お正月やお祝いの席で欠かせない餅ですが、毎年のように窒息事故のニュースが報道されています。消費者庁の調査によると、餅による窒息事故は年間を通じて発生しており、特に1月に集中しています。しかし、正しい食べ方と対策を知っていれば、餅を安全に楽しむことができます。この記事では、餅がつまりにくい食べ方のポイントから、万が一つまった場合の応急処置まで、医学的な観点から詳しく解説します。ご家族みんなで安心して餅を味わうために、ぜひ参考にしてください。

目次
- 🎯 餅が喉につまりやすい理由とは
- 📋 餅がつまりにくい食べ方の基本ポイント
- 🍽️ 餅の調理法別・つまりにくくする工夫
- 👴 高齢者が餅を安全に食べるための対策
- 👶 子どもに餅を与える際の注意点
- 🚨 餅がつまった時の応急処置
- 🏠 餅による窒息を防ぐための環境づくり
- ❓ よくある質問
- 📚 参考文献
この記事のポイント
餅による窒息事故は高齢者に特に多く、小さく切る・よく噛む・水分で流し込まない・見守り体制の確保が基本的予防策。万一の際は背部叩打法やハイムリック法で対応し、迷わず119番通報することが重要。
🎯 餅が喉につまりやすい理由とは
餅による窒息事故を予防するためには、まず餅がなぜ喉につまりやすいのかを理解することが重要です。餅の特性と人体の構造の両面から、つまりやすさの原因を見ていきましょう。
🔸 餅の物理的特性がもたらす危険性
餅は他の食品と比較して、非常に特殊な物理的特性を持っています。まず、餅は粘着性が極めて高い食品です。もち米に含まれるアミロペクチンという成分が、餅特有の粘りを生み出しています。この粘りが喉や気道の粘膜に張り付くと、容易には剥がれません。通常の食べ物であれば、咳をしたり水を飲んだりすることで異物を排出できますが、餅の場合はその粘着性によって気道に固着してしまうのです。
また、餅は温度によって硬さが大きく変化します。温かい状態では柔らかく伸びやすいですが、口の中や喉で冷えると急速に硬くなります。この温度変化による硬化が、餅を喉から取り除くことを困難にする要因の一つです。特に冬場は室温も低いため、餅が冷えるスピードが速く、より危険性が高まります。
さらに、餅は弾力性があるため、噛み切りにくいという特徴があります。歯で噛んでも完全に切断されず、伸びてしまうことが多いです。このため、十分に小さくならないまま飲み込んでしまい、喉につまるリスクが高まります。
⚠️ 窒息事故が起きやすい人の特徴
餅による窒息事故は、特定の条件を持つ方に多く発生しています。最もリスクが高いのは高齢者です。消費者庁のデータによると、餅による窒息死亡事故の約9割が65歳以上の高齢者に発生しています。高齢者は加齢に伴い、嚥下機能(飲み込む力)が低下しています。喉の筋肉が弱くなり、食べ物を食道へ送り込む力が衰えるため、餅のような粘着性の高い食品を飲み込むことが困難になります。
また、高齢者は唾液の分泌量も減少しています。唾液には食べ物を滑らかにして飲み込みやすくする役割がありますが、唾液が少ないと餅が喉に張り付きやすくなります。さらに、咳反射(異物が気道に入った時に咳で排出する反射)も弱くなっているため、餅が気道に入っても効果的に排出できないことがあります。
乳幼児も餅による窒息のリスクが高いグループです。乳幼児は咀嚼機能が未発達で、食べ物を十分に噛み砕くことができません。また、気道が細いため、小さな餅の塊でも窒息につながる可能性があります。
その他にも、脳卒中の後遺症がある方、パーキンソン病などの神経疾患を持つ方、入れ歯を使用している方なども、嚥下機能に問題を抱えていることが多く、餅による窒息のリスクが高まります。
📊 餅による窒息事故の発生状況
餅による窒息事故は、毎年一定数発生しています。厚生労働省の人口動態統計によると、食品による窒息死亡事故は年間約4,000件以上発生しており、その中でも餅は特に危険な食品として知られています。事故の発生時期は1月に集中しており、お正月に餅を食べる機会が増えることが原因と考えられています。
事故の多くは自宅で発生しています。家族が見守っている状況でも事故は起きており、一瞬の出来事で窒息に至ることがあります。また、救急搬送されても助からないケースも少なくありません。気道が完全に塞がれると、数分で意識を失い、脳への酸素供給が途絶えることで深刻な後遺症が残ったり、死亡に至ったりすることがあります。
