鏡を見るたびに気になる鼻周りの赤み。メイクで隠そうとしても時間が経つと浮いてきてしまったり、人と話すときに視線が気になったりと、多くの方が悩んでいる肌トラブルのひとつです。
「なぜ小鼻だけが赤くなるの?」「これって自然に治るの?」そんな疑問を抱えている方も少なくありません。実は、鼻周りの赤みにはさまざまな原因があり、それぞれに適した対策や治療法があります。
この記事では、鼻周りの赤みの原因から具体的なセルフケア方法、医療機関での治療オプションまで、専門医の視点から詳しく解説していきます。新宿でお悩みの方も、まずは赤みの原因を正しく理解することが、適切なケアを始めるための第一歩です。

目次
- 鼻周りの赤みとは?特徴と見分け方
- 鼻周りの赤みを引き起こす主な原因
- 原因別の症状と特徴
- 日常生活でできるセルフケア
- 医療機関で受けられる治療法
- 鼻周りの赤みを予防するための生活習慣
- 治療を受ける際の注意点
- よくあるご質問
- まとめ:新宿で鼻周りの赤みにお悩みの方へ
1. 鼻周りの赤みとは?特徴と見分け方
鼻周りの赤みとは、小鼻や鼻の横、鼻筋などの部位に生じる皮膚の赤みのことを指します。一時的な赤みから慢性的に続く赤みまで、その症状はさまざまです。
鼻周りの皮膚の特徴
顔の中でも鼻周り、特に小鼻の周辺は非常にデリケートな部位です。その理由として、以下のような特徴が挙げられます。
まず、鼻周りの皮膚は他の部位と比べて薄いという特徴があります。皮膚が薄いということは、その下にある毛細血管が透けて見えやすいということを意味します。健康な状態でも毛細血管が透けて見えることがありますが、何らかの原因で血管が拡張したり、炎症が起きたりすると、赤みがより目立つようになります。
次に、鼻周りは顔の中でも特に皮脂分泌が盛んな部位です。額から鼻にかけてのいわゆるTゾーンには皮脂腺が多く分布しており、皮脂の分泌量が多くなりがちです。過剰な皮脂は毛穴の詰まりや炎症の原因となり、結果として赤みを引き起こすことがあります。
さらに、鼻周りは日常的にさまざまな刺激にさらされやすい部位でもあります。鼻をかむ動作、メガネの摩擦、メイクの際の摩擦、洗顔時のこすりすぎなど、無意識のうちに繰り返される刺激が蓄積すると、皮膚のバリア機能が低下し、赤みやかゆみ、炎症を引き起こしやすくなります。
赤みのタイプを見分けるポイント
鼻周りの赤みには、大きく分けて2つのタイプがあります。適切な対処法を選ぶためには、まず自分の赤みがどちらのタイプに当てはまるか確認することが大切です。
ひとつめは、毛細血管が透けて見えるタイプの赤みです。このタイプは、皮膚の下にある毛細血管が何らかの理由で拡張し、血流が増加することで赤く見える状態です。生まれつき皮膚が薄い方、色白の方、寒暖差で顔がほてりやすい方、緊張すると赤くなりやすい方などに多く見られます。
ふたつめは、肌の炎症による赤みです。こちらは皮膚に何らかの炎症が起きている状態で、赤みとともにかゆみ、ヒリヒリ感、フケのようなカサカサ、ニキビのようなぶつぶつなどの症状を伴うことがあります。
どちらのタイプなのか、あるいは両方のタイプが混在しているのかによって、効果的な治療法や対策が異なります。自己判断が難しい場合は、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
2. 鼻周りの赤みを引き起こす主な原因
鼻周りの赤みを引き起こす原因は多岐にわたります。ここでは、代表的な原因について詳しく解説します。
毛細血管拡張症
毛細血管拡張症は、皮膚表面の毛細血管が持続的に拡張した状態のことです。通常、毛細血管は皮膚の表面からは見えませんが、血管が拡張すると血流が増加し、皮膚を通して赤く見えるようになります。
毛細血管拡張が起こる原因としては、寒暖差の繰り返し、加齢による皮膚のコラーゲン減少(菲薄化)、長期間のステロイド外用薬使用、遺伝的な体質などが挙げられます。特に寒い地方に住んでいる方に赤ら顔が多いのは、外気と室内の寒暖差が激しい環境で生活しているためと考えられています。
酒さ(しゅさ)
酒さは、顔面を中心に発症する慢性的な炎症性皮膚疾患です。主に頬や鼻の周囲に持続的な赤みが見られ、毛細血管の拡張、ほてり感、時にはニキビのようなぶつぶつ(丘疹や膿疱)を伴うこともあります。
