
花粉症の季節になると、鼻水やくしゃみだけでなく、鼻の下がヒリヒリと赤くなって困っている方は多いのではないでしょうか。ティッシュで何度も拭くたびに肌がこすれて、気づいたときには鼻の下が真っ赤になってしまう。そんな経験をお持ちの方に向けて、この記事では花粉症による鼻の下の赤みの原因から、正しいケア方法、そして症状が悪化したときの皮膚科での治療法まで、わかりやすく解説します。
目次
- 花粉症で鼻の下が赤くなる主な原因
- 摩擦だけじゃない?赤みを悪化させる複合的な要因
- 鼻の下の赤みが引き起こす肌トラブルの種類
- 日常生活でできるケアと予防法
- ティッシュ・マスクの選び方と正しい使い方
- 保湿ケアの重要性と適切なスキンケア方法
- 皮膚科を受診するタイミングと治療法
- 花粉症そのものを治療することの大切さ
- まとめ
この記事のポイント
花粉症による鼻の下の赤みは、ティッシュの摩擦・鼻水の刺激・乾燥が主因。保湿ケアとこすらない拭き方が予防の基本で、改善しない場合は皮膚科でステロイド外用薬などの治療が有効。根本解決には花粉症自体の治療も重要。
🎯 花粉症で鼻の下が赤くなる主な原因
花粉症の季節になると、鼻水が止まらず、一日に何十回もティッシュで鼻をかんだり拭いたりすることになります。この繰り返しの動作こそが、鼻の下の皮膚に赤みをもたらす最大の原因です。
鼻の下の皮膚は、顔の中でも特に薄くてデリケートな部分です。通常の健康な皮膚であれば、ある程度の摩擦には耐えられます。しかし、花粉症の時期には一日に何十回、ひどい場合には100回以上もティッシュでこする動作が繰り返されます。これだけの摩擦が集中すれば、どんな丈夫な皮膚でもダメージを受けてしまうのは当然のことです。
ティッシュによる摩擦で皮膚の角質層が傷つくと、皮膚のバリア機能が低下します。バリア機能とは、外部の刺激や異物から皮膚を守り、内側の水分を保つ役割を担う機能のことです。このバリア機能が壊れると、肌は外界の刺激に対して無防備な状態になり、さらに刺激を受けやすくなるという悪循環に陥ります。
また、鼻水そのものも皮膚への刺激になります。花粉症による鼻水には、白血球の一種である好酸球や、アレルギー反応によって産生されたヒスタミンなどの化学物質が含まれています。これらの物質が繰り返し皮膚に触れることで、皮膚に炎症反応が起きやすくなります。さらに、鼻水に含まれる消化酵素(タンパク質分解酵素)が皮膚に刺激を与えることもわかっています。
