春の訪れとともに多くの方が経験する花粉症ですが、実は花粉症と密接に関連している「口腔アレルギー症候群」という疾患があることをご存知でしょうか。特定の果物や野菜を食べた際に口の中がピリピリしたり、唇が腫れたりする症状が現れる口腔アレルギー症候群は、花粉症の方に起こりやすいアレルギー反応です。この記事では、口腔アレルギー症候群と花粉の関係について、症状の特徴から予防法まで詳しく解説いたします。

目次
- 口腔アレルギー症候群とは
- 花粉と口腔アレルギー症候群の関係
- 主な症状と特徴
- 花粉の種類と関連する食物
- 診断方法と検査
- 治療と対処法
- 日常生活での注意点
- 予防策と生活指導
- 重症化のリスクと対応
- まとめ

🎯 口腔アレルギー症候群とは
口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)は、特定の生の果物や野菜、ナッツ類を摂取した際に、口腔内や咽頭部にアレルギー症状が現れる疾患です。医学的には「花粉食物アレルギー症候群(Pollen Food Allergy Syndrome:PFAS)」とも呼ばれ、花粉症との密接な関係が明らかになっています。
この症候群の最大の特徴は、花粉症を患っている方に高い頻度で発症することです。花粉症の患者さんの約20~30%が口腔アレルギー症候群を併発するとされており、特に成人の花粉症患者において多く見られる傾向があります。
口腔アレルギー症候群は、1987年に初めて医学的に報告された比較的新しい概念の疾患ですが、近年の花粉症患者数の増加に伴い、この症候群の認知度も高まってきています。症状は通常、問題となる食物を摂取してから数分以内に現れ、多くの場合は軽度で一過性ですが、まれに重篤な症状を引き起こすこともあります。
この疾患を理解するためには、アレルギー反応の仕組みと花粉症のメカニズムを知ることが重要です。私たちの免疫系は、体に入ってきた異物を認識し、それを排除しようとする働きがあります。花粉症の場合、花粉を異物として認識した免疫系が過剰な反応を示すことで症状が現れます。口腔アレルギー症候群では、この花粉に対する免疫反応が、構造の似た食物タンパク質に対しても起こってしまうことが原因となっています。
📋 花粉と口腔アレルギー症候群の関係
口腔アレルギー症候群と花粉症の関係は、「交差反応性」という免疫学的現象によって説明されます。交差反応性とは、ある物質に対して作られた抗体が、構造の似た別の物質にも反応してしまう現象のことです。
花粉症の方の体内では、特定の花粉に対するIgE抗体が産生されています。この抗体が、花粉のタンパク質と構造が類似している食物のタンパク質を「敵」として認識してしまうことで、アレルギー反応が引き起こされるのです。このため、口腔アレルギー症候群は花粉症の方に特有の疾患として位置づけられています。
興味深いことに、この交差反応性には地域差があることが知られています。これは、その地域に飛散する花粉の種類や量が異なるためです。例えば、ヨーロッパではシラカバ花粉による花粉症が多く、リンゴやモモなどのバラ科の果物でアレルギー症状を起こす方が多く報告されています。一方、日本では杉花粉やヒノキ花粉が主要なアレルゲンとなっており、これらの花粉症の方が特定の食物でアレルギー症状を起こすパターンが見られます。
花粉症の発症年齢と口腔アレルギー症候群の発症にも関連があります。一般的に、花粉症を長期間患っている方ほど口腔アレルギー症候群を発症しやすい傾向があり、特に20代後半から30代にかけて症状が現れることが多いとされています。これは、花粉への暴露期間が長くなることで、より多くのIgE抗体が産生され、交差反応を起こしやすくなるためと考えられています。
また、花粉飛散量の多い年には、口腔アレルギー症候群の症状も悪化しやすいことが知られています。花粉症の症状が強く現れる時期に、普段は問題なく食べられる果物で突然アレルギー症状が出現することもあるため、花粉飛散情報と併せて症状の管理を行うことが重要です。
💊 主な症状と特徴
