
💦 「最近、汗がほとんど出なくなった」「運動しても全然汗をかかない…」そんな症状、放置すると命に関わる危険があるって知っていましたか?
汗は体温を調節するための超重要な機能。汗が出ない状態は「無汗症」や「乏汗症」と呼ばれ、熱中症・臓器障害・神経疾患のサインである可能性があります。「体質だから」と決めつけていると、取り返しのつかないことになるかも。
📖 この記事を読めば、汗が出ない原因・考えられる病気・今すぐできる対処法がまるごとわかります。読まないまま放置すると、気づかないうちに深刻な状態になるリスクがあります。
「汗が出ないだけでしょ?」と思っていませんか?実は皮膚科・神経科での早期受診が必要なケースが多いんです。
そうなんですか…どこに相談すれば良いかわからなくて、ずっと放置してました。
目次
- 汗が出ない「無汗症」「乏汗症」とは
- 汗のしくみと発汗の役割
- 汗が出ない主な原因
- 汗が出ないことで起こる体への影響
- 汗が出ない症状と関連する病気・状態
- 汗が出ない部位によって異なるサイン
- 日常生活でできる対処法
- 受診すべき診療科と治療法
- まとめ
💡 この記事のポイント
- 📌 汗が出ない=「無汗症・乏汗症」は体質ではなく病気のサインかも
- 📌 原因は自律神経障害・皮膚疾患・薬剤副作用・ホルモン異常など多岐にわたる
- 📌 放置すると熱中症・体温調節不全など深刻なリスクが上昇
- 📌 早期に皮膚科等を受診することが重要!
💡 汗が出ない「無汗症」「乏汗症」とは
汗が出ない、あるいは極端に少ない状態は、医学的に「無汗症(むかんしょう)」または「乏汗症(ぼうかんしょう)」と呼ばれます。この2つはどのように違うのでしょうか。
無汗症とは、汗腺(エクリン腺)が正常に機能せず、発汗がまったくできない、またはほとんどできない状態を指します。全身に及ぶ「全身性無汗症」と、体の一部だけに現れる「限局性無汗症」に分類されます。全身性の場合は熱中症になりやすく、命にかかわる場合もあるため注意が必要です。
乏汗症とは、汗が出ないわけではないものの、正常よりも著しく少ない状態です。完全に発汗が止まっているわけではないため症状が軽く見えることがありますが、体温調節が十分に行われないリスクは変わりません。
どちらの症状も、自覚しにくいことが特徴の一つです。「汗をかかない体質だから」と軽視してしまい、受診が遅れるケースも少なくありません。特に夏場や運動時に熱がこもりやすくなるため、早めに原因を把握することが重要です。
Q. 無汗症と乏汗症の違いを教えてください
無汗症は汗腺がほとんど機能せず発汗がまったくできない状態です。乏汗症は汗が完全に止まるわけではないものの、正常より著しく少ない状態を指します。どちらも体温調節が十分に行われないリスクがあり、自覚しにくい点が共通の特徴です。体質と決めつけず専門医への相談が推奨されます。
📌 汗のしくみと発汗の役割
汗が出ない原因を理解するためには、まず汗がどのようにして分泌されるのかを知っておく必要があります。
人体の皮膚には、全身に約200〜500万個もの汗腺(エクリン腺)が存在しています。エクリン腺は、特に手のひら・足の裏・額・脇の下などに多く集中しており、体温が上昇したときや精神的な緊張があったときに汗を分泌します。
発汗の指令は自律神経(交感神経)から出されています。体温が上がると、脳の視床下部にある体温調節中枢がその情報をキャッチし、交感神経を通じて汗腺に「汗を分泌せよ」という信号を送ります。汗腺はその信号を受け取ることで汗を皮膚表面に放出し、汗が蒸発することで体表面の熱が逃げ、体温が下がるという仕組みです。
この一連のプロセスのどこかに障害が生じると、汗が正常に出なくなります。たとえば、信号を送る神経の異常、汗腺そのものの異常、皮膚の状態の変化など、複数のポイントで問題が起こりうるのです。
また、汗には体温調節以外にも、皮膚の保湿や外敵から肌を守る役割もあります。汗が分泌されることで皮膚表面のpHが弱酸性に保たれ、雑菌の繁殖を抑える効果もあります。汗が出ないことは、単に暑さへの対応力が低下するだけでなく、皮膚の健康維持にも影響を与えることがあります。
