エピデュオゲルで肌がボロボロになるのはなぜ?原因と正しい対処法を皮膚科医が解説

エピデュオゲルを処方されてニキビ治療を始めたものの、肌が赤くなったり、皮がむけたり、乾燥してボロボロになったりして、不安を感じている方は少なくありません。SNSでも「エピデュオゲル 肌ボロボロ」「エピデュオ 皮むけ ひどい」といった悩みの声が多く見られます。しかし、この症状は多くの場合、薬が効き始めているサインであり、正しく理解して適切に対処すれば、やがて改善していきます。本記事では、エピデュオゲルで肌がボロボロになる原因とメカニズム、いつまで続くのか、そして正しい対処法について詳しく解説します。ニキビ治療を諦めてしまう前に、ぜひ最後までお読みください。


目次

  1. エピデュオゲルとは?基本情報と作用メカニズム
  2. なぜエピデュオゲルで肌がボロボロになるのか
  3. 肌荒れ症状はいつまで続く?治療の経過と目安
  4. 随伴症状と接触皮膚炎の見分け方
  5. 肌がボロボロになったときの正しい対処法
  6. エピデュオゲルの正しい使い方
  7. 保湿ケアの重要性とおすすめのスキンケア方法
  8. 副作用を軽減するための日常生活の注意点
  9. 医師に相談すべき症状のサイン
  10. よくある質問
  11. まとめ

1. エピデュオゲルとは?基本情報と作用メカニズム

エピデュオゲルの概要

エピデュオゲルは、2016年に日本で承認されたニキビ(尋常性ざ瘡)治療のための外用薬です。「アダパレン」と「過酸化ベンゾイル(BPO)」という2つの有効成分を配合しており、国内の保険診療で使用できるニキビ治療薬の中でも、特に高い効果が期待できる薬剤として位置づけられています。

製品名の「EPIDUO(エピデュオ)」は、表皮を意味する「epidermis」の「EPI」と、2つの有効成分・2つの作用機序を意味する「DUO」を組み合わせて命名されました。

日本皮膚科学会が策定した「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」においても、エピデュオゲルは炎症性皮疹の治療に推奨されており、エビデンスに基づいた標準的な治療薬として認められています。

2つの有効成分とその働き

エピデュオゲルに含まれる2つの有効成分は、それぞれ異なるメカニズムでニキビに働きかけます。

アダパレン(0.1%配合)は、レチノイド(ビタミンA誘導体)様の作用を持つ成分です。レチノイン酸受容体に結合し、表皮の角化細胞の分化を抑制することで、毛穴の詰まりを改善します。具体的には、毛穴の出口部分の角質が厚くなるのを防ぎ、皮脂の排出をスムーズにする働きがあります。これにより、ニキビの原因となる「面皰(めんぽう)」の形成を予防し、すでにできている白ニキビや黒ニキビの改善にも効果を発揮します。

過酸化ベンゾイル(BPO:2.5%配合)は、強力な酸化作用を持つ成分です。皮膚に塗布されると分解されてフリーラジカル(酸化ベンゾイルラジカルやフェニルラジカルなど)を生成し、ニキビの原因菌であるアクネ菌や黄色ブドウ球菌に対して抗菌作用を発揮します。さらに、角質細胞同士の結合を緩めて角層の剥離を促すピーリング作用もあり、毛穴の詰まりを改善する効果があります。

エピデュオゲルの3つの主な効果

これら2つの成分の組み合わせにより、エピデュオゲルは以下の3つの効果をもたらします。

第一に、毛穴詰まりの改善です。アダパレンが角質の過剰な生成を抑え、過酸化ベンゾイルが既存の角質を剥離させることで、毛穴を詰まりにくい状態に保ちます。

第二に、アクネ菌の殺菌です。過酸化ベンゾイルの強力な抗菌作用により、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑制します。特筆すべきは、過酸化ベンゾイルは抗生物質とは異なる作用機序で殺菌するため、長期間使用しても耐性菌が生じにくいという利点があります。

