「胸が締め付けられるような感じがする」「胸に重苦しさを感じる」「息が詰まるような圧迫感がある」——このような胸の不快な症状を経験したことはないでしょうか。実は、こうした胸の圧迫感の背景には、ストレスが深く関係していることがあります。現代社会では、仕事のプレッシャーや人間関係のトラブル、環境の変化など、さまざまなストレス要因に囲まれて生活しています。そのストレスが蓄積されると、自律神経のバランスが崩れ、心臓の拍動や呼吸、血管の収縮などに影響を及ぼし、結果として胸の圧迫感や違和感として身体に症状が現れることがあるのです。本記事では、ストレスと胸の圧迫感の関係について医学的な観点から詳しく解説するとともに、ストレス以外に考えられる原因や、病気との見分け方、そして日常生活で実践できる対処法まで、幅広くお伝えしていきます。胸の圧迫感でお悩みの方が、正しい知識を身につけ、適切な対応を取るための一助となれば幸いです。

📋 目次
- 📍 胸の圧迫感とはどのような症状か
- 🔍 ストレスが胸の圧迫感を引き起こすメカニズム
- 📊 ストレスによる胸の圧迫感の特徴
- 🚨 胸の圧迫感を引き起こすストレス以外の原因
- 💡 ストレス性の胸の圧迫感と病気の見分け方
- ⚠️ すぐに医療機関を受診すべき症状
- 💊 ストレスによる胸の圧迫感の対処法
- ✨ 日常生活で実践できるセルフケア
- 🏥 医療機関での治療について
- 🎯 胸の圧迫感を予防するために
- ❓ よくある質問
- 📝 まとめ
この記事のポイント
ストレスによる胸の圧迫感は自律神経の乱れ・筋肉緊張・過呼吸が原因。安静時に出やすく長時間続く傾向があるが、冷や汗を伴う激しい痛みや30分以上続く症状は心臓病の可能性があり即受診が必要。深呼吸・十分な睡眠・適度な運動などのセルフケアが有効で、改善しない場合は内科や心療内科への相談を推奨。
📍 胸の圧迫感とはどのような症状か
胸の圧迫感とは、胸のあたりに重苦しさを感じたり、締め付けられるような感覚を覚えたり、息が詰まるような不快感を経験したりする症状のことを指します。この症状は痛みとは少し異なり、胸に何か重いものが乗っているような感じや、ギュッと締め付けられているような感覚が特徴的です。
胸の圧迫感の感じ方は人によってさまざまで、以下のような表現で訴えられることが多くあります。
📌 胸が重い
📌 胸がモヤモヤする
📌 胸がキューッと締め付けられる
📌 胸が詰まった感じがする
📌 息苦しい
📌 胸がザワザワする
📌 胸のあたりに違和感がある
これらの症状は一箇所に集中して感じられることもあれば、場所が移動したり、広範囲に感じられたりすることもあります。
この症状の背景には、心臓、肺、消化器、筋肉、そしてストレスなど、さまざまな原因が考えられます。中には命に関わる病気が隠れていることもあるため、症状を放置せず、適切な対応を取ることが大切です。
