炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、ほくろやイボ、盛り上がったシミを短時間で除去できる治療法です。水分に反応するレーザーの特性を活かし、患部のみをピンポイントで蒸散させるため、周囲の健康な皮膚へのダメージを最小限に抑えられます。
ただし、すべての症状に適しているわけではなく、ほくろの深さや大きさによっては切開法が適している場合もあります。このページでは、炭酸ガスレーザーのメリット・デメリットから、治療に向いている人・向いていない人、他の治療法との違いまで詳しく解説します。
当院では患者様一人ひとりの症状を丁寧に診察し、最適な治療法をご提案します。まずはお気軽にカウンセリングにお越しください。
炭酸ガス(CO2)レーザーの仕組み|なぜほくろやイボを除去できるのか

炭酸ガスレーザーは、波長10,600nmの赤外線レーザーです。この波長は水分に非常に吸収されやすいという特徴があります。
人間の皮膚には約60〜70%の水分が含まれています。炭酸ガスレーザーを照射すると、細胞内の水分がエネルギーを吸収して瞬間的に蒸発し、患部の組織だけが蒸散されます。この作用により、ほくろやイボの組織をピンポイントで除去できるのです。
同時に、周囲の血管は熱凝固作用で瞬時に塞がるため、出血はほとんどありません。メスで切開する場合と比べて傷の治りが早く、跡が残りにくいのが大きな特徴です。
炭酸ガスレーザーで除去できる症状と適応

炭酸ガスレーザーは、以下のような皮膚の隆起性病変に効果を発揮します。
ほくろ(色素性母斑)
ほくろは、メラニン色素を作る細胞(母斑細胞)が皮膚に集まったものです。直径5mm以下の小さなほくろや、表面が平らまたは軽く盛り上がっている程度のほくろには炭酸ガスレーザーが適しています。
ただし、根が深いほくろの場合は1回の治療で完全に除去できないことがあり、再発のリスクがあります。5mm以上の大きなほくろや、根が深いほくろには切開法が適している場合もあるため、診察時に最適な治療法をご提案します。
脂漏性角化症(老人性イボ)
脂漏性角化症は、30代頃から発症し始める良性の皮膚腫瘍です。加齢とともに増える傾向があり、80代ではほぼ全員に見られる皮膚の老化現象の一つです。
表面がザラザラして盛り上がった茶色〜黒色のシミのような見た目で、「老人性疣贅」とも呼ばれます。ウイルス性ではないため他人にうつる心配はありません。炭酸ガスレーザーで削り取ることで、多くの場合1回の治療で改善が見込めます。
アクロコルドン(軟性線維腫・首イボ)
首や脇、デコルテなど摩擦を受けやすい部位にできる小さな突起状のイボです。皮膚の加齢や摩擦が原因で発生し、30代以降に増加する傾向があります。
1〜3mm程度の小さなものが多く、炭酸ガスレーザーで効率的に除去できます。複数個まとめて治療することも可能です。
尋常性疣贅(ウイルス性イボ)
HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因で発生するイボです。手指や足裏にできやすく、表面がザラザラしているのが特徴です。接触により他人や自分の体の別の部位にうつる可能性があります。
炭酸ガスレーザーで除去可能ですが、ウイルスが残存していると再発することがあるため、経過観察が重要です。
炭酸ガスレーザーのメリット・デメリットを正直に解説

