耳下腺のしこりは何科を受診?原因・症状・治療法を解説

👂 耳の下や頬のあたりにしこりを感じて不安になっていませんか?

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こんなお悩みありませんか?

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✅ 痛みはないけど、なんか気になる
✅ もしかして悪性腫瘍?と怖くて調べられない

🚨 放置すると危険なことも…

耳下腺のしこりは原因によって対処法がまったく異なります。
良性腫瘍・悪性腫瘍・ウイルス感染など、自己判断は危険!
「痛くないから大丈夫」は大きな誤解です。

💡 この記事を読むとわかること

📌 しこりの良性・悪性の見分け方ポイント
📌 何科を受診すればいいかがすぐわかる
📌 検査・治療の流れと放置した場合のリスク


目次

  1. 耳下腺とはどんな器官か
  2. 耳下腺にしこりができる主な原因
  3. 良性と悪性のしこりの違い・見分け方のポイント
  4. 耳下腺のしこりに伴う症状
  5. 何科を受診すればよいか
  6. 診断に使われる検査の種類
  7. 治療法について
  8. 耳下腺のしこりを放置するリスク
  9. 日常生活での注意点・予防策
  10. まとめ

この記事のポイント

耳下腺のしこりは炎症・良性腫瘍・悪性腫瘍が原因となり、受診科は耳鼻咽喉科が適切。痛みがなくても放置は禁物で、顔面神経麻痺や急速な増大がある場合は速やかに専門医を受診することが重要。

💡 耳下腺とはどんな器官か

耳下腺は、私たちの体にある「唾液腺」のなかで最も大きな腺組織です。左右それぞれの耳の前方から下方にかけて位置しており、食事のときに唾液を分泌して消化を助ける役割を担っています。唾液腺は耳下腺のほかに、顎下腺(がっかせん)と舌下腺(ぜっかせん)があり、これらをまとめて「三大唾液腺」と呼びます。

耳下腺が分泌する唾液は主にサラサラとした漿液性(しょうえきせい)のもので、食べ物のでんぷんを分解するアミラーゼという酵素を含んでいます。1日に分泌される唾液の量は1〜1.5リットルともいわれており、そのうち耳下腺は約25〜35%を担当しています。

耳下腺の中には顔面神経が走っており、この神経は表情をつくる筋肉(表情筋)を動かすための重要な神経です。そのため、耳下腺に腫瘍や炎症が生じると、顔面神経に影響が及ぶことがあり、治療においても顔面神経の保護が非常に重要なポイントになります。

耳下腺は普段は外から触れても目立ちませんが、炎症や腫瘍が生じると腫れやしこりとして認識されるようになります。特に、耳たぶの前方や下方のあたりに硬さや盛り上がりを感じたときは、耳下腺に何らかの変化が起きているサインかもしれません。

Q. 耳下腺にしこりができる主な原因は何ですか?

耳下腺のしこりの原因は「炎症性」「良性腫瘍」「悪性腫瘍」の3種類に大別されます。炎症性にはムンプスウイルスによるおたふく風邪や細菌性耳下腺炎、唾石症が含まれます。良性腫瘍では多形腺腫やワルチン腫瘍が代表的で、悪性腫瘍は耳下腺腫瘍全体の約20〜25%を占めます。

📌 耳下腺にしこりができる主な原因

耳下腺のしこりの原因は多岐にわたります。大きく分けると「炎症性」「腫瘍性(良性)」「腫瘍性(悪性)」の3種類があります。それぞれの特徴を理解しておくことで、自分の症状がどのカテゴリに近いかをある程度把握できるようになります。

✅ 耳下腺炎(流行性・非流行性)

耳下腺炎は、耳下腺に炎症が起こることで腫れやしこりが生じる病態です。最も知られているのは「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)」で、ムンプスウイルスへの感染が原因です。主に小児期に多く見られますが、成人でも感染することがあります。両側の耳下腺が腫れることが多く、発熱を伴うのが特徴です。

