
風邪をひいたとき、唇がカサカサになったり、ひび割れたりした経験はありませんか?「たまたまかな」と思いがちですが、実は風邪と唇荒れの間には明確な医学的なつながりがあります。発熱による体内の水分不足、鼻づまりによる口呼吸、免疫機能の低下によるウイルス再活性化など、複数の原因が重なることで唇のトラブルは起こりやすくなります。この記事では、風邪を引いたときに唇が荒れるメカニズムを一つひとつ丁寧に解説し、症状を悪化させないためのケア方法や予防策についてもわかりやすくお伝えします。
目次
- 風邪を引くと唇が荒れやすくなる主な原因
- 口呼吸が唇に与えるダメージとは
- 発熱・脱水と唇の乾燥の関係
- 免疫力の低下と口唇ヘルペスの再活性化
- 風邪薬・抗生物質が唇に与える影響
- 唇の構造と乾燥しやすい理由
- 風邪中の唇荒れを悪化させるNG行動
- 風邪中でもできる唇の正しいケア方法
- 日常的な唇荒れ予防のポイント
- 医療機関を受診すべき唇のサイン
この記事のポイント
風邪による唇荒れは、口呼吸・発熱による脱水・免疫低下での口唇ヘルペス再活性化・薬の副作用が主因。こまめな保湿と水分補給が基本対策で、水ぶくれや2週間以上改善しない荒れは医療機関受診が必要。
🎯 1. 風邪を引くと唇が荒れやすくなる主な原因
風邪を引いたときに唇が荒れる原因は、一つではなく複数の要因が複雑に絡み合っています。それぞれの要因を理解することで、適切な対策を取ることができます。
まず大きく分けると、以下のような要因が挙げられます。
- 口呼吸による唇の直接的な乾燥
- 発熱や下痢・嘔吐による体内の脱水
- 免疫機能の低下によるウイルス・細菌への感染リスク上昇
- 服薬による口腔内環境の変化
- 食欲不振によるビタミン・ミネラル不足
健康なときでも唇は乾燥しやすいパーツですが、風邪を引いたときはこれらの要因が同時に重なるため、特に荒れやすくなるのです。
また、风邪の症状として鼻水や鼻づまりが起こると、自然と口で呼吸をするようになります。この口呼吸が唇の乾燥を急速に進める大きな引き金となります。鼻呼吸の場合は鼻腔でしっかりと空気が加湿されますが、口呼吸ではその加湿機能が働きません。その結果、口内や唇の粘膜が直接乾いた空気にさらされ続けることになります。
さらに、風邪を引いているときは体力が落ちており、日常的なスキンケアや保湿を怠りがちです。「唇のケアまで気が回らない」という状態が続くことも、症状を悪化させる一因と言えます。
Q. 風邪中に口呼吸が続くと唇にどんな影響がありますか?
鼻づまりで口呼吸になると、鼻腔で行われる空気の加湿・加温が省略され、乾燥した空気が直接唇に当たり続けます。さらに無意識に唇を舐めると、唾液が蒸発する際に唇本来の水分も奪われ、乾燥が悪循環的に進行します。加湿器や点鼻薬で鼻づまりを和らげることが唇荒れの予防に効果的です。
📋 2. 口呼吸が唇に与えるダメージとは
風邪の代表的な症状のひとつである鼻づまりは、唇荒れと非常に密接な関係があります。鼻が詰まると、無意識のうちに口を開けて呼吸するようになります。この口呼吸が、唇にとって大きな負担となります。
通常、私たちが鼻で呼吸をするとき、空気は鼻腔を通過する際に適切な温度・湿度に調整されてから気道に送り込まれます。ところが口で呼吸をする場合、この加湿・加温のプロセスが省略されてしまいます。乾燥した空気が直接口内や唇に当たり続けることで、唇の表面の水分はどんどん奪われていきます。
さらに、口呼吸をしているとき、無意識に唇を舐めてしまう人が少なくありません。唾液には確かに保湿成分が含まれていますが、唾液が蒸発するときに唇の内側の水分まで一緒に奪ってしまいます。つまり、舐めれば舐めるほど乾燥が進むという悪循環に陥ってしまうのです。
