
これって大丈夫?
実は早めの受診が必要なサインかもしれません。
- ✅ 顎の下の痛み・腫れの「本当の原因」がわかる
- ✅ 今すぐ病院に行くべきかどうかの判断基準がわかる
- ✅ 悪性疾患との見分け方がわかる
- ✅ 自分でできるセルフケアがわかる
目次
- 顎の下にあるリンパ節とは?その役割と構造
- 顎の下を押すと痛い主な原因
- 感染症・炎症によるリンパ節腫脹
- 口腔・歯科疾患との関係
- 唾液腺の疾患(顎下腺炎・唾石症)
- 悪性疾患の可能性と見分け方のポイント
- リンパ節の腫れに伴いやすい症状
- 受診すべき診療科と受診のタイミング
- 検査・診断の流れ
- 日常的なセルフケアと予防
- まとめ
💡 この記事のポイント
顎の下の痛みや腫れは、感染症・歯科疾患・唾石症によるリンパ節腫脹が主な原因。
2週間以上続く・硬くて痛みのない腫れ・全身症状を伴う場合は悪性疾患の可能性があり、早期受診が必要です。
💡 顎の下にあるリンパ節とは?その役割と構造
顎の下、つまり下顎の内側から首にかけての領域には、顎下リンパ節(がっかリンパせつ)や頸部リンパ節(けいぶリンパせつ)と呼ばれるリンパ節が多数存在しています。リンパ節はリンパ管の途中に点在する小さな組織で、体内に侵入した細菌やウイルス、異物などを免疫細胞が捕捉・排除するための「関所」のような役割を果たしています。
通常、健康な状態でもリンパ節は体内に存在していますが、サイズは小さく(直径1センチメートル以下が目安)、触れても痛みはほとんど感じません。ところが、口や歯、のど、耳、顔面などの周辺に炎症や感染が起きると、そのリンパ節へと細菌やウイルスが流れ込み、免疫反応が活発化してリンパ節が腫れ、押すと痛みを感じる状態になります。
顎の下に存在する主なリンパ節は以下の通りです。
顎下リンパ節は下顎の骨の下方、顎下腺のすぐそばに位置しており、口腔内や歯、歯茎、舌、唇などからのリンパを受け取っています。オトガイ下リンパ節はあごの先端部分(オトガイ部)の直下にあり、下唇・口底・下の歯茎からのリンパを集めます。上頸部リンパ節は首の上部にあるリンパ節で、耳の周辺やのどからのリンパ管が集まり、顔面・頭部からのリンパも受け入れています。
これらのリンパ節が連携することで、顔面・口腔・頸部の感染から体を守っています。そのため、この周辺で感染や炎症が起こると顎の下に痛みや腫れが生じやすいのです。
Q. 顎の下にあるリンパ節の役割とは何ですか?
顎の下には顎下リンパ節・オトガイ下リンパ節・上頸部リンパ節が存在し、口腔・歯・舌・のど・顔面からのリンパを集めています。細菌やウイルスを免疫細胞が捕捉・排除する「関所」の役割を果たしており、健康時の直径は1センチメートル以下が目安です。
📌 顎の下を押すと痛い主な原因
顎の下を押すと痛みを感じる場合、その原因はさまざまです。大きく分けると、リンパ節そのものの腫れによるもの、リンパ節の近くにある唾液腺(顎下腺)の炎症によるもの、歯や口腔の問題が波及しているもの、そして稀ではありますが腫瘍性疾患によるものに分類されます。
最も多い原因は感染症に伴うリンパ節の腫れです。風邪(急性上気道炎)やインフルエンザ、口内炎、咽頭炎などの感染症にかかると、その周辺のリンパ節が反応して腫れ、押すと痛みを感じます。これは体が感染と戦っているサインであり、感染が治まればリンパ節の腫れも自然に落ち着くことがほとんどです。
一方、虫歯や歯周病が進行した場合も、歯根周辺の細菌が顎下リンパ節に到達し、リンパ節炎を引き起こすことがあります。また、唾液腺(顎下腺)が炎症を起こす「顎下腺炎」や、唾液管に結石が詰まる「唾石症」も顎の下の痛みの原因になります。
さらに、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫大など、腫瘍性疾患でリンパ節が腫れることもあります。こちらは発生頻度こそ高くありませんが、見逃すと治療が遅れるリスクがあるため、症状が長引く場合は注意が必要です。
