「気がついたら手や足にイボができていた」「首のポツポツが気になる」「イボの治療って保険が使えるの?」――このような悩みをお持ちの方は少なくありません。
イボは日常的によく見られる皮膚疾患ですが、その種類や原因、治療法はさまざまです。また、保険適用になる治療と自費診療になる治療があり、治療を受ける前に費用面での不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、専門医の監修のもと、イボの種類から原因、保険適用となる治療法と費用、さらには新宿エリアで治療を受ける際のポイントまで、包括的に解説いたします。

目次
- イボとは何か?医学的な定義と概要
- イボの種類と特徴
- イボができる原因とメカニズム
- 皮膚科で行われるイボ治療の種類
- イボ治療の保険適用条件と費用
- 自費診療によるイボ治療の費用相場
- イボ治療を受ける際の注意点
- イボと間違えやすい皮膚疾患について
- イボの予防法と日常生活での注意点
- 新宿エリアでイボ治療を受けるメリット
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. イボとは何か?医学的な定義と概要
イボの医学的定義
イボとは、皮膚の一部が盛り上がってできた小さなできもののことを指します。医学的には「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれ、主にウイルス感染によるものと、加齢や紫外線などの影響によるものに大別されます。
イボは年齢や性別を問わず発症する可能性がある皮膚疾患であり、手足や顔、首、体幹部など全身のさまざまな部位にできることがあります。多くの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状はありませんが、放置すると大きくなったり数が増えたりすることもあるため、早期の対処が望ましいとされています。
一般的なイボと医学的なイボの違い
日常会話で「イボ」と呼ばれるものには、実は医学的に異なる複数の疾患が含まれています。
皮膚科医が「イボ」という医学用語を使う場合、通常はヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発生する「ウイルス性疣贅」を指します。一方、一般の方が「イボ」と呼ぶものには、ウイルス性イボだけでなく、老人性イボ(脂漏性角化症)や首イボ(軟性線維腫・アクロコルドン)なども含まれています。
この認識の違いが、皮膚科を受診した際に医師との話が食い違う原因になることもあります。そのため、イボについて正しく理解し、適切な治療を受けることが重要です。
2. イボの種類と特徴
イボは大きく分けて、ウイルス感染によるものと非ウイルス性(加齢や体質によるもの)の二つに分類されます。それぞれの種類について詳しく見ていきましょう。
ウイルス性イボ
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
尋常性疣贅は、最も一般的なウイルス性イボです。「尋常性」とは「一般的な」という意味であり、まさに名前の通り、日常診療で最もよく見られるタイプのイボといえます。
主にヒトパピローマウイルス(HPV)の2型、27型、57型などが原因となり、手指や足の裏、膝、肘などに好発します。表面がザラザラとしており、灰白色から褐色を呈することが多いです。
子どもから大人まで幅広い年齢層で発症しますが、特に小児に多く見られます。これは、子どもは皮膚のバリア機能が未熟であることや、プールや公共施設での裸足歩行の機会が多いことなどが関係していると考えられています。
日本皮膚科学会が2019年に発表した「尋常性疣贅診療ガイドライン」では、液体窒素による冷凍凝固療法が推奨度A(行うよう強く勧められる)として位置付けられており、イボ治療の第一選択として広く行われています。
参考:日本皮膚科学会「尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版)」
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
扁平疣贅は、主にHPV3型や10型が原因で発生するイボです。青年期に顔面や手の甲などに多発することが多いため、「青年性扁平疣贅」とも呼ばれます。