このような統計データからも、餅を食べる際には十分な注意と対策が必要であることがわかります。しかし、適切な対策を講じれば、餅を安全に楽しむことは十分に可能です。
Q. 餅が喉につまりやすい理由は何ですか?
餅はもち米に含まれるアミロペクチンによる高い粘着性を持ち、気道の粘膜に張り付くと咳や水分では剥がれにくい特性があります。また温度低下で急速に硬化し、弾力性により噛み切りにくいため、大きな塊のまま飲み込んでしまうリスクが高まります。
📋 餅がつまりにくい食べ方の基本ポイント
餅を安全に食べるためには、いくつかの基本的なポイントを押さえることが重要です。これらのポイントは年齢を問わず、誰もが実践すべき基本事項です。
✂️ 餅は小さく切ってから食べる
餅がつまりにくい食べ方の最も基本的なポイントは、餅を小さく切ってから食べることです。一口で食べられるサイズ、具体的には2〜3センチ角程度に切り分けることをお勧めします。大きな餅をそのまま口に入れると、十分に噛み砕く前に飲み込んでしまうリスクがあります。
📌 切り分ける際は、調理前の硬い状態で切るとよいでしょう。焼いたり煮たりした後の柔らかい餅は、包丁で切ると伸びてしまい、きれいに切り分けることが難しくなります。市販の切り餅を使用する場合も、必要に応じてさらに小さく切り分けることを検討してください。
また、しゃぶしゃぶ用の薄切り餅や、あられ餅のような小さな餅を選ぶのも一つの方法です。これらは最初から小さなサイズになっているため、窒息のリスクを軽減できます。
🦷 よく噛んで唾液と混ぜる
餅を食べる際は、とにかくよく噛むことが重要です。最低でも30回以上は噛むことを意識してください。よく噛むことで餅が細かくなり、喉を通過しやすくなります。また、噛む動作によって唾液の分泌が促進されます。唾液は餅の表面を滑らかにし、喉への張り付きを防ぐ効果があります。
📌 噛む際は、奥歯でしっかりとすり潰すように噛むことを心がけてください。前歯だけで噛むと、餅が伸びるだけで細かくなりません。奥歯を使って、餅をペースト状に近づけるまで十分に噛み砕くことが理想的です。
また、急いで食べないことも重要です。時間に追われていると、十分に噛まないまま飲み込んでしまいがちです。餅を食べる際は、時間に余裕を持ち、ゆっくりと食事を楽しむ姿勢が大切です。
💧 水分を先に摂っておく
餅を食べる前に、お茶やお吸い物などの水分を摂っておくことをお勧めします。水分を摂ることで、口の中や喉が潤い、餅が滑りやすくなります。特に高齢者は唾液の分泌量が少ないため、水分で口の中を潤しておくことが効果的です。
⚠️ ただし、餅を飲み込む際に水分で流し込もうとするのは危険です。餅が十分に噛み砕かれていない状態で水分と一緒に飲み込むと、かえって窒息のリスクが高まることがあります。水分はあくまでも食べる前の準備として摂り、餅はしっかりと噛んでから飲み込むようにしてください。
また、熱いお茶を飲んだ直後に餅を食べると、口の中が温まって餅が柔らかくなりすぎ、噛み切りにくくなることがあります。適度な温度の飲み物を選ぶとよいでしょう。
🍽️ 一口の量を少なくする
たとえ小さく切った餅でも、一度に複数個を口に入れることは避けてください。一口の量が多いと、口の中で餅がまとまって大きな塊になってしまいます。必ず一切れずつ、口の中のものを飲み込んでから次の一切れを口に入れるようにしましょう。
📌 特に、おいしい餅を食べているときは、つい次々と口に運びたくなるものです。しかし、この「急いで食べる」行動が窒息事故の原因となることが多いです。一口食べるごとに箸を置き、完全に飲み込んでから次の一口に進むという習慣をつけることをお勧めします。
🔇 食べながら話をしない
餅を食べている最中は、会話を控えることが安全につながります。話をしながら食べると、笑ったり驚いたりした拍子に、十分に噛み砕いていない餅を飲み込んでしまうことがあります。また、話をするために息を吸い込む際に、餅が気道に入り込んでしまう危険性もあります。
家族や友人と食事をする際は、餅を口に入れている間は会話を控え、完全に飲み込んでから話すようにしましょう。特にお正月などの楽しい雰囲気の中では、つい話が弾んでしまいますが、安全のために意識的に注意することが大切です。

