胃に優しい食べ物とは?医師が教える胃腸をいたわる食事法と具体的な食材一覧

「最近、胃が重い」「食後に胃もたれがする」「何を食べても胃が痛くなる」——このような悩みを抱えている方は少なくありません。忙しい現代社会では、不規則な食生活やストレス、過度な飲酒などにより、胃腸のトラブルを抱える方が増えています。

胃は私たちが口にした食べ物を一時的に貯蔵し、消化液と混ぜ合わせて小腸へ送り出すという重要な役割を担っています。この繊細な臓器に負担をかけ続けると、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんのリスクにもつながりかねません。

本記事では、消化器内科の観点から「胃に優しい食べ物」について詳しく解説します。具体的な食材や調理法、食べ方のコツから、逆に避けるべき食品まで、胃腸の健康を守るための実践的な情報をお届けします。


目次

  1. 胃の仕組みと消化のメカニズム
  2. 「胃に優しい」とはどういうことか
  3. 胃に優しい食べ物一覧
  4. 胃に負担をかける食べ物
  5. 胃に優しい調理法と食べ方のコツ
  6. 症状別おすすめの食事
  7. 胃腸を守る生活習慣
  8. 医療機関を受診すべきタイミング
  9. まとめ

1. 胃の仕組みと消化のメカニズム

胃の基本的な働き

胃は私たちの消化管において、食道と小腸の間に位置する袋状の臓器です。成人の胃の容量は空腹時で約50mL程度ですが、食事をすると最大で1.5〜2L程度まで拡張します。胃の主な役割は以下の3つに大別されます。

第一に、食べ物の一時的な貯蔵です。口から入った食べ物は食道を通って胃に到達し、ここで一定時間滞留します。胃は蠕動運動(ぜんどううんどう)と呼ばれる収縮運動によって、食べ物を胃液と混ぜ合わせながら、少しずつ十二指腸へと送り出します。

第二に、食べ物の消化です。胃液に含まれるペプシンというタンパク質分解酵素が、肉や魚、卵などに含まれるタンパク質を分解します。また、胃液に含まれる塩酸(胃酸)は、食べ物に付着した細菌を殺菌する役割も担っています。

第三に、胃粘膜の自己防御です。胃は自らが分泌する強酸性の胃酸から胃壁を守るため、粘液を分泌して粘膜を保護しています。この防御機構が何らかの原因で破綻すると、胃炎や胃潰瘍が発生します。

三大栄養素の消化時間

食べ物が胃の中に滞留する時間は、その栄養素の種類によって大きく異なります。一般的に、炭水化物が最も短く2〜3時間程度、タンパク質は4〜5時間程度、脂質は7〜8時間程度かかるとされています。

この消化時間の違いを理解することは、胃に優しい食事を考える上で非常に重要です。脂質を多く含む食べ物は消化に時間がかかり、その分だけ胃への負担が大きくなります。一方、炭水化物を中心とした食事は比較的早く消化されるため、胃への負担が軽減されます。


2. 「胃に優しい」とはどういうことか

消化の良さと胃への負担

「胃に優しい食べ物」とは、端的に言えば「消化に負担がかからない食べ物」のことを指します。具体的には以下のような特徴を持つ食品が該当します。

まず、脂肪分が少ないことが挙げられます。脂質は消化に最も時間がかかる栄養素であり、胃の運動を抑制する作用もあります。そのため、脂肪分の多い食品は胃もたれや膨満感の原因となりやすいのです。

次に、食物繊維が少ないことも重要な要素です。食物繊維は人間の消化酵素では分解できない成分であり、胃腸を通過するのに時間がかかります。キノコ類や海藻類、根菜類などの食物繊維が多い食品は、胃の調子が悪いときには控えめにするのが望ましいでしょう。

また、刺激が少ないことも大切です。香辛料や酸味の強い食品、カフェインやアルコールなどは、胃酸の分泌を促進したり、胃粘膜を直接刺激したりする作用があります。これらの刺激物は、胃が弱っているときには避けるべきです。

温度と物理的な状態

食べ物の温度も胃への負担に影響します。冷たい食べ物や飲み物は胃の運動を抑制し、消化の妨げになることがあります。一方で、熱すぎる食べ物は胃や食道の粘膜を傷つける可能性があるため、人肌程度の温かさが最も胃に優しいとされています。

