冬の乾燥した季節は、傷跡にとって特に過酷な時期です。低湿度と低温により皮膚の水分が失われやすくなり、傷跡部分の柔軟性が低下したり、かゆみや炎症が生じたりすることがあります。傷跡は正常な皮膚と比べて保湿機能が劣るため、冬場は特別なケアが必要となります。本記事では、冬の傷跡ケアに必要な知識と具体的な方法について、医学的根拠に基づいて詳しく解説します。
目次
- 冬が傷跡に与える影響
- 傷跡の冬ケアが重要な理由
- 傷跡の種類と冬の影響
- 冬の傷跡ケアの基本原則
- 適切な保湿剤の選び方
- 日常的なスキンケアルーティン
- 生活環境の改善方法
- 傷跡マッサージの方法
- 注意すべき症状と対処法
- よくある間違いとその対策

この記事のポイント
冬の傷跡は乾燥・低温により硬化やかゆみが悪化しやすい。入浴後3分以内の保湿を1日複数回行い、室内湿度50〜60%を維持することが最重要。保湿剤はセラミド・ヒアルロン酸・ワセリン配合の無香料製品を選び、適切なマッサージと紫外線対策を継続することで傷跡の改善が期待できる。
🎯 冬が傷跡に与える影響
冬の環境は傷跡に様々な悪影響を与えます。最も大きな要因は湿度の低下です。冬の外気は乾燥しており、室内では暖房器具の使用により更に湿度が下がります。一般的に快適とされる湿度は40~60%ですが、冬の室内は20~30%まで下がることも珍しくありません。
低湿度環境では皮膚からの水分蒸散が促進され、皮膚のバリア機能が低下します。傷跡部分は正常な皮膚と比べて皮脂腺や汗腺の機能が劣るため、この影響をより強く受けることになります。また、低温により血行が悪くなることで、傷跡部分への栄養や酸素の供給が不足し、組織の修復や再生が阻害される可能性があります。
冬の紫外線量は夏に比べて少なくなりますが、雪からの反射により紫外線曝露が増加する場合もあります。特に標高の高い地域やスキー場では注意が必要です。傷跡は紫外線に対して敏感で、色素沈着や炎症を起こしやすいため、冬でも紫外線対策は重要です。
さらに、冬は重ね着をする機会が増え、衣服と傷跡の摩擦が生じやすくなります。特にタートルネックやマフラーなど、首周りの傷跡に触れる衣類は物理的刺激となり、炎症や色素沈着を悪化させる可能性があります。
Q. 冬に傷跡が悪化しやすい理由は何ですか?
冬は室内外の湿度が20〜30%まで低下し、傷跡部分の水分が失われやすくなります。傷跡は正常な皮膚より皮脂腺・汗腺の機能が劣るため乾燥の影響を強く受け、硬化・かゆみ・炎症が生じやすくなります。また低温による血行不良も組織修復を阻害します。
📋 傷跡の冬ケアが重要な理由
傷跡の冬ケアが重要な理由は、適切なケアを行わないことで生じる様々な問題にあります。最も一般的な問題は乾燥による症状の悪化です。傷跡部分が乾燥すると、皮膚の柔軟性が失われ、硬くなったり引きつれたりする感覚が生じます。これにより日常生活での不快感が増加し、QOL(生活の質)の低下につながります。
乾燥した傷跡はかゆみを生じやすく、掻きむしることで更なる炎症や色素沈着を招くことがあります。このような悪循環を避けるためには、予防的なケアが不可欠です。また、乾燥により傷跡の色調変化が生じる場合もあります。適切な保湿を行うことで、傷跡の外観改善にも寄与します。
冬の適切なケアは、単に症状を緩和するだけでなく、長期的な傷跡の改善にも重要な役割を果たします。皮膚の新陳代謝を促進し、コラーゲンの正常な産生をサポートすることで、傷跡の質感や色合いの改善が期待できます。