一方、細菌感染による化膿性(急性)耳下腺炎は、口腔内の細菌が唾液の流れの滞りによって耳下腺に逆行して感染することで起こります。片側だけが腫れることが多く、強い痛みと発熱を伴います。全身の免疫力が低下しているとき、口腔内の衛生状態が悪いとき、脱水状態のときなどに起こりやすい傾向があります。

📝 唾石症(だせきしょう)

唾石症とは、唾液の流れる管(唾液腺管)の中にカルシウムなどのミネラルが固まって石のようになる病態です。耳下腺よりも顎下腺に多く見られますが、耳下腺にも生じることがあります。唾石が唾液の流れを妨げると、食事中に耳下腺が腫れて痛む「食事性疼痛(しょくじせいとうつう)」が起こるのが特徴です。食事が終わって時間が経つと腫れが引くことも多く、この繰り返しの症状が唾石症の大きなサインとなります。

🔸 耳下腺の良性腫瘍

耳下腺に生じる腫瘍の中で最も多いのが良性腫瘍です。代表的なものとして以下の2つが挙げられます。

一つ目は「多形腺腫(たけいせんしゅ)」で、耳下腺腫瘍全体の約60〜70%を占めるとされています。耳たぶの下あたりに硬めのしこりとして触れることが多く、ゆっくりと成長するのが特徴です。痛みがないことが多いため、長期間気づかれないこともあります。良性とはいえ、長期間放置すると悪性化するリスクがあるため、定期的な経過観察や手術による切除が推奨されます。

二つ目は「ワルチン腫瘍(乳頭状嚢胞腺腫)」で、耳下腺腫瘍の中で多形腺腫に次いで多く見られます。中高年の男性に多く、喫煙との関連が指摘されています。柔らかめのしこりで、両側性(左右どちらにも)に生じることがあるのが特徴です。悪性化することはまれですが、経過観察や手術が必要になることがあります。

⚡ 耳下腺の悪性腫瘍(耳下腺がん)

耳下腺に生じる悪性腫瘍は、唾液腺がんの一種です。耳下腺腫瘍全体の約20〜25%が悪性とされています。悪性腫瘍の種類は多く、粘表皮がん(ねんひょうひがん)、腺様嚢胞がん(せんようのうほうがん)、腺房細胞がん、腺がんなどがあります。それぞれ悪性度や症状が異なりますが、急速に大きくなるしこり、顔面神経麻痺、皮膚への固着などが悪性を疑うサインとなります。

🌟 リンパ節の腫れ

耳下腺の周囲にはリンパ節が存在するため、風邪や口腔内の炎症、皮膚感染などによってリンパ節が腫れると、耳下腺のしこりと間違えられることがあります。細菌感染や結核、悪性リンパ腫によるリンパ節腫脹も耳下腺周囲のしこりとして現れることがあります。

💬 その他の原因

その他にも、サルコイドーシス(全身性の肉芽腫性疾患)やシェーグレン症候群(自己免疫疾患)、HIV感染などによって耳下腺が腫れたり、しこりが生じたりすることがあります。また、皮膚の直下にできる粉瘤(ふんりゅう)や脂肪腫が耳下腺周囲に生じた場合も、耳下腺のしこりと混同されることがあります。

✨ 良性と悪性のしこりの違い・見分け方のポイント

耳下腺のしこりを見つけたとき、最も気になるのが「良性か悪性か」という点ではないでしょうか。自己判断で確定することはできませんが、いくつかの特徴的なサインが参考になります。ただし、これらはあくまでも目安であり、正確な診断には必ず医療機関での検査が必要です。

良性腫瘍の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。しこりが柔らかい、もしくは硬いがよく動く(可動性がある)、皮膚や周囲の組織との癒着がない、ゆっくりと成長している、痛みがない、顔面神経に症状が出ていない、などです。良性のしこりは表面がなめらかで、圧迫しても動くことが多いとされています。

