男性のワキガ手術完全ガイド:種類・効果・費用まで徹底解説

はじめに

「人と接するとき、自分のニオイが気になって集中できない」「スーツを着ると脇の下が黄ばんでしまう」こうした悩みを抱える男性は少なくありません。ワキガ(腋臭症)は、単なる体臭の問題ではなく、日常生活や人間関係、仕事にまで影響を及ぼす可能性のある疾患です。

近年、男性のワキガに対する認識が高まり、治療を希望される方が増加しています。特に、根本的な解決を目指して手術を検討する男性が増えているのが現状です。しかし、手術にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

本記事では、男性のワキガ手術について、基礎知識から最新の治療法、手術の選び方、術後のケアまで、専門的な視点から詳しく解説していきます。

ワキガ(腋臭症)とは

ワキガの基本的なメカニズム

ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれ、脇の下から特有の強いニオイを発する状態を指します。このニオイは、アポクリン汗腺から分泌される汗が、皮膚表面の常在菌によって分解されることで発生します。

人間の汗腺には主に2種類あります。

エクリン汗腺は全身に分布し、体温調節のために水分と少量の塩分を含む汗を分泌します。この汗自体はほぼ無臭です。

一方、アポクリン汗腺は脇の下や陰部、乳輪など限られた部位に存在し、タンパク質や脂質、アンモニアなどを含む粘り気のある汗を分泌します。この汗が皮膚表面の細菌によって分解されると、特有の強いニオイが発生するのです。

日本皮膚科学会によれば、ワキガは遺伝的な要因が強く、両親のいずれかがワキガの場合、子どもに遺伝する確率は50%程度、両親ともにワキガの場合は約80%に達するとされています。

男性に多い理由と特徴

統計的に見ると、ワキガは男女ともに発症しますが、男性の場合、いくつかの特徴的な要因があります。

まず、男性ホルモン(テストステロン)の影響により、アポクリン汗腺の活動が活発になる傾向があります。特に思春期以降、男性ホルモンの分泌が増加することで、ワキガの症状が顕著になることが多いのです。

また、男性は女性と比較して体毛が濃いことが一般的です。脇毛が多いと、汗が留まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境が形成されます。これにより、ニオイがより強くなる傾向があります。

さらに、ビジネスシーンでスーツやジャケットを着用する機会が多い男性は、通気性が悪い環境で長時間過ごすことになります。これが汗の分泌を促進し、ニオイの発生につながります。

運動量が多い男性や肉体労働に従事する男性の場合、発汗量そのものが多くなるため、ワキガの症状がより目立ちやすくなります。

セルフチェック項目

自分がワキガかどうか判断する際の目安として、以下のチェック項目があります。

耳垢が湿っている場合、アポクリン汗腺が発達している可能性が高いとされています。これは、外耳道にもアポクリン汗腺が存在するためです。

両親や兄弟姉妹にワキガの人がいる場合、遺伝的要因が考えられます。

白い衣服の脇の下が黄ばむのは、アポクリン汗腺から分泌される成分が原因です。これは典型的なワキガの兆候といえます。

脇毛に白い粉のようなものが付着する場合、これはアポクリン汗腺からの分泌物が結晶化したものである可能性があります。

他人から指摘されたことがある、または周囲の人が自分の近くで鼻をすする仕草をすることが多い場合も、ワキガの可能性を考慮すべきでしょう。

ワキガ手術の種類と特徴

ワキガの手術には、いくつかの方法があり、それぞれに特徴があります。症状の程度や生活スタイル、ダウンタイムの許容度などに応じて、適切な手術法を選択することが重要です。

剪除法(せんじょほう)

剪除法は、ワキガ手術の中で最も歴史があり、確実性の高い方法として知られています。別名「皮弁法」とも呼ばれます。

この手術では、脇の下の皮膚を4〜5センチ程度切開し、皮膚を裏返してアポクリン汗腺を直接目で確認しながら、一つひとつ丁寧に切除していきます。医師が目視で確認しながら行うため、アポクリン汗腺の除去率が非常に高く、95%以上の除去が可能とされています。

