🤒 インフルエンザにかかったとき、多くの方が最も心配されるのが「高熱がいつまで続くのか」という点です。突然の高熱に襲われ、仕事や学校を休まなければならない状況で、回復までの見通しを知りたいと思うのは当然のことです。
📋 本記事では、インフルエンザによる発熱の期間、熱の推移パターン、適切な対処法、そして受診が必要なタイミングについて、医学的根拠に基づいて詳しく解説します。

🦠 インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。一般的な風邪とは異なり、全身症状が強く現れることが特徴です。
🔬 インフルエンザウイルスの種類
インフルエンザウイルスには主に以下の型があります。
🅰️ A型インフルエンザ:最も流行しやすく、症状が重篤化しやすい型です。変異しやすい性質を持ち、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こすこともあります。毎年冬季に流行する季節性インフルエンザの多くがこの型です。
🅱️ B型インフルエンザ:A型ほど大きな流行にはなりにくいものの、毎年一定数の患者が発生します。消化器症状を伴うことが比較的多いとされています。
©️ C型インフルエンザ:症状が軽く、多くの場合は普通の風邪と区別がつきにくい程度です。大きな流行を起こすことはほとんどありません。
🐄 D型インフルエンザ:主に家畜に感染するウイルスで、人への感染はほとんど報告されていません。
🔄 インフルエンザの感染経路
インフルエンザは主に以下の経路で感染します。
💨 飛沫感染が最も一般的な感染経路です。感染者の咳やくしゃみによって飛散したウイルスを含む飛沫を、周囲の人が吸い込むことで感染します。飛沫は約1〜2メートルの範囲に飛散するため、感染者の近くにいると感染リスクが高まります。
👆 接触感染も重要な感染経路の一つです。ウイルスが付着した手で口や鼻、目などを触ることで感染が成立します。ドアノブ、電車のつり革、共有のパソコンのキーボードなど、多くの人が触れる場所を介した感染も少なくありません。
🌡️ インフルエンザの発熱は何日続くのか
インフルエンザによる発熱期間は、多くの方が最も知りたい情報の一つです。ここでは、典型的な発熱のパターンと期間について詳しく解説します。
📅 一般的な発熱期間
インフルエンザに感染した場合、多くのケースでは発熱期間は3〜4日程度です。厚生労働省の情報によると、インフルエンザの症状は通常1週間程度で回復しますが、高熱が続くのはそのうち数日間です。
具体的には以下のようなパターンが一般的です。
1️⃣ 発症1日目:突然の高熱(38℃以上、多くは39〜40℃)が出現します。発熱と同時に悪寒、関節痛、筋肉痛、頭痛などの全身症状が現れます。
2️⃣ 発症2〜3日目:高熱が持続します。この時期が最も症状が強い時期で、倦怠感や食欲不振も顕著です。多くの場合、この時期に受診される方が多く見られます。
3️⃣ 発症4日目以降:徐々に熱が下がり始めます。ただし、一旦下がった熱が再び上がる「二峰性発熱」のパターンを示すこともあります。
4️⃣ 発症5〜7日目:多くの場合、この頃には熱が平熱に戻ります。ただし、咳や倦怠感などの症状は残ることがあります。
💊 抗インフルエンザ薬を使用した場合
抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、イナビルなど)を発症48時間以内に服用した場合、発熱期間が1〜2日程度短縮されることが報告されています。
❌ 抗インフルエンザ薬を使用しない場合:発熱期間は平均3〜4日
✅ 抗インフルエンザ薬を使用した場合:発熱期間は平均2〜3日
⚠️ ただし、抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に服用を開始することが重要です。この時間を過ぎると、ウイルスの増殖がピークを過ぎてしまい、薬の効果が限定的になります。
👨👩👧👦 年齢や体質による違い
発熱期間は個人差があり、以下のような要因によって変動します。
👶 年齢による違いとして、小児の場合は比較的早く熱が下がる傾向がありますが、合併症のリスクも高いため注意が必要です。高齢者の場合、熱が出にくいこともありますが、症状が長引きやすく重症化リスクが高いため、より慎重な経過観察が必要です。
🏥 基礎疾患の有無も発熱期間に影響します。糖尿病、心臓病、呼吸器疾患などの基礎疾患がある方は、症状が長引きやすく、重症化のリスクも高くなります。
🛡️ 免疫状態も重要な要因です。過去のインフルエンザ感染歴やワクチン接種歴がある場合、免疫が部分的に働き、症状が軽く済んだり発熱期間が短くなったりすることがあります。
