
水虫(白癬)は、白癬菌というカビの一種が皮膚に感染することで起こる疾患です。日本では約2500万人が罹患しているとも言われ、非常に身近な感染症のひとつです。市販薬でセルフケアを続けている方も多いですが、なかなか改善しない場合は皮膚科での処方薬が必要になることがあります。この記事では、水虫の治療に皮膚科で処方されることの多い薬の種類や特徴、選ばれる理由について詳しく解説します。水虫の治療を考えている方や、市販薬では効果を感じられない方はぜひ参考にしてください。
目次
- 水虫とはどんな病気か?基礎知識を整理しよう
- 水虫の治療に使われる薬の種類
- 皮膚科でよく処方される外用薬ランキングと特徴
- 内服薬(飲み薬)が必要になるケースとその種類
- 処方薬と市販薬の違い
- 水虫の部位別・タイプ別に適した薬の選び方
- 処方薬を正しく使うためのポイント
- 水虫治療でよくある失敗と注意点
- まとめ
この記事のポイント
水虫(白癬)の皮膚科処方薬は外用薬(ルリコナゾール等)と内服薬(テルビナフィン・イトラコナゾール等)に分類され、部位・タイプに応じた選択と指示通りの治療期間継続が完治の鍵となる。市販薬で改善しない場合は早期受診が推奨される。
🎯 水虫とはどんな病気か?基礎知識を整理しよう
水虫とは、皮膚糸状菌(白癬菌)が皮膚の角質層に感染することで引き起こされる真菌感染症です。医学的には「白癬(はくせん)」と呼ばれ、感染する部位によって名前が異なります。足に感染するものが「足白癬」、爪に感染するものが「爪白癬(爪水虫)」、股部に感染するものが「股部白癬(いんきんたむし)」と呼ばれています。
白癬菌は高温多湿な環境を好み、足の指の間や足底のような蒸れやすい場所で繁殖しやすい特徴があります。感染経路は、浴室やプールの足拭きマット、スリッパなどを介した接触感染が主なルートです。白癬菌が皮膚に触れただけでは感染は成立せず、長時間皮膚に接触し、かつ角質層の中に侵入するための条件が揃ったときに感染が起こります。
水虫の症状は多岐にわたります。足の指の間が白くふやけてかゆくなる「趾間型(しかんがた)」、足底や足の縁に小さな水疱ができる「小水疱型」、足底全体が分厚く硬くなる「角化型」などがあります。かゆみのない角化型は水虫だと気づかれにくく、放置されているケースが少なくありません。また、爪が白くなったり、厚く変形したりする爪白癬は特に治療が難しく、外用薬だけでは改善しにくいことがあります。
水虫の診断は、皮膚科で患部を顕微鏡で観察する「直接鏡検法」によって確定されます。自己判断でセルフケアを続けていると、実は水虫ではなく湿疹や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)であったというケースも見られます。市販薬で改善しない場合は、早めに皮膚科を受診して正確な診断を受けることが大切です。
Q. 水虫の外用薬で皮膚科から処方される主な薬は何ですか?
皮膚科で頻繁に処方される外用抗真菌薬には、ルリコナゾール(ルリコン)、ラノコナゾール(アスタット)、エフィナコナゾール(クレナフィン)、テルビナフィン(ラミシール外用)、ビホナゾール(マイコスポール)などがあります。部位や症状のタイプに応じてクリーム・液剤・軟膏が使い分けられます。
📋 水虫の治療に使われる薬の種類
水虫の治療薬は大きく「外用薬(塗り薬)」と「内服薬(飲み薬)」に分けられます。また、外用薬はその剤形によって、クリーム、液(ローション)、スプレー、軟膏などに分類されます。
外用薬は水虫の基本的な治療薬です。患部に直接塗布することで、白癬菌の細胞膜合成を阻害したり、菌の増殖を抑制したりします。外用薬に含まれる成分のほとんどは「アゾール系」または「アリルアミン系」という2種類の抗真菌薬に分類されます。これらは白癬菌に対する作用機序が異なるため、効果の出やすさや副作用のプロフィールにも違いがあります。
