
ある日ふと顎の周辺を触ったとき、皮膚の下にしこりのようなものを感じ、しかもそれが指で押すと動くことに気づいて不安になった――そのような経験はないでしょうか。
🚨 この記事を読まないと…
- 良性か悪性かの見分けるポイントを知らないまま放置してしまう
- 受診が遅れて手遅れになるリスクがある
- どの科に行けばいいかわからず、たらい回しになる
✅ この記事でわかること
- 📌 顎の動くしこりの主な原因と疾患名
- 📌 良性・悪性を自分でチェックする目安
- 📌 すぐ受診すべき危険なサインとは
- 📌 どの診療科に行けばよいか
目次
- 顎のしこりとはどのような状態か
- しこりが「動く」とはどういう意味か
- 顎のしこりが動く場合に考えられる主な原因
- リンパ節腫脹(リンパ節炎・反応性リンパ節腫脹)
- 粉瘤(アテローム)
- 脂肪腫
- 唾液腺の疾患(唾液腺炎・唾石症・唾液腺腫瘍)
- その他の良性腫瘍(線維腫・神経鞘腫など)
- 悪性腫瘍(悪性リンパ腫・転移性リンパ節・口腔がん・唾液腺がんなど)
- しこりの特徴から見る良性・悪性の目安
- 顎のしこりが動く場合に受診すべき診療科
- 受診のタイミングと注意すべき症状
- 診察・検査の流れ
- まとめ
この記事のポイント
顎の動くしこりはリンパ節腫脹・粉瘤・脂肪腫などの良性疾患が多いが、悪性腫瘍の可能性もあるため、2〜4週間以上続く場合や全身症状を伴う場合は耳鼻咽喉科・皮膚科への早期受診が重要。
💡 顎のしこりとはどのような状態か
しこりとは、皮膚の下や組織の内部に生じる、触れるとわかる硬さや盛り上がりのことを指します。顎の周辺(下あご・あご下・あごの骨の周囲・耳の前後など)には非常に多くの組織が密集しており、それだけ多様な原因でしこりが生じやすい部位でもあります。
顎の周辺に存在する主な構造物としては、以下のものが挙げられます。
- 顎下リンパ節・オトガイ下リンパ節などのリンパ節群
- 顎下腺・耳下腺・舌下腺などの唾液腺
- 皮下脂肪組織
- 筋肉(咬筋・顎二腹筋など)
- 神経や血管
- 顎骨(下顎骨)
これらのどの組織に異常が起きても、外側から触れるしこりとして感じられることがあります。しこりの性質(硬さ・大きさ・動くかどうか・痛みの有無など)は、その原因によって大きく異なります。
Q. 顎のしこりが動く場合、良性と判断してよいですか?
顎のしこりに可動性がある場合は良性疾患に多い特徴ですが、悪性腫瘍でも動くケースがあります。「動くから安心」と自己判断するのは危険です。しこりが2〜4週間以上続く場合や大きくなる場合、発熱・体重減少などの全身症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
📌 しこりが「動く」とはどういう意味か
「しこりが動く」とは、指でしこりを押したり動かしたりしたときに、しこりが皮膚の下や組織の中でスムーズに移動する感覚があることを指します。専門的には「可動性がある」と表現されます。
しこりの可動性は、その原因を判断するうえで非常に重要な手がかりの一つです。一般的に、しこりが動きやすい(可動性が高い)場合は、周囲の組織との癒着がなく、独立した状態にあることを意味します。これは良性腫瘍や炎症性のしこりに多い特徴です。
一方、しこりが皮膚や筋肉、骨などと癒着して動かない(可動性が低い)場合は、悪性腫瘍が周囲に浸潤している可能性を疑うサインとなります。ただし、あくまでこれは目安であり、動くしこりでも悪性のケースがあり、動かないしこりでも炎症性の良性疾患であることもあります。自己判断だけで結論を出さず、医療機関での診察を受けることが大切です。
✨ 顎のしこりが動く場合に考えられる主な原因
顎の周辺に生じる、動くしこりの原因は多岐にわたります。ここでは代表的なものをまとめて概観し、次のセクションからそれぞれを詳しく解説していきます。
