「自分がワキガかもしれない」と不安に感じている方は少なくありません。ワキガ(腋臭症)は、脇の下から独特のにおいが発生する状態ですが、自分自身のにおいは慣れてしまって気づきにくいという特徴があります。周囲の反応が気になったり、汗をかく季節になると不安が増したりする方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自分でワキガかどうかを確認できるセルフチェック方法を詳しく解説します。耳垢の状態や衣類の黄ばみ、家族歴など、医学的根拠に基づいた7つのチェックポイントを紹介するとともに、においが気になる場合の対処法や受診の目安についてもお伝えします。正しい知識を身につけて、適切な対策を取りましょう。

目次
- ワキガとは?においが発生するメカニズム
- ワキガのセルフチェック方法|7つのポイント
- ワキガになりやすい人の特徴
- ワキガと汗臭さの違い
- セルフチェックで当てはまった場合の対処法
- 自宅でできるワキガ対策
- 病院での診断と治療法
- ワキガ治療の種類と特徴
- ワキガに関するよくある誤解
- 当院での診療傾向【医師コメント】
- よくある質問
- まとめ
🔍 ワキガとは?においが発生するメカニズム
このセクションでは、ワキガの基本的なメカニズムと原因について詳しく解説します。
ワキガ(腋臭症:えきしゅうしょう)は、脇の下から特有の強いにおいが発生する状態を指します。日本人の約10〜15%がワキガ体質であるとされており、決して珍しい症状ではありません。一方、欧米人では約70〜90%がワキガ体質といわれており、人種によって発症率に大きな差があります。
🔸 ワキガのにおいの原因
人間の体には2種類の汗腺があります。一つは全身に分布する「エクリン汗腺」で、主に体温調節のために汗を分泌します。この汗は99%が水分で、ほとんど無臭です。
もう一つが「アポクリン汗腺」です。アポクリン汗腺は脇の下、耳の中、乳輪周辺、陰部など限られた部位にのみ存在し、脂質やタンパク質を含む汗を分泌します。この汗自体にはそれほど強いにおいはありませんが、皮膚表面に存在する常在菌によって分解されることで、独特のにおいが発生します。
ワキガ体質の方は、このアポクリン汗腺の数が多い、あるいは一つひとつの汗腺が大きいという特徴があります。そのため、より多くの汗が分泌され、においも強くなる傾向があるのです。
🔸 ワキガのにおいの特徴
ワキガのにおいは人によって異なりますが、一般的には以下のような表現がされることが多いです。
📌 鉛筆の芯のようなにおい
📌 スパイシーなにおい(カレーやクミンのような香辛料系)
📌 硫黄のようなにおい
📌 玉ねぎやネギのようなにおい
📌 生乾きの洗濯物のようなにおい
📌 酸っぱいにおい
これらのにおいは、アポクリン汗腺から分泌される汗に含まれる成分と、それを分解する細菌の種類によって変化します。同じワキガ体質でも、食生活やストレス状態、ホルモンバランスなどによって、においの強さや質が変わることがあります。
📋 ワキガのセルフチェック方法|7つのポイント
自分がワキガ体質かどうかを確認するために、以下の7つのポイントをチェックしてみましょう。複数の項目に当てはまる場合は、ワキガの可能性が高いと考えられます。
🔸 チェック1:耳垢が湿っている(飴耳)
最も信頼性の高いセルフチェック方法が、耳垢の状態を確認することです。耳垢には「乾燥タイプ(乾性耳垢)」と「湿ったタイプ(湿性耳垢)」の2種類があります。
耳の中にもアポクリン汗腺が存在するため、アポクリン汗腺が発達している人は耳垢が湿った状態(飴耳、キャラメル耳とも呼ばれます)になる傾向があります。綿棒で耳掃除をしたときに、べたべたとした黄色っぽい耳垢が付着する場合は、ワキガ体質である可能性が高いといえます。
日本人の約16%が湿性耳垢とされており、この割合はワキガの発症率とほぼ一致しています。耳垢が湿っているからといって必ずワキガであるとは限りませんが、重要な指標の一つとなります。
🔸 チェック2:衣類の脇部分が黄ばむ
白いシャツやTシャツの脇部分に黄色いシミができやすい場合は、ワキガの可能性があります。アポクリン汗腺から分泌される汗には、リポフスチンという色素成分が含まれており、これが衣類に付着して黄ばみの原因となります。
