赤ちゃんのRSウイルス感染症とは?症状・重症化サイン・対処法を解説

RSウイルス感染症は、赤ちゃんや乳幼児がかかりやすい呼吸器感染症のひとつです。2歳までにほぼすべての子どもが一度は感染するといわれており、特に生後6か月未満の赤ちゃんでは重症化しやすいことが知られています。本記事では、RSウイルス感染症の症状や重症化のサイン、家庭での対処法について詳しく解説します。お子さまの健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

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目次

  1. 🔬 RSウイルス感染症とは
  2. 👶 RSウイルスに赤ちゃんが感染しやすい理由
  3. 💡 赤ちゃんのRSウイルス感染症の主な症状
  4. 🚨 重症化のサインと注意すべき症状
  5. 🔍 RSウイルス感染症の診断方法
  6. 💊 治療法と家庭でのケア
  7. 🛡️ RSウイルス感染症の予防法
  8. 🏥 病院を受診すべきタイミング
  9. ❓ よくある質問
  10. 📝 まとめ

🔬 RSウイルス感染症とは

このセクションでは、RSウイルスの基本的な特徴と感染メカニズム、流行時期について詳しく解説します。

RSウイルス感染症は、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus:呼吸器合胞体ウイルス)によって引き起こされる呼吸器感染症です。このウイルスは世界中に存在しており、日本では主に秋から冬にかけて流行します。近年では流行時期が早まる傾向にあり、夏から流行が始まることもあります。

🦠 RSウイルスの基本的な特徴

RSウイルスは非常に感染力が強く飛沫感染と接触感染の両方で広がります。くしゃみや咳によって空気中に放出されたウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ったりすることで感染します。潜伏期間は2〜8日で、平均して4〜6日程度です。

ウイルスは感染者の鼻水や痰などの分泌物に多く含まれており、おもちゃやドアノブ、テーブルなどの表面でも数時間から数日間生存することができます。そのため、保育園や幼稚園などの集団生活の場では、感染が広がりやすくなっています。

📊 感染のピークと流行時期

日本では従来、9月頃から流行が始まり、12月から1月にピークを迎えることが多くみられました。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行以降、RSウイルスの流行パターンに変化がみられています。2021年以降は、夏場から流行が始まるケースも報告されており、年間を通じて注意が必要となっています。

特に保育園や幼稚園に通っているお子さまがいるご家庭では、流行情報に注意を払い、早めの予防対策を心がけることが大切です。

👶 RSウイルスに赤ちゃんが感染しやすい理由

このセクションでは、赤ちゃんがRSウイルスに感染しやすく重症化しやすい理由について医学的観点から説明します。

赤ちゃん、特に生後6か月未満の乳児は、RSウイルスに感染しやすく、重症化するリスクが高いとされています。その理由には、免疫系の未熟さと気道の解剖学的な特徴が関係しています。

🔸 免疫系が未発達であること

赤ちゃんは生まれたとき、母親から受け継いだ抗体(移行抗体)によってある程度の病気から守られています。しかし、RSウイルスに対する移行抗体は十分な防御力を持たないことが多く、生後数か月で減少してしまいます。また、赤ちゃん自身の免疫系はまだ発達途上にあるため、ウイルスと効果的に戦う能力が限られています。

さらに、RSウイルスに一度感染しても終生免疫が得られないため、生涯にわたって繰り返し感染する可能性があります。ただし、再感染のたびに症状は軽くなる傾向があり、成人ではほとんどの場合、風邪程度の軽い症状で済みます。

🫁 気道が狭いこと

赤ちゃんの気道は大人に比べて非常に狭く、細い構造をしています。RSウイルスに感染すると、気道の粘膜が腫れたり、分泌物が増えたりします。大人であれば多少の腫れがあっても問題なく呼吸できますが、もともと気道が狭い赤ちゃんでは、わずかな腫れでも気道が塞がれやすく、呼吸困難に陥るリスクが高まります。

特に細気管支(肺に近い細い気管支)に炎症が起こる細気管支炎を発症すると、呼吸がゼーゼー、ヒューヒューと音を立てるようになり、重症化すると入院治療が必要になることもあります。