また、冬に適切なケアを行うことで、春夏の紫外線シーズンに向けた準備にもなります。健康な状態を維持した傷跡は、紫外線による悪影響を受けにくくなるためです。
💊 傷跡の種類と冬の影響
傷跡の種類により、冬の影響や必要なケアは異なります。ここでは主要な傷跡の種類と、それぞれの冬での特徴について説明します。
成熟瘢痕は最も一般的な傷跡の種類で、受傷から1年以上経過した平坦で白っぽい傷跡を指します。成熟瘢痕は比較的安定していますが、冬の乾燥により硬くなったり、引きつれ感が増加したりすることがあります。適切な保湿により症状の改善が期待できます。
肥厚性瘢痕は傷跡が盛り上がった状態で、コラーゲンの過剰産生により形成されます。冬の乾燥により更に硬くなり、かゆみや痛みが増強する場合があります。肥厚性瘢痕には特に念入りな保湿と、場合によっては医師による専門的治療が必要です。
ケロイドは傷跡が元の傷の範囲を超えて拡大した状態で、体質的要因が強く関与します。ケロイドは冬の乾燥により症状が悪化しやすく、かゆみや痛みが増強することがあります。ケロイドの場合は自己ケアだけでなく、皮膚科での専門的な治療が重要です。
萎縮性瘢痕は傷跡が正常な皮膚より陥没した状態で、ニキビ跡などに見られます。冬の乾燥により陥没がより目立つようになることがあります。適切な保湿に加え、皮膚の新陳代謝を促進するケアが有効です。
色素沈着を伴う傷跡は、メラニンの過剰産生により茶色や黒っぽく見える状態です。冬は紫外線量が少ないため色素沈着の改善に適した時期ですが、乾燥により炎症が生じると色素沈着が悪化する可能性があります。
Q. 傷跡の保湿剤はどんな成分を選べばよいですか?
傷跡の保湿剤は3種類の成分を組み合わせた製品が効果的です。ヒアルロン酸・グリセリンなどの水分補給成分、セラミド・スクワランなどのバリア強化成分、ワセリンなどの水分蒸発防止成分が理想的です。無香料・無着色・アルコールフリーの製品を選び、使用前にパッチテストを行いましょう。
🏥 冬の傷跡ケアの基本原則
冬の傷跡ケアには基本的な原則があります。最も重要なのは継続的な保湿です。傷跡部分の水分バランスを維持することで、皮膚の柔軟性を保ち、症状の悪化を防ぐことができます。保湿は1日に複数回行うことが理想的で、特に入浴後や外出前後には必ず実施しましょう。
次に重要なのは優しいケアです。傷跡は正常な皮膚より敏感なため、強い刺激は避ける必要があります。マッサージを行う際も、適度な圧力で優しく行うことが大切です。また、熱いお湯での長時間の入浴は皮膚の乾燥を促進するため避けましょう。
環境要因の調整も重要な原則の一つです。室内の湿度を適切に保つため、加湿器の使用や室内に濡れたタオルを干すなどの工夫が効果的です。理想的な室内湿度は50~60%です。また、暖房器具の直風が傷跡に当たらないよう注意しましょう。
紫外線対策も冬でも継続する必要があります。雲や雪からの反射により予想以上の紫外線曝露を受ける場合があるためです。特に露出しやすい顔や手の傷跡には日焼け止めの使用を心がけましょう。
栄養バランスの良い食事も傷跡ケアの基本です。ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などの栄養素は皮膚の修復に重要な役割を果たします。また、十分な水分摂取により体内からの保湿効果も期待できます。
⚠️ 適切な保湿剤の選び方
冬の傷跡ケアにおいて保湿剤の選択は極めて重要です。保湿剤は大きく分けて、水分を与える成分(ヒューメクタント)、水分の蒸発を防ぐ成分(エモリエント)、皮膚表面をコーティングする成分(オクルーシブ)の3つのタイプがあります。