🍎 栄養状態や疲労度も影響します。日頃から疲れが溜まっていたり、栄養状態が良くない場合は、回復に時間がかかることがあります。
📊 インフルエンザの発熱パターンと特徴
インフルエンザの発熱には特徴的なパターンがあります。これを理解することで、適切な対処や受診のタイミングを判断しやすくなります。
⚡ 突然の高熱
インフルエンザの最大の特徴は、突然の高熱です。朝は何ともなかったのに、午後になって急に38℃以上の高熱が出るというケースが典型的です。
この急激な発熱は、インフルエンザウイルスの増殖スピードと、それに対する体の免疫反応の強さを反映しています。一般的な風邪が徐々に症状が悪化するのに対し、インフルエンザは数時間の間に一気に症状が現れます。
🔥 高熱の程度
インフルエンザでは、多くの場合38℃以上、しばしば39〜40℃の高熱が出ます。国立感染症研究所の報告でも、インフルエンザの典型的な症状として38℃以上の発熱が挙げられています。
⚠️ ただし、高齢者や免疫力が低下している方では、高熱が出ないこともあります。これは、発熱を起こす免疫反応自体が弱まっているためです。熱が出ないからといって軽症とは限らず、むしろ重症化のサインである可能性もあるため注意が必要です。
📈📉 二峰性発熱
インフルエンザでは、一度熱が下がった後に再び熱が上がる「二峰性発熱」というパターンを示すことがあります。
典型的なパターンとしては、発症2〜3日目に一度熱が下がり、その後4〜5日目に再び熱が上がるというものです。これは、ウイルスの再増殖や細菌の二次感染、あるいは免疫反応の変動などが原因と考えられています。
🚨 二峰性発熱が見られた場合、特に二度目の発熱が強い場合や、新たな症状(耳の痛み、激しい咳、呼吸困難など)が伴う場合は、合併症の可能性があるため医療機関を受診することが推奨されます。
📉 解熱後の経過
熱が下がった後も、しばらくは倦怠感や咳などの症状が続くことがあります。また、厚生労働省の学校保健安全法では、「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」を出席停止期間としています。
⚠️ これは、熱が下がった後もしばらくはウイルスを排出し、他人に感染させる可能性があるためです。症状が改善したからといってすぐに通常の活動に戻ると、周囲への感染拡大や自身の症状悪化につながる可能性があります。
🤕 インフルエンザの発熱に伴う症状
インフルエンザでは、発熱とともに様々な症状が現れます。これらの症状を理解することで、インフルエンザかどうかの判断材料になります。
🌪️ 全身症状
インフルエンザの特徴的な症状として、発熱とともに現れる強い全身症状があります。
🥶 悪寒と寒気は、多くの場合発熱の初期に現れます。体温が急激に上がる際、体が震えるような強い寒気を感じることがあります。これは、体が体温を上げようとする防御反応です。
💢 関節痛と筋肉痛も顕著な症状です。全身の関節や筋肉が痛み、特に腰や背中、手足の痛みを訴える方が多く見られます。この痛みは、ウイルス感染に対する免疫反応によって引き起こされる炎症性物質(サイトカイン)の作用によるものです。
🤯 頭痛も一般的な症状で、特に額や目の奥が痛むことが多いです。この頭痛は、発熱や炎症反応に伴うものです。
😩 倦怠感と疲労感も強く現れます。体を動かすのが辛く、日常生活に支障をきたすほどの強い倦怠感を感じることがあります。
🫁 呼吸器症状
発熱とともに、または発熱がピークを過ぎた後に、呼吸器症状が現れます。
😷 咳は比較的早期から出現し、熱が下がった後も1〜2週間続くことがあります。初期は乾いた咳(乾性咳嗽)が多く、後期には痰を伴う咳(湿性咳嗽)に変わることもあります。
🗣️ のどの痛みや鼻水・鼻づまりも見られますが、普通の風邪に比べると比較的軽度であることが多いです。
🚨 呼吸困難感は、通常のインフルエンザではあまり見られませんが、肺炎などの合併症が起きている場合や、もともと呼吸器疾患がある場合には注意が必要です。
🤢 消化器症状
特にB型インフルエンザでは、消化器症状を伴うことがあります。
🤮 吐き気や嘔吐は、特に小児でよく見られます。食欲不振も一般的で、発熱期間中は食事が摂れないこともあります。
💩 下痢や腹痛が現れることもありますが、これらの症状が主体となる場合は、感染性胃腸炎など他の疾患の可能性も考慮する必要があります。
🩺 インフルエンザの発熱への対処法
インフルエンザで発熱した場合、適切な対処を行うことで症状を和らげ、回復を早めることができます。
😴 安静と休養
発熱時の最も重要な対処法は、十分な安静と休養です。