第三に、炎症の抑制です。毛穴詰まりの解消とアクネ菌の殺菌により、結果として炎症の発生を防ぎ、既存の炎症を鎮める効果が期待できます。

単剤との比較

エピデュオゲルの元となる成分は、それぞれ単独でも医薬品として使用されています。アダパレン単独の製品として「ディフェリンゲル0.1%」が、過酸化ベンゾイル単独の製品として「ベピオゲル2.5%」があります。

海外で実施された臨床試験では、エピデュオゲルはこれらの単剤よりも高い効果が確認されています。2つの成分を同時に使用することで相乗効果が得られ、より効率的にニキビを改善できるのです。

ただし、効果が高い分、副作用(随伴症状)も単剤より出やすい傾向があります。そのため、患者さんの肌の状態やニキビの重症度によっては、最初からエピデュオゲルを処方するのではなく、ディフェリンゲルやベピオゲルから治療を開始し、肌が慣れてからエピデュオゲルに切り替える場合もあります。


2. なぜエピデュオゲルで肌がボロボロになるのか

随伴症状(レチノイド反応)とは

エピデュオゲルを使い始めて、肌が赤くなったり、皮がむけたり、ヒリヒリしたり、乾燥してボロボロになったりする症状を経験する方は非常に多いです。これは「随伴症状」または「レチノイド反応」「A反応」と呼ばれるもので、薬の作用に伴って一時的に現れる症状です。

一般的に言われる「副作用」とは少しニュアンスが異なり、随伴症状は「薬が効いている証拠」として捉えることができます。つまり、肌がボロボロになるのは、エピデュオゲルの成分が肌に作用し、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)が促進されている証拠なのです。

肌がボロボロになるメカニズム

エピデュオゲルで肌がボロボロになる具体的なメカニズムを説明します。

まず、アダパレンの角化抑制作用についてです。アダパレンは表皮の角化細胞の分化を抑制する働きがあります。これにより、毛穴の詰まりは改善されますが、同時に皮膚表面の角質層が薄くなります。角質層は外部刺激から肌を守るバリアの役割を果たしているため、この層が薄くなることで、一時的に肌が外部の刺激に敏感になり、赤みやヒリヒリ感が生じやすくなります。

次に、過酸化ベンゾイルの角層剥離作用についてです。過酸化ベンゾイルは角質細胞同士の結合を緩め、古い角質を剥がれやすくする作用があります。この作用により、肌表面で皮むけ(落屑)が起こります。また、必要以上に角質が剥がされてしまったり、肌のうるおいを保つ成分まで失われてしまったりすることで、乾燥やカサつきが生じます。

さらに、ターンオーバーの促進により、それまで毛穴の奥に潜んでいた「微小面皰(マイクロコメド)」が一時的に表面に押し出されることがあります。このため、治療開始直後は一時的にニキビが増えたように感じたり、炎症が強くなったりすることもあります。これは「好転反応」と呼ばれ、隠れていたニキビの芽が外に出てきている状態です。

約80%の人に起こる一般的な反応

エピデュオゲルの使用開始後2週間以内に、乾燥、ヒリヒリ感、皮むけ、赤み、痛みなどの症状がピークを迎えることが報告されています。製薬会社の情報によると、約80%の人がこれらの症状を経験するとされています。

つまり、肌がボロボロになることは決して珍しいことではなく、むしろ大多数の人が経験する一般的な反応なのです。この事実を知っておくことで、症状が出ても慌てずに対処することができます。

症状が出やすい人の特徴

随伴症状の程度には個人差がありますが、以下のような方は症状が出やすい傾向があります。

敏感肌の方は、もともと外部刺激に対する反応が強いため、エピデュオゲルの刺激にも敏感に反応しやすいです。乾燥肌の方は、肌のバリア機能が低下している状態であることが多く、さらに乾燥が進行しやすくなります。肌に皮膚内のレチノイド(ビタミンA)が少ない方も、アダパレンの作用に対する感受性が高くなり、症状が出やすいとされています。また、これまでレチノイド系の化粧品や薬を使用したことがない方も、肌が慣れていないため反応が強く出る傾向があります。