日本形成外科学会の見解でも、剪除法は最も確実性の高い治療法として位置づけられています。

手術時間は片脇で約1時間、両脇で2時間程度です。局所麻酔または全身麻酔下で行われます。

剪除法の最大のメリットは、その高い治療効果です。アポクリン汗腺を直接目で見て除去するため、取り残しが少なく、再発率が非常に低いとされています。重度のワキガに対しても効果的で、多くの場合、一度の手術で症状が大幅に改善します。

また、保険適用の対象となることが多いのも特徴です。医師が腋臭症と診断した場合、健康保険を使用できるため、自己負担額を抑えることができます。

一方でデメリットとしては、切開を伴うため、4〜5センチ程度の傷跡が残ります。熟練した医師による手術であれば、傷跡は脇のしわに沿って目立ちにくくなりますが、完全に消えることはありません。

ダウンタイムも比較的長く、術後1週間程度は脇を固定する必要があり、腕を上げる動作が制限されます。完全に日常生活に戻るまでには2〜3週間程度かかることが一般的です。

デスクワークの方は術後数日で復帰可能なこともありますが、肉体労働や激しいスポーツをする方は、1ヶ月程度の休養が必要になる場合もあります。

吸引法

吸引法は、脇の下に小さな穴(5ミリ程度)を開け、そこから細い管(カニューレ)を挿入してアポクリン汗腺を吸引除去する方法です。

手術時間は片脇で30分程度と短く、局所麻酔で行えます。傷跡が非常に小さく、目立ちにくいのが特徴です。

吸引法のメリットは、何といっても傷跡が小さいことです。5ミリ程度の穴だけで済むため、美容面での負担が少なくなります。

ダウンタイムも剪除法と比較して短く、多くの場合、術後数日で日常生活に戻ることができます。手術時間も短いため、体への負担が比較的軽いといえます。

しかし、デメリットとしては、目視での確認ができないため、アポクリン汗腺の取り残しが起こりやすく、効果が剪除法に比べて劣る可能性があります。除去率は60〜70%程度とされています。

軽度から中等度のワキガには効果が期待できますが、重度の場合は十分な効果が得られないこともあります。また、保険適用外となることが多く、費用は全額自己負担となります。

ミラドライ(マイクロ波治療)

ミラドライは、メスを使わない最新のワキガ治療法です。マイクロ波(電磁波)のエネルギーを皮膚の外から照射し、アポクリン汗腺とエクリン汗腺を熱で破壊します。

アメリカのFDA(食品医薬品局)に承認された治療法で、日本でも多くのクリニックで導入されています。

治療時間は両脇で約1時間程度で、局所麻酔下で行われます。皮膚を切開しないため、傷跡が残らないのが最大の特徴です。

ミラドライのメリットは、切開を伴わないため傷跡が残らないこと、ダウンタイムが短く、多くの場合、翌日から通常の生活が可能なことです。

治療当日からシャワーが可能で、仕事への影響も最小限に抑えられます。また、一度破壊された汗腺は再生しないため、効果は半永久的とされています。

デメリットとしては、保険適用外のため、費用が高額になります。一般的に両脇で30〜40万円程度かかります。

また、個人差はありますが、効果の実感に若干のばらつきがあり、重度のワキガの場合、1回の治療では十分な効果が得られず、複数回の治療が必要になることがあります。

術後、一時的に脇の腫れや赤み、内出血が生じることがあり、これらが完全に引くまでには1〜2週間程度かかることもあります。

レーザー治療

レーザー治療は、小さな穴から細いレーザーファイバーを挿入し、アポクリン汗腺をレーザーの熱で破壊する方法です。

傷跡が非常に小さく、ダウンタイムも短いのが特徴です。手術時間は片脇で30〜40分程度です。

レーザー治療のメリットは、傷跡が1〜2ミリ程度と非常に小さく、ほとんど目立たないこと、ダウンタイムが短く、多くの場合、数日で日常生活に戻れることです。

出血が少なく、感染リスクも低いとされています。

デメリットとしては、吸引法と同様、目視での確認ができないため、効果が剪除法に比べて劣る可能性があります。

保険適用外となることがほとんどで、費用は全額自己負担です。軽度から中等度のワキガには効果的ですが、重度の場合は期待する効果が得られないこともあります。

ボトックス注射(補助的治療)

