寒い季節になると、体重計の数字が気になる方も多いのではないでしょうか。「冬太り」は多くの人が経験する現象で、その背景には代謝の変化が深く関わっています。単に「食べ過ぎ」や「運動不足」だけでは説明しきれない、冬特有の体重増加メカニズムが存在します。本記事では、冬太りの根本的な原因と代謝との関係を医学的観点から詳しく解説し、効果的な対策方法をご紹介します。

目次
- 冬太りとは何か?基本的な定義と特徴
- 代謝と体重管理の関係性
- 冬太りの主要な原因
- 基礎代謝の季節変動
- ホルモンバランスの変化
- 食欲と食事パターンの変化
- 運動量の減少
- 日照時間と体内時計の影響
- 冬太りを防ぐための効果的な対策
- 代謝を高める生活習慣
- 適切な食事管理
- 運動習慣の工夫
- 環境要因への対処
- 医療的なサポートが必要な場合
- まとめ
この記事のポイント
冬太りは基礎代謝の季節的低下(5〜15%)、ホルモン変動、運動量減少が複合的に引き起こす現象。規則正しい生活リズム・朝の光曝露・筋力トレーニング・タンパク質重視の食事管理が有効な対策であり、著しい症状がある場合は医療機関への相談が推奨される。
🎯 冬太りとは何か?基本的な定義と特徴
冬太りとは、秋から冬にかけて体重が増加する現象を指します。医学的には「季節性体重変動」と呼ばれることもあり、多くの人が経験する自然な生理現象の一つです。一般的に、冬期間中に2〜4kg程度の体重増加が見られることが多く、これは単純な食べ過ぎだけでは説明できない複雑なメカニズムが関与しています。
冬太りの特徴として、以下のような点が挙げられます。まず、体重増加のパターンが季節的であること。通常、10月頃から徐々に体重が増加し始め、12月から2月にピークを迎える傾向があります。また、単純な脂肪蓄積だけでなく、水分貯留や筋肉量の変化も関与していることが分かっています。
興味深いのは、この現象が地域や気候によって差があることです。寒冷地域に住む人ほど顕著な冬太りを経験する傾向があり、これは進化的に寒さから身を守るための適応メカニズムの名残りと考えられています。現代社会においても、このような生理的な変化は継続しており、多くの人が冬場の体重管理に悩む原因となっています。
Q. 冬太りの体重増加はどのくらいが一般的?
冬太りでは一般的に2〜4kg程度の体重増加が見られます。10月頃から徐々に増加し始め、12月〜2月にピークを迎える季節的パターンが特徴です。基礎代謝の低下やホルモンバランスの変化など、複数の要因が複合的に関与しています。
📋 代謝と体重管理の関係性
体重管理を理解するためには、代謝の概念を正しく把握することが重要です。代謝とは、体内で行われるエネルギーの産生と消費のプロセス全体を指し、大きく「基礎代謝」「活動代謝」「食事誘発性熱産生(DIT)」の3つに分類されます。
基礎代謝は、生命維持に必要な最小限のエネルギー消費量で、全体のエネルギー消費の約60-70%を占めています。これには心臓の鼓動、呼吸、体温維持、細胞の修復・再生などが含まれます。活動代謝は、日常的な身体活動や運動によるエネルギー消費で、全体の約20-30%を占めます。食事誘発性熱産生は、食事後の消化・吸収・代謝に伴うエネルギー消費で、約10%程度となります。
体重の変化は、基本的に「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスによって決まります。消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば体重は減少し、逆の場合は体重が増加します。この単純な原理に、季節的な代謝変動が加わることで、冬太りという現象が生じるのです。
代謝は様々な要因によって影響を受けます。年齢、性別、体格、筋肉量などの個体要因に加え、気温、日照時間、ホルモン分泌などの環境要因も大きく関与しています。特に冬場は、これらの環境要因が代謝に与える影響が顕著に現れるため、体重管理が困難になりやすいのです。