一般的な汗(エクリン汗)でも、時間が経つと衣類が黄ばむことがありますが、ワキガの場合はより濃い黄色や茶色っぽい色になることが多く、洗濯しても落ちにくいという特徴があります。
特に、洗濯直後でもうっすらと黄ばみが残っている場合や、着用してすぐに黄ばみが目立つ場合は、アポクリン汗腺の活動が活発である可能性が高いでしょう。
🔸 チェック3:両親や血縁者にワキガの人がいる
ワキガは遺伝的要因が強く関係しています。研究によると、両親のどちらかがワキガの場合、子どもがワキガになる確率は約50〜80%とされています。また、両親ともにワキガの場合は、その確率はさらに高くなり、約80%以上になるといわれています。
これは、アポクリン汗腺の数や大きさが遺伝によって決まることが関係しています。家族にワキガの方がいる場合は、自分もワキガ体質である可能性を考慮しておくとよいでしょう。
ただし、遺伝的な素因があっても、生活習慣や環境によってにおいの強さは変化します。また、遺伝していてもにおいが軽度で自覚症状がない場合もあります。
🔸 チェック4:脇毛が濃い・太い
アポクリン汗腺は毛穴に開口しているため、脇毛が濃い人はアポクリン汗腺も発達している傾向があります。特に、一つの毛穴から複数の毛が生えている場合や、毛が太くてしっかりしている場合は、アポクリン汗腺が大きく発達している可能性があります。
また、脇毛が多いと汗や皮脂が毛に付着しやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境を作ります。これがにおいをさらに強くする要因となることもあります。
女性の場合は脇毛を処理していることが多いため判断が難しいこともありますが、処理前の状態を思い出してチェックしてみてください。
🔸 チェック5:脇汗の量が多い
緊張したときや暑いときに脇汗が大量に出る場合、ワキガ体質である可能性があります。ただし、脇汗が多いこと自体は「多汗症」という別の状態であり、ワキガと多汗症は必ずしも一致するわけではありません。
多汗症は主にエクリン汗腺からの発汗が過剰な状態を指し、汗自体にはあまりにおいがありません。一方、ワキガはアポクリン汗腺からの分泌物が原因です。しかし、両方を併せ持っている方も少なくなく、その場合はにおいがより広がりやすくなります。
脇汗パッドがすぐに濡れてしまう、シャツに汗ジミができやすいという方は、多汗症とワキガの両方について注意が必要です。
🔸 チェック6:脇の下に白い粉や結晶がつく
脇の下や脇毛に白い粉状のものや結晶のようなものが付着していることがある場合は、ワキガの可能性が考えられます。これはアポクリン汗腺から分泌された汗に含まれる成分が乾燥して結晶化したものです。
特に、デオドラント製品を使用していないにもかかわらず、このような白い粉が見られる場合は、アポクリン汗腺の活動が活発である証拠といえます。
🔸 チェック7:他人からにおいを指摘されたことがある
最も直接的なチェック方法は、他人からの指摘です。自分自身のにおいは嗅覚が慣れてしまうため気づきにくいものですが、周囲の人は敏感に感じ取っていることがあります。
家族や親しい友人から「においが気になる」と言われたことがある場合は、ワキガの可能性を真剣に検討すべきでしょう。ただし、一時的な体臭の変化や、汗をかいた直後の軽いにおいは誰にでもあるものなので、継続的に指摘される場合に注意が必要です。
また、周囲の人が距離を取るような仕草をしたり、電車やエレベーターで避けられているように感じたりする場合も、においが原因である可能性があります。

⚠️ ワキガになりやすい人の特徴
ワキガは体質によるものですが、特定の条件が重なるとにおいが強くなることがあります。以下のような特徴がある方は、ワキガのリスクが高い、またはにおいが強くなりやすい傾向があります。
👴 思春期以降の若年層
アポクリン汗腺は思春期に発達し始め、性ホルモンの影響を受けて活発に活動するようになります。そのため、ワキガの症状は思春期頃から現れ始め、20代〜30代でピークを迎えることが多いです。
中高生の時期に急ににおいが気になり始めた場合は、アポクリン汗腺が発達してきたサインかもしれません。この時期は精神的にも敏感な年頃であるため、においの悩みが深刻なストレスになることもあります。