Q. ストレスが胸の圧迫感を引き起こすメカニズムは?
ストレスを感じると脳が感知し、交感神経が過剰に働き続けることで心拍数や血圧が高い状態が維持されます。また筋肉の無意識な緊張や、不安による浅く速い呼吸(過呼吸)が加わり、これら三つの要因が複合的に作用して胸の圧迫感として症状が現れます。
🔍 ストレスが胸の圧迫感を引き起こすメカニズム
ストレスが原因で心臓に違和感を感じるとき、その仕組みには必ず自律神経が関係しています。自律神経は体温や代謝、心臓を含めたさまざまな臓器の動きをコントロールする働きがあり、交感神経と副交感神経によって、活発な状態とリラックスしている状態のバランスを保っています。
🦠 自律神経の乱れと胸の圧迫感
私たちがストレスにさらされると、脳がそれを感知し、体の状態を一定に保とうとするホメオスタシス機能が働きます。この機能は自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系の3つのシステムで支えられています。しかし、ストレスが強すぎたり、長期間続いたりすると、この機能を維持することが難しくなり、さまざまな不調を引き起こします。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらがスイッチングしながらバランスを取っています。交感神経はいわゆる「活動モード」で、心拍数や血圧を上げて筋肉への血液の供給量を増やし、血管を収縮させます。副交感神経はいわゆる「休息モード」で、食事中や睡眠中に優位になり、心拍数や血圧を下げて血管を拡張させます。
強いストレスを感じると、交感神経が過剰に働きすぎている状態が続き、心拍数や脈拍が高めの状態が維持されてしまいます。通常であれば副交感神経が働き、正常値に段々と戻っていくはずですが、交感神経が優位になり続けると、徐々に心臓にも負担が増えてしまいます。その負担の蓄積が違和感や痛みにつながり、症状として現れるのです。
💪 筋肉の緊張による影響
精神的なストレスは、無意識のうちに身体の筋肉を緊張させます。特に胸やお腹周りの筋肉が持続的に緊張することで、胸部に圧迫感や重苦しさを感じることがあります。デスクワークで猫背が続くと、胸郭が圧迫されて呼吸が浅くなり、これも胸の苦しさにつながることがあります。
💨 呼吸パターンの変化
強いストレスや不安を感じると、呼吸が浅く速くなる傾向があります。これは過呼吸や過換気症候群の一症状としても見られる現象です。過呼吸状態になると、体内の二酸化炭素濃度が低下し、めまいや手足のしびれとともに、胸の圧迫感や息苦しさを感じることがあります。血液中の二酸化炭素濃度が低下すると、血管が収縮し、さらに胸の不快感が増すという悪循環に陥ることもあります。
過呼吸によるこれらの症状については「過呼吸になりそうな感覚の原因と対処法|過換気症候群の症状・予防・治療を医師が解説」で詳しく解説しています。

📊 ストレスによる胸の圧迫感の特徴
ストレスが原因で起こる胸の圧迫感には、いくつかの特徴的なパターンがあります。これらを知っておくことで、自分の症状がストレス性のものかどうかを判断する手がかりになります。
⏰ 症状が出やすいタイミング
ストレス性の胸の圧迫感は、以下のようなタイミングで出現しやすい傾向があります。
📌 仕事のプレッシャーを強く感じているとき
📌 人間関係のトラブルを抱えているとき
📌 試験や発表の前など緊張が強いとき
📌 睡眠不足や過労が続いているとき
興味深いことに、リラックスしようとした瞬間に症状が現れることもあります。これは、緊張状態から解放される際に自律神経のバランスが一時的に変化するためと考えられています。安静時に症状が出やすいという点も、ストレス性の胸の圧迫感の特徴の一つです。
⚡ 痛みの特徴
ストレスによる胸の違和感や痛みには、いくつかの特徴的なパターンがあります。痛み方の特徴としては、ズキズキ、チクチクといった感じが多く、長時間持続することがあるのも特徴的です。中には症状が1日継続する方もいます。また、動悸や息切れ、めまいなどを伴うこともあります。