Q. 冬場に基礎代謝はどれくらい低下する?
冬場の基礎代謝は個人差があるものの、5〜15%程度低下すると報告されています。基礎代謝が1,500kcal/日の人では75〜225kcal/日の消費エネルギーが減少します。主な原因は甲状腺ホルモンの分泌減少と、寒冷環境への生理的適応です。
💊 冬太りの主要な原因
🦠 基礎代謝の季節変動
冬太りの最も重要な原因の一つが、基礎代謝の季節的な変動です。一般的に、基礎代謝は冬場に低下する傾向があります。これは、寒冷環境における生理学的適応の結果と考えられています。
寒い環境下では、体は熱の損失を最小限に抑えるために様々な調整を行います。血管収縮により体表面の血流を減らし、筋収縮を減らすことでエネルギー消費を抑制します。また、褐色脂肪組織の活性化により熱産生が行われる一方で、全体的なエネルギー効率を高めるために基礎代謝が低下するのです。
この基礎代謝の低下は個人差がありますが、通常5-15%程度の変動があると報告されています。例えば、基礎代謝が1500kcal/日の人の場合、冬場には75-225kcal/日の消費エネルギーが減少することになります。これは、毎日の食事量が変わらなくても、約1-3週間で体重が1kg増加する計算になります。
さらに、甲状腺ホルモンの季節変動も基礎代謝に影響を与えます。甲状腺ホルモン(T3、T4)は代謝を調節する重要なホルモンですが、冬場にはその分泌量が減少する傾向があります。これにより、全身の代謝活動が低下し、エネルギー消費量が減少するのです。
👴 ホルモンバランスの変化
冬場には様々なホルモンの分泌パターンが変化し、これが体重増加に大きく関与しています。最も重要なのは、メラトニン、セロトニン、コルチゾール、レプチン、グレリンなどのホルモンの季節変動です。
メラトニンは、日照時間の短縮により分泌時間が延長されます。メラトニンは直接的に代謝に影響を与えるだけでなく、他のホルモンの分泌リズムを調節することで間接的にも体重に影響します。また、セロトニンの分泌は日照不足により減少し、これが食欲の増加や炭水化物への渇望を引き起こします。
ストレスホルモンであるコルチゾールは、冬場に分泌パターンが変化することが知られています。慢性的な軽度のストレス状態が続くことで、コルチゾールの分泌が増加し、これが腹部への脂肪蓄積を促進します。また、コルチゾールは血糖値を上昇させ、インスリン抵抗性を高めることで、体重増加を助長します。
食欲調節ホルモンも重要な役割を果たします。満腹感を促すレプチンの効果が冬場に低下する一方で、空腹感を促すグレリンの分泌が増加する傾向があります。この変化により、食事量が増加しやすくなり、特に高カロリーの食品への欲求が強まります。
🔸 食欲と食事パターンの変化
冬場の食欲と食事パターンの変化は、冬太りの直接的な原因となります。多くの人が経験するように、寒い季節には温かく高カロリーの食品を好むようになります。これは単なる嗜好の問題ではなく、生理学的な変化に基づいています。
セロトニン分泌の低下により、炭水化物、特に糖質への渇望が強まります。炭水化物の摂取によりセロトニンの合成が促進されるため、体は本能的に糖質を求めるようになります。これにより、甘い物やでんぷん質の多い食品の摂取量が増加します。
また、寒さによる体温維持のために、高カロリー食品への欲求が高まります。脂質は炭水化物やタンパク質よりもエネルギー密度が高く、効率的なエネルギー源となるため、揚げ物やこってりした料理を好むようになります。