花粉そのものも問題です。外出時に顔に付着した花粉が、鼻の下の傷ついた皮膚に直接触れることで、アレルギー反応を引き起こし、赤みや腫れを悪化させることがあります。
Q. 花粉症で鼻の下が赤くなる主な原因は何ですか?
花粉症による鼻の下の赤みの主因は、ティッシュによる繰り返しの摩擦です。一日に何十回もこする動作で皮膚の角質層が傷つきバリア機能が低下します。加えて、鼻水に含まれるヒスタミンや消化酵素による刺激、花粉の直接接触も症状を悪化させます。
📋 摩擦だけじゃない?赤みを悪化させる複合的な要因
鼻の下の赤みは、ティッシュによる摩擦だけが原因ではありません。花粉症の時期特有の複数の要因が重なって、症状を悪化させています。
まず、季節的な背景として、花粉症のシーズンは春と秋が中心ですが、特に春は気候の変動が激しい時期でもあります。気温の寒暖差や乾燥した空気は、皮膚から水分を奪い、もともと持っているバリア機能を低下させます。肌が乾燥した状態では、少しの摩擦でも皮膚が傷つきやすくなります。
次に、花粉症の薬の副作用も見逃せません。花粉症治療に使われる抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を抑える効果がありますが、同時に分泌機能を抑制するため、皮膚が乾燥しやすくなるという副作用があります。薬を飲んでいても症状が完全には抑えられず、乾燥した皮膚をティッシュで何度もこするという最悪のサイクルが生まれてしまいます。
マスクの使用も影響します。花粉症対策としてマスクをつける方は多いですが、マスクの素材や摩擦によって鼻の下や口周りの皮膚がこすれます。特に長時間マスクをつけていると、その部分に熱や湿気がこもり、蒸れと摩擦のダブルパンチで皮膚トラブルが起きやすくなります。
また、花粉症によるストレスや睡眠不足も皮膚の状態に影響します。くしゃみや鼻水で眠れない夜が続いたり、症状によるストレスが蓄積されると、免疫機能や皮膚の再生能力が低下します。皮膚が正常に修復されない状態が続くと、慢性的な赤みや皮膚炎へと発展していく可能性があります。
さらに、花粉症の人は皮膚のアレルギー反応全般が起きやすい体質であることが多く、アトピー性皮膚炎や敏感肌を持っている方も少なくありません。そうした肌質の方は、花粉症シーズンになると皮膚のバリア機能がより脆弱になりやすく、少しの刺激でも強い反応が出てしまいます。
💊 鼻の下の赤みが引き起こす肌トラブルの種類
花粉症に伴う鼻の下の肌トラブルには、いくつかのパターンがあります。自分の症状がどのタイプに当たるかを把握することで、適切なケアや受診の判断につながります。
最も一般的なのは、接触性皮膚炎(かぶれ)です。ティッシュや鼻水との繰り返しの接触によって皮膚が刺激を受け、炎症が起きた状態です。皮膚が赤くなり、ひりひりした痛みや熱感を伴います。刺激性の接触性皮膚炎と、アレルギー性の接触性皮膚炎の2種類があり、花粉症患者の場合はどちらも起きやすい状態にあります。
次によく見られるのが、乾燥による皮膚炎です。乾燥によって皮膚のバリア機能が低下し、皮がむけたり、細かいひびが入ったりします。赤みとともに白い皮膚のカサカサした剥離が見られるのが特徴で、触れると痛みを感じることもあります。
症状が長引いたり繰り返したりすると、湿疹(eczema)へと発展することがあります。湿疹は皮膚の慢性的な炎症状態で、赤み、かゆみ、皮膚の肥厚(厚くなること)が特徴です。適切な治療を受けずに放置すると、色素沈着(黒ずみ)や皮膚の硬化が起きる場合もあります。
また、皮膚のバリア機能が低下した状態では、細菌や真菌(カビ)が感染しやすくなります。黄色ブドウ球菌などが傷ついた皮膚に入り込むと、とびひ(伝染性膿痂疹)のような二次感染を引き起こすことがあります。ただれた皮膚の上に黄色いかさぶたができたり、症状が急に悪化したりした場合は、感染の可能性を疑う必要があります。
花粉による直接のアレルギー反応として、鼻の下の皮膚が腫れぼったくなったり、ぶつぶつとした丘疹が出たりすることもあります。これはアレルギー性皮膚炎の一種で、花粉が直接皮膚に触れることによって引き起こされます。