口腔アレルギー症候群の症状は、主に口腔内や咽頭部に現れます。最も一般的な症状は、問題となる食物を摂取した直後から数分以内に起こる口の中のピリピリ感やかゆみです。この感覚は、軽度の電気刺激のような感覚として表現されることもあります。
具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。まず、口唇の腫れや発赤が現れることがあります。これは特に唇が食物に直接触れることで起こりやすく、見た目にも分かりやすい症状です。舌や歯茎、口蓋にかゆみや刺激感を感じることも多く、患者さんは「舌がピリピリする」「口の中が痛い」などと表現されます。
咽頭部の症状も重要な特徴の一つです。のどのかゆみや違和感、軽度の腫れぼったい感覚が現れることがあります。これらの症状により、食物を飲み込むことが困難になることもあります。また、耳の奥にかゆみを感じる方もおり、これは咽頭と耳管がつながっているためです。
口腔アレルギー症候群の症状には、いくつかの特徴的なパターンがあります。まず、症状は通常一過性で、問題となる食物を口から取り除いたり、飲み込んだりした後、15分から1時間程度で自然に軽快することが多いです。また、加熱調理された食物では症状が起こりにくく、生の状態でのみ症状が現れることが特徴的です。これは、加熱によってアレルギーの原因となるタンパク質の構造が変化するためです。
季節性の変動も重要な特徴です。花粉飛散時期には症状が悪化しやすく、花粉シーズンが終わると軽快する傾向があります。このため、春先に果物を食べて症状が出た方でも、秋や冬には同じ果物を問題なく食べられることがあります。
ただし、まれに重篤な症状が現れることもあります。全身性のアナフィラキシー反応として、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、意識障害などが起こる可能性があります。これらの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。特に、過去に軽度の口腔症状のみであった方でも、体調や環境の変化により重篤な症状を起こすことがあるため、注意が必要です。
🏥 花粉の種類と関連する食物
口腔アレルギー症候群を引き起こす花粉と食物の組み合わせには、明確なパターンがあります。これらのパターンを理解することで、ご自身がどの食物に注意すべきかを把握することができます。
スギ花粉症の方では、ナス科の野菜(トマト、ナス、ピーマンなど)で症状が現れることが報告されています。また、キウイフルーツやメロン、スイカなどの果物でも症状を起こすことがあります。スギ花粉は日本で最も多くの方が悩まされている花粉であるため、これらの食物による口腔アレルギー症候群も比較的多く見られます。
ヒノキ花粉症の方では、スギ花粉症と類似した食物で症状が現れることが多いです。これは、スギとヒノキの花粉が構造的に類似しているためです。特にトマトでの症状報告が多く、また柑橘類でも症状を起こすことがあります。
シラカバ花粉症(主に北海道や本州の高地で見られる)の方では、バラ科の果物で症状が現れやすいことが知られています。具体的には、リンゴ、モモ、サクランボ、プラム、アンズ、洋ナシなどが挙げられます。また、セリ科の野菜(ニンジン、セロリなど)やナッツ類(ヘーゼルナッツ、アーモンドなど)でも症状を起こすことがあります。
イネ科花粉症の方では、メロンやスイカ、オレンジなどの果物で症状が現れることがあります。また、トマトやジャガイモなどのナス科の野菜でも症状を起こすことが報告されています。イネ科の花粉は春から秋にかけて長期間飛散するため、症状の時期も比較的長くなる傾向があります。
キク科花粉症(ブタクサ、ヨモギなど)の方では、ウリ科の果物(メロン、スイカ、キュウリ、ズッキーニなど)で症状を起こしやすいことが知られています。また、バナナやキウイフルーツでも症状が現れることがあります。
これらの関連性は絶対的なものではなく、個人差があることも重要なポイントです。同じ花粉症を患っていても、すべての関連食物で症状が現れるわけではありませんし、予想外の食物で症状が出現することもあります。また、食物の品種や産地、保存状態によっても症状の程度が変わることがあります。