✨ 汗が出ない主な原因
汗が出ない原因は非常に多岐にわたります。大きく分けると、「先天性の要因」「後天性の要因」「薬剤による要因」「生活習慣による要因」に整理することができます。
✅ 先天性の要因
生まれつき汗腺の数が少なかったり、汗腺の発達が不十分だったりする場合があります。「先天性無汗症」は非常にまれな疾患で、外胚葉形成不全症(がいはいようけいせいふぜんしょう)などの遺伝性疾患に伴うことがあります。この疾患では汗腺だけでなく、毛髪・歯・皮膚なども同時に影響を受けることがあります。
📝 自律神経の障害
汗の分泌を制御しているのは自律神経です。この自律神経が何らかの原因で障害されると、汗が出にくくなります。自律神経が障害される原因としては、糖尿病による神経障害(糖尿病性末梢神経障害)、パーキンソン病、多系統萎縮症、アミロイドーシスなどの神経系疾患が挙げられます。
糖尿病性神経障害は特に多く見られる原因の一つであり、長期間にわたる血糖コントロール不良によって末梢神経が傷つき、汗腺への神経伝達が滞ることで発汗が低下します。下肢から始まることが多く、足や脚で汗が出にくくなり、代わりに上半身での代償性の多汗が起こることもあります。
🔸 皮膚の病気
汗腺そのものや皮膚に問題がある場合も、発汗が妨げられることがあります。代表的なものとして、以下の疾患が知られています。
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下しており、汗腺の開口部(汗孔)が詰まりやすくなることがあります。また、汗自体が皮膚への刺激となりかゆみを悪化させるため、汗腺の機能に影響が出ることがあります。
全身性強皮症(硬化症)は皮膚や内臓が線維化・硬化する自己免疫疾患であり、皮膚が硬くなることで汗腺が物理的に圧迫され、発汗が妨げられます。
また、熱傷(やけど)や放射線治療によって皮膚が損傷した場合、その部位の汗腺が破壊されることがあります。これにより、特定の部位だけ汗が出なくなる限局性無汗症が生じることがあります。
⚡ 薬剤による影響
特定の薬を服用することで汗が出にくくなることがあります。代表的なものは、抗コリン薬です。抗コリン薬は、過活動膀胱の治療や消化管の痙攣を抑えるために使用されますが、副交感神経の働きを抑制するため、汗腺への刺激が低下し、発汗が減少します。
そのほかにも、一部の抗うつ薬(三環系抗うつ薬など)、抗精神病薬、降圧薬(ベータ遮断薬)、抗ヒスタミン薬なども発汗を抑制する作用を持つことがあります。これらの薬を服用中に「最近汗が出にくい」と感じたら、主治医に相談してみましょう。
🌟 ホルモンバランスの乱れ
甲状腺機能低下症(橋本病など)は、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。代謝が落ちるため体温が低下しやすく、発汗機能も低下することがあります。その他にも、更年期障害に伴うホルモン変化も発汗パターンに影響を与えることがあります(更年期では逆にほてりや多汗が起こることも多いですが、汗腺機能自体が変化する場合もあります)。
💬 脱水・水分不足
体内の水分が不足していると、汗の原料となる水分が枯渇してしまい、うまく発汗できなくなります。激しい運動や高温環境での作業後、十分に水分補給できていない場合などに起こりやすく、この状態が続くと熱中症につながる危険があります。特に高齢者は口渇感を感じにくいため、知らないうちに脱水状態になっていることがあります。
✅ 汗腺の廃用(使わないことによる機能低下)
日常的に冷房の効いた環境ばかりにいて、汗をかく機会が極端に少ない生活を続けていると、汗腺が「廃用」の状態に近くなり、汗が出にくくなることがあります。これはいわゆる「汗腺の機能低下」であり、医学的な疾患とは異なりますが、体温調節機能が落ちるという点では同様の問題が生じます。適度な運動や入浴などで汗腺を使うことが予防につながります。
Q. 汗が出なくなる原因にはどんなものがありますか
