
夏になると多くの方が悩まされるあせも。特に赤ちゃんや子どもに多い症状ですが、大人でも汗をかきやすい時期には油断できません。あせものケアとしてワセリンを使用することを考えている方もいるかもしれませんが、「本当に効果があるのか」「かえって悪化しないか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、あせもとワセリンの関係について、医学的な観点からわかりやすく解説します。あせもが起こるメカニズムから、ワセリンの正しい使い方、使う場合の注意点まで詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- あせもとは?原因とメカニズムを理解しよう
- あせもの種類と症状の違い
- ワセリンとはどんなもの?その特徴と役割
- あせもにワセリンは効果的なのか
- ワセリンをあせもに使う正しい方法
- ワセリンを使う際の注意点
- あせもを悪化させないための日常ケア
- 病院を受診すべきタイミング
- まとめ
この記事のポイント
あせもへのワセリン使用は、予防や回復期に薄く塗る場合は有効だが、炎症が強い急性期の多量塗布は汗の蒸発を妨げ悪化リスクがある。症状が強い場合は皮膚科受診が推奨される。
🎯 あせもとは?原因とメカニズムを理解しよう
あせもは、医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれる皮膚の症状です。汗は汗腺という器官で作られ、皮膚の表面にある汗孔(汗の出口)から分泌されますが、何らかの原因でこの汗孔が詰まってしまうと、汗が正常に排出されなくなります。そうすると汗が汗管の途中で漏れ出してしまい、周囲の皮膚組織に炎症を引き起こすことであせもが発生します。
あせもができやすい原因としては、まず多量の発汗があげられます。気温の高い夏場や、運動をしたとき、厚着をしているときなどに汗を大量にかくと、汗腺の処理能力を超えてしまい、汗孔が詰まりやすくなります。また、皮膚の清潔が保たれていない状態も原因のひとつです。汗に含まれる成分や皮脂が皮膚の表面に蓄積されると、汗孔が塞がれてしまいます。
赤ちゃんや子どもにあせもができやすい理由は、汗腺の密度が大人よりも高いためです。体の表面積当たりの汗腺の数が多いことで、汗孔が詰まるリスクが高まります。また、皮膚が薄くデリケートであることも、あせもができやすい要因のひとつとなっています。大人でも、肥満の方や糖尿病を持つ方、介護が必要な寝たきりの方などは、皮膚が重なり合う部分に汗がたまりやすく、あせもが生じやすいとされています。
あせもができやすい部位としては、首の周り、背中、胸元、わきの下、肘の内側、ひざの裏側、おむつが当たる部分などがあります。これらの部位は衣類や皮膚が密着しやすく、汗が蒸発しにくい環境になりやすいため、あせもの発生リスクが高くなっています。
Q. あせもが起こるメカニズムを教えてください
あせもは、汗腺から出た汗の出口である「汗孔」が詰まり、汗が皮膚組織内に漏れ出すことで炎症が起こる症状です。大量の発汗や皮膚の不清潔が主な原因で、赤ちゃんは汗腺密度が高くなりやすい傾向があります。
📋 あせもの種類と症状の違い
あせもにはいくつかの種類があり、それぞれ症状の現れ方や重症度が異なります。正しいケアをするためにも、どの種類のあせもなのかを把握しておくことが大切です。
最初にご紹介するのは、水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)です。これは最も軽い種類のあせもで、汗孔が皮膚の表面ごく浅い部分で塞がれた状態です。1〜3ミリほどの透明または白色の小さな水疱(水ぶくれ)が皮膚に現れますが、かゆみや炎症はほとんどありません。赤ちゃんの顔面や体幹に見られることが多く、自然に治ることがほとんどです。見た目は少し気になるかもしれませんが、特別な治療が必要になることは少ないタイプです。