✨ 感染症・炎症によるリンパ節腫脹
顎の下が腫れて押すと痛い場合、最も頻度が高い原因は感染症や炎症によるリンパ節の反応性腫脹(はんのうせいしゅちょう)です。
急性上気道炎(風邪)は、鼻・のど・口腔内にウイルスや細菌が感染することで引き起こされます。ウイルス性の場合はインフルエンザウイルスやRSウイルス、アデノウイルスなどが原因となることが多く、細菌性の場合は溶連菌(溶血性レンサ球菌)が代表的です。感染が起こると顎下リンパ節や上頸部リンパ節が腫れ、痛みを感じます。発熱、咽頭痛(のどの痛み)、鼻水などの症状も同時に現れることが多いです。
伝染性単核球症(でんせんせいたんかっきゅうしょう)はEBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)への感染によって起こり、強い咽頭炎、発熱、全身の倦怠感、リンパ節腫脹(特に頸部)を特徴とします。若い方に多く、「キスで感染する病気」とも呼ばれます。この場合、顎の下だけでなく首全体や脇の下のリンパ節も同時に腫れることがあります。
川崎病は主に5歳以下の小さな子どもに発症する病気で、原因不明の全身性血管炎です。発熱、眼球充血、口唇の赤み、発疹、手足の腫れなどとともに頸部リンパ節腫脹が現れます。子どもの顎の下の腫れが続く場合は小児科への受診が大切です。
猫ひっかき病は、猫に引っかかれたり咬まれたりすることでバルトネラ・ヘンセラエという細菌に感染する疾患で、リンパ節腫脹が特徴的な症状です。猫の爪が頸部付近に当たった場合には顎の下のリンパ節が腫れることがあります。通常は数週間から数か月で自然に回復します。
これらの感染症に関連したリンパ節腫脹は、感染が治癒すれば自然に縮小していくことが多いですが、腫れが2〜4週間以上続く場合や発熱、体重減少、夜間の発汗などを伴う場合は早めに医療機関を受診することが望ましいです。
Q. 食事のたびに顎の下が腫れて痛むのはなぜですか?
食事中に顎の下が腫れて痛み、しばらくすると引く症状は唾石症の典型的なパターンです。唾液管にカルシウムが沈着してできた石が唾液の流れを妨げることで起こります。全唾石の約80〜90%が顎下腺に生じるとされており、耳鼻咽喉科または口腔外科での診察が適切です。
🔍 口腔・歯科疾患との関係
顎の下のリンパ節は、口腔内からのリンパを集めているため、歯や歯茎の問題がリンパ節の腫れ・痛みとして現れることがあります。
虫歯(う蝕)が進行すると、歯髄(歯の神経)まで細菌が達し、歯根の先端に膿がたまる「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」や「歯根嚢胞(しこんのうほう)」を引き起こすことがあります。この状態になると細菌や炎症が周囲の骨・組織に広がり、顎下リンパ節に炎症が波及して腫れや痛みが生じます。また、歯の周りの骨や組織が炎症を起こす「歯周炎(ししゅうえん)」が進行した場合も同様の状態になることがあります。
親知らず(第三大臼歯)の周囲に炎症が起きる「智歯周囲炎(ちしししゅうえん)」は、顎の奥の歯茎が腫れて痛む病気ですが、炎症が広がると顎下リンパ節の腫れや痛みを引き起こします。特に下の親知らずは顎下リンパ節に近い位置にあるため、影響が出やすいです。
歯性感染症が顎の下の組織全体に広がった状態を「ルートウィッヒアンギーナ(Ludwig’s angina)」と呼びます。これは顎下腺・オトガイ下・顎咽頭部の組織が急速に感染・炎症を起こす重篤な疾患で、気道が圧迫される危険があります。顎の下全体が硬く腫れ、口が開けにくくなる、飲み込みが難しくなるなどの症状が出た場合は直ちに救急医療機関を受診する必要があります。
口内炎(アフタ性口内炎など)が悪化したり、口腔内に広範な炎症がある場合も、軽度ながら顎下リンパ節が腫れることがあります。多くは口内炎が治れば自然に改善しますが、口内炎が2週間以上治らない場合は口腔がんの可能性もあるため、歯科口腔外科での診察を受けることをお勧めします。