一方、悪性腫瘍を疑うサインとしては以下のようなものがあります。しこりが短期間で急速に大きくなっている、硬くて周囲の組織に固着している(動かない)、顔面神経麻痺(口角が下がる、目が閉じにくいなど)が生じている、しこりの表面が凸凹している、痛みや圧痛がある、リンパ節が腫れている、皮膚が赤くなったり潰れたりしている、などです。

特に顔面神経麻痺は、耳下腺内に顔面神経が走っているため、悪性腫瘍が神経に浸潤していることを示す重要なサインです。顔の動きに違和感を覚えた場合は、早急に受診することが大切です。

なお、しこりの大きさや硬さだけで良性・悪性を判断することは非常に難しく、外見や触り心地からは専門家でも断言できないことが多いです。そのため、耳下腺にしこりを感じたら、自己判断せずに専門医を受診することが最も重要です。

Q. 耳下腺のしこりで悪性を疑うサインは何ですか?

耳下腺のしこりで悪性を疑う主なサインは、短期間での急速な増大、周囲の組織への固着(動かない)、顔面神経麻痺(口角が下がる・目が閉じにくい)、表面の凸凹、リンパ節の腫れなどです。特に顔面神経麻痺は悪性腫瘍が神経に浸潤している可能性を示す重要な所見であり、速やかな受診が必要です。

🔍 耳下腺のしこりに伴う症状

耳下腺のしこりに伴う症状は、原因によってさまざまです。ここでは代表的な症状をいくつか紹介します。

✅ 痛みや圧痛

炎症性のしこり(耳下腺炎や唾石症)では、しこりを押したときの痛みや自発痛が生じることが多いです。感染性耳下腺炎の場合は、腫れが強く、触れるだけで強い痛みを感じることもあります。一方、良性腫瘍の場合は痛みがないことが多く、悪性腫瘍でも初期段階では無痛のことがあります。しこりに痛みがないからといって安全とは限らないため、注意が必要です。

📝 腫れと硬さ

耳下腺炎の場合は、腺全体がびまん性(広範囲に)に腫れることが多く、境界がはっきりしないことが特徴です。腫瘍の場合は、比較的境界が明確なしこりとして触れます。良性腫瘍は弾力性があり滑らかな表面のことが多く、悪性腫瘍は硬くて周囲に固着していることがあります。

🔸 発熱・全身倦怠感

おたふく風邪や化膿性耳下腺炎などの感染性疾患では、発熱や全身の倦怠感(だるさ)を伴うことがあります。おたふく風邪では38〜39度程度の発熱が数日続くことがあります。腫瘍性のしこりでは、通常は発熱を伴いません。

⚡ 口が開けにくい・飲み込みにくい

耳下腺の腫れが著しい場合や、腫瘍が大きくなった場合には、口を大きく開けることが困難になったり、食事の際に飲み込みにくさを感じたりすることがあります。

🌟 顔面神経麻痺

前述のとおり、耳下腺内に顔面神経が走っているため、腫瘍が神経に影響を与えると顔面神経麻痺が起こることがあります。具体的には、口角が一方向に引っ張られる、目が完全に閉じられない、額にしわが寄らない、などの症状が現れます。これは悪性腫瘍を強く疑わせるサインであり、早急な受診が必要です。

💬 食事との関連(唾石症特有)

唾石症では、食事を始めると唾液の分泌が促進されるため、腺が腫れて痛みが生じ、食後しばらくすると腫れが引くというパターンを繰り返すことがあります。この特徴的なパターンは唾石症を疑う重要な手がかりとなります。

💪 何科を受診すればよいか

耳下腺のしこりに気づいた場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方は多いと思います。結論からいうと、耳鼻咽喉科(耳鼻科)が最も適した診療科です。

耳鼻咽喉科では、耳・鼻・口・のど・頸部(首回り)を専門的に診る科であり、唾液腺疾患についても豊富な知識と経験を持つ医師が多くいます。特に唾液腺腫瘍や唾液腺炎の診断・治療は耳鼻咽喉科の専門領域です。