体がウイルスと戦っている時期であり、無理に活動するとかえって回復が遅れたり、症状が悪化したりする可能性があります。仕事や学校は休み、自宅でゆっくり過ごすことが重要です。
💤 睡眠も非常に大切です。睡眠中に体の免疫機能が最も活発に働くため、できるだけ多くの睡眠時間を確保しましょう。
💧 水分補給
発熱時は発汗により体内の水分が失われやすくなります。脱水を防ぐため、こまめな水分補給が必要です。
水やお茶、スポーツドリンクなど、飲みやすいものを少量ずつ頻繁に摂取しましょう。一度に大量に飲むよりも、少しずつこまめに飲む方が効果的です。
⚠️ 特に高齢者や小児では脱水のリスクが高いため、より注意深い水分管理が必要です。尿の色が濃くなっている、口の中が乾燥している、皮膚の弾力がない、といった脱水の兆候が見られた場合は、医療機関を受診することを検討してください。
🏠 室内環境の調整
快適な室内環境を保つことも重要です。
🌡️ 室温は20〜22℃程度が適切です。暑すぎると体温が下がりにくく、寒すぎると体力を消耗します。
💨 湿度も大切で、40〜60%程度を保つことが推奨されます。乾燥していると喉の粘膜が傷つきやすくなり、ウイルスの侵入を防ぐバリア機能が低下します。加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして湿度を保ちましょう。
🪟 換気も定期的に行い、室内の空気を新鮮に保つことが大切です。ただし、急激な温度変化は避け、短時間で効率的に換気を行いましょう。
💊 解熱剤の使用
高熱で非常に辛い場合、解熱剤の使用を検討することもあります。
👨 成人の場合、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどが使用できます。ただし、解熱剤は熱を下げるだけで、ウイルスをやっつけるわけではありません。また、熱を無理に下げすぎると、かえって回復が遅れる可能性もあります。
👶 小児の場合は、アセトアミノフェンが第一選択となります。アスピリンは、インフルエンザの小児に使用すると、まれにライ症候群という重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、使用を避けるべきです。
⚠️ 解熱剤を使用する際は、用法用量を守り、不明な点があれば医師や薬剤師に相談することが重要です。
🍚 栄養摂取
食欲がない場合でも、可能な範囲で栄養を摂取することが大切です。
🥣 消化の良いもの、例えばおかゆ、うどん、スープなどから始めましょう。ビタミンやミネラルを含む果物や野菜のジュースも良い選択肢です。
⚠️ ただし、無理に食べる必要はありません。食欲がない時期は、水分補給を優先し、少しずつ食べられるものを摂取するようにしましょう。
🛡️ 二次感染の予防
家族内での感染拡大を防ぐため、以下の対策が重要です。
🚪 可能であれば、感染者は別室で過ごすようにします。同じ部屋で過ごす場合は、1〜2メートル以上の距離を保つようにしましょう。
🗑️ 使用したティッシュはすぐにビニール袋に入れて密閉し、こまめに処分します。
🧼 手洗いを徹底し、特に感染者の世話をした後や、共有物に触れた後は必ず手を洗いましょう。
🧽 タオルや食器は共有せず、感染者専用のものを使用します。
🏥 医療機関を受診すべきタイミング
インフルエンザの症状が現れた場合、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。
⏰ 早期受診が推奨されるケース
以下のような場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが推奨されます。
⏱️ 高熱が出て48時間以内の場合:抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に服用を開始することで最も効果を発揮します。早めの受診で、症状の軽減と発熱期間の短縮が期待できます。
👴👵 高齢者や基礎疾患のある方:重症化リスクが高いため、早めの受診と治療開始が重要です。
👶 乳幼児の場合:小児、特に乳幼児はインフルエンザ脳症などの重篤な合併症のリスクがあるため、早めの受診が推奨されます。
🤰 妊婦の場合:妊娠中は免疫力が変化し、重症化しやすいため、早めの受診が必要です。
🚨 緊急受診が必要な症状
以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診、または救急車を呼ぶことを検討してください。
😮💨 呼吸困難や息切れが強い場合:肺炎などの合併症の可能性があります。呼吸が苦しい、ゼーゼーという音がする、などの症状がある場合は緊急性が高いです。