酒さの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、免疫系の異常、皮膚に常在するニキビダニ(毛包虫)の増殖、血管の過敏性などが関与していると考えられています。
日本皮膚科学会が公表している「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」によると、酒さは臨床的に以下の4つの型に分類されます。
- 紅斑・毛細血管拡張型:頬や鼻を中心に持続的な赤みと毛細血管の拡張が見られる
- 丘疹膿疱型:赤みに加えて、ニキビのようなぶつぶつや膿を持った発疹が現れる
- 瘤腫型(鼻瘤):鼻の皮膚が厚く肥厚し、だんご鼻のような外観になる
- 眼型:まぶたの炎症、結膜炎など目に症状が現れる
酒さは寛解と再燃を繰り返すことが多く、根気強い治療が必要です。症状をコントロールしながら、良好な状態を維持することが治療の目標となります。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が盛んな部位に起こる慢性的な炎症性皮膚疾患です。鼻周りのほか、眉間、眉毛、額の生え際、耳の後ろ、頭皮などにも症状が現れやすい特徴があります。
この疾患の特徴的な症状は、赤みに加えて細かいフケのようなカサカサ(鱗屑)を伴うことです。かゆみは軽度であることが多いですが、症状が悪化すると強いかゆみを感じることもあります。
脂漏性皮膚炎の発症には、マラセチアという真菌(カビの一種)が関与していると考えられています。マラセチアは健康な皮膚にも存在する常在菌ですが、皮脂が多い環境で増殖しやすく、皮脂を分解する際に生じる遊離脂肪酸が皮膚に刺激を与え、炎症を引き起こします。
ストレス、睡眠不足、ビタミンB群の不足、季節の変わり目なども悪化因子として知られています。特に冬から春にかけての乾燥する時期や、汗をかきやすい夏場に症状が悪化しやすい傾向があります。
接触皮膚炎(かぶれ)
接触皮膚炎は、特定の物質に触れることで皮膚に炎症が起こる状態です。赤み、かゆみ、ヒリヒリ感、腫れなどの症状が現れ、ひどい場合は水ぶくれやかさぶたができることもあります。
鼻周りの接触皮膚炎の原因として多いのは、化粧品やスキンケア製品に含まれる成分、金属(メガネのフレームやピアスなど)、香料、防腐剤などです。また、花粉症の時期に鼻をかみすぎてティッシュによる摩擦で皮膚が荒れることも、一種の接触皮膚炎と言えます。
ニキビ・ニキビ跡の赤み
鼻周りは皮脂分泌が盛んなため、ニキビができやすい部位です。ニキビそのものによる赤みはもちろん、ニキビが治った後も赤みが残ることがあります。これを炎症後紅斑と呼びます。
炎症後紅斑は、ニキビの炎症により毛細血管が増殖・拡張することで生じます。通常は肌のターンオーバーとともに徐々に薄くなっていきますが、炎症が強かった場合や繰り返しニキビができる場合は、赤みが長期間残ってしまうことがあります。
外的刺激による赤み
日常生活の中で受けるさまざまな外的刺激も、鼻周りの赤みの原因になります。
紫外線は皮膚にダメージを与え、毛細血管の拡張や炎症を引き起こす要因のひとつです。鼻は顔の中でも突出した部分であるため、紫外線を受けやすく、日焼け止めを塗っても皮脂や汗で落ちやすい部位です。
また、過度な洗顔やスクラブ洗顔、ゴシゴシとこするようなスキンケア、鼻パックの乱用なども皮膚にダメージを与え、バリア機能の低下や炎症を招きます。
3. 原因別の症状と特徴
鼻周りの赤みを適切にケアするためには、原因を正しく見極めることが重要です。ここでは、主な原因別の症状と特徴を詳しく解説します。
毛細血管拡張症の症状
毛細血管拡張症による赤みは、以下のような特徴があります。
まず、皮膚の表面に糸のような細い血管が透けて見えることがあります。赤みは持続的で、寒暖差や飲酒、緊張、運動などで一時的に強くなることがあります。かゆみやカサカサなどの症状は通常伴いません。赤みの範囲は比較的境界がはっきりしていることが多いです。
生まれつき色白の方や皮膚が薄い方に起こりやすく、年齢とともに赤みが目立つようになることもあります。これは加齢によって皮膚のコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚が薄くなる(菲薄化)ためです。