Q. 餅を安全に食べるための基本的なポイントは?
餅を安全に食べるには、2〜3センチ角に小さく切る、奥歯で30回以上よく噛む、一口ずつ完全に飲み込んでから次を口に入れる、食べながら話をしない、の4点が基本です。水分で流し込む食べ方は窒息リスクを高めるため避けてください。
🍽️ 餅の調理法別・つまりにくくする工夫
餅の調理方法によって、つまりやすさは変わってきます。それぞれの調理法に合わせた工夫を知っておくことで、より安全に餅を楽しむことができます。
🔥 焼き餅を安全に食べる方法
焼き餅は表面がパリッと香ばしく、中はもちもちとした食感が魅力です。しかし、この表面と中身の硬さの違いが、窒息リスクを高める原因にもなります。焼き餅を安全に食べるためには、いくつかの工夫が必要です。
📌 まず、焼き加減に注意してください。表面だけが焼けて中が硬いままの状態は避け、中までしっかりと柔らかくなるまで加熱することが重要です。オーブントースターで焼く場合は、弱火でゆっくりと加熱すると、中まで均一に柔らかくなります。
焼き上がった餅は、熱いうちに食べることをお勧めします。冷めると餅が硬くなり、噛み切りにくくなるためです。ただし、熱すぎる状態で急いで食べると、十分に噛まずに飲み込んでしまう可能性があるため、適度に冷ましてから食べてください。
焼き餅には醤油や砂糖醬油をつけて食べることが多いですが、これらの調味料をつけることで餅の表面が滑らかになり、喉を通りやすくなる効果があります。海苔を巻いて食べる磯辺焼きは、海苔が餅のまとまりを良くする一方で、海苔自体が喉に張り付くこともあるため、小さく切って食べることをお勧めします。
🍲 雑煮を安全に食べる方法
お正月の定番である雑煮は、餅が汁物の中に入っているため、焼き餅よりは比較的食べやすいとされています。しかし、それでも注意が必要です。雑煮を安全に食べるためのポイントを確認しましょう。
雑煮に入れる餅は、十分に煮て柔らかくすることが基本です。餅が箸で簡単に切れるくらいまで柔らかく煮ることで、噛みやすく、飲み込みやすくなります。煮る時間の目安は、餅の大きさや種類によって異なりますが、しっかりと柔らかくなるまで加熱してください。
雑煮を食べる際は、餅だけでなく具材や汁と一緒に口に入れることで、餅が唾液や汁と混ざり合い、滑らかになります。⚠️ ただし、餅を汁で流し込むような食べ方は避けてください。あくまでも餅はよく噛んでから飲み込むことが重要です。
また、雑煮の餅を器から箸で持ち上げる際に、餅が伸びて長くなることがあります。長い状態の餅をそのまま口に入れると危険なため、必ず箸で切り分けるか、一度器に戻して小さくしてから口に運ぶようにしてください。
🥜 きなこ餅・あんこ餅を安全に食べる方法
きなこ餅やあんこ餅は、餅に粉状や練り状のものがまぶされている、またはかかっているため、独特の注意点があります。きなこ餅の場合、きなこの粉が気管に入るとむせる原因になります。きなこをまぶす量を控えめにし、餅にしっかりと絡めてから食べるようにしてください。
あんこ餅は、餅とあんこの両方が粘着性を持っているため、喉に張り付きやすい組み合わせです。あんこの量を調整し、餅全体を包み込むようにすることで、ある程度は喉への張り付きを軽減できます。また、あんこ餅も小さく切り分けて、一口サイズで食べることが重要です。
📌 いずれの場合も、温かいお茶などを用意しておき、口の中を適度に潤しながら食べることをお勧めします。
🥣 おしるこ・ぜんざいを安全に食べる方法
おしるこやぜんざいは、甘い小豆の汁の中に餅が入っている料理です。雑煮と同様に汁物ですが、甘い汁が餅の表面を覆っているため、比較的滑りやすくなっています。しかし、この滑りやすさが逆に危険を招くこともあります。滑りやすいために、十分に噛まないまま飲み込んでしまう可能性があるためです。