🧠 意識障害が見られる場合:呼びかけに対する反応が鈍い、意味不明なことを言う、異常な行動をとるなどの症状は、インフルエンザ脳症などの重篤な合併症の可能性があります。
⚡ けいれんを起こした場合:特に小児で見られることがありますが、けいれんが5分以上続く、繰り返し起こるなどの場合は、すぐに医療機関を受診してください。
🤮 嘔吐や下痢が激しく水分が摂れない場合:脱水が進行している可能性があります。尿が出ない、ぐったりしているなどの症状を伴う場合は特に注意が必要です。
💔 胸痛がある場合:心筋炎などの合併症の可能性があります。
💙💜 唇や爪が紫色になっている場合:チアノーゼと呼ばれる症状で、体内の酸素が不足している状態です。
🔥 発熱が長引く場合
通常、インフルエンザの発熱は3〜4日程度で治まります。しかし、以下のような場合は再度受診を検討してください。
5️⃣ 5日以上高熱が続く場合:細菌の二次感染や他の合併症の可能性があります。
🔄 一度下がった熱が再び上がった場合:二次感染の可能性があります。特に、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎などの合併症を起こしている可能性があります。
🆕 新たな症状が現れた場合:耳の痛み、激しい咳、胸痛、呼吸困難などの症状が新たに出現した場合は、合併症の可能性があるため受診が必要です。
⚠️ インフルエンザの合併症
インフルエンザは、時として重篤な合併症を引き起こすことがあります。
🫁 肺炎
インフルエンザの最も一般的な合併症の一つが肺炎です。
インフルエンザウイルスそのものによる「ウイルス性肺炎」と、ウイルス感染後に細菌感染が加わる「細菌性肺炎」があります。
肺炎の症状としては、高熱の持続、激しい咳、息切れ、胸痛などがあります。インフルエンザの症状が一度改善した後に再び悪化する場合は、細菌性肺炎を疑う必要があります。
⚠️ 高齢者や基礎疾患のある方、妊婦などは肺炎を起こしやすいため、特に注意が必要です。
🧠 インフルエンザ脳症
主に小児に見られる重篤な合併症で、厚生労働省の情報でも注意喚起されています。
発熱後、急激に意識障害やけいれん、異常行動などが現れます。早期発見と治療が予後を左右するため、異常な症状が見られた場合はすぐに医療機関を受診することが重要です。
⚠️ インフルエンザ脳症の予防のためにも、小児にアスピリンを使用しない、高熱が出たら早めに受診するなどの対応が大切です。
💔 心筋炎・心膜炎
まれですが、インフルエンザウイルスが心臓に炎症を起こすことがあります。
胸痛、動悸、息切れなどの症状が現れます。重症の場合は心不全を引き起こすこともあるため、これらの症状が見られた場合はすぐに医療機関を受診してください。
👂👃 中耳炎・副鼻腔炎
特に小児で見られやすい合併症です。
👂 中耳炎は、耳の痛み、発熱、耳だれなどの症状が現れます。副鼻腔炎は、顔面痛、鼻づまり、黄色い鼻水などの症状が特徴です。
これらの合併症は、インフルエンザの初期症状が改善した後に現れることが多いため、症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。
💪 筋炎
まれに、インフルエンザウイルスが筋肉に炎症を起こすことがあります。
特にふくらはぎの痛みや腫れが特徴的です。歩くのが困難になるほどの痛みが現れることもあります。
多くは小児に見られますが、成人でも起こることがあります。
🔬 インフルエンザの診断と治療
インフルエンザが疑われる場合、医療機関ではどのような診断と治療が行われるのでしょうか。
🧪 診断方法
インフルエンザの診断には、主に迅速診断キットが使用されます。
鼻やのどから綿棒で検体を採取し、15分程度で結果が出ます。この検査により、インフルエンザA型・B型の判定ができます。
⚠️ ただし、発症直後(発熱から12時間以内)では、ウイルス量が少なく偽陰性(実際はインフルエンザなのに陰性と出る)となることがあります。そのため、発症後12〜24時間経ってから検査を受けるのが理想的とされています。
また、迅速検査が陰性でも、症状や周囲の流行状況から総合的に判断し、インフルエンザと診断されることもあります。
💊 抗インフルエンザ薬
インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬が使用されることがあります。
主な抗インフルエンザ薬には以下のものがあります。
💊 オセルタミビル(タミフル):内服薬で、1日2回、5日間服用します。最も広く使用されている抗インフルエンザ薬です。
💨 ザナミビル(リレンザ):吸入薬で、1日2回、5日間使用します。