口呼吸が続くと、唇だけでなく口腔内の粘膜も乾燥します。唾液の分泌量が減少し、口内環境が悪化することで細菌が繁殖しやすくなります。これが口内炎や口角炎(口の端が荒れて切れる症状)の発症につながることもあります。
風邪を引いているときの口呼吸を完全に止めることは難しいですが、鼻づまりの症状を緩和することが唇荒れの予防に効果的です。市販の点鼻薬や蒸気を吸入するスチーム療法、加湿器の使用などが症状の緩和に役立ちます。なお、点鼻薬は用法・用量を守って使用することが大切です。
💊 3. 発熱・脱水と唇の乾燥の関係
風邪を引いたときに発熱が起こることはよく知られていますが、この発熱が唇の乾燥を引き起こす重要な要因のひとつです。体温が上昇すると、体は熱を放散するために発汗量が増加します。発汗によって体内の水分が大量に失われるため、全身が脱水気味の状態になります。
脱水状態になると、体は重要な臓器への水分供給を優先します。その結果、皮膚や粘膜への水分供給が後回しになり、乾燥が起こりやすくなります。唇の粘膜も例外ではなく、体内の水分が不足するとすぐに乾燥・ひび割れが起こります。
また、風邪の症状として下痢や嘔吐を伴う場合も多くあります。これらの症状があると、さらに体内から水分と電解質が失われ、脱水が悪化します。特に高齢者や子どもは脱水になりやすいため、注意が必要です。
発熱時の唇の乾燥を防ぐためには、こまめな水分補給が欠かせません。一度に大量の水を飲むのではなく、少量ずつ頻繁に飲む方法が効果的です。スポーツドリンクや経口補水液は、水分と同時に電解質も補給できるため、脱水対策として適しています。
さらに、室内環境の湿度管理も重要です。暖房を使用すると室内の湿度が低下しやすいため、加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりして湿度を40〜60%程度に保つことが、唇や皮膚の乾燥防止に効果的です。
なお、38.5度以上の高熱が続く場合や、脱水症状(極度の口渇、尿が出ない、めまいなど)が現れた場合は、自己判断で対処しようとせず医療機関を受診することが大切です。
Q. 風邪薬を飲むと唇が乾燥しやすくなるのはなぜですか?
風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬には粘膜の分泌を抑える作用があり、唾液の分泌量が減少することで口腔内や唇が乾燥しやすくなります。また抗生物質の服用で口腔内の細菌バランスが崩れると、カンジダ菌が増殖して口角炎を引き起こすこともあります。乾燥が気になる場合は薬剤師に成分を確認しながら選ぶと安心です。
🏥 4. 免疫力の低下と口唇ヘルペスの再活性化
風邪を引いたときに唇が荒れる原因として、特に注意が必要なのが「口唇ヘルペス」です。口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が引き起こす感染症で、唇やその周辺に水ぶくれや痛みを伴う発疹が現れます。
日本では成人の多くがHSV-1に感染した経験を持つと言われています。初感染後、ウイルスは神経節に潜伏したまま、免疫が正常に機能しているときは症状を出しません。ところが、風邪などで免疫機能が低下したときに、潜伏していたウイルスが再活性化して口唇ヘルペスとして症状が現れることがあります。
口唇ヘルペスの初期症状は、唇やその周辺のかゆみ・ピリピリ感です。その後、小さな水ぶくれが集まって現れ、破れると潰瘍になります。通常は1〜2週間で自然に治癒しますが、痛みや見た目の問題、そして人への感染リスクがあるため、適切な対処が必要です。