表面が平らで滑らかなのが特徴で、肌色から淡褐色を呈します。直径2〜5mm程度の小さなイボが、顔や手の甲に線状に並んで多発することがあります。女性に多く見られる傾向があり、化粧時に気づかれることも少なくありません。
足底疣贅(そくていゆうぜい)
足底疣贅は、足の裏にできるウイルス性イボです。体重がかかる部位にできるため、イボが皮膚の内部に押し込まれた状態になり、歩行時に痛みを感じることがあります。
足の裏にできるため、「うおのめ」や「たこ」と間違われることが多いですが、イボの場合は表面を削ると点状の出血が見られる(点状出血)という特徴があります。これはイボ内部に細かい血管が入り込んでいるためです。
伝染性軟属腫(水イボ)
伝染性軟属腫は、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)が原因で発生するイボの一種です。一般的には「水イボ」と呼ばれ、主に小児に多く見られます。
直径1〜5mm程度の光沢のある丘疹で、中央がへそのようにくぼんでいるのが特徴です。プールなどで感染することが多く、夏場に増加する傾向があります。
非ウイルス性イボ
脂漏性角化症(老人性イボ)
脂漏性角化症は、加齢に伴って発生する良性の皮膚腫瘍です。「老人性イボ」「老人性疣贅」とも呼ばれますが、実際には20代後半から出現することもあり、40代以降になると急増します。80歳以上ではほぼ全員に見られるともいわれており、皮膚の老化現象の一つとされています。
主に顔面、頭部、体幹(胴体)など、紫外線を浴びやすい部位に好発します。表面がザラザラしており、肌色から黒褐色まで色調はさまざまです。シミ(老人性色素斑)が隆起してイボ状になったものも多く、シミの延長線上にある疾患ともいえます。
脂漏性角化症はウイルス感染ではないため、他人にうつることはありません。良性腫瘍であり、通常は治療の必要はありませんが、見た目が気になる場合や衣服に擦れて不快な場合には、除去することも可能です。
アクロコルドン(軟性線維腫・首イボ)
アクロコルドンは、首や脇、鼠径部(股)など、皮膚が薄くて柔らかい部位にできる小さなイボです。「軟性線維腫」「スキンタッグ」「首イボ」「中年イボ」など、さまざまな名称で呼ばれています。
30代頃から出現し始め、加齢とともに数が増える傾向があります。大きさは1〜3mm程度のものが多いですが、中にはクルミ程度の大きさになるものもあります。皮膚の色に近いものから、やや褐色を帯びたものまで色調はさまざまです。
アクロコルドンはウイルス性ではなく、皮膚への摩擦や加齢、紫外線などが原因と考えられています。良性の腫瘍であり、健康上の問題はありませんが、衣類やアクセサリーに引っかかって痛みや炎症を起こすことがあるため、除去を希望される方も多くいらっしゃいます。
3. イボができる原因とメカニズム
ウイルス性イボの発生メカニズム
ウイルス性イボの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。HPVは皮膚や粘膜に感染し、イボ(パピローマ)などの原因となるウイルスで、200種類以上の型が存在することが知られています。
国立がん研究センターの情報によれば、HPVは多くの人が生涯で一度は感染するといわれる一般的なウイルスです。通常は感染してもほとんどが自然に排除されますが、感染した状態が続くと、イボやその他の病変が発生することがあります。
参考:国立がん研究センター がん情報サービス「ヒトパピローマウイルス」
HPV感染の経路
HPVの感染経路は主に以下の2つです。
- 直接接触:感染者の皮膚や粘膜に直接触れることで感染する
- 間接接触:プールや銭湯の床、足拭きマット、共用のスリッパなどを介して感染する
HPVは正常な皮膚には感染しにくいですが、小さな傷や擦り傷があると、そこからウイルスが侵入しやすくなります。ウイルスは皮膚の表面にある「表皮」の深い層(基底層)に感染し、そこで増殖することでイボを形成します。
潜伏期間と発症
HPVに感染してからイボが出現するまでの潜伏期間は、一般的に1〜6か月程度とされています。ただし、個人差が大きく、感染から数年後に発症することもあります。また、感染しても必ずしもイボが発症するわけではなく、免疫機能によってウイルスが排除される場合も多くあります。
非ウイルス性イボの発生要因
脂漏性角化症やアクロコルドンなどの非ウイルス性イボは、以下のような要因が関与していると考えられています。