Q. 花粉症シーズンにマスクが鼻の下の肌荒れを悪化させる理由は?
花粉対策のマスクは、素材との摩擦に加え、長時間使用による蒸れが鼻の下の皮膚トラブルを引き起こします。熱と湿気がこもることでバリア機能がさらに低下するため、内側が柔らかい素材のマスクを選び、1〜2時間ごとに外して皮膚を休ませることが有効です。
🏥 日常生活でできるケアと予防法
鼻の下の赤みを予防・軽減するために、日常生活の中でできることはたくさんあります。特別な治療を受ける前に、まずはこうしたセルフケアを徹底することが重要です。
最も大切なのは、鼻を拭く際の動作を変えることです。多くの方が無意識にティッシュで鼻の下をゴシゴシとこすっていますが、これが赤みの最大の原因です。鼻水を拭う際は、こするのではなく、ティッシュをそっと当てて押さえるように拭くだけにしましょう。この一点だけでも、皮膚へのダメージを大幅に減らすことができます。
鼻をかむ際も同様で、力を入れすぎず、優しく少しずつかむようにすることが大切です。一度に強くかもうとすると、鼻の下の皮膚に強い圧力がかかり、摩擦ダメージが大きくなります。また、鼻をかんだ後にはすぐに保湿ケアをする習慣をつけることも予防に役立ちます。
外出前の花粉対策も重要です。花粉が皮膚に直接触れることを避けるために、外出時はマスクを着用し、帰宅時には顔を洗うか、濡れたタオルで顔の花粉を優しく拭き取ることが効果的です。ただし、このときも強くこすらないよう注意してください。
室内の空気の乾燥も皮膚の状態に影響します。加湿器を使って部屋の湿度を50〜60%程度に保つことで、皮膚の乾燥を防ぐことができます。特に暖房が強くなる冬の花粉シーズン(スギ花粉は2〜4月が主な時期ですが、その前の乾燥した冬の時期から準備が必要)には、加湿器の活用が非常に有効です。
食事や生活習慣の面では、ビタミンCやビタミンE、亜鉛などの栄養素が皮膚の修復と免疫機能のサポートに役立ちます。バランスの良い食事を心がけるとともに、十分な睡眠を確保して皮膚の回復力を高めることも大切です。
水分補給も忘れずに行いましょう。体内の水分が不足すると、皮膚の水分保持能力が落ちてしまいます。一日を通じてこまめに水分をとる習慣をつけることが、皮膚の健康維持に貢献します。
⚠️ ティッシュ・マスクの選び方と正しい使い方
鼻の下の赤みを防ぐためには、使用するティッシュやマスクの選び方も重要なポイントです。素材の選択一つで、皮膚へのダメージを大きく軽減できます。
ティッシュについては、保湿成分が含まれたタイプを選ぶことをおすすめします。近年は、ローションやアロエエキス、ヒアルロン酸などを配合した保湿ティッシュが多く販売されています。通常のティッシュに比べて肌当たりが柔らかく、皮膚への摩擦を軽減する効果があります。価格は少し高くなりますが、花粉症シーズンの集中的な使用を考えると、皮膚トラブルを防ぐための投資として十分に価値があります。
ティッシュを選ぶ際には、紙の厚さや柔らかさも確認してください。薄すぎるティッシュは摩擦が大きくなりやすく、逆に厚みがありすぎると鼻への当たりが硬くなります。実際に肌に当てて確認してから購入するのが理想ですが、保湿タイプのものを選べば概ね問題ないでしょう。
マスクの選び方も工夫が必要です。不織布マスクは花粉防止効果が高い一方で、長時間使用すると顔の皮膚への摩擦や蒸れが起きやすいという欠点があります。皮膚が荒れやすい方は、内側がシルクや柔らかい素材で覆われたタイプのマスクを選ぶと、摩擦を軽減できます。また、マスクのサイズが顔に合っていないと余計な摩擦が生じるため、自分の顔のサイズに合ったものを選ぶことも大切です。
マスクをつける前に、鼻の下に保湿クリームやワセリンを薄く塗ることで、摩擦によるダメージをある程度防ぐことができます。ただし、厚く塗りすぎるとマスクの内側が汚れやすくなるため、薄く均一に伸ばすことがポイントです。
マスクの長時間使用による蒸れを防ぐためには、1〜2時間に一度、安全な場所でマスクを外して皮膚を休ませることも効果的です。蒸れた状態が続くと皮膚のバリア機能がさらに低下するため、適度な換気が皮膚トラブル防止につながります。
