顎のラインを押すと痛い原因は?考えられる病気と対処法を解説

🦷 顎のラインを押すと痛い…その原因、放置すると危険かもしれません。

「少し押すと痛い程度だから大丈夫」——その判断が手遅れにつながることも。

この記事を読めば、顎の痛みの本当の原因と、いま自分がどのレベルで受診すべきかがわかります。

💬 「どうせ疲れからくるものでしょ?」 と思っているあなたへ——顎まわりの痛みは、顎関節症・歯科系疾患・リンパ節の腫れ・唾液腺の炎症など、原因が1つとは限りません。

2週間以上続く・発熱を伴う・しこりがある場合は要注意! 早めの受診が必要なサインです。

🚨 読まないと起こること

  • 原因を特定できず、症状が悪化する可能性がある
  • 受診する診療科を間違えて時間・お金を無駄にする
  • 悪性疾患のサインを見逃してしまうリスクがある

✅ この記事でわかること

  • 📌 顎の痛みの主な原因と見分け方
  • 📌 どの診療科を受診すればいいか
  • 📌 今日からできるセルフケアと対処法
  • 📌 すぐに病院に行くべき危険なサイン

目次

  1. 顎のラインの構造を知っておこう
  2. 顎のラインを押すと痛い主な原因
  3. 顎関節症とは——もっとも多い原因の一つ
  4. 歯科系疾患が顎の痛みを引き起こすケース
  5. リンパ節の腫れによる顎の痛み
  6. 唾液腺の炎症(顎下腺炎・耳下腺炎)
  7. 筋肉・筋膜の問題による痛み
  8. その他に考えられる原因
  9. 受診すべき診療科の選び方
  10. 日常生活でできる対処法とセルフケア
  11. こんな症状があれば早急に受診を
  12. まとめ

この記事のポイント

顎のラインを押すと痛い原因は、顎関節症・歯科系疾患・リンパ節腫脹・唾液腺炎・筋肉緊張など多岐にわたる。2週間以上続く場合や発熱・しこり・しびれを伴う場合は速やかに医療機関を受診することが重要。

💡 顎のラインの構造を知っておこう

顎のラインとは、一般的に下顎(かがく)の輪郭に沿った部分を指します。解剖学的には、下顎骨という骨が顔の下部を形成しており、その外側には咬筋(こうきん)や顎二腹筋(がくにふくきん)などの筋肉が走っています。また、顎の内側には顎下腺(がっかせん)と呼ばれる唾液腺が存在し、さらにリンパ節も多数集まっている場所です。

顎のラインに沿って走行する神経としては、三叉神経(さんさしんけい)の枝が関係しており、歯や歯茎、舌、頬の内側などの感覚を担っています。そのため、歯や口腔内の問題が顎のラインの痛みとして現れることも珍しくありません。

このように、顎のラインにはさまざまな組織が密集しているため、どの組織に問題が起きているかによって、痛みの性質や場所が微妙に異なります。押したときに痛む部位が顎の角(エラの部分)なのか、顎の前方なのか、あるいは耳の近くなのかによって、原因をある程度絞り込むことが可能です。

Q. 顎関節症の主な症状と原因を教えてください

顎関節症は成人の約10〜15%に見られ、特に20〜30代の女性に多い疾患です。主な症状は顎を動かしたときの痛み、口の開閉時のクリック音、開口障害の3つです。歯ぎしり・食いしばり・ストレスによる筋肉の緊張・不正咬合などが主な原因で、顎のエラ付近を押すと強い圧痛を感じることが特徴です。

📌 顎のラインを押すと痛い主な原因

顎のラインを押すと痛みが生じる原因は、大きく以下のカテゴリーに分けられます。

まず、顎関節や咀嚼筋に関連するもの。次に、歯科的な問題(虫歯・智歯周囲炎・歯根嚢胞など)に関連するもの。そして、リンパ節や唾液腺の炎症、あるいは筋肉や筋膜の問題、さらに神経性の疾患や腫瘍性病変なども可能性として考えられます。

ズキズキとした拍動性の痛みは炎症や感染症を疑い、鈍く重い痛みは筋肉や関節の問題を示唆することが多いです。押したときだけ痛む場合や、何もしなくても痛みがある場合、食事のときに悪化する場合など、痛みのパターンを記録しておくと受診の際に役立ちます