3. 肌荒れ症状はいつまで続く?治療の経過と目安

治療開始から2週間:症状のピーク期

エピデュオゲルの使用を開始してから最初の2週間は、最も症状が出やすい時期です。この期間に、赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥といった随伴症状がピークを迎えることが多いです。

特に使用開始後1週間前後は、肌の変化が最も激しい時期です。朝起きたら顔が粉を吹いていたり、化粧のノリが悪くなったりすることもあります。この時期は見た目にも影響が出やすいため、大切な予定がある場合は治療開始のタイミングを調整することも一つの方法です。

2週間から1カ月:徐々に落ち着く時期

使用開始から2週間を過ぎると、多くの方で症状が徐々に落ち着いてきます。これは、肌がエピデュオゲルの成分に慣れてきた証拠です。

ただし、乾燥症状は比較的長く続くことがあり、1カ月程度続く場合もあります。この期間も保湿ケアを怠らず、丁寧なスキンケアを心がけることが大切です。

2週間から3カ月:効果を実感し始める時期

随伴症状が落ち着いてくると、今度はニキビの改善効果を実感し始める時期に入ります。新しいニキビができにくくなり、既存のニキビも徐々に減少していきます。

治療開始前に写真を撮っておくと、この時期に見比べることで効果を実感しやすくなります。毎日鏡を見ていると変化に気づきにくいものですが、写真で比較すると改善が明確にわかることが多いです。

3カ月から1年:維持療法の時期

3カ月を過ぎると、多くの方でニキビの数が大幅に減少しています。しかし、ここで治療をやめてしまうと再発のリスクがあります。

ニキビ治療は「治す期間」と「維持する期間」に分けて考える必要があります。急性期の治療でニキビが改善した後も、ニキビができにくい肌状態を維持するために、継続的な治療(維持療法)が推奨されています。医師と相談しながら、適切な使用頻度や期間を決めていくことが大切です。

個人差があることを理解する

ここまで一般的な経過を説明しましたが、症状の出方や改善のスピードには個人差があります。2週間で症状が落ち着く人もいれば、1カ月以上かかる人もいます。

大切なのは、自己判断で治療を中断しないことです。症状が気になる場合は、必ず処方した医師に相談しましょう。


4. 随伴症状と接触皮膚炎の見分け方

通常の随伴症状の特徴

通常の随伴症状(レチノイド反応)は、以下のような特徴があります。

症状としては、軽度から中程度の赤み、乾燥、皮むけ、軽いヒリヒリ感などが挙げられます。これらは使用開始から数日〜2週間程度でピークを迎え、その後徐々に改善していきます。症状は不快ではありますが、日常生活に支障をきたすほどではないことがほとんどです。

随伴症状の場合、使い続けることで肌が慣れ、症状は自然と軽減していきます。これが「肌が薬に適応している」状態です。

接触皮膚炎(かぶれ)の特徴

一方、接触皮膚炎(かぶれ)は、エピデュオゲルに含まれる成分に対するアレルギー反応です。これは随伴症状とは本質的に異なるもので、使い続けても改善せず、むしろ悪化する可能性があります。

接触皮膚炎の特徴的な症状には、強い赤み(塗った部分が真っ赤になる)、強いかゆみ、腫れ、ジュクジュクした浸出液、熱感などがあります。これらの症状は、随伴症状よりも明らかに強く、我慢できないレベルであることが多いです。

接触皮膚炎は、使用者の約3%程度(100人中3人程度)の頻度で発生するとされています。

注意すべき症状のサイン

以下のような症状が現れた場合は、随伴症状ではなく接触皮膚炎の可能性があります。すぐに使用を中止し、医師に相談してください。

まず、症状が日を追うごとに悪化している場合は要注意です。随伴症状であれば2週間程度でピークを過ぎて改善に向かいますが、悪化し続ける場合は接触皮膚炎の可能性があります。

また、強いかゆみを伴う場合も注意が必要です。随伴症状でも軽いかゆみが生じることはありますが、強いかゆみは接触皮膚炎の特徴です。

さらに、塗布部位が明らかに腫れている場合、水疱(水ぶくれ)ができた場合、浸出液が出ている場合なども、接触皮膚炎を疑うべき症状です。

接触皮膚炎と診断された場合

医師に接触皮膚炎と診断された場合は、エピデュオゲルの使用を中止する必要があります。症状を抑えるために、ステロイド外用薬などが処方されることがあります。

接触皮膚炎を起こした方は、過酸化ベンゾイルを含む他のニキビ治療薬(デュアック配合ゲルなど)も使用できない場合があります。その場合は、別の治療薬への変更が検討されます。