さらに、食べ物の物理的な状態も考慮が必要です。やわらかく調理された食品は、噛む回数が少なくても十分に細かくなり、胃での消化がスムーズに進みます。逆に、硬い食品や噛みごたえのある食品は、十分に咀嚼しないと胃への負担が増加します。


3. 胃に優しい食べ物一覧

主食:炭水化物を中心とした食品

胃の調子が優れないときの主食として最も推奨されるのは、おかゆやうどんです。これらは水分を多く含み、やわらかく、消化しやすい形状であるため、弱った胃にも負担がかかりにくいという特徴があります。

おかゆは米を多量の水で炊いた料理で、通常のご飯よりもやわらかく、水分も豊富です。体調を崩した際に昔から食されてきた代表的な養生食であり、消化吸収がスムーズで、必要なエネルギーを効率よく摂取できます。

うどんも胃に優しい主食の代表格です。うどんは小麦粉、塩、水というシンプルな材料で作られており、脂質や食物繊維が少なく、消化に時間がかかりません。離乳食にも取り入れられることからも、消化器に負担をかけにくい食品であることがわかります。

食パンも比較的消化しやすい主食ですが、バターやマーガリンを塗りすぎると脂質が増えてしまうため、プレーンな状態で食べるのが望ましいでしょう。

一方で、そばやラーメン、中華麺、玄米、スパゲッティなどは、うどんやおかゆと比較すると食物繊維が多く、消化に時間がかかります。胃の調子が悪いときには控えめにするのが賢明です。

主菜:タンパク質源

胃に優しいタンパク質源としては、脂肪分の少ない肉や魚が挙げられます。

鶏むね肉や鶏ささみは、脂肪が少なく良質なタンパク質を含む代表的な食材です。皮を取り除いて蒸したり、茹でたりすることで、さらに脂肪分を抑えることができます。

白身魚も胃に優しい食品の一つです。かれい、たら、鯛、すずきなどの白身魚は、青魚や赤身魚と比較して脂肪分が少なく、消化しやすい特徴があります。煮魚やムニエルよりも、蒸し魚や湯引きなど、油を使わない調理法がより胃に優しいでしょう。

卵も優れたタンパク質源です。特に半熟卵は消化しやすく、約1時間半程度で胃を通過するとされています。ただし、目玉焼きや卵焼きなど油を使った調理法の場合は、消化時間が3時間程度に延びるため、胃の調子が悪いときは茹で卵や温泉卵がおすすめです。

豆腐は植物性タンパク質の中でも特に消化しやすい食品です。やわらかく、のど越しもよいため、食欲がないときでも食べやすいでしょう。湯豆腐にすることで体も温まり、より胃に優しくなります。

魚肉練り製品であるかまぼこも、胃に優しいタンパク質源として注目されています。魚のすり身を加工して作られるかまぼこは、そのままの魚よりも消化吸収がよく、温かいうどんや鍋に加えると、より胃に負担をかけずにタンパク質を摂取できます。

副菜:野菜類

野菜類は一般的に食物繊維を含むため、胃の調子が悪いときには種類と調理法を工夫する必要があります。

胃に優しい野菜の代表格がキャベツです。キャベツには「ビタミンU」(別名キャベジン)と呼ばれる成分が豊富に含まれています。ビタミンUは胃粘膜を保護し、傷ついた粘膜の修復を促進する働きがあり、胃腸薬の有効成分としても広く使用されています。生で食べるとビタミンUを効率よく摂取できますが、胃が弱っているときはスープなどに加熱して食べるとより消化しやすくなります。

大根もまた、胃に優しい野菜として古くから知られています。大根にはジアスターゼ(アミラーゼ)という消化酵素が豊富に含まれており、でんぷんの消化を助ける働きがあります。「大根おろしに医者いらず」という言い伝えがあるほど、胃腸の調子を整える効果が期待されています。ただし、ジアスターゼは熱に弱いため、効果を期待するなら大根おろしやサラダなど生で食べることが重要です。