口唇ヘルペスには抗ウイルス薬(アシクロビルやバラシクロビルなど)が有効です。市販の外用薬もありますが、症状が強い場合や頻繁に再発する場合は、皮膚科や内科などの医療機関を受診して処方薬を使用する方が確実です。特に初期症状が出た早い段階から治療を始めることで、症状の持続期間を短縮できることが知られています。
また、口唇ヘルペスの水ぶくれが破れている時期はウイルスの感染力が高いため、タオルや食器の共有、口移し、キスなどは避けるようにしてください。小さな子どもへの感染には特に注意が必要です。
風邪を引いたときに唇に水ぶくれや強い痛みを伴う発疹が出た場合は、単なる乾燥による唇荒れではなく口唇ヘルペスの可能性を疑ってください。
⚠️ 5. 風邪薬・抗生物質が唇に与える影響
風邪を引いたときには市販薬や処方薬を服用することが多いですが、これらの薬が唇の乾燥や荒れに影響を与えることがあります。
風邪薬によく含まれる抗ヒスタミン薬(くしゃみ・鼻水を抑える成分)には、粘膜の分泌を抑える作用があります。この作用によって、唾液の分泌量が減少することがあります。唾液が少なくなると口腔内が乾燥し、唇も乾燥しやすくなります。「風邪薬を飲むと口が乾く」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
また、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)も、まれに口腔粘膜に影響を与えることがあります。さらに抗生物質を服用した場合、腸内や口腔内の細菌バランスが崩れることで、カンジダ菌(真菌)が口腔内で増殖する「口腔カンジダ症」が引き起こされることがあります。口腔カンジダ症は、口内の白い付着物や口角の荒れ(口角炎)として現れることがあります。
薬による口の乾燥が気になる場合は、こまめな水分補給を心がけましょう。また、抗生物質服用中は口腔内の清潔を保つことが特に重要です。服用を自己判断で中断することは避け、気になる症状がある場合は医師や薬剤師に相談してください。
なお、市販の総合感冒薬の中には複数の成分が配合されており、抗ヒスタミン薬が含まれているものが多くあります。乾燥が気になる方は、薬局で薬剤師に相談しながら成分を確認して選ぶのがおすすめです。
🔍 6. 唇の構造と乾燥しやすい理由
そもそも、なぜ唇は他の皮膚部位と比べて乾燥しやすいのでしょうか。それは唇の構造に秘密があります。
皮膚の表面には「角質層」と呼ばれる水分を保持するバリア機能を持つ層があり、その外側には皮脂腺から分泌される皮脂が膜を作って水分の蒸発を防いでいます。ところが唇には皮脂腺がほとんどなく、汗腺もありません。そのため、唇の表面は常に水分が蒸発しやすい状態にあるのです。
さらに、唇の皮膚は非常に薄く(約1.5〜2mm程度)、血管が表面近くを走っているため赤く見えます。この薄い皮膚は外部の刺激や乾燥の影響を受けやすく、少しの環境変化でもすぐに乾燥・ひび割れが起こりやすくなっています。
また、唇は食事・発話・表情など日常的に頻繁に動く部位です。この動きによって繰り返し物理的なストレスがかかり、表面のバリア機能がさらに弱まりやすいという特性もあります。
唇の内側(粘膜)部分は常に唾液で潤っていますが、唇の外側の皮膚部分は外気にさらされています。風が強い日や湿度が低い日には、外気から水分が奪われるスピードが速くなります。風邪を引いているときは体の防御機能全体が低下しているため、このダメージがより大きくなるのです。