近年、新たな花粉と食物の組み合わせも報告されており、温暖化の影響で花粉の飛散パターンが変化していることも、口腔アレルギー症候群の発症パターンに影響を与える可能性があります。そのため、定期的な医学的評価と最新の情報収集が重要です。
⚠️ 診断方法と検査
口腔アレルギー症候群の診断は、主に患者さんの症状の詳細な聞き取りと、必要に応じて行われる各種検査によって行われます。診断のプロセスは段階的に進められ、まずは症状の特徴を詳しく把握することから始まります。
問診では、症状が現れる食物の種類、症状の出現時期、持続時間、重症度などが詳しく聞かれます。また、花粉症の既往歴や現在の症状、家族歴、他のアレルギー疾患の有無なども重要な情報となります。特に、症状が季節性に変動するかどうか、加熱調理した食物では症状が出ないかどうかなどは、口腔アレルギー症候群の特徴的な所見として重要視されます。
血液検査では、特異的IgE抗体の測定が行われます。これは、特定の花粉や食物に対するアレルギー反応の有無を調べる検査です。ただし、血液検査で陽性を示しても必ずしも症状が現れるとは限らず、逆に陰性であっても症状が現れることもあるため、血液検査の結果は症状と併せて総合的に判断される必要があります。
皮膚テストも診断の一助として用いられることがあります。プリックテストと呼ばれる方法では、疑わしい食物の抽出液を皮膚に滴下し、針で軽く皮膚を刺して反応を見ます。また、実際の食物を用いた皮膚テスト(プリック・トゥ・プリックテスト)も行われることがあります。これらのテストは専門的な知識と設備が必要であり、アレルギー専門医のもとで行われます。
最も確実な診断方法は、医師の監督のもとで行われる食物負荷試験です。これは、疑わしい食物を実際に少量ずつ摂取し、症状の出現を観察する検査です。ただし、この検査は重篤なアレルギー反応を引き起こすリスクがあるため、適切な救急処置が可能な医療機関でのみ実施されます。
近年では、コンポーネント解析と呼ばれる詳細な検査も利用可能になっています。これは、食物に含まれる個々のアレルギー成分(アレルゲンコンポーネント)に対する反応を詳しく調べる検査で、より精密な診断が可能になります。例えば、リンゴアレルギーの場合、加熱に安定な成分と不安定な成分を区別して調べることで、加熱したリンゴが摂取可能かどうかを予測できることがあります。
診断過程では、他のアレルギー疾患や口腔内疾患との鑑別も重要です。口内炎、歯肉炎、口腔カンジダ症など、類似した症状を示す疾患との区別が必要になることがあります。また、心因性の症状や薬剤による副作用なども考慮されます。
🔍 治療と対処法
口腔アレルギー症候群の治療は、症状の重症度や患者さんのライフスタイルに応じて個別化されます。基本的な治療方針は、原因食物の回避と症状に対する対症療法が中心となりますが、近年では免疫療法なども検討されるようになってきています。
最も重要で効果的な治療法は、原因となる食物の完全回避です。しかし、口腔アレルギー症候群の特徴として、加熱調理により症状が軽減または消失することが多いため、完全な食物除去が必要でない場合もあります。例えば、生のリンゴで症状が出る方でも、アップルパイやりんごジュース(加熱処理されたもの)は摂取可能なことが多いです。
急性症状に対しては、抗ヒスタミン薬の内服が有効です。症状が現れた際に速やかに服用することで、かゆみや腫れなどの症状を軽減できます。症状が頻繁に現れる方や、完全な食物回避が困難な方では、予防的な抗ヒスタミン薬の内服が検討されることもあります。
重篤な症状を起こすリスクがある方には、エピネフリン自己注射薬(エピペン)の携帯が推奨されます。これは、アナフィラキシー反応が起こった際の緊急治療薬で、患者さん自身または周囲の人が注射できるように設計されています。ただし、エピペンの使用後は必ず医療機関を受診する必要があります。
症状の軽減を目的とした生活指導も重要な治療の一部です。食物を摂取する前に十分に洗浄する、皮を剥く、新鮮なものを選ぶなどの工夫により、症状の程度を軽減できることがあります。また、体調が悪い時や花粉飛散量の多い時期には、普段は大丈夫な食物でも症状が出やすくなるため、特に注意が必要です。