⚠️ 重症化しやすいハイリスク児

以下のような条件に該当する赤ちゃんは、RSウイルス感染症が重症化しやすいとされています。

📌 早産児(在胎週数36週未満で生まれた赤ちゃん)は、肺の発達が十分でない場合があり、呼吸器感染症に対する抵抗力が弱くなっています。
📌 生後6か月未満の乳児は、免疫系が特に未熟であるため、重症化リスクが高くなります。
📌 先天性心疾患を持つ赤ちゃんは、心臓に負担がかかりやすく、呼吸困難に陥ると全身状態が急速に悪化することがあります。
📌 慢性肺疾患(気管支肺異形成症など)を持つ赤ちゃんは、もともと肺機能が低下しているため、感染によってさらに悪化しやすくなります。
📌 免疫不全状態にある赤ちゃんは、ウイルスを排除する能力が低いため、症状が長引いたり重症化したりするリスクがあります。
📌 ダウン症候群の赤ちゃんは、気道の構造や免疫機能の特徴から、RSウイルス感染症が重症化しやすいことが知られています。


⚠️ 重症化しやすいハイリスク児


💡 赤ちゃんのRSウイルス感染症の主な症状

このセクションでは、RSウイルス感染症の初期症状から重症化した場合まで、段階別の症状を詳しく解説します。

RSウイルス感染症の症状は、感染した赤ちゃんの月齢や全身状態によって大きく異なります。軽症の場合は風邪と区別がつかないこともありますが、重症化すると入院が必要になることもあります。

🔸 初期症状(感染から数日間)

RSウイルスに感染してから2〜8日の潜伏期間を経て、最初に現れる症状は一般的な風邪とよく似ています。

鼻水や鼻づまりが最も早く現れる症状のひとつで、透明から白っぽい鼻水が出ることが多く、次第に黄色や緑色に変化することもあります。赤ちゃんは鼻で呼吸することが多いため、鼻づまりによって哺乳が困難になることがあります。
軽い咳も初期から現れることがあり、最初は乾いた咳ですが、次第に痰が絡んだような湿った咳に変わっていきます。
発熱は38度前後の微熱から39度以上の高熱まで様々で、発熱がみられない場合もあります。特に生後1か月未満の新生児では、熱が出にくいことがあるため、発熱がないからといって安心はできません。

くしゃみも初期症状として多くみられます。また、食欲の低下や機嫌が悪くなるなど、全身的な不調のサインが現れることもあります。

🔺 進行した場合の症状

感染から3〜5日程度経過すると、症状が下気道(気管支や肺)にまで広がることがあります。この段階になると、より深刻な症状が現れる可能性があります。

咳の悪化がみられ、咳がひどくなり、発作的に続くことがあります。咳き込んで嘔吐してしまうこともあります。
呼吸時の異常音として、呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)が聞こえるようになります。これは気道が狭くなっているサインです。
呼吸が速くなる症状もみられ、通常、赤ちゃんの呼吸数は1分間に30〜40回程度ですが、RSウイルス感染症が進行すると1分間に50〜60回以上と速くなることがあります。
哺乳量の減少も重要な症状で、鼻づまりや呼吸困難により、母乳やミルクを十分に飲めなくなります。1回の哺乳量が普段の半分以下になったり、哺乳を嫌がったりする場合は注意が必要です。

📈 症状の経過と回復

多くの場合、RSウイルス感染症の症状は1〜2週間程度で改善に向かいます。発熱は通常3〜4日で下がり、鼻水や咳は1〜2週間続くことがあります。ただし、咳は3〜4週間程度残ることもあり、完全に治まるまでに時間がかかることがあります。

軽症の場合は自宅でのケアで回復しますが、症状が重い場合や改善がみられない場合は、医療機関での治療が必要になることがあります。

🚨 重症化のサインと注意すべき症状

このセクションでは、命に関わる可能性のある重症化のサインについて詳しく説明します。早期発見が赤ちゃんの命を救うこともあります。

RSウイルス感染症は、特に赤ちゃんでは急速に重症化することがあります。早期に重症化のサインを見つけて適切な対応をとることが、お子さまの健康を守るために非常に重要です。

🚨 緊急度高!以下の症状は即座に救急受診が必要です

⚠️ 唇や顔色が青白い・紫がかっている
⚠️ 呼吸が一時的に止まる
⚠️ 意識がぼんやりしている
⚠️ ぐったりして動かない

🫁 呼吸に関する危険なサイン

呼吸困難は最も注意すべき重症化のサインです。以下のような症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