このように、唇はもともと乾燥しやすい構造を持つ部位です。健康なときでもしっかりケアが必要ですが、風邪を引いたときはさらに入念なケアが求められます。
Q. 口唇ヘルペスと通常の唇荒れはどう見分ければよいですか?
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型の再活性化により起こり、唇やその周辺のかゆみ・ピリピリ感の後に小さな水ぶくれが集まって出現するのが特徴です。通常の乾燥による唇荒れとは異なり、痛みを伴う水ぶくれや潰瘍が現れます。免疫が低下する風邪中は再活性化しやすく、早期に皮膚科で抗ウイルス薬の処方を受けることで症状期間を短縮できます。
📝 7. 風邪中の唇荒れを悪化させるNG行動
風邪を引いているときに無意識にやってしまいがちな行動の中には、唇荒れを悪化させてしまうものがあります。以下のNG行動を意識して避けることが大切です。
まず最も多いのが「唇を舌で舐める」行為です。唇が乾くと反射的に舐めてしまいますが、前述のとおり、唾液が蒸発するときに唇の水分も一緒に奪われてしまいます。また唾液には消化酵素(アミラーゼなど)が含まれており、これが繰り返し唇に触れることで刺激となり、「口唇炎」の原因になることもあります。
次に「唇の皮を剥く・噛む」行為も避けるべきです。乾燥して皮がめくれてくると気になってついつい引っ張ってしまいますが、皮を無理に剥くと下の新しい皮膚が傷つき、出血・炎症・感染リスクが高まります。
カフェインを含む飲み物(コーヒー・紅茶・緑茶など)の過剰摂取も唇の乾燥を促進させることがあります。カフェインには利尿作用があり、体内の水分を排出しやすくするためです。風邪中の水分補給にはカフェインを含まない水や経口補水液が適しています。
また、アルコールの摂取も同様に体の水分を奪い、乾燥を悪化させます。「体を温めるため」という理由でお酒を飲む方もいますが、医学的には風邪中の飲酒は回復を妨げる可能性があるため控えることが推奨されます。
マスクの着用は感染予防として重要ですが、息が当たることでマスクの内側に湿気がたまり、その後マスクを外したときに急激に乾燥が進むことがあります。これを防ぐためにも、マスクを外したらこまめにリップクリームを塗り直すことが大切です。
辛いものや塩辛いもの、酸性の強い食べ物(柑橘類のジュースなど)も荒れた唇には刺激になります。風邪中の食事は、できるだけ刺激の少ない消化の良いものを選ぶようにしましょう。
💡 8. 風邪中でもできる唇の正しいケア方法
風邪を引いているときの唇のケアは、症状を悪化させないためにも積極的に行うべきです。特別な方法は不要で、基本的なケアをしっかり続けることが大切です。
最も基本的かつ効果的なケアがリップクリームや保湿剤の使用です。市販のリップクリームにはワセリンやヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分が含まれており、唇表面に膜を作って水分の蒸発を防いでくれます。就寝前や起床後、食事の後、外出前後などこまめに塗り直すことが効果的です。
ワセリン(白色ワセリン・プロペト)は皮膚科でも推奨されることが多い保湿剤で、刺激が少なく敏感な唇にも使いやすい素材です。薬局やドラッグストアで手頃な価格で購入できます。香料・着色料などの添加物が少ないシンプルな処方のものを選ぶと、刺激が少なくなります。
水分補給は唇ケアの中でも特に重要です。唇の乾燥は体内の水分不足と直結しているため、こまめな水分摂取を心がけましょう。体重(kg)×30ml程度を目安に、1日の水分量を確保することが基本です。発熱がある場合はそれ以上の水分補給が必要になることもあります。
加湿器を使って室内の湿度を適切に保つことも、唇の乾燥対策として効果的です。就寝中は特に乾燥が進みやすいため、寝室に加湿器を置いたり、枕元に濡れたタオルを置いたりすることが助けになります。
唇をやさしく温めることも乾燥の改善に役立ちます。清潔な布を40℃程度のぬるま湯に浸してやさしく唇に当てるホットタオルケアは、唇の血行を促進し、乾燥した角質を柔らかくする効果があります。強くこすったり、熱いタオルを使ったりしないよう注意してください。
また、食事からビタミンB群(特にビタミンB2・B6)を積極的に摂取することも口唇の健康維持に重要です。ビタミンB2は皮膚や粘膜の再生に関わり、不足すると口角炎や口唇炎が起こりやすくなります。風邪中で食欲がない場合でも、消化の良いものを少量ずつ摂り、必要に応じてサプリメントを活用することも選択肢のひとつです。
