
ダニに刺されると、激しいかゆみや赤みが生じ、数日から数週間にわたって症状が続くことがあります。「市販薬で様子をみるべきか、それとも皮膚科を受診すべきか」と迷う方も多いのではないでしょうか。ダニ刺されは放置すると症状が悪化したり、感染症を引き起こすリスクもあるため、正しい対処法を知っておくことが大切です。本記事では、ダニ刺されの特徴や使える薬の種類、皮膚科での治療内容、そして早めに受診すべきサインについて詳しく解説します。
目次
- ダニ刺されとはどういう状態か
- 日常生活でよく遭遇するダニの種類
- ダニ刺されの症状と特徴
- ダニ刺されに使える市販薬の種類と選び方
- 市販薬を使う際の注意点
- 皮膚科ではどんな治療が受けられるか
- 皮膚科を受診すべきタイミングと受診の目安
- ダニ刺されが引き起こす感染症のリスク
- ダニ刺されを予防するための日常的な対策
- まとめ
この記事のポイント
ダニ刺されは市販のステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬で軽症対応が可能だが、1〜2週間改善しない場合や発熱などの全身症状が伴う場合は皮膚科受診が必要。マダニ刺傷はSFTS・日本紅斑熱などの重篤な感染症リスクがあり、早期医療機関受診が重要。
🎯 ダニ刺されとはどういう状態か
ダニ刺されとは、ダニが人間の皮膚に接触し、吸血または組織液を摂取しようとした際に生じる皮膚炎の一種です。医学的には「ダニ皮膚炎」や「虫刺症(むしさされ)」の一形態として分類されます。
ダニは非常に小さな節足動物で、肉眼では確認しにくいものも多く、「いつ刺されたのか気づかなかった」という声もよく聞かれます。刺された直後には症状が出ないこともあり、数時間から数日後になってかゆみや発疹が現れることも珍しくありません。
ダニは温暖で湿度の高い環境を好むため、日本では特に梅雨から夏にかけての時期に被害が増加します。しかし、室内のダニ(チリダニやコナダニなど)は年間を通じて生息しているため、季節を問わず被害が報告されています。布団や絨毯、ぬいぐるみ、畳といった場所がダニの温床になりやすく、日常生活の中で知らず知らずのうちにダニと接触しているケースも少なくありません。
Q. ダニ刺されの症状はいつ頃から現れますか?
ダニ刺されは刺された直後に症状が出ないことが多く、数時間から数日後にかゆみや発疹が現れる「遅延性反応」が特徴です。蚊刺されと異なりかゆみが非常に強く、衣服で覆われた部位にも発疹が生じやすく、症状が1〜2週間以上続くケースもあります。
📋 日常生活でよく遭遇するダニの種類
一口に「ダニ」と言っても、日本国内だけでも数百種類以上が確認されています。皮膚症状を引き起こしやすい代表的なダニには以下のようなものがあります。
🦠 イエダニ
ネズミに寄生するダニで、ネズミが屋内に侵入した際に人間を刺すことがあります。主に腹部・脇の下・内股など皮膚の柔らかい部分を刺す傾向があり、強いかゆみを伴います。ネズミの駆除と同時に対策を行うことが必要です。
👴 ツメダニ
チリダニやコナダニを捕食するダニで、室内に生息しています。ツメダニは基本的に人間を刺すことを目的としていませんが、誤って刺すことがあります。刺された部位に水疱(すいほう)ができることもあり、強いかゆみが特徴です。梅雨明けから秋にかけて被害が多くなります。
🔸 マダニ
草むらや山林などの屋外環境に生息する大型のダニです。皮膚にしっかりと噛みつき、数日間にわたって吸血します。マダニは各種感染症の媒介者として知られており、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)やライム病などを引き起こすリスクがあるため特に注意が必要です。
💧 ヒョウヒダニ(チリダニ)