厳密には手術ではありませんが、ワキガ治療の選択肢として、ボトックス注射があります。

ボツリヌストキシン製剤を脇の下に注射することで、汗腺の働きを抑制し、発汗量を減少させます。これにより、間接的にニオイの軽減が期待できます。

治療時間は両脇で10〜15分程度と非常に短く、注射のみで完了します。

ボトックス注射のメリットは、治療が非常に簡便で、ダウンタイムがほぼないこと、傷跡が残らないこと、治療当日から通常の生活が可能なことです。

デメリットとしては、効果が一時的で、通常3〜6ヶ月程度で効果が薄れるため、定期的な治療が必要になります。

また、アポクリン汗腺そのものを除去するわけではないため、根本的な治療法とはいえません。重度のワキガには効果が限定的です。

保険適用外で、1回の治療で両脇5〜10万円程度かかります。定期的に行う必要があるため、長期的には費用がかさむ可能性があります。

手術の選び方

症状の程度による選択

ワキガの症状は、軽度・中等度・重度に分類されます。

軽度のワキガは、自分では気になるが、他人にはほとんど気づかれない程度です。近距離(30センチ以内)でのみニオイを感じるレベルです。この場合、ボトックス注射やミラドライ、レーザー治療などが選択肢となります。

中等度のワキガは、1メートル程度離れていてもニオイを感じる程度です。日常生活で周囲の人が気づくレベルです。この場合、ミラドライ、レーザー治療、吸引法、または剪除法が選択肢となります。

重度のワキガは、部屋に入っただけでニオイが分かる程度で、衣服の変色が著しいレベルです。この場合、最も確実性の高い剪除法が推奨されます。

ライフスタイルによる選択

仕事や生活スタイルも、手術方法の選択に大きく影響します。

デスクワークが中心で、比較的休みを取りやすい環境にある方は、ダウンタイムが長くても確実性の高い剪除法を選択できます。

営業職や接客業など、人と接する機会が多く、長期の休みが取りにくい方は、ダウンタイムの短いミラドライやレーザー治療が適しています。

肉体労働やスポーツをする方は、完全に回復するまでの期間を考慮し、オフシーズンや長期休暇を利用して剪除法を受けるか、ダウンタイムの短い治療法を選択することになります。

予算による選択

治療費も重要な判断材料です。

保険適用の剪除法は、3割負担で両脇4〜5万円程度と最も経済的です。ただし、保険適用には医師の診断が必要です。

ミラドライは30〜40万円程度、レーザー治療は20〜30万円程度、吸引法は15〜25万円程度が一般的な相場です。

ボトックス注射は1回5〜10万円程度ですが、定期的な治療が必要なため、長期的には高額になる可能性があります。

傷跡への配慮

美容面での配慮も重要な要素です。

絶対に傷跡を残したくない方は、ミラドライやボトックス注射が選択肢となります。

小さな傷跡なら許容できる方は、レーザー治療や吸引法が選択肢となります。

傷跡よりも効果を重視する方は、剪除法が最適です。傷跡は脇のしわに沿って作られるため、時間とともに目立ちにくくなります。

手術前の準備

カウンセリングの重要性

ワキガ手術を受ける前に、十分なカウンセリングを受けることが非常に重要です。

医師によるワキガの診断と症状の程度の評価を受け、自分に最適な治療法について専門家の意見を聞きます。手術のメリットとデメリット、リスクについて詳しく説明を受けます。

費用や保険適用の可否についても確認します。術後のケアや生活上の注意点について理解を深めます。

疑問や不安な点は、遠慮せずに質問することが大切です。納得がいくまで説明を受け、十分に理解した上で治療を受けるかどうかを決定しましょう。

術前検査

手術前には、通常、以下のような検査が行われます。

血液検査により、貧血や感染症の有無、血液凝固機能などを確認します。心電図検査で心臓の状態を確認することもあります。

既往歴や現在服用している薬について申告します。特に、抗凝固薬や抗血小板薬を服用している場合は、医師に必ず伝える必要があります。

アレルギーの有無、特に麻酔薬や消毒薬に対するアレルギーがないか確認します。

生活習慣の調整

手術前には、いくつかの生活習慣を調整する必要があります。

喫煙は傷の治りを遅らせるため、手術の2〜4週間前から禁煙することが推奨されます。少なくとも手術前後は禁煙しましょう。

飲酒も血行に影響を与えるため、手術の数日前から控えることが望ましいです。

抗凝固薬や抗血小板薬、一部のサプリメント(ビタミンEや魚油など)は、出血のリスクを高めるため、医師の指示に従って服用を中止する必要があります。

手術当日は、制汗剤や香水などを使用しないようにします。手術部位を清潔に保つことが重要です。

心の準備

手術に対する不安は誰にでもあるものです。

手術の流れや術後の経過について、事前に十分に理解しておくことで、不安を軽減できます。手術後のダウンタイム中の生活について、具体的にイメージしておくことも大切です。