かぶにも大根と同様にジアスターゼが含まれており、消化を助ける効果があります。やわらかく煮た蕪は胃に優しく、おかゆの具としても最適です。

山芋は大根の3倍もの消化酵素を含むとされ、疲れた胃腸の強い味方です。とろろ汁やとろろご飯など、加熱せずに食べることで消化酵素の効果を最大限に活かすことができます。

ほうれん草、小松菜、白菜、カボチャなどは、やわらかく煮れば胃に優しい野菜となります。これらは食物繊維もそれほど多くなく、加熱することで消化しやすくなります。

一方、ごぼう、たけのこ、れんこんなどの根菜類や、きのこ類、海藻類、こんにゃく、さつまいもなどは食物繊維が多く、胃の調子が悪いときには避けるのが望ましいでしょう。

乳製品

乳製品に含まれるタンパク質「カゼイン」は、肉のタンパク質とは異なり、加熱しなくてもそのままの形で消化可能な構造をしています。そのため、牛乳やヨーグルト、フレッシュチーズなどの乳製品は、胃に優しい食品といえます。

さらに、乳製品には胃酸を中和し、胃粘膜への刺激を和らげる効果もあるとされています。ただし、脂肪分の高いチーズやアイスクリームは消化に時間がかかるため、低脂肪の製品を選ぶとよいでしょう。

また、乳糖不耐症の方は牛乳を飲むと腹部の不快感や下痢を起こすことがあります。そのような方は、乳糖が分解されたヨーグルトや乳糖除去牛乳を選ぶとよいでしょう。

果物

果物は一般的に消化が早く、胃に優しい食品です。特にバナナ、りんご、桃、メロンなどは消化しやすく、胃の調子が悪いときでも食べやすい果物です。りんごをすりおろしたものは、赤ちゃんの離乳食にも使われるほど消化吸収がよい食品です。

缶詰の果物も、生の果物よりもやわらかく加工されているため、消化しやすいという利点があります。

ただし、パイナップルやドライフルーツ、柑橘類などは酸味が強かったり、食物繊維が多かったりするため、胃の調子が悪いときには控えめにしましょう。


4. 胃に負担をかける食べ物

胃を労わるためには、胃に優しい食品を摂ることと同様に、胃に負担をかける食品を避けることも重要です。

脂肪分の多い食品

天ぷら、唐揚げ、トンカツ、フライドポテトなどの揚げ物は、脂質が多く消化に時間がかかります。また、豚バラ肉、牛カルビ、鶏の皮つき肉、ベーコン、ソーセージなども脂肪分が多い食品です。

さらに、うなぎ、さば、ぶり、まぐろのトロなどの脂の乗った魚も、白身魚と比較すると消化に時間がかかります。

バターやマーガリン、生クリームを多用した料理、マヨネーズを多く使ったサラダなども、脂質過多となりやすいため注意が必要です。

刺激の強い食品

唐辛子、わさび、からし、こしょう、カレー粉などの香辛料は、胃酸の分泌を促進し、胃粘膜を刺激する作用があります。辛いものが好きな方も、胃の調子が悪いときは控えめにしましょう。

にんにくや生姜も、適量であれば消化を助ける効果がありますが、過剰に摂取すると胃を刺激する原因となります。

柑橘類や酢、トマトなどの酸味の強い食品も、胃酸過多の状態では胃粘膜を刺激することがあります。

カフェインとアルコール

コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、胃酸の分泌を促進する作用があります。空腹時にこれらを摂取すると、胃酸が胃粘膜を刺激して胃痛を引き起こすことがあります。

アルコールは胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こす原因となります。特に空腹時の飲酒は胃への負担が大きく、急性胃炎の原因となることもあります。

その他の注意すべき食品

炭酸飲料は胃を膨張させ、ゲップや胃の不快感の原因となることがあります。また、冷たい飲み物は胃の運動を抑制するため、大量に摂取することは避けましょう。

チョコレートは脂質とカフェインを含み、下部食道括約筋を緩める作用もあるため、胃食道逆流症(GERD)の方は特に注意が必要です。

塩分の高い食品も胃粘膜への刺激となるため、漬物やしょうゆ、味噌などは控えめに使用しましょう。


5. 胃に優しい調理法と食べ方のコツ

調理法の工夫

胃に優しい調理法としては、茹でる、蒸す、煮る、スープにするなど、油を使わない方法が推奨されます。

同じ食材でも調理法によって消化のしやすさは大きく変わります。例えば卵の場合、半熟卵は約1時間半で消化されますが、目玉焼きや卵焼きなど油を使った調理では3時間程度かかります。