室内のほこりの中に多く生息するダニで、アレルギー性疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎など)の主要なアレルゲンとして知られています。直接皮膚を刺して症状を引き起こすというよりも、死骸やフンがアレルゲンとなって皮膚炎を引き起こすことがあります。
✨ 疥癬虫(ヒゼンダニ)
疥癬(かいせん)の原因となるダニで、皮膚の角質層に寄生します。感染力が非常に強く、皮膚と皮膚の直接接触によって人から人へと感染します。激しいかゆみ(特に夜間)と特徴的な皮疹を伴い、一般的なダニ刺されとは異なる治療が必要です。
💊 ダニ刺されの症状と特徴
ダニ刺されの症状は、刺したダニの種類や個人の体質によって異なりますが、一般的には以下のような症状が見られます。
📌 かゆみ
ダニ刺されで最も顕著な症状がかゆみです。ダニの唾液や消化液に含まれる成分が皮膚に注入されることで、免疫反応が起こり、ヒスタミンが放出されます。これがかゆみの主な原因です。かゆみは非常に強く、夜間に悪化することも多いです。
▶️ 発赤・発疹
刺された部位を中心に赤みが広がり、丘疹(きゅうしん:小さな盛り上がり)が生じます。複数箇所を刺されることが多く、体幹部や四肢に散在性に発疹が現れることもあります。
🔹 腫れ・水疱
刺された部位が腫れ上がったり、水疱(みずぶくれ)が形成されることがあります。水疱を破ってしまうと、そこから細菌感染が起こるリスクがあるため注意が必要です。
📍 症状の持続期間
一般的なダニ刺されの症状は、適切な処置を行えば1〜2週間程度で改善することが多いです。ただし、体質によっては症状が長引いたり、かゆみのために患部を搔き壊して悪化することもあります。また、マダニによる刺傷の場合は、症状の経過が異なり、発熱などの全身症状が伴うこともあります。
💫 他の虫刺されとの違い
ダニ刺されは蚊やノミの刺されとよく似た症状を示しますが、いくつかの点で区別できます。ダニ刺されは複数の箇所に集中して現れることが多く、衣服で覆われた部位(下着のゴム周辺など)にも見られます。また、かゆみが特に強く、症状が長期間続くことが特徴です。蚊刺されは刺された直後に反応が出やすいのに対し、ダニ刺されは遅延性に症状が現れることが多い点も異なります。
Q. ダニ刺されに市販薬を使う際の注意点は何ですか?
市販のステロイド外用薬は使用前に患部を清潔に洗うことが基本です。ステロイド成分を長期・広範囲に使用すると皮膚萎縮などの副作用が生じるため、使用期間は1〜2週間が目安です。子どもや高齢者は皮膚が薄く成分が吸収されやすいため、早めに皮膚科を受診することが推奨されます。
🏥 ダニ刺されに使える市販薬の種類と選び方
軽度のダニ刺されであれば、まず市販薬で対処することが可能です。ただし、どの薬を選ぶかによって効果が異なるため、成分や用途を理解したうえで選ぶことが大切です。
🦠 ステロイド外用薬
ダニ刺されによる炎症やかゆみに対して最も有効なのが、ステロイド成分を含む外用薬です。市販品にはステロイドの強さ(ランク)によっていくつかの種類があります。
市販されているステロイド外用薬は、処方薬と比較すると一般的に弱めの強度のものが多く、ウィーク(弱い)からミディアム(中程度)ランクに相当するものが中心です。虫刺されによる軽度から中等度の炎症には、ミディアムランク程度のステロイド成分(ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど)を含む薬が効果的です。
ステロイド外用薬は炎症を鎮めてかゆみを抑える働きがありますが、長期間の使用や広範囲への使用は避ける必要があります。また、顔や皮膚の薄い部位への使用には注意が必要で、使用期間や方法については製品の説明書をよく読むことが重要です。
👴 抗ヒスタミン薬(外用・内服)
かゆみの主要な原因物質であるヒスタミンの働きを抑える薬です。外用(塗り薬)と内服(飲み薬)があります。