🔸 陥没呼吸は、息を吸うときに肋骨の間や胸骨の下、鎖骨の上がへこむ状態です。通常の呼吸では見られないこのような動きは、呼吸するために普段以上の力を使っている証拠であり、気道が狭くなっていることを示しています。
🔸 鼻翼呼吸は、息を吸うときに鼻の穴が大きく広がる呼吸のことです。これも呼吸が苦しいときに見られるサインで、特に赤ちゃんでは注意が必要です。
🔸 多呼吸は、1分間の呼吸回数が60回以上になる状態です。赤ちゃんの胸やお腹の動きを1分間数えてみてください。普段よりも明らかに速い場合は要注意です。

呻吟は、息を吐くときにうなるような音が出る状態です。肺が十分に膨らまない状態を示しており、重症のサインです。無呼吸発作は、呼吸が一時的に止まる状態で、特に早産児や生後2か月未満の赤ちゃんで起こりやすく、非常に危険です。

💙 チアノーゼ(皮膚の色の変化)

酸素が十分に体に行き渡らなくなると、唇や爪、顔色が青白くなったり紫がかったりします。これをチアノーゼといい、非常に危険な状態です。このような症状がみられた場合は、ただちに救急車を呼ぶか、救急医療機関を受診してください。

🍼 哺乳・食事に関する危険なサイン

哺乳量が普段の半分以下になる状態は注意が必要です。母乳やミルクを飲む量が著しく減少した場合、脱水症状を起こすリスクがあります。哺乳中に呼吸が苦しそうで休み休み飲む場合も同様です。呼吸困難のために哺乳に集中できなくなっています。

おしっこの回数や量が減少した場合は、脱水症状のサインです。おむつが6〜8時間以上濡れていない場合は、すぐに医療機関を受診してください。

😷 全身状態に関する危険なサイン

ぐったりして元気がない状態は、いつもと比べて明らかに活気がなく、反応が鈍い場合は要注意です。あやしても笑わない、視線が合わないなどの症状がみられることがあります。

高熱が続く場合、特に3日以上38.5度以上の発熱が続く場合は、細菌性の合併症(中耳炎、肺炎など)の可能性も考えられます。機嫌が悪く、泣き止まない状態も注意が必要で、普段とは違う様子で激しく泣いたり、なだめても泣き止まなかったりする場合は、何らかの不調のサインかもしれません。

⚠️ 合併症について

RSウイルス感染症が重症化すると、いくつかの合併症を引き起こすことがあります。

📌 細気管支炎は、細い気管支に炎症が起こる病気で、RSウイルス感染症の最も一般的な合併症です。ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴と呼吸困難が特徴です。
📌 肺炎は、感染が肺にまで広がると発症します。高熱、激しい咳、呼吸困難などの症状が現れます。
📌 中耳炎は、RSウイルス感染に続いて細菌感染が起こることで発症することがあります。耳を痛がったり、耳を触ったりする様子がみられることがあります。

また、RSウイルス感染症にかかった赤ちゃんは、その後喘息を発症するリスクが高まるという研究報告もあります。

🔍 RSウイルス感染症の診断方法

このセクションでは、医療機関でどのようにRSウイルス感染症を診断するのか、検査方法について詳しく解説します。

RSウイルス感染症の診断は、主に症状の観察と迅速診断キットを用いた検査によって行われます。

🔍 問診と身体診察

医師はまず、症状の経過や家庭環境(保育園に通っているか、家族に風邪症状の人がいるかなど)について詳しく聞き取りを行います。続いて、聴診器で胸の音を聞き、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)の有無や肺の状態を確認します。

呼吸の状態(呼吸数、陥没呼吸の有無など)、皮膚の色、全身状態なども重要な診察項目です。これらの情報をもとに、RSウイルス感染症の可能性を判断し、必要に応じて検査を行います。

🧪 迅速診断キットによる検査

RSウイルス感染症の確定診断には、迅速診断キットが広く使用されています。この検査では、鼻の奥から専用の綿棒で粘液を採取し、ウイルスの有無を調べます。結果は15〜30分程度で判明します。

ただし、この検査は1歳未満の乳児と入院を要する患者さんに対しては保険適用となりますが、1歳以上の外来患者さんでは保険適用外となる場合があります。そのため、症状や年齢によっては、臨床症状のみで診断が行われることもあります。