根本的な治療として、花粉症に対する免疫療法(舌下免疫療法など)が検討されることもあります。花粉症の症状が改善されることで、口腔アレルギー症候群の症状も軽減される可能性があります。ただし、免疫療法の効果は個人差が大きく、長期間の治療が必要であることも理解しておく必要があります。
症状日記をつけることも治療の一環として推奨されます。どの食物でいつ、どのような症状が現れたかを記録することで、個人的なアレルギーパターンを把握し、より効果的な管理が可能になります。また、医師との診察時にも貴重な情報となります。
📝 日常生活での注意点
口腔アレルギー症候群を患っている方が安全で快適な日常生活を送るためには、いくつかの重要な注意点があります。これらのポイントを理解し、実践することで、症状のリスクを最小限に抑えながら、バランスの取れた食生活を維持することができます。
食事の際の注意点として、まず新しい食物を試す時は少量から始めることが重要です。特に、アレルギーを起こしやすいとされる食物グループに属する新しい食材を食べる際は、慎重に様子を見ながら摂取量を調整します。また、体調不良の時や疲労時には、普段は問題ない食物でも症状が出やすくなるため、そのような時期は特に注意が必要です。
外食時の対策も重要です。レストランやカフェなどで食事をする際は、メニューの原材料を確認し、不明な点は必ずスタッフに質問するようにします。また、サラダバーやビュッフェなどでは、他の食物との接触により微量のアレルゲンが混入する可能性があるため、注意深く選択する必要があります。可能であれば、事前に電話でアレルギーについて相談し、対応可能か確認することをお勧めします。
食材の保存と調理方法にも配慮が必要です。果物や野菜は新鮮なものを選び、適切に保存することで、アレルギー症状のリスクを減らすことができます。古くなった食材では、本来のアレルゲン以外の成分(例:カビや細菌)によっても症状が悪化する可能性があります。調理器具についても、アレルギーの原因となる食材を扱った後は、十分に洗浄してから他の食材の調理に使用します。
花粉飛散情報の活用も日常管理の重要な要素です。花粉飛散量が多い日や時期には、口腔アレルギー症候群の症状も出やすくなるため、そのような日には特に注意深く食物を選択します。気象庁や各地の花粉情報サイトを定期的にチェックし、外出時の対策と併せて食事の管理も行います。
緊急時の準備も欠かせません。抗ヒスタミン薬を常時携帯し、症状が現れた際に速やかに服用できるようにします。重篤な症状を起こすリスクがある方は、エピペンの携帯と使用方法の習得が必要です。また、家族や職場の同僚、友人などにアレルギーについて説明し、緊急時の対応方法を共有しておくことも重要です。
栄養バランスの維持も忘れてはならない点です。アレルギーのため特定の食物を避ける必要がある場合、それらの食物から得られていた栄養素を他の食材で補う必要があります。必要に応じて管理栄養士や医師に相談し、バランスの取れた食事プランを作成することをお勧めします。
💡 予防策と生活指導
口腔アレルギー症候群の予防と症状の軽減のためには、包括的なライフスタイルの管理が重要です。予防策は個人の症状パターンや重症度に応じてカスタマイズされるべきですが、いくつかの基本的な原則があります。
まず、花粉症の適切な管理が口腔アレルギー症候群の予防において最も重要です。花粉症の症状をしっかりとコントロールすることで、交差反応による食物アレルギーの症状も軽減される可能性があります。これには、花粉飛散時期の適切な薬物療法、花粉への暴露を減らすための生活習慣の改善、必要に応じて免疫療法の検討などが含まれます。
食物の選択と調理方法の工夫も重要な予防策です。加熱調理することで多くの場合症状を回避できるため、生食ではなく加熱した形での摂取を心がけます。例えば、リンゴアレルギーの方でもアップルソースやコンポートは摂取可能な場合が多く、トマトアレルギーの方でもトマトソースやスープは問題ないことがあります。