- 加齢:皮膚の新陳代謝の低下により、角質が厚くなりやすくなる
- 紫外線:長期間の紫外線暴露により、皮膚細胞のDNAが損傷を受ける
- 遺伝的要因:家族に脂漏性角化症の多い人は発症しやすい傾向がある
- 摩擦:首や脇など、皮膚が擦れやすい部位にイボができやすい
- 肥満:肥満の方はアクロコルドンが発症しやすいとの報告がある
4. 皮膚科で行われるイボ治療の種類
皮膚科では、イボの種類や状態に応じてさまざまな治療法が選択されます。主な治療法について詳しく解説いたします。
液体窒素による冷凍凝固療法
治療の概要
液体窒素による冷凍凝固療法は、日本の皮膚科で最も一般的に行われているイボ治療法です。日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」においても、推奨度A(行うよう強く勧められる)として位置付けられており、ウイルス性イボ治療の第一選択として広く認められています。
この治療法では、マイナス196℃の液体窒素を綿棒やスプレー式の器具でイボに当て、瞬間的に凍結させます。凍結によってイボの組織が破壊され、その後かさぶたとなって自然に脱落します。
治療の流れ
- イボの診察と診断
- 液体窒素をイボに数秒間当てて凍結させる
- 治療後、患部は水ぶくれやかさぶたになる
- 1〜2週間後にかさぶたが脱落する
- 必要に応じて同じ治療を繰り返す
治療回数と期間
液体窒素療法は、通常1回の治療でイボが完全に取れることは少なく、1〜2週間ごとに数回から十数回の治療を繰り返す必要があります。イボの大きさや部位、個人の体質によって治療期間は大きく異なり、数週間で治る場合もあれば、数か月から1年以上かかる場合もあります。
特に足の裏のイボ(足底疣贅)は、角質が厚く液体窒素が浸透しにくいため、治療に時間がかかる傾向があります。
メリットとデメリット
メリット:
- 保険適用で治療費が比較的安い
- 手技が簡便で、多くの皮膚科で受けられる
- 特別な麻酔が不要
デメリット:
- 治療時および治療後に痛みを伴う
- 複数回の通院が必要
- 治療後に色素沈着(シミ)が残ることがある
- 炎症後色素沈着は治療を受けた患者の約90%に見られ、消失まで6〜12か月を要することが一般的
サリチル酸外用療法
サリチル酸は、皮膚の角質を柔らかくして剥離させる作用があり、イボ治療に使用される外用薬の一つです。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度A(行うよう強く勧められる)とされています。
サリチル酸ワセリン(5〜10%)を塗布する方法や、スピール膏(サリチル酸を含む貼付剤)を使用する方法があります。単独で使用されることもありますが、多くの場合、液体窒素療法と併用して治療効果を高めます。
ヨクイニン内服療法
ヨクイニンは、ハトムギの皮を除いた種子から作られる生薬で、古くからイボ治療に用いられてきました。免疫機能を活性化させ、ウイルスを排除する働きがあると考えられています。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ヨクイニン内服療法は推奨度B(行うことを推奨する)として位置付けられています。
臨床データによると、ヨクイニン内服の有効率は年齢によって異なり、乳幼児や学童では約70%以上と高い効果が報告されていますが、成人では20%程度と低くなる傾向があります。投与期間は、ガイドラインによれば3か月程度を目安に効果判定することが推奨されています。
通常、成人は1日9〜18錠あるいは3〜6gを2〜3回に分けて内服します。副作用は比較的少なく、まれに胃部不快感や下痢、皮膚のかゆみなどが報告されています。
外科的切除(手術)
イボを手術によって切除する方法も、保険適用で行うことができます。局所麻酔を行い、メスや電気メスを用いてイボを根元から切除します。
手術による治療は、以下のような場合に選択されることがあります。
- イボの数が少なく、根治的な治療を希望する場合
- 液体窒素療法で効果が得られなかった場合
- 悪性腫瘍の可能性を否定するために病理検査が必要な場合
手術のメリットは、1回の治療でイボを確実に除去できることです。一方、デメリットとしては、局所麻酔が必要なこと、傷跡が残る可能性があること、一度に手術できる数に限りがあることなどが挙げられます。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、水分に吸収されやすいレーザー光を照射し、イボの組織を蒸散させて除去する治療法です。出血が少なく、傷が小さく済むため、治りが早いのが特徴です。