Q. 鼻の下の赤みに対して皮膚科ではどんな治療が受けられますか?
皮膚科では主に外用ステロイド薬が処方され、赤み・炎症・かゆみを速やかに改善します。鼻の下のように皮膚が薄い部位にはタクロリムスなどの免疫調節薬が選ばれることもあります。また処方保湿剤の併用や、二次感染が疑われる場合は抗菌薬・抗真菌薬も処方されます。
🔍 保湿ケアの重要性と適切なスキンケア方法
花粉症シーズンの肌トラブルを防ぐうえで、保湿ケアは最も重要なセルフケアの一つです。皮膚のバリア機能を保つために、毎日の保湿習慣を徹底しましょう。
保湿の基本は、洗顔後になるべく早く保湿剤を塗ることです。洗顔後は皮膚の水分が急速に蒸発しやすい状態になっています。洗顔後1〜2分以内に保湿剤を塗ることで、皮膚内部の水分を逃がさず閉じ込めることができます。
保湿剤の選び方も重要です。花粉症シーズンに鼻の下が荒れやすい方には、肌への刺激が少ないシンプルな成分の保湿剤が適しています。ワセリン(白色ワセリン)は、最もシンプルで刺激が少ない保湿剤の一つで、皮膚科でもよく推奨されます。皮膚の表面に油分の膜を作ることで水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激を物理的にブロックする効果があります。
ヒアルロン酸やセラミドを含む保湿剤も効果的です。ヒアルロン酸は水分を皮膚内に引き込んで保持する働きがあり、セラミドは皮膚細胞の間を埋めるための脂質で、バリア機能の核心を担っています。これらの成分が配合された保湿剤を使用することで、皮膚のバリア機能の修復と強化をサポートできます。
保湿剤を塗る際の注意点として、こすらずに優しく塗り込むことが大切です。どんなに良い保湿剤でも、強くこすって塗ってしまえば皮膚への摩擦刺激になります。指の腹を使ってそっと置くように、あるいは軽くたたき込むようにして塗りましょう。
洗顔の方法にも注意が必要です。皮膚が荒れているときは、洗顔料の刺激も最小限に抑えるべきです。泡立ちが強い洗顔料や、スクラブが入っているものは避け、低刺激タイプの洗顔料を使いましょう。また、洗顔時のお湯の温度も大切で、熱いお湯は皮脂を必要以上に洗い流してしまうため、ぬるま湯(32〜36度程度)が適しています。
日中、外出先で鼻をかんだ後に保湿ケアをするのは難しいこともあります。そういった場合は、小さなワセリンや保湿クリームを携帯しておくと便利です。鼻をかむたびに少量塗り直すことで、継続的に皮膚を保護することができます。
メイクをされている方は、鼻の下が荒れている時期はファンデーションやコンシーラーで赤みを隠したくなる気持ちもわかりますが、化粧品の成分が刺激になることもあります。できるだけノーメイクかミネラルファンデーションのような低刺激タイプに留め、荒れた皮膚への負担を軽減することをおすすめします。
📝 皮膚科を受診するタイミングと治療法
セルフケアを試みても症状が改善しない場合や、症状が悪化している場合には、皮膚科を受診することが重要です。皮膚科では、市販薬では対応できない薬物治療や専門的なスキンケア指導を受けることができます。
皮膚科を受診すべきタイミングの目安としては、以下のような状態が続いている場合です。セルフケアを始めてから1週間経っても赤みや炎症が改善しない、水ぶくれや黄色いかさぶたができた、皮膚が腫れてきた、痛みやかゆみが日常生活に支障をきたすほど強い、以前にも同じ時期に同様の症状があった、などが挙げられます。
皮膚科では、まず問診と視診によって皮膚トラブルの原因と種類を診断します。必要に応じてパッチテスト(貼付試験)を行い、特定の物質に対するアレルギーがあるかどうかを調べることもあります。
治療の中心となるのは、外用ステロイド薬(ステロイド外用薬)の処方です。ステロイド外用薬は炎症を抑える効果が高く、赤みやかゆみ、腫れを速やかに改善します。「ステロイド」という言葉に不安を感じる方もいますが、皮膚科医の指示通りに適切な強さのものを適切な期間だけ使用すれば、安全に効果を得られます。自己判断で長期使用したり、急にやめたりすることは避け、医師の指示に従うことが大切です。
ステロイド以外の選択肢として、タクロリムス(プロトピック)などの免疫調節薬を使うこともあります。これはステロイドとは異なる作用機序で炎症を抑えるもので、顔面など皮膚の薄い部位への長期使用に適しています。鼻の下のように皮膚が薄い部位では、ステロイドよりもこちらを勧める場合もあります。
皮膚が乾燥している場合は、処方の保湿剤(ヘパリン類似物質や尿素含有クリームなど)も一緒に処方されることが多いです。市販の保湿剤と比べて、より高い保湿効果を持つものが処方できるのが皮膚科受診のメリットの一つです。
二次感染(細菌や真菌の感染)が疑われる場合は、抗菌薬や抗真菌薬が処方されます。自己判断でステロイドを塗り続けると、感染があった場合に症状を悪化させる恐れがあるため、「なんとなく普通の湿疹と違う気がする」と感じたら早めに受診することをおすすめします。
アイシークリニック新宿院のような医療機関では、皮膚の状態を専門的に評価し、患者それぞれの症状と生活環境に合った治療法を提案することができます。「市販薬を試したけど治らない」「毎年花粉症シーズンになると同じ悩みが繰り返される」という方は、一度専門医に相談してみることをぜひ検討してください。