内服薬は、主に爪白癬(爪水虫)や角化型白癬、外用薬での治療が難しいケースに使用されます。爪は構造上、外用薬の成分が奥まで浸透しにくいため、飲み薬によって全身から薬の成分を届ける必要があります。ただし内服薬は肝臓で代謝されるため、肝機能への負担を考慮して定期的な血液検査が必要になることがあります。
薬の選択は、水虫の種類(部位・タイプ)、症状の重さ、患者さんの年齢や体調、他の薬との飲み合わせなどを総合的に判断して行われます。自己判断で薬を選ぶのではなく、皮膚科専門医の指示に従うことが治療成功への近道です。
💊 皮膚科でよく処方される外用薬ランキングと特徴
ここでは、皮膚科でよく処方される代表的な外用抗真菌薬を紹介します。なお、処方薬には一般名(成分名)と商品名があり、同じ成分でもジェネリック医薬品として複数の商品が存在します。
🦠 ルリコナゾール(商品名:ルリコン)
ルリコナゾールはアゾール系抗真菌薬のひとつで、国内の皮膚科での処方頻度が非常に高い薬です。白癬菌に対する抗菌活性が高く、1日1回の塗布で効果を発揮します。クリームと液(ローション)の2剤形があり、部位や症状に応じて使い分けができます。液タイプは指の間などに塗りやすく、趾間型の水虫に特に適しています。副作用は比較的少なく、使いやすい薬として評価されています。
👴 エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン)
エフィナコナゾールはアゾール系の外用抗真菌薬で、爪白癬の治療を目的として開発された外用爪専用薬です。爪への浸透性が高く設計されており、爪に直接塗布することで爪の中の白癬菌に到達します。1日1回の塗布で使用でき、内服薬が使いにくい患者さん(肝機能が低下している方や多くの薬を飲んでいる方など)に対して内服薬の代替として処方されることがあります。治療期間は長くなることが多く、効果が出るまでに数か月以上かかる場合があります。
🔸 ラノコナゾール(商品名:アスタット)
ラノコナゾールもアゾール系抗真菌薬で、クリーム・液・軟膏の3剤形が用意されています。白癬菌に対して高い抗菌活性を持ち、皮膚への浸透性が優れていることが特徴です。1日1〜2回の使用が一般的で、趾間型や小水疱型などの足白癬によく用いられます。市販薬にも同成分の商品があるため、なじみのある成分でもあります。
💧 テルビナフィン(商品名:ラミシール外用)
テルビナフィンはアリルアミン系抗真菌薬で、アゾール系とは異なる作用機序で白癬菌の細胞膜合成を阻害します。殺菌作用(菌を直接殺す作用)が強く、再発予防効果が高いとされています。クリームと外用液がありますが、処方薬としてはやや処方される頻度は下がってきており、後述する内服薬として使われることが多い成分でもあります。外用薬としては1日1〜2回の使用が基本です。
✨ ビホナゾール(商品名:マイコスポール)
ビホナゾールはアゾール系抗真菌薬で、1日1回の夜間使用が特徴的な薬です。クリームを患部に塗布したあとにテープで覆うことで、翌朝まで薬の成分を皮膚に留めておける「ODT(閉鎖密封療法)」に向いた薬です。この方法は角化型の水虫など、皮膚が厚くなっているケースで有効です。また、爪白癬用の特殊剤形(軟膏+付属テープ)も開発されており、爪を削って薬を浸透させる「爪白癬外用療法セット」として使用されることもあります。
📌 ケトコナゾール(商品名:ニゾラールなど)
ケトコナゾールはアゾール系の広域スペクトル抗真菌薬で、白癬菌だけでなくカンジダや癜風菌(でんぷうきん)など複数の真菌に対して有効です。そのため、水虫の治療だけでなく、皮脂欠乏性湿疹や脂漏性皮膚炎など、マラセチアが関与する皮膚疾患にも処方されることがあります。クリームが一般的で、副作用は比較的少ないとされています。