💪 唾液腺の疾患(顎下腺炎・唾石症)
顎の下には「顎下腺(がっかせん)」という唾液腺があります。唾液腺とは唾液を産生・分泌する臓器で、耳下腺・顎下腺・舌下腺の三つが主要な唾液腺です。このうち顎下腺はちょうど顎の下に位置しているため、顎下腺に問題が生じると顎の下を押したときの痛みや腫れとして自覚されることがあります。
顎下腺炎は顎下腺に細菌やウイルスが感染して炎症を起こした状態です。細菌性の顎下腺炎は、口腔内の細菌が唾液管をさかのぼって侵入することで起こることが多く、口腔内衛生が悪い場合や脱水状態が続く場合に起こりやすいとされています。腫れ・圧痛(押すと痛い)・発熱・口腔底の腫れなどが主な症状です。
ウイルス性の唾液腺炎として代表的なのが流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)です。ムンプスウイルスによる感染症で、主に耳下腺が腫れますが、顎下腺や舌下腺が腫れることもあります。ワクチンで予防可能な疾患です。
唾石症(だせきしょう)は、唾液管(唾液が流れる管)の中にカルシウムなどの成分が沈着して「石」(唾石)ができる疾患です。この唾石が唾液の流れを妨げると、食事中に唾液の分泌が活発になる際に顎の下が腫れて痛むという特徴的な症状が出ます。食後しばらくすると腫れがひくことが多いですが、唾石が詰まり続けると顎下腺炎に発展することもあります。顎下腺は唾液の性状がやや粘稠で石が形成されやすく、全唾石の約80〜90%が顎下腺に生じるといわれています。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つで、唾液腺や涙腺などの外分泌腺が攻撃されて機能が低下します。口の乾燥(口腔乾燥症)、眼の乾燥(ドライアイ)が主な症状ですが、唾液腺の腫れを伴うこともあります。中高年の女性に多い疾患です。

🎯 悪性疾患の可能性と見分け方のポイント
顎の下のリンパ節が腫れる原因の多くは感染症や炎症などの良性の疾患ですが、まれに悪性疾患が関係していることもあります。リンパ節自体が悪性化する「悪性リンパ腫」や、口腔・咽頭・甲状腺などの周辺臓器のがんがリンパ節に転移する「転移性リンパ節腫大」が代表的です。
悪性リンパ腫はリンパ球ががん化する疾患で、大きく「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に分けられます。頸部リンパ節の腫れが初発症状になることが多く、無痛性(押しても痛くない)のリンパ節腫脹が持続することが特徴です。また、発熱・寝汗・体重減少(6か月以内に10%以上)を「B症状」と呼び、悪性リンパ腫の存在を示唆するサインとされています。
口腔がん(舌がん、歯肉がん、口底がんなど)や咽頭がんが進行すると、リンパ節へ転移して顎の下や首のリンパ節が腫れます。この場合も腫れたリンパ節は硬く、触れても動きにくく、痛みを感じないことが多いのが特徴です。
良性のリンパ節腫大と悪性疾患によるリンパ節腫大を自己判断で見分けることは難しいですが、以下のような特徴がある場合は注意が必要です。
腫れが2〜4週間以上続く場合、リンパ節がどんどん大きくなっている場合、押しても痛みがなく硬く触れる場合、リンパ節が皮膚や周囲の組織に固定されて動きにくい場合、発熱・寝汗・体重減少・強い倦怠感などの全身症状を伴う場合、顎の下だけでなく複数個所(首・脇の下・鼠径部など)にリンパ節腫大がある場合などは、早期に耳鼻咽喉科や内科、血液内科などを受診することが大切です。
一方、感染症などによる良性のリンパ節腫大では、触れると柔らかめで、押すと痛みを感じ、風邪などの症状と同時に現れ、2〜4週間程度で縮小していくことが多いです。ただし、これらはあくまで目安であり、自己判断だけで安心するのは危険です。気になる症状が続くようであれば医療機関への受診を心がけましょう。