🔸 その他の随伴症状
ストレス性の胸の圧迫感では、以下のような症状を同時に経験することがあります。
📌 動悸やドキドキ感
📌 息苦しさ
📌 めまいやふらつき
📌 手足のしびれ
📌 発汗
📌 不安感やイライラ
📌 不眠
📌 疲労感
これらの症状が複合的に現れることも少なくありません。さらに、ストレス性の心臓の違和感は強い不安感や不眠など、精神的な症状を伴うこともあります。
Q. ストレス性の胸の圧迫感はどんな特徴がある?
ストレス性の胸の圧迫感は、安静時や緊張から解放された瞬間に出やすい点が特徴です。チクチク・ズキズキとした痛みが数時間から1日以上続くことがあり、動悸・めまい・手足のしびれ・不安感・不眠などの症状を伴うことも多く、検査では器質的な異常が見つからないケースが一般的です。
🚨 胸の圧迫感を引き起こすストレス以外の原因
胸の圧迫感はストレスだけが原因とは限りません。中には緊急性の高い病気が隠れている可能性もあるため、自己判断は禁物です。代表的な原因をいくつかご紹介します。
❤️ 心臓に関連する疾患
狭心症は、心臓の血管である冠動脈が狭くなり、心筋への血流が悪くなることで起こります。運動時や興奮時に胸が締め付けられるような圧迫感や痛みが生じ、数分から15分程度で治まることが多いです。動脈硬化が原因となることが多く、生活習慣病である高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満などのある方は発症リスクが高くなります。
心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まり、心筋が壊死してしまう病気です。突然の激しい胸痛や圧迫感が30分以上続き、冷や汗、吐き気、呼吸困難などを伴うことがあります。命に関わる緊急事態であるため、このような症状が見られた場合はすぐに救急車を呼ぶ必要があります。
不整脈では、心臓のリズムが乱れることで動悸や胸の違和感を感じることがあります。心臓弁膜症や心不全も、胸の圧迫感の原因となることがあります。
🫁 呼吸器に関連する疾患
肺炎や気胸、肺塞栓症などが原因で、胸の痛みや圧迫感が出ることがあります。呼吸に合わせて症状が悪化する場合や、急な息切れがある場合は注意が必要です。
気管支喘息では、気道が狭くなることで息苦しさやゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴とともに、胸の圧迫感が現れます。
🍽️ 消化器に関連する疾患
逆流性食道炎では、胃酸が食道に逆流することで、胸の奥が焼けるような感じや圧迫感が出ます。食後や横になるときに悪化することが多く、「胸の違和感があるけど心臓ではなかった」ということもよくあります。
💪 筋骨格系の問題
胸の筋肉や神経に炎症や緊張があると、動作や呼吸で症状が強くなることがあります。特定の姿勢や動作で痛みが変化するのが特徴です。肋間神経痛なども胸の圧迫感や痛みの原因となることがあります。
🧠 精神的な疾患
パニック障害では、突然、動悸や息苦しさ、胸の痛み、締め付け感など、強い身体症状が現れます。「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖を伴うことがあります。
自律神経失調症では、ストレスや不規則な生活などにより自律神経のバランスが崩れ、動悸、息苦しさ、胸の圧迫感、めまい、頭痛など、さまざまな身体症状が現れます。
適応障害は、仕事や人間関係など特定のストレス因子によって引き起こされ、不安や気分の落ち込みだけでなく、身体症状として胸の苦しさや息苦しさを感じることがあります。
うつ病でも、気分の落ち込みや意欲の低下に加え、身体症状として胸の圧迫感や息苦しさを感じることがあります。
将来に対する不安やストレスが原因で胸の苦しさを感じている方は「将来が不安で仕方ない方へ|不安の原因と心が軽くなる7つの対処法を医学的に解説」も参考にしてください。
💡 ストレス性の胸の圧迫感と病気の見分け方
ストレスによる胸の圧迫感と、他の病気による胸の症状を見分けるのは非常に難しいですが、いくつかのポイントがあります。
🔸 ストレス性の圧迫感の傾向
ストレス性の胸の圧迫感には以下のような傾向が見られます。
✅ 安静時に出やすい
✅ 精神的なストレスや緊張と関連している
✅ 症状の持続時間が長い(数時間から1日以上続くこともある)
✅ チクチク、ズキズキとした痛みの感じ方
✅ 動悸や不安感を伴いやすい
✅ 検査をしても器質的な異常が見つからない
これらの特徴が当てはまる場合は、ストレス性の可能性が高いと考えられます。
⚠️ 他の病気を疑うべきケース
一方で、以下のような場合は心臓や肺などの病気の可能性を考える必要があります。
🚨 運動時や労作時に症状が出現する
🚨 症状が数分から15分程度で治まる(狭心症の可能性)
🚨 冷や汗や脂汗を伴う
🚨 30分以上続く強い痛み(心筋梗塞の可能性)
🚨 発熱や咳を伴う
🚨 呼吸に合わせて症状が変化する
これらの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
⚠️ 注意!
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、自己判断は非常に危険です。特にこれまで経験したことのない強い胸の圧迫感がある場合は、迷わず医療機関を受診してください。
⚠️ すぐに医療機関を受診すべき症状
胸の圧迫感は「命に関わらないこと」もありますが、「命に関わる病気のサイン」であることもあります。以下のような症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けるか、救急対応を検討しましょう。
🚨 緊急度高!