また、耳下腺腫瘍の手術は頭頸部外科(頭頸部腫瘍外科)でも行われます。頭頸部外科は耳鼻咽喉科の中でも特に頭部・頸部の腫瘍を専門に扱う領域で、大学病院や総合病院に設置されていることが多いです。

まずはかかりつけ医や近くの内科・外科を受診して紹介状をもらい、専門科につないでもらう方法もあります。また、しこりが耳下腺由来なのか、皮膚やリンパ節由来なのかを判断するためにも、まず耳鼻咽喉科での診察が有効です。

顔面神経麻痺を伴う場合や、しこりが急速に大きくなっている場合、強い痛みや発熱を伴う場合は、なるべく早急に受診することをおすすめします。特に顔面神経麻痺は、神経が圧迫・浸潤されているサインである可能性があり、時間的猶予が少ないこともあります。

なお、アイシークリニック新宿院では皮膚のしこりや体表の腫瘤についての相談も受け付けていますので、まずは気軽にご相談いただくことができます。

Q. 耳下腺の良性腫瘍はどのように治療しますか?

耳下腺の良性腫瘍(多形腺腫・ワルチン腫瘍など)の治療は、基本的に手術による摘出です。多形腺腫は放置すると悪性化するリスクがあるため、診断後は手術が推奨されます。手術は顔面神経を温存しながら腫瘍を摘出する「耳下腺部分切除術」または「耳下腺全摘術」が行われます。早期に摘出するほど手術の難易度と神経へのリスクを低減できます。

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🎯 診断に使われる検査の種類

耳下腺のしこりを診断するためには、いくつかの検査が行われます。ここでは代表的な検査方法を紹介します。

✅ 問診・視診・触診

まず医師が行うのは、詳細な問診(いつから、どのように気づいたか、痛みや他の症状があるかなど)と、目で見て確認する視診、実際に触れて確認する触診です。しこりの位置、大きさ、硬さ、可動性、表面の状態、圧痛の有無などを確認します。また、口腔内の状態や顔面神経の機能(顔の動き)も確認します。これらの基本的な診察から、次に行うべき検査の方向性が決まります。

📝 超音波検査(エコー検査)

超音波検査は、放射線被曝がなく、痛みもないため、耳下腺のしこりの初期評価として広く使われています。しこりの大きさや形、内部の性状(充実性か嚢胞性か)、血流の状態などを観察できます。良性と悪性を完全に区別することはできませんが、腫瘍の大まかな性質を評価するのに有用です。また、唾石症では石の位置を確認するのにも使われます。

🔸 CT検査・MRI検査

CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)は、腫瘍の大きさ、周囲の組織との関係、リンパ節転移の有無などをより詳細に評価するために使われます。MRIは軟部組織のコントラストが優れており、腫瘍の性状評価に特に有用とされています。また、顔面神経との関係を評価するためにも重要です。CT検査は石灰化(唾石)の検出にも優れています。

⚡ 細胞診(穿刺吸引細胞診)

細い針を使ってしこりから細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査です。「穿刺吸引細胞診(FNAC:Fine Needle Aspiration Cytology)」と呼ばれ、耳下腺腫瘍の性質(良性・悪性)を術前に評価するために広く行われています。局所麻酔を使わずに行われることも多く、比較的簡便な検査です。ただし、採取できる細胞の量が少ないため、確定診断には限界があり、手術後の病理検査(組織診)で最終的な診断がなされます。

🌟 血液検査

感染性耳下腺炎が疑われる場合は、白血球数やCRP(炎症反応)などの炎症マーカーを確認するために血液検査が行われます。おたふく風邪(ムンプス)の場合は、血清ムンプス抗体価の測定が診断に役立ちます。また、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患が疑われる場合には、自己抗体(抗SS-A抗体、抗SS-B抗体など)の検査も実施されます。

