
「痛みがないから大丈夫」「そのうち消えるかも」と放置していませんか?
しこりの種類によっては、早期対処が必要なケースもあります。
この記事を読めば、原因・受診のタイミング・治療法まで一気にわかります。
- ✅ 良性でもどんどん大きくなることがある
- ✅ 炎症・感染で痛みや発熱が起きることも
- ✅ 悪性腫瘍の見逃しにつながる可能性がある
目次
- 📌 二の腕にしこりができる主な原因
- 📌 脂肪腫(リポーマ)とは
- 📌 粉瘤(アテローマ)とは
- 📌 リンパ節の腫れとは
- 📌 その他の原因となる疾患
- 📌 しこりが悪性腫瘍(がん)の場合もある?
- 📌 自分でチェックできる目安とは
- 📌 どの診療科を受診すればよいか
- 📌 受診の際に伝えるべきポイント
- 📌 二の腕のしこりの検査・診断方法
- 📌 治療法について
- 📌 まとめ
💡 この記事のポイント
二の腕のしこりは脂肪腫・粉瘤・リンパ節腫脹などが主な原因で、大半は良性。ただし、5cm超・急成長・硬くて固着・全身症状を伴う場合は悪性腫瘍の疑いがあり早期受診が必要。良性しこりは日帰り手術での切除も可能。
💡 二の腕にしこりができる主な原因
二の腕(上腕部)には、皮膚・皮下脂肪・筋肉・血管・神経・リンパ節などさまざまな組織が存在しているため、それぞれの組織が原因となってしこりが生じることがあります。しこりができた際に最初に気になるのは「これは何だろう?」という疑問だと思いますが、見た目や触った感触だけで自己判断することは非常に難しく、危険を伴う場合もあります。
二の腕にしこりができる代表的な原因としては、以下のものが挙げられます。
- 脂肪腫(リポーマ)
- 粉瘤(アテローマ)
- リンパ節の腫れ(リンパ節炎、反応性リンパ節腫大など)
- ガングリオン
- 皮膚線維腫(デルマトフィブローマ)
- 血管腫・血管脂肪腫
- 神経線維腫
- 石灰化上皮腫(毛包芽腫)
- 悪性腫瘍(軟部肉腫・転移性腫瘍など)
これらの中で、特に頻度が高く、一般の方にとっても知っておきたいものについて順を追って詳しく説明します。しこりの原因は単純に見えて複雑な場合もあります。自己判断で「これは大丈夫」と決めつけるのではなく、変化を感じたら専門家に相談することが重要です。
Q. 二の腕のしこりが悪性腫瘍かどうか見分けるポイントは?
二の腕のしこりで悪性腫瘍を疑うべき主なサインは、①大きさが5センチを超える、②数週間〜数か月で急激に大きくなっている、③硬くて皮膚や筋肉に固着して動かない、④安静時にも痛みがある、⑤発熱・体重減少・寝汗などの全身症状を伴う、の5点です。これらに該当する場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。
📌 脂肪腫(リポーマ)とは
脂肪腫(リポーマ)は、皮膚の下にある脂肪組織が局所的に増殖してできる良性の腫瘍です。二の腕をはじめ、体幹・背中・首・太ももなど、脂肪組織が豊富な部位に多く発生します。成人に多く見られ、特に40〜60代の中高年層に発症頻度が高いとされています。
脂肪腫の主な特徴は次の通りです。触ると柔らかく、ゴムのような弾力があります。皮膚の下で動かすことができ、境界がはっきりしているものが多いです。痛みを伴わないことが多く、ゆっくりと成長する傾向があります。大きさは数ミリ程度の小さなものから、数センチ以上になるものまでさまざまです。