ただし、一般的にイボに対する炭酸ガスレーザー治療は保険適用外(自費診療)となります。美容目的で見た目をきれいに治したい場合や、多発したイボを一度に除去したい場合などに選択されることが多いです。
その他の治療法
モノクロロ酢酸
モノクロロ酢酸は強酸の一種で、イボの組織を化学的に破壊する治療法です。日本皮膚科学会のガイドラインでも治療法として記載されていますが、保険適用ではありません。液体窒素療法と比較して処置時の痛みが少ないことが特徴で、難治性の足底疣贅に効果がある場合もあります。
局所免疫療法(SADBE、DPCP)
SADBE(スクアリン酸ジブチルエステル)やDPCPなどの化学物質を塗布し、意図的にかぶれ(接触皮膚炎)を起こさせることで、局所の免疫反応を活性化させる治療法です。ガイドラインでは推奨度C1(選択肢の一つとして考慮)に位置付けられています。保険適用外ですが、液体窒素療法で効果がなかった難治性イボに対して試みられることがあります。
5. イボ治療の保険適用条件と費用
保険適用となる治療
イボの治療は、多くの場合健康保険が適用されます。保険適用となる主な治療法と費用の目安は以下の通りです。
液体窒素による冷凍凝固療法
保険診療で最も一般的に行われるイボ治療です。
費用の目安(3割負担の場合):
- イボ3個以下:約630円(別途診察料、処方料がかかります)
- イボ4個以上:約810円(別途診察料、処方料がかかります)
- 初診料込みの場合:約1,500〜2,000円程度
- 再診時:約500〜800円程度
治療回数が複数回必要な場合、その都度費用がかかりますので、イボの数や大きさによってはトータルの治療費が高くなる場合もあります。
外科的切除(手術)
手術による切除も保険適用となります。
費用の目安(3割負担の場合):
- 露出部(顔、首、手など):約5,000円程度
- 非露出部(体幹、四肢など):約5,000円程度
- 別途、診察料・処方料で約1,000円程度
- 病理検査費用:約3,000円程度
手術費用は、イボの大きさや部位、手術の複雑さによって異なります。
内服薬(ヨクイニン)
ヨクイニンの内服療法は保険適用で処方を受けることができます。
費用の目安:
- 薬剤費:数百円〜1,000円程度/月(3割負担の場合)
- 別途、診察料・処方料がかかります
保険適用の条件
イボ治療が保険適用となるためには、一般的に以下のような条件を満たす必要があります。
- 医師による診断:ウイルス性イボ(尋常性疣贅など)と診断された場合
- 機能的な問題:イボが日常生活に支障をきたしている場合(例:歩行時の痛み、衣類との擦れによる不快感など)
- 感染リスク:他の部位や他人への感染を防ぐための治療が必要な場合
- 診断目的:悪性腫瘍の可能性を否定するために病理検査が必要な場合
純粋に美容目的での治療は、保険適用外となる場合があります。ただし、脂漏性角化症(老人性イボ)であっても、液体窒素による治療は保険適用で受けられることがあります。
6. 自費診療によるイボ治療の費用相場
美容目的でイボを除去したい場合や、保険適用外の治療法を希望する場合は、自費診療となります。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザーによるイボ除去は、一般的に自費診療となります。
費用の相場:
- 1mm:約5,000〜11,000円
- 3mm未満:約11,000〜22,000円
- 5mm未満:約22,000〜33,000円
- 首イボ(アクロコルドン):1個あたり約2,200〜5,500円
- 首イボ取り放題プラン:約22,000〜55,000円(クリニックにより異なる)
炭酸ガスレーザー治療の費用は、クリニックによって大きく異なります。また、イボの大きさや数、部位によっても料金が変わりますので、事前にカウンセリングを受けて見積もりを確認することをお勧めします。
自費診療を選択するメリット
- 治療回数が少ない:炭酸ガスレーザーは1回の治療で除去できることが多い
- 色素沈着が少ない:液体窒素療法と比較して、治療後の色素沈着が起こりにくい
- 傷跡が目立ちにくい:フラクショナルタイプのレーザーを使用すると、傷跡が最小限に抑えられる