次に、紅色汗疹(こうしょくかんしん)があります。これは一般的に「あせも」と呼ばれるときに最もよく指す種類です。汗孔が皮膚の少し深い部分で詰まることで、赤い丘疹(ぶつぶつ)が現れ、強いかゆみを伴います。かゆいからといって搔いてしまうと、皮膚が傷つき細菌感染を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。首の周りや背中、わきの下など、蒸れやすい部位に多く見られます。
深在性汗疹(しんざいせいかんしん)は、汗孔がさらに深い真皮層で詰まるタイプです。熱帯地方などで繰り返し紅色汗疹を経験した後に起こることがあり、日本ではあまり一般的ではありません。症状としては皮膚色の丘疹が現れ、かゆみよりも発汗ができないことによる体温調節の障害が問題になることがあります。
膿疱性汗疹(のうほうせいかんしん)は、汗疹に細菌感染が加わった状態です。丘疹が化膿して膿疱(うみが入ったぶつぶつ)になり、痛みを伴うこともあります。このタイプになると、医療機関での適切な治療が必要になる場合があります。
あせもと似た症状を示す皮膚疾患として、接触性皮膚炎(かぶれ)やアトピー性皮膚炎、毛孔性苔癬なども存在します。症状が似ていても原因や治療法が異なるため、症状が長引く場合や悪化する場合は自己判断せず、皮膚科を受診することをお勧めします。
💊 ワセリンとはどんなもの?その特徴と役割
ワセリンは石油を精製して作られた半固形の油性成分で、医薬品・医薬部外品・化粧品として広く使用されています。日本では「白色ワセリン」と呼ばれるものが一般的で、薬局やドラッグストアで手軽に購入することができます。また、医療用に用いられる「プロペト」という製品は、白色ワセリンよりもさらに精製度が高く、不純物が少ないため、敏感な肌にも使いやすいとされています。
ワセリンの最大の特徴は、皮膚の表面に膜を形成して水分の蒸発を防ぐ「閉塞性」にあります。これを「エモリエント効果」と呼び、皮膚の乾燥を防いで肌をやわらかく保つ作用があります。また、ワセリン自体には保湿成分は含まれていませんが、皮膚からの水分蒸散を物理的に防ぐことで保湿効果を発揮します。
ワセリンのもうひとつの大きな特徴は、安全性の高さです。化学的に非常に安定した成分であり、アレルギー反応を起こしにくいとされています。そのため、新生児や敏感肌の方にも比較的安心して使用できるスキンケア剤として知られています。また、防腐剤や香料などの添加物が含まれていないため、肌への刺激が少ないのも特徴です。
皮膚科の分野では、ワセリンはアトピー性皮膚炎の保湿療法や、傷の治療後のケア、皮膚の乾燥対策など、幅広い場面で使用されています。特に赤ちゃんの肌のケアに用いられることが多く、おむつかぶれや乾燥肌の予防・改善に効果的とされています。ただし、使用する場面によっては注意が必要であり、あせもへの使用については適切な理解が必要です。
Q. あせもの種類と症状の違いは何ですか
あせもには主に3種類あります。透明な水疱でかゆみのない「水晶様汗疹」、赤いぶつぶつと強いかゆみが特徴の「紅色汗疹」、細菌感染で膿が生じる「膿疱性汗疹」です。膿疱性汗疹は医療機関での治療が必要になる場合があります。
🏥 あせもにワセリンは効果的なのか
あせもにワセリンを使用することについては、さまざまな意見があります。結論から言えば、使い方や状況によって効果的な場合もあれば、逆効果になる場合もあります。ここでは、あせもとワセリンの関係について詳しく解説します。