外用の抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン塩酸塩など)は、患部に直接塗ることでかゆみを局所的に抑えます。ただし、効果の持続時間が短いことや、接触性皮膚炎を引き起こす可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
内服の抗ヒスタミン薬は、全身のかゆみを抑える効果があります。市販の内服抗ヒスタミン薬には、旧世代のもの(眠気が出やすい)と新世代のもの(眠気が少ない)があります。就寝前のかゆみが強い場合は、眠気の副作用を逆利用した旧世代の薬を選ぶ方法もありますが、日中に服用する場合や運転をする場合は眠気の少ない薬を選ぶことが重要です。
🔸 局所麻酔成分を含む薬
リドカインやジブカイン塩酸塩などの局所麻酔成分が含まれた虫刺され用外用薬は、かゆみや痛みを素早く和らげる効果があります。即効性があるため、特にかゆみが強いときの応急処置として役立ちます。ただし、効果の持続時間は限られているため、炎症自体を鎮める目的にはステロイド成分との組み合わせが効果的です。
💧 抗菌成分を含む薬
搔き傷から細菌感染が起こる可能性がある場合には、抗菌成分(クロルヘキシジングルコン酸塩など)が含まれた薬が役立ちます。ただし、これはあくまでも二次感染の予防が目的であり、ダニ刺されそのものの治療ではありません。患部が膿んでいたり、強い赤みや腫れが広がっている場合には市販薬では対処が難しいため、早めに皮膚科を受診することが推奨されます。
✨ 市販薬の使い分け
かゆみと炎症が主な症状であれば、ステロイド成分と抗ヒスタミン成分が配合された複合タイプの虫刺され薬が使いやすいでしょう。かゆみが全身に及ぶ場合や夜間にかゆみで眠れない場合は、内服の抗ヒスタミン薬を併用することも選択肢の一つです。搔き傷が目立つ場合には、抗菌成分を含む薬を組み合わせることで二次感染のリスクを下げられます。
⚠️ 市販薬を使う際の注意点
市販薬は便利ですが、使い方を誤ると症状を悪化させたり、思わぬ副作用が生じることもあります。以下の点に注意して使用してください。
📌 患部を清潔にしてから塗布する
薬を塗る前に、患部を水や石けんで優しく洗い、清潔にしてから塗布することが基本です。汚れた状態で薬を塗ると、効果が十分に発揮されないだけでなく、感染リスクが高まる可能性があります。
▶️ 搔かないようにする
かゆいからといって患部を強く搔いてしまうと、皮膚が傷ついて二次感染のリスクが高まるだけでなく、症状が長引く原因にもなります。かゆみが強い場合は、冷たいタオルなどで患部を冷やすことでかゆみを一時的に和らげる方法が有効です。
🔹 ステロイド外用薬の過剰使用に注意
ステロイド外用薬を長期間にわたって使用すると、皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)、血管が浮き出る(毛細血管拡張)、にきびや毛包炎が生じるなどの副作用が現れることがあります。市販のステロイド外用薬は、一般的に1〜2週間程度の使用が目安とされており、症状が改善しない場合や悪化する場合は皮膚科を受診することが重要です。
📍 子どもや高齢者への使用は慎重に
子どもの皮膚は大人に比べて薄く、ステロイド成分が吸収されやすいため、使用量や使用期間をより慎重に管理する必要があります。また、高齢者も皮膚が薄くなっているため同様の注意が必要です。子どもや高齢者のダニ刺されは、早めに皮膚科を受診して適切な薬を処方してもらうことを推奨します。
💫 症状が改善しない場合は継続使用しない
市販薬を1週間程度使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、皮膚科を受診してください。市販薬で対応できる範囲を超えている可能性があります。