Q. 唇荒れで医療機関を受診すべき目安はどのような場合ですか?
セルフケアを続けても2週間以上改善しない唇荒れ、水ぶくれや痛みを伴う発疹、繰り返す口角炎、硬いしこりや治りにくい潰瘍が現れた場合は医療機関への受診が必要です。また服薬後に唇や口腔内に異常を感じた際は速やかに医師へ相談してください。アイシークリニックでも風邪に伴う唇荒れの診察を行っており、気になる症状はお気軽にご相談いただけます。
✨ 9. 日常的な唇荒れ予防のポイント
風邪を引いたときに限らず、唇荒れを繰り返す方は日常的なケアと生活習慣の見直しが重要です。ここでは、普段から唇を健康に保つためのポイントをご紹介します。
まず、鼻呼吸を習慣化することが根本的な唇荒れ予防につながります。日頃から口を閉じて鼻で呼吸する意識を持つことで、唇への直接的な乾燥ダメージを減らすことができます。就寝中に口呼吸になってしまう方は、口テープや鼻腔拡張テープを活用する方法もあります。鼻炎や副鼻腔炎など鼻づまりが慢性化している方は、耳鼻咽喉科での治療を検討してください。
バランスの取れた食事も唇の健康に直結します。特にビタミンB群、ビタミンE、亜鉛などは皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。レバー、卵、乳製品、緑黄色野菜、ナッツ類などを積極的に取り入れましょう。極端なダイエットや偏食は栄養不足を招き、唇荒れの一因となります。
十分な睡眠と適切な休養を取ることも免疫機能の維持に欠かせません。睡眠不足が続くと免疫力が低下し、風邪をひきやすくなるだけでなく、口唇ヘルペスの再発リスクも高まります。成人であれば1日7〜8時間程度の睡眠を確保することが理想的です。
季節の変わり目や乾燥しやすい冬場には、外出時にリップクリームを塗る習慣をつけましょう。紫外線も唇の皮膚にダメージを与えるため、UVカット成分の入ったリップ製品を選ぶと一石二鳥です。
適度な運動によって全身の血行が促進されると、皮膚や粘膜への栄養供給もスムーズになります。激しい運動は免疫機能を一時的に低下させることがありますが、ウォーキングや軽めの有酸素運動は免疫力の維持・向上に役立つとされています。
また、タバコは口腔内の血行を悪化させ、粘膜の回復を妨げます。唇荒れが気になる方は禁煙を検討することも重要な選択肢です。
冬場など特に乾燥が強い季節には、寝る前にワセリンや厚めのリップバームを多めに塗って就寝する「リップパック」も効果的です。翌朝には唇の潤いが回復していることが実感できるでしょう。
📌 10. 医療機関を受診すべき唇のサイン

唇荒れのほとんどは乾燥や一時的な体調不良によるものであり、適切なセルフケアで改善します。しかし、中には医療機関での診察や治療が必要なケースもあります。以下のようなサインが現れた場合は、皮膚科や内科などの医療機関を受診することをおすすめします。
一つ目は、2週間以上改善しない唇荒れです。セルフケアを続けても改善が見られない場合は、唇荒れの原因が単純な乾燥ではなく、別の疾患が隠れている可能性があります。
二つ目は、唇に水ぶくれや痛みを伴う発疹が現れた場合です。前述の口唇ヘルペスが疑われます。抗ウイルス薬の処方が有効であるため、早めに皮膚科を受診することが重要です。
三つ目は、口角(口の両端)が赤くただれて切れてしまう「口角炎」が繰り返す場合です。口角炎はビタミンB2不足、真菌(カンジダ)感染、細菌感染など様々な原因で起こります。原因によって治療法が異なるため、医師による診察が必要です。
四つ目は、唇に硬いしこりや潰瘍ができた場合です。特に喫煙者や飲酒習慣のある方で、治りにくい潰瘍や白い斑点(白板症)が唇や口腔内に現れた場合は、口腔がんの可能性を否定するためにも速やかに口腔外科や耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
五つ目は、唇の荒れと同時に顔全体の赤みや腫れ、発熱などが伴う場合です。これはアレルギー反応や蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮膚の細菌感染)などの可能性があり、早急な対処が必要なことがあります。
また、リップクリームや化粧品を使用した後に唇が赤く腫れたり、かゆみが強くなったりする場合は、接触性皮膚炎(アレルギー)の可能性があります。使用している製品を中止し、症状が続く場合は皮膚科でパッチテスト(接触アレルギー検査)を受けることを検討してください。