- リンパ節腫脹(風邪・虫歯・口内炎などの炎症に伴うもの)
- 粉瘤(アテローム)
- 脂肪腫
- 唾液腺の疾患(唾液腺炎・唾石症・唾液腺腫瘍)
- 線維腫・神経鞘腫などのその他良性腫瘍
- 悪性リンパ腫・転移性リンパ節・口腔がん・唾液腺がんなどの悪性疾患
成人から高齢者にかけてはリンパ節腫脹や唾液腺疾患が多く、若い世代では粉瘤や脂肪腫も比較的よく見られます。いずれの場合も、しこりに気づいたら自己判断せず、適切な診療科を受診することが重要です。
🔍 リンパ節腫脹(リンパ節炎・反応性リンパ節腫脹)
顎の下や首の前側にしこりを感じる場合、最も多い原因の一つがリンパ節の腫脹です。顎の周囲には顎下リンパ節やオトガイ下リンパ節など多くのリンパ節が分布しており、口腔・咽頭・歯・鼻などの炎症や感染に反応してリンパ節が腫れることがよくあります。
リンパ節が腫れる主な原因としては、次のようなものがあります。
- 風邪やインフルエンザなどのウイルス感染
- 虫歯・歯周病などの歯科疾患
- 口内炎・扁桃炎・咽頭炎
- 伝染性単核球症(EBウイルス感染)
- 猫ひっかき病(バルトネラ感染)
- 結核性リンパ節炎
炎症に伴うリンパ節腫脹は「反応性リンパ節腫脹」と呼ばれ、通常は楕円形または丸い形をしており、押すと圧痛(押したときの痛み)を感じることが多いです。しこりは弾力があってやや柔らかく、指で触ると動く感覚があります。
多くの場合、感染症や炎症の治癒とともにリンパ節も縮小していきます。目安として1〜2週間で縮小傾向がみられることが多いですが、それ以上続いたり、しこりが大きくなったり、痛みが強くなるようであれば受診が必要です。
Q. 顎のしこりの原因として最も多い疾患は何ですか?
顎のしこりの原因として最も多いのはリンパ節腫脹です。風邪・虫歯・口内炎・扁桃炎などの感染や炎症に反応して、顎下リンパ節やオトガイ下リンパ節が腫れます。炎症性のリンパ節腫脹は弾力があって動きやすく、原因となる感染症が治癒すると1〜2週間程度で縮小することが多いです。
💪 粉瘤(アテローム)
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋状の構造が形成され、その中に角質や皮脂などが蓄積してできる良性の腫瘤です。顔や頸部(首)は粉瘤が生じやすい部位の一つであり、顎の周辺にも比較的よく見られます。
粉瘤の特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 皮膚の下にできる丸いしこりで、触ると動く感触がある
- しこりの中心部に黒い点(開口部)が見えることがある
- 通常は痛みがないが、感染・炎症を起こすと赤く腫れて痛みが強くなる
- 長期間かけてゆっくりと大きくなる
- 放置しても自然に消えることはなく、しばしば感染を繰り返す
粉瘤は悪性化することはほとんどありませんが、感染を起こすと急に痛くなったり膿が出たりするため、気になるようであれば皮膚科や形成外科で診てもらいましょう。治療は外科的な摘出手術が基本となり、袋(嚢腫壁)をきれいに取り除くことで再発を防ぐことができます。
🎯 脂肪腫
脂肪腫は、皮下脂肪組織が異常に増殖してできる良性腫瘍です。全身のさまざまな部位に発生しますが、首や顎の周囲にも生じることがあります。
脂肪腫の特徴は次の通りです。
- 柔らかくて押すと指に吸い付くような感触がある
- 皮膚の上からでも比較的スムーズに動く(可動性が高い)
- 痛みはほとんどない
- 数センチ以上の大きさになることもある
- ゆっくりと成長するが、急激に大きくなることは少ない
脂肪腫は多くの場合、治療を急がなくてよい良性の腫瘍です。ただし、まれに「脂肪肉腫」という悪性のものと外観が似ていることがあるため、急に大きくなる・硬さが変わるといった場合には画像検査などでの精査が必要になります。また、審美的な理由や生活の不便から切除を希望する場合は、外科的手術で対応できます。