Q. 花粉症の根本治療は鼻の下の皮膚トラブルにも効果がありますか?
はい、花粉症の根本治療は鼻の下の皮膚トラブル予防にも直結します。舌下免疫療法はスギ花粉エキスを毎日舌下投与してアレルギー反応を軽減する方法で、効果発現まで3〜5年かかりますが、鼻水が減ることでティッシュ使用回数が減り、皮膚へのダメージを根本から抑えられます。
💡 花粉症そのものを治療することの大切さ

鼻の下の赤みをケアすることも大切ですが、根本的な原因である花粉症そのものを適切に治療することが、長期的な解決策となります。鼻水の量が少なくなれば、それだけティッシュを使う回数も減り、皮膚へのダメージを根本から減らすことができます。
花粉症の治療には、大きく分けて薬物療法と根本治療(アレルゲン免疫療法)があります。
薬物療法では、内服の抗ヒスタミン薬や点鼻薬(ステロイド点鼻薬・抗ヒスタミン点鼻薬)、点眼薬などを症状に合わせて使用します。近年は第二世代の抗ヒスタミン薬が主流で、眠気が出にくくなっています。症状が始まってから薬を飲むのではなく、花粉のシーズンが始まる2週間ほど前から予防的に内服を始める「初期療法」を行うことで、症状を大幅に軽減できることが知られています。
ステロイド点鼻薬は、鼻の中の炎症を直接抑えることで鼻水の量を減らす効果が高く、全身への影響がほとんどないため、安全性が高い治療法として耳鼻咽喉科や内科で処方されています。鼻水をコントロールすることが、鼻の下の皮膚を守る直接的な方法になります。
根本治療として注目されているのがアレルゲン免疫療法です。スギ花粉のエキスを少量ずつ定期的に体に投与することで、花粉に対する免疫反応を徐々に変化させ、アレルギー症状そのものを軽減または消失させる治療法です。かつては皮下注射による方法しかありませんでしたが、近年は舌の下に薬剤を置いて溶かす舌下免疫療法が普及し、自宅で毎日行えるようになりました。効果が出るまでに時間がかかること(3〜5年が目安)、花粉シーズン以外の時期から始める必要があること、などの制約はありますが、長期的に花粉症から解放される可能性がある治療法として多くの患者に選ばれています。
また、花粉症の症状を悪化させる生活習慣の改善も大切です。喫煙は気道や鼻の粘膜を刺激し、アレルギー反応を悪化させます。アルコールの過剰摂取もヒスタミンの産生を促進するため、花粉症シーズンは摂取量を控えめにすることが望ましいです。
腸内環境の整備も花粉症の改善に関係していると研究が示しています。乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵食品や、食物繊維を多く含む野菜・果物を積極的に摂ることで、免疫のバランスを整え、アレルギー反応を穏やかにする効果が期待できます。完全に症状をなくすわけではありませんが、補助的な手段として生活に取り入れる価値があります。
鼻の下の赤みは、表面的な皮膚トラブルとして単独に扱うのではなく、花粉症という全身のアレルギー疾患のひとつの症状として捉え、耳鼻咽喉科や内科でのアレルギー治療と、皮膚科でのスキンケア指導・治療を組み合わせて対処することが、最もスマートなアプローチです。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「花粉症シーズンになると、鼻の下の赤みやヒリヒリ感を訴えて来院される患者様が増える傾向にあり、当院でも毎年多くの方からご相談をいただいています。ティッシュによる摩擦と鼻水の刺激が重なることでバリア機能が急速に低下するため、早めの保湿ケアとこすらない拭き方の習慣が症状悪化の予防に非常に重要です。セルフケアを続けても赤みや炎症が治まらない場合は、悪化する前にぜひ皮膚科にご相談ください。花粉症そのものの治療と組み合わせることで、より根本的な改善を目指すことができます。」
✨ よくある質問