ヒューメクタントには、ヒアルロン酸、グリセリン、尿素などがあります。これらの成分は空気中の水分を引き寄せて皮膚に保持する働きがあります。特に湿度の低い冬には、これらの成分を含む保湿剤が効果的です。ただし、極度に乾燥した環境では、皮膚から水分を奪う可能性もあるため、他のタイプの成分と併用することが重要です。
エモリエント成分には、セラミド、スクワラン、植物オイルなどがあります。これらは皮膚のバリア機能を強化し、水分の蒸発を防ぎます。傷跡のような敏感な部分には、刺激性の低いセラミドやスクワランを含む製品が適しています。
オクルーシブ成分には、ワセリン、ミネラルオイル、シリコンなどがあります。これらは皮膚表面に薄い膜を作り、水分の蒸発を強力に防ぎます。ワセリンは特に効果的で、医療現場でも広く使用されています。ただし、べたつきが気になる場合は、軽いテクスチャーのシリコン系製品も選択肢となります。
傷跡専用の保湿剤も市販されており、これらは傷跡の特性を考慮して開発されています。シリコンゲルやシリコンシートなどは、保湿効果に加えて傷跡の改善効果も期待できます。ただし、これらの製品は医師や薬剤師との相談の上で使用することが推奨されます。
保湿剤を選ぶ際は、無香料・無着色で、アルコールフリーの製品を選ぶことが重要です。また、自分の肌に合うかどうかを確認するため、まずは小さな面積でパッチテストを行うことをお勧めします。
🔍 日常的なスキンケアルーティン
効果的な冬の傷跡ケアには、一貫したスキンケアルーティンの確立が重要です。朝のケアでは、まず優しい洗顔から始めます。熱すぎるお湯は皮膚の乾燥を促進するため、ぬるま湯を使用しましょう。洗顔料は刺激の少ない、弱酸性のものを選び、傷跡部分は特に優しく洗います。
洗顔後は速やかに保湿を行います。皮膚が濡れている状態で保湿剤を塗布することで、水分を閉じ込める効果が高まります。まず化粧水やローションで水分を補給し、その後にクリームやオイルで蒸発を防ぎます。傷跡部分には特に念入りに保湿剤を塗布し、軽いマッサージも併せて行います。
日中のケアでは、乾燥を感じた時の追加保湿が重要です。携帯用の小さなクリームやバームを持参し、必要に応じて塗布しましょう。また、露出する傷跡には紫外線対策として日焼け止めを使用します。冬でも紫外線は存在するため、SPF30程度の日焼け止めを使用することが推奨されます。
夜のケアは最も重要で、1日の汚れや刺激を取り除き、夜間の修復機能をサポートします。クレンジングと洗顔を丁寧に行った後、朝以上に念入りに保湿を行います。夜用のリッチなクリームやオイルを使用し、傷跡部分をしっかりと保護しましょう。
週に1~2回は、特別なケアとして保湿マスクやパックの使用も効果的です。市販の保湿マスクを使用するか、ワセリンやオリーブオイルを厚く塗布して20~30分放置する方法もあります。ただし、新しい製品を使用する際は事前にパッチテストを行いましょう。
入浴時のケアも重要です。お湯の温度は38~40度程度に設定し、長時間の入浴は避けます。入浴剤には保湿効果のあるものを選び、入浴後は3分以内に保湿を行うことが理想的です。このタイミングでの保湿が最も効果的で、皮膚の水分を効率よく保持できます。
Q. 冬の傷跡ケアで正しい入浴方法を教えてください。
傷跡のある方の入浴は38〜40度程度のぬるま湯を使用し、長時間の入浴は避けることが重要です。熱いお湯は皮膚の自然な油分を除去し乾燥を促進します。最大のポイントは入浴後3分以内に保湿剤を塗布することで、皮膚がわずかに濡れた状態で保湿することで水分を効率よく閉じ込めることができます。