ワセリンがあせもに効果的とされる場面は、あせもの予防や、軽症のあせもが治まった後のスキンケアとしての使用です。ワセリンは皮膚の表面を保護する膜を作り、外部からの刺激を和らげる役割を果たします。あせもによって皮膚がダメージを受けている場合、その皮膚を保護することで回復を助けることが期待できます。また、皮膚のバリア機能を整えることで、次回のあせもができにくい肌環境を作る効果も考えられます。
一方で、あせもが現在進行形で出ているときにワセリンを多量に塗ることは、逆効果になる可能性があります。ワセリンの閉塞性は、皮膚の保護という意味では有効ですが、汗が蒸発しにくい環境を作ってしまうという側面もあります。あせもは汗が正常に排出されないことで起こる症状のため、さらに汗が蒸発しにくい状態を作ると、症状が悪化するリスクがあります。
特に赤色汗疹(紅色汗疹)のような炎症を伴うあせもに対しては、ワセリンの過剰な使用は炎症を悪化させる可能性があります。炎症が起きている皮膚にワセリンを厚く塗ると、熱がこもりやすくなり、症状が改善しないばかりか悪化することも考えられます。
また、ワセリンはあせもの根本的な治療薬ではないことも覚えておく必要があります。かゆみを直接抑える作用や、炎症を鎮める効果はありません。そのため、かゆみや炎症が強い場合は、ステロイド外用薬やかゆみ止めの薬などを使用する方が適切な場合があります。
研究や臨床の観点から見ると、ワセリンをあせもの予防的なスキンケアとして少量使用することには一定の意義があると考えられています。特に新生児や乳児において、ワセリンを用いた保湿ケアを行うことで皮膚バリア機能を維持し、あせもや湿疹の発生を予防する効果があるとする研究もあります。ただし、これはあくまで予防的な観点からの話であり、すでにあせもが出ている状態でのケアとは区別して考える必要があります。
⚠️ ワセリンをあせもに使う正しい方法
ワセリンをあせものケアに使用する場合、正しい方法で使うことが重要です。誤った使い方をすると症状が悪化する恐れがあるため、以下のポイントを参考にしてください。
まず、使用するタイミングについてです。ワセリンは、あせもが落ち着いてきた回復期や、あせもの予防として使用するのが適切です。症状が強い急性期には、ワセリンよりも症状に合った薬の使用を優先することが大切です。お風呂上がりに清潔な皮膚に薄く塗るのが基本的な使い方です。
塗り方についても注意が必要です。ワセリンはこすりつけるように塗るのではなく、指の腹を使ってやさしく、薄くのばすように塗ることが大切です。厚く塗りすぎると汗が蒸発しにくくなり、あせもを悪化させる原因になりかねません。ほんのりツヤが出る程度の薄さを目安にすると良いでしょう。
塗布前の皮膚の清潔さも重要なポイントです。ワセリンを塗る前には、必ず皮膚を清潔にしましょう。汗や汚れが残ったままワセリンを塗ると、雑菌が繁殖しやすくなり、感染症のリスクが高まります。シャワーや入浴後に皮膚をやさしく洗い、清潔な状態で使用することが基本です。
使用量については少量を心がけましょう。米粒程度の少量から始め、薄く広げることを意識してください。特に汗をかきやすい部位や蒸れやすい部位への使用は最小限にとどめることをお勧めします。
赤ちゃんへの使用については、特に慎重に行う必要があります。赤ちゃんの肌はデリケートであるため、ワセリンを使用する場合はごく少量を薄く塗るようにしましょう。おむつが当たる部分にワセリンを使用する場合は、おむつかぶれとあせもを混同しないよう注意することも大切です。心配な場合は小児科や皮膚科に相談することをお勧めします。
また、ワセリンを保存する際は、清潔なへらや綿棒などを使って取り出すようにしましょう。直接手を入れると雑菌が混入する可能性があります。使用期限を守り、品質が変わった場合は使用を中止してください。