💡 唾液腺の疾患(唾液腺炎・唾石症・唾液腺腫瘍)
顎の下には顎下腺という大きな唾液腺があります。この顎下腺や耳の前にある耳下腺などに異常が起きると、顎の周囲にしこりとして感じられることがあります。唾液腺に関連するしこりとして代表的なものを以下に解説します。
唾液腺炎は、唾液腺が細菌やウイルスに感染して炎症を起こした状態です。顎の下(顎下腺の部位)が腫れて痛み、発熱を伴うこともあります。食事中に唾液の分泌が促されると痛みが増すことが特徴的です。抗菌薬などの薬物療法で対応します。
唾石症は、唾液の通り道(唾液腺管)に石(唾石)が詰まる病気です。顎下腺に最も多く発生し、特に食事の時間帯に顎の下が腫れて痛む「食事時腫脹」が典型的な症状です。唾石の大きさや位置に応じて、内科的治療・内視鏡的治療・外科的摘出などが選択されます。
唾液腺腫瘍は、唾液腺に生じる腫瘍の総称で、良性と悪性があります。良性腫瘍の代表例は多形腺腫(混合腫瘍)であり、多くの場合ゆっくりと成長する無痛性のしこりとして現れます。悪性腫瘍(唾液腺がん)は比較的まれですが、急速な増大・痛み・顔面神経麻痺などを伴う場合は注意が必要です。唾液腺腫瘍が疑われる場合は、超音波検査やMRI検査、必要に応じて生検(組織を採取して調べる検査)が行われます。
Q. 粉瘤と脂肪腫の違いはどこにありますか?
粉瘤は皮膚下に袋が形成され角質や皮脂が蓄積した腫瘤で、中心部に黒い開口部が見えることがあり、感染すると赤く腫れて痛みが生じます。脂肪腫は皮下脂肪が増殖した良性腫瘍で、柔らかく指に吸い付くような感触が特徴です。外見だけでの判別は難しいため、超音波検査などで医師に診断してもらうことをおすすめします。
📌 その他の良性腫瘍(線維腫・神経鞘腫など)
顎の周辺には、上記以外にもさまざまな良性腫瘍が発生することがあります。
線維腫は、線維組織から発生する良性腫瘍です。皮膚や粘膜に生じ、比較的硬いしこりとして触れます。口腔内(歯茎や頬粘膜)に生じることも多く、慢性的な刺激が原因となることがあります。
神経鞘腫(シュワン細胞腫)は、末梢神経の鞘(シース)を構成するシュワン細胞から発生する良性腫瘍です。顔面や頸部にも生じることがあり、押すと特定の方向には動くが別の方向には動かないという特徴的な所見を示すことがあります(神経の走行方向への移動制限)。通常は痛みが少なく、経過観察または手術による摘出が選択されます。
また、歯や顎骨に関連した嚢胞(のうほう)として、含歯性嚢胞や根尖性嚢胞なども顎のしこりの原因となることがあります。これらは顎骨の中に生じる袋状の病変で、歯科や口腔外科での画像検査で診断されます。
✨ 悪性腫瘍(悪性リンパ腫・転移性リンパ節・口腔がん・唾液腺がんなど)
顎の周辺のしこりの中には、まれに悪性腫瘍が原因となることがあります。「動くしこりは良性」という印象を持っている方も多いですが、悪性腫瘍であってもしこりが動く場合があるため、注意が必要です。
悪性リンパ腫は、リンパ球が悪性化して増殖する血液のがんです。顎の下や首のリンパ節が無痛性に腫れることが多く、複数の部位にわたってリンパ節が腫脹することもあります。発熱・体重減少・夜間の寝汗(B症状)を伴うことがあります。リンパ節腫脹が2〜4週間以上続く、複数箇所に及ぶ、全身症状を伴うといった場合は悪性リンパ腫を疑い、速やかに受診することが大切です。
転移性リンパ節とは、口腔・咽頭・喉頭・甲状腺・肺などの原発がんが、リンパ節に転移したものです。顎や首のリンパ節は頭頸部がんが転移しやすい部位であり、原発巣が小さく症状が出る前でも、リンパ節転移だけが先にしこりとして現れることがあります。
口腔がん(舌がん・歯肉がん・口底がんなど)は、口の中の粘膜から発生するがんです。顎の下のリンパ節に転移した場合、顎のしこりとして発見されることがあります。口の中に治りにくい潰瘍や白い斑点(白板症)がある場合は注意が必要です。