📝 生活環境の改善方法
傷跡の冬ケアには、生活環境の改善も重要な要素です。室内環境の調整から始めましょう。冬の室内は暖房により極度に乾燥するため、加湿器の使用が効果的です。理想的な室内湿度は50~60%ですが、最低でも40%は維持したいところです。加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内に干したり、洗濯物を部屋干ししたりすることでも湿度を上げることができます。
暖房器具の種類と使用方法も重要です。エアコンや電気ストーブは空気を乾燥させやすいため、加湿と併用することが必要です。また、暖房の直風が傷跡に当たらないよう、風向きの調整や間接的な暖房方法を選択しましょう。床暖房やオイルヒーターなど、空気を直接暖める方式でない暖房器具の使用も検討してみてください。
睡眠環境の改善も傷跡ケアに寄与します。寝室の湿度を適切に保ち、乾燥を防ぐことが重要です。また、寝具の材質にも注意が必要で、化繊よりも天然素材の方が皮膚に優しく、静電気も発生しにくいため推奨されます。枕カバーやシーツは定期的に交換し、清潔を保ちましょう。
衣類の選択も傷跡ケアにおいて重要です。傷跡に直接触れる衣類は、綿や絹などの天然素材を選び、化繊は避けることが望ましいです。また、きつすぎる衣類は血行を妨げ、摩擦により傷跡を刺激する可能性があるため、ゆとりのあるサイズを選びましょう。洗濯の際は、柔軟剤の使用により繊維を柔らかく保つことも効果的です。
水分摂取も内側からの保湿として重要です。冬は夏に比べて水分摂取が減りがちですが、皮膚の健康維持のためには十分な水分が必要です。1日に1.5~2リットルの水分摂取を心がけ、カフェインやアルコールの過剰摂取は避けましょう。これらは利尿作用があり、体内の水分を減少させる可能性があります。
💡 傷跡マッサージの方法
適切なマッサージは傷跡の改善に有効な方法の一つです。マッサージにより血行が促進され、組織の柔軟性が向上し、癒着の予防や改善が期待できます。ただし、間違った方法でのマッサージは逆効果となる可能性があるため、正しい技術を身につけることが重要です。
マッサージを行う前に、手を清潔にし、適切な保湿剤やマッサージオイルを準備します。マッサージオイルには、ビタミンEを含むオイルやアルガンオイル、ホホバオイルなどが適しています。これらのオイルは皮膚に栄養を与え、滑りを良くすることでマッサージ時の摩擦を軽減します。
基本的なマッサージ手技として、まず円を描くような動きから始めます。傷跡の中心から外側に向かって、指の腹を使って優しく円を描きながらマッサージします。圧力は軽めに始め、慣れてきたら徐々に圧を強くしていきます。ただし、痛みを感じるほど強く押す必要はありません。
次に、傷跡の方向に沿った縦横のマッサージを行います。傷跡が縦方向の場合は横方向に、横方向の場合は縦方向にマッサージすることで、組織の柔軟性を向上させることができます。これを「クロスフリクション」と呼び、理学療法でも使用される手技です。
マッサージの時間は1回につき5~10分程度が適切で、1日に2~3回行うことが理想的です。マッサージ後は保湿剤をしっかりと塗布し、皮膚を保護しましょう。また、マッサージ中に痛みや炎症が生じた場合は一旦中止し、症状が続く場合は医師に相談することが重要です。
特殊な器具を使用したマッサージもあります。シリコンカップやローラーなどの器具を使用することで、より効果的なマッサージが可能です。ただし、これらの器具の使用については、事前に医師や理学療法士から指導を受けることが推奨されます。