脂肪腫の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や脂質代謝の異常、外傷などが関与していると考えられています。また、複数の脂肪腫が体のあちこちに同時にできる「多発性脂肪腫症」と呼ばれる状態もあり、この場合は遺伝的要因が強く関与することがあります。
脂肪腫自体は良性であるため、生命を脅かすものではありませんが、大きくなると周囲の組織を圧迫して痛みや違和感を生じることがあります。また、外見が気になる場合や、急速に大きくなる場合、硬くなってきた場合などは、悪性の腫瘍(脂肪肉腫)との鑑別が必要になることもあるため、医療機関での診断が必要です。治療法としては、外科的切除が基本となります。小さなものであれば局所麻酔下での日帰り手術が可能な場合が多く、術後の経過も比較的良好です。
✨ 粉瘤(アテローマ)とは
粉瘤(アテローマ、または表皮嚢腫)は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂などが蓄積してしこりとして触れるようになるものです。良性の病変であり、身体のどこにでもできますが、二の腕・背中・首・顔などに比較的多く見られます。
粉瘤の特徴としては、皮膚の表面に小さな黒い点(開口部)が見えることがあります。触るとやや硬く、皮膚と一体化しているような感触があります。中身を圧迫すると、臭いのある白〜黄色のドロドロとした内容物が出てくることがあります。感染を起こすと赤く腫れ、強い痛みを伴うことがあります。
粉瘤は自然に消えることはなく、放置すると少しずつ大きくなっていきます。また、袋の中に溜まった内容物が細菌に感染すると「炎症性粉瘤」となり、急激に赤く腫れて痛みが出ることがあります。この状態になると、まず感染のコントロール(抗菌薬の投与や切開排膿)が必要になります。完全に治療するためには、袋ごと摘出する手術が必要です。袋を完全に除去しないと再発することがあります。
粉瘤を自分で無理に絞り出そうとすると、袋が破れて内容物が皮下に広がり、炎症を引き起こすリスクがあるため、自己処置は避けるべきです。「しこりを押すと白いものが出てきた」という経験がある方は、粉瘤の可能性が高いため、皮膚科や形成外科に相談することをお勧めします。
Q. 二の腕にできた粉瘤を自分で絞り出しても大丈夫?
粉瘤を自分で絞り出す自己処置は避けてください。無理に絞ると袋が破れて内容物が皮下に広がり、炎症や感染を引き起こすリスクがあります。粉瘤は自然に消えることはなく、完治には袋ごと摘出する手術が必要です。炎症がない状態であれば、皮膚科や形成外科で傷の小さい「くり抜き法」による摘出も選択肢になります。
🔍 リンパ節の腫れとは
リンパ節は、体中に張り巡らされたリンパ管の途中に存在する小さな組織で、免疫機能を担っています。細菌やウイルスなどの異物が体内に入ったとき、リンパ節が反応して腫れることがあります。
二の腕の内側(上腕内側)には「上腕リンパ節」と呼ばれるリンパ節群が存在しており、前腕や手からのリンパ液が流れ込んでいます。手や前腕に傷や感染があった場合、あるいはアレルギー反応や全身的な感染症が起きた際に、この部位のリンパ節が腫れることがあります。
リンパ節の腫れの特徴としては、触ると弾力のある柔らかいしこりとして感じられることが多いです。感染に伴う場合は周囲が赤くなったり、押すと痛みを感じたりすることがあります。原因となる感染症が治癒すれば、リンパ節の腫れも自然に改善することが多いです。