5. 肌がボロボロになったときの正しい対処法

対処法1:保湿を徹底する

肌がボロボロになったときの最も重要な対処法は、保湿を徹底することです。

エピデュオゲルの作用により角質層が薄くなり、肌のバリア機能が低下している状態では、水分が蒸発しやすくなっています。このため、いつも以上に丁寧な保湿ケアが必要です。

保湿剤を選ぶ際のポイントとして、低刺激性のもの、ノンコメドジェニックテスト済みのもの(ニキビの原因になりにくいもの)、オイルフリーのものを選ぶと良いでしょう。油分を多く含む保湿剤は、ニキビを悪化させる可能性があるため避けたほうが無難です。

保湿剤はエピデュオゲルを塗る前に使用します。洗顔後、化粧水や乳液で肌を整えてから、最後にエピデュオゲルを塗布するという順番です。

対処法2:使用量を調整する

症状が強く出ている場合は、エピデュオゲルの使用量を減らすことで刺激を軽減できます。

通常、顔全体に使用する場合の目安量は約0.5gで、これは人差し指の先端から第一関節までに出した量に相当します。症状が強い場合は、この量を減らして少量から始め、肌が慣れてきたら徐々に量を増やしていく方法が有効です。

また、最初は顔全体ではなく、おでこや頬など一部分から始めて、徐々に塗る範囲を広げていく方法もあります。

対処法3:塗布後に洗い流す

ヒリヒリ感や刺激が強い場合は、塗布後15分〜30分程度で洗い流してしまう方法があります。

エピデュオゲルは塗布後15分程度で薬効成分が皮膚に浸透するとされています。そのため、15分以上塗っておけば、その後洗い流しても一定の効果は得られます。

最初は15分で洗い流すことから始め、肌が慣れてきたら30分、1時間と徐々に時間を延ばし、最終的には洗い流さずに就寝できることを目指します。

対処法4:使用頻度を減らす

毎日の使用で刺激が強すぎる場合は、使用頻度を減らすことも選択肢の一つです。

例えば、1日おきの使用から始めて、肌の状態を見ながら徐々に毎日の使用に移行していく方法があります。週に2〜3回から始める方法もあります。

ただし、使用頻度の変更は自己判断ではなく、必ず医師に相談した上で行ってください。

対処法5:塗布範囲を限定する

皮むけや乾燥が特にひどい部位がある場合は、その部分を避けて塗布する方法もあります。

症状が落ち着くまでは、ニキビができている部分のみに塗布し、健康な皮膚への塗布は控えるという方法です。ただし、ニキビ予防のためには、ニキビができやすい部位全体に広く塗ることが推奨されているため、症状が落ち着いてきたら塗布範囲を広げていくことが大切です。

対処法6:医師に相談する

上記の対処法を試しても症状が改善しない場合や、症状が非常に強い場合は、必ず医師に相談してください。

医師は症状に応じて、エピデュオゲルの使用方法の調整、一時的な使用中止、保湿剤やステロイド外用薬の併用、他のニキビ治療薬への変更などを検討します。自己判断で治療を中断するのではなく、専門家のアドバイスを受けることが大切です。


6. エピデュオゲルの正しい使い方

基本的な使用方法

エピデュオゲルは、1日1回、夕方から就寝前のタイミングで使用します。洗顔後の清潔な肌に塗布することが基本です。

使用の手順は以下の通りです。まず、ぬるま湯で顔を優しく洗顔します。次に、清潔なタオルで顔の水分を拭き取ります。化粧水や乳液など、通常のスキンケアを行います。スキンケアが肌になじんだら、エピデュオゲルを塗布します。最後に、手についた薬剤を石けんでよく洗い流します。