食事のタイミングも変化します。日照時間の短縮により、体内時計のリズムが変化し、食事の時間帯がずれたり、夜遅い時間の食事が増加したりします。夜遅い時間の食事は、代謝効率が低下している時間帯であるため、同じカロリーでも体重増加につながりやすくなります。
さらに、冬場は飲み会やパーティーなどの社会的なイベントが多く、アルコールの摂取量も増加傾向にあります。アルコールは高カロリーであるだけでなく、食欲を刺激し、食事の量を増やす効果もあります。また、アルコールの代謝過程で脂肪の燃焼が抑制されるため、体重増加に拍車をかけます。
💧 運動量の減少
冬場の運動量減少は、活動代謝の低下を通じて冬太りに大きく寄与します。寒さ、日照時間の短縮、悪天候などの要因により、屋外での活動が制限され、全体的な身体活動量が減少します。
気温の低下は、運動に対するモチベーションを直接的に低下させます。寒い環境では、体は熱の損失を防ぐために活動量を自然に制限しようとします。また、重い衣服を着用することで、動きが制限され、普段の活動でも消費カロリーが減少します。
屋外スポーツの機会が限定されることも大きな要因です。ジョギング、サイクリング、テニスなどの屋外活動が困難になり、代替の運動機会を見つけられない場合、運動量の大幅な減少につながります。また、雨や雪などの悪天候により、予定していた運動が中止になることも頻繁に起こります。
日常的な活動量も減少します。通勤や買い物での歩行距離が短縮されたり、エレベーターやエスカレーターの使用頻度が増加したりします。これらの小さな変化の積み重ねが、NEAT(非運動性活動熱産生)の減少を引き起こし、1日の総消費エネルギーを大幅に低下させます。
室内にいる時間が長くなることで、座りっぱなしの時間が増加し、筋肉の活動量が減少します。筋肉は基礎代謝の重要な要素であるため、筋活動の減少は代謝率の低下を招きます。また、運動不足により筋肉量自体が減少すると、基礎代謝がさらに低下し、太りやすい体質になってしまいます。
✨ 日照時間と体内時計の影響
日照時間の短縮は、体内時計(概日リズム)を通じて代謝や体重に深刻な影響を与えます。光は体内時計の最も重要な調節因子であり、その変化は様々な生理機能に波及効果をもたらします。
体内時計の乱れは、ホルモン分泌パターンを変化させます。特に、メラトニンとコルチゾールの分泌リズムが変化し、これが食欲調節や代謝機能に影響を与えます。メラトニンの分泌時間の延長により、日中の活動性が低下し、エネルギー消費量が減少します。
日照不足は、季節性感情障害(SAD)の原因となることがあります。SADの症状には、過食、特に炭水化物への渇望、体重増加、日中の眠気、活動量の低下などが含まれます。これらの症状は、セロトニン分泌の低下と密接に関連しており、冬太りの重要な要因となります。
体内時計の乱れは、食事のタイミングにも影響します。正常な概日リズムでは、代謝機能が時間帯によって変動し、朝から昼にかけて代謝が最も活発になります。しかし、体内時計が乱れると、この代謝リズムが崩れ、夜遅い時間でも食欲が湧いたり、代謝効率の悪い時間帯に食事を摂ったりするようになります。
また、日照不足はビタミンD合成を阻害します。ビタミンDは骨の健康だけでなく、筋肉機能や代謝調節にも重要な役割を果たしています。ビタミンD不足により筋力が低下し、基礎代謝の減少につながる可能性があります。