食物の品種選択も症状の予防に役立つことがあります。同じ種類の果物や野菜でも、品種によってアレルゲン量が異なることが知られています。例えば、りんごの品種の中でも比較的アレルギー症状を起こしにくいものがあるため、医師や栄養士と相談しながら適切な品種を見つけることができます。
腸内環境の改善も予防的効果が期待されています。プロバイオティクスや食物繊維の摂取により腸内細菌のバランスを整えることで、免疫システムの過剰反応を抑制し、アレルギー症状を軽減できる可能性があります。ヨーグルトや発酵食品、野菜類の適切な摂取を心がけます。
ストレス管理も重要な要素です。ストレスは免疫システムに影響を与え、アレルギー症状を悪化させる可能性があります。適度な運動、十分な睡眠、リラクゼーション技法の習得などにより、ストレスレベルを管理することが症状の予防につながります。
環境整備も予防策の一部として重要です。室内の清掃を定期的に行い、花粉やダニなどのアレルゲンを除去します。空気清浄機の使用や適切な湿度管理により、室内環境を整えることで、全体的なアレルギー症状の軽減が期待できます。
定期的な医学的フォローアップも予防の重要な要素です。症状の変化や新しい食物アレルギーの出現を早期に発見し、適切な対応を取るために、定期的に医師の診察を受けることをお勧めします。また、最新の治療法や予防策についての情報を得ることも可能です。
✨ 重症化のリスクと対応
口腔アレルギー症候群は一般的に軽症で経過することが多いですが、まれに重篤な全身症状を引き起こすことがあります。重症化のリスクを理解し、適切な対応策を準備しておくことは、患者さんとその家族にとって非常に重要です。
重症化の兆候として最も注意すべきは、症状が口腔内に留まらず全身に広がることです。具体的には、皮膚の発疹や蕁麻疹、呼吸困難、嘔吐、下痢、血圧低下、意識障害などが現れた場合は、アナフィラキシー反応の可能性があります。これらの症状が現れた場合は、直ちに119番通報を行い、救急医療機関を受診する必要があります。
重症化のリスク因子として、いくつかの要因が知られています。まず、過去に重篤な症状を経験したことがある方は、再び同様の症状を起こすリスクが高いとされています。また、喘息を併発している方、運動誘発性アナフィラキシーの既往がある方、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬を服用している方なども、重症化リスクが高いとされています。
食物摂取時の状況も重症化に影響します。空腹時の摂取、運動前後の摂取、アルコールと同時の摂取、体調不良時の摂取などは、症状が重篤化しやすい条件とされています。また、大量摂取や、普段よりも新鮮でアレルゲン濃度の高い食材を摂取した場合も、重症化のリスクが高まります。
重症化の予防策として、まずリスクの高い状況を避けることが重要です。上記のような条件下では、特に注意深く食物を選択し、可能であれば原因食物の摂取を避けます。また、体調管理を徹底し、風邪や疲労などで免疫力が低下している時は、普段以上に慎重に行動します。
緊急時の対応準備も欠かせません。重症化リスクのある方は、エピネフリン自己注射薬の処方を受け、常時携帯することが推奨されます。使用方法を十分に理解し、定期的に練習しておくことも重要です。また、家族や職場の同僚など、周囲の人にもエピペンの使用方法を教え、緊急時に協力してもらえる体制を整えておきます。
医療機関との連携も重要な要素です。重症化リスクのある方は、かかりつけ医やアレルギー専門医との定期的な相談を行い、症状の変化や新しい治療法について情報を共有します。また、緊急時に受診すべき医療機関を事前に確認し、必要な情報(アレルギーの詳細、使用中の薬剤、緊急連絡先など)をまとめた緊急カードを作成し、常時携帯することをお勧めします。
心理的サポートも重要な側面です。重篤な症状を経験した方や、そのリスクを抱える方は、不安や恐怖を感じることが自然です。これらの感情は日常生活の質に大きく影響することがあるため、必要に応じて心理カウンセリングや患者会への参加なども検討します。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では花粉症をお持ちの患者様の約20%程度が口腔アレルギー症候群の症状を経験されており、特に春先に果物を食べて口がピリピリするというご相談が増えています。症状の多くは軽度ですが、まれに重篤な反応を示すケースもあるため、気になる症状がある方は一度専門的な検査を受けることをお勧めしています。適切な診断により、安全に食事を楽しみながら症状をコントロールしていくことが十分可能ですので、お一人で悩まずにお気軽にご相談ください。」