適切な塗布量

顔全体に使用する場合の目安量は約0.5gです。チューブから人差し指の先端から第一関節までに出した量が、おおよそ0.5gの目安になります。

この量を、もう片方の指で少しずつ取りながら、顔全体に薄く均一に伸ばしていきます。ニキビのある部分だけでなく、ニキビができやすい部位(おでこ、頬、あごなど)全体に広く塗ることが、新しいニキビを予防する上で重要です。

塗布時の注意点

塗布時には以下の点に注意してください。

目の周り、唇、粘膜には塗布しないでください。これらの部位は皮膚が薄く敏感であるため、強い刺激を受ける可能性があります。

傷口や潰したニキビの跡にも塗布を避けてください。炎症が悪化する可能性があります。

塗布する際は、こすらずに優しく薄く伸ばすようにしてください。強くこすると刺激になります。

髪の毛に付着すると脱色の原因になることがあります。生え際に塗る際は注意してください。

保管方法

エピデュオゲルは、1〜30℃の室温で、直射日光を避けて保管してください。

高温の場所や空気に触れた状態で保管すると、有効成分が変質してしまう可能性があります。チューブのキャップはしっかりと閉めて保管してください。

また、過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、衣類や寝具、タオルなどに付着すると色落ちの原因になります。薬剤が付着する可能性のあるものは、白いものを選ぶことをお勧めします。

使用上の禁忌事項

妊娠中の方、または妊娠している可能性のある方は、エピデュオゲルを使用できません。動物実験においてアダパレンに催奇形性が報告されているためです。

授乳中の方も使用を避けることが望ましいとされています。やむを得ず使用する場合は、授乳を中止する必要があります。

また、過去にエピデュオゲルの成分(アダパレンまたは過酸化ベンゾイル)でアレルギー反応を起こしたことがある方も使用できません。

12歳未満の小児に対する安全性は確立されていないため、使用は推奨されていません。


7. 保湿ケアの重要性とおすすめのスキンケア方法

なぜ保湿が重要なのか

エピデュオゲルによる治療中は、保湿ケアがこれまで以上に重要になります。

前述の通り、エピデュオゲルの作用により角質層が薄くなり、肌のバリア機能が低下します。バリア機能が低下した肌は、水分が蒸発しやすく、外部からの刺激も受けやすい状態になっています。

十分な保湿を行うことで、肌のバリア機能を補い、乾燥や刺激による症状を軽減することができます。また、適切に保湿された肌は、エピデュオゲルの随伴症状を軽減するだけでなく、治療効果を最大限に引き出すことにもつながります。

保湿剤の選び方

ニキビ治療中の保湿剤選びには、いくつかのポイントがあります。

ノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶことが重要です。これは、ニキビの原因となる「コメド(面皰)」ができにくいことが確認された製品です。

オイルフリーの製品も適しています。油分を多く含む製品は毛穴を詰まらせ、ニキビを悪化させる可能性があります。

低刺激性で、香料や着色料などの添加物が少ない製品を選ぶと、敏感になった肌への負担を減らすことができます。

セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンなど、保湿成分が配合された製品が効果的です。

スキンケアの順番

エピデュオゲル使用時のスキンケアの推奨順序は以下の通りです。

夜のケアでは、まずクレンジングでメイクや日焼け止めを落とします。次に洗顔料で顔を洗い、化粧水で肌を整えます。乳液や保湿クリームで保湿した後、最後にエピデュオゲルを塗布します。