最大の原因は、ティッシュによる繰り返しの摩擦です。一日に何十回もこする動作で皮膚の角質層が傷つき、バリア機能が低下します。さらに、鼻水に含まれるヒスタミンや消化酵素による皮膚への刺激、花粉の直接接触、季節的な乾燥なども重なって症状を悪化させます。
ティッシュで鼻の下をこすらず、そっと押し当てるように拭くことが最重要です。加えて、保湿成分入りのティッシュを使用すること、鼻をかんだ後すぐにワセリンや保湿クリームを薄く塗ること、室内の湿度を50〜60%に保つことなどを組み合わせることで、皮膚へのダメージを大幅に軽減できます。
セルフケアを始めて1週間経っても改善しない場合や、水ぶくれ・黄色いかさぶたができた場合、皮膚が腫れてきた場合、痛みやかゆみが日常生活に支障をきたすほど強い場合は早めの受診をおすすめします。当院では症状と生活環境に合わせた専門的な治療を提案しています。
主な治療は外用ステロイド薬の処方で、炎症・赤み・かゆみを速やかに改善します。皮膚の薄い部位には、ステロイドの代わりにタクロリムスなどの免疫調節薬が処方される場合もあります。また、処方の保湿剤や、二次感染が疑われる場合は抗菌薬・抗真菌薬が処方されることもあります。
アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)が根本治療として注目されています。スギ花粉のエキスを少量ずつ舌下投与し、アレルギー反応を徐々に軽減させる方法で、自宅で毎日行えます。効果が出るまで3〜5年かかりますが、長期的に花粉症から解放される可能性があり、鼻水が減ることで鼻の下の皮膚トラブル予防にも直結します。
📌 まとめ
花粉症シーズンに鼻の下が赤くなる問題は、ティッシュによる繰り返しの摩擦、鼻水の刺激、花粉の直接接触、季節的な乾燥、マスクの使用など、複数の要因が重なって起きています。一見軽い症状に見えても、放置すると湿疹や二次感染に発展することもあるため、早めの対処が大切です。
日常のセルフケアとして最も大切なのは、ティッシュで鼻の下をこすらないこと、こまめな保湿ケアを行うこと、そして保湿ティッシュや低刺激マスクを選ぶことです。症状が長引いたり悪化したりした場合は、皮膚科を受診してステロイド外用薬や処方保湿剤などによる治療を受けることで、早期に症状を改善できます。
さらに根本的な解決のためには、花粉症そのものを耳鼻咽喉科や内科で適切に治療することも欠かせません。鼻水の量を薬でコントロールすることが、鼻の下の皮膚を守る最大の防御策になります。長期的には舌下免疫療法などの根本治療も選択肢として検討してみてください。
毎年花粉症シーズンになると鼻の下の赤みに悩まされているという方は、今年こそセルフケアの見直しと早めの医療機関受診を実践してみましょう。正しい知識と適切なケアで、花粉症シーズンを少しでも快適に過ごせることを願っています。
📚 関連記事
- 花粉で鼻周りが赤くなる原因と皮膚科での治療法を解説
- 肌バリア低下の原因と対策|乾燥・敏感肌を改善する方法
- マスク荒れの治し方|肌荒れの原因と効果的なスキンケア対策
- 花粉アレルギーによる肌症状の原因・特徴と対処法を解説
- 花粉による肌の炎症の治し方|赤みやかゆみの原因と対策を解説
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 接触性皮膚炎・湿疹の診断基準および治療ガイドライン(外用ステロイド薬・タクロリムスの適応、バリア機能障害に関する記載)
- 厚生労働省 – 花粉症の治療と予防に関する公式情報(薬物療法・アレルゲン免疫療法・初期療法の推奨内容)
- PubMed – 花粉症(アレルギー性鼻炎)に伴う鼻周囲皮膚への摩擦・鼻水刺激・バリア機能低下に関する査読済み臨床研究文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