Q. マダニに噛まれた後に注意すべき感染症は何ですか?
マダニ刺傷後に注意すべき主な感染症として、致死率が比較的高いSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、高熱と全身発疹を伴う日本紅斑熱、輪状の遊走性紅斑が特徴のライム病があります。いずれも発熱などの全身症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診し、マダニに刺されたことを医師へ伝えることが重要です。
🔍 皮膚科ではどんな治療が受けられるか
ダニ刺されが重症化した場合や、市販薬で改善しない場合は皮膚科を受診することが必要です。皮膚科では以下のような診断・治療が行われます。
🦠 問診と視診による診断
皮膚科では、まず問診によってどのような環境で生活しているか、ペットを飼っているか、最近屋外に出かけたか、症状の経過はどうかなどを詳しく確認します。その後、皮膚の状態を視診し、必要に応じてダーモスコープ(皮膚鏡)を用いて詳しく観察します。ダニが皮膚に残っている場合はその確認も行います。
疥癬が疑われる場合には、皮膚の表面を採取してダニや虫卵を顕微鏡で確認する検査(皮膚掻爬検査)が行われることもあります。
👴 処方薬によるステロイド外用療法
皮膚科で処方されるステロイド外用薬は、市販薬よりも強力なものが多く、症状の程度や部位に応じて適切な強さのものが処方されます。処方薬のステロイドはストロングやベリーストロング、ストロンゲストなどのランクも含まれており、重症のダニ刺されに対して迅速な効果が期待できます。
🔸 抗ヒスタミン薬の内服処方
かゆみが強い場合は、処方の内服抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。市販薬よりも種類が豊富で、患者さんの症状や生活状況(眠気の許容度、他の薬との相互作用など)に合わせて最適な薬を選択してもらえます。
💧 感染が伴う場合の抗生物質処方
搔き傷などから細菌感染が起こっている場合(とびひや蜂窩織炎など)には、抗生物質(外用または内服)が処方されます。感染が広がっている場合は、点滴による治療が必要になることもあります。
✨ 疥癬の場合の特別な治療
ヒゼンダニによる疥癬の場合は、通常のダニ刺されとは全く異なる治療が必要です。経口の抗寄生虫薬(イベルメクチン)や外用の殺ダニ薬が処方されます。疥癬は感染力が強いため、家族や一緒に生活している人にも検査や治療が必要になることがあります。
📌 マダニが噛みついている場合の処置
マダニが皮膚に噛みついて取れない場合は、自分で無理に取ろうとせず、皮膚科を受診してください。皮膚科では適切な器具を用いてマダニをしっかりと除去する処置が行われます。自己処置でダニを無理に引き抜こうとすると、ダニの口器が皮膚内に残ったり、ダニの体液が逆流して感染リスクが高まる可能性があります。
📝 皮膚科を受診すべきタイミングと受診の目安
ダニ刺されは、軽症であれば市販薬での対処も可能ですが、以下のような状況では早めに皮膚科を受診することを強くお勧めします。
▶️ 市販薬を1〜2週間使用しても改善しない場合

市販薬を正しく使用しても症状が続く場合は、市販薬の効果が不十分であるか、別の皮膚疾患が混在している可能性があります。皮膚科で正確な診断を受けることが必要です。
🔹 症状が急速に悪化している場合
赤みや腫れが急激に広がる、痛みが強まる、膿が出るなど、症状の悪化が見られる場合は細菌感染が疑われます。速やかに皮膚科を受診してください。
📍 発熱や全身症状を伴う場合
ダニ刺されの後に発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、リンパ節の腫れなどの全身症状が現れた場合は、ダニ媒介性感染症の可能性があります。この場合は皮膚科だけでなく、内科や感染症科への受診も検討してください。特にマダニに刺された後に発熱が現れた場合は、重篤な感染症のサインである可能性があるため緊急性が高いです。
💫 マダニが噛みついていて取れない場合
すでに述べたとおり、マダニが皮膚から離れない場合は自己処置を試みず、皮膚科を受診することが重要です。
🦠 乳幼児や高齢者、免疫機能が低下している方の場合
乳幼児は皮膚が非常に薄く、また自分でかゆみを我慢できないため、搔き壊しによる二次感染が起こりやすいです。高齢者や免疫機能が低下している方(糖尿病の方、ステロイドや免疫抑制剤を服用している方など)は感染症のリスクが高まります。これらの方がダニ刺されの疑いがある場合は、市販薬での様子見はせず、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