🔸 ストレスを感じやすい人
精神的なストレスや緊張は、アポクリン汗腺を刺激して発汗を促進します。「緊張すると脇汗が止まらない」という経験がある方は多いと思いますが、これはアポクリン汗腺が自律神経の影響を受けていることが原因です。
ストレスフルな生活を送っている方や、緊張しやすい性格の方は、においが強くなりやすい傾向があります。
🔸 肉類や脂っこい食事が多い人
食生活もワキガのにおいに影響を与えます。動物性タンパク質や脂質を多く含む食事(肉類、乳製品、揚げ物など)は、アポクリン汗腺からの分泌物の成分を変化させ、においを強くする可能性があります。
また、ニンニク、玉ねぎ、香辛料、アルコールなども体臭に影響を与えることが知られています。食事内容を見直すことで、においが軽減されるケースもあります。脂っこいものを食べた後に体調を崩しやすい方は、脂っこいものを食べた後に下痢になる原因と対処法についても参考にしてください。
🔸 肥満傾向の人
肥満の方は皮下脂肪が多く、体温が上昇しやすいため、発汗量が増える傾向があります。また、皮膚のしわやたるみによって通気性が悪くなり、細菌が繁殖しやすい環境を作りやすいです。
体重管理を行うことで、においが改善されるケースもあります。
🔍 ワキガと汗臭さの違い
「汗臭い」と「ワキガ」は混同されがちですが、実際には異なるものです。正しく区別することで、適切な対策を取ることができます。
💧 汗臭さの特徴
一般的な汗臭さは、主にエクリン汗腺から分泌される汗が原因です。運動後や暑い日に発生する「酸っぱいようなにおい」「アンモニア臭」などがこれにあたります。
エクリン汗は99%が水分であるため、分泌直後はほとんど無臭です。しかし、時間が経つと皮膚表面の細菌によって分解され、においが発生します。このにおいは入浴や着替えによって比較的簡単に解消できます。
✨ ワキガのにおいの特徴
ワキガのにおいは、アポクリン汗腺からの分泌物が原因であり、一般的な汗臭さとは異なる独特のにおいがあります。先述したように、鉛筆の芯、スパイス、硫黄などに例えられることが多いです。
ワキガのにおいは、汗をかいていない状態でも発生することがあり、入浴直後でもにおいが残っていることがあります。また、衣類ににおいが染みつきやすく、洗濯しても取れにくいという特徴もあります。
📌 セルフチェックでの見分け方
自分のにおいが汗臭さなのかワキガなのかを見分けるには、以下の点に注目してみてください。
⚡ 入浴後もにおいが気になる場合は、ワキガの可能性が高い
⚡ 衣類に独特のにおいが染みついている場合は、ワキガの可能性が高い
⚡ 汗をかいていない時でもにおう場合は、ワキガの可能性が高い
⚡ 運動後にのみにおいが気になる場合は、一般的な汗臭さの可能性が高い
💡 セルフチェックで当てはまった場合の対処法
セルフチェックで複数の項目に当てはまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。段階を追って説明します。
🔸 まずは生活習慣を見直す
ワキガ体質であっても、生活習慣を改善することでにおいを軽減できる場合があります。以下のポイントを意識してみましょう。
✅ 食生活の改善(野菜や海藻類を増やし、肉類や脂っこい食事を控える)
✅ 適度な運動で汗腺の機能を正常化する
✅ ストレス管理を行う
✅ 十分な睡眠をとる
✅ 禁煙、節酒を心がける
🔸 セルフケアを実践する
日常的なセルフケアとして、以下の対策が効果的です。詳しくは次のセクションで解説します。
✅ こまめに汗を拭く
✅ 制汗剤やデオドラント製品を使用する
✅ 脇毛を処理する
✅ 通気性の良い衣類を選ぶ
✅ 脇を清潔に保つ
🔸 専門医に相談する
セルフケアを実践してもにおいが気になる場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、専門医への相談をお勧めします。皮膚科や形成外科で診察を受けることができます。
医師による診断では、実際ににおいを確認するほか、ガーゼテストなどの客観的な検査を行うこともあります。自分では判断が難しい場合も、専門家に相談することで適切な対策を取ることができます。
🏥 自宅でできるワキガ対策