必要に応じて、家族や信頼できる人に付き添ってもらうことも検討しましょう。術後のサポートが得られる環境を整えておくと安心です。

手術当日の流れ

来院から手術まで

手術当日は、指定された時間にクリニックに到着します。

受付を済ませた後、手術着に着替えます。医師による最終確認があり、体調や気分について確認されます。

手術の流れについて再度説明を受け、同意書にサインします。不安な点があれば、この時点で医師に伝えます。

麻酔

手術の種類によって、使用される麻酔が異なります。

剪除法の場合、局所麻酔または全身麻酔が使用されます。局所麻酔の場合、手術中は意識がありますが、痛みは感じません。注射時にチクッとした痛みがある程度です。

全身麻酔の場合は、完全に眠っている状態で手術が行われます。

ミラドライやレーザー治療、吸引法の場合は、通常、局所麻酔で行われます。

手術の実施

剪除法の場合、皮膚を切開し、皮膚を裏返してアポクリン汗腺を直接目で確認しながら切除していきます。手術時間は両脇で約2時間程度です。

ミラドライの場合、マイクロ波を照射する範囲をマーキングし、麻酔後、専用の機器で照射を行います。治療時間は両脇で約1時間程度です。

術後の処置と帰宅

手術後、傷口をガーゼで保護し、固定します。剪除法の場合は、腕を動かさないように包帯やサポーターで固定することがあります。

医師から術後の注意事項について説明を受けます。痛み止めや抗生物質などの薬が処方されます。

局所麻酔のみの場合は、通常、当日帰宅できます。全身麻酔の場合は、麻酔から覚めるまで休憩室で休んだ後、体調に問題がなければ帰宅します。

帰宅時は、できれば家族や友人に付き添ってもらうことが望ましいです。

術後のケアと経過

術後の痛みと対処法

手術直後から数日間は、傷口の痛みや突っ張り感を感じることがあります。

処方された痛み止めを指示通りに服用することで、痛みはコントロールできます。我慢せずに、痛みを感じたら早めに服用しましょう。

冷却パックなどで患部を冷やすことで、痛みや腫れを軽減できることがあります。ただし、直接皮膚に当てず、タオルなどで包んで使用します。

痛みが強い場合や、日を追って悪化する場合は、感染などの可能性があるため、すぐにクリニックに連絡しましょう。

日常生活の制限

手術後、しばらくの間は日常生活にいくつかの制限があります。

剪除法の場合、術後1週間程度は腕を上げる動作を避ける必要があります。重いものを持つ、激しい運動をするなど、腕を大きく動かす動作は控えます。

デスクワークであれば、術後2〜3日で復帰できることもありますが、肉体労働の場合は2〜4週間程度の休養が必要です。

ミラドライやレーザー治療の場合は、翌日から通常の生活が可能なことが多いですが、激しい運動は1週間程度控えることが推奨されます。

入浴と清潔保持

手術後の入浴については、医師の指示に従うことが重要です。

剪除法の場合、シャワーは術後2〜3日から許可されることが多いですが、傷口を濡らさないように注意が必要です。入浴(湯船に浸かること)は、抜糸後、約1〜2週間後から可能になります。

ミラドライの場合は、当日からシャワーが可能です。

傷口は清潔に保つことが重要ですが、ゴシゴシこすったり、強く圧迫したりしないように注意します。

通院とアフターケア

術後の経過観察のため、定期的な通院が必要です。

剪除法の場合、通常、翌日または数日後に1回目の診察があり、傷口の状態を確認します。術後1週間前後に抜糸を行います。その後も、1ヶ月後、3ヶ月後など、定期的に経過を確認します。