📋 その他の検査

重症化が疑われる場合や入院が必要な場合には、追加の検査が行われることがあります。

胸部X線検査は、肺炎の有無や肺の状態を確認するために行われます。
パルスオキシメトリーは、指先に小さなセンサーをつけて、血液中の酸素濃度を測定します。酸素濃度が低下している場合は、酸素投与が必要になることがあります。
血液検査は、炎症の程度や脱水の有無、他の感染症との鑑別のために行われることがあります。

💊 治療法と家庭でのケア

このセクションでは、RSウイルス感染症の治療方法と、ご家庭でできる効果的なケア方法について詳しく説明します。

RSウイルス感染症に対する特効薬(抗ウイルス薬)は現在のところありません。そのため、治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。

🏥 医療機関での治療

軽症の場合は、解熱剤や鼻水を吸引する処置など、症状に応じた治療が行われます。必要に応じて、気管支拡張薬の吸入が行われることもあります。

中等症から重症の場合は、入院治療が必要になることがあります。入院時には、酸素投与(血中酸素濃度が低下している場合)、点滴による水分補給(脱水予防や哺乳困難な場合)、鼻腔吸引(鼻水や痰の除去)、気管支拡張薬や去痰薬の投与などが行われます。非常に重症の場合は、人工呼吸器による呼吸管理が必要になることもあります。

🏠 家庭でのケアのポイント

軽症の場合は、自宅でのケアで回復することができます。以下のポイントを参考に、お子さまをケアしてください。

💡 ポイント:効果的なホームケア方法

💧 十分な水分補給が重要です。発熱や呼吸が速くなることで、普段以上に水分が失われます。
🤧 鼻水の吸引も効果的です。市販の鼻吸い器を使って鼻水を吸引してあげましょう。
🌡️ 適切な室温と湿度の管理も大切です。部屋の温度は20〜22度、湿度は50〜60%程度に保ちましょう。

十分な水分補給が重要です。発熱や呼吸が速くなることで、普段以上に水分が失われます。母乳やミルク、月齢に応じた水分をこまめに与えてください。一度にたくさん飲めない場合は、少量ずつ頻繁に与えるようにしましょう。

鼻水の吸引も効果的です。赤ちゃんは自分で鼻をかむことができないため、市販の鼻吸い器を使って鼻水を吸引してあげましょう。特に哺乳前や就寝前に行うと、呼吸が楽になり、ミルクを飲みやすくなったり、眠りやすくなったりします。

適切な室温と湿度の管理も大切です。部屋の温度は20〜22度、湿度は50〜60%程度に保つことで、気道の乾燥を防ぎ、症状の悪化を予防できます。加湿器を使用する場合は、清潔に保つことが重要です。

安静と十分な休息をとらせましょう。体力を回復するために、十分な睡眠と休息が必要です。無理に遊ばせたりせず、ゆっくり休ませてあげてください。

楽な姿勢で寝かせることも重要です。咳が出やすい場合は、上体を少し高くして寝かせると楽になることがあります。バスタオルなどを使って、緩やかな傾斜をつけてあげましょう。ただし、窒息の危険があるため、柔らかい枕やクッションは使用しないでください。

💊 解熱剤の使用について

発熱は体がウイルスと戦っている証拠であり、必ずしも解熱剤で下げる必要はありません。しかし、高熱で機嫌が悪い場合や、食欲が著しく低下している場合は、医師の指示のもとで解熱剤を使用することがあります。

赤ちゃんに使用できる解熱剤は、アセトアミノフェン(カロナールなど)が一般的です。アスピリンは、ライ症候群という重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、小児には使用しません。解熱剤の使用については、必ず医師や薬剤師に相談してください。

風邪症状や発熱時の対処法については、こちらの記事「冬の頭痛の原因とは?寒い季節に起こりやすい頭痛の種類と対処法を解説」でも詳しく解説しています。

🛡️ RSウイルス感染症の予防法

このセクションでは、RSウイルス感染症を予防するための具体的な対策について詳しく解説します。

RSウイルス感染症を完全に予防することは難しいですが、感染リスクを下げるための対策を講じることは可能です。

🧼 日常的な予防対策

手洗いの徹底が最も基本的で効果的な予防法です。外出後、食事前、おむつ交換後、鼻水を拭いた後などには、必ず石けんを使って手を洗いましょう。赤ちゃんの手も、こまめに拭いてあげてください。アルコール消毒も有効です。