医療機関を受診する前に、まずは自宅でできる対策を試してみましょう。適切なセルフケアを行うことで、においを大幅に軽減できる場合があります。
💧 正しい脇の洗い方
脇を清潔に保つことは、においを抑える基本中の基本です。入浴時には以下のポイントに注意しましょう。
📌 ボディソープをよく泡立てて、脇を優しく丁寧に洗う
📌 殺菌成分を含む石鹸やボディソープを使用する
📌 ゴシゴシこすりすぎない(皮膚を傷つけると細菌が繁殖しやすくなる)
📌 洗い残しがないようにしっかりすすぐ
📌 入浴後は脇をしっかり乾燥させる
朝の出勤前にシャワーを浴びることで、一日を清潔な状態でスタートできます。夜だけでなく、朝のシャワーも取り入れてみてください。
✨ 効果的な制汗剤・デオドラントの選び方
市販の制汗剤やデオドラント製品は、ワキガ対策に効果的です。製品選びのポイントを紹介します。
制汗成分を含む製品:塩化アルミニウムやミョウバンなどの制汗成分が配合された製品は、汗の分泌を抑える効果があります。
殺菌成分を含む製品:イソプロピルメチルフェノールやトリクロサンなどの殺菌成分が配合された製品は、においの原因となる細菌の繁殖を抑えます。
クリームタイプやスティックタイプ:スプレータイプよりも密着性が高く、効果が長持ちしやすいです。
朝の清潔な状態の脇に塗布することで、効果を最大限に発揮できます。汗をかいた後に塗っても効果が薄れてしまうため、使用するタイミングにも注意しましょう。
💡 脇毛の処理
脇毛は汗や皮脂を吸着し、細菌が繁殖しやすい環境を作ります。脇毛を処理することで、においを軽減できる場合があります。
男性の場合も、脇毛を短くカットするだけでも効果があります。完全に剃る必要はなく、毛の長さを短くするだけでも通気性が改善され、においが軽減されることがあります。
📝 衣類の選び方と対策
衣類の素材や着方もにおいに影響を与えます。
通気性の良い素材を選ぶ:綿や麻などの天然素材は通気性が良く、汗を吸収しやすいです。ポリエステルなどの化学繊維は蒸れやすく、においがこもりやすい傾向があります。
速乾性のインナーを着用する:汗を素早く吸収して乾燥させるタイプのインナーを着用することで、細菌の繁殖を抑えられます。
脇汗パッドを使用する:衣類に直接汗が付くのを防ぎ、においの拡散を抑える効果があります。
着替えを持ち歩く:汗をかいた場合は、できるだけ早く着替えることでにおいを抑えられます。
🥗 食生活の改善
食べ物は体臭に大きな影響を与えます。においを軽減するために、以下のような食生活を心がけましょう。
控えめにしたい食品:
⚡ 肉類(特に脂身の多い部位)
⚡ 乳製品(チーズ、バターなど)
⚡ 揚げ物、脂っこい料理
⚡ ニンニク、玉ねぎ、ニラなど
⚡ アルコール
⚡ 香辛料の効いた料理
積極的に摂りたい食品:
✅ 緑黄色野菜(抗酸化作用がある)
✅ 海藻類(体臭を抑える効果がある)
✅ 大豆製品(イソフラボンがホルモンバランスを整える)
✅ 発酵食品(腸内環境を整える)
✅ 緑茶(カテキンに消臭効果がある)
🏥 病院での診断と治療法
セルフケアでは改善が見られない場合や、においが日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関での診断と治療を検討しましょう。
🔸 受診すべき診療科
ワキガの治療は、主に以下の診療科で受けることができます。
皮膚科:においの原因や程度を診断し、外用薬や内服薬による治療を行います。軽度から中等度のワキガに対応しています。
形成外科・美容外科:手術による根本的な治療を行います。アポクリン汗腺を除去する手術や、最新の治療機器を用いた治療が受けられます。
🔸 医師による診断方法
医療機関では、以下のような方法でワキガの診断を行います。
問診:家族歴、発症時期、においの程度、日常生活への影響などを詳しく聞き取ります。
視診・嗅診:脇の状態を確認し、実際ににおいを嗅いで程度を評価します。
ガーゼテスト:脇にガーゼを挟んで一定時間過ごし、そのにおいを確認します。客観的な評価が可能です。
耳垢の確認:湿性耳垢かどうかを確認し、診断の参考にします。
⚠️ 治療が必要なケースの目安
以下のような場合は、医療機関での治療を検討することをお勧めします。
🚨 市販のデオドラント製品では効果が不十分
🚨 周囲からにおいを指摘されることがある