ミラドライの場合は、1週間後、1ヶ月後などに経過観察の診察があります。

診察時には、傷口の治り具合、感染の有無、効果の確認などが行われます。気になることがあれば、遠慮せずに医師に相談しましょう。

傷跡のケア

剪除法の場合、傷跡が残りますが、適切なケアにより目立ちにくくすることができます。

抜糸後、傷跡が安定したら(通常1ヶ月程度後)、傷跡用のテープやシリコンジェルシートを使用することで、傷跡を目立ちにくくする効果が期待できます。

紫外線は傷跡を色素沈着させる原因になるため、日焼け止めを使用したり、直射日光を避けたりすることが推奨されます。

傷跡のマッサージも効果的です。ただし、時期や方法については医師の指示に従いましょう。

手術のリスクと合併症

一般的なリスク

どんな手術にも、一定のリスクが伴います。ワキガ手術におけるリスクを理解しておくことが重要です。

感染は、手術後に起こりうる合併症の一つです。傷口が赤く腫れる、熱を持つ、膿が出る、発熱するなどの症状が現れた場合は、すぐに医師に連絡する必要があります。適切な抗生物質の投与により、ほとんどの場合、治療可能です。

出血や血腫も起こりうる合併症です。手術後、傷口の下に血液が溜まることがあります。軽度であれば自然に吸収されますが、大きな血腫の場合は、穿刺して血液を抜く処置が必要になることがあります。

皮膚の壊死は稀ですが、血流が悪くなることで皮膚の一部が壊死することがあります。喫煙者や糖尿病の方はリスクが高くなります。

手術特有のリスク

剪除法特有のリスクとして、傷跡が残ることは避けられません。個人差がありますが、熟練した医師による手術であれば、脇のしわに沿って目立ちにくくなります。

皮膚の拘縮(こうしゅく)は、傷が治る過程で皮膚が硬くなり、腕の動きが制限されることがあります。適切なリハビリテーションにより、多くの場合、改善します。

脇毛の減少や脱毛は、アポクリン汗腺と一緒に毛根も除去されるため、脇毛が減少または脱失することがあります。これを望む方もいれば、望まない方もいます。事前に医師と相談しておくことが大切です。

神経損傷は稀ですが、手術中に神経を傷つけることで、しびれや感覚の低下が起こることがあります。多くの場合、時間とともに改善しますが、完全に回復しないこともあります。

代償性発汗

ワキガ手術後、一部の患者さんに代償性発汗という現象が起こることがあります。

これは、脇の下の汗が減った代わりに、背中や胸、太ももなど、他の部位からの発汗が増加する現象です。

発生頻度には個人差があり、全く起こらない人もいれば、顕著に起こる人もいます。多くの場合、時間とともに軽減します。

この現象は、体温調節のために体全体からの発汗量は一定に保たれるという体の仕組みによるものです。

効果が不十分な場合

手術を受けても、期待した効果が得られないことがあります。

アポクリン汗腺の取り残しがあった場合、ニオイが完全には消失しないことがあります。特に、吸引法やレーザー治療など、目視での確認ができない方法では、このリスクが高くなります。

剪除法であっても、100%すべての汗腺を除去することは困難です。通常、95%以上の除去が可能とされていますが、残存した汗腺からわずかにニオイが発生することがあります。