感染者との接触を避けることも重要です。風邪症状のある人との接触は、できるだけ避けましょう。家族に風邪症状がある場合は、赤ちゃんとの接触を最小限にし、マスクを着用するなどの対策をとってください。

人混みを避けることも予防につながります。流行期には、ショッピングモールや人が多く集まる場所への外出は控えめにしましょう。特にハイリスク児(早産児、心疾患のある赤ちゃんなど)は注意が必要です。

環境の清潔を保つことも大切です。おもちゃやドアノブ、テーブルなど、よく触れる場所は定期的に清掃・消毒しましょう。RSウイルスはアルコールや塩素系消毒剤で不活化できます。

受動喫煙を避けることも予防につながります。タバコの煙は気道を刺激し、感染症にかかりやすくなるだけでなく、重症化のリスクも高めます。赤ちゃんの周囲では絶対に喫煙しないでください。

感染対策については、こちらの記事「初詣の人混みでの感染対策|安心して新年を迎えるための予防法を解説」でも詳しく解説しています。

💉 ハイリスク児への予防薬(シナジス)

重症化リスクの高い赤ちゃんに対しては、パリビズマブ(商品名:シナジス)という抗体製剤が使用されることがあります。これはRSウイルスに対する抗体を含む注射薬で、感染を予防したり、感染しても重症化を防いだりする効果があります。

シナジスの投与対象となるのは、

📌 早産児(在胎週数28週以下で生まれ、12か月齢以下の赤ちゃん)
📌 早産児(在胎週数29〜35週で生まれ、6か月齢以下の赤ちゃん)
📌 慢性肺疾患(気管支肺異形成症など)を持つ24か月齢以下の赤ちゃん
📌 先天性心疾患を持つ24か月齢以下の赤ちゃん
📌 免疫不全を持つ24か月齢以下の赤ちゃん
📌 ダウン症候群を持つ24か月齢以下の赤ちゃんなどです。

シナジスは流行期の間、毎月1回の筋肉注射で投与されます。投与が必要かどうかは、主治医と相談して決定します。

💉 母親へのワクチン接種

2023年以降、妊婦さんに接種するRSウイルスワクチンが一部の国で承認されました。妊娠中の母親がワクチンを接種することで、生まれてくる赤ちゃんに抗体が移行し、生後数か月間は重症化から守られることが期待されています。日本でも今後、導入が検討される可能性があります。

🏥 病院を受診すべきタイミング

このセクションでは、どのような症状の時に病院を受診すべきか、具体的な判断基準について解説します。

RSウイルス感染症が疑われる場合、どのようなタイミングで病院を受診すべきか、判断に迷うことがあるかもしれません。以下を参考に、適切なタイミングで医療機関を受診してください。

⏰ できるだけ早く受診すべき場合

生後3か月未満の赤ちゃんが発熱した場合は、すぐに受診してください。この月齢の赤ちゃんは重症化しやすく、細菌感染症などの可能性も考慮する必要があります。38度以上の発熱が3日以上続く場合も受診が必要です。合併症(中耳炎、肺炎など)を起こしている可能性があります。

咳がひどくなってきた場合や、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が聞こえる場合も受診しましょう。細気管支炎や肺炎に進行している可能性があります。
哺乳量が普段の半分以下になった場合は、脱水症状のリスクがあるため、早めに受診してください。
元気がなく、ぐったりしている場合も受診が必要です。普段と明らかに様子が違う場合は、状態が悪化しているサインかもしれません。
症状が改善せず、悪化している場合も受診してください。数日経っても良くならない、または悪くなっている場合は、治療が必要な可能性があります。

🚨 すぐに救急受診すべき場合

以下のような症状がみられた場合は、夜間や休日であってもすぐに救急医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。

🚨 緊急度高!即座に救急受診が必要

🆘 呼吸が非常に苦しそうな場合(陥没呼吸、鼻翼呼吸、呻吟など)
🆘 唇や顔色が青白い・紫がかっている場合(チアノーゼ)
🆘 呼吸が一時的に止まる場合(無呼吸発作)
🆘 意識がぼんやりしている・反応が鈍い場合
🆘 ぐったりして動かない場合
🆘 けいれんを起こした場合は、ただちに受診してください。