唾液腺がんは、耳下腺・顎下腺などの唾液腺から生じる悪性腫瘍で、比較的まれですが存在します。急速な腫大・硬いしこり・顔面神経麻痺(顔が動かしにくい)・痛みなどを伴う場合に疑われます。
これらの悪性腫瘍は早期発見・早期治療が予後を大きく左右するため、気になるしこりがある場合には医療機関への受診を先延ばしにしないことが重要です。
🔍 しこりの特徴から見る良性・悪性の目安
しこりが良性か悪性かを断定するためには医療機関での検査が必要ですが、症状や特徴からある程度の目安を知っておくことは、受診の判断をするうえで役立ちます。あくまで参考として、以下の表を確認してみてください。
良性腫瘍に多い特徴としては、次のものが挙げられます。しこりの表面が滑らかで規則的な形をしている、弾力があって柔らかい、押すと動く(可動性が高い)、ゆっくりと成長する、痛みがないか、あっても軽度である、皮膚の色に変化がない、全身症状(発熱・体重減少など)を伴わない、などです。
一方、悪性腫瘍で注意すべき特徴としては、しこりが硬くて石のような感触がある、表面が不規則でいびつな形をしている、周囲の組織と癒着して動かしにくい(ただし、初期は動く場合もある)、急速に大きくなる(数週間〜数ヶ月で明らかに成長する)、痛みがじわじわと増してくる、皮膚が赤くなったり引きつれたりする、リンパ節が複数個所で腫れる、発熱・体重減少・倦怠感などの全身症状を伴う、といったものがあります。
繰り返しになりますが、これらの特徴はあくまで参考であり、外見や触感だけで良性・悪性を確実に区別することはできません。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診して専門的な検査を受けることをおすすめします。
Q. 顎のしこりで受診を急ぐべき症状は何ですか?
顎のしこりで1週間以内の早期受診が必要な症状には、しこりが2〜4週間以上縮小しない・急速に大きくなる、複数箇所でリンパ節が腫れる、発熱・体重減少・夜間の大量発汗がある、口内に治りにくい潰瘍がある、顔の動きや感覚に異常がある、などがあります。喫煙・大量飲酒の習慣がある方も特に早めの受診が推奨されます。
💪 顎のしこりが動く場合に受診すべき診療科
顎のしこりを感じたとき、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いでしょう。主な受診先とそれぞれの特徴を以下にまとめます。
耳鼻咽喉科は、頭頸部領域(頭・顔・首)の疾患を専門としており、リンパ節腫脹・唾液腺疾患・口腔がん・咽頭がんなど、顎のしこりの主要な原因疾患を幅広くカバーしています。顎・首のしこりで最初に受診する診療科としては最も適しているといえるでしょう。内視鏡や超音波検査など、必要な検査をその場で行える施設も多いです。
皮膚科・形成外科は、粉瘤・脂肪腫・線維腫など皮膚や皮下組織に由来するしこりの診断・治療を得意としています。しこりの外見から皮膚・皮下組織由来が疑われる場合や、切除手術を希望する場合は適した選択です。
口腔外科(歯科口腔外科)は、歯・顎骨・口腔粘膜に関連した疾患を担当します。虫歯や歯周病が原因のリンパ節腫脹、顎骨嚢胞(含歯性嚢胞・根尖性嚢胞)、口腔がんなどの診察・治療を行います。歯科的な問題が疑われる場合はここへの受診が適しています。
内科・血液内科は、発熱・体重減少などの全身症状を伴う場合や、悪性リンパ腫が疑われる場合に受診します。まずはかかりつけ医(内科)に相談するのもよい方法です。
どこを受診すればよいかわからない場合は、耳鼻咽喉科または皮膚科を最初の窓口として選ぶと、診察の結果に応じて適切な診療科へ紹介してもらうことができます。
🎯 受診のタイミングと注意すべき症状