酒さの症状
酒さの症状は、進行度合いによって異なります。
初期段階では、顔が繰り返し赤くなったり、ほてったりする症状が現れます。この時点では一時的な赤みとして見過ごされることが多いですが、徐々に赤みが持続するようになります。
進行すると、毛細血管の拡張が常に見られるようになり、皮膚表面に細い血管が浮き出て見えることがあります。また、ヒリヒリ感やピリピリ感を感じることもあります。
さらに進行すると、ニキビに似た赤い盛り上がり(丘疹)や膿を持ったぶつぶつ(膿疱)が現れることがあります。これらの症状は主に頬、鼻、眉間、あごなど顔の中心部に現れます。
酒さは紫外線、温度変化(寒暖差)、香辛料を多く含む食事、アルコール、ストレス、熱いお風呂などによって症状が悪化することがあります。
脂漏性皮膚炎の症状
脂漏性皮膚炎の特徴は、赤みとともに細かいフケのようなカサカサ(鱗屑)を伴うことです。
症状が現れやすい部位は、鼻の脇(鼻翼溝)、眉間、眉毛、額の生え際、耳の後ろ、耳の中などです。頭皮に症状が現れる場合は、フケが増えるという形で気づくことがあります。
脂漏性皮膚炎の赤みは、境界がやや不明瞭で、まだら状に見えることが多いです。かゆみは軽度から中等度で、症状が悪化すると強くなることがあります。
乳児期に発症して自然に軽快する乳児型と、思春期以降に発症して慢性的な経過をたどる成人型があります。成人型は良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、長期的な管理が必要です。
接触皮膚炎の症状
接触皮膚炎の症状は、原因となる物質に触れた部位に一致して現れることが特徴です。
急性期には、赤み、腫れ、かゆみ、ヒリヒリ感などが現れます。症状が強い場合は、ブツブツや水ぶくれができることもあります。
原因となる物質との接触を繰り返すと、症状が慢性化し、皮膚が厚く硬くなる(苔癬化)ことがあります。
接触皮膚炎を疑う場合は、症状が現れる前に新しく使い始めた化粧品やスキンケア製品がないか、普段と違うものに触れていないかを振り返ってみることが大切です。
ニキビ・ニキビ跡の赤みの症状
ニキビそのものによる赤みは、毛穴を中心に盛り上がった状態で現れます。炎症の程度によって、赤い丘疹、膿を持った膿疱、さらに悪化すると硬いしこり(結節)や膿がたまった状態(嚢腫)になることもあります。
ニキビが治った後に残る炎症後紅斑は、皮膚の表面は平らであるものの、赤みだけが残った状態です。初期は鮮やかな赤色ですが、時間の経過とともに徐々に薄くなっていきます。ただし、炎症が強かった場合や繰り返しニキビができた場合は、赤みが長期間(数ヶ月から1年以上)残ることもあります。
4. 日常生活でできるセルフケア
鼻周りの赤みを改善・予防するためには、日々のスキンケアや生活習慣の見直しが大切です。ここでは、自宅で実践できるセルフケアについて解説します。
正しい洗顔方法
洗顔は肌を清潔に保つために欠かせませんが、やり方を間違えると赤みの原因になります。以下のポイントを意識しましょう。
まず、洗顔料はたっぷりの量をしっかり泡立てて使用します。泡がクッションの役割を果たし、肌への摩擦を軽減してくれます。指の腹を使って、優しくなでるように洗いましょう。ゴシゴシとこすったり、爪を立てたりするのは厳禁です。
すすぎはぬるま湯(32〜34度程度)で行います。熱いお湯は皮脂を過剰に奪い、皮膚の乾燥やバリア機能の低下を招きます。また、冷たい水は血管を収縮させた後に反動で拡張させるため、赤みの原因になることがあります。
すすぎ残しがないよう、特に髪の生え際やフェイスラインは丁寧にすすぎましょう。洗顔後はタオルで押さえるように水分を拭き取り、すぐにスキンケアを行います。
鼻周りの赤みが気になる場合は、洗顔の回数は朝晩の2回にとどめ、過度な洗顔は避けましょう。また、スクラブ洗顔や毛穴パックなど、肌に刺激を与えるケアは控えることをおすすめします。
保湿ケアの重要性
適切な保湿は、皮膚のバリア機能を維持し、外部刺激から肌を守るために非常に重要です。乾燥した肌は刺激を受けやすく、赤みや炎症が起こりやすくなります。