✨ 顎関節症とは——もっとも多い原因の一つ

顎のラインを押すと痛い原因として、もっとも頻度が高いのが顎関節症(がくかんせつしょう)です。顎関節症とは、顎関節(耳の前方に位置する関節)や、咀嚼に関わる筋肉に何らかの問題が生じた状態の総称です。日本顎関節学会の調査によれば、顎関節症の有病率は成人の約10〜15%に及ぶとされており、特に20〜30代の女性に多い傾向があります。

顎関節症の主な症状は、顎を動かしたときの痛み、口を開けるときのクリック音(カクカクという音)、口が開きにくいといった開口障害の三つです。これらに加えて、顎のラインや耳の前あたりを押すと痛みを感じることも多くあります。

顎関節症の原因は多岐にわたります。歯ぎしりや食いしばりの習慣、不正咬合(かみ合わせの問題)、ストレスによる筋肉の緊張、頬杖をつく癖、硬いものを食べ続けることによる関節への過負荷などが挙げられます。特に現代社会ではストレスを抱えた人が多く、就寝中の歯ぎしりや覚醒中の食いしばりによって顎関節や周囲の筋肉に慢性的な負担がかかるケースが増えています。

顎関節症は、咬筋(エラの部分の筋肉)が関与していることが多く、この筋肉を押すと強い圧痛を感じることがあります。また、顎関節内部にある関節円板(かんせつえんばん)と呼ばれる軟骨様の組織がずれてしまうと、口の開閉時に痛みや音が生じやすくなります。

治療法としては、マウスピース(スプリント療法)による顎関節への負担軽減、鎮痛剤や筋弛緩剤の投与、理学療法(温熱療法・ストレッチ)、生活習慣の改善指導などが行われます。多くの場合は保存療法で改善しますが、関節円板の変位が著しい場合には関節内注射や手術が必要になることもあります。

Q. 顎のラインに硬いしこりがある場合、何が疑われますか?

顎のラインに硬いしこりが触れる場合、リンパ節腫脹・唾石(唾液腺結石)・腫瘍性病変などが考えられます。特に痛みを伴わず日々大きくなるしこりは、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫脹など腫瘍性病変の可能性があります。自己判断せず、速やかに耳鼻咽喉科または口腔外科を受診することが重要です。

🔍 歯科系疾患が顎の痛みを引き起こすケース

歯や歯茎に関わる疾患も、顎のラインの痛みとして現れることがあります。代表的なものをいくつかご紹介します。

✅ 智歯周囲炎(親知らずの炎症)

親知らず(第三大臼歯)が正常に萌出できず、歯茎の下に埋まった状態や斜めに生えている状態では、周囲の歯茎に炎症が起きやすくなります。これを智歯周囲炎(ちしゅういえん)といいます。親知らずは顎のラインの後方(エラの内側あたり)に位置しているため、その周囲が腫れたり炎症を起こしたりすると、顎のラインを押したときに痛みを感じることがあります。

智歯周囲炎は急性期には強い痛みを伴い、口が開きにくくなる開口障害を引き起こすこともあります。さらに炎症が広がると顎下部や頸部に膿瘍(のうよう)を形成するリスクもあるため、早めの歯科受診が重要です。

📝 歯根嚢胞(しこんのうほう)

虫歯や歯の感染が歯の根元まで達すると、根尖部に嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の病変が形成されることがあります。これを歯根嚢胞といいます。長期間放置された歯根嚢胞は、下顎骨の内部に膨張しながら存在し続けることがあり、顎のラインを押したときに鈍い痛みや圧痛を感じさせることがあります。

小さな嚢胞では自覚症状がほとんどない場合もありますが、感染を伴うと急激に腫れや痛みが出現することがあります。治療は根管治療(こんかんちりょう)や嚢胞摘出術などが行われます。

🔸 歯周病による顎の痛み

進行した歯周病では、歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる歯を支える骨が溶けていきます。この状態で細菌感染が深部まで及ぶと、顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)という重篤な状態になることがあります。骨髄炎では顎のラインに沿って強い圧痛があり、発熱や腫脹を伴うことが多いです。これは緊急性の高い状態であり、速やかな医療機関への受診が必要です。

💪 リンパ節の腫れによる顎の痛み

顎のラインに沿って、顎下リンパ節(がっかリンパせつ)や顎下三角と呼ばれるエリアに複数のリンパ節が存在しています。これらのリンパ節は、口腔や咽頭、皮膚などからの感染や炎症に反応して腫れることがあります。