「しこりに気づいたがいつ病院に行けばよいのかわからない」という方のために、受診の目安となるタイミングと、特に注意すべき症状をまとめます。
まず、以下の状況に当てはまる場合は、できるだけ早めに(1週間以内を目安に)医療機関を受診することをおすすめします。
- しこりが2〜4週間以上縮小しない、または大きくなっている
- しこりが複数個所(首・顎・脇の下・股など)にわたって腫れている
- 痛みが増してきている、または痛みはないのにしこりが急速に大きくなっている
- 発熱・体重減少・夜間の大量発汗(盗汗)などの全身症状を伴っている
- 口の中に治りにくい潰瘍・白い斑点・赤い斑点がある
- 顔の動きが悪い・片側の顔がしびれるなど、顔面神経に影響するような症状がある
- しこりが皮膚と癒着して動かない
- たばこを長年吸っている方・大量飲酒の習慣がある方(口腔がん・咽頭がんのリスクが高い)
次に、以下の状況では経過観察しつつ、1〜2週間で改善がなければ受診を検討してください。
- 風邪や口内炎など、明らかな炎症症状があってリンパ節が腫れている(1〜2週間で縮小するか確認)
- 痛みがなく、しこりが小さくて変化がない(ただし長期間放置は避ける)
一般的に、しこりが1ヶ月以上続いている場合は必ず医療機関を受診してください。「様子を見ていたら悪化していた」ということを防ぐためにも、早めの判断が大切です。
💡 診察・検査の流れ
顎のしこりで医療機関を受診した場合、どのような流れで診察・検査が行われるのかを知っておくと、受診のハードルが下がります。以下に一般的な流れを紹介します。
問診では、しこりに気づいた時期・大きさの変化・痛みの有無・発熱などの全身症状・過去の病歴や家族歴・喫煙・飲酒習慣などを確認します。医師に正確な情報を伝えることが診断の精度を高めるうえで重要です。
触診では、医師がしこりを直接触れて、大きさ・硬さ・可動性・圧痛・皮膚との癒着の有無などを確認します。首やわきの下など、他のリンパ節も合わせて確認されることが多いです。
超音波検査(エコー検査)は、最初に行われることが多い画像検査の一つです。放射線を使わず安全で、リンパ節・唾液腺・粉瘤・脂肪腫など多くの疾患でしこりの性状を評価するのに有用です。
CT検査・MRI検査は、しこりの深部への広がりや、周囲組織との関係を評価するために用いられます。悪性腫瘍が疑われる場合や唾液腺腫瘍の精査に行われることがあります。
血液検査では、炎症の程度を示すCRP・白血球数の確認や、悪性リンパ腫を疑う場合のLDH・β2ミクログロブリンなどの腫瘍マーカー、感染症(EBウイルス・バルトネラなど)の抗体検査などが行われることがあります。
細胞診・生検は、しこりに細い針を刺して細胞を採取して調べる検査(穿刺吸引細胞診)や、しこりの一部または全部を切除して病理組織検査を行う方法です。悪性腫瘍が疑われる場合や、超音波・CT検査だけでは診断がつかない場合に行われます。
内視鏡検査は、耳鼻咽喉科において鼻・咽頭・喉頭を内視鏡で観察し、口腔がんや咽頭がんの原発巣を探す検査です。特に転移性リンパ節が疑われる場合や、口腔・咽頭に症状がある場合に重要です。
これらの検査を組み合わせることで、しこりの原因を正確に診断し、適切な治療方針を決定することができます。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、顎や首のしこりを心配されて来院される患者さんは非常に多く、そのほとんどがリンパ節の一時的な腫れや粉瘤・脂肪腫といった良性の疾患です。ただし、「動くから大丈夫」と自己判断して受診を先延ばしにした結果、悪性疾患の発見が遅れてしまうケースもゼロではないため、しこりが2〜4週間以上続く場合や全身症状を伴う場合はためらわずにご相談いただくことをお勧めします。どの診療科を受診すればよいかわからない方も、まずは当院にご来院いただければ、超音波検査なども活用しながら丁寧に診察し、必要に応じて適切な専門科へのご案内もいたしますので、お気軽にお越しください。」