おしるこやぜんざいを食べる際も、餅は小さく切ってから入れることをお勧めします。また、餅は必ずよく噛んでから飲み込み、汁で流し込むような食べ方は避けてください。
白玉団子を使用したおしるこであれば、切り餅よりも小さいため、窒息のリスクは比較的低くなります。高齢者や小さなお子さんには、餅の代わりに白玉団子を使用することも検討してみてください。
👴 高齢者が餅を安全に食べるための対策
高齢者は餅による窒息事故のリスクが最も高い年齢層です。加齢に伴う身体機能の変化を考慮した上で、適切な対策を講じることが重要です。
🔍 嚥下機能の低下を理解する
高齢者の餅による窒息事故を予防するためには、まず嚥下機能の低下について理解することが大切です。嚥下とは、食べ物を口から胃まで送り込む一連の動作のことを指します。この嚥下機能は、加齢とともに徐々に低下していきます。
具体的には、舌や喉の筋力が低下することで、食べ物を奥へ送り込む力が弱くなります。また、喉頭蓋(こうとうがい)という、食べ物が気管に入らないようにする蓋の動きも鈍くなります。さらに、嚥下反射のタイミングがずれやすくなり、食べ物が気管に入り込みやすくなります。
⚠️ これらの変化は、自覚しにくいことが多いです。普段は問題なく食事ができていても、餅のような特殊な食品を食べたときに、突然窒息事故が起きることがあります。高齢者本人も、ご家族も、この点を十分に理解しておく必要があります。
💡 高齢者向けの餅の食べ方
高齢者が餅を安全に食べるためには、基本的な注意事項に加えて、さらに慎重な対策が必要です。まず、餅のサイズは通常よりもさらに小さく、1〜2センチ角程度にすることをお勧めします。また、餅は十分に柔らかく調理し、硬い部分が残らないようにしてください。
食べる際は、一口ごとに完全に飲み込んでから次の一口に進むことを徹底してください。急かさず、本人のペースでゆっくりと食べてもらうことが大切です。また、食事中は姿勢を正し、やや前かがみの姿勢で食べることで、食べ物が気管に入りにくくなります。
📌 可能であれば、餅を食べている間は家族が近くで見守ることをお勧めします。万が一の事態が発生した場合に、すぐに対応できる体制を整えておくことが重要です。
✨ 嚥下機能に不安がある場合の代替策
嚥下機能に明らかな低下が見られる高齢者や、過去にむせやすい症状があった方の場合は、通常の餅を避けることも選択肢の一つです。最近では、高齢者向けに開発された「やわらか餅」や「嚥下しやすい餅」といった商品も販売されています。これらの商品は、通常の餅よりも柔らかく、粘りが少ないため、窒息のリスクが軽減されています。
また、餅の代わりに餅風の食感を楽しめる代替食品を選ぶこともできます。例えば、上新粉を使った団子や、米粉を使ったお菓子などは、餅に似た風味を楽しみながらも、窒息のリスクが低い食品です。
どうしても伝統的な餅を食べたい場合は、事前にかかりつけ医に相談することをお勧めします。嚥下機能の評価を受け、専門家のアドバイスに基づいて判断することが安全です。
🦷 入れ歯使用者への注意点
入れ歯を使用している方は、餅を食べる際に特別な注意が必要です。入れ歯は天然の歯と比較して、噛む力が弱くなりがちです。また、餅の粘着性によって入れ歯が外れてしまう危険性もあります。入れ歯が外れた状態で餅が喉に入ると、さらに窒息のリスクが高まります。
📌 入れ歯使用者が餅を食べる場合は、入れ歯がしっかりと固定されていることを確認してください。入れ歯安定剤を使用することも有効です。また、餅はより小さく切り、十分に時間をかけて噛むことを心がけてください。