リンパ節が腫れた状態をリンパ節腫脹(りんぱせつしゅちょう)といい、この腫れたリンパ節を押すと痛みを感じます。顎のラインを触ってみたとき、小さなしこりのような硬いものが触れる場合、それがリンパ節の腫れである可能性があります

⚡ 急性リンパ節炎

風邪や扁桃炎、口腔内の感染症(歯茎の化膿、虫歯の悪化など)が引き金となって、顎下のリンパ節が急激に腫れることがあります。これを急性リンパ節炎といいます。急性リンパ節炎では、押したときの痛みが強く、皮膚が赤く腫れ上がることもあります。また、発熱を伴うことが多いのも特徴です。

原因となる感染症が治まれば、リンパ節の腫れも自然と引いていくことが多いですが、抗菌薬が必要なケースもあります

🌟 慢性リンパ節炎と悪性腫瘍

リンパ節の腫れが長期間(3〜4週間以上)続く場合や、腫れが徐々に大きくなっている場合、または押しても痛みがなく硬いしこりとして触れる場合には、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫脹など、腫瘍性の病変が疑われることがあります。こうした症状がある場合には、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが大切です。

🎯 唾液腺の炎症(顎下腺炎・耳下腺炎)

顎のライン内側に位置する顎下腺(がっかせん)や、耳の前下方に位置する耳下腺(じかせん)が炎症を起こすと、顎のラインを押したときに痛みを感じることがあります。

💬 顎下腺炎

顎下腺炎は、顎下腺に細菌やウイルスが感染することで起こる炎症です。また、唾液腺の導管(どうかん)に結石(唾石:だせき)が詰まることで唾液の流れが障害され、炎症が引き起こされるケースもあります。この場合、特に食事のときに顎のラインが腫れて痛みが強くなるという特徴的な症状が現れます。

唾石(唾液腺結石)はカルシウムを主成分とした石で、小さなものから数センチに及ぶものまであります。触診で顎の内側に硬いしこりとして触れることがあり、レントゲンやエコー検査で診断されます。治療は唾石の摘出が基本です。

✅ 耳下腺炎(流行性耳下腺炎:おたふく風邪)

ムンプスウイルスによる感染症であるおたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、主に小児に多い疾患ですが、成人でも罹患することがあります。耳の前下方から顎のラインにかけて腫れと痛みが現れるのが特徴で、両側性に発症することが多いです。発熱や倦怠感も伴います。成人では精巣炎や卵巣炎、難聴などの合併症が起きやすいとされており、注意が必要です。

Q. 顎の痛みで今すぐ受診すべき緊急症状は?

以下の症状がある場合は早急な受診が必要です。顎・頸部が急速に腫れて飲み込みや呼吸に支障が出た場合(顎下蜂巣炎の疑い)は生命に関わります。また38℃以上の発熱を伴う腫れ、顔・唇のしびれ、痛みのない硬いしこりの増大、体重減少を伴う顎の痛みなども、いずれも速やかな医療機関への受診が必要なサインです。

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💡 筋肉・筋膜の問題による痛み

顎のラインに沿って走る筋肉には、主に咬筋(こうきん)と顎二腹筋(がくにふくきん)があります。これらの筋肉に過緊張や筋膜の問題が生じると、圧痛が現れることがあります。

📝 咬筋の緊張・トリガーポイント

咬筋は食物を噛むためのもっとも重要な筋肉であり、顎のエラ(下顎角)にかけて走行しています。歯ぎしりや食いしばり、長時間の緊張した状態が続くと、咬筋に過緊張が生じ、筋内にトリガーポイント(筋肉内の過敏な硬結部位)が形成されることがあります。このトリガーポイントを押すと、鋭い痛みや遠隔部への関連痛が生じることがあります。

咬筋のトリガーポイントは、顎関節症の一部としても位置づけられており、温熱療法やストレッチ、トリガーポイント注射などで改善が見込まれます

🔸 顎二腹筋の問題

顎二腹筋は顎の内側を走る筋肉で、顎を下に引き下げる役割や舌骨を動かす役割を担っています。この筋肉が緊張したり炎症を起こしたりすると、顎の下(顎のライン内側)を押したときに痛みを感じることがあります頸部の姿勢不良や長時間のうつむき姿勢が関係することもあります

