

Q8. エピデュオゲルの保険適用はありますか?

はい、エピデュオゲルは保険適用の薬剤です。3割負担の場合、1本(15g)あたり約500円程度の自己負担となります(薬価は2025年現在の情報に基づく)。診察料や処方箋料などは別途必要です。


9. まとめ

エピデュオゲルは、アダパレンと過酸化ベンゾイルという2つの有効成分を配合したニキビ治療薬です。毛穴の詰まりを改善する作用と、アクネ菌を殺菌する作用を併せ持ち、日本皮膚科学会のガイドラインでも最高ランクの推奨を受けている、現在の保険診療において最も効果的なニキビ治療薬の一つといえます。

臨床試験では12週間の使用で総皮疹数が82%減少したと報告されており、白ニキビから赤ニキビまで幅広いタイプのニキビに効果を発揮します。また、薬剤耐性が生じにくいという特長もあり、長期間の維持療法にも適しています。

一方で、使い始めに乾燥やヒリヒリ感、赤み、皮むけなどの副作用が出やすい薬でもあります。これらの症状は通常2〜3週間で軽減していきますが、しっかりとした保湿ケアを行いながら、医師の指導のもとで適切に使用することが大切です。

また、妊婦または妊娠の可能性がある方は使用できないため、該当する方は必ず医師に伝えてください。

ニキビは適切な治療を行うことで改善が期待できる疾患です。市販薬で改善しない場合や、繰り返しニキビができて悩んでいる場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。早期に治療を開始することで、ニキビ跡の形成を防ぎ、健やかな肌を取り戻すことができます。

参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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