炭酸ガスレーザーには多くのメリットがありますが、万能ではありません。治療を検討する際は、デメリットやリスクも理解した上で判断することが大切です。
メリット
①短時間で治療が完了する
1箇所あたりの施術時間は5〜10分程度です。局所麻酔を行うため痛みはほとんどなく、出血もわずかです。複数のほくろやイボを同時に治療することも可能なため、忙しい方にも適しています。
②傷跡が目立ちにくい
メスで切開する手術と異なり、縫合の必要がありません。患部周囲の正常な皮膚へのダメージが少ないため、治癒後は傷跡が目立ちにくい傾向にあります。特に顔のほくろ除去では、線状の傷跡を避けたい方に選ばれています。
③ダウンタイムが比較的短い
治療後は患部をテープで保護しますが、日常生活への制限は少なく、翌日からシャワーや洗顔が可能です。かさぶたが自然に剥がれるまで約10日〜2週間程度で、その後は徐々に皮膚が再生していきます。
デメリット・リスク
①再発の可能性がある
ほくろやイボの根が深い場合、1回の治療では完全に除去できず再発することがあります。特に盛り上がったほくろは、細胞がアイスクリームのコーンのように広がって根が深い構造になっていることが多いです。再発した場合は、3ヶ月以上間隔を空けて再治療を行います。
②色素沈着・赤みが残ることがある
治療後は一時的に患部が赤くなり、その後茶色い色素沈着(炎症後色素沈着)が生じることがあります。通常は3〜6ヶ月で徐々に薄くなりますが、日焼けをすると長引く場合があります。治療後の紫外線対策は必須です。
③凹みが残る可能性がある
深く削りすぎた場合や、根が深い病変を無理に1回で除去しようとした場合、患部に凹みが残ることがあります。そのため当院では、傷跡を最小限にするために適切な深さで治療を行い、必要に応じて複数回に分けて施術します。
④病理検査ができない
炭酸ガスレーザーは組織を蒸散させるため、除去した組織を病理検査に出すことができません。悪性の可能性が疑われる場合は、組織を採取できる切開法をお勧めすることがあります。
⑤保険適用外(美容目的の場合)
見た目の改善を目的とした治療は保険適用外となり、自費診療となります。
炭酸ガスレーザーと他の治療法の違い|どちらを選ぶべき?

ほくろやイボの除去には、炭酸ガスレーザー以外にもいくつかの治療法があります。それぞれの特徴を理解し、自分の症状に合った治療法を選ぶことが重要です。
切開法(手術)との比較
切開法が適している場合:
- 5mm以上の大きなほくろ
- 根が深いほくろ(再発を防ぎたい場合)
- 悪性の可能性があり病理検査が必要な場合
- 顔以外の部位(体のほくろはレーザーで跡が残りやすい)
炭酸ガスレーザーが適している場合:
- 5mm以下の小さなほくろ
- 顔のほくろ(線状の傷跡を避けたい場合)
- 複数のほくろやイボを同時に治療したい場合
- ダウンタイムを短くしたい場合
液体窒素との比較
液体窒素による凍結療法は保険適用で治療できる場合がありますが、複数回の通院が必要なことが多く、色素沈着のリスクも高い傾向にあります。炭酸ガスレーザーは1回の治療で完了することが多く、仕上がりの美しさを重視する方に選ばれています。
電気メスとの比較
電気メスも同様に皮膚を削る治療ですが、炭酸ガスレーザーと比べて周囲への熱ダメージが大きく、焦げが残りやすいという違いがあります。炭酸ガスレーザーはより精密なコントロールが可能で、傷跡が残りにくい傾向にあります。
炭酸ガスレーザー治療の流れと術後経過

STEP1:診察・カウンセリング
まず医師が患部を診察し、炭酸ガスレーザーが適切な治療法かどうかを判断します。ほくろの場合は、ダーモスコープという拡大鏡を用いて悪性でないことを確認します。治療の効果やリスク、費用についてご説明し、ご納得いただいた上で治療に進みます。
STEP2:局所麻酔
極細の針を使用して局所麻酔を行います。麻酔時にチクッとした痛みがありますが、その後の施術中は痛みを感じません。麻酔に不安がある方は、事前にご相談ください。
STEP3:レーザー照射

麻酔が効いたことを確認してから、炭酸ガスレーザーを照射します。1箇所あたり5〜10分程度で完了します。照射中は焦げるような匂いがすることがありますが、痛みはありません。
STEP4:アフターケア・保護
治療後は患部に軟膏を塗り、保護テープを貼ります。10〜14日間はテープを貼ったまま過ごしていただきます。テープの上からメイクは可能です。
術後の経過(ダウンタイム)
【当日〜3日目】
患部は浅い傷の状態です。わずかにじくじくすることがありますが、軟膏とテープで保護していれば問題ありません。入浴・洗顔は翌日から可能です。
【4日目〜10日目】
かさぶたが形成されます。かゆみを感じることがありますが、絶対にかさぶたを無理に剥がさないでください。無理に剥がすと傷跡や色素沈着の原因になります。
【11日目〜1ヶ月】
かさぶたが自然に剥がれ、新しいピンク色の皮膚が現れます。この時期は皮膚が敏感なため、紫外線対策を徹底してください。
【1ヶ月〜6ヶ月】
ピンク色だった皮膚が徐々に周囲の肌色に馴染んでいきます。一時的に茶色い色素沈着が見られることがありますが、通常は3〜6ヶ月で薄くなります。完全に落ち着くまでは紫外線対策を継続してください。
治療後のケアと注意点