💨 ラニナミビル(イナビル):吸入薬で、1回の吸入で治療が完了します。
💊 バロキサビル(ゾフルーザ):内服薬で、1回の服用で治療が完了します。比較的新しい薬です。
これらの薬は、発症後48時間以内に使用を開始することで、発熱期間を1〜2日程度短縮し、症状を軽減する効果があります。
⚠️ ただし、健康な成人の場合、抗インフルエンザ薬を使用しなくても自然に回復することが多いため、必ずしも全員に処方されるわけではありません。重症化リスクの高い方(高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児など)に優先的に使用されます。
🩹 対症療法
発熱や痛みに対しては、解熱鎮痛剤が処方されることがあります。
咳がひどい場合は咳止め、鼻水がひどい場合は抗ヒスタミン薬など、症状に応じた薬が処方されます。
⚠️ ただし、これらの薬は症状を和らげるためのものであり、ウイルスそのものをやっつけるわけではありません。
🛡️ 予防投与
家族内でインフルエンザ患者が出た場合、特に重症化リスクの高い方には、予防的に抗インフルエンザ薬が処方されることがあります。
⚠️ ただし、予防投与は保険適用外となることが多く、自費診療となる場合があります。
🛡️ インフルエンザの予防
インフルエンザを予防することは、自分自身を守るだけでなく、周囲への感染拡大を防ぐためにも重要です。
💉 ワクチン接種
インフルエンザ予防の最も効果的な方法は、ワクチン接種です。
厚生労働省の指針でも、インフルエンザワクチンの接種が推奨されています。特に、高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、医療従事者などは積極的な接種が推奨されます。
✅ ワクチン接種により、インフルエンザの発症リスクが約50〜60%減少すると報告されています。また、発症した場合でも重症化を防ぐ効果があります。
インフルエンザワクチンは、接種後2週間程度で効果が現れ、約5ヶ月間持続します。日本では通常10月頃から接種が開始され、流行期の12月までに接種を完了することが推奨されます。
🔄 ワクチンは毎年接種する必要があります。これは、インフルエンザウイルスが毎年変異すること、また前年の免疫が徐々に低下することによります。
🧼 手洗いとうがい
基本的な感染予防対策として、手洗いとうがいが重要です。
👐 手洗いは、石けんを使って少なくとも20秒間、指の間、爪の間、手首まで丁寧に洗います。外出から帰った時、食事の前、トイレの後などに必ず行いましょう。
💧 うがいは、のどの粘膜に付着したウイルスを洗い流す効果があります。帰宅時や人混みから帰った後に行うと良いでしょう。
🧴 アルコール消毒液も効果的です。外出先で手洗いができない場合は、アルコール消毒液を携帯して使用するのも良い方法です。
😷 マスクの着用
マスクは、感染者が周囲にウイルスを拡散させないための「咳エチケット」として重要です。
⚠️ 自分が感染している可能性がある場合や、咳やくしゃみの症状がある場合は、必ずマスクを着用しましょう。
また、流行期に人混みに行く際や、医療機関を受診する際にもマスク着用が推奨されます。
⚠️ ただし、マスクだけでは完全にウイルスの侵入を防ぐことはできません。マスク着用とともに、手洗いなど他の予防策も併用することが大切です。
🚫 人混みを避ける
インフルエンザの流行期には、可能な限り人混みを避けることが推奨されます。
やむを得ず人混みに行く場合は、マスクを着用し、帰宅後は手洗い・うがいを徹底しましょう。
⚠️ 体調が優れない時は外出を控え、自宅で休養することが、自分自身の健康を守るとともに、他人への感染拡大を防ぐことにつながります。
💪 免疫力を高める生活習慣
日頃から免疫力を高めておくことも、インフルエンザ予防に役立ちます。
😴 十分な睡眠をとることが重要です。睡眠不足は免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなります。
🍎 バランスの良い食事を心がけましょう。ビタミンCやビタミンD、亜鉛など、免疫機能に関わる栄養素を意識的に摂取することが大切です。
🏃 適度な運動も免疫力を高めます。ただし、過度な運動はかえって免疫力を低下させることがあるため、適度な強度を心がけましょう。
😌 ストレスをためないことも大切です。慢性的なストレスは免疫力を低下させるため、リラックスする時間を持つようにしましょう。
🚭 禁煙も重要です。喫煙は気道の粘膜を傷つけ、ウイルスの侵入を防ぐバリア機能を低下させます。
❓ よくある質問
🆚 インフルエンザと普通の風邪の違いは?