Q. 冬場に食欲が増える生理学的な理由は?
日照不足によりセロトニンの分泌が低下し、炭水化物への渇望が強まります。同時に満腹感を促すレプチンの効果が低下し、空腹感を促すグレリンの分泌が増加します。加えて体温維持のために高カロリー食品への欲求が高まるため、食事量が増えやすくなります。
🏥 冬太りを防ぐための効果的な対策
📌 代謝を高める生活習慣
冬場の代謝低下に対抗するためには、意識的に代謝を高める生活習慣を取り入れることが重要です。まず基本となるのは、規則正しい生活リズムの維持です。起床時間と就寝時間を一定に保ち、食事の時間も規則的にすることで、体内時計を安定させ、代謝機能の正常化を図ります。
朝の光曝露は特に重要です。起床後すぐに明るい光を浴びることで、メラトニン分泌を抑制し、体内時計をリセットします。可能であれば朝日を浴びる、室内でも明るい照明を使用する、光療法器具を活用するなどの方法が効果的です。最低でも朝の30分間は2500ルクス以上の明度の光を浴びることが推奨されます。
体温を高く保つことも代謝向上に役立ちます。温かい飲み物を頻繁に摂取する、湯船にゆっくりと浸かる、暖房器具を適切に使用するなどにより、体温維持に必要なエネルギー消費を増やします。また、唐辛子、生姜、にんにくなどの体を温める食材を積極的に取り入れることで、食事誘発性熱産生を高めることができます。
水分摂取も代謝に重要な影響を与えます。冬場は夏場に比べて水分摂取量が減少しがちですが、適切な水分摂取は代謝機能の維持に不可欠です。1日に体重1kgあたり30-35mlの水分摂取を心がけ、温かい飲み物を中心に摂取すると良いでしょう。
睡眠の質の向上も代謝改善に直結します。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を減少させ、基礎代謝を低下させます。また、食欲調節ホルモンのバランスを崩し、過食につながります。7-8時間の質の良い睡眠を確保し、睡眠環境を整えることが重要です。
▶️ 適切な食事管理
冬太り防止のための食事管理では、量的制限だけでなく、質的な改善と食べ方の工夫が重要です。まず、タンパク質の摂取量を増やすことから始めましょう。タンパク質は食事誘発性熱産生が最も高く、摂取カロリーの約30%がエネルギーとして消費されます。また、筋肉量の維持にも不可欠です。
具体的には、体重1kgあたり1.0-1.2gのタンパク質摂取を目標とします。魚、鶏肉、豆類、卵、乳製品などを各食事に組み込み、筋肉の合成を促進します。特に朝食でのタンパク質摂取は、1日の代謝を高める効果があるため重要です。
炭水化物の選択も重要です。精製された糖質ではなく、複合炭水化物を選ぶことで血糖値の急激な上昇を防ぎ、インスリン分泌を安定させます。玄米、全粒粉パン、オートミール、さつまいもなどの食物繊維が豊富な炭水化物を選択し、満腹感を高めながらカロリー摂取を抑制します。
食事の回数とタイミングの工夫も効果的です。1日3回の大きな食事よりも、4-5回の小分けした食事にすることで、常に代謝を活発に保つことができます。また、夕食は就寝3時間前までに済ませ、夜遅い時間の食事を避けることで、睡眠中の脂肪蓄積を防ぎます。
冬に不足しがちな栄養素の補給も重要です。ビタミンD、ビタミンB群、鉄分、マグネシウムなどは代謝機能に関わる重要な栄養素です。これらが不足すると代謝が低下するため、緑黄色野菜、魚類、ナッツ類、種子類を積極的に摂取しましょう。
水分摂取のタイミングも工夫します。食前30分前に常温または温かい水を200ml程度摂取することで、満腹感を高め、食事量を自然に抑制できます。また、食事中の水分摂取は控えめにし、消化機能を妨げないよう注意します。
🔹 運動習慣の工夫
冬場の運動習慣を維持するためには、天候に左右されない室内での運動計画が重要です。まず、筋力トレーニングを運動プログラムの中核に位置づけましょう。筋肉量の増加は基礎代謝の向上に直結し、冬場の代謝低下を相殺する効果があります。
週に2-3回、30-45分程度の筋力トレーニングを実施します。大きな筋肉群(胸、背中、脚)を中心とした複合的な運動(スクワット、プッシュアップ、プランクなど)を組み合わせることで、効率的に筋肉量を増やします。自宅でも実施できる自重トレーニングから始め、徐々に強度を上げていきます。