Q. あせもにワセリンを塗るときの正しい方法は?
ワセリンはあせもの予防や回復期に、お風呂上がりの清潔な皮膚へ米粒程度の少量を指の腹でやさしく薄くのばして使うのが基本です。厚く塗りすぎると汗の蒸発を妨げ症状が悪化する恐れがあるため、ほんのりツヤが出る程度の薄さを目安にしてください。
🔍 ワセリンを使う際の注意点
ワセリンはシンプルで安全性の高い成分ですが、あせもに使用する際にはいくつかの注意点があります。事前にこれらの点を理解しておくことで、より安全にワセリンを活用することができます。
一つ目の注意点は、炎症が強いときの使用を避けることです。あせもに赤みや腫れ、膿などの炎症症状が強く現れている場合は、ワセリンの使用は適切ではありません。このような状態では、皮膚科での診察を受け、ステロイド外用薬や抗菌薬などの適切な治療を受けることが優先されます。ワセリンの使用はあくまで補助的なスキンケアとして位置づけてください。
二つ目は、かゆみが強い場合のリスクについてです。ワセリンにはかゆみを直接抑える作用がありません。そのため、かゆみが強い場合にワセリンだけを塗っても症状の改善が見込めないばかりか、患部を触ることでかゆみが増すこともあります。かゆみが強い場合は、かゆみ止めの内服薬や外用薬の使用を検討してください。
三つ目は、蒸れやすい環境での使用に注意することです。夏場や高温多湿の環境では、ワセリンを塗ることで皮膚が蒸れやすくなります。特にわきの下、股の付け根、首の後ろなど、もともと蒸れやすい部位へのワセリンの使用は最小限にとどめるか、状況によっては使用を控えることも選択肢のひとつです。
四つ目は、ワセリンとほかの外用薬の同時使用についてです。医師から処方された外用薬がある場合、ワセリンと同時に使用することで薬の効果が変わる可能性があります。特に、ワセリンを先に塗ってから薬を塗ると、薬の皮膚への浸透が阻害されることがあります。外用薬を使用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談してから使用方法を決めてください。
五つ目は、ワセリンで症状が改善しない場合の対応についてです。ワセリンを使用しても症状が改善しない、または悪化する場合は、使用を中止して医療機関を受診することが大切です。あせもと思っていた症状が別の皮膚疾患である可能性や、二次感染が起きている可能性も考えられます。自己判断で対処し続けることが症状を長引かせる原因になることもあります。
また、ワセリンは一般的にアレルギー反応を起こしにくい成分ですが、ごくまれにワセリン自体にアレルギーを持つ方もいます。初めて使用する場合は、目立たない部分に少量塗って様子を見るパッチテストを行うと安心です。赤みやかゆみが出た場合は使用を中止してください。
📝 あせもを悪化させないための日常ケア
ワセリンの使用と並行して、日常生活の中でのセルフケアを適切に行うことがあせもの改善と予防につながります。ここでは、あせもを悪化させないための日常的なケア方法をご紹介します。
まず、こまめに汗を拭くことが基本です。汗をかいたらそのままにしておかず、清潔なタオルやガーゼなどでやさしく押さえるように拭き取りましょう。ゴシゴシとこするように拭くと皮膚を傷つける原因になるため、あくまでやさしく押さえるようにすることが大切です。外出先ではウェットティッシュなどを活用しても良いでしょう。
入浴・シャワーを活用することも重要です。汗や皮脂が皮膚に蓄積されると汗孔が詰まりやすくなるため、毎日の入浴やシャワーで清潔を保つことが大切です。洗うときは石けんをよく泡立て、泡で皮膚をやさしく洗いましょう。洗浄力が強すぎる石けんや、ナイロン製の固いタオルでゴシゴシ洗うことは、皮膚のバリア機能を壊してしまうため避けてください。お湯の温度はぬるめに設定し、長風呂も控えましょう。
衣類の選び方も大切なポイントです。通気性の良い綿素材の衣類は汗を吸収しやすく、肌触りも良いためあせも対策に適しています。一方、化学繊維の衣類は通気性が悪く、汗が蒸れやすいため避けた方が良いでしょう。また、衣類はゆったりとしたサイズのものを選ぶことで、皮膚と衣類の摩擦を減らすことができます。
室内環境の整備も効果的です。エアコンや扇風機を活用して室温を適切に保つことで、過度な発汗を防ぐことができます。ただし、エアコンの使用で皮膚が乾燥しすぎることも肌トラブルの原因になるため、除湿機能を活用しながら適度な湿度を保つことが理想的です。室温は25〜26度程度、湿度は50〜60%程度を目安にすると良いでしょう。