インフルエンザと普通の風邪は、原因となるウイルスが異なり、症状の現れ方も異なります。
🤒 インフルエンザは、突然の高熱(38℃以上)で発症し、全身症状(関節痛、筋肉痛、強い倦怠感など)が強く現れるのが特徴です。発熱、悪寒、頭痛が初期から顕著に見られます。
🤧 一方、普通の風邪は、のどの痛み、鼻水、くしゃみなどの呼吸器症状から始まることが多く、発熱は軽度(37〜38℃程度)か、出ないこともあります。全身症状は比較的軽く、徐々に症状が進行します。
⚡ また、インフルエンザは症状の出現が急激で、数時間のうちに一気に悪化するのに対し、風邪は1〜2日かけて徐々に症状が現れます。
🚪 熱が下がったら外出しても良い?
熱が下がっても、すぐに外出するのは避けるべきです。
📚 学校保健安全法では、「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」を出席停止期間としています。
⚠️ これは、熱が下がった後も、しばらくはウイルスを排出し続け、他人に感染させる可能性があるためです。
🏠 成人の場合も、この基準に準じて、発症後5日間、かつ解熱後2日間は外出を控え、自宅で静養することが推奨されます。
また、熱が下がっても咳や倦怠感などの症状が残っている間は、体力が完全に回復していない状態です。無理をせず、十分に休養をとることが大切です。
👨👩👧👦 家族がインフルエンザになった場合の対策は?
家族内での感染拡大を防ぐため、以下の対策が重要です。
🚪 可能であれば、感染者は別室で過ごすようにします。同じ部屋で過ごす場合は、1〜2メートル以上の距離を保ち、マスクを着用しましょう。
👤 感染者の看病をする人は、できるだけ決まった一人に限定します。特に高齢者や基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児は看病を避けるようにしましょう。
😷 看病の際は、マスクを着用し、看病後は必ず手を洗います。
🧺 タオルや食器は共有せず、感染者専用のものを用意します。
🪟 部屋の換気をこまめに行い、室内の湿度を40〜60%に保ちます。
🧴 ドアノブ、スイッチ、リモコンなど、多くの人が触れる場所は、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
🗑️ 感染者が使用したティッシュなどは、ビニール袋に入れて密閉してから捨てます。
🧼 家族全員が手洗いを徹底し、特に食事前や外出後は必ず行います。
💊 重症化リスクの高い家族がいる場合は、医師に相談し、予防投与を検討することも選択肢の一つです。
🔄 インフルエンザに二度かかることはある?
同じシーズン内に二度インフルエンザにかかることは、まれですがあり得ます。
🅰️🅱️ インフルエンザにはA型とB型があり、一度A型にかかった後にB型にかかる、ということは起こり得ます。また、A型の中にもいくつかの亜型があり、異なる亜型に感染する可能性もあります。
🛡️ 一度感染すると、その型に対する免疫ができますが、この免疫は数ヶ月から1年程度で徐々に低下していきます。
🔄 また、インフルエンザウイルスは変異しやすいため、以前感染した型のウイルスが変異すると、再度感染する可能性があります。
⚠️ ただし、同じシーズン内に同じ型のウイルスに二度感染することは、非常にまれです。
🤰 妊娠中のインフルエンザは?