- 一度に多数のイボを治療可能:保険診療と異なり、数の制限なく治療できる
医療保険の給付金について
イボ治療を受けた場合、加入している生命保険や共済組合の医療保険によっては、手術給付金を受け取れることがあります。保険診療で手術を受けた場合(「皮膚皮下腫瘍摘出術」など)が対象となりますが、保険会社や契約内容によって異なりますので、事前に確認することをお勧めします。
7. イボ治療を受ける際の注意点
治療前の注意点
自己判断での治療は避ける
イボだと思っていたものが、実は悪性腫瘍(皮膚がん)であったというケースもまれにあります。自己判断で市販の「イボコロリ」などを使用したり、自分でイボを切除しようとしたりすることは避け、必ず皮膚科専門医の診断を受けることが重要です。
また、ウイルス性イボを素人判断で触ったりいじったりすると、ウイルスが他の部位に広がって新たなイボができる原因になることがあります。
治療法の選択
イボの種類や状態、部位によって最適な治療法は異なります。医師とよく相談し、以下の点を確認してから治療を受けることをお勧めします。
- 保険適用かどうか
- 治療回数の目安
- 痛みの程度
- ダウンタイム(治療後の回復期間)
- 傷跡や色素沈着の可能性
- 再発のリスク
治療後の注意点
液体窒素療法の場合
- 治療後1〜3日程度は、ジンジンとした痛みを感じることがある
- 水ぶくれができることがあるが、つぶさないようにする
- かさぶたが自然に剥がれるまで無理に取らない
- 治療部位を清潔に保つ
手術・レーザー治療の場合
- 術後1〜2週間程度は、軟膏を塗布しテープや絆創膏で保護する
- 治療部位を紫外線に当てないように注意する
- 傷が完全に治癒するまで、激しい運動や入浴(長時間の湯船)は避ける
- 傷の赤みは1〜6か月程度で徐々に目立たなくなる
再発について
イボ治療後の再発は珍しくありません。特にウイルス性イボの場合、見た目上は完全に除去されていても、周囲の皮膚に残っていたウイルスが増殖して新たなイボが発生することがあります。
再発を防ぐためには、以下の点に注意することが大切です。
- 治療を中断せず、医師の指示に従って最後まで継続する
- 免疫力を高めるために、規則正しい生活習慣を心がける
- 皮膚を傷つけないよう注意する
- 再発の兆候が見られたら早めに受診する
8. イボと間違えやすい皮膚疾患について
イボに似た外見を持つ皮膚疾患の中には、悪性腫瘍(皮膚がん)が含まれることがあります。以下のような症状が見られる場合は、早急に皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
注意が必要な症状
- 急速に大きくなる
- 色が不均一(黒、茶、赤などが混在)
- 形が左右非対称
- 境界がぼやけている、または不規則
- 出血しやすい、またはジュクジュクしている
- 中央部がくずれている、または潰瘍になっている
- 硬い
- 6mm以上の大きさ
イボと間違えやすい悪性腫瘍
基底細胞癌
基底細胞癌は、日本人に多い皮膚がんの一つです。ホクロに似ていますが、青黒く光沢があり、より硬い隆起した病変が特徴です。放置すると大きくなり、中央部がくずれてへこんでくることがあります。高齢者の顔面、特に鼻や目の周りに発生することが多いです。
早期に完全切除を行えば、転移することはほとんどありません。
有棘細胞癌(扁平上皮癌)
有棘細胞癌は、皮膚が盛り上がったしこりになるため、イボと間違われることがあります。特に顔面や手の甲など、紫外線を浴びやすい場所に見られる傾向にあります。表面がもろく崩れやすく、少しの摩擦で傷になってジュクジュクしたり、かさぶたになったりすることがあります。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は、「ほくろのがん」とも呼ばれる皮膚がんです。色が黒いことからほくろと見間違うことが多いですが、色調にムラがあり、いびつな形をしているのが特徴です。手足の末端部(足の裏や爪など)に発生することが多く、転移しやすい悪性度の高いがんです。
日光角化症
日光角化症は、皮膚の前がん病変で、放置すると有棘細胞癌に進行する可能性があります。高齢者の顔面や手の甲など、紫外線を浴びやすい場所に見られます。普通のシミよりも赤みが強く、表面がカサカサと乾燥した状態であることが特徴です。
皮膚科専門医の診察の重要性