朝のケアでは、洗顔料または水だけで顔を洗います。化粧水と乳液で保湿し、日焼け止めを塗ります。その上からメイクを行います。

注意点として、エピデュオゲルを塗布した後は、上から他の製品を重ねないでください。薬剤の効果を妨げたり、刺激が強くなったりする可能性があります。

洗顔のポイント

洗顔も肌への刺激を最小限に抑えるよう心がけてください。

洗顔料は低刺激性のものを選び、よく泡立ててから使用してください。泡で包み込むように優しく洗い、ゴシゴシこすらないようにしましょう。

すすぎはぬるま湯で丁寧に行い、洗顔料が残らないようにしてください。髪の生え際やフェイスラインは泡が残りやすいので注意が必要です。

洗顔後は清潔なタオルで押さえるように水分を拭き取り、すぐに保湿ケアを行ってください。


8. 副作用を軽減するための日常生活の注意点

紫外線対策の徹底

エピデュオゲル使用中は、肌が紫外線に対して敏感になっています。紫外線を浴びると、シミや色素沈着ができやすくなるだけでなく、ニキビ自体も悪化する可能性があります。

日中は日焼け止めを必ず使用してください。SPF30以上、PA++以上の製品が推奨されます。ニキビ肌用のノンコメドジェニック処方の日焼け止めを選ぶとより安心です。

日焼け止めだけでなく、帽子や日傘なども活用して、物理的に紫外線を遮ることも効果的です。

刺激となる成分・行為を避ける

エピデュオゲル使用中は、肌が敏感になっているため、普段は問題ない刺激にも反応してしまうことがあります。

スクラブ洗顔やピーリング製品は避けてください。エピデュオゲル自体にピーリング作用があるため、さらにピーリング効果のある製品を使用すると、刺激が強くなりすぎます。

アルコール成分を多く含む化粧水やトナーも、刺激になる可能性があるため控えめにしましょう。

また、顔を触る癖がある方は、できるだけ触らないよう意識してください。手についた雑菌が肌に移ったり、刺激になったりする可能性があります。

生活習慣の改善

ニキビの改善には、外用薬による治療だけでなく、生活習慣の改善も重要です。

睡眠は十分にとるよう心がけてください。睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、ニキビを悪化させる原因になります。

バランスの良い食事を心がけ、特にビタミン類を積極的に摂取しましょう。脂っこい食事や糖分の多い食事は、皮脂の分泌を増加させる可能性があります。

ストレスもニキビの悪化因子の一つです。適度な運動や趣味の時間を設けるなど、ストレス解消を意識してください。

衣類・寝具への注意

過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、エピデュオゲルが付着した衣類や寝具が色落ちすることがあります。

就寝時に使用する枕カバーやシーツは、白いものを選ぶか、汚れても良いものを使用することをお勧めします。

また、エピデュオゲルを塗った後は、しっかり乾いてから就寝するようにしてください。乾く前に枕に顔をつけると、薬剤が枕に移ってしまい、効果が減少するだけでなく、衣類の色落ちの原因にもなります。


9. 医師に相談すべき症状のサイン

すぐに使用を中止して受診すべき症状

以下のような症状が現れた場合は、エピデュオゲルの使用をすぐに中止し、できるだけ早く医師の診察を受けてください。

強い赤みと腫れがある場合は要注意です。塗布部位が真っ赤に腫れ上がり、明らかに異常な状態になっている場合は、接触皮膚炎(かぶれ)の可能性があります。

強いかゆみがある場合も同様です。我慢できないほどのかゆみは、アレルギー反応の可能性を示唆しています。

ジュクジュクした浸出液が出ている場合は、皮膚の炎症が重症化している可能性があります。

水疱(水ぶくれ)ができた場合も、すぐに医師の診察を受けてください。

全身にじんましんが出たり、呼吸が苦しくなったりした場合は、重篤なアレルギー反応の可能性があるため、緊急の対応が必要です。

次回の診察時に相談すべき症状

以下のような症状は、必ずしも緊急性はありませんが、次回の診察時に医師に相談してください。

2週間以上経過しても随伴症状が改善しない場合、通常であれば2週間程度でピークを過ぎて改善に向かいますが、改善の兆しがない場合は相談しましょう。

日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合も相談が必要です。仕事や学校に行けない、人前に出られないなど、生活に大きな影響が出ている場合は、治療方法の調整が必要かもしれません。

3カ月使用してもニキビの改善が見られない場合も、治療方針の見直しが必要な可能性があります。

精神的に辛くなってきた場合も、遠慮なく医師に相談してください。ニキビの治療は長期戦であり、精神的なサポートも重要です。


10. よくある質問

Q1. エピデュオゲルを使い始めてニキビが増えたのですが、使い続けて大丈夫ですか?