野菜類は生のままでは繊維質が硬く消化しにくいことがありますが、やわらかく煮ることで消化しやすくなります。ポタージュスープやみそ汁の具として、野菜をやわらかく煮て食べるのは良い方法です。

肉や魚も、焼くよりも煮る、蒸すなどの調理法の方が脂肪分を抑えることができ、胃に優しくなります。

食べ方の工夫

よく噛んで食べることは、消化を助ける最も基本的な方法です。咀嚼によって食べ物が細かくなるだけでなく、唾液が分泌されて消化酵素(アミラーゼ)が炭水化物の消化を開始します。一口あたり20〜30回程度噛むことを意識しましょう。

また、咀嚼の刺激は消化器官に「これから食べ物が運ばれてくる」という合図となり、胃腸が準備を整える効果もあります。

食事はゆっくりと時間をかけて食べることも大切です。早食いは胃に一度に大量の食べ物が入り、負担が増加します。また、空気を飲み込みやすくなり、膨満感やゲップの原因にもなります。

一度に大量に食べるのではなく、腹八分目を心がけることも重要です。胃が過度に膨張すると、消化効率が低下し、胃もたれの原因となります。場合によっては、1回の食事量を減らして回数を増やす(1日5〜6回の分食)という方法も効果的です。

食後すぐに横にならないことも、胃の健康のためには重要です。食後は胃酸の分泌が活発になっており、横になると胃酸が食道に逆流しやすくなります。少なくとも食後2〜3時間は横にならないようにしましょう。


6. 症状別おすすめの食事

胃もたれ・膨満感があるとき

胃もたれや膨満感があるときは、消化のよい炭水化物を中心とした食事が適しています。おかゆ、うどん、やわらかく煮た野菜、温かいスープなどがおすすめです。

大根おろしや山芋のとろろなど、消化酵素を含む食品を取り入れることで、消化を助けることができます。キャベツのスープも、ビタミンUの働きにより胃粘膜の保護に役立ちます。

脂っこい食品、食物繊維の多い食品、刺激物は避け、少量ずつ複数回に分けて食べるようにしましょう。

胃痛・胸やけがあるとき

胃痛や胸やけは、胃酸が過剰に分泌されているか、胃粘膜が傷ついている可能性があります。このようなときは、胃酸の分泌を促進する食品を避けることが重要です。

カフェイン、アルコール、香辛料、酸味の強い食品、炭酸飲料などは控えましょう。代わりに、胃酸を中和する効果のある牛乳やヨーグルトを少量摂取するのもよいでしょう。

食事は少量ずつ、ゆっくりと食べ、空腹時間が長くなりすぎないように注意しましょう。空腹時は胃酸が胃粘膜を直接刺激するため、症状が悪化することがあります。

食欲がないとき

食欲がないときでも、脱水や栄養不足を防ぐために、できる範囲で食事を摂ることが大切です。

このようなときは、のど越しがよく食べやすい食品を選びましょう。ゼリー、プリン、ヨーグルト、果物の缶詰、おかゆ、うどんなどが適しています。

水分補給も重要です。白湯、ほうじ茶、薄めたスポーツドリンクなどで、こまめに水分を摂取しましょう。

梅干しに含まれるクエン酸は、唾液や胃液の分泌を促し、食欲増進に役立つとされています。おかゆに梅干しを添えたり、梅しょう番茶を飲んだりするのもよいでしょう。

急性胃炎のとき

急性胃炎の症状が強いときは、まず胃を休ませることが最優先です。症状が激しい期間は、白湯や番茶など水分のみを摂り、半日〜1日程度の絶食も検討されます。

症状が落ち着いてきたら、重湯やスープなどの流動食から始め、徐々におかゆ、軟らかく煮た野菜、白身魚などの消化のよい食品に移行していきます。

回復後も1週間程度は消化のよい食事を心がけ、刺激物やアルコールは避けましょう。


7. 胃腸を守る生活習慣

規則正しい食生活

1日3食を規則正しい時間に食べることで、胃腸のリズムが整い、消化機能が正常に働きやすくなります。朝食を抜くなどの欠食は、長時間の空腹により胃酸過多の状態を招きやすく、胃粘膜を傷つける原因となります。