イボと皮膚がんを見分けることは、一般の方には困難です。皮膚科専門医は、ダーモスコピー(皮膚を拡大して観察する器具)を使用して病変を詳細に観察し、必要に応じて病理検査(組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)を行います。
気になるイボや皮膚のできものがある場合は、自己判断せずに早めに皮膚科を受診することが大切です。
9. イボの予防法と日常生活での注意点
ウイルス性イボの予防
感染予防
- 公共の場所(プール、銭湯、スポーツジムなど)では素足で歩かない
- タオルやスリッパを他人と共用しない
- 足拭きマットは家族で別々のものを使用する
- 皮膚に傷がある場合は、傷口を清潔に保ち、絆創膏などで保護する
感染拡大の予防
すでにイボがある場合は、以下の点に注意して他の部位や他人への感染拡大を防ぎましょう。
- イボを触らない、いじらない
- イボを爪で削ったり、自分で取ろうとしたりしない
- イボに触れた手で他の部位を触らない
- 家族と同居している場合は、タオルやバスマットを別にする
- 早めに治療を開始する
非ウイルス性イボの予防
脂漏性角化症やアクロコルドンなどの非ウイルス性イボは、完全に予防することは難しいですが、以下のような対策が有効と考えられています。
- 紫外線対策:日焼け止めを使用し、帽子や日傘で紫外線を避ける
- 皮膚への摩擦を減らす:ゆったりとした衣類を着用する
- 適正体重の維持:肥満はアクロコルドンのリスク因子とされている
- 保湿:皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を維持する
免疫力を高める生活習慣
ウイルス性イボの発症や再発を防ぐためには、免疫力を高めることも大切です。
- 十分な睡眠をとる
- バランスの良い食事を心がける
- 適度な運動を行う
- ストレスを溜めないようにする
- 喫煙を避ける
10. 新宿エリアでイボ治療を受けるメリット
アクセスの良さ
新宿は、JR各線、私鉄各線、地下鉄が乗り入れる東京最大のターミナル駅であり、東京都内はもちろん、埼玉、千葉、神奈川など近隣県からもアクセスしやすい立地です。
イボ治療、特に液体窒素療法は複数回の通院が必要となることが多いため、アクセスの良い場所にあるクリニックを選ぶことで、治療を継続しやすくなります。
選択肢の豊富さ
新宿エリアには、皮膚科専門のクリニックから美容皮膚科、形成外科まで、さまざまな医療機関が集まっています。そのため、自分の症状や希望に合った治療を受けられるクリニックを選ぶことができます。
また、保険診療に対応しているクリニック、自費診療に特化したクリニック、両方に対応しているクリニックなど、選択肢が豊富なのも新宿エリアの特徴です。
土日祝日診療のクリニックが多い
新宿エリアには、土日祝日も診療を行っているクリニックが多くあります。平日は仕事で忙しい方でも、休日を利用して治療を受けることができます。
皮膚科を選ぶ際のポイント
新宿エリアでイボ治療を受けるクリニックを選ぶ際は、以下の点を参考にしてください。
- 専門医が在籍しているか
- 保険診療に対応しているか
- 複数の治療法から選択できるか
- アクセスが良いか(駅から近いか)
- 診療時間が自分のライフスタイルに合っているか
- 予約システムの有無(待ち時間を短縮できるか)
- 口コミや評判

11. よくある質問(FAQ)
A. イボの種類によります。脂漏性角化症(老人性イボ)やアクロコルドン(首イボ)などの良性のイボは、放置しても健康上の問題はほとんどありません。ただし、見た目が気になる場合や、衣類に擦れて不快な場合は治療を検討してもよいでしょう。
一方、ウイルス性イボは放置すると大きくなったり、数が増えたり、他の部位や他人に感染したりする可能性があります。また、ごくまれにイボに似た皮膚がんが存在することもあるため、気になるイボがある場合は皮膚科を受診することをお勧めします。
A. イボを自分で取ることは推奨されません。市販の「イボコロリ」などの外用薬はウイルス性イボに対して効果があるとされていますが、使い方を間違えると正常な皮膚を傷つける可能性があります。また、ウイルス性イボを素人判断でいじると、ウイルスが周囲に広がって新たなイボができる原因になります。
脂漏性角化症(老人性イボ)には、市販のイボ取り薬や美白化粧品は効果がありません。
安全かつ確実にイボを除去したい場合は、皮膚科での治療をお勧めします。
Q3. イボ治療は痛いですか?