効果が不十分な場合、再手術を検討することもありますが、傷跡が残る、癒着があるなど、初回手術よりも難しくなることがあります。

手術以外の治療法

ワキガの治療法は手術だけではありません。症状の程度や希望によって、以下のような選択肢もあります。

制汗剤・デオドラント

市販の制汗剤やデオドラントは、軽度のワキガに対して一定の効果があります。

塩化アルミニウム配合の制汗剤は、汗腺の出口を塞ぐことで発汗を抑制します。医療用の高濃度塩化アルミニウム溶液は、より強い効果が期待できます。

ただし、根本的な治療法ではなく、効果は一時的です。毎日使用する必要があり、肌が弱い方は刺激を感じることがあります。

外用薬

皮膚科で処方される外用薬もあります。

抗菌作用のある外用薬は、ニオイの原因となる細菌の繁殖を抑えます。塩化ベンザルコニウムなどが使用されます。

これらも対症療法であり、継続的な使用が必要です。

内服薬

多汗を抑える内服薬もありますが、全身の発汗を抑制するため、体温調節に影響を与える可能性があります。

抗コリン薬は、発汗を促す神経伝達物質の働きを抑制します。口の渇き、便秘、尿が出にくいなどの副作用があります。

暑い時期の使用は、体温調節が困難になるため注意が必要です。

生活習慣の改善

日常生活の工夫も、ワキガ対策として重要です。

こまめな入浴やシャワーにより、皮膚を清潔に保つことで、細菌の繁殖を抑えます。脇毛を剃ることで、汗が留まりにくくなり、細菌の繁殖を防ぎます。

通気性の良い衣類を選ぶことも効果的です。綿や麻などの天然素材は、化学繊維に比べて通気性が良く、汗を吸収しやすいです。

食生活も影響します。肉類や脂肪分の多い食事を控え、野菜や魚を中心とした食事にすることで、体臭が軽減することがあります。アルコールや香辛料も、発汗やニオイを強くする可能性があります。

ストレスや緊張は、発汗を促進します。リラックスする時間を持つ、適度な運動をするなど、ストレス管理も重要です。

費用と保険適用

保険適用の条件

ワキガ(腋臭症)の治療は、一定の条件を満たせば健康保険の適用対象となります。

医師が診察し、腋臭症と診断した場合に保険適用となります。単なる体臭の悩みではなく、医学的に治療が必要と判断されることが条件です。

保険適用となる手術法は、剪除法(皮弁法)が一般的です。ミラドライやレーザー治療、吸引法は、通常、保険適用外となります。

保険適用の場合、3割負担で両脇4〜5万円程度が一般的です。ただし、クリニックや使用する材料などによって費用は異なります。

自由診療の費用

保険適用外の治療法は、全額自己負担となります。

ミラドライは、両脇で30〜40万円程度が相場です。クリニックによって価格設定が異なります。

レーザー治療は、両脇で20〜30万円程度です。使用する機器や治療回数によって変動します。

吸引法は、両脇で15〜25万円程度です。

ボトックス注射は、1回で両脇5〜10万円程度ですが、効果が3〜6ヶ月程度のため、定期的な治療が必要です。

医療費控除

ワキガの治療費は、医療費控除の対象となる場合があります。

1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超える場合、確定申告により税金の還付を受けられる可能性があります。

美容目的ではなく、治療目的であることが条件です。領収書は必ず保管しておきましょう。

詳しくは、国税庁のウェブサイトを参照するか、税理士に相談することをお勧めします。

よくある質問

手術は痛いですか?

手術中は麻酔が効いているため、痛みを感じることはほとんどありません。局所麻酔の注射時にチクッとした痛みがある程度です。
術後は、麻酔が切れると痛みや突っ張り感を感じますが、処方された痛み止めでコントロールできる程度です。通常、2〜3日で痛みは軽減します。

手術後、いつから仕事に復帰できますか?

手術の種類や仕事内容によって異なります。
ミラドライやレーザー治療の場合、デスクワークであれば翌日から復帰可能なことが多いです。
剪除法の場合、デスクワークで術後3〜7日、肉体労働で2〜4週間程度が目安です。
具体的な復帰時期については、医師と相談して決めましょう。

再発することはありますか?

剪除法の場合、アポクリン汗腺をほぼ完全に除去するため、再発のリスクは非常に低いです。ただし、わずかに残存した汗腺が活動することで、軽度のニオイが残ることはあります。

ミラドライやレーザー治療の場合も、破壊された汗腺は再生しないため、基本的には再発しません。ただし、治療が不十分だった場合、効果が限定的になることがあります。

思春期の方の場合、まだアポクリン汗腺が発達途中であるため、手術後に新たな汗腺が発達し、再発したように感じることがあります。

傷跡は目立ちますか?

剪除法の場合、4〜5センチ程度の傷跡が残りますが、脇のしわに沿って切開するため、時間とともに目立ちにくくなります。個人差はありますが、多くの場合、半年〜1年で傷跡は薄くなります。

ミラドライは切開を伴わないため、傷跡は残りません。レーザー治療や吸引法は、1〜5ミリ程度の小さな跡が残りますが、ほとんど目立ちません。

手術を受けるのに適した年齢は?

ワキガの症状が現れるのは、主に思春期以降です。アポクリン汗腺が十分に発達する15〜18歳以降が手術の適齢期とされています。

あまり若い時期に手術を受けると、その後もアポクリン汗腺が発達し、再発したように感じることがあります。一方で、症状によっては、若い時期の手術が推奨される場合もあります。

高齢の方でも、健康状態に問題がなければ手術は可能です。ただし、傷の治りが遅くなることがあります。

脇毛はどうなりますか?