妊娠中は免疫状態が変化するため、インフルエンザに感染すると重症化しやすくなります。
⚠️ 妊婦がインフルエンザにかかると、肺炎などの合併症のリスクが高くなり、早産や低出生体重児のリスクも上昇する可能性があります。
🏥 そのため、妊婦はインフルエンザの高リスク群とされており、厚生労働省でもワクチン接種が推奨されています。
💊 妊娠中にインフルエンザ様の症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。抗インフルエンザ薬も、医師の判断のもとで妊婦に使用することができます。
💉 妊娠中のワクチン接種は、妊娠のどの時期でも可能で、母体だけでなく胎児や出生後の赤ちゃんを守る効果もあります。
💉 インフルエンザワクチンの効果と副作用は?
インフルエンザワクチンは、発症リスクを約50〜60%減少させ、発症した場合でも重症化を防ぐ効果があります。
👴 特に高齢者では、肺炎などの重篤な合併症や死亡のリスクを大幅に減少させることが報告されています。
💉 ワクチン接種後の副作用としては、注射部位の痛みや腫れ、発赤が最も一般的です。これらは通常2〜3日で治まります。
😌 まれに、発熱、頭痛、倦怠感などの全身反応が現れることがありますが、多くは軽度で数日で回復します。
⚠️ 非常にまれですが、重篤な副作用として、アナフィラキシー(重度のアレルギー反応)やギラン・バレー症候群(神経の病気)が報告されています。これらの発生頻度は極めて低く、ワクチン接種による利益の方がはるかに大きいとされています。
🥚 卵アレルギーのある方は、ワクチンの製造過程で卵が使用されるため、接種前に医師に相談する必要があります。ただし、軽度の卵アレルギーであれば接種可能な場合が多いです。
📅 インフルエンザの流行時期と型の特徴
🗓️ 流行時期
日本では、インフルエンザは例年11月頃から流行が始まり、1〜3月頃にピークを迎えます。
❄️ この時期に流行する理由としては、気温の低下と湿度の低下により、ウイルスが活動しやすい環境になること、また乾燥により気道の粘膜が傷つきやすくなり、ウイルスが侵入しやすくなることが挙げられます。
🏠 また、冬季は屋内で過ごす時間が長くなり、換気が不十分になりがちなことも、感染拡大の一因となります。
⚠️ ただし、近年は流行のパターンに変化が見られることもあり、夏季にも散発的な流行が起こることがあります。
🅰️🅱️ A型とB型の違い
🅰️ A型インフルエンザは、最も流行しやすく、症状も比較的重い傾向があります。変異しやすい性質を持つため、毎年少しずつ性質が変わり、時に大きな流行を引き起こします。
発熱は高く(39〜40℃)、関節痛や筋肉痛などの全身症状が強く現れます。流行のピークは1〜2月頃です。
🅱️ B型インフルエンザは、A型ほど大きな流行にはなりにくいものの、毎年一定数の患者が発生します。A型に比べて変異が少なく、症状もやや軽い傾向があります。
🤢 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢など)を伴うことが比較的多いとされています。流行のピークは2〜3月頃で、A型よりやや遅い時期に流行することが多いです。
⚠️ ただし、個人差が大きく、必ずしもこのパターンに当てはまらないこともあります。

📝 まとめ
✅ インフルエンザによる発熱は、多くの場合3〜4日程度続き、抗インフルエンザ薬を使用することで1〜2日程度短縮できる可能性があります。
💤💧 発熱時は十分な安静と水分補給を心がけ、必要に応じて解熱剤を使用しながら、体がウイルスと戦うのを助けることが大切です。
🚨 5日以上高熱が続く場合や、呼吸困難、意識障害などの重篤な症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
🏠 また、熱が下がっても、発症後5日間、かつ解熱後2日間は外出を控え、他人への感染拡大を防ぐことが重要です。
🛡️ インフルエンザの予防には、ワクチン接種、手洗い・うがい、マスクの着用、人混みを避けるなどの対策が効果的です。
💪 日頃から免疫力を高める生活習慣を心がけ、流行期には特に注意して過ごすようにしましょう。
🏥 発熱などの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
📚 参考文献
- 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
- 国立感染症研究所「インフルエンザとは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/flu.html
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務