📌 その他に考えられる原因

⚡ 三叉神経痛

三叉神経は顔面の感覚を司る神経で、その枝が顎のラインにも分布しています。三叉神経痛では、特定の部位に触れたり、食事や会話、歯磨きなどの刺激が加わったりしたときに、電撃が走るような激しい痛みが瞬間的に生じます。この痛みは顎のラインに沿って感じられることがあり、触れるだけで激痛が走るため、生活の質に大きな影響を与えます。

三叉神経痛の原因として、血管が神経を圧迫している場合(神経血管圧迫)や、多発性硬化症、腫瘍による神経圧迫などが挙げられます。治療は薬物療法(カルバマゼピンなどの抗てんかん薬)や手術療法(微小血管減圧術)が行われます。

🌟 帯状疱疹(たいじょうほうしん)

水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することで引き起こされる帯状疱疹は、顔面の神経(三叉神経)に沿って発症することがあります。最初はピリピリとした痛みや違和感から始まり、数日後に赤い発疹や水疱が現れます。顎のラインに沿って一側性に皮疹が出る場合には帯状疱疹を疑います。早期の抗ウイルス薬投与が後遺症(帯状疱疹後神経痛)の予防に重要です。

💬 腫瘍性病変

下顎骨や周囲の軟部組織に良性・悪性の腫瘍が発生することがあります。良性腫瘍としては、下顎骨に生じるエナメル上皮腫(ameloblastoma)や骨腫などがあり、悪性腫瘍としては口腔癌(舌癌・歯肉癌など)の下顎への浸潤や、骨肉腫などが挙げられます腫瘍性病変は、圧痛に加えて顎の変形やしびれ感、歯の動揺などを伴うことがあり、疑わしい場合には画像検査や生検が必要です。

✅ 顎骨骨折

外傷によって顎の骨が骨折すると、骨折部位を押すと強い痛みが生じます。交通事故やスポーツ中の衝撃、転倒などが原因となります。骨折部位の腫れや出血、かみ合わせのずれなどが見られる場合は、骨折の可能性を念頭に置いて速やかに医療機関を受診してください

✨ 受診すべき診療科の選び方

顎のラインを押すと痛い場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。症状の特徴から、適切な診療科を選ぶ目安をご紹介します。

📝 歯科・口腔外科

親知らずや虫歯・歯周病に関連した痛み、顎関節症が疑われる場合は、まず歯科または口腔外科を受診することをお勧めします。顎関節症の専門的な診断・治療は口腔外科が得意としており、唾石症や顎骨に関連した病変も口腔外科で対応可能です。

🔸 耳鼻咽喉科

リンパ節の腫れ、唾液腺炎(耳下腺炎・顎下腺炎)、咽頭炎や扁桃炎に関連した顎の痛みがある場合は、耳鼻咽喉科が適切です。頸部のリンパ節全般の評価を行い、必要に応じてエコー検査や生検を行います。

⚡ 内科・小児科

風邪やインフルエンザ、おたふく風邪などのウイルス感染に伴うリンパ節腫脹や耳下腺炎の場合は、内科(成人)や小児科(子ども)での対応が一般的です。

🌟 神経内科・脳神経外科

三叉神経痛が疑われる場合は神経内科を、手術療法を検討する場合は脳神経外科への紹介が必要となります。帯状疱疹後神経痛なども神経内科や麻酔科(ペインクリニック)で対応します。

💬 皮膚科

顎のラインに発疹や水疱が出現している場合(帯状疱疹の疑い)は、皮膚科を受診してください。早期の抗ウイルス薬治療が重要です。

✅ 整形外科・リハビリテーション科

顎のラインの筋肉(咬筋など)の緊張や筋膜の問題が主体と考えられる場合は、整形外科やリハビリテーション科での理学療法が有効なことがあります。ただし、顎関節症の筋肉性の問題は口腔外科でも対応可能です。

「どこに行けばよいかわからない」という場合は、まずかかりつけ医(内科や総合診療科)を受診して、紹介状を書いてもらうという方法も有効です。

Q. 顎の痛みに対して自宅でできるセルフケアは?

慢性的な筋肉の緊張による顎の痛みには、ホットタオルで温める温罨法が効果的です。急性の腫れや熱感がある場合は冷やすことが適切です。食事は柔らかいものを選び、日中の食いしばりを意識的に控えることも重要です。これらはあくまで補助的な対処法であり、症状が2週間以上続く場合は医療機関を受診してください