入れ歯の調子が悪い場合や、入れ歯なしで食事をすることが多い場合は、餅を食べることを控えることをお勧めします。
Q. 高齢者が餅を食べる際に必要な対策は?
高齢者は加齢により嚥下機能や咳反射が低下しているため、餅は1〜2センチ角とさらに小さく切り、十分に柔らかく調理することが重要です。食事中は家族が近くで見守り、本人のペースでゆっくり食べさせてください。嚥下機能に不安がある場合はかかりつけ医への相談をお勧めします。
👶 子どもに餅を与える際の注意点
子どもも餅による窒息事故のリスクが高いグループの一つです。子どもの発達段階に応じた適切な対応が必要です。
📅 餅を与えてよい年齢の目安
餅をいつから子どもに与えてよいかという点については、明確な基準があるわけではありません。しかし、一般的には3歳以上になってから、少量ずつ与え始めることが推奨されています。3歳未満の子どもは、咀嚼機能や嚥下機能が未発達であり、餅のような粘着性の高い食品を安全に食べることが困難です。
📌 3歳を過ぎても、子どもによって発達には個人差があります。奥歯がしっかりと生えそろい、普段の食事で硬いものをきちんと噛んで食べられるようになってから、餅を与えることを検討してください。子どもの様子をよく観察し、無理に食べさせないことが大切です。
🍼 子どもへの餅の与え方
子どもに餅を与える際は、大人以上に細心の注意を払う必要があります。餅は必ず小さく切り、1センチ角程度のサイズにしてください。また、餅は十分に柔らかく調理し、噛みやすい状態にしておくことが重要です。
⚠️ 子どもが餅を食べている間は、必ず大人が付き添い、目を離さないでください。子どもは遊びながら食べたり、急いで食べたりしがちです。また、兄弟姉妹と一緒に食べていると、競争するように早食いをすることもあります。落ち着いた環境で、ゆっくりと食べさせることを心がけてください。
食べ方についても、具体的に教えてあげることが大切です。「小さく噛んでね」「ゆっくり食べようね」といった声かけを繰り返し行い、安全な食べ方を習慣づけてください。
❌ 子どもには避けたい餅の種類
子どもに与える餅の種類にも注意が必要です。つきたての餅は非常に柔らかく伸びやすいため、子どもには適していません。また、大きな丸餅や鏡餅を切り分けたものも、形状が不均一になりやすく、危険性が高まります。
📌 子どもには、市販の小さな切り餅をさらに細かく切ったものや、最初から小さなサイズで販売されている餅を選ぶことをお勧めします。また、きなこ餅は粉が気管に入るとむせる原因になるため、小さな子どもには避けた方がよいでしょう。
餅の代わりに、白玉団子や小さなお団子を使うことも一つの方法です。これらは餅よりもサイズが小さく、粘着性も比較的低いため、子どもでも安全に食べやすい食品です。
関連記事:餅が喉に詰まった時の自分でできる対処法と予防策を徹底解説で、さらに詳しい応急処置の方法について解説しています。
🚨 餅がつまった時の応急処置
万が一、餅が喉につまってしまった場合には、迅速かつ適切な応急処置が命を左右します。事前に応急処置の方法を知っておくことで、緊急時に冷静に対応できるようになります。
👁️ 窒息の兆候を見極める
まず、窒息が起きているかどうかを迅速に判断することが重要です。窒息の典型的な兆候としては、突然咳き込む、声が出せない、呼吸ができない、顔色が青紫色になる(チアノーゼ)、喉を両手で押さえる(チョークサイン)、意識がもうろうとするといった症状があります。
⚠️ 特に「声が出せない」「咳ができない」という状態は、気道が完全に塞がれている深刻な状態を示しています。このような場合は、一刻も早く応急処置を開始し、同時に救急車を呼ぶ必要があります。咳ができている場合は、まず咳を続けさせて、自力で餅を排出できるかどうか見守ってください。
🤲 背部叩打法の手順
背部叩打法は、窒息時の基本的な応急処置法の一つです。意識がある成人の場合、以下の手順で行います。
- 📌 まず、窒息者の横に立ち、片方の手で胸を支えながら、上体を前に傾けさせます
- 📌 次に、もう片方の手の付け根(手掌基部)を使って、肩甲骨の間を力強く叩きます
- 📌 叩く回数は最大5回までとし、1回叩くごとに餅が排出されたかどうかを確認してください
- 📌 餅が出てきたら、口の中から取り除きます