🚨 においが気になって外出や対人関係に支障をきたしている
🚨 仕事や学校生活に影響が出ている
🚨 精神的なストレスが大きい
💊 ワキガ治療の種類と特徴
医療機関で受けられるワキガ治療には、さまざまな方法があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った治療法を選びましょう。
🔸 外用薬による治療
塩化アルミニウム液:汗腺の出口を塞いで発汗を抑える効果があります。市販品よりも高濃度のものを処方してもらえます。ただし、肌荒れを起こすことがあるため、医師の指導のもとで使用します。
抗菌薬の外用薬:においの原因となる細菌の繁殖を抑えます。軽度のワキガに対して使用されることがあります。
🔸 ボトックス注射
ボツリヌス毒素を脇に注射することで、汗腺に向かう神経の働きを抑制し、発汗を減少させる治療法です。施術時間は10〜15分程度で、効果は約4〜6ヶ月持続します。
手術に比べてダウンタイムが少なく、気軽に受けられる治療法ですが、効果が一時的であるため、定期的な施術が必要です。主に多汗症に対して保険適用となる場合があります。
🔸 手術による治療
根本的な治療を希望する場合は、アポクリン汗腺を除去する手術が選択肢となります。
剪除法(せんじょほう):脇にしわに沿って切開を入れ、皮膚を裏返してアポクリン汗腺を直接目視しながら除去する方法です。確実性が高く、保険適用となる場合があります。ただし、傷跡が残る可能性があり、ダウンタイムもやや長くなります。ワキガ手術後の適切なケア方法については、ワキガ手術後のケア方法で詳しく解説しています。
吸引法:小さな穴から細い管を挿入し、アポクリン汗腺を吸引して除去する方法です。傷跡が小さく済みますが、剪除法に比べて取り残しが生じる可能性があります。
🔸 ミラドライ
マイクロ波を照射してアポクリン汗腺とエクリン汗腺を破壊する治療法です。皮膚を切開しないため傷跡が残らず、ダウンタイムも短いのが特徴です。1回の施術で高い効果が期待できますが、自費診療となります。ミラドライの効果がいつから実感できるかについては、ミラドライの効果はいつから実感できる?で詳しく解説しています。
🔸 治療法の選び方
治療法を選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
⚡ においの程度(軽度・中等度・重度)
⚡ ダウンタイムの許容範囲
⚡ 傷跡への配慮
⚡ 予算(保険適用の有無)
⚡ 効果の持続期間
まずは医師に相談し、自分の状態に合った治療法を提案してもらうことをお勧めします。治療法別の効果や持続期間については、ワキガ治療法を徹底比較で詳しく解説しています。
⚠️ ワキガに関するよくある誤解
ワキガについては、さまざまな誤解が広まっています。正しい知識を持つことで、適切な対策を取ることができます。
💡 誤解1:ワキガは不潔が原因
ワキガは体質によるものであり、不潔さとは関係ありません。いくら清潔にしていても、アポクリン汗腺が発達している方はにおいが発生します。逆に、清潔にすることでにおいを軽減することはできますが、完全に解消することは難しいです。
💡 誤解2:ワキガは伝染する
ワキガは遺伝的な体質であり、他人に伝染することはありません。一緒にいたからといって、ワキガがうつるということはないので安心してください。ワキガの遺伝について詳しく知りたい方は、ワキガの原因は遺伝?をご覧ください。
💡 誤解3:汗をかかなければにおわない
ワキガのにおいは、アポクリン汗腺からの分泌物が原因です。アポクリン汗は、運動などで大量に汗をかかなくても常に少量ずつ分泌されています。そのため、汗をかいていないと思っていてもにおいが発生することがあります。
💡 誤解4:ワキガは治らない
ワキガは適切な治療によって改善することができます。生活習慣の改善やセルフケアでにおいを軽減できる場合もありますし、医療機関での治療によって根本的に解消することも可能です。
💡 誤解5:自分ではにおいがわからないから大丈夫
自分自身のにおいは嗅覚が慣れてしまうため、気づきにくいものです。自分では大丈夫だと思っていても、周囲の人は不快に感じている可能性があります。客観的な評価を得るために、信頼できる家族や友人に確認してもらうことも大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