A1. 使用開始直後に一時的にニキビが増えることは、「好転反応」として知られる現象です。エピデュオゲルの作用により肌のターンオーバーが促進され、それまで毛穴の奥に潜んでいた微小面皰(目に見えないニキビの芽)が表面に押し出されることで起こります。
これは薬が効いている証拠であり、多くの場合、使い続けることで改善していきます。ただし、ニキビの増加が著しい場合や、炎症が非常に強い場合は医師に相談してください。

Q2. 化粧をしても大丈夫ですか?

A2. エピデュオゲルは夜に使用するため、日中のメイクは問題ありません。ただし、肌が敏感になっているため、低刺激性のファンデーションを選ぶことをお勧めします。
パウダータイプのファンデーションは油分が少なく、ニキビ肌に適しています。また、ノンコメドジェニック処方の化粧品を選ぶと、ニキビの悪化を防ぐことができます。
メイクを落とす際は、クレンジングで丁寧に落とし、洗顔後はしっかり保湿してからエピデュオゲルを使用してください。

Q3. エピデュオゲルと他のニキビ治療薬を併用できますか?

A3. 他のニキビ治療薬との併用については、必ず医師に相談してください。

一般的に、エピデュオゲルと外用抗菌薬(ダラシンT、アクアチムなど)を併用することはあります。炎症の強い赤ニキビがある場合、抗菌薬をニキビに直接塗り、その周囲にエピデュオゲルを広げて塗るという方法が取られることがあります。

ただし、同じ部位に複数の外用薬を重ねて塗ると刺激が強くなる可能性があるため、使用方法は医師の指示に従ってください。

Q4. エピデュオゲルは市販で購入できますか?

A4. エピデュオゲルは医療用医薬品であり、医師の処方が必要です。ドラッグストアなどで市販されているニキビ治療薬とは異なり、市販では購入できません。

インターネット上では個人輸入で購入できるサイトもありますが、海外製品は日本で承認された製品とは成分や濃度が異なる可能性があります。また、偽造品のリスクもあるため、必ず医療機関を受診して処方を受けてください。

Q5. エピデュオゲルをやめたらニキビが再発しますか?

A5. 個人差がありますが、治療を完全に中止すると再発する可能性はあります。

ニキビは、毛穴の詰まりやすさ、皮脂の分泌量、ホルモンバランスなど、様々な要因が関係しています。エピデュオゲルでニキビが改善しても、これらの根本的な要因がなくなるわけではありません。

そのため、急性期の治療でニキビが改善した後も、週に1〜2回程度の使用を継続する「維持療法」が推奨されることがあります。再発予防のための使用方法については、医師と相談してください。

Q6. エピデュオゲルを塗り忘れた場合はどうすればいいですか?

A6. 塗り忘れた場合は、翌日の夜に通常通り使用してください。塗り忘れを取り戻すために1日に2回塗ったり、翌日に2倍量を塗ったりしないでください。

ニキビ治療は長期的に継続することが重要であり、1回の塗り忘れで効果が大きく低下することはありません。慌てずに、次回から通常通り使用を継続してください。


11. まとめ

エピデュオゲルで肌がボロボロになる現象は、約80%の使用者が経験する一般的な反応であり、多くの場合、薬が効いている証拠です。

肌荒れの原因は、アダパレンの角化抑制作用と過酸化ベンゾイルの角層剥離作用によるもので、これらは同時にニキビを改善する効果も発揮しています。

症状は使用開始から2週間程度でピークを迎え、その後徐々に改善していきます。この期間を乗り越えることが、ニキビ改善への第一歩です。

肌がボロボロになったときの対処法としては、保湿の徹底、使用量の調整、塗布後の洗い流し、使用頻度の調整などがあります。自己判断で中止せず、医師と相談しながら治療を継続することが大切です。

ただし、強い赤み、腫れ、かゆみ、ジュクジュクした浸出液などの症状がある場合は、接触皮膚炎(かぶれ)の可能性があるため、すぐに使用を中止して医師に相談してください。

ニキビ治療は長期戦です。最初の辛い時期を乗り越えれば、ニキビのできにくい健やかな肌を手に入れることができます。不安なことがあれば、いつでも当院にご相談ください。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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