🔍 日常生活でできる対処法とセルフケア

顎のラインの痛みに対して、医療機関を受診する前や、受診後の自宅ケアとして参考になるセルフケアをご紹介します。ただし、これらはあくまで補助的な対処法であり、原因疾患の根本的な治療を代替するものではありません

📝 温罨法(おんあんぽう)と冷罨法の使い分け

顎関節症や筋肉の緊張による慢性的な痛みには、温めることが効果的な場合が多いです。ホットタオルや温湿布を顎まわりに当てることで、血流が改善され筋肉がほぐれやすくなります。一方、急性の炎症(顎関節や周囲組織が腫れて熱感がある場合)には冷やすことが適切です。急性期には無理に温めず、冷却タオルや保冷剤をタオルで包んで当てるようにしましょう。

🔸 顎まわりのストレッチと筋肉ほぐし

顎関節症による筋肉の緊張には、顎まわりのストレッチが有効です。口を無理に大きく開けるのではなく、痛みが出ない範囲でゆっくりと開閉するストレッチを1日数回行います。また、指で咬筋(頬骨の下・顎のエラ付近)を円を描くようにマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。ただし、急性炎症がある場合にはマッサージは避けてください。

⚡ 食事内容の見直し

顎に痛みがある期間は、硬いものや大きく口を開けて食べる必要があるものは避けましょう。柔らかい食事(うどん、豆腐、ヨーグルト、スープ類など)を選ぶことで、顎への負担を軽減できます。また、片側だけで噛む習慣がある人は、両側でバランスよく噛むよう意識することが大切です。

🌟 歯ぎしり・食いしばりの予防

就寝中の歯ぎしりは自分では制御しにくいですが、日中の食いしばりには意識的に注意することができます。「上下の歯を触れさせない」という意識を持つだけで、顎への慢性的な負担を減らすことができます。ストレス管理や睡眠の質を改善することも、歯ぎしりの軽減につながります。歯科医院でマウスピースを作製してもらうことも非常に有効です。

💬 姿勢の改善

うつむいた姿勢やスマートフォンの長時間使用による頸部の前傾姿勢は、顎関節や咀嚼筋に余分な緊張をもたらします。デスクワーク中はパソコンの画面の高さを目線の高さに合わせ、頭が前に出ないように意識しましょう。定期的に首や肩のストレッチを行うことも効果的です。

✅ 市販の鎮痛剤の使用

一時的な痛みの緩和を目的として、市販の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるイブプロフェンやロキソプロフェン、あるいはアセトアミノフェンを使用することは、急性期の痛みを和らげる手助けになります。ただし、2週間以上続けても改善しない場合や、症状が悪化する場合は自己判断での服用を続けず、必ず医療機関を受診してください

💪 こんな症状があれば早急に受診を

顎のラインの痛みの多くは、一時的なもので自然に回復したり、セルフケアで改善したりすることがありますが、以下のような症状が見られる場合には、早急に医療機関を受診することが必要です。

まず、口が全く開かなくなった、あるいは急激に開口が制限された場合は緊急性があります顎の内側や頸部が急速に腫れ上がり、飲み込みに支障が出たり呼吸が苦しくなったりする場合(ルードヴィヒアンギーナなどの顎下蜂巣炎の可能性)は、生命の危機に直結する重篤な状態です。直ちに救急受診が必要です。

次に、顎のラインに触れていないのに激しい痛みが続く場合や、顔や唇のしびれが現れた場合は神経系の異常が疑われます。また、顎のラインに硬いしこりが触れ、痛みはないが日々大きくなっている場合には腫瘍性病変が疑われます

発熱(38℃以上)を伴う顎の腫れや痛みは細菌感染が進んでいる可能性があり、抗菌薬による早期治療が必要です体重の急激な減少と共に顎の痛みやしこりがある場合も、悪性疾患を疑うサインとなります

これらの症状は「もう少し様子を見よう」という判断をしてしまいがちですが、早めの受診が治療の予後に大きく影響します。少しでも不安を感じたら、遠慮なく医療機関に相談してください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、顎のラインの痛みを主訴に来院される患者さんのうち、顎関節症や咬筋の緊張が原因であるケースが多く、ストレスや食いしばりの習慣が背景にあることが少なくありません。最近の傾向として、スマートフォンやパソコンの長時間使用による姿勢の悪化が顎まわりの筋肉に慢性的な負担をかけているケースも増えており、生活習慣の見直しをあわせてご指導しています。「押すと少し痛い程度だから」と放置せず、発熱・しこり・しびれなどを伴う場合はもちろん、2週間以上症状が続く場合にもお気軽にご相談ください。

🎯 よくある質問

顎のラインを押すと痛い原因で最も多いものは何ですか?