🆘 これまで経験したことのない強い胸痛
🆘 冷や汗や脂汗が出るほどの胸痛
🆘 動けないほどの胸痛
🆘 30分以上続く激しい胸の痛みや圧迫感
🆘 左腕や顎、背中に広がる痛み
🆘 意識がもうろうとする
🆘 呼吸困難が強い
このような症状が見られた場合は、すぐに救急車を呼んでください。
また、症状が軽くても繰り返し起こる場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
Q. 胸の圧迫感でどの科を受診すべきか?
胸の圧迫感がある場合はまず内科や循環器内科を受診し、心臓・肺などに器質的な問題がないかを確認することが重要です。心電図・胸部レントゲン・血液検査などで異常が見つからなかった場合は、心療内科や精神科への受診を検討し、ストレスや自律神経の乱れに対する適切な治療を受けることが推奨されます。
💊 ストレスによる胸の圧迫感の対処法
ストレスが原因で胸に圧迫感や違和感が生じてしまっている場合、いくつかの対処法があります。
🔸 症状が出たときの対処
まず、落ち着いて深呼吸をしましょう。不安や緊張が強くなると呼吸が浅くなり、心拍数が上がって苦しくなるため、意識して深い呼吸を心がけることが大切です。横隔膜を使った腹式呼吸で、ゆっくりと息を吐くことに集中してください。
リラックスできる環境に移動し、衣服を緩めて楽な姿勢をとりましょう。「この症状で命に関わることはない」ということを思い出し、不安を和らげることも重要です。
🔸 生活習慣の見直し
ストレス性の胸の圧迫感を根本的に改善していくためには、生活習慣の見直しがメインとなります。十分な睡眠をとること、バランスのとれた食事を心がけること、適度な運動を取り入れることが基本です。
また、ストレスの軽減やリフレッシュ方法を見つけることも大切です。趣味の時間を確保する、友人や家族と過ごす時間を大切にする、自然の中で過ごすなど、自分に合ったストレス発散法を見つけましょう。
✨ 日常生活で実践できるセルフケア
厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の中で、メンタルヘルスケアの一つとして「セルフケア」の重要性を示しています。ストレスに気づき、それに対処するための知識や方法を身につけ、実際に行動に移すことが、心身の健康を保つ上で大切です。
💨 腹式呼吸を実践する
呼吸のリズムと心身の状態は密接に関連しています。一般的に、ストレスがかかり緊張状態に陥ると、浅く速い呼吸になります。深くゆっくりと、腹部に注意を向けて呼吸をすることで、リラックスした状態を作り出すことができます。
💡 ポイント:腹式呼吸のやり方
📌 楽な姿勢で座るか横になります
📌 片手をお腹に置き、鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹が膨らむのを感じます
📌 次に、口からゆっくりと息を吐き出し、お腹がへこむのを感じます
📌 吐く時間を吸う時間より長くすることがポイントです
📌 これを5分から10分程度続けると効果的です
💪 漸進的筋弛緩法を試す
筋肉の緊張と脱力の仕組みを用いて、リラックス状態を作り出す方法です。緊張状態では身体に力が入ってしまいますが、意図的に力を入れてから緩めると、力が抜けやすくなります。
やり方として、まず肩を思いきり上げて5秒ほど力を入れ、その後一気に力を抜いて肩を落とします。この緊張と弛緩を繰り返すことで、筋肉の緊張がほぐれ、リラックスした状態になります。腕、手、足など、身体の各部位で同様に行うことができます。
🌟 3つのRを意識する
厚生労働省の「こころの耳」では、ストレス対処の基本として「3つのR」を紹介しています。
✨ 3つのR
🔸 レスト(Rest)は休息、休養、睡眠のことです。「疲れた」「眠い」というのは「休め」のサインです。
🔸 レクリエーション(Recreation)は運動、旅行のような趣味娯楽や気晴らしのことです。楽しいことや気持ちのいいことは穏やかな気持ちにつながります。
🔸 リラックス(Relax)はストレッチ、音楽などのリラクセーションのことです。
これらを意識的に日常生活に取り入れることで、ストレスとうまく付き合っていくことができます。
🏃♀️ 適度な運動を取り入れる
適度な運動はストレス解消に効果的です。ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガなど、自分が楽しんで続けられる運動を見つけましょう。運動は気分転換になるだけでなく、自律神経のバランスを整える効果もあります。
ただし、胸の症状があるときに無理な運動は禁物です。症状が出ているときは休息を優先し、体調が良いときに適度な運動を心がけましょう。
😴 良質な睡眠を確保する
睡眠は日中の疲労やストレスを回復させる重要な役割があります。特に、質の高い適度な時間の睡眠を目指すことが大切です。適切な睡眠時間は6時間から8時間とされていますが、個人差があります。熟睡感があり、日中眠くならない状態を目安にしましょう。
良質な睡眠のためには、寝る前のカフェインやアルコールを控える、寝室の環境を整える、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、規則正しい就寝時間を心がけるなどの工夫が有効です。
🗣️ 周囲に相談する
つらいときは一人で我慢せず、誰かに「つらいよ」と話すことも、立派なストレス解消法です。家族、友人、上司や同僚など周りの人に相談し、サポートを求めることも有効です。普段から気軽に相談できる相手や、信頼のおける人と良好な関係を築いておくよう心がけると良いでしょう。