Q. 顎の下の腫れが悪性疾患のサインとなる特徴は?
押しても痛みがなく硬く触れる、皮膚と癒着して動きにくい、腫れが2〜4週間以上続く、複数箇所のリンパ節が腫れる、発熱・寝汗・6か月以内に10%以上の体重減少を伴うといった場合は、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫大の可能性があり、早期受診が必要です。
💡 リンパ節の腫れに伴いやすい症状
顎の下のリンパ節が腫れている場合、原因となっている疾患によってさまざまな症状が同時に現れます。伴いやすい症状を把握しておくことで、原因の絞り込みや受診すべき診療科の判断に役立ちます。
のどの痛みや飲み込みにくさは、咽頭炎や扁桃炎などの上気道感染症に伴うことが多く、これらの感染が顎下リンパ節の腫脹を引き起こしている可能性があります。溶連菌感染症では特にのどの痛みが強く出ることが多いです。
発熱は感染症やリンパ節炎に共通して見られる症状です。細菌感染の場合は高熱(38度以上)になりやすく、ウイルス感染では微熱〜中程度の発熱が続くことがあります。
歯や歯茎の痛みが同時にある場合は、歯性感染症(根尖性歯周炎、智歯周囲炎など)の可能性を考えます。歯科を受診して口腔内の状態を確認することが先決です。
食事中に顎の下が腫れて痛みが増し、しばらくすると引くという症状は、唾石症の典型的なパターンです。特に酸っぱいものや食欲をそそる匂いなど唾液分泌を促すものに反応します。
口の乾燥(口腔乾燥症)や眼の乾燥が続く場合はシェーグレン症候群の可能性があります。リウマチ内科や膠原病内科への受診が適切です。
全身の倦怠感や体重減少が著しい、夜に汗をかくなどの全身症状を伴うリンパ節腫大は、血液疾患や悪性リンパ腫などの可能性を示唆することがあります。
また、皮膚の発疹を伴う場合は麻疹(はしか)、風疹、帯状疱疹などウイルス性疾患との関連も考えられます。特に帯状疱疹が顔面・頭頸部に生じた場合は、顎の下や首のリンパ節が腫れることがあります。
📌 受診すべき診療科と受診のタイミング
顎の下を押すと痛い・腫れているという症状で受診する場合、どの診療科を選べばよいか迷う方も多いでしょう。症状の特徴や合併している症状によって、適切な受診先は異なります。
のどの痛み・発熱・耳の症状などを伴う場合は、耳鼻咽喉科が適切です。扁桃炎や咽頭炎、上気道炎を診断・治療し、必要に応じてリンパ節の評価も行います。頸部リンパ節全般の診察が得意な科目でもあります。
歯痛・歯茎の腫れ・口腔内の病変を伴う場合は、歯科または歯科口腔外科を受診しましょう。虫歯・歯周病・智歯周囲炎などの口腔疾患が原因の場合、歯の治療を行うことでリンパ節の腫れも改善します。口腔粘膜に2週間以上治らない病変がある場合も口腔外科での診察が推奨されます。
食事のたびに顎の下が腫れる・顎下腺の腫れが明確な場合は耳鼻咽喉科または口腔外科での診察が適切です。唾石症や顎下腺炎の評価・治療を行います。
全身症状(発熱・倦怠感・体重減少・寝汗など)を伴うリンパ節腫大の場合は、まず内科・総合診療科に相談するのが良いでしょう。悪性リンパ腫や全身性感染症が疑われる場合は血液内科や感染症内科への紹介となることがあります。
子どもの場合は小児科への受診が基本です。川崎病や小児特有の感染症によるリンパ節腫大も小児科で診察・判断します。
どの科に行けば良いかわからない場合は、かかりつけの内科やクリニックにまず相談することをお勧めします。必要に応じて専門科へ紹介してもらえます。
次のような症状がある場合は、早急に医療機関(場合によっては救急)を受診してください。顎の下や首全体が急激に硬く腫れて、口が開けにくくなったり飲み込みが困難になったりする場合(ルートウィッヒアンギーナの疑い)、高熱と激しい咽頭痛があり声が出にくい・苦しそうな呼吸をしている場合(喉頭蓋炎・扁桃周囲膿瘍の疑い)、顎下から首にかけて赤く腫れて皮膚に熱感・光沢がある場合(蜂窩織炎の疑い)がこれに該当します。