🎯 よくある質問
花粉症患者の約20~30%に発症するとされています。すべての花粉症の方に起こるわけではありませんが、花粉症を長期間患っている方や20代後半から30代の方に多く見られる傾向があります。個人差があるため、症状が気になる場合は専門医にご相談ください。
多くの場合、加熱調理により症状は軽減または消失します。これは加熱によってアレルギーの原因となるタンパク質の構造が変化するためです。例えば生のリンゴでアレルギーが出る方でも、アップルパイや加熱処理されたりんごジュースは摂取可能なことが多いです。
スギ花粉症の方は、ナス科の野菜(トマト、ナス、ピーマンなど)やキウイフルーツ、メロン、スイカなどで症状が現れることが報告されています。ただし個人差があるため、すべての方に症状が出るわけではありません。気になる症状があれば当院で検査を受けることをお勧めします。
通常、問題となる食物を口から取り除いたり飲み込んだりした後、15分から1時間程度で自然に軽快することが多いです。症状は一過性で、抗ヒスタミン薬の服用により更に早く改善することもあります。ただし重篤な症状が現れた場合は直ちに医療機関を受診してください。
まれにアナフィラキシー反応として、全身の蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、意識障害などが起こる可能性があります。これらの症状が現れた場合は直ちに119番通報が必要です。重症化リスクのある方には、当院ではエピペンの処方と適切な使用指導を行っています。

📌 まとめ
口腔アレルギー症候群は、花粉症患者に特有のアレルギー反応であり、特定の生の果物や野菜を摂取した際に口腔内や咽頭部に症状が現れる疾患です。花粉のタンパク質と構造が類似した食物のタンパク質に対する交差反応が原因で発症し、花粉の種類によって関連する食物が異なることが特徴です。
症状は一般的に軽度で一過性ですが、まれに重篤なアナフィラキシー反応を引き起こすこともあるため、適切な診断と管理が重要です。診断は詳細な問診を中心に、血液検査や皮膚テストなどを組み合わせて行われ、必要に応じて食物負荷試験も実施されます。
治療の基本は原因食物の回避ですが、加熱調理により症状が軽減されることが多いため、完全な除去が必要でない場合も多くあります。急性症状には抗ヒスタミン薬が有効で、重症化リスクのある方にはエピネフリン自己注射薬の携帯が推奨されます。
日常生活では、花粉症の適切な管理、食物の慎重な選択と調理方法の工夫、緊急時の準備などが重要です。また、定期的な医学的フォローアップにより、症状の変化を監視し、最新の治療情報を得ることも大切です。
口腔アレルギー症候群は適切な知識と管理により、症状をコントロールしながら質の高い生活を送ることが可能な疾患です。症状に不安を感じる方は、専門医に相談し、個々の状況に適した管理方法を見つけることをお勧めします。アイシークリニック新宿院では、アレルギー専門医による詳細な診断と、患者さん一人ひとりに適した治療プランの提供を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 食物アレルギーに関する公的な見解、診断・治療ガイドライン、および口腔アレルギー症候群を含む食物アレルギーの基本的な情報
- 日本皮膚科学会 – 口腔アレルギー症候群(花粉食物アレルギー症候群)の症状、診断方法、花粉との交差反応性に関する専門的な医学的知見
- PubMed – 口腔アレルギー症候群と花粉の関係、交差反応性、疫学データ、最新の研究結果に関する国際的な医学論文
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