Q. 爪白癬の治療に内服薬が必要な理由は何ですか?
爪白癬では爪の構造上、外用薬の成分が奥まで浸透しにくいため、内服薬で全身から薬の成分を届ける必要があります。代表的な内服薬はテルビナフィン錠(約6か月内服)とイトラコナゾール(3か月のパルス療法)です。内服薬使用中は肝機能確認のため定期的な血液検査が必要です。
🏥 内服薬(飲み薬)が必要になるケースとその種類
外用薬だけでは治療が難しいケースでは、内服薬(経口抗真菌薬)が処方されます。特に爪白癬、角化型白癬、広範囲に及ぶ足白癬などが内服薬の適応となることが多いです。
▶️ テルビナフィン塩酸塩(商品名:ラミシール錠)
テルビナフィンは国内で最もよく処方される内服抗真菌薬のひとつです。アリルアミン系に分類され、白癬菌に対して高い殺菌活性を持ちます。通常、1日1回125mgを6か月程度(爪白癬の場合)内服します。爪白癬に対する有効性が高く、多くの臨床試験でその効果が確認されています。副作用として肝機能障害が報告されているため、内服前後に血液検査(肝機能検査)を行うことが一般的です。妊婦への投与は原則禁忌となっています。
🔹 イトラコナゾール(商品名:イトリゾールなど)
イトラコナゾールはアゾール系の内服抗真菌薬で、テルビナフィンと並んで爪白癬の治療でよく使用されます。「パルス療法」という独特の投与方法があり、1週間投与して3週間休薬するサイクルを3回(3か月間)繰り返す方法が爪白癬に対して広く用いられています。この方法は薬が爪に長時間残留する特性を利用したもので、総投与量を少なくしながら高い効果を得ることができます。ただし、薬物相互作用が多い薬であるため、他の薬との飲み合わせには注意が必要です。
📍 ホスラブコナゾール(商品名:ネイリンカプセル)
ホスラブコナゾールは比較的新しい内服抗真菌薬で、2018年に爪白癬の治療薬として承認されました。1日1回48mgを12週間(3か月間)内服するシンプルなレジメンが特徴で、パルス療法のような複雑なスケジュール管理が不要です。薬物相互作用が少なく、イトラコナゾールで問題となっていた飲み合わせの懸念が軽減されています。比較的新しい薬であることから、長期的な使用データはテルビナフィンやイトラコナゾールに比べてまだ少ない部分もありますが、治療継続率の高さが期待されています。
⚠️ 処方薬と市販薬の違い
水虫の薬は薬局やドラッグストアでも手軽に購入できますが、処方薬と市販薬には有効成分の濃度や剤形の選択肢などに違いがあります。
市販薬(OTC薬)には、テルビナフィン、ビホナゾール、ブテナフィン、クロトリマゾール、ミコナゾールなどの成分が含まれている商品があります。これらは処方薬と同じ有効成分が含まれているものも多いですが、濃度が処方薬より低く設定されている場合があります。また、市販薬では選べる剤形や成分の種類が処方薬に比べて限定的です。
市販薬を使うメリットは、処方箋不要で手軽に購入できる点です。軽症の足白癬であれば市販薬で改善するケースも少なくありません。一方で、市販薬を使い続けても改善しない場合、別の皮膚疾患と誤解して使用し続けてしまうリスクがあります。水虫かどうか確定していない段階で市販薬を使用すると、本来必要な治療が遅れてしまう可能性があります。
処方薬のメリットは、正確な診断のもとで適切な薬が処方される点です。皮膚科では顕微鏡による鏡検で水虫を確定診断した上で処方を行うため、確実性が高くなります。また、爪白癬には内服薬が必要なケースが多く、これは処方薬に限られます。市販薬での効果が感じられない場合や、症状が重い場合は早めに皮膚科を受診することが勧められます。
費用面では、処方薬は健康保険が適用されるため、自己負担額を抑えながら高品質な治療を受けられるというメリットもあります。特に内服薬は市販されておらず、医療機関での処方が必須です。
