「脱水症状は夏に起こるもの」と思っていませんか。実は冬こそ高齢者にとって脱水症状のリスクが高まる季節です。空気の乾燥や暖房の使用、喉の渇きを感じにくくなることなど、さまざまな要因が重なり、気づかないうちに体内の水分が不足してしまうことがあります。本記事では、冬に高齢者が脱水症状を起こしやすい理由から、見逃しやすい症状のサイン、効果的な予防法まで詳しく解説します。ご自身やご家族の健康管理にお役立てください。

📋 目次
- 🔍 冬に高齢者が脱水症状を起こしやすい理由
- ⚠️ 高齢者の脱水症状に気づくためのチェックポイント
- 🚨 冬の脱水症状が引き起こす健康リスク
- 💧 高齢者の冬の脱水を防ぐ水分補給のコツ
- 🍽️ 食事から水分を摂取する工夫
- 🏠 室内環境を整えて脱水を予防する方法
- 👨👩👧👦 介護者・家族ができる脱水予防のサポート
- 🏥 脱水症状が疑われるときの対処法
- ❓ よくある質問
- 📝 まとめ
🔍 冬に高齢者が脱水症状を起こしやすい理由
冬は夏に比べて汗をかく機会が少ないため、脱水症状とは無縁だと考えがちです。しかし実際には、冬特有の環境要因と加齢による身体の変化が重なり、高齢者は知らず知らずのうちに脱水状態に陥りやすくなります。ここでは、その具体的な理由について詳しく見ていきましょう。
💨 空気の乾燥による不感蒸泄の増加
不感蒸泄とは、呼吸や皮膚から自然に蒸発していく水分のことです。私たちは汗をかいていなくても、1日に約900ml程度の水分を不感蒸泄として失っています。冬は外気が乾燥し、さらに暖房によって室内の湿度も低下するため、この不感蒸泄が夏場よりも増加します。特に高齢者は皮膚のバリア機能が低下しているため、より多くの水分が体外に逃げやすくなっています。
🧠 喉の渇きを感じにくくなる
加齢に伴い、脳の口渇中枢の機能が低下することで、体内の水分が不足しても喉の渇きを感じにくくなります。若い世代であれば体が自然と水分を欲しますが、高齢者の場合は脱水状態になっていても「喉が渇いた」という感覚が鈍くなっているため、水分摂取が遅れがちになります。冬は暑くないため余計に水分を摂る意識が薄れやすく、これが脱水のリスクを高める一因となっています。
🚽 トイレを気にして水分を控えてしまう
高齢者の中には、頻尿や尿失禁を気にして意識的に水分摂取を控える方が少なくありません。特に冬は寒さでトイレが近くなりやすいため、夜間のトイレを避けようと夕方以降の水分摂取を極端に減らしてしまうケースがあります。また、外出時にトイレの心配をして水分を控える方も多く、これらの行動が慢性的な水分不足につながっています。
📉 体内の水分保持能力の低下
人間の体は約60%が水分で構成されていますが、高齢者になるとこの割合は約50%程度まで低下します。体内に蓄えられる水分の総量が減少しているため、少しの水分不足でも脱水状態に陥りやすくなります。さらに腎臓の機能も加齢とともに低下し、体内の水分バランスを調整する能力が衰えることも脱水リスクを高める要因です。
🔥 暖房器具の使用による影響
エアコンやファンヒーター、こたつなどの暖房器具は室内を暖かくしてくれますが、同時に空気を乾燥させます。暖房を使用した室内では湿度が20〜30%程度まで下がることもあり、この乾燥した環境が体からの水分蒸発を促進します。特にこたつや電気毛布を長時間使用すると、知らないうちに汗をかいて水分を失っている場合があります。

⚠️ 高齢者の脱水症状に気づくためのチェックポイント
高齢者の脱水症状は、典型的な「喉の渇き」を訴えないことが多いため、周囲が早期に気づくことが重要です。以下のような症状やサインが見られたら、脱水を疑って水分補給を促したり、医療機関への相談を検討しましょう。
👋 皮膚の状態で確認する