📝 受診時に伝えるべきこと

医療機関を受診する際には、以下の情報を伝えると、診断や治療がスムーズに進みます。

症状が始まった時期と経過
現在の症状(発熱の程度、咳の状態、呼吸の様子など)
哺乳量や食事量の変化
おしっこの回数や量
保育園などでの流行状況
家族の体調
既往歴や持病(早産だったか、心疾患があるかなど)
✅ 使用中の薬があれば、その情報も伝えてください。

小児の救急受診については、こちらの記事「小児救急#8000の対応時間は?夜間・休日の子どもの急な症状への対処法」でも詳しく解説しています。

📝 受診時に伝えるべきこと

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

当院でも秋から冬にかけてRSウイルス感染症の相談が増加する傾向にあります。特に保育園に通われているお子さまの保護者の方から、「咳がひどくて心配」「呼吸が苦しそう」といったご相談を多くいただきます。早期受診により適切な診断と治療指導を行うことで、重症化を防げるケースも多いため、心配な症状があれば遠慮なく受診していただきたいと思います。

❓ よくある質問

RSウイルス感染症は何日くらいで治りますか?

RSウイルス感染症の症状は、通常1〜2週間程度で改善に向かいます。発熱は3〜4日で下がることが多く、鼻水や咳は1〜2週間続くことがあります。咳は完全に治まるまで3〜4週間かかることもあります。ただし、重症化した場合や合併症を起こした場合は、回復までにより長い時間がかかることがあります。

RSウイルスに感染したら保育園は何日休むべきですか?

RSウイルス感染症は、インフルエンザのように法律で出席停止期間が定められている病気ではありません。一般的には、発熱がなく、機嫌がよく、普段通り食事がとれるようになれば登園可能と考えられますが、保育園によって対応が異なる場合があります。咳や鼻水が残っていても、全身状態が良ければ登園できることが多いですが、必ず保育園の方針を確認してください。

RSウイルスと風邪の違いは何ですか?

RSウイルス感染症も風邪の一種ですが、特に赤ちゃんや乳幼児では、一般的な風邪よりも重症化しやすいのが特徴です。通常の風邪は鼻や喉など上気道の症状が中心ですが、RSウイルス感染症は気管支や肺など下気道にまで炎症が広がりやすく、細気管支炎や肺炎を起こすことがあります。ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が特徴的です。

大人もRSウイルスに感染しますか?

はい、大人もRSウイルスに感染します。ただし、大人は免疫があるため、ほとんどの場合は軽い風邪程度の症状で済みます。しかし、高齢者や慢性的な心臓・肺の病気を持っている方、免疫が低下している方は、重症化することがあります。また、症状が軽くてもウイルスは排出されるため、赤ちゃんへの感染源になる可能性があることに注意が必要です。

RSウイルスの予防接種はありますか?

現在、日本では一般の赤ちゃん向けのRSウイルスワクチンは実用化されていません。ただし、重症化リスクの高い赤ちゃん(早産児、先天性心疾患児など)に対しては、パリビズマブ(シナジス)という抗体製剤を流行期に毎月注射することで、重症化を予防する方法があります。また、妊婦さん向けのワクチンが海外で承認されており、日本でも今後導入される可能性があります。

📝 まとめ

RSウイルス感染症は、赤ちゃんや乳幼児に多くみられる呼吸器感染症です。ほとんどの場合は軽症で済みますが、特に生後6か月未満の赤ちゃんや、早産児、先天性心疾患のある赤ちゃんでは重症化するリスクがあります。

初期症状は鼻水、咳、発熱など風邪と似ていますが、進行すると呼吸困難やゼーゼーという喘鳴が現れることがあります。陥没呼吸やチアノーゼなどの重症化のサインを見逃さず、異常を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。

RSウイルス感染症には特効薬がないため、治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。家庭では、十分な水分補給、鼻水の吸引、適切な室温・湿度の管理、安静などのケアを行いましょう。

予防には、手洗いの徹底、感染者との接触を避けること、人混みを避けることなどが有効です。お子さまの健康を守るために、流行情報にも注意を払いながら、適切な予防対策を心がけてください。


📚 参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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