💬 唾液腺造影検査

唾液腺の管(ステノン管)に造影剤を注入し、X線で管の形態や閉塞の有無を確認する検査です。主に唾石症や慢性耳下腺炎の診断に使われることがありますが、CT・MRIの普及により、現在では以前ほど頻繁には行われなくなっています。

💡 治療法について

耳下腺のしこりの治療法は、その原因によって大きく異なります。ここでは主な疾患ごとの治療方針を解説します。

✅ 耳下腺炎の治療

おたふく風邪(ムンプス)はウイルス感染であるため、特効薬はなく、基本的には安静・十分な水分補給・解熱鎮痛薬による対症療法が中心です。多くの場合、1〜2週間で自然に回復します。ただし、合併症として難聴(片側性感音性難聴)、髄膜炎、精巣炎(男性)、膵炎などが起こる可能性があるため、注意が必要です。

化膿性(細菌性)耳下腺炎では、抗菌薬(抗生物質)による治療が行われます。膿が溜まって膿瘍を形成している場合は、切開して排膿する処置が必要になることもあります。口腔内の清潔を保つこと、十分な水分摂取で唾液の流れを促すことも重要です。

📝 唾石症の治療

唾石症の治療は、石の位置や大きさによって異なります。唾液腺管の開口部近くにある小さな石は、マッサージや水分摂取、唾液分泌を促す処置で自然排出することがあります。体外衝撃波砕石術(ESWL)で石を砕いて排出させる方法や、内視鏡(唾液腺内視鏡)を使って直接石を取り除く低侵襲な手術も行われるようになっています。石が大きい場合や繰り返す場合は、耳下腺ごと摘出する手術が選択されることもあります。

🔸 良性腫瘍の治療

耳下腺の良性腫瘍(多形腺腫・ワルチン腫瘍など)の治療は、基本的に手術による摘出です。多形腺腫は長期間放置すると悪性化(多形腺腫由来がん)するリスクがあることから、診断後は手術が推奨されます。手術は「耳下腺部分切除術」または「耳下腺全摘術」が行われ、顔面神経を温存しながら腫瘍を摘出します。顔面神経の保護は手術で最も重要な課題であり、術中に神経を同定しながら慎重に操作が行われます。

ワルチン腫瘍の場合、悪性化リスクは非常に低いとされており、高齢で手術リスクが高い場合などは経過観察が選択されることもありますが、一般的には手術摘出が行われます。

⚡ 悪性腫瘍の治療

耳下腺の悪性腫瘍(耳下腺がん)の治療は、手術を中心に行われます。基本的には耳下腺全摘術が行われ、リンパ節転移がある場合は頸部郭清術(首のリンパ節を取り除く手術)も同時に行われます。腫瘍が神経に浸潤している場合は、顔面神経の切除が必要になることがあり、その場合は神経再建(移植)も検討されます。

手術後は、悪性度や切除断端の状況に応じて放射線療法が追加されます。化学療法(抗がん剤)については、唾液腺がんは一般的に抗がん剤への感受性がやや低いとされており、補助的に使用されることが多いです。近年は分子標的薬の研究も進んでいます。

耳下腺がんは種類によって悪性度が大きく異なります。比較的おとなしいタイプ(低悪性度)のものから、進行が速く予後が悪いタイプ(高悪性度)まであります。早期発見・早期治療が予後を大きく左右するため、異常を感じたら早めに受診することが重要です。

Q. 耳下腺の病気を日常生活で予防する方法は?

耳下腺の病気の予防には複数のアプローチが有効です。化膿性耳下腺炎には毎日の丁寧な歯磨きと定期的な歯科健診による口腔衛生管理が効果的です。唾石症予防には十分な水分摂取で唾液の流れを保つことが重要です。おたふく風邪はMMRワクチンで予防でき、ワルチン腫瘍のリスク低減には禁煙が推奨されています。