Q. 冬の傷跡ケアで医師に相談すべき症状は何ですか?
掻きむしりによる出血を伴う強いかゆみ、傷跡部分の発赤・腫脹・熱感・痛み、急激な色調変化、傷跡の盛り上がりや範囲の拡大、新しいスキンケア製品使用後のアレルギー症状が現れた場合は早めに医師へ相談してください。アイシークリニックでは冬季に傷跡症状が悪化する患者様が約7割増加しており、早期対応を推奨しています。
✨ 注意すべき症状と対処法
冬の傷跡ケア中に注意すべき症状がいくつかあります。これらの症状を早期に発見し、適切な対処を行うことで、悪化を防ぐことができます。最も一般的な症状は、乾燥によるかゆみです。軽度のかゆみであれば保湿の強化で改善することが多いですが、強いかゆみや掻きむしりによる出血がある場合は、医師への相談が必要です。
炎症の徴候にも注意が必要です。傷跡部分の発赤、腫脹、熱感、痛みがある場合は、感染や炎症反応が生じている可能性があります。特に新しい傷跡や治療中の傷跡では、これらの症状が現れやすいため、早期の医療受診が重要です。
色調の変化も注意すべき症状の一つです。傷跡が急に濃くなったり、周囲の皮膚と大きく色が異なったりする場合は、色素沈着の進行や炎症の可能性があります。また、傷跡が白く抜けたような状態になる場合は、過度の乾燥や血行不良が考えられます。
傷跡の形状変化も重要な指標です。傷跡が急に盛り上がってきたり、範囲が拡大したりする場合は、ケロイドや肥厚性瘢痕の発症や悪化が考えられます。これらの症状は早期治療により改善の可能性が高くなるため、速やかな医療受診が推奨されます。
アレルギー反応にも注意が必要です。新しいスキンケア製品を使用した後に、発疹、かゆみ、腫れなどの症状が現れた場合は、アレルギー反応の可能性があります。このような場合は、使用を中止し、症状が続く場合は医師に相談しましょう。
これらの症状が現れた場合の対処法として、まずは原因となっている可能性のある要因を取り除くことが重要です。新しいスキンケア製品の使用を中止し、刺激の少ない基本的なケアに戻します。症状が軽度であれば経過観察も可能ですが、症状の悪化や改善が見られない場合は、専門医への相談を躊躇してはいけません。

📌 よくある間違いとその対策
冬の傷跡ケアにおいて、多くの人が犯しやすい間違いがあります。これらの間違いを理解し、正しい方法を実践することで、より効果的なケアが可能になります。
最も多い間違いの一つは、過度の洗浄です。傷跡を清潔に保とうとするあまり、1日に何度も石鹸で洗ったり、強くこすったりすることがあります。これは皮膚のバリア機能を破壊し、乾燥を悪化させる原因となります。洗浄は1日1~2回程度に留め、優しい洗浄料を使用し、軽く洗い流すことが重要です。
保湿剤の使用方法にも間違いが見られます。少量の保湿剤を薄く伸ばすだけでは、冬の乾燥した環境では不十分です。適量を使用し、傷跡部分にはやや厚めに塗布することが効果的です。また、保湿のタイミングも重要で、入浴後すぐに行うことで最大の効果が得られます。
熱いお湯での入浴も一般的な間違いです。熱いお湯は一時的に心地よく感じますが、皮膚の自然な油分を除去し、乾燥を促進します。38~40度程度のぬるま湯を使用し、長時間の入浴は避けましょう。また、入浴後の急激な乾燥を防ぐため、バスルームから出る前に保湿剤を塗布することも有効です。
マッサージに関する間違いも多く見られます。「強く押せば効果が高い」という誤解から、過度の圧力でマッサージを行うことがあります。これは逆に炎症を引き起こし、傷跡を悪化させる可能性があります。マッサージは適度な圧力で、気持ちよく感じる程度に留めることが重要です。
冬でも紫外線対策を怠ることも間違いの一つです。冬の紫外線量は確かに少なくなりますが、雪からの反射や標高の高い場所での紫外線曝露は意外に強いものです。特に顔や手など露出しやすい部位の傷跡には、冬でも日焼け止めの使用を心がけましょう。