Q. 胸の圧迫感を感じたときの緊急受診の目安は?
冷や汗を伴う激しい胸痛、30分以上続く強い圧迫感、左腕・顎・背中に広がる痛み、呼吸困難、意識のもうろうとする感覚がある場合は、心筋梗塞などの命に関わる疾患の可能性があるため、ためらわず救急車を呼ぶ必要があります。これまで経験したことのない強さの胸痛も即受診の目安です。
🏥 医療機関での治療について
セルフケアだけでは症状が改善しない場合や、症状が強い場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
🔸 受診すべき診療科
胸の圧迫感がある場合、まずは内科や循環器内科を受診し、心臓や肺などに器質的な問題がないかを確認することが大切です。検査の結果、器質的な異常が見つからなかった場合には、心療内科や精神科への受診を検討してみましょう。
🔍 行われる検査
胸の圧迫感の原因を調べるためには、まず問診と診察で症状の特徴を確認し、必要に応じて検査を行います。
📌 心電図検査では、心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や虚血性心疾患の有無を調べます。
📌 胸部レントゲン検査では、心臓の大きさや肺の状態を確認します。
📌 心臓超音波検査(心エコー)では、心臓の動きや弁の異常、心筋の厚みなどを確認します。
📌 血液検査では、心臓に負担がかかっているか、貧血、炎症、甲状腺機能などを確認します。
💊 治療法
器質的な病気がなく、ストレスが原因と考えられる場合には、以下のような治療が行われることがあります。
薬物療法として、必要に応じて不安を和らげる薬、気分の落ち込みを改善する薬、自律神経のバランスを整える薬などが処方されることがあります。漢方薬(柴胡加竜骨牡蛎湯など)が用いられることもあります。
精神療法として、胸の苦しみの原因となっている心理的な問題(ストレス、不安、過去のトラウマなど)に焦点を当て、感情の整理や問題解決をサポートします。認知行動療法では、不安や緊張に対する考え方や行動パターンを見直すことで、症状をコントロールする方法を学びます。呼吸法やリラクセーション法などを習得することで、症状の緩和を目指します。
生活指導として、規則正しい生活、十分な睡眠、ストレスの軽減が大切であることが説明されます。
🎯 胸の圧迫感を予防するために
ストレスによる胸の圧迫感を予防するためには、日頃からストレスをためすぎないことが大切です。
🔍 ストレスに気づく
まずはストレスがかかっている状況に気づくことが大切です。自分にとっての「危険信号」を把握しておきましょう。人によって違いますが、食欲低下、便秘や下痢が続く、眠れない、動悸、めまい、発疹、イライラ、人と会うのが億劫——このような症状が続いたら、身体が警告を発していると考えてください。
💡 ストレス性の症状を起こしやすい人の特徴
ストレスが原因で心臓に違和感を覚えやすい人には、いくつかの特徴があります。
📌 責任感が強い
📌 完璧主義
📌 人に頼るのが苦手
📌 気を使いすぎる
📌 ネガティブに考えやすい
これらに当てはまる場合は、意識的にストレス発散を心がけることが大切です。
🌈 考え方を柔軟にする
不安やイライラは、自分の考え方のクセ(自分を責めすぎる、悪い状況が続くと思い込むなど)が影響していることがあります。ネガティブな考え方を柔軟で合理的な考え方に変えるよう心がけることで、ストレスとうまく付き合っていくことができます。これは「ストレスコーピング」と呼ばれる対処法の一つです。
📊 定期的な健康チェック
胸の圧迫感が繰り返し起こる場合は、定期的に医療機関で健康チェックを受けることをお勧めします。ストレス性の症状だと思っていても、実際には器質的な問題が隠れていることもあります。「念のために診てもらう」という気持ちで受診することが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
当院では、胸の圧迫感を訴える患者さんの中で、ストレスが原因のケースが近年増加傾向にあります。特にコロナ禍以降、リモートワークの増加や生活様式の変化により、精神的なストレスを抱える方が多くなっているようです。大切なのは、まず器質的な問題がないかを確認し、その上でストレス管理や生活習慣の改善に取り組むことです。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

❓ よくある質問
はい、ストレスによって胸の圧迫感を感じることは実際にあります。強いストレスを受けると自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になることで心臓の拍動や血管の収縮に影響が出ます。また、筋肉の緊張や呼吸パターンの変化も胸の圧迫感の原因となります。ただし、胸の圧迫感はストレス以外の原因でも起こるため、症状が続く場合は医療機関を受診することをお勧めします。