📌 耳下腺のしこりを放置するリスク

耳下腺のしこりは、痛みがない場合や小さい場合には「様子を見よう」と放置してしまいがちです。しかし、しこりを長期間放置することにはいくつかのリスクがあります。

まず、良性腫瘍であっても放置することで腫瘍が大きくなり、手術が複雑になる可能性があります。特に多形腺腫は、長年放置すると「多形腺腫由来がん(悪性多形腺腫)」に変化するリスクがあります。早い段階で摘出すれば比較的小さな手術で済むところが、大きくなってから手術すると顔面神経への影響が大きくなり、術後の顔面神経麻痺リスクも高まります。

次に、悪性腫瘍の場合は放置することで腫瘍が周囲の組織へ浸潤したり、リンパ節や遠隔臓器(肺・骨など)への転移が起こったりするリスクが高まります。がんは早期に発見・治療するほど治療成績が良く、生活の質も保ちやすいため、早期受診が非常に重要です。

また、感染性耳下腺炎を放置した場合、炎症が悪化して膿瘍(膿の溜まり)を形成したり、炎症が周囲に広がったりすることがあります。特に免疫力が低下している方や高齢者、糖尿病の方などでは重症化するリスクが高く、入院が必要になることもあります。

さらに、おたふく風邪の場合は放置することで合併症(難聴、髄膜炎など)が生じるリスクがあります。特に成人でのおたふく風邪は合併症が重篤になりやすいことが知られています。

「しこりが小さいから大丈夫」「痛くないから問題ない」と自己判断することは危険です。早めに専門医を受診して正確な診断を受けることが、将来的な合併症や治療の複雑化を防ぐための最善策です。

✨ 日常生活での注意点・予防策

耳下腺の病気すべてを予防することは難しいですが、日常生活での習慣や心がけによってリスクを減らすことができるものもあります。

🌟 口腔内の衛生管理

化膿性耳下腺炎の予防には、口腔内の清潔を保つことが重要です。毎日の歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯科健診を受けることで、口腔内の細菌の増殖を抑えることができます。特に高齢者や入院中の患者さんでは口腔ケアが疎かになりやすいため、注意が必要です。

💬 十分な水分摂取

唾液は水分から作られるため、脱水状態になると唾液の分泌が減り、唾液腺内の細菌繁殖リスクや唾石形成リスクが高まります。1日を通して適切な水分(水やお茶など)を摂ることが、唾液腺の健康維持に役立ちます。特に夏場や体を動かすときは意識的に水分補給を行いましょう。

✅ 喫煙の習慣について

ワルチン腫瘍と喫煙の関連が指摘されており、喫煙者は非喫煙者に比べてワルチン腫瘍のリスクが高いとされています。禁煙は耳下腺腫瘍だけでなく、口腔がんや肺がんなどのリスク低下にもつながるため、健康全体の観点からも禁煙を検討することが大切です。

📝 予防接種の活用

おたふく風邪(ムンプス)については、ワクチン(MMRワクチン:麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の混合ワクチン)による予防が可能です。日本では任意接種となっていますが、接種歴がない方や免疫が不十分な方は接種を検討することが勧められます。ムンプスワクチンは接種後の難聴合併症のリスクを大幅に下げる効果があります。

🔸 定期的な自己チェックと早期受診

入浴中や洗顔の際に、顔・首・耳周辺のしこりや腫れがないかを定期的にチェックする習慣をつけることが大切です。しこりを見つけたら、まず大きさや硬さ、痛みの有無を観察し、2〜4週間経っても消えない場合や大きくなる場合は早めに受診しましょう。「気になるけど受診するほどでもないかな」と先延ばしにせず、気になったら早めに専門家に相談することが大切です。

⚡ 全身の健康管理

免疫力の低下は感染性耳下腺炎のリスク因子となります。規則正しい生活(十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動)を心がけることで免疫機能を維持することが、感染症全般の予防につながります。また、糖尿病などの基礎疾患がある方は、血糖コントロールが感染リスクに影響するため、持病の管理もしっかり行うことが重要です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、耳下腺のしこりを「痛みがないから大丈夫」と長期間放置した後に受診される患者様が少なくなく、早期であれば小さな手術で済んだケースも見受けられます。耳下腺のしこりは良性腫瘍から悪性腫瘍まで原因が多岐にわたり、見た目や触れた感触だけでの自己判断は非常に難しいため、気になるしこりを発見した際はぜひお早めにご相談ください。特に顔の動きに違和感を覚えたり、しこりが急速に大きくなっていると感じたりする場合は、できる限り速やかに受診されることをお勧めします。

🔍 よくある質問

耳下腺のしこりは何科を受診すればよいですか?