脱水状態になると、皮膚の弾力性(ツルゴール)が低下します。手の甲の皮膚を軽くつまんで離したとき、通常であればすぐに元に戻りますが、脱水状態の場合は2秒以上かかることがあります。また、皮膚がカサカサして乾燥している、いつもより張りがないなどの変化も脱水のサインです。唇や口の中の乾燥も確認すべきポイントで、唾液が少なくネバネバしている場合は注意が必要です。
🚽 尿の状態を観察する
尿の色や量は脱水状態を判断する重要な指標です。十分に水分が摂取できている場合、尿は薄い黄色から透明に近い色をしています。一方、脱水状態では尿の色が濃い黄色から茶褐色になり、量も減少します。トイレに行く回数が極端に少なくなっている場合や、1回の尿量が明らかに減っている場合は、脱水を疑う必要があります。
🧠 行動や意識の変化に注目する
軽度の脱水でも、高齢者では意識レベルに影響が出ることがあります。📌 いつもより元気がない、📌 ぼんやりしている、📌 返答が遅い、📌 話のつじつまが合わないなどの変化が見られたら要注意です。また、めまいやふらつき、頭痛を訴える場合も脱水が原因である可能性があります。認知症の方の場合、脱水によって症状が悪化したり、せん妄状態になったりすることもあるため、普段と違う様子がないか注意深く観察することが大切です。
⚖️ 体重の変化を確認する
急激な体重減少は脱水のサインである可能性があります。毎日同じ時間帯に体重を測定する習慣をつけておくと、脱水の早期発見に役立ちます。1日で体重の3%以上が減少している場合は、脱水の可能性が高いと考えられます。例えば体重60kgの方であれば、1.8kg以上の急激な減少は注意が必要です。
💓 バイタルサインの変化
脱水状態になると、血液の量が減少するため、心臓は体全体に血液を送るためにより速く動こうとします。そのため、脈拍が速くなったり、血圧が低下したりすることがあります。立ち上がったときに急にふらついたり、めまいを感じたりする起立性低血圧も脱水と関連していることがあります。普段から血圧や脈拍を測定していると、変化に気づきやすくなります。
🚨 冬の脱水症状が引き起こす健康リスク
脱水症状を放置すると、さまざまな健康上の問題につながる可能性があります。高齢者の場合、若い世代に比べて症状が重症化しやすく、回復にも時間がかかるため、早期発見・早期対処が非常に重要です。
🧠 脳梗塞・心筋梗塞のリスク上昇
体内の水分が不足すると血液が濃縮され、ドロドロの状態になります。これにより血栓(血の塊)ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。特に冬は寒暖差による血管の収縮も加わるため、脱水と相まって血管系の病気が起こりやすくなります。実際に、冬の朝方に脳梗塞が多いのは、睡眠中の水分不足と起床時の血圧上昇が重なるためといわれています。
🦠 感染症への抵抗力低下
脱水状態になると、喉や鼻の粘膜が乾燥して本来のバリア機能が低下します。粘膜が乾燥すると、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。冬はもともと感染症が流行しやすい季節であるため、適切な水分摂取で粘膜を潤しておくことが感染予防の観点からも重要です。コロナとインフルの同時感染「フルロナ」とは?症状・リスク・予防法を解説についても詳しく解説しています。
🧠 認知機能への影響
脳の約80%は水分で構成されているため、脱水は認知機能に大きな影響を与えます。軽度の脱水でも集中力の低下、記憶力の減退、判断力の鈍化などが起こることが研究で明らかになっています。高齢者の場合、これらの症状が認知症の悪化と間違われることもあり、適切な水分補給によって改善する可能性があるにもかかわらず、見過ごされてしまうケースもあります。
⚡ 転倒リスクの増加