剪除法の場合、アポクリン汗腺と一緒に毛根も除去されるため、脇毛が減少または脱失します。完全に無くなることもあれば、部分的に残ることもあります。

脇毛の脱毛を望む方にとっては一石二鳥ですが、脇毛を残したい方は事前に医師と相談しましょう。

ミラドライの場合も、毛根にダメージを与えるため、脇毛が減少することがあります。

保険適用で手術を受けたいのですが、どうすればいいですか?

まず、保険診療を行っている医療機関(形成外科や皮膚科)を受診します。医師の診察を受け、腋臭症と診断されれば、保険適用で剪除法を受けることができます。

美容外科クリニックでは、保険診療を行っていない場合が多いです。事前に確認しましょう。

保険証を持参し、受診時に保険適用を希望する旨を伝えます。

手術後、スポーツはいつからできますか?

軽い運動(ウォーキングなど)は、剪除法で術後1〜2週間、ミラドライで数日後から可能です。

激しい運動(筋トレ、球技、水泳など)は、剪除法で術後1〜2ヶ月、ミラドライで1〜2週間程度経ってからが目安です。

傷の治り具合や個人差があるため、運動を再開する前に医師に確認することをお勧めします。

手術後、ニオイは完全に消えますか?

剪除法の場合、多くの患者さんでニオイが大幅に軽減し、日常生活で気にならないレベルになります。ただし、100%完全に無臭になるとは限りません。わずかに汗腺が残存することで、軽度のニオイが残ることがあります。

ミラドライやレーザー治療の場合、効果には個人差があります。多くの場合、ニオイは軽減しますが、重度のワキガの場合、期待した効果が得られないこともあります。

片脇だけ手術することはできますか?

可能です。左右でニオイの強さが異なる場合や、予算の都合などで、片脇だけ手術を受ける方もいます。

ただし、多くの場合、両脇ともに症状があるため、両脇同時に手術を受けることが推奨されます。片脇ずつ別の日に行うと、ダウンタイムが2回必要になり、トータルの期間が長くなります。

まとめ

ワキガ(腋臭症)は、多くの男性が悩む問題ですが、適切な治療により改善が可能です。手術療法には、剪除法、吸引法、ミラドライ、レーザー治療など、さまざまな選択肢があります。

それぞれの方法には、メリットとデメリットがあります。症状の程度、ライフスタイル、予算、傷跡への配慮などを総合的に考慮し、自分に最適な治療法を選択することが重要です。

剪除法は、最も確実性が高く、保険適用が可能ですが、ダウンタイムが長く、傷跡が残ります。ミラドライは、傷跡が残らず、ダウンタイムも短いですが、費用が高額で、保険適用外です。

手術を検討する際は、信頼できる医療機関で十分なカウンセリングを受け、納得した上で決定することが大切です。手術のリスクや合併症についても理解し、術後のケアを適切に行うことで、良好な結果が期待できます。

また、手術だけでなく、生活習慣の改善や外用薬の使用など、日常的にできる対策もあります。症状が軽度の場合や、手術に抵抗がある場合は、これらの方法を試してみるのも良いでしょう。

ワキガは治療可能な疾患です。一人で悩まず、専門医に相談することが、問題解決への第一歩です。適切な治療により、自信を持って日常生活を送れるようになることを願っています。

アイシークリニック新宿院でのワキガ治療

アイシークリニック新宿院では、ワキガ(腋臭症)の治療に豊富な経験を持つ医師が、患者さま一人ひとりの症状や希望に合わせた最適な治療法をご提案しています。

丁寧なカウンセリングを通じて、不安や疑問にお答えし、納得いただいた上で治療を進めてまいります。保険適用の剪除法から、最新のミラドライまで、幅広い治療オプションをご用意しております。

ワキガでお悩みの方は、お気軽にアイシークリニック新宿院にご相談ください。プライバシーに配慮した診療を心がけております。

参考文献

本記事は、以下の信頼できる情報源を参考に作成されています。

  1. 日本皮膚科学会: https://www.dermatol.or.jp/
  2. 日本形成外科学会: https://www.jsprs.or.jp/
  3. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/
  4. 国税庁(医療費控除について): https://www.nta.go.jp/

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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