A. 液体窒素療法は、治療中および治療後に痛みを伴います。治療中は冷たさとヒリヒリした痛みを感じ、治療後は1〜3日程度ジンジンとした痛みが続くことがあります。痛みの感じ方には個人差がありますが、小さなお子様の場合は治療を継続できないこともあります。
手術やレーザー治療の場合は、局所麻酔を行うため、治療中の痛みはほとんどありません。
Q4. イボ治療は何回くらい通院が必要ですか?
A. イボの大きさ、部位、種類によって大きく異なります。液体窒素療法の場合、一般的には1〜2週間ごとに数回から十数回の治療が必要です。足の裏のイボや大きなイボは、治療に長期間かかることがあります。
炭酸ガスレーザーによる治療は、多くの場合1回で除去できますが、大きなイボや深いイボの場合は複数回の治療が必要になることもあります。
Q5. イボ治療後に傷跡は残りますか?
A. 治療法や個人の体質によります。液体窒素療法後は、治療部位に色素沈着(茶色いシミ)が残ることが多いですが、通常は数か月から1年程度で薄くなります。
手術による切除の場合は、縫合の跡が残る可能性がありますが、形成外科医が行えば目立ちにくい傷跡にすることが可能です。
炭酸ガスレーザー治療は、傷跡が比較的目立ちにくいとされていますが、部位や皮膚の状態によっては赤みや凹みが残ることもあります。
Q6. イボはうつりますか?
A. ウイルス性イボは感染性があります。直接接触や、タオル・スリッパなどを介した間接接触で他人に感染する可能性があります。また、自分のイボを触った手で他の部位を触ると、新たなイボができることがあります。
脂漏性角化症やアクロコルドンなどの非ウイルス性イボは、感染性がないため、他人にうつることはありません。
Q7. 子どものイボはどうしたらいいですか?
A. 小児のイボは、自然治癒することもありますが、放置すると数が増えたり、学校のプールなどで他の子どもに感染したりする可能性があります。皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。
小児のイボ治療には、液体窒素療法やヨクイニン内服などが行われます。ヨクイニンは小児に対する有効率が高い(約70%以上)という報告があり、痛みを伴わないため、痛みに敏感なお子様にも使用しやすい治療法です。
Q8. 妊娠中でもイボ治療は受けられますか?
A. 妊娠中のイボ治療については、担当医とよく相談してください。液体窒素療法は局所的な治療であり、妊娠中でも比較的安全に行えるとされていますが、必要性と安全性を慎重に判断する必要があります。
ヨクイニンには子宮収縮作用があるとの報告があるため、妊娠中の内服は避けるか、事前に主治医に相談してください。
12. まとめ
イボは日常的によく見られる皮膚疾患ですが、その種類や原因はさまざまです。正しい知識を持ち、適切な治療を受けることが大切です。
この記事のポイントをまとめます。
- イボの種類:ウイルス性イボ(尋常性疣贅など)と非ウイルス性イボ(脂漏性角化症、アクロコルドンなど)がある
- 主な治療法:液体窒素療法(保険適用)、外科的切除(保険適用)、炭酸ガスレーザー(主に自費)、ヨクイニン内服(保険適用)など
- 治療費の目安:
- 液体窒素療法:3割負担で約600〜2,000円/回
- 外科的切除:3割負担で約5,000〜15,000円
- 炭酸ガスレーザー:1mmあたり約5,000〜11,000円(自費)
- 注意が必要なケース:急に大きくなる、色が不均一、出血しやすいなどの症状がある場合は、早急に皮膚科専門医を受診する
- 予防のポイント:公共の場での感染予防、紫外線対策、免疫力を高める生活習慣
イボでお悩みの方は、まずは専門医の診察を受け、イボの種類を正確に診断してもらうことが治療の第一歩です。新宿エリアには、保険診療から自費診療まで幅広く対応できる医療機関が多くありますので、ご自身の症状や希望に合ったクリニックを選んでいただければと思います。
アイシークリニック新宿院では、専門医と形成外科専門医がチームとなり、患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案しております。イボでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
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https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000812.html - 東京都感染症情報センター「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症」
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/epid/y2003/tbkj2410/ - Know VPD!「ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)」
https://www.know-vpd.jp/vpdlist/hpv.htm
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務