脱水による血圧低下やめまい、ふらつきは転倒のリスクを高めます。高齢者の転倒は骨折につながることが多く、特に大腿骨頸部骨折は寝たきりの原因となる深刻な問題です。また、脱水による筋力低下や疲労感も転倒リスクを高める要因となります。冬は厚着による動きにくさも加わるため、より一層注意が必要です。
🚽 便秘の悪化
水分摂取が不足すると、腸内の水分も減少して便が硬くなり、便秘が悪化します。高齢者はもともと腸の動きが弱くなっているため、脱水による便秘の影響を受けやすくなっています。便秘は食欲低下や腹部不快感だけでなく、いきみによる血圧上昇、痔の悪化など、さまざまな二次的な問題を引き起こす可能性があります。関連記事:冬の便秘は水分不足が原因?メカニズムと効果的な対策を医師が解説
🫘 腎機能への負担
脱水状態が続くと、腎臓に大きな負担がかかります。水分が不足すると腎臓への血流が減少し、老廃物を十分に排出できなくなります。これにより急性腎障害を引き起こすリスクが高まり、もともと腎機能が低下している高齢者ではさらに深刻な状態になる可能性があります。慢性的な脱水は腎機能の低下を進行させる要因にもなります。
💧 高齢者の冬の脱水を防ぐ水分補給のコツ
冬の脱水を予防するためには、意識的に水分を摂取することが大切です。しかし、単に「たくさん飲む」だけでは続きませんし、高齢者にとっては胃腸への負担も考慮する必要があります。ここでは、無理なく効果的に水分補給を行うためのコツをご紹介します。
📏 1日に必要な水分量の目安
一般的に、高齢者が1日に必要とする水分量は体重1kgあたり約30〜40mlといわれています。体重60kgの方であれば、1日に1800〜2400ml程度の水分が必要です。ただし、この量には食事から摂取する水分も含まれており、飲料として摂取すべき量は1000〜1500ml程度が目安となります。腎臓病や心臓病などで水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。
⏰ こまめな少量摂取を心がける
一度に大量の水分を摂取すると胃腸に負担がかかり、頻尿の原因にもなります。理想的なのは、1回にコップ半分から1杯程度(100〜200ml)の水分を、1日に8〜10回に分けて摂取する方法です。📌 「起床時」📌 「朝食時」📌 「10時頃」📌 「昼食時」📌 「15時頃」📌 「夕食時」📌 「入浴前後」📌 「就寝前」など、決まったタイミングで水分を摂る習慣をつけると、忘れずに続けやすくなります。
🍵 温かい飲み物を活用する
冬に冷たい飲み物を摂ると体が冷えてしまい、飲む気が起きにくくなります。お湯やほうじ茶、番茶、ハーブティーなど、温かい飲み物であれば体を温めながら水分補給ができます。緑茶やコーヒーにはカフェインが含まれており利尿作用があるため、水分補給としては効率が下がる場合があります。飲みすぎに注意しながら、カフェインの少ない飲み物も取り入れるとよいでしょう。
💊 経口補水液の活用
経口補水液は、水分と電解質を効率よく吸収できるように作られた飲料です。特に発熱時や下痢、嘔吐があるときなど、脱水リスクが高まっている状況での水分補給に適しています。日常的な水分補給には水やお茶で十分ですが、万が一のときのために常備しておくと安心です。自宅で作る場合は、水1リットルに対して砂糖大さじ4杯と塩小さじ半分を溶かしたもので代用できます。
🍋 飲みやすい工夫を取り入れる
「水は味がなくて飲みにくい」という方には、レモンやゆず、しょうがなどを加えてほんのり風味をつけると飲みやすくなります。また、ストロー付きのコップや軽量のマグカップを使用すると、握力が低下している方でも持ちやすく、飲みやすくなります。嚥下機能が低下している方には、とろみ剤を使用して水分にとろみをつけることで、むせずに安全に摂取できるようになります。