一方で、リンパ節の腫れが長期間続く場合や、複数のリンパ節が同時に腫れている場合、体重減少・発熱・寝汗などの全身症状を伴う場合は、リンパ腫(悪性リンパ腫)や白血病など、血液系の悪性疾患の可能性も考えなければなりません。このような状態では速やかに医療機関を受診することが重要です。
💪 その他の原因となる疾患
二の腕のしこりを引き起こす原因は、上記以外にもいくつか存在します。比較的頻度の高いものや、特徴的なものについて説明します。
✅ ガングリオン
ガングリオンは、関節包や腱鞘から発生するゼリー状の内容物を持つ嚢腫です。手首や足首に多く発生しますが、まれに二の腕にもできることがあります。触ると硬くて弾力のある感触があり、透明感があるものも多いです。痛みがないことが多いですが、圧迫によって違和感や痛みを感じることもあります。
📝 皮膚線維腫(デルマトフィブローマ)
皮膚線維腫は、皮膚の真皮に線維芽細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。虫刺されや軽微な外傷をきっかけに生じることがあるとされています。茶色〜褐色の硬いしこりとして現れることが多く、つまむと中央が陥没する「ディンプルサイン」が特徴的です。治療が必要になることは少ないですが、気になる場合は外科的に切除することができます。
🔸 血管腫・血管脂肪腫
血管の異常な増殖によって生じる良性腫瘍で、表面が青みがかっていたり、押すと小さくなったりすることがあります。血管脂肪腫は脂肪腫に似ていますが、血管成分を多く含んでいるため押すと痛みを感じることが特徴的です。若い成人の四肢に多く見られます。
⚡ 神経線維腫・神経鞘腫
神経に沿って発生する腫瘍です。神経線維腫はやわらかく、神経鞘腫は比較的硬い傾向があります。しこりを触ったり押したりすると、神経に沿った方向にしびれや電気が走るような感覚(チネル徴候)を感じることがあります。神経鞘腫は良性であることがほとんどですが、稀に悪性化することもあるため、注意が必要です。
🌟 石灰化上皮腫(毛包芽腫)
毛包の細胞から発生する良性腫瘍で、石灰沈着を伴うことが多いです。小児〜若年成人に多く、皮膚の下に非常に硬いしこりとして触れることが特徴です。顔や上肢に多く見られます。手術による切除が治療の標準となります。
🎯 しこりが悪性腫瘍(がん)の場合もある?
二の腕のしこりのほとんどは良性ですが、ごく一部には悪性腫瘍が含まれることがあります。二の腕に生じる悪性腫瘍として代表的なものには、軟部肉腫(悪性軟部腫瘍)があります。軟部肉腫は筋肉・脂肪・神経・血管などの軟部組織から発生する悪性腫瘍の総称で、四肢(特に大腿部や上腕部)に生じやすいとされています。
軟部肉腫には脂肪肉腫・横紋筋肉腫・滑膜肉腫・悪性末梢神経鞘腫など多くの種類があり、それぞれ組織型によって治療方針が異なります。比較的まれな腫瘍ではありますが、発見が遅れると治療が困難になる場合があります。
軟部肉腫を疑う所見としては、5センチを超える大きなしこり、深部(筋肉内)に存在するしこり、急速に大きくなっているしこり、硬くて動きにくいしこり、自然に痛みが出てきたしこりなどが挙げられます。
また、他の部位の悪性腫瘍(乳がん・肺がん・腎臓がんなど)が転移してリンパ節や軟部組織にしこりを作ることもあります。悪性腫瘍の早期発見・早期治療のためにも、上記のような所見がある場合には速やかに専門医を受診することが大切です。