洗顔後は速やかに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで油分を補うことで水分の蒸発を防ぎましょう。鼻周りの赤みが気になる場合は、低刺激性の保湿剤を選ぶことをおすすめします。
酒さや脂漏性皮膚炎の場合、保湿剤の選び方にも注意が必要です。日本皮膚科学会のガイドラインでは、酒さに対して「しっかり保湿」ではなく「低刺激な保湿」を選択するよう推奨されています。何種類もの保湿剤を重ねて塗ることがかえって症状を悪化させることがあるためです。
紫外線対策
紫外線は皮膚にダメージを与え、毛細血管の拡張や炎症を引き起こす要因のひとつです。季節を問わず、外出時には日焼け止めを使用しましょう。
日焼け止めを選ぶ際は、SPF30以上、PA++以上を目安に、敏感肌用や低刺激タイプのものを選ぶと良いでしょう。鼻は皮脂や汗で日焼け止めが落ちやすい部位なので、2〜3時間おきに塗り直すことが理想的です。
日焼け止めに加えて、帽子やサングラスを活用することも効果的です。紫外線量が多い10時から14時頃の外出をできるだけ避けることも有効な対策です。
刺激を避けるスキンケア
鼻周りの赤みが気になる場合は、スキンケア製品の見直しも検討しましょう。
アルコール(エタノール)、香料、着色料、防腐剤(パラベンなど)が配合された製品は、敏感な肌には刺激となることがあります。成分表示を確認し、できるだけシンプルな処方の製品を選ぶことをおすすめします。
クレンジングは拭き取りタイプよりも洗い流しタイプの方が肌への負担が少なくなります。また、クレンジングの際に顔のマッサージを行うのは避けましょう。
新しい化粧品やスキンケア製品を使い始める際は、目立たない部位でパッチテストを行い、異常がないことを確認してから使用するようにしましょう。
生活習慣の見直し
肌の状態は生活習慣と密接に関連しています。以下の点に気をつけることで、肌のコンディションを整えることができます。
十分な睡眠を確保しましょう。睡眠中に成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーが促進されます。睡眠不足は肌の再生を妨げ、さまざまな肌トラブルの原因になります。
バランスの良い食事を心がけましょう。特にビタミンB群(ビタミンB2、B6など)は皮脂の分泌を調整し、肌の健康を維持するのに重要な栄養素です。ビタミンB群は、牛乳、卵、レバー、しじみ、ほうれん草、トマトなどに多く含まれています。
脂っこい食事や刺激物(香辛料など)の摂りすぎは、皮脂分泌を増加させたり、血管を拡張させたりすることがあります。アルコールも血管を拡張させるため、赤みが気になる場合は控えめにしましょう。
ストレスは皮脂分泌を増加させたり、免疫機能を低下させたりして、肌トラブルを招きやすくなります。適度な運動や趣味の時間を設けるなど、自分なりのストレス解消法を見つけることも大切です。
5. 医療機関で受けられる治療法
セルフケアで改善しない場合や、症状が重い場合は、医療機関での専門的な治療が必要です。皮膚科では、症状や原因に応じたさまざまな治療法を選択できます。
外用薬による治療
原因に応じて、さまざまな外用薬が処方されます。
酒さに対しては、メトロニダゾール(ロゼックスゲル)が日本で保険適用となっている外用薬です。メトロニダゾールには抗炎症作用があり、酒さの赤みやぶつぶつを改善する効果があります。使用開始から数週間で効果が現れ始め、数ヶ月続けることで症状が落ち着いてきます。
脂漏性皮膚炎に対しては、抗真菌薬(ケトコナゾールなど)とステロイド外用薬が使用されます。抗真菌薬はマラセチアの増殖を抑え、ステロイド外用薬は炎症を抑えます。症状が改善したらステロイドは休止し、抗真菌薬のみで維持することが推奨されています。
ニキビに対しては、アダパレン(ディフェリンゲル)、過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)、これらの配合剤(エピデュオゲル、デュアックゲル)、外用抗菌薬(クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど)が使用されます。
接触皮膚炎に対しては、ステロイド外用薬で炎症を抑える治療が行われます。原因物質を特定し、接触を避けることも重要です。
内服薬による治療