Q. 顎の下のリンパ節腫れを予防するための日常ケアは?
毎食後の歯磨きや定期的な歯科受診で口腔内を清潔に保つこと、外出後の手洗い・うがいの徹底、インフルエンザ・おたふくかぜなどの適切なワクチン接種が有効です。また、十分な睡眠とバランスのとれた食事で免疫機能を維持し、水分をこまめに補給することも唾石症の予防につながります。

✨ 検査・診断の流れ
医療機関を受診した際、顎の下のリンパ節腫脹や痛みの原因を調べるために様々な検査が行われます。どのような検査が実施されるかを知っておくと、受診時に役立ちます。
問診では症状の始まり・経過・他の症状(発熱・のどの痛みなど)・既往歴・服用中の薬・最近のペットとの接触(猫ひっかき病の確認)などが確認されます。問診内容が診断の方向性を大きく左右しますので、いつから・どんな症状があるかをできるだけ具体的に伝えましょう。
視診・触診では、医師がリンパ節の大きさ・硬さ・動きやすさ(可動性)・圧痛の有無・皮膚との癒着などを確認します。またのど・口腔内・耳などの視診も並行して行われます。
血液検査では白血球数・CRP(炎症の指標)・赤血球沈降速度などの炎症マーカーを調べます。また、EBウイルスや溶連菌感染症を疑う場合は抗体検査(抗ストレプトリジンO価、EBウイルス抗体価など)が行われます。全身性疾患が疑われる場合は血球分画・LDH・尿酸・肝機能なども確認されます。
画像検査としては、超音波(エコー)検査が顎下のリンパ節や唾液腺の評価に広く用いられています。リンパ節の大きさ・形・内部構造・血流の状態を確認でき、炎症性か腫瘍性かの鑑別に有用です。CT検査やMRI検査は、深部の病変や範囲の把握が必要な場合に追加されます。唾石症の確認にはCTが特に有効です。
細菌培養・同定は、感染源(のど・口腔内の分泌物など)を拭い取って培養し、どの細菌が感染しているかを同定する検査です。溶連菌の場合は迅速抗原検査で短時間で結果が出ます。
リンパ節生検(せいけん)は、悪性疾患が疑われる場合に実施されます。リンパ節に針を刺して細胞を採取する「穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)」や、リンパ節を外科的に摘出して詳しく病理組織を調べる方法があります。確定診断のために行われる重要な検査です。
🔍 日常的なセルフケアと予防
顎の下のリンパ節が腫れる原因の多くは感染症や口腔内の炎症であるため、日常生活の中でこれらを予防・軽減するためのセルフケアが重要です。
口腔内の清潔を保つことは、歯性感染症や口腔内細菌によるリンパ節炎の予防につながります。毎食後の歯磨きはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスを用いた歯と歯の間の清掃、就寝前の丁寧なブラッシングが効果的です。また、定期的に歯科を受診して虫歯や歯周病の早期発見・治療を行うことが大切です。
手洗い・うがいの習慣は、風邪やインフルエンザなどの感染症予防の基本です。ウイルスや細菌が口・鼻・手を介して体内に入ることを防ぐために、外出後・食事前・トイレ後の手洗いを徹底しましょう。
適切なワクチン接種は、インフルエンザ・麻疹・風疹・おたふくかぜなどウイルス性感染症の予防に有効です。特におたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ワクチンで予防できる疾患でありながら顎下腺・耳下腺の腫れを引き起こします。かかりつけ医や保健センターに接種の相談をしてみましょう。
十分な休養と睡眠は免疫機能を維持するうえで欠かせません。睡眠不足や過度のストレスが続くと免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。規則正しい生活リズムを心がけ、疲れを溜め込まないようにしましょう。
バランスのとれた食事も免疫機能の維持に重要です。ビタミンCやビタミンD、亜鉛などの栄養素は免疫に関わるとされており、野菜・果物・タンパク質・発酵食品などをバランスよく摂ることが推奨されます。
顎の下を清潔に保つことも意識してください。夏場など汗をかきやすい季節は首回りが蒸れやすく、皮膚の炎症や感染のリスクが高まります。首やあご周辺を清潔に保つことで皮膚感染症の予防につながります。
唾石症の予防については、唾液の流れを促すために十分な水分摂取が大切です。脱水状態になると唾液が粘稠になり、結石が形成されやすくなるとされています。こまめな水分補給を心がけましょう。また、食事中によく噛むことも唾液分泌を促し、唾液管の詰まりを防ぐ効果があります。