Q. 二の腕のしこりはまず何科を受診すればよい?
二の腕のしこりは、まず皮膚科または形成外科への受診が適切です。脂肪腫が疑われる場合は形成外科・整形外科、リンパ節の腫れが疑われる場合は内科・血液内科が対応します。悪性腫瘍が疑われるケースでは整形外科(骨・軟部腫瘍専門)への受診が必要です。かかりつけ医に相談し、専門医への紹介を受ける方法も有効です。

💡 自分でチェックできる目安とは
医療機関を受診する前に、自分で確認できることがいくつかあります。以下のポイントを参考に、しこりの状態を観察してみましょう。ただし、あくまでも目安であり、自己診断には限界があります。
💬 大きさと成長速度
しこりの大きさが5センチを超えている場合や、短期間(数週間〜数か月)で急激に大きくなっている場合は、悪性の可能性を考慮する必要があります。一方、何年も変わらず同じ大きさのまま存在しているしこりは、良性である可能性が高いです。定期的にしこりの大きさを測定・記録しておくことが診察の際に役立ちます。
✅ 硬さと可動性
柔らかくて動く(可動性が良い)しこりは脂肪腫などの良性病変であることが多いです。硬くて皮膚や筋肉と一体化して動かない(固着している)しこりは、悪性の可能性を疑う必要があります。ただし、炎症を起こした粉瘤なども周囲と癒着することがあるため、一概には言えません。
📝 痛みの有無
痛みがあるからといって必ずしも悪性とは言えませんし、痛みがないからといって必ずしも良性とは言えません。ただし、安静にしていても痛む「自発痛」がある場合や、徐々に痛みが強くなってきた場合は、炎症・感染・神経への圧迫・悪性病変などの可能性が高まるため、早めの受診を検討してください。
🔸 皮膚の変化
しこりの周囲の皮膚が赤くなっている・熱を持っている・皮膚が引っ張られているような感触がある・皮膚に潰瘍(爛れ)が生じているといった場合は、炎症や悪性病変のサインである可能性があります。
⚡ 全身症状の有無
しこりが出現した時期と前後して、発熱・体重減少・夜間の寝汗・倦怠感・食欲不振などの全身症状が現れている場合は、感染症や悪性腫瘍の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
📌 どの診療科を受診すればよいか
二の腕にしこりができた場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。一般的な目安として以下を参考にしてください。
まず最初に受診する場合は、皮膚科または形成外科が適切です。皮膚科は皮膚に関連するしこり(粉瘤・皮膚線維腫・石灰化上皮腫など)に対応しており、形成外科では皮膚から皮下組織にかけてのしこり全般を診ることができます。また、地域のかかりつけ医(内科・外科)に相談して、適切な専門医への紹介を受けることも良い方法です。
しこりの性状から脂肪腫が疑われる場合は形成外科または整形外科、リンパ節の腫れが疑われる場合は内科または血液内科、神経由来の腫瘍が疑われる場合は整形外科または脳神経外科(末梢神経外科)に相談することが一般的です。
悪性腫瘍が疑われる場合は、整形外科(骨・軟部腫瘍専門)や腫瘍外科が専門的な診断・治療を行います。まずは近くの医療機関を受診し、必要に応じて専門医への紹介を受けるのが現実的なアプローチです。
美容・形成外科クリニックでは、良性のしこり(脂肪腫・粉瘤など)に対して、日帰り手術での切除を行っている施設が多くあります。外見的に気になる・仕事を長期間休めないという方には、こうしたクリニックへの受診も選択肢のひとつです。