🌙 就寝前と起床後の水分補給
睡眠中は平均して500ml程度の水分が失われるといわれています。そのため、就寝前と起床後の水分補給は特に重要です。就寝前にコップ1杯程度の水分を摂取しておくと、睡眠中の脱水をある程度予防できます。夜間のトイレが気になる方は、就寝2時間前までに水分を摂り、その後は控えめにするという方法もあります。起床後は体が渇いている状態なので、まず水分を摂取してから朝食をとる習慣をつけましょう。
🍽️ 食事から水分を摂取する工夫
水分補給は飲み物だけでなく、食事からも行うことができます。特に飲み物をあまり飲みたがらない高齢者の場合、食事から効率的に水分を摂取する工夫が有効です。
🍲 汁物を毎食取り入れる
味噌汁やスープ、お吸い物などの汁物は、一度に150〜200ml程度の水分を摂取できる優れた食品です。毎食に汁物を1品取り入れるだけで、1日に450〜600ml程度の水分を食事から補給できます。具材を工夫すれば野菜や海藻、豆腐などから栄養素も同時に摂取でき、一石二鳥です。冬は温かい汁物が体を温める効果もあるため、積極的に取り入れたいメニューです。
🥒 水分を多く含む食品を選ぶ
野菜や果物には多くの水分が含まれています。例えば、きゅうりやレタス、白菜、大根などは90%以上が水分です。果物では、みかんやりんご、いちごなども水分が豊富です。冬が旬の白菜や大根を使った煮物や鍋料理は、水分補給に最適なメニューといえます。おやつにみかんやいちごを取り入れるのもよい方法です。
🍚 おかゆや雑炊を活用する
白米に比べて、おかゆや雑炊は水分量が多く、消化にも優れています。食欲が落ちているときや、体調がすぐれないときには、おかゆや雑炊を主食にすることで、無理なく水分と栄養を摂取できます。卵や野菜を加えれば栄養バランスも整い、体も温まります。
🥕 煮物や煮込み料理を取り入れる
焼き物や揚げ物に比べて、煮物や煮込み料理は水分を多く含んでいます。大根の煮物、筑前煮、肉じゃがなどは、食材に含まれる水分に加えて煮汁も一緒に摂取できます。また、柔らかく煮込んであるため、噛む力や飲み込む力が弱くなっている高齢者にも食べやすいというメリットがあります。
🍮 ゼリーやプリンなどのデザート
水分を多く含むゼリーやプリン、ヨーグルトなどは、おやつとして楽しみながら水分補給ができます。市販の水分補給ゼリーは、経口補水液と同様の成分が含まれているものもあり、食欲がないときでも摂取しやすい形態です。ただし、糖分の過剰摂取にならないよう、食べる量には注意が必要です。
🏠 室内環境を整えて脱水を予防する方法
冬の脱水予防には、水分摂取だけでなく、室内環境を適切に管理することも重要です。乾燥した環境では体からの水分蒸発が進むため、湿度を適切に保つことで脱水リスクを軽減できます。
💨 適切な湿度を維持する
室内の湿度は50〜60%程度を目安に保つことが推奨されています。暖房を使用すると湿度は急速に低下するため、加湿器の使用が効果的です。加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内に干したり、洗濯物を部屋干ししたりすることでも湿度を上げることができます。観葉植物を置くことも、蒸散作用によって自然に湿度を高める効果があります。
🔥 暖房器具の選び方と使い方
暖房器具によって室内の乾燥度合いは異なります。エアコンやファンヒーターは空気を直接温めるため乾燥しやすく、一方でオイルヒーターや床暖房は比較的乾燥しにくいといわれています。どの暖房器具を使用する場合でも、加湿器と併用することをおすすめします。また、暖房の設定温度を上げすぎないことも乾燥対策になります。室温は18〜22℃程度が適切とされています。
⚠️ こたつや電気毛布の使用に注意
⚠️ 注意!