症状の程度や原因によっては、内服薬が処方されることがあります。
酒さや重症のニキビに対しては、テトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質(ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ロキシスロマイシンなど)が処方されることがあります。これらには抗菌作用に加えて抗炎症作用があり、症状の改善に効果があります。
脂漏性皮膚炎に対しては、ビタミンB2、B6などのビタミン剤が処方されることがあります。また、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)が処方されます。
漢方薬も治療の選択肢のひとつです。体質改善を目的として、清上防風湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸などが処方されることがあります。西洋医学的治療と併用することで、より効果が期待できる場合があります。
レーザー治療
毛細血管拡張症や酒さの赤みに対しては、レーザー治療が有効です。
色素レーザー(VビームⅡなど)は、波長595nmのレーザー光を使用し、血液中のヘモグロビンに反応して拡張した毛細血管を選択的に破壊します。毛細血管拡張症、単純性血管腫などに対しては保険適用となっています。
通常、4週間以上の間隔を空けて複数回照射することで、徐々に赤みが改善していきます。ダウンタイムとして、照射後に一時的な腫れや紫斑(軽度の皮下出血)が1週間ほど見られることがあります。
ロングパルスYAGレーザーは、より深い位置にある血管や太い血管に対応できます。波長1064nmのレーザー光を使用し、真皮層の毛細血管に作用します。
IPL(光治療)
IPL(Intense Pulsed Light)は、レーザーとは異なり、幅広い波長の光を照射する治療法です。赤みだけでなく、くすみ、シミ、毛穴の開きなど、複数の肌悩みに同時にアプローチできることが特徴です。
IPLは血管内のヘモグロビンやメラニン色素に吸収され、熱エネルギーに変換されることで効果を発揮します。レーザー治療と比較するとダウンタイムが短く、施術後すぐにメイクができることが多いです。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、酒さの毛細血管拡張症状の改善を目的とした治療として、IPLが推奨されています。
通常、1ヶ月間隔で3〜5回程度の施術を繰り返すことで効果が実感できます。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、グリコール酸や乳酸などの酸を皮膚に塗布し、古い角質を除去する治療法です。肌のターンオーバーを促進し、毛穴の詰まりを改善することで、ニキビやニキビ跡の赤みの改善に効果があります。
また、皮膚のバリア機能を回復させる効果も期待でき、赤みが出やすい肌のコンディションを整えることにも役立ちます。
イオン導入・エレクトロポレーション
イオン導入は、専用の機器を使用して、ビタミンCやトラネキサム酸などの美容成分を皮膚の深部に浸透させる治療法です。赤みや炎症後の色素沈着の改善に効果が期待できます。
エレクトロポレーションは、微弱な電気で一時的に皮膚に小さな孔を開け、美容成分を浸透させる方法です。イオン導入よりも高い浸透率が得られるとされています。
これらの治療は、他の治療法と組み合わせて行うことで、より効果的な結果が期待できます。
6. 鼻周りの赤みを予防するための生活習慣
鼻周りの赤みを予防し、良好な状態を維持するためには、日々の生活習慣に気を配ることが大切です。
悪化因子を避ける
酒さや毛細血管拡張による赤みは、特定の因子によって悪化することがあります。自分の症状がどのような時に悪化するか観察し、できるだけ避けるようにしましょう。
代表的な悪化因子としては、以下のようなものが挙げられます。
- 極端な温度変化(寒い屋外から暖房の効いた室内への移動など)
- 熱いお風呂やサウナ
- アルコール
- 辛い食べ物、香辛料
- 熱い飲み物
- 強い日光(紫外線)
- 精神的ストレス
- 激しい運動
- 特定の化粧品やスキンケア製品