まずは内科や循環器内科を受診し、心臓や肺などに器質的な問題がないかを確認することが大切です。検査の結果、異常が見つからなかった場合には、心療内科や精神科への受診を検討してみてください。症状の原因がストレスや精神的な要因である場合、精神療法や薬物療法などの適切な治療を受けることで改善が期待できます。
完全に見分けることは難しいですが、いくつかの傾向があります。ストレス性の場合は安静時に出やすく、症状が長時間続き、チクチク・ズキズキとした痛みが多いです。一方、狭心症は運動時や労作時に出現し数分から15分で治まることが多く、心筋梗塞は30分以上続く激しい痛みと冷や汗を伴います。ただし自己判断は危険なため、これまで経験したことのない強い症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。
ストレスが原因の場合、そのストレス要因が解消されれば症状も改善することが多いです。また、生活習慣の見直しやセルフケアの実践によって徐々に良くなっていくこともあります。ただし、症状が長期間続く場合や日常生活に支障が出ている場合は、医療機関を受診して適切な治療を受けることをお勧めします。一人で抱え込まず、必要に応じて専門家のサポートを受けましょう。
過換気症候群とパニック障害には息苦しさ、動悸、振戦、知覚異常など共通する症状が多くあります。過換気症候群は過呼吸により血液中の二酸化炭素濃度が低下することで様々な症状が出る状態です。パニック障害は強い不安感を主症状とする精神疾患で、過換気はその症状の一つとして現れることがあります。実際に両者の合併も多いとされており、治療方針も似ていますので病名にこだわりすぎる必要はありません。
まず落ち着いて深呼吸をしましょう。腹式呼吸で、ゆっくりと息を吐くことに集中してください。次に、リラックスできる環境に移動し、衣服を緩めて楽な姿勢をとります。ストレス性の症状であれば命に関わることはないので、不安を和らげることも重要です。ただし、30分以上続く激しい痛みや冷や汗を伴う場合、左腕や顎に広がる痛みがある場合はすぐに救急車を呼んでください。
📝 まとめ
胸の圧迫感は、ストレスによる自律神経の乱れ、筋肉の緊張、呼吸パターンの変化などが複合的に関係して起こることがあります。現代社会では多くの人がさまざまなストレスを抱えており、こうした症状を経験する方は少なくありません。
ストレス性の胸の圧迫感は、安静時に出やすい、精神的なストレスと関連している、症状が長時間続くなどの特徴があります。一方で、運動時に出現する症状、冷や汗を伴う強い痛み、30分以上続く激しい痛みなどは、心臓の病気のサインである可能性があるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。
ストレスによる胸の圧迫感の対処法としては、深呼吸でリラックスすること、生活習慣を見直すこと、十分な睡眠をとること、適度な運動を取り入れることなどが挙げられます。厚生労働省も推奨している「3つのR」——レスト(休息)、レクリエーション(気晴らし)、リラックス——を意識的に日常生活に取り入れることで、ストレスとうまく付き合っていくことができます。
セルフケアだけでは改善しない場合や、症状が強い場合は、医療機関を受診しましょう。まずは内科や循環器内科で器質的な問題がないかを確認し、異常がなければ心療内科や精神科での治療を検討してみてください。
胸の圧迫感でお悩みの方は、一人で抱え込まず、周囲の人に相談したり、専門家のサポートを受けたりすることをお勧めします。
参考文献
- 厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」
- 厚生労働省「こころの耳:ストレスに関してまとめたページ」
- 厚生労働省「こころの耳:自律神経失調症用語解説」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレスと食生活」
- 厚生労働省「こころの耳:eラーニングで学ぶ15分でわかるセルフケア」
- 厚生労働省「こころもメンテしよう:こころと体のセルフケア」
- 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「ストレスとは」
- 心臓血管研究所付属病院「ストレスが原因で生じる心臓の違和感の特徴とは?」
- 国立循環器病研究センター「不安定狭心症」
- 日本女性心身医学会「過換気症候群」
- 済生会「過換気症候群」
- 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS「虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)」
- 日本看護協会「個人での対応(セルフケア)」
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