こたつや電気毛布は体を直接温めるため、知らないうちに汗をかいて水分を失いやすくなります。長時間の使用は避け、使用中はこまめに水分を摂取するよう心がけましょう。また、こたつで寝てしまうと大量の発汗により脱水状態になる危険性があるため、居眠りには特に注意が必要です。
🌬️ 定期的な換気を行う
室内の空気がこもると、乾燥だけでなく空気の質も低下します。1〜2時間に1回程度、5分程度の換気を行うことで、新鮮な空気を取り入れることができます。冬は外気も乾燥していますが、換気後に加湿器で湿度を調整すれば問題ありません。換気時は高齢者の体が冷えないよう、上着を羽織るなどの配慮が必要です。
📊 湿度計で管理する
適切な湿度を維持するためには、湿度計を設置して数値を確認することが大切です。体感だけでは正確な湿度がわかりにくいため、目に見える形で確認できるようにしておきましょう。湿度が40%を下回ると乾燥による不快感や健康への影響が出やすくなります。70%を超えると結露やカビの原因になるため、50〜60%の範囲を目指して調整しましょう。
👨👩👧👦 介護者・家族ができる脱水予防のサポート
高齢者本人が脱水に気づきにくい場合、周囲のサポートが重要な役割を果たします。介護者や家族ができる具体的なサポート方法について解説します。
🗣️ 水分摂取の声かけを習慣化する
高齢者は自分から進んで水分を摂取しないことが多いため、定期的な声かけが効果的です。「お茶を飲みませんか」「そろそろ水分補給の時間ですよ」など、やさしく促すことで水分摂取の機会を増やすことができます。ただし、強制的に飲ませようとすると抵抗感が生まれることがあるため、本人の意思を尊重しながら働きかけることが大切です。
🫴 飲み物を手の届く場所に置く
飲み物がすぐ近くにあれば、自然と水分摂取の機会が増えます。ソファやベッドのそば、よく過ごす場所に保温ポットやマグカップを置いておくとよいでしょう。保温機能付きのマグカップを使用すれば、長時間温かい状態を保てるため、冷めてしまって飲まなくなることを防げます。
📝 水分摂取量を記録する
1日にどのくらいの水分を摂取したかを記録しておくと、不足しているときに気づきやすくなります。表やチェックリストを作成して、飲んだ量を記入する方法が簡単です。記録を続けることで、水分摂取が少なくなりがちな時間帯や状況を把握でき、対策を立てやすくなります。介護施設では水分摂取量の管理が行われていますが、在宅介護でも同様の取り組みが有効です。
👀 脱水のサインを見逃さない
前述した皮膚の状態、尿の色や量、行動の変化などを日頃から観察し、脱水のサインがないかチェックする習慣をつけましょう。いつもと違う様子が見られたら、まず水分補給を促し、改善しない場合は医療機関に相談することが大切です。特に認知症の方は自分から症状を訴えにくいため、周囲の観察がより重要になります。
❤️ 好みの飲み物を把握する
高齢者がどのような飲み物を好むかを把握しておくと、水分摂取を促しやすくなります。水やお茶が苦手な方でも、果汁やスポーツドリンク、甘酒など好みの飲み物であれば飲んでくれることがあります。健康上の問題がなければ、好みに合わせた飲み物を用意することで、水分摂取量を増やすことができます。
🏥 脱水症状が疑われるときの対処法
脱水症状の兆候が見られた場合、早めの対処が重要です。軽度の脱水であれば自宅で対処できることもありますが、症状が重い場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。
💧 まずは水分と電解質を補給する
脱水の兆候が見られたら、まず水分補給を行います。単なる水よりも、経口補水液やスポーツドリンクなど、電解質(ナトリウムやカリウムなど)を含む飲料が効果的です。一度に大量に飲むと吐き気を催すことがあるため、少量ずつゆっくりと摂取するようにしましょう。冷たすぎる飲み物は胃腸に負担がかかるため、常温または温かいものが望ましいです。
🛏️ 涼しく快適な環境で休ませる
暖房で暖かくしすぎている場合は、室温を少し下げて体からの水分蒸発を抑えましょう。衣服がきつい場合は緩め、楽な姿勢で休ませます。横になる場合は、足を少し高くすると血液の循環が良くなります。
🚨 医療機関を受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、自宅での対処だけでなく、医療機関を受診することが必要です。
- 📌 意識がもうろうとしている
- 📌 呼びかけに反応が鈍い
- 📌 けいれんを起こしている
- 📌 高熱がある
- 📌 嘔吐や下痢が激しく水分が摂取できない
- 📌 尿がほとんど出ない
- 📌 立ち上がれないほどの強いめまいやふらつきがある
などの症状が見られる場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
🚑 救急車を呼ぶべき状況
🚨 緊急度高!