すべてを避けることは難しいですが、自分にとっての主要な悪化因子を把握し、可能な範囲で対策を取ることが重要です。
肌を守るスキンケア習慣
日々のスキンケアでは、肌に負担をかけないことを第一に考えましょう。
洗顔やスキンケアの際は、こすらず優しく行うことを習慣にします。タオルで顔を拭く際も、押さえるようにして水分を吸い取りましょう。
鼻をかむ際は、柔らかいティッシュを使用し、ゴシゴシこすらないように注意します。花粉症の時期など頻繁に鼻をかむ場合は、ワセリンなどで鼻周りを保護しておくと摩擦によるダメージを軽減できます。
メイクをする場合は、落としやすいものを選び、クレンジングによる肌への負担を減らしましょう。ウォータープルーフタイプのメイクは落としにくく、クレンジング時に肌をこすってしまいがちです。
定期的な経過観察
鼻周りの赤みの多くは慢性的な経過をたどります。完全に治すことは難しい場合もありますが、適切な治療とケアを続けることで症状をコントロールし、良好な状態を維持することは可能です。
症状が落ち着いても油断せず、悪化の兆候を早めにキャッチして対処することが大切です。気になる変化があれば、早めに皮膚科を受診しましょう。
7. 治療を受ける際の注意点
医療機関で治療を受ける際に知っておきたい注意点について解説します。
治療期間の目安
鼻周りの赤みの治療は、原因や程度によって必要な期間が大きく異なります。
接触皮膚炎や一時的な刺激による赤みは、原因を取り除くことで比較的早く改善することが多いです。適切な治療を行えば、1〜2週間程度で症状が落ち着くこともあります。
一方、酒さや毛細血管拡張症は慢性疾患であるため、完全に治すことは難しい場合があります。しかし、適切な治療とスキンケアを続けることで症状を大きく改善し、良好な状態を維持することは可能です。外用薬による治療では、効果が現れ始めるまでに数週間から数ヶ月かかることがあります。
レーザー治療やIPLによる治療は、複数回の施術が必要です。通常、2〜5回程度の施術で効果を実感できますが、症状の程度や個人差によってはさらに回数が必要になることもあります。
脂漏性皮膚炎も再発しやすい疾患ですが、適切なケアと治療により症状をコントロールできます。
治療費について
保険診療と自由診療では費用が大きく異なります。
皮膚科での診察、外用薬や内服薬の処方は保険診療の対象となります。毛細血管拡張症に対するVビームレーザー治療も、医師が「毛細血管拡張症」と診断した場合は保険適用となります。
一方、IPL(光治療)やケミカルピーリング、イオン導入などは自由診療となることが多く、費用は医療機関によって異なります。事前に費用について確認しておくことをおすすめします。
医師への相談が必要な場合
以下のような場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
- セルフケアを続けても赤みが改善しない
- 赤みとともにかゆみ、ヒリヒリ感、ぶつぶつなどの症状がある
- 赤みの範囲が広がっている、または悪化している
- 原因がわからない
- メイクで隠せないほど赤みが強い
- 日常生活に支障が出ている
自己判断でステロイド外用薬を長期間使用することは避けてください。ステロイドの不適切な使用は、酒さ様皮膚炎を引き起こし、かえって症状を悪化させることがあります。

8. よくあるご質問
鼻周りの赤みについて、患者様からよくいただくご質問にお答えします。
A:原因や程度によって異なります。接触皮膚炎や一時的な刺激による赤みは、原因を取り除くことで完全に治ることが多いです。一方、酒さや毛細血管拡張症は慢性疾患のため、完全に治すことは難しい場合もあります。ただし、適切な治療とスキンケアで症状を大きく改善し、良好な状態を維持することは可能です。脂漏性皮膚炎も再発しやすい疾患ですが、適切なケアと治療により症状をコントロールできます。
A:軽度の症状であれば、市販の保湿剤や低刺激のスキンケア製品でセルフケアを行うことも選択肢のひとつです。しかし、原因を正しく診断せずに市販薬を使用すると、症状が悪化したり、適切な治療の機会を逃したりすることがあります。赤みが続く場合や、かゆみ、ぶつぶつなどの症状を伴う場合は、皮膚科専門医を受診することをおすすめします。
Q:レーザー治療は痛いですか?