📌 よくある質問
しこりが動く(可動性が高い)場合は良性腫瘍や炎症性疾患に多い特徴ですが、悪性腫瘍でも動くケースがあるため、「動くから安心」と自己判断するのは危険です。しこりが2〜4週間以上続く、大きくなる、全身症状を伴うといった場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
迷った場合は、まず耳鼻咽喉科または皮膚科への受診がおすすめです。耳鼻咽喉科はリンパ節腫脹・唾液腺疾患・口腔がんなど顎のしこりの主要な原因疾患を幅広くカバーしており、皮膚科・形成外科は粉瘤や脂肪腫など皮膚由来のしこりを得意としています。受診後、必要に応じて適切な専門科へ紹介してもらうことも可能です。
以下の症状がある場合は1週間以内を目安に早めの受診を検討してください。しこりが2〜4週間以上縮小しない・急速に大きくなる、複数箇所でリンパ節が腫れている、発熱・体重減少・夜間の大量発汗がある、口の中に治りにくい潰瘍がある、顔の動きや感覚に異常がある、などが挙げられます。
粉瘤は皮膚の下にできる丸いしこりで、中心部に黒い点(開口部)が見えることがあり、感染すると赤く腫れて痛みが生じます。脂肪腫は柔らかく指に吸い付くような感触で、痛みはほとんどありません。ただし、外見だけでの確実な判別は難しいため、アイシークリニックなどの医療機関で超音波検査などを受けて診断してもらうことをおすすめします。
医療機関では問診・触診をはじめ、超音波検査(エコー)・CT検査・MRI検査・血液検査などを組み合わせて評価します。それでも診断がつかない場合や悪性が強く疑われる場合は、しこりに針を刺して細胞を採取する「穿刺吸引細胞診」や、組織を切除して調べる「生検」が行われます。これらの検査結果をもとに、正確な診断と治療方針が決定されます。
✨ まとめ
顎のしこりが動くと感じた場合、その原因は多岐にわたります。最も多いのはリンパ節腫脹や粉瘤・脂肪腫など良性の疾患ですが、悪性リンパ腫・転移性リンパ節・口腔がん・唾液腺がんなどの悪性腫瘍が隠れている可能性もゼロではありません。
「しこりが動くから大丈夫」と自己判断して放置することは避け、以下のポイントを意識して対応することが大切です。
- しこりに気づいたら、まずは1〜2週間の経過を観察する
- 2〜4週間以上縮小しない、または大きくなる・全身症状を伴う場合は速やかに受診する
- 受診先に迷ったら、まずは耳鼻咽喉科か皮膚科への相談がおすすめ
- 喫煙・飲酒習慣がある方や口の中に異常を感じている方は特に早めの受診を
早期発見・早期治療は、どのような疾患においても治療成績の改善につながります。顎の周辺に気になるしこりを感じたら、ためらわずに専門の医療機関を受診することをおすすめします。アイシークリニック新宿院では、患者さんの不安に寄り添いながら、適切な診察・検査・治療のご案内を行っています。顎のしこりについてご不安な方は、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 粉瘤(表皮嚢腫)および脂肪腫の診断基準・治療方針に関するガイドライン情報。記事内の粉瘤・脂肪腫の特徴や外科的摘出治療の説明の根拠として参照。
- 厚生労働省 – がん対策に関する公式情報。記事内の悪性リンパ腫・口腔がん・唾液腺がんなど悪性腫瘍の早期発見・早期治療の重要性に関する説明の根拠として参照。
- 日本形成外科学会 – 皮下腫瘍(粉瘤・脂肪腫・線維腫・神経鞘腫など)の診断および形成外科的治療に関する情報。記事内の良性腫瘍の種類・特徴・手術治療の説明の根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