薬の副作用によって唇や口腔粘膜に症状が現れることもあります(多形性紅斑、スティーブンス・ジョンソン症候群など)。服薬後に唇や口腔内に異常を感じた場合は、直ちに処方医または薬剤師に連絡してください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、風邪の診察時に唇の荒れを併発している患者さんも多く、口呼吸による乾燥や免疫低下に伴う口唇ヘルペスの再活性化が主な原因として見られます。唇の水ぶくれや2週間以上改善しない荒れは単なる乾燥ではなく、治療が必要なサインである場合がありますので、セルフケアで様子を見すぎずにご相談いただくことをお勧めします。こまめな保湿と水分補給を基本としながら、気になる症状があればお気軽に受診してください。」
🎯 よくある質問
風邪による唇荒れは、複数の要因が重なって起こります。鼻づまりによる口呼吸で唇が直接乾燥にさらされること、発熱や嘔吐・下痢による脱水、免疫低下によるウイルス再活性化、風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬による唾液分泌減少などが主な原因です。これらが同時に重なるため、風邪中は特に唇が荒れやすくなります。
舐めると一時的に潤うように感じますが、実際には逆効果です。唾液が蒸発する際に唇本来の水分も一緒に奪われてしまいます。また、唾液に含まれる消化酵素が唇への刺激となり、口唇炎を引き起こすこともあります。乾燥を感じたらリップクリームや白色ワセリンで保湿することをおすすめします。
唇の水ぶくれは、免疫低下により潜伏していた単純ヘルペスウイルスが再活性化した「口唇ヘルペス」の可能性があります。市販の外用薬で対処することも可能ですが、症状が強い場合や繰り返す場合は皮膚科を受診し、抗ウイルス薬を処方してもらうことが重要です。初期症状の段階で早めに対処するほど、症状の期間を短縮できます。
基本的なケアを丁寧に続けることが大切です。ワセリンやヒアルロン酸配合のリップクリームをこまめに塗り、室内は加湿器で湿度40〜60%を保ちましょう。水分補給は少量ずつ頻繁に行い、経口補水液も活用できます。就寝前に厚めのリップクリームを塗る「リップパック」も乾燥改善に有効です。
セルフケアを続けても2週間以上改善しない場合や、水ぶくれ・痛みを伴う発疹、繰り返す口角炎、硬いしこりや治りにくい潰瘍が現れた場合は医療機関の受診をおすすめします。当院でも風邪に伴う唇荒れの診察を行っており、口唇ヘルペスなど治療が必要なケースも多く見られます。気になる症状はお気軽にご相談ください。
📋 まとめ
風邪を引いたときに唇が荒れる原因は、口呼吸による乾燥、発熱・脱水による水分不足、免疫低下による口唇ヘルペスの再活性化、服薬による口腔内環境の変化、そして栄養不足など、多くの要因が複合的に関わっています。唇はもともと乾燥しやすい構造を持つ部位であり、体の不調が出やすいパーツでもあります。
風邪中の唇荒れを防ぐ・悪化させないためには、こまめな水分補給、リップクリームによる保湿、室内の加湿、そして唇を舐めたり皮を剥いたりするNG行動を避けることが基本です。唇に水ぶくれや治りにくい潰瘍が現れた場合は、口唇ヘルペスや他の疾患の可能性を疑い、医療機関への受診を検討してください。
日頃からバランスの取れた食事・十分な睡眠・鼻呼吸の習慣化・保湿ケアを継続することで、風邪をひいたときだけでなく普段からの唇荒れも予防できます。唇の健康は全身の健康状態を映す鏡でもあります。小さなサインを見逃さず、気になる症状が続く場合は早めに専門家にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルス1型による感染症)の症状・診断・治療(抗ウイルス薬の使用など)に関する情報、および口唇炎・口角炎の皮膚科的な診断と治療方針の参照
- 国立感染症研究所 – 単純ヘルペスウイルス(HSV-1)の感染経路・潜伏感染・免疫低下時の再活性化メカニズム、および国内における感染状況・疫学データの参照
- 厚生労働省 – 風邪(感冒)における発熱・脱水時の水分補給の重要性、抗ヒスタミン薬を含む市販感冒薬の適正使用、および一般的な感染症対策・セルフケアに関する公的指針の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