有酸素運動も重要ですが、屋外での実施が困難な場合は室内でできる運動を取り入れます。階段の昇降、ステップ運動、ダンス、ヨガなどは特別な器具なしでも実施可能です。また、家事を積極的に行うことで、日常活動量を増やすことも効果的です。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、短時間で高い効果が期待できる運動方法です。20-30分程度の短時間で実施でき、運動後も継続してカロリーを消費する「アフターバーン効果」により、代謝を長時間高く保つことができます。
運動のタイミングも工夫しましょう。朝の運動は1日の代謝を高める効果があり、夕方の運動は夜間の代謝低下を緩和します。ただし、就寝3時間前以降の激しい運動は睡眠の質を低下させる可能性があるため避けましょう。
継続性を高めるために、運動の記録を付けたり、家族や友人と一緒に行ったりすることも重要です。また、運動前後のストレッチやウォーミングアップを怠らず、怪我の予防に努めることで、長期的な運動習慣の維持が可能になります。
📍 環境要因への対処
冬太りの予防には、環境要因への適切な対処が不可欠です。まず、室内環境の整備から始めましょう。適切な室温設定は代謝に大きく影響します。室温を少し低めの18-20℃に設定することで、体温維持のためのエネルギー消費を増やすことができます。ただし、極端に低い温度は活動量の低下を招くため、快適に過ごせる範囲での調整が重要です。
照明環境の改善も重要な対策の一つです。日照時間が短い冬場は、人工照明により光曝露量を補う必要があります。朝起きたらすぐに明るい照明をつける、日中はできるだけ明るい場所で過ごす、必要に応じて光療法器具を使用するなどの方法で、体内時計を正常に保ちます。
空気の質も見逃せない要因です。冬場は室内での過ごす時間が長くなるため、適切な換気により新鮮な空気を取り入れることが重要です。また、加湿器を使用して適切な湿度(40-60%)を保つことで、呼吸器系の機能を正常に保ち、代謝機能を維持します。
衣服の選択も代謝に影響を与えます。過度に厚着をすることで体温調節機能が低下し、代謝が減少する可能性があります。適度な薄着により、体内での熱産生を促進させることも一つの方法です。ただし、風邪をひかない程度の調整が必要です。
ストレス管理も環境要因の重要な側面です。冬季うつや季節性感情障害を予防するために、リラクゼーション技法の実践、趣味活動の継続、社会的交流の維持などが有効です。慢性的なストレスはコルチゾール分泌を増加させ、腹部脂肪の蓄積を促進するため、適切なストレス対処が体重管理にも重要です。
Q. 冬太り対策に最も効果的な運動は何?
筋力トレーニングが最も効果的です。週2〜3回・30〜45分程度の筋トレを継続することで基礎代謝が向上し、冬場の代謝低下を相殺できます。室内でできるスクワットやプッシュアップなど、大きな筋肉群を鍛える自重トレーニングから始めるのが推奨されます。
⚠️ 医療的なサポートが必要な場合
多くの場合、冬太りは生活習慣の改善により対処可能ですが、時として医療的なサポートが必要になることがあります。特に注意すべきサインと、適切な医療機関での相談タイミングについて説明します。
季節性感情障害(SAD)が疑われる場合は、専門医への相談が推奨されます。症状には、著しい食欲増加、特に炭水化物への異常な渇望、10kg以上の体重増加、日中の強い眠気、抑うつ気分、興味や活動性の低下などがあります。これらの症状が2週間以上継続し、日常生活に支障をきたす場合は、精神科や心療内科での評価が必要です。
甲状腺機能低下症などの内分泌系疾患が原因の場合もあります。急激な体重増加、極度の疲労感、寒がり、便秘、皮膚の乾燥、毛髪の脱毛などの症状がある場合は、血液検査による甲状腺ホルモンの測定が必要です。早期発見・治療により、症状の改善と体重の正常化が期待できます。
糖尿病や代謝症候群のリスクが高い場合も医療的な管理が重要です。BMIが30以上の高度肥満、家族歴に糖尿病がある、高血圧や脂質異常症を併発している場合は、定期的な健康診断と専門医による管理が推奨されます。適切な薬物療法や栄養指導により、効果的な体重管理が可能になります。
摂食障害が疑われる場合も専門的な治療が必要です。極端な食事制限と過食を繰り返す、体重や体型への異常なこだわりがある、社会生活に支障をきたすほどの食行動の異常がある場合は、精神科での専門治療が必要になります。
薬物の副作用による体重増加の場合は、処方医との相談が重要です。抗うつ薬、抗精神病薬、ステロイド薬、一部の糖尿病治療薬などは体重増加を引き起こすことがあります。薬物の変更や用量調整により、体重管理と治療効果の両立を図ります。