💡 高桑康太医師(当院治療責任者)より
「当院でワキガの相談にいらっしゃる患者さんの中で、実際にはワキガではなく一般的な汗臭さであるケースも一定数見受けられます。自分ではにおいが強いと感じていても、客観的な診察では軽度である場合や、精神的な要因で過度に気にしてしまっている場合もあります。まずは正確な診断を受けることが大切です。また、セルフチェックで耳垢が湿っているタイプの方は、ワキガ体質である可能性が高いため、気になる症状があれば早めにご相談いただくことをお勧めします。当院では患者さんのにおいの程度や生活スタイルに合わせて、外用薬からボトックス注射、手術療法まで幅広い選択肢をご提案しています。においの悩みは人に相談しにくいものですが、一人で抱え込まず、専門医に相談していただければと思います。」
❓ よくある質問
自分自身のにおいは嗅覚が慣れてしまうため、気づきにくいのが実情です。セルフチェックでは、耳垢が湿っているか、衣類の脇部分が黄ばむか、家族にワキガの人がいるかなどを確認することで、ワキガ体質かどうかの目安を判断できます。確実に知りたい場合は、信頼できる家族や友人に確認してもらうか、医療機関で診断を受けることをお勧めします。
ワキガはアポクリン汗腺からの分泌物が細菌に分解されることで発生する独特のにおいが特徴です。一方、多汗症はエクリン汗腺からの発汗が過剰な状態で、汗自体にはあまりにおいがありません。ただし、両方を併せ持っている方も多く、その場合はにおいがより広がりやすくなります。
アポクリン汗腺は思春期に発達するため、ワキガの症状は一般的に思春期頃(10歳〜14歳頃)から現れ始めます。小学校高学年から中学生にかけてにおいが気になり始めるケースが多いです。遺伝的な要因が強いため、両親のどちらかがワキガの場合は、子どももワキガになる可能性が高くなります。
ワキガの程度によって適切な治療法は異なります。軽度の場合は、生活習慣の改善や市販のデオドラント製品、医療機関で処方される外用薬などで十分にコントロールできる場合があります。中等度の場合はボトックス注射が効果的なこともあります。重度の場合や根本的な治療を希望する場合は、手術やミラドライなどの治療が選択肢となります。
ワキガ(腋臭症)と診断された場合、一部の治療法は保険適用となる可能性があります。特に剪除法と呼ばれる手術は、医師が腋臭症と診断した場合に保険適用となることが多いです。ただし、ボトックス注射は多汗症に対しては保険適用となる場合がありますが、ワキガに対しては自費となることが多いです。ミラドライなどの最新治療は基本的に自費診療となります。詳しくは受診する医療機関にお問い合わせください。
軽度のワキガであれば、市販の制汗剤やデオドラント製品でにおいを軽減できる場合があります。特に殺菌成分(イソプロピルメチルフェノールなど)や制汗成分(塩化アルミニウム、ミョウバンなど)を含む製品が効果的です。ただし、中等度以上のワキガの場合は、市販品だけでは不十分なことも多いため、医療機関での相談をお勧めします。
📝 まとめ
ワキガは遺伝的な体質によるものであり、決して不潔や生活習慣の問題ではありません。自分がワキガかどうかを確認するためには、耳垢の状態、衣類の黄ばみ、家族歴、脇毛の状態、汗の量などをチェックすることが有効です。
セルフチェックで複数の項目に当てはまった場合でも、まずは生活習慣の改善やセルフケアから始めてみましょう。食生活の見直し、適切な入浴方法、効果的なデオドラント製品の使用などで、においを軽減できる場合があります。
それでも改善が見られない場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関での診断と治療を検討してください。外用薬、ボトックス注射、手術、ミラドライなど、さまざまな治療法があり、自分に合った方法を選ぶことができます。
においの悩みは人に相談しにくいものですが、一人で抱え込まずに専門医に相談することで、適切な対策を取ることができます。正しい知識を持ち、自分に合った対処法を見つけて、快適な毎日を送りましょう。
参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