汗が出なくなる原因は多岐にわたります。糖尿病やパーキンソン病による自律神経障害、アトピー性皮膚炎や強皮症などの皮膚疾患、抗コリン薬などの薬剤副作用、甲状腺機能低下症によるホルモン異常、脱水、冷房環境の継続による汗腺の廃用などが代表的です。原因によって治療法が異なります。
🔍 汗が出ないことで起こる体への影響
汗が正常に出ないと、体にはさまざまな悪影響が生じます。最も深刻なのは体温調節機能の低下です。
人間の体は、36〜37度前後の体温を維持することで各臓器や細胞が正常に機能します。この範囲を超えて体温が上昇すると、酵素活性が変化し、細胞機能が低下します。発汗によって体温を下げることができなければ、体温はどんどん上昇し、最終的には熱中症や熱射病に至る危険があります。
熱中症は軽症であれば立ちくらみ・めまい・筋肉のこむら返りなどの症状にとどまりますが、重症になると意識障害・けいれん・多臓器不全を引き起こし、命を脅かします。汗が出ない状態でも、暑い環境に置かれると非常に速いスピードで体温が上昇するため、特に夏場は細心の注意が必要です。
また、汗が出ないことで体の「解毒」機能にも影響が出ることがあります。汗には微量ながら老廃物や有害物質を排出する働きもあるため、発汗が極端に低下すると皮膚のコンディションが悪化したり、体のだるさが続いたりすることもあります。
さらに、汗が出ない部位では皮膚が乾燥しやすくなり、皮膚バリア機能が低下して外部の刺激に対して傷つきやすくなることもあります。乾燥による皮膚のかゆみや荒れも、汗が出ないことの間接的な影響といえるでしょう。
💪 汗が出ない症状と関連する病気・状態
汗が出ない症状と関連している可能性のある主な病気や状態についてまとめます。
📝 特発性後天性全身性無汗症(AIGA)
特定の原因が見当たらないにもかかわらず、後天的に全身の発汗が著しく低下する疾患です。日本では比較的まれとされていますが、若い世代にも起こりうる疾患として知られています。主な症状は発汗の著しい低下に加え、皮膚のかゆみ・ほてり感・疲労感・頭痛などが挙げられます。自己免疫的なメカニズムが関与していると考えられており、汗腺の汗分泌部分に炎症が起こることで発汗機能が失われると推測されています。ステロイド治療が有効なケースもあります。
🔸 シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つで、主に涙腺や唾液腺が自己抗体によって攻撃される病気です。涙や唾液が減少するほかに、汗腺も同様に影響を受けて発汗が低下することがあります。中高年女性に多く見られ、目の乾燥(ドライアイ)や口の乾燥(ドライマウス)と並んで汗が出にくくなる症状が現れることがあります。
⚡ 糖尿病性自律神経障害
糖尿病が長期化すると、末梢神経だけでなく自律神経にも障害が及ぶことがあります。自律神経障害によって汗腺への指令が届かなくなり、特に下肢での発汗が減少するケースが多くあります。このタイプでは、下半身の発汗が減少する一方で、顔や上半身での代償性多汗が見られることがあるのが特徴的です。
🌟 パーキンソン病・レビー小体型認知症
パーキンソン病やレビー小体型認知症では、自律神経障害が高頻度に見られます。発汗の異常もその一つで、体の一部で汗が出なくなったり、逆に特定の部位で過剰に汗をかいたりすることがあります。
💬 甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足すると、体全体の代謝が低下します。そのため、体温が下がりやすく、汗も出にくくなります。倦怠感・むくみ・体重増加・寒がり・便秘などの症状を伴うことが多く、血液検査によって診断が可能です。
✅ 皮膚疾患による汗孔閉塞
アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・魚鱗癬などの皮膚疾患では、皮膚の角化異常や炎症によって汗腺の開口部が閉塞され、汗が正常に分泌されにくくなることがあります。特に重症のアトピーでは、全身の汗腺機能が低下することもあります。