爪を短く切り清潔に保つことも、あせもを悪化させないために重要です。かゆみを感じると反射的に搔いてしまいますが、搔くことで皮膚が傷つき、そこから細菌が侵入して感染症を引き起こすリスクがあります。爪を短く切っておくことで、搔いたときのダメージを最小限に抑えることができます。特に赤ちゃんや小さな子どもの場合は、親が定期的に爪を切ってあげることが大切です。
食事や生活習慣の面では、バランスの良い食事と十分な睡眠が皮膚の健康を保つ基本です。ビタミンCやビタミンEなど、皮膚の健康に関わる栄養素を意識的に摂取することも有益です。また、水分補給をしっかり行うことで、汗のコントロールがうまくいきやすくなります。辛い食べ物やアルコールは発汗を促進させることがあるため、あせもがひどい時期は控えることをお勧めします。
赤ちゃんのあせも対策としては、おむつの素材や交換頻度にも気を配ることが大切です。おむつは蒸れやすいため、こまめに交換し、おむつが当たる部分の清潔を保つようにしましょう。また、授乳中の赤ちゃんは抱っこしている間に汗をかきやすいため、こまめに汗を拭いてあげることが大切です。室温を適切に保ち、薄着にして体温調節をしやすくしてあげることも有効です。
Q. あせもで病院を受診すべき症状は何ですか
症状が1〜2週間以上改善しない、患部に膿が出ている、発熱を伴っている、かゆみが強く日常生活に支障をきたしているといった場合は、早めに皮膚科や小児科を受診してください。アイシークリニックでも皮膚トラブルのご相談を受け付けています。
💡 病院を受診すべきタイミング

あせもは多くの場合、自宅でのケアで改善することができますが、状況によっては医療機関を受診することが必要です。以下のような症状や状況が見られた場合は、速やかに皮膚科や小児科を受診することをお勧めします。
まず、症状が悪化している場合や長引いている場合です。自宅でのケアを続けても症状が1〜2週間以上改善しない場合、またはどんどん症状が悪化している場合は、別の皮膚疾患の可能性や二次感染の可能性が考えられます。医師による正確な診断を受けることが大切です。
患部に膿が見られる場合は、細菌感染(とびひなど)が起きている可能性があります。この場合は抗菌薬の使用が必要になることがあるため、早めに医療機関を受診してください。患部が熱を持っていたり、周囲の皮膚が赤く腫れていたりする場合も同様です。
かゆみが非常に強く、日常生活や睡眠に支障をきたしている場合も受診のサインです。市販のかゆみ止め薬を使用しても効果が不十分な場合は、医師から処方薬を処方してもらうことで症状を効果的にコントロールできる場合があります。
発熱を伴う場合は特に注意が必要です。あせも自体が発熱を引き起こすことは通常ありません。あせもと同時に発熱が見られる場合は、感染症や別の疾患が隠れている可能性があるため、早急に医療機関を受診してください。特に赤ちゃんや幼児の発熱は要注意です。
あせもなのかどうか判断がつかない場合も受診の対象となります。アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、虫刺され、水痘(水ぼうそう)など、あせもと似た症状を示す皮膚疾患は数多くあります。症状が広範囲に及ぶ場合や、見た目がいつものあせもと異なる場合は、自己判断せずに医師に診てもらうことが安心です。
医療機関では、症状の程度や原因に応じて適切な治療が行われます。軽度のあせもには、かゆみを抑えるためのステロイド外用薬や非ステロイド性の外用薬が処方されることがあります。感染を伴う場合は抗菌薬の外用薬または内服薬が必要になることもあります。また、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服薬が処方されることもあります。