A:レーザー治療やIPL治療では、照射時に輪ゴムで軽く弾かれるような感覚があります。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの方が我慢できる程度です。また、最新の機器には冷却システムが搭載されており、痛みを軽減する工夫がなされています。不安な場合は、事前に医師に相談してください。
Q:メイクで赤みを隠すコツはありますか?
A:赤みを隠したい場合は、グリーンのコントロールカラーを使用するのが効果的です。緑は赤の補色(反対色)にあたるため、赤みを目立たなくすることができます。使用する順番は、化粧下地→コントロールカラー→ファンデーションです。コントロールカラーは少量ずつ薄く伸ばし、厚塗りにならないよう注意しましょう。その後、柔らかめのコンシーラーを赤みの気になる部分に重ねると、より自然にカバーできます。
Q:脂漏性皮膚炎と酒さの違いは何ですか?
A:脂漏性皮膚炎と酒さはどちらも鼻周りに赤みが現れますが、いくつかの違いがあります。脂漏性皮膚炎の特徴は、眉部、眉間、鼻の脇を中心に赤みとカサカサ(鱗屑)が見られることです。一方、酒さは鼻、頬、眉間など顔の中央部に赤みとぼつぼつが出るのが特徴で、毛細血管の拡張を伴うことも多いです。ただし、両方の疾患が合併している場合もあり、正確な診断には専門医の診察が必要です。治療法も異なるため、正しい診断を受けることが大切です。
9. まとめ:新宿で鼻周りの赤みにお悩みの方へ
鼻周りの赤みは、見た目の問題だけでなく、精神的なストレスにもつながる悩ましい症状です。しかし、原因を正しく理解し、適切なケアや治療を行うことで、症状を改善したり、良好な状態を維持したりすることは可能です。
この記事でお伝えしたポイントをまとめると、以下のようになります。
鼻周りの赤みの主な原因には、毛細血管拡張症、酒さ、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、ニキビ跡の炎症後紅斑、外的刺激などがあります。原因によって適した治療法やセルフケア方法が異なるため、まずは自分の赤みの原因を正しく把握することが大切です。
日常生活でできるセルフケアとしては、正しい洗顔方法、適切な保湿、紫外線対策、刺激を避けるスキンケア、生活習慣の見直しなどがあります。特に、肌をこすらない、低刺激の製品を選ぶ、悪化因子を避けるといったことを意識しましょう。
セルフケアで改善しない場合や、かゆみ、ぶつぶつなどの症状を伴う場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。外用薬や内服薬による治療、レーザー治療、IPL治療など、症状に応じたさまざまな治療法があります。
鼻周りの赤みでお悩みの方は、ぜひ一度、専門医にご相談ください。正しい診断と適切な治療を受けることで、肌の状態を改善し、自信を取り戻すことができます。
参考文献
- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023(日本皮膚科学会)
- 皮膚科Q&A(日本皮膚科学会)
- 酒さ(しゅさ)とは?赤ら顔の症状や原因、治療方法について(持田ヘルスケア株式会社)
- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023(Mindsガイドラインライブラリ)
- 脂漏性皮膚炎(MSDマニュアル プロフェッショナル版)
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務