📝 脊髄損傷・脳卒中
脊髄損傷や脳卒中によって、神経伝達の経路が遮断されると、損傷した神経が支配していた部位の発汗が失われます。脊髄損傷では損傷部位以下での発汗が消失し、代わりに損傷部位より上での代償性多汗が生じることもあります。
Q. 汗が出ない部位で原因を見分けられますか
汗が出ない部位は診断の重要な手がかりになります。足や下肢だけ出ない場合は糖尿病性神経障害が疑われます。顔の片側だけ出ない場合はホルネル症候群など交感神経経路の障害が考えられます。熱傷や手術後の瘢痕部位のみの場合は汗腺の物理的な損傷が原因と判断されることが多いです。
🎯 汗が出ない部位によって異なるサイン
汗が出ない部位によって、原因や背景となる病気が異なる場合があります。どの部位で汗が出ないかを把握することは、診断の手がかりになります。
🔸 全身的に汗が出ない
全身にわたって汗が出ない場合は、特発性後天性全身性無汗症・重度の脱水・甲状腺機能低下症・薬剤の副作用などが考えられます。体温が上がりやすく、夏場は特に危険な状態になりやすいため、早急に医療機関への受診が必要です。
⚡ 下半身(足・脚)だけ汗が出ない
足や脚など下肢での発汗が著しく低下している場合は、糖尿病性神経障害や腰部脊柱管狭窄症などの神経障害が疑われます。糖尿病では末梢神経から自律神経にかけて障害が進行し、足の感覚鈍麻と並行して発汗低下が現れることがあります。
🌟 顔だけ汗が出ない・顔の左右どちらかだけ出ない
顔の片側だけ汗が出ない場合は、ホルネル症候群と呼ばれる神経学的な異常が疑われます。ホルネル症候群は、交感神経の経路のどこかが障害されることで、患側(障害のある側)の瞼下垂・縮瞳・発汗低下が三主徴として現れます。肺の腫瘍(パンコースト腫瘍)や頸部の血管病変などが原因になることがあるため、精密検査が必要です。
💬 特定の皮膚病変部位だけ汗が出ない
熱傷・手術後の瘢痕(はんこん)・放射線照射部位などの特定エリアで汗が出ない場合は、その部位の汗腺が物理的に破壊・損傷されているためと考えられます。また、ハンセン病(らい病)の病変部位でも神経障害により発汗が消失することが知られています。
💡 日常生活でできる対処法
汗が出にくい状態に対して、日常生活の中で取り組める対策を紹介します。ただし、病気が原因である場合は必ず医療機関での診断・治療が必要です。ここで紹介するのは、あくまで補助的なセルフケアです。
✅ 体温管理に気をつける
汗が出にくい状態では体温が上がりやすいため、暑い時期や運動時の体温管理が最優先です。外出時は日傘・帽子・冷却スプレーなどを活用し、体表温度を下げる工夫をしましょう。また、扇風機や冷房を適切に使用し、室温が高くなりすぎないように環境を整えることが大切です。冷たいタオルを首やわきの下・鼠径部(そけいぶ)に当てると、効率的に体温を下げることができます。
📝 こまめな水分補給

汗が出ていなくても、体内では水分が失われていることがあります。特に高温環境では皮膚からの不感蒸泄(ふかんじょうせつ)によって水分が失われるため、喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給することが大切です。スポーツドリンクや経口補水液などを活用して、電解質も補給するようにしましょう。
🔸 汗腺を使う習慣をつける
汗腺の廃用が原因の場合は、定期的に汗をかく習慣を取り戻すことが有効です。ウォーキング・ジョギングなどの有酸素運動を日課にする、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる入浴習慣をつけるなど、汗腺を刺激する機会を意識的に増やしましょう。ただし、急激な運動や高温のサウナは、汗が出ない状態では危険を伴うため避けるべきです。まずは体に負担のかからない程度から始めてください。
⚡ 皮膚の保湿ケアを行う
汗が出ない部位は乾燥しやすいため、保湿クリームやローションを丁寧に塗布して皮膚バリアを守ることが大切です。特に秋冬は乾燥が進みやすく、皮膚トラブルが起きやすくなります。入浴後すぐに保湿ケアを行う習慣をつけましょう。