意識がない、反応がほとんどない、呼吸がおかしい、けいれんが止まらないなどの重篤な症状がある場合は、ためらわず救急車を呼んでください。高齢者の重度の脱水は生命に関わることがあるため、迷ったときは早めに医療の専門家に判断を仰ぐことが大切です。
👨⚕️ かかりつけ医への相談
緊急性がない場合でも、繰り返し脱水傾向が見られる場合は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。基礎疾患との関連や、服用している薬の影響など、個別の状況に応じたアドバイスを受けることができます。また、適切な水分摂取量についても医師から具体的な指示を受けておくと安心です。

👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
冬季になると、高齢者の脱水関連の症状で来院される方が昨シーズンより約30%増加している印象があります。特に暖房による室内乾燥と水分摂取不足が重なることで、軽度の意識障害や起立性低血圧を呈する方をよく拝見します。ご家族には「冬の脱水は見えにくい」ということを強くお伝えし、日常の水分摂取習慣の見直しをお勧めしています。
❓ よくある質問
一般的な目安として、体重1kgあたり約30〜40mlの水分が必要とされています。体重60kgの方であれば1日1800〜2400ml程度ですが、このうち食事から摂取できる水分が約800〜1000mlあるため、飲み物として1000〜1500ml程度を目安に摂取するとよいでしょう。ただし、腎臓病や心臓病などで水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。
コーヒーや緑茶にはカフェインが含まれており、利尿作用があるため、摂取した水分の一部が尿として排出されやすくなります。そのため、水分補給の効率としては水やカフェインの少ない飲み物に比べてやや劣ります。ただし、全く水分補給にならないわけではないので、適度に楽しみながら、カフェインの少ない麦茶やほうじ茶、水なども合わせて摂取するとよいでしょう。
夜間のトイレを避けるために水分を極端に控えると、脱水のリスクが高まります。睡眠中も約500ml程度の水分が失われるため、就寝前の水分補給は重要です。夜間頻尿が気になる場合は、就寝2〜3時間前までに水分を多めに摂り、その後は控えめにするという方法があります。また、夕方以降のカフェイン摂取を避けることも効果的です。頻尿が続く場合は別の原因が考えられるため、医師に相談することをおすすめします。
認知症の方は水分摂取の必要性を理解できなかったり、飲み方を忘れてしまったりすることがあります。好みの飲み物を把握して用意する、飲み物を目の前に置いて視覚的に促す、食事に汁物やゼリーを取り入れる、声かけのタイミングを決めて習慣化するなどの工夫が効果的です。また、一緒にお茶を飲む時間を作ると、自然と水分摂取の機会が増えることがあります。
経口補水液は脱水状態からの回復を目的として作られており、スポーツドリンクよりもナトリウム(塩分)の濃度が高く、糖分は控えめになっています。一方、スポーツドリンクは運動時のエネルギー補給も兼ねているため、糖分が多く含まれています。軽度の脱水予防にはどちらも有効ですが、脱水症状がある場合や発熱・下痢・嘔吐時には経口補水液の方が適しています。糖尿病の方は糖分の摂りすぎに注意が必要です。
📝 まとめ
冬は「脱水とは無縁」と思われがちですが、実際には高齢者にとって脱水リスクが高まる季節です。空気の乾燥、暖房の使用、喉の渇きを感じにくくなる加齢変化、トイレを気にしての水分制限など、さまざまな要因が重なることで、気づかないうちに脱水状態に陥ってしまうことがあります。
脱水を予防するためには、喉が渇いていなくても定期的に水分を摂取することが大切です。起床時、食事時、入浴前後、就寝前など、タイミングを決めてこまめに少量ずつ摂取する習慣をつけましょう。温かい飲み物や汁物、水分を多く含む食品を取り入れることで、無理なく水分を補給できます。また、室内の湿度を50〜60%程度に保つことも、体からの水分蒸発を防ぐ上で重要です。
高齢者本人が脱水に気づきにくい場合は、周囲の方のサポートが欠かせません。皮膚の状態や尿の色、行動の変化などを日頃から観察し、脱水のサインを見逃さないようにしましょう。脱水症状が疑われる場合は、まず水分補給を行い、症状が改善しない場合や重篤な症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。冬の健康管理の一環として、適切な水分補給を心がけていきましょう。
関連記事:冬に突然肌荒れが起きる原因とは?乾燥対策と予防法を詳しく解説
関連記事:高齢者の室内低体温症とは?原因・症状・予防法を詳しく解説
📚 参考文献
- 厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動
- 大塚製薬 脱水症についてのホームページ
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット 高齢者の水分摂取
- 国立長寿医療研究センター 高齢者の脱水
- 日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクト
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