皮膚科を受診する際には、いつから症状が出始めたか、どのような経過をたどっているか、使用したスキンケア用品や薬の種類、その他のアレルギーや基礎疾患の有無などを伝えると、より正確な診断と適切な治療につながります。市販薬やワセリンを使用した場合は、その旨も医師に伝えましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏季になるとあせもに関するご相談が増える傾向にあり、「ワセリンを塗ったら悪化した」というお声をいただくこともあります。ワセリンは予防や回復期のスキンケアとしては有用ですが、炎症が強い時期の多量塗布はかえって汗の蒸発を妨げてしまうため、症状の段階に合わせた使い方が非常に大切です。かゆみや赤みが強い場合はご自身での判断に頼らず、お早めにご相談いただくことで、適切な治療薬と組み合わせてより早い改善を目指せますので、どうぞお気軽にご来院ください。」
✨ よくある質問
使うタイミングによって異なります。ワセリンはあせもの予防や、症状が落ち着いた回復期に薄く使用することには一定の意義があります。ただし、赤みや炎症が強い急性期に多量に塗ると、汗の蒸発を妨げて症状が悪化する恐れがあります。炎症が強い場合は、まず皮膚科への受診をご検討ください。
お風呂上がりに清潔な皮膚へ、指の腹を使ってやさしく薄くのばすように塗るのが基本です。量はほんのりツヤが出る程度を目安にし、米粒程度の少量から始めましょう。厚く塗りすぎると汗が蒸発しにくくなり、あせもを悪化させる原因になるため注意が必要です。
赤ちゃんへの使用はごく少量を薄く塗ることを守れば、比較的安全に使用できます。ただし、赤ちゃんの肌はデリケートなため、炎症が強い場合や症状が長引く場合は自己判断せず、小児科や皮膚科に相談することをお勧めします。おむつかぶれとあせもを混同しないよう注意も必要です。
軽症であれば自宅でのケアで改善するケースも多いですが、以下の場合は早めに皮膚科・小児科を受診してください。症状が1〜2週間以上改善しない、患部に膿が出ている、発熱を伴っている、かゆみが強く日常生活に支障をきたしているといった状態が見られる場合は、専門医による適切な診断と治療が必要です。
主に以下の4点が効果的です。①汗をかいたらやさしく押さえるように拭き取る、②毎日入浴・シャワーで清潔を保つ、③通気性の良い綿素材の衣類を着用する、④エアコンを活用して室温25〜26度・湿度50〜60%程度を保つ。これらを習慣化することで、あせもの発生リスクを抑えることができます。
📌 まとめ
あせもとワセリンの関係について、詳しく解説してきました。ここで、今回の内容を整理しておきましょう。
あせもは汗孔が詰まることで汗が正常に排出できなくなり、皮膚に炎症が起こる症状です。種類によって症状の程度が異なり、軽症のものから医療機関での治療が必要なものまであります。
ワセリンは皮膚の表面を保護し、水分の蒸発を防ぐ効果を持つ安全性の高いスキンケア剤です。あせもへの使用については、予防的なスキンケアや軽症あせもの回復期に薄く使用することには一定の意義がありますが、炎症が強い時期や汗をかきやすい部位への多量使用は逆効果になる可能性があります。
ワセリンを使用する場合は、清潔な皮膚に薄く、少量を使用することが基本です。炎症が強い場合やかゆみが強い場合は、ワセリンだけに頼らず、適切な薬の使用を検討してください。
日常生活では、こまめな汗の処理、清潔を保つこと、通気性の良い衣類の着用、適切な室内環境の整備などを心がけることがあせもの予防と改善につながります。
症状が改善しない場合や悪化する場合、発熱を伴う場合、膿が出る場合などは自己判断せず、皮膚科や小児科を受診してください。適切な診断と治療を受けることで、症状を早期に改善することができます。
あせもは適切なケアを行えば多くの場合改善しますが、誤ったケアは症状を長引かせる原因になります。正しい知識を身につけて、快適な夏を過ごすためのスキンケアを実践していきましょう。アイシークリニック新宿院では、皮膚のトラブルについてのご相談を受け付けています。あせもや皮膚症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – あせも(汗疹)の種類・症状・治療に関する皮膚科学的根拠、およびステロイド外用薬・抗菌薬などの治療指針
- 厚生労働省 – 皮膚疾患に関する公式情報、およびワセリン等の医薬品・医薬部外品の分類と使用上の注意に関する情報
- PubMed – 新生児・乳児における保湿剤(ワセリン)を用いたスキンバリア機能維持とあせも・湿疹予防効果に関する臨床研究・査読論文
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