🌟 服用中の薬を確認する
現在服用している薬が原因で汗が出にくくなっている可能性がある場合は、自己判断で薬を中断せずに、かかりつけ医や処方医に相談してください。代替薬への変更が可能な場合もあります。薬の副作用として発汗低下が起きている場合は、適切な対応で改善が期待できることがあります。
💬 基礎疾患のコントロール
糖尿病・甲状腺疾患・自己免疫疾患などの基礎疾患がある場合は、その疾患の適切な治療・管理が発汗機能の維持・改善につながります。血糖コントロールを良好に保つことで、糖尿病性神経障害の進行を遅らせることができます。
Q. 汗が出ない症状はどの診療科を受診すべきですか
汗が出ない症状はまず皮膚科への受診が推奨されます。皮膚科ではヨード澱粉反応(Minor法)などで汗腺機能を評価できます。糖尿病や甲状腺疾患が疑われる場合は内科・内分泌科、神経疾患には神経内科、シェーグレン症候群などには膠原病内科が適切です。アイシークリニック新宿院でも専門医が診察しています。
📌 受診すべき診療科と治療法
汗が出ない症状が続いている場合、どの診療科を受診すればよいのでしょうか。症状の程度や疑われる原因によって、適切な診療科が異なります。
✅ まずは皮膚科へ
汗が出ない症状の多くは、まず皮膚科への受診が推奨されます。皮膚科では汗腺の機能を評価するためのさまざまな検査が行われます。
代表的な検査として、ヨード澱粉反応(Minor法)があります。皮膚にヨード液を塗布し、その上にデンプン(澱粉)粉末をまぶします。汗が分泌された部位ではヨードと澱粉が反応して青黒色に変化するため、発汗している部位としていない部位を視覚的に確認することができます。この検査は非侵襲的で簡単に行えるため、広く使用されています。
また、発汗定量分析検査(QSART:Quantitative Sudomotor Axon Reflex Test)という検査では、電気刺激を使って汗腺の神経機能を定量的に評価することができます。
📝 内科・神経内科・内分泌科へ
糖尿病・甲状腺疾患・自律神経障害・神経疾患などが原因と思われる場合は、内科・神経内科・内分泌科への受診が適切です。血液検査・尿検査・神経伝導速度検査・脳MRIなどが行われることがあります。
🔸 膠原病内科・リウマチ科へ
シェーグレン症候群・全身性強皮症・その他の自己免疫疾患が疑われる場合は、膠原病内科やリウマチ科への受診が推奨されます。自己抗体検査・皮膚生検などを通じて確定診断がなされます。
⚡ 治療法について
汗が出ない症状の治療は、原因によって大きく異なります。
特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の場合は、ステロイド治療(経口・点滴)が有効なケースがあります。炎症による汗腺障害を抑えることで、発汗機能の回復が期待されます。症例によっては免疫抑制薬が使用されることもあります。
糖尿病性神経障害が原因の場合は、まず血糖コントロールを改善することが最優先です。神経障害の進行を遅らせるための薬物治療も行われます。
甲状腺機能低下症が原因の場合は、甲状腺ホルモン補充療法(レボチロキシンなど)が有効です。ホルモンが補充されることで代謝が改善し、発汗機能も回復することが期待されます。
薬剤性の場合は、可能であれば原因薬の中止や変更を行います。
皮膚疾患が原因の場合は、アトピー性皮膚炎や乾癬などの基礎疾患に対する適切な治療を行うことで、汗腺機能の改善が期待されます。
いずれの場合も、症状が長期間続いている場合や悪化している場合は、自己判断せずに専門の医療機関を受診することが大切です。特に夏場に「運動しても汗が出ない」「体が異常に熱くなる」と感じる場合は、緊急性が高い可能性があります。速やかに受診してください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「「汗をかかない体質だから」と長年放置されていた方が、実は無汗症や乏汗症であったというケースを少なからず経験しております。汗が出ない状態は、糖尿病性神経障害や自己免疫疾患、薬剤の影響など、見逃せない基礎疾患が背景に潜んでいることがあるため、特に夏場に体に熱がこもりやすいと感じる方は、ご自身の体質と決めつけずにぜひ一度専門医にご相談ください。早期に原因を特定し適切な治療につなげることが、熱中症などの深刻なリスクを防ぐことにもつながります。」