✨ 受診の際に伝えるべきポイント
医療機関を受診する際に、医師に正確な情報を伝えることで、より適切な診断につながります。以下の点をあらかじめまとめておくと診察がスムーズです。
しこりに気づいたのはいつ頃か:突然気づいたのか、いつの間にかできていたのかによって、経過の把握に役立ちます。
大きさの変化:最初に気づいた頃と現在を比べて、大きくなっているか、変わらないかを伝えましょう。
痛みの有無:触ったときに痛むのか、安静時でも痛むのか、痛みがないのかを伝えましょう。
皮膚の変化:赤みや熱感、皮膚の異常(潰瘍・黒い点など)の有無を確認しておきましょう。
全身症状:発熱・体重減少・寝汗・倦怠感などがある場合は必ず伝えましょう。
既往歴:過去にがんや感染症にかかったことがあるか、現在治療中の病気があるかを伝えましょう。
家族歴:家族に同様のしこりができた人や、悪性腫瘍になった人がいるかどうかも有用な情報です。
これらの情報を事前にメモにまとめておくと、限られた診察時間の中でより多くの情報を医師に伝えることができます。
Q. 二の腕のしこり切除手術は大がかりな入院が必要?
脂肪腫や粉瘤などの良性しこりであれば、局所麻酔による日帰り手術で対応できるケースが多く、入院を要さないことがほとんどです。仕事や日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を受けられます。ただし、しこりの大きさや深さによっては全身麻酔が必要になる場合もあり、早期に受診するほど負担の少ない方法で治療できる可能性が高まります。
🔍 二の腕のしこりの検査・診断方法
医療機関では、しこりの原因を特定するためにいくつかの検査が行われることがあります。どのような検査が行われるかは、しこりの状態や患者さんの状況によって異なりますが、主なものをご紹介します。
🌟 視診・触診
医師がしこりを目で見て・手で触れて評価します。大きさ・硬さ・可動性・皮膚との関係・押したときの痛みなどを確認します。経験豊富な医師であれば、触診だけでもある程度の見当をつけることができます。
💬 超音波(エコー)検査
皮膚や皮下の組織を音波を使って画像化する検査です。放射線を使わないため安全性が高く、リアルタイムでしこりの内部構造・深さ・血流の有無などを確認することができます。外来で簡便に行えることから、しこりの初期評価に広く用いられています。
✅ MRI検査
磁気を使って体の内部を詳細に画像化する検査です。軟部組織の描出に優れており、しこりの性状・大きさ・周囲との関係などを詳しく評価することができます。悪性腫瘍が疑われる場合や、手術前の詳細な評価が必要な場合に行われることが多いです。
📝 CT検査
X線を使って体の断面を画像化する検査です。しこりの石灰化の確認や、転移の有無を調べるために行われることがあります。
🔸 細胞診・生検

しこりに細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察する「細針吸引細胞診」や、より太い針でしこりの一部を採取する「針生検(コア針生検)」が行われることがあります。悪性腫瘍が疑われる場合に、組織型の確定診断のために実施されます。確定診断が必要な場合は、手術で一部または全体を摘出して病理検査を行う「切除生検」が選択されることもあります。
⚡ 血液検査
全身状態の評価や、感染症・炎症・血液疾患の有無を調べるために行われます。リンパ節の腫れが疑われる場合は、血液検査が診断の手がかりになることがあります。
💪 治療法について
二の腕のしこりの治療法は、しこりの種類・大きさ・症状・患者さんの希望などによって異なります。
🌟 経過観察
小さく症状のない良性のしこり(特に小さな脂肪腫など)に対しては、定期的に経過を観察し、変化があれば対処するという方針が取られることがあります。大きさの変化や症状の出現をモニタリングすることが大切です。
💬 外科的切除
脂肪腫・粉瘤・石灰化上皮腫など多くの良性しこりに対して、外科的切除が行われます。手術は局所麻酔下で行われることが多く、日帰りで対応できる場合が少なくありません。しこりの大きさ・深さ・部位によっては、全身麻酔が必要になることもあります。
粉瘤については、炎症がない状態であれば「くり抜き法」と呼ばれる小さな穴から嚢腫を摘出する方法が行われることもあります。従来の紡錘形切開と比較して傷が小さく済むという利点があります。ただし、すべての粉瘤にこの方法が適用できるわけではありません。
✅ 炎症性粉瘤に対する処置
感染を起こした炎症性粉瘤に対しては、まず切開して膿を排出する「切開排膿」が行われます。その後、炎症が落ち着いてから改めて袋ごと摘出する手術を行います。炎症が強い時期に無理に摘出しようとすると、袋が破れて取り残しが生じ、再発しやすくなるためです。
📝 リンパ節腫脹に対する治療
感染症に伴うリンパ節の腫れに対しては、原因となる感染症の治療(抗菌薬など)を行います。原因の感染症が治れば、リンパ節の腫れも自然に改善することがほとんどです。悪性リンパ腫などの血液疾患が原因の場合は、血液内科での専門的な治療が必要となります。
🔸 悪性腫瘍に対する治療