炭酸ガスレーザー治療後の仕上がりは、アフターケアの質によって大きく左右されます。以下の点に注意してください。
紫外線対策を徹底する
治療後の皮膚は紫外線の影響を受けやすく、日焼けすると色素沈着が長引く原因になります。最低3ヶ月間は、SPF30以上の日焼け止めを毎日塗布してください。ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)タイプがお勧めです。
かさぶたを剥がさない
治療後に形成されるかさぶたは、皮膚の再生過程で重要な役割を果たしています。無理に剥がすと傷跡や凹みの原因になるため、自然に剥がれるまで待ってください。
患部を清潔に保つ
処方された軟膏を1日2回(朝・晩)塗布し、清潔なテープで保護してください。テープが剥がれた場合は新しいものに交換します。
炭酸ガスレーザーの料金

当院の炭酸ガスレーザー治療は、ほくろやイボの種類・大きさによって料金が異なります。詳しくはイボ・ほくろ・首イボの料金表をご覧ください。
美容目的の場合は保険適用外となります。ただし、衣服との摩擦で出血を繰り返すイボなど、機能的な問題がある場合は保険適用となることもありますので、診察時にご相談ください。
よくある質問(FAQ)

Q. 痛みはありますか?
A. 局所麻酔を行うため、施術中の痛みはほとんどありません。麻酔注射の際にチクッとした痛みがありますが、数秒で終わります。治療後は軽いヒリヒリ感を感じることがありますが、1〜2日で治まります。
Q. 何回で治療は完了しますか?
A. 多くの場合、1回の治療で完了します。ただし、ほくろの根が深い場合や、再発した場合は追加の治療が必要になることがあります。再治療は3ヶ月以上間隔を空けて行います。
Q. 再発することはありますか?
A. ほくろの根が深い場合は再発の可能性があります。再発率を下げるために深く削ると、傷跡が残るリスクが高まるため、当院では傷跡を最小限にしながら必要に応じて複数回に分けて治療を行っています。
Q. 跡は残りますか?
A. 適切な深さで治療を行えば、傷跡が目立つことは少ないです。ただし、治療後数ヶ月間は赤みや色素沈着が見られることがあります。ケロイド体質の方は事前にお申し出ください。
Q. 治療後にメイクはできますか?
A. 保護テープの上からであればメイク可能です。ファンデーションでテープを隠すこともできます。テープが取れた後は、患部を避けてメイクしてください。
Q. 顔以外のほくろも治療できますか?
A. 体(背中、お腹、腕、脚など)のほくろも治療可能ですが、顔以外は傷跡が残りやすい傾向があります。特に肩や胸は肥厚性瘢痕やケロイドになりやすいため、部位によっては切開法をお勧めすることがあります。
Q. 一度に何個まで治療できますか?
A. 患者様の状態や治療部位にもよりますが、1回の来院で複数個の治療が可能です。多数のイボを治療する場合は、数回に分けることをお勧めする場合もあります。
炭酸ガスレーザー治療はアイシークリニックへ

炭酸ガスレーザーは、ほくろやイボを短時間で除去できる効果的な治療法です。ただし、すべての症状に適しているわけではなく、患者様一人ひとりの症状に合わせた治療法の選択が重要です。
当院では、丁寧な診察とカウンセリングを通じて最適な治療法をご提案します。ほくろやイボでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本レーザー医学会. 「皮膚レーザー治療ガイドライン(2017年版)」. 日本レーザー医学会誌, 2017.
- 日本皮膚科学会. 「色素性母斑・母斑症の診断基準および治療ガイドライン」. 日本皮膚科学会誌, 2019.
- 日本形成外科学会. 「CO2レーザーによる皮膚腫瘍治療の安全性に関する研究」. 日本形成外科学会誌, 2018.
- 一般社団法人日本美容外科学会. 「レーザー治療における合併症予防ガイドライン」. 2020年版.
- 日本光線力学学会. 「CO2レーザーの生体作用機序と臨床応用」. 学会誌, 2019.
※上記は医学的根拠として参照できる資料です。実際の診断・治療方針については、必ず専門医にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