✨ よくある質問
無汗症は汗腺がほとんど機能せず、発汗がまったくできない状態を指します。一方、乏汗症は汗が出ないわけではないものの、正常より著しく少ない状態です。どちらも体温調節が十分に行われないリスクがあり、自覚しにくい点が共通しています。「汗をかかない体質」と軽視せず、気になる場合は専門医への相談をおすすめします。
原因は多岐にわたります。主なものとして、糖尿病やパーキンソン病などによる自律神経障害、アトピー性皮膚炎や強皮症などの皮膚疾患、抗コリン薬などの薬剤の副作用、甲状腺機能低下症によるホルモン異常、脱水・水分不足、冷房環境が続くことによる汗腺の廃用(機能低下)などが挙げられます。原因によって治療法が異なるため、専門医での検査が重要です。
最も深刻な影響は体温調節機能の低下です。発汗できないと体温が急上昇し、熱中症や熱射病を引き起こす危険があります。重症の場合は意識障害や多臓器不全に至ることもあります。また、汗が出ない部位は皮膚が乾燥しやすくなりバリア機能が低下するほか、老廃物の排出が滞ることで皮膚のコンディションが悪化する場合もあります。
まずは皮膚科への受診が推奨されます。皮膚科ではヨード澱粉反応(Minor法)などで汗腺の機能を評価できます。糖尿病や甲状腺疾患が疑われる場合は内科・内分泌科、自律神経障害や神経疾患が疑われる場合は神経内科、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患が疑われる場合は膠原病内科・リウマチ科が適切です。
いくつかのセルフケアが有効です。暑い時期は日傘・冷却スプレー・冷たいタオルで体温管理を徹底し、喉が渇く前にこまめな水分補給を行いましょう。ウォーキングやぬるめの入浴など汗腺を使う習慣も大切です。また、乾燥しやすい部位への保湿ケアも欠かさず行いましょう。ただし、病気が原因の場合は必ず医療機関での診断・治療を優先してください。
🔍 まとめ
汗が出ない状態は、「無汗症」「乏汗症」と呼ばれ、体温調節に重大な影響を及ぼします。その原因は、自律神経障害・皮膚疾患・薬剤の副作用・ホルモン異常・脱水・汗腺の廃用など多岐にわたります。
汗が出なくなる状態を単なる「汗っかきでない体質」と軽視せず、特に全身的に汗が出ない場合や夏場に熱がこもりやすい場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。皮膚科・内科・神経内科などで適切な検査を受けることで、原因を特定し、適切な治療につなげることができます。
日常生活では、体温管理・水分補給・適度な運動・皮膚の保湿ケアを心がけることが大切です。また、糖尿病・甲状腺疾患などの基礎疾患がある方は、疾患のコントロールが発汗機能の維持にも直結するため、定期的な医療管理を怠らないようにしましょう。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 熱中症予防に関する情報ページ。汗が出ない状態(無汗症・乏汗症)と深く関連する熱中症のリスク・予防・対処法について、公式見解として参照。
- 日本皮膚科学会 – 皮膚科学会による皮膚疾患(アトピー性皮膚炎・強皮症・特発性後天性全身性無汗症など)と発汗異常に関する診療ガイドライン・疾患解説ページ。無汗症・乏汗症の診断基準や治療方針の根拠として参照。
- PubMed – 無汗症・乏汗症・自律神経障害・糖尿病性神経障害・特発性後天性全身性無汗症(AIGA)に関する国際的な医学論文データベース。発汗メカニズムや各疾患との関連性、治療法(ステロイド治療等)の科学的根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