軟部肉腫などの悪性腫瘍に対しては、手術による切除が基本となります。腫瘍の種類・大きさ・病期(ステージ)によっては、放射線療法や化学療法(抗がん剤治療)を組み合わせた集学的治療が行われることもあります。専門的な医療機関での治療が必要なため、疑いがある場合は早期に専門医へ紹介されることが一般的です。
⚡ 術後のケアと注意点
手術後は傷の管理が重要です。傷の感染(創感染)・出血・血腫などの合併症に注意が必要です。また、しこりを切除した部位に再発が生じることもあるため、術後の定期的な経過観察が推奨されます。特に粉瘤は袋の取り残しがあると再発しやすいため、手術技術と丁寧な操作が重要です。手術による傷跡(瘢痕)が気になる場合は、形成外科的なアプローチによってより目立たない傷跡に仕上げることを重視するクリニックを選ぶと良いでしょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、二の腕のしこりを主訴にご来院される患者様の多くが、脂肪腫や粉瘤といった良性の病変であることがほとんどですが、「痛みがないから」「小さいから」と長期間放置された結果、治療が複雑になってしまうケースも少なくありません。しこりの性状や経過によっては、超音波検査などで速やかに鑑別を行う必要がありますので、気になるしこりがある場合はどうか一人で不安を抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。早期にご来院いただくほど、日帰り手術など患者様の負担が少ない方法で対応できる可能性が高まります。」
🎯 よくある質問
多くの場合は脂肪腫や粉瘤などの良性病変ですが、放置すると大きくなって治療が複雑になることがあります。また、まれに軟部肉腫などの悪性腫瘍が含まれる場合もあります。「痛みがないから大丈夫」と自己判断せず、しこりが気になる場合は皮膚科や形成外科への受診をお勧めします。
まずは皮膚科または形成外科への受診が適切です。脂肪腫が疑われる場合は形成外科・整形外科、リンパ節の腫れが疑われる場合は内科・血液内科が専門的な対応を行います。悪性腫瘍が疑われる場合は整形外科(骨・軟部腫瘍専門)への受診が必要です。かかりつけ医から紹介を受ける方法もあります。
以下の場合は悪性の可能性があるため注意が必要です。①大きさが5センチを超えている、②数週間〜数か月で急激に大きくなっている、③硬くて動かない(固着している)、④安静時にも痛みがある、⑤発熱・体重減少など全身症状を伴う。これらの所見がある場合は速やかに医療機関を受診してください。
自己処置は避けてください。無理に絞り出すと袋が破れて内容物が皮下に広がり、炎症を引き起こすリスクがあります。粉瘤は自然に消えることはなく、放置すると大きくなったり細菌感染により赤く腫れて強い痛みが出たりすることがあります。完治には袋ごと摘出する手術が必要なため、皮膚科や形成外科への受診をお勧めします。
しこりの種類・大きさ・深さによって異なりますが、脂肪腫や粉瘤などの良性しこりは局所麻酔による日帰り手術で対応できるケースが多く、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。当院でも良性のしこりに対して日帰り手術を行っております。早期に受診するほど、負担の少ない方法で治療できる可能性が高まります。
💡 まとめ
二の腕のしこりは、脂肪腫・粉瘤・リンパ節の腫れなど多くの原因によって生じます。そのほとんどは良性の病変ですが、まれに軟部肉腫などの悪性腫瘍が含まれることもあるため、安易な自己判断は禁物です。
特に、しこりが急激に大きくなっている、5センチを超える大きさがある、硬くて動かない、痛みがある、全身症状を伴うといった場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。また、症状が軽くても「しこりがある」という状態が続く場合は、放置せずに皮膚科・形成外科・外科などを受診して専門家の診断を受けることをお勧めします。
正確な診断を受けることで、適切な治療方針が立てられます。脂肪腫や粉瘤などの良性しこりであれば、日帰り手術での切除が可能なケースも多く、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を受けることができます。「大したことないだろう」と思っていたしこりが、実は治療が必要な状態だったというケースも存在します。二の腕のしこりが気になる方は、ぜひお早めに専門医に相談してみてください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 粉瘤(表皮嚢腫・アテローマ)および皮膚線維腫・石灰化上皮腫などの皮膚由来のしこりに関する診断基準・治療ガイドラインの参照
- 日本形成外科学会 – 脂肪腫・粉瘤・血管腫などの良性皮下腫瘍に対する外科的切除(日帰り手術・くり抜き法など)の治療方針および術後ケアに関する情報の参照
- 厚生労働省 – 軟部肉腫・悪性リンパ腫を含むがんの早期発見・受診の目安および診療科選択に関する公的医療情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