最も頻度が高い原因は顎関節症です。成人の約10〜15%に見られ、特に20〜30代の女性に多い傾向があります。歯ぎしりや食いしばり、ストレスによる筋肉の緊張が主な要因で、顎のラインやエラ付近を押すと強い圧痛を感じることが特徴です。まずは歯科または口腔外科への受診をお勧めします。

顎のラインに硬いしこりを感じます。何が考えられますか?

顎のラインに硬いしこりが触れる場合、リンパ節の腫れや唾液腺の結石(唾石)、腫瘍性病変などが考えられます。特にしこりが痛みを伴わず、日々大きくなっている場合は悪性リンパ腫などの腫瘍性病変が疑われます。自己判断せず、速やかに耳鼻咽喉科や口腔外科を受診することが大切です。

顎の痛みは何科を受診すればよいですか?

症状によって適切な診療科が異なります。顎関節症や歯科系疾患が疑われる場合は歯科・口腔外科、リンパ節の腫れや唾液腺炎は耳鼻咽喉科、顎のラインに発疹や水疱がある場合は皮膚科が適切です。どこへ行くべか迷う場合は、かかりつけ医(内科・総合診療科)に相談して紹介状を書いてもらう方法も有効です。

顎の痛みに対して自宅でできるケアはありますか?

慢性的な筋肉の緊張による痛みにはホットタオルで温めることが効果的です。一方、急性の腫れや熱感がある場合は冷やしてください。また、硬い食事を避け、日中の食いしばりを意識的に控えることも重要です。ただしこれらはあくまで補助的な対処法であり、症状が2週間以上続く場合は医療機関を受診してください

顎の痛みで緊急に受診すべき症状はどれですか?

以下の症状がある場合は早急な受診が必要です。口がほとんど開かなくなった場合、顎や頸部が急速に腫れて飲み込みや呼吸に支障が出た場合(重篤な感染症の可能性)38℃以上の発熱を伴う腫れ、顔・唇のしびれ、痛みのない硬いしこりの増大、体重減少を伴う痛みなども、いずれも早めの医療機関への相談をお勧めします。

💡 まとめ

顎のラインを押すと痛い原因は、顎関節症から歯科系疾患、リンパ節の腫れ、唾液腺の炎症、筋肉の緊張、神経性の痛み、さらには腫瘍性病変まで、非常に多岐にわたります。それぞれの原因によって、痛みの性質や場所、伴う症状が異なるため、自分の症状をよく観察し、どのような特徴があるかを把握しておくことが、適切な診療科の選択と早期治療につながります。

多くの場合、顎関節症や筋肉の緊張によるものは保存療法で改善しますが、感染症や腫瘍性病変が背景にある場合は速やかな医療介入が必要です。「押すと少し痛い程度」であっても、症状が2週間以上続く場合や、悪化傾向がある場合、あるいは他の気になる症状(しこり、発熱、しびれなど)を伴う場合には、ためらわずに受診することを強くお勧めします

日常生活では、硬いものを食べ過ぎない、食いしばりに注意する、姿勢を整えるなどの工夫が顎まわりの健康維持に役立ちます。顎のラインの痛みで悩んでいる方は、今回ご紹介した情報を参考に、ご自身の症状に合った適切な対処を取っていただければ幸いです。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 帯状疱疹・水痘帯状疱疹ウイルス感染症に関する情報(帯状疱疹による顎のライン痛・三叉神経への影響・抗ウイルス薬治療の根拠として参照)
  • 国立感染症研究所 – 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の病原体・症状・合併症(精巣炎・難聴等)・疫学情報(耳下腺炎による顎のライン痛の説明根拠として参照)
  • PubMed – 顎関節症(TMD)の有病率・診断・治療法に関する査読済み臨床研究文献(顎関節症の成人有病率10〜15%・スプリント療法・理学療法等の医学的根拠として参照)

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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