耳鼻咽喉科(耳鼻科)への受診が最も適しています。耳鼻咽喉科は唾液腺疾患の診断・治療を専門とする診療科です。大きな腫瘍が疑われる場合は、大学病院や総合病院の頭頸部外科で対応することもあります。まずはかかりつけ医に相談し、紹介状をもらう方法もあります。

耳下腺のしこりが良性か悪性かを見分けるポイントは?

しこりが短期間で急速に大きくなる、周囲の組織に固着して動かない、顔面神経麻痺(口角が下がる・目が閉じにくいなど)が生じている場合は悪性を疑うサインです。ただし、外見や触り心地だけでの判断は専門家でも難しいため、必ず医療機関で検査を受けることが重要です。

耳下腺のしこりを放置するとどうなりますか?

良性腫瘍でも放置すると悪性化するリスクがあります。特に多形腺腫は長期間放置すると「多形腺腫由来がん」に変化する可能性があります。また腫瘍が大きくなるほど手術が複雑になり、顔面神経麻痺のリスクも高まります。悪性腫瘍の場合はリンパ節や遠隔転移のリスクも増すため、早期受診が大切です。

耳下腺のしこりの診断にはどんな検査が行われますか?

問診・視診・触診のほか、超音波検査(エコー)、CT・MRI検査、細い針で細胞を採取する穿刺吸引細胞診(FNAC)などが行われます。感染が疑われる場合は血液検査も実施されます。最終的な確定診断は手術後の病理検査で行われることが一般的です。

耳下腺の病気を予防するために日常生活でできることはありますか?

化膿性耳下腺炎の予防には、毎日の丁寧な歯磨きや定期的な歯科健診など口腔内の衛生管理が有効です。また十分な水分摂取で唾液の流れを保つことも大切です。おたふく風邪はMMRワクチンで予防できます。ワルチン腫瘍のリスク低減には禁煙が推奨されています。気になるしこりを発見したら早めにご相談ください。

💪 まとめ

耳下腺のしこりは、感染・炎症から良性腫瘍、悪性腫瘍まで、さまざまな原因で生じる可能性があります。原因によって症状や治療法が大きく異なるため、自己判断は禁物です。

しこりが痛くない場合や小さい場合でも、放置することで悪化したり、治療が複雑になったりするリスクがあります。特に、しこりが急速に大きくなっている、顔面神経麻痺が生じている、皮膚への固着がある、リンパ節も腫れているなどの症状がある場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

また、耳下腺炎などの感染性疾患はワクチン接種や口腔ケア・水分摂取などで予防・リスク低減できる面もあります。日頃から自分の体の変化に気を配り、気になることがあれば早めに専門医に相談することが、健康を守る上で非常に大切です。アイシークリニック新宿院でも、顔や首まわりのしこりについてのご相談を受け付けております。一人で悩まずにお気軽にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 国立感染症研究所 – 流行性耳下腺炎(おたふく風邪・ムンプス)の原因ウイルス・感染経路・合併症・ワクチンによる予防に関する情報
  • 厚生労働省 – 感染症対策・予防接種(MMRワクチン含む)に関する公式情報および耳下腺炎を含む感染症全般の疾患情報
  • PubMed – 耳下腺腫瘍(多形腺腫・ワルチン腫瘍・悪性腫瘍)の診断・治療・細胞診・手術に関する国際的な医学文献・エビデンス情報

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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