自己判断での治療薬使用も避けるべき間違いです。市販のステロイド外用薬や抗生物質軟膏を自己判断で長期使用することは、副作用のリスクがあります。これらの薬剤は医師の指示の下で使用するべきで、傷跡の状態が悪化した場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では冬になると傷跡の乾燥やかゆみを訴える患者様が約7割増加しており、この記事で紹介されている継続的な保湿の重要性を実感しています。特に入浴後3分以内の保湿と、室内湿度50〜60%の維持は非常に効果的で、多くの患者様に改善がみられています。傷跡の状態は個人差が大きいため、セルフケアで改善がみられない場合は早めにご相談いただき、一人ひとりに適したケア方法をご提案させていただいております。」
🎯 よくある質問
継続的な保湿が最も重要です。冬は湿度が20~30%まで下がり、傷跡部分の水分が失われやすくなります。入浴後3分以内の保湿を1日に複数回行い、室内湿度を50~60%に維持することで、傷跡の乾燥や硬化を防ぐことができます。
ヒアルロン酸やグリセリンなどの水分を引き寄せる成分、セラミドやスクワランなどのバリア機能を強化する成分、ワセリンなどの水分蒸発を防ぐ成分が含まれたものがおすすめです。無香料・無着色・アルコールフリーの製品を選び、使用前にはパッチテストを行いましょう。
はい、冬でも紫外線対策は重要です。雪からの反射により予想以上の紫外線曝露を受ける場合があり、特にスキー場や標高の高い地域では注意が必要です。傷跡は紫外線に敏感で色素沈着を起こしやすいため、SPF30程度の日焼け止めの使用をおすすめします。
清潔な手でマッサージオイルを使用し、傷跡の中心から外側へ円を描くように優しく行います。次に傷跡の方向と垂直にマッサージする「クロスフリクション」を実施します。1回5~10分程度、1日2~3回が目安です。痛みを感じるほど強く押さず、適度な圧力で行うことが重要です。
強いかゆみや掻きむしりによる出血、傷跡部分の発赤・腫脹・熱感・痛み、急激な色調変化、傷跡の盛り上がりや範囲拡大、新しいスキンケア製品使用後の発疹やアレルギー症状が現れた場合は、当院への受診をおすすめします。早期対応により改善の可能性が高くなります。

📋 まとめ
冬の傷跡ケアは、乾燥した環境から傷跡を守り、長期的な改善を目指すために重要な取り組みです。低湿度と低温により、傷跡部分は特に乾燥しやすくなり、かゆみや炎症、硬化などの問題が生じやすくなります。しかし、適切な知識と方法に基づいたケアを継続することで、これらの問題を予防し、傷跡の状態を改善することが可能です。
基本的なケアとして、継続的な保湿が最も重要です。適切な保湿剤を選択し、1日に複数回、特に入浴後には必ず保湿を行いましょう。また、室内環境の改善により、傷跡にとって快適な環境を作ることも重要です。加湿器の使用や適切な暖房方法の選択により、乾燥を防ぐことができます。
日常的なスキンケアルーティンの確立と、正しいマッサージ方法の実践により、傷跡の柔軟性を保ち、血行を促進することが可能です。ただし、症状の悪化や新たな問題が生じた場合は、自己判断せず医師への相談を行うことが重要です。
冬の傷跡ケアは継続性が鍵となります。短期間で劇的な改善を期待するのではなく、長期的な視点で地道なケアを続けることで、春を迎える頃には傷跡の状態改善を実感できるはずです。適切なケアにより、傷跡と上手に付き合いながら、快適な冬を過ごしましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 瘢痕・ケロイドの分類と病態、治療法に関する専門的見解。肥厚性瘢痕とケロイドの特徴、冬季における症状変化、適切なスキンケア方法についての医学的根拠
- 日本形成外科学会 – 瘢痕治療のガイドラインと推奨される保湿ケア。傷跡の種類別特徴、マッサージ療法の効果、シリコンゲル等の外用治療に関する学会の見解
- 厚生労働省 – 医薬部外品の適正使用と皮膚ケア製品の安全性。保湿剤の成分と効果、アレルギー対策、医療機関受診の目安に関する公的指針
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