気になる症状を「少し様子を見よう」と放置することは避けましょう。顎の下のリンパ節の腫れや痛みが2週間以上続く場合、腫れが大きくなっている場合、全身症状を伴う場合などは早めに医療機関を受診することが最善の対処法です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、顎の下の痛みや腫れを主訴にご来院される患者さんの多くは、風邪などの感染症や歯科疾患に伴う反応性のリンパ節腫脹であり、適切な治療を行うことで改善されています。ただし、腫れが2〜4週間以上続く場合や、押しても痛みがなく硬く触れる場合、発熱・体重減少などの全身症状を伴う場合は、悪性疾患の可能性も念頭に置いた精査が必要です。「様子を見ていれば治るだろう」と放置せず、気になる症状があれば早めにご相談いただくことが、早期発見・早期治療につながりますので、どうぞお気軽に受診してください。」
💪 よくある質問
のどの痛みや発熱を伴う場合は耳鼻咽喉科、歯や歯茎の痛みがある場合は歯科・歯科口腔外科が適切です。どの科に行くか迷う場合は、かかりつけの内科やクリニックに相談すると、必要に応じて専門科へ紹介してもらえます。
風邪などの感染症が原因の場合、感染が治まれば通常2〜4週間程度でリンパ節の腫れも自然に縮小することがほとんどです。ただし、4週間以上腫れが続く場合や、腫れが大きくなっている場合は早めに医療機関を受診することをお勧めします。
押しても痛みがなく硬く触れるリンパ節、動きにくいリンパ節は、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫大などの悪性疾患の可能性を示すサインの一つです。発熱・体重減少・寝汗などの全身症状を伴う場合は特に注意が必要で、早めに耳鼻咽喉科や内科を受診してください。
食事中に顎の下が腫れて痛み、しばらくすると引くという症状は、唾石症の典型的なパターンです。唾液管にカルシウムなどが沈着してできた「石」が唾液の流れを妨げることで起こります。顎下腺は全唾石の約80〜90%が生じる場所で、耳鼻咽喉科または口腔外科での診察が適切です。
毎食後の歯磨きや定期的な歯科受診による口腔内の清潔維持、外出後の手洗い・うがいの徹底、インフルエンザやおたふくかぜなどの適切なワクチン接種が有効です。また、十分な睡眠とバランスのとれた食事で免疫機能を維持することも、感染症によるリンパ節腫脹の予防につながります。
🎯 まとめ
顎の下を押すと痛みを感じる場合、多くのケースでは感染症や口腔内の炎症に伴うリンパ節の反応性腫脹が原因です。風邪・咽頭炎・扁桃炎などのウイルス・細菌感染、虫歯や歯周病・智歯周囲炎などの歯科疾患、顎下腺炎や唾石症などの唾液腺疾患がよく見られる原因として挙げられます。これらは適切な治療を行えば改善することがほとんどです。
一方で、腫れが長期間続く、硬くて動きにくいリンパ節、痛みがない腫れ、発熱・体重減少・寝汗などの全身症状を伴う場合は、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫大などの重篤な疾患の可能性も否定できません。自己判断で安心せず、症状が気になる場合は早めに耳鼻咽喉科・歯科口腔外科・内科などを受診することが大切です。
日常的には口腔内の清潔維持・手洗いうがいの徹底・十分な休養・バランスのとれた食事・適切なワクチン接種などを心がけることで、感染症によるリンパ節腫脹の多くは予防できます。顎の下の痛みや腫れをただの疲れと軽視せず、身体が発するサインとしてしっかり受け止めていただければと思います。何か症状が気になる場合は、まずかかりつけ医やクリニックへ気軽に相談してみてください。
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📚 参考文献
- 国立感染症研究所 – 伝染性単核球症(EBウイルス感染症)、溶連菌感染症、猫ひっかき病、川崎病、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)など、リンパ節腫脹を引き起こす感染症の病原体・症状・疫学情報の参照
- 厚生労働省 – 感染症対策・予防接種(インフルエンザ・麻疹・風疹・おたふくかぜワクチン等)に関する公式情報、およびリンパ節腫脹に関連する感染症の予防・対処に関する政策情報の参照
- PubMed – 顎下・頸部リンパ節腫脹の原因鑑別(反応性腫脹・悪性リンパ腫・転移性リンパ節腫大)、唾石症・顎下腺炎の診断・治療、ルートウィッヒアンギーナ等に関する査読済み医学文献の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