乳児(1歳未満)の場合は、片腕に乳児をうつ伏せに乗せ、頭を低くした状態で、肩甲骨の間を手の付け根で叩きます。力加減は成人よりも弱くし、乳児の体格に合わせて調整してください。
🆙 腹部突き上げ法(ハイムリック法)の手順
背部叩打法で餅が排出されない場合は、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を試みます。この方法は、腹部を圧迫することで横隔膜を急激に押し上げ、肺から空気を押し出して異物を排出させる方法です。
- 📌 意識がある成人の場合、窒息者の後ろに立ち、両腕を窒息者の腹部に回します
- 📌 片手を握りこぶしにして、親指側をへそより少し上、みぞおちより下の位置に当てます
- 📌 もう片方の手でこぶしを握り、素早く斜め上方向に突き上げます
- 📌 この動作を最大5回まで繰り返し、1回ごとに餅が排出されたかどうかを確認してください
⚠️ 腹部突き上げ法は内臓を損傷する可能性があるため、1歳未満の乳児や妊婦には行わないでください。また、肥満の方や妊婦の場合は、腹部ではなく胸部を圧迫する胸部突き上げ法を用います。
💭 意識がない場合の対応
窒息者の意識がなくなった場合は、すぐに心肺蘇生法(CPR)を開始する必要があります。まず、窒息者を仰向けに寝かせ、気道を確保します。次に、口の中を確認し、餅が見えれば指で取り除きます。見えない場合は無理に指を入れないでください。
その後、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を30回行い、人工呼吸を2回行います。このサイクルを救急隊が到着するまで続けてください。胸骨圧迫によって、異物が排出されることもあります。圧迫のたびに口の中を確認し、餅が見えれば取り除いてください。
AED(自動体外式除細動器)が近くにある場合は、心肺蘇生法と併用して使用してください。ただし、窒息による心停止の場合、AEDが電気ショックを必要としないと判断することもあります。その場合でも、心肺蘇生法は継続してください。
🚑 救急車を呼ぶタイミング
餅による窒息が疑われる場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。特に、声が出せない、呼吸ができない、顔色が変わっている、意識がもうろうとしている、意識がないといった場合は、一刻を争う緊急事態です。
📌 複数の人がいる場合は、一人が救急車を呼び、もう一人が応急処置を行うという役割分担をすると効率的です。一人しかいない場合は、まず119番に電話し、電話をつないだまま応急処置を行ってください。電話口のオペレーターが応急処置の指示を出してくれます。
応急処置で餅が取れた場合でも、喉や気道に損傷を受けている可能性があるため、医療機関を受診することをお勧めします。
Q. 餅が喉につまった時の応急処置の手順は?
声が出せない・呼吸できないなど窒息の兆候があれば、まず119番に通報します。意識がある場合は背部叩打法(肩甲骨の間を手の付け根で最大5回叩く)を行い、効果がなければ腹部突き上げ法(ハイムリック法)を試みます。意識がなくなった場合は心肺蘇生法を開始してください。
🏠 餅による窒息を防ぐための環境づくり
個人の食べ方の注意に加えて、周囲の環境を整えることも、餅による窒息事故を防ぐために重要です。家庭や施設で実践できる環境づくりについて解説します。
🍽️ 食事環境を整える
餅を食べる際の食事環境は、安全性に大きく影響します。まず、落ち着いて食事ができる静かな環境を整えてください。テレビを見ながら、または慌ただしい雰囲気の中で餅を食べることは、注意力が散漫になり、窒息のリスクが高まります。
📌 食卓の高さや椅子の位置も重要です。食事をする人が正しい姿勢で座れるように、椅子やテーブルの高さを調整してください。高齢者の場合は、やや前かがみの姿勢で食べられるように、クッションなどで姿勢をサポートすることも効果的です。
また、餅を食べる際には、水やお茶などの飲み物を手の届く場所に用意しておいてください。ただし、先述のとおり、餅を水分で流し込むような食べ方は危険なので、あくまでも食前や食後に口を潤す目的で使用してください。
👀 見守り体制を整える
高齢者や子どもが餅を食べる際には、必ず誰かが近くで見守る体制を整えてください。一人で餅を食べることは避け、万が一の事態に備えて、すぐに対応できる人がそばにいることが重要です。