👴 全身にかゆみや発疹が広がっている場合
広範囲に発疹やかゆみが広がっている場合は、疥癬や薬疹などの別の疾患の可能性があります。自己診断で対処することは難しいため、皮膚科での診察が必要です。
Q. 皮膚科ではダニ刺されにどのような治療を行いますか?
皮膚科では問診・視診をもとに症状の程度に応じた治療を行います。市販薬より強力な処方ステロイド外用薬や、生活状況に合わせた内服抗ヒスタミン薬が処方されます。細菌感染がある場合は抗生物質、疥癬と診断された場合はイベルメクチンなど専用薬が必要となり、自己判断での市販薬対応には限界があります。
💡 ダニ刺されが引き起こす感染症のリスク
ダニは単に皮膚炎を引き起こすだけでなく、様々な感染症を媒介する可能性があります。特にマダニは多くの病原体を保有しており、その刺傷によって重篤な疾患が引き起こされることがあります。主なダニ媒介性感染症について知っておくことが大切です。
🔸 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
SFTSウイルスを保有するマダニに刺されることで感染します。潜伏期間は6〜14日で、発熱、消化器症状(嘔吐・下痢・腹痛)、血小板減少、白血球減少などが主な症状です。致死率が比較的高く(日本では約10〜30%の報告例もある)、特効薬が存在しないため、早期の発見と支持療法が重要です。主に西日本を中心に報告されていますが、全国的に注意が必要な感染症です。
💧 日本紅斑熱
リケッチア菌(Rickettsia japonica)を保有するマダニに刺されることで感染します。潜伏期間は2〜8日で、突然の高熱、頭痛、全身の発疹(顔面・手のひら・足の裏を含む)、刺し口(エスカー)が主な特徴です。適切な抗菌薬(ドキシサイクリンなど)で治療可能ですが、治療が遅れると重症化する危険があります。
✨ ライム病
ボレリア菌を保有するマダニに刺されることで感染する感染症です。刺されてから数日〜数週間後に、刺し口の周囲に輪状の発疹(遊走性紅斑)が現れることが特徴です。日本での症例報告は欧米と比較して少ないですが、野外活動の機会が多い方は注意が必要です。早期発見・早期治療が重要で、適切な抗菌薬で治療可能です。
📌 ツツガムシ病
厳密にはダニではなくツツガムシ(チゴダニ科)に刺されることで感染するリケッチア感染症ですが、ダニ類縁の虫刺されによる感染症として重要です。秋から冬にかけて特に多く見られ、高熱、特徴的な刺し口(黒色痂皮)、全身の発疹が主な症状です。適切な抗菌薬(ドキシサイクリンなど)で治療可能です。
これらの感染症は、マダニに刺された後に発熱などの全身症状が現れた場合に疑われます。アウトドア活動後にダニ刺されがあり、発熱などの症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診し、マダニに刺されたことを医師に伝えることが重要です。
✨ ダニ刺されを予防するための日常的な対策
ダニ刺されを防ぐためには、室内と屋外でそれぞれ異なる対策が必要です。日常的に取り組める予防策をご紹介します。
▶️ 室内でのダニ対策
室内ダニ(イエダニ・ツメダニ)の被害を防ぐためには、ダニが繁殖しにくい環境を整えることが基本です。ダニは高温多湿の環境を好むため、室内の換気と除湿を心がけることが大切です。エアコンの除湿機能や除湿機を活用して室内の湿度を50%以下に保つことが推奨されています。
布団や枕はこまめに天日干しするか、布団乾燥機を使用してダニを死滅させましょう。天日干しの場合は、干した後に掃除機をかけるとダニの死骸やフンを除去できます。シーツや枕カバーは週1回以上の頻度で洗濯し、高温乾燥(60℃以上)させることが効果的です。
絨毯や畳はダニの温床になりやすいため、定期的に掃除機をかけることが重要です。可能であれば、絨毯をフローリングに変更することも選択肢の一つです。ぬいぐるみは洗濯できるものは定期的に洗い、洗えないものはビニール袋に入れて冷凍する(-20℃以下で約48時間)とダニを死滅させることができます。
ダニ駆除スプレーや防ダニシートなども市販されています。これらは一定の効果が期待できますが、物理的な清掃との組み合わせがより効果的です。
🔹 屋外でのマダニ対策
マダニは草むらや低木の葉の上で人や動物を待ち構えています。登山・ハイキング・キャンプなどのアウトドア活動の際は以下の点に注意してください。
長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を最小限にすることが基本です。靴下はズボンの裾の中に入れるか、ゲイター(足首〜ふくらはぎをカバーするもの)を使用すると、ダニが靴下の中に入り込むのを防ぐことができます。白や薄い色の衣類を選ぶと、ダニが衣服についた際に発見しやすくなります。
虫よけスプレー(ディート配合またはイカリジン配合のもの)を露出した皮膚に塗布することが有効です。ディート配合のものはマダニに対して一定の忌避効果があるとされています。衣類への使用にはパーメトリン配合の防虫スプレーが効果的ですが、直接皮膚に塗布することはできないため注意が必要です。
アウトドア活動後は、全身を丁寧に確認してダニが付着していないかチェックします。特に、頭皮、耳の後ろ、脇の下、肘の内側、膝の裏、股間、腹部など皮膚の柔らかい部位を重点的に確認しましょう。入浴の際に全身をよく確認する習慣をつけることが大切です。