アイシークリニック新宿院では、冬太りに関する相談も承っています。生活習慣の改善だけでは対処困難な場合や、背景に疾患が疑われる場合は、お気軽にご相談ください。適切な評価と個別の対策をご提案いたします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では年末年始にかけて体重増加を気にされる患者様が多くいらっしゃいますが、記事にもある通り冬太りは単純な食べ過ぎだけでなく代謝やホルモンバランスの変化が大きく関わっています。特に日照時間の短縮による体内時計の乱れから食欲調節ホルモンが影響を受けやすいため、規則正しい生活リズムと朝の光曝露を意識していただくことをお勧めしています。急激な体重増加や著しい食欲の変化がある場合は、甲状腺機能や季節性感情障害の可能性もありますので、お気軽にご相談ください。」
🔍 よくある質問
冬太りでは一般的に2〜4kg程度の体重増加が見られます。これは10月頃から徐々に増加し始め、12月から2月にピークを迎える季節的なパターンが特徴です。単純な食べ過ぎだけでなく、基礎代謝の低下やホルモンバランスの変化など複数の要因が関与しています。
冬場の基礎代謝は個人差がありますが、通常5-15%程度低下すると報告されています。例えば基礎代謝が1500kcal/日の人の場合、75-225kcal/日の消費エネルギーが減少することになります。これは甲状腺ホルモンの分泌減少や寒冷環境への生理学的適応が原因です。
筋力トレーニングが最も効果的です。週に2-3回、30-45分程度の筋トレを実施することで基礎代謝を向上させ、冬場の代謝低下を相殺できます。室内でできるスクワットやプッシュアップなどの自重トレーニングから始め、大きな筋肉群を鍛えることが重要です。
日照不足によりセロトニンの分泌が低下し、炭水化物への渇望が強まるためです。また、満腹感を促すレプチンの効果が低下し、空腹感を促すグレリンの分泌が増加します。さらに体温維持のために高カロリー食品への欲求が高まることも食欲増加の原因となります。
10kg以上の急激な体重増加、異常な食欲増進、日中の強い眠気、抑うつ気分が2週間以上続く場合は受診をお勧めします。季節性感情障害や甲状腺機能低下症の可能性があります。当院でも冬太りに関する相談を承っており、適切な評価と個別の対策をご提案いたします。
📝 まとめ
冬太りは単純な食べ過ぎや運動不足だけでは説明できない、複雑な生理学的メカニズムによって引き起こされる現象です。基礎代謝の季節変動、ホルモンバランスの変化、食欲と食事パターンの変化、運動量の減少、そして日照時間と体内時計の影響など、多くの要因が相互に関連し合って体重増加を促進します。
しかし、これらのメカニズムを理解し、適切な対策を講じることで冬太りは十分に予防可能です。代謝を高める生活習慣の実践、適切な食事管理、運動習慣の工夫、環境要因への対処を組み合わせることで、冬場でも健康的な体重を維持できます。
特に重要なのは、規則正しい生活リズムの維持、朝の光曝露、筋力トレーニングを中心とした運動習慣、タンパク質を重視した食事管理です。これらの基本的な対策を継続することで、代謝機能を正常に保ち、体重増加を防ぐことができます。
ただし、著しい症状がある場合や、生活習慣の改善だけでは対処が困難な場合は、医療的なサポートを求めることも重要です。適切な医療機関での評価により、個別の状況に応じた最適な治療方針を決定できます。
冬太りは多くの人が経験する自然な現象ですが、適切な知識と対策により克服可能な問題です。本記事で紹介した情報を参考に、健康的な冬の過ごし方を実践し、理想的な体重管理を目指してください。何か気になる症状や疑問がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 「日本人の食事摂取基準」における基礎代謝量の算定方法や季節性を考慮した栄養摂取に関する指針、肥満予防のための食事・運動療法の基本的な考え方
- PubMed – 季節性体重変動(seasonal weight variation)、概日リズムと代謝の関係、季節性感情障害と体重増加、褐色脂肪組織の活性化、メラトニンと代謝の関連に関する国際的な研究論文
- WHO(世界保健機関) – 肥満の定義と健康リスク、BMI基準、肥満予防のための生活習慣改善指針、身体活動と健康の関係性に関する国際的なガイドライン
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