また、夜遅い時間の食事は避けましょう。就寝前3時間以内の食事は、睡眠中も胃に食べ物が残った状態となり、胃に負担がかかります。さらに、横になることで胃酸が逆流しやすくなり、胃食道逆流症のリスクも高まります。

適度な運動

適度な運動は、消化管をコントロールする自律神経のバランスを整え、胃腸の働きを活発にする効果があります。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を、無理のない範囲で習慣化することが望ましいでしょう。

ただし、食後すぐの激しい運動は避けてください。食後は消化のために血液が胃腸に集中しており、運動によって血流が筋肉に向かうと消化不良の原因となります。

十分な睡眠とストレス管理

睡眠不足やストレスは、自律神経のバランスを乱し、胃酸の過剰分泌や胃の運動機能の低下を引き起こします。十分な睡眠時間を確保し、自分なりのストレス解消法を見つけることが、胃腸の健康維持には欠かせません。

深呼吸、瞑想、趣味の時間、友人との会話など、リラックスできる時間を意識的に設けましょう。

禁煙・節酒

喫煙は胃の血流を悪化させ、胃粘膜の修復を妨げます。また、胃酸の分泌を増加させる作用もあり、胃潰瘍のリスクを高めます。胃の健康を守るためには、禁煙が強く推奨されます。

アルコールは適量であれば問題ありませんが、過度の飲酒は胃粘膜を直接傷つけ、急性胃炎の原因となります。1日の純アルコール量は男性で20g程度、女性で10g程度を目安とし、週に2日は休肝日を設けることが望ましいでしょう。


8. 医療機関を受診すべきタイミング

胃の不調は多くの場合、食生活の改善や休養によって回復しますが、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

胃痛や胃もたれが2週間以上続く場合は、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの可能性も考えられます。特に40歳以上の方は、定期的な胃カメラ検査(内視鏡検査)を受けることが推奨されています。

吐血(血を吐く)や黒色便(タール便)が見られた場合は、胃や十二指腸から出血している可能性があり、緊急の対応が必要です。すぐに医療機関を受診してください。

急激な体重減少、食事が喉を通らない、飲み込みにくいなどの症状も、重篤な疾患のサインである可能性があります。

また、市販の胃薬を服用しても症状が改善しない場合や、症状が悪化している場合も、医師の診察を受けることが大切です。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染は、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因となることが知られています。日本消化器病学会の「消化性潰瘍診療ガイドライン2020」でも、ピロリ菌陽性の場合は除菌治療が推奨されています。胃の不調が続く方は、ピロリ菌検査を受けることも検討してください。

参考:日本消化器病学会 消化性潰瘍診療ガイドライン


9. まとめ

胃に優しい食べ物とは、脂肪分が少なく、食物繊維が控えめで、刺激が少なく、やわらかい食品のことを指します。おかゆ、うどん、白身魚、鶏むね肉、豆腐、やわらかく煮た野菜、乳製品などが代表的です。

一方で、揚げ物や脂肪分の多い食品、香辛料、カフェイン、アルコール、炭酸飲料などは胃に負担をかけるため、胃の調子が悪いときには控えましょう。

調理法としては、茹でる、蒸す、煮るなど油を使わない方法が推奨されます。また、よく噛んでゆっくり食べる、腹八分目を心がける、食後すぐに横にならないなど、食べ方の工夫も大切です。

消化酵素を含む大根おろしや山芋、胃粘膜を保護するビタミンUを含むキャベツなど、胃に良い成分を含む食品を積極的に取り入れることも効果的です。

胃腸の健康は、食事だけでなく、規則正しい生活習慣、十分な睡眠、ストレス管理、禁煙・節酒など、総合的な生活改善によって守られます。

胃の不調が長く続く場合や、気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。早期発見・早期治療が、より深刻な疾患の予防につながります。


参考文献


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断を代替するものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、必ず医療機関を受診してください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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