ペット(犬・猫)を飼っている場合は、ペットを介してマダニが室内に持ち込まれることがあります。アウトドアに連れて行った後はペットの体もよく確認し、動物病院でマダニ予防薬(外用薬・内服薬)を処方してもらうことを検討してください。
📍 マダニを発見した場合の対応
体に付着したマダニを発見した場合、すでに皮膚に噛みついていなければ、粘着テープを使って除去することができます。ただし、すでに噛みついている場合は無理に取り除こうとせず、皮膚科を受診してください。
マダニを取り除いた後は、刺された部位の状態を観察し、数週間後に発熱などの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診し、マダニに刺された経緯を伝えることが重要です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、ダニ刺されを主訴に来院される患者さまの中に、市販薬を長期間使用されても改善せず、症状が慢性化した状態でいらっしゃるケースが少なくありません。ダニ刺されは一見軽症に思えても、搔き壊しによる二次感染や、まれにマダニ媒介性感染症のサインが隠れていることもあるため、1〜2週間で改善が見られない場合や発熱などの全身症状を伴う場合には、早めにご受診いただくことを強くお勧めします。患者さまお一人おひとりの症状や生活環境をしっかりと伺いながら、最適な治療をご提案してまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
ダニに刺された直後は症状が出ないことも多く、数時間から数日後にかゆみや発疹が現れるケースが一般的です。これは「遅延性反応」と呼ばれ、蚊刺されと異なる特徴のひとつです。症状が出るタイミングは個人差があり、気づかないうちに刺されているケースも少なくありません。
市販のステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を1〜2週間使用しても症状が改善しない場合は、皮膚科への受診をお勧めします。市販薬の効果が不十分なケースや、疥癬など別の皮膚疾患が隠れている可能性があります。当院では患者さまの症状や生活環境を丁寧に確認したうえで、適切な治療をご提案しています。
すでに皮膚に噛みついているマダニを自分で無理に取り除くことはお勧めできません。口器が皮膚内に残ったり、ダニの体液が逆流して感染リスクが高まる恐れがあります。マダニが取れない場合は皮膚科を受診してください。当院では適切な器具を用いて安全に除去する処置を行っています。
疥癬はヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生することで起こり、特に夜間に激しいかゆみが生じる点が特徴です。一般的なダニ刺されとは原因も治療法も異なります。見た目だけでの自己判断は難しいため、症状が広範囲に及ぶ場合や改善しない場合は、早めに皮膚科を受診して正確な診断を受けることが重要です。
マダニに刺された後、発熱・頭痛・倦怠感・嘔吐・下痢・全身の発疹などの症状が現れた場合は、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)や日本紅斑熱などのダニ媒介性感染症の可能性があります。これらは重篤化するリスクがあるため、症状が出た際は速やかに医療機関を受診し、マダニに刺されたことを医師へ必ずお伝えください。
🎯 まとめ
ダニ刺されは、強いかゆみや発疹が長引くことが多く、適切な対処を行わないと悪化する可能性があります。市販のステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬が軽症の場合には有効ですが、症状が改善しない場合や重症化のサインが見られる場合は、皮膚科への受診が必要です。
特にマダニによる刺傷は、SFTS・日本紅斑熱・ライム病などの感染症を引き起こすリスクがあるため、アウトドア活動後に発熱などの全身症状が現れた場合には、皮膚科だけでなく内科や感染症科への受診も検討してください。
室内ダニの対策としては、定期的な清掃・換気・除湿が基本となります。屋外でのマダニ対策には、長袖・長ズボンの着用や虫よけスプレーの使用、アウトドア後の体の確認が重要です。
ダニ刺されでお困りの方や、症状が長引いていてお悩みの方は、アイシークリニック新宿院にお気軽にご相談ください。患者さまの症状に合わせた適切な診断と治療を行っています。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – マダニ対策や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などダニ媒介性感染症に関する注意喚起・予防対策の公式情報
- 国立感染症研究所 – 日本紅斑熱・ライム病・ツツガムシ病・SFTSなどダニ媒介性感染症の病原体・疫学・症状・治療に関する詳細情報
- 日本皮膚科学会 – ダニ皮膚炎・虫刺症の診断・治療方針およびステロイド外用薬の適切な使用方法に関する皮膚科専門的情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