📌 見守る人は、応急処置の方法を事前に習得しておくことが望ましいです。消防署や地域の講習会などで、心肺蘇生法や異物除去法を学ぶ機会があれば、積極的に参加してください。実際に人形を使って練習することで、緊急時にも落ち着いて対応できるようになります。
また、食事中に窒息が起きた場合に備えて、電話(携帯電話)をすぐに使える場所に置いておくことも大切です。119番に迅速に通報できる体制を整えておいてください。
🔧 食器や道具の工夫
餅を食べる際に使用する食器や道具にも工夫の余地があります。餅を小さく切るための専用のカッターや、餅を細かく砕くためのフォークなどを用意しておくと便利です。特に高齢者向けには、握りやすい持ち手の付いた道具や、力を入れなくても餅を切れる道具が販売されています。
📌 食べる際には、すべりにくい素材の器を使用することも一つの工夫です。器が動いてしまうと、餅を適切なサイズに切り分けることが難しくなります。すべり止めマットを敷くことも効果的です。
👨👩👧👦 家族での情報共有
餅による窒息事故を防ぐためには、家族全員が危険性と対策について理解していることが重要です。お正月前など、餅を食べる機会が増える時期に、家族で話し合う機会を設けてください。特に、高齢の家族がいる場合は、本人の嚥下機能の状態について共有し、どの程度の注意が必要かを確認しておくことが大切です。
📌 また、応急処置の方法についても家族で共有しておくことをお勧めします。緊急時には誰が救急車を呼び、誰が応急処置を行うかという役割分担を事前に決めておくと、混乱を防ぐことができます。
子どもにも、餅の危険性について年齢に応じた説明をしてください。「餅は小さく切って、よく噛んで食べる」「一人で餅を食べない」といった基本的なルールを伝えておくことで、事故を予防できます。
関連記事:冬の脱水症状は高齢者に多い?原因・症状・予防法を詳しく解説についても併せてご覧ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
お正月の時期になると、餅による窒息事故の搬送が例年増加する傾向にあります。特に高齢の方の事故が多く、ご家族も含めて予防意識を持っていただくことが重要です。万が一の事態に備えて、基本的な応急処置の知識を身につけておくことをお勧めします。

❓ よくある質問
一般的には3歳以上から少量ずつ与え始めることが推奨されています。ただし、子どもによって発達には個人差があるため、奥歯がしっかり生えそろい、普段の食事で硬いものをきちんと噛んで食べられるようになってからが望ましいです。与える際は必ず小さく切り、大人が付き添って見守ってください。
一般的には2〜3センチ角程度が目安です。高齢者や子どもの場合は、さらに小さく1〜2センチ角程度にすることをお勧めします。切り餅を使用する場合も、必要に応じてさらに小さく切り分けてください。一口で無理なく食べられるサイズにすることが重要です。
餅を飲み物で流し込む食べ方は危険です。十分に噛み砕いていない状態で水分と一緒に飲み込むと、かえって窒息のリスクが高まります。水分は食べる前に口を潤す目的で摂り、餅はしっかりと噛んでから飲み込むようにしてください。
嚥下機能に大きな問題がなければ、適切な対策を講じることで餅を楽しむことは可能です。餅を小さく切る、十分に柔らかく調理する、ゆっくりよく噛んで食べる、見守りをつけるなどの対策を行ってください。嚥下機能に不安がある場合は、やわらか餅などの代替商品や、かかりつけ医への相談をお勧めします。
背部叩打法で餅が排出されない場合は、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を試みてください。両方法を交互に行うことが推奨されています。意識がなくなった場合は心肺蘇生法を開始してください。いずれの場合も、すぐに119番に通報することが重要です。
入れ歯をしていても餅を食べることは可能ですが、特別な注意が必要です。入れ歯がしっかり固定されていることを確認し、入れ歯安定剤の使用も検討してください。餅は通常より小さく切り、時間をかけてよく噛むことが重要です。入れ歯の調子が悪い場合は、餅を控えることをお勧めします。
📚 参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