Q. 水虫の市販薬と処方薬はどう違いますか?
市販薬は処方箋不要で手軽に購入できますが、有効成分の濃度が処方薬より低い場合があり、選べる剤形や成分も限定的です。処方薬は皮膚科での顕微鏡検査による確定診断のもとで処方されるため確実性が高く、健康保険も適用されます。爪白癬に必要な内服薬は処方薬に限られます。
🔍 水虫の部位別・タイプ別に適した薬の選び方
水虫の治療薬は、感染している部位や水虫のタイプによって適切なものが異なります。ここでは部位・タイプ別の薬の選び方について解説します。
💫 趾間型(指の間の水虫)
足の指の間が白くふやけてかゆくなる趾間型には、液剤やローションタイプの外用薬が適しています。クリームや軟膏は指の間に塗りにくく、蒸れを悪化させることもあるため、塗り広げやすく速乾性のある液剤が好まれます。ルリコナゾール液、ラノコナゾール液などが処方されることが多いです。趾間型は比較的外用薬で改善しやすいタイプですが、再発を防ぐために症状が消えてからも一定期間継続することが重要です。
🦠 小水疱型(水疱ができる水虫)
足底や足の縁に小さな水疱が形成される小水疱型には、クリームや液剤の外用薬が使用されます。水疱の内部に白癬菌が存在するため、水疱を破らないようにしながら患部全体に薬を塗布することが大切です。かゆみが強い場合は、ステロイド薬が一時的に使用されることもありますが、ステロイドは感染を悪化させるリスクがあるため、抗真菌薬との慎重な使い分けが必要です。
👴 角化型(皮膚が厚くなる水虫)
足底全体の皮膚が厚く硬くなる角化型は、外用薬の成分が皮膚の奥まで届きにくいため治療が難しいタイプです。角化した皮膚を軟化させるための尿素含有クリームを使って皮膚を柔らかくしてから抗真菌薬を塗る、または閉鎖密封療法(ODT)を行うことで、薬の浸透性を高める工夫がなされます。外用薬だけでは十分な効果が得られない場合は、内服薬が選択されることもあります。また、角化型は免疫力が低下している患者さんに多く見られるため、基礎疾患の管理も並行して行うことが大切です。
🔸 爪白癬(爪の水虫)
爪が白く濁ったり、厚くなったり、もろくなったりする爪白癬は、外用薬だけでは効果が出にくいことが多く、内服薬が主な治療選択肢となります。テルビナフィン錠(6か月程度の毎日内服)またはイトラコナゾール(パルス療法)が標準的な治療法です。ホスラブコナゾールも近年増えてきた選択肢です。内服が困難な患者さんには、エフィナコナゾール爪外用液(クレナフィン)やビホナゾール軟膏(マイコスポール爪白癬外用療法セット)などの外用薬が選択されることもありますが、内服薬より治癒率は低い傾向にあります。
💧 股部白癬(いんきんたむし)
股部白癬は股間や陰部周辺に感染する白癬で、強いかゆみを伴う環状の皮疹が特徴です。この部位は皮膚が薄く、外用薬への反応が比較的良いため、外用抗真菌薬での治療が基本です。ただし、ステロイドが含まれた市販薬(かゆみ止め)を使用し続けると皮疹が広がることがあるため注意が必要です。ルリコナゾールクリームやラノコナゾールクリームなどが処方されることが多く、清潔と乾燥を保つことも回復を早めるうえで重要です。
📝 処方薬を正しく使うためのポイント
処方された水虫薬を正しく使うことが、治療を成功させるための大前提です。いくつかの重要なポイントを押さえておきましょう。
✨ 症状が消えても使い続ける
水虫治療でよくある失敗のひとつが、症状が改善したからといって薬の使用を早めにやめてしまうことです。かゆみや皮膚の変化が消えても、角質層の中には白癬菌が残っていることがあります。外用薬の場合、症状消失後も2〜4週間程度は継続して使用することが推奨されています。内服薬は医師の指示通りの期間(爪白癬の場合は数か月)を必ず完了させてください。
📌 患部より広めに塗布する
外用薬は症状が見えている部分だけでなく、その周囲にも広めに塗ることが大切です。白癬菌は肉眼では見えないため、症状の出ていない隣接部位にも潜んでいることがあります。足底全体に症状がある場合は足底全体に、趾間に症状がある場合は趾間だけでなく足指の付け根あたりまで丁寧に塗布するようにしましょう。
▶️ 清潔な状態で塗布する
薬を塗る前には患部をきれいに洗って乾かしておくことが基本です。汚れや汗が残ったまま薬を塗ると、薬の成分が十分に皮膚に浸透しない可能性があります。入浴後の清潔な状態で塗布するのが理想的です。また、塗布後は靴下や靴で覆って正常な皮膚環境を保つことも意識してください。
🔹 内服薬は定期的な血液検査を受ける

内服抗真菌薬(テルビナフィン、イトラコナゾールなど)を使用中は、肝機能などを確認するために定期的な血液検査が必要です。医師の指示に従って定期的に受診し、検査を受けるようにしてください。体に異変(黄疸、全身倦怠感、食欲不振など)を感じた場合はすぐに医師に相談することが重要です。
📍 再感染を防ぐ生活習慣を意識する
薬で治療しながらも、日常生活での対策が再感染や他の部位への感染拡大を防ぐうえで欠かせません。入浴後は足の指の間までしっかり乾かす、通気性の良い靴や靴下を選ぶ、足拭きマットをこまめに洗濯する、公共浴場やプールでは自分専用のスリッパを使うなどの習慣を取り入れましょう。また、家族内に水虫の方がいる場合は、その方も同時に治療を受けることが理想的です。
Q. 水虫治療でよくある失敗にはどんなものがありますか?
水虫治療の主な失敗例は5つあります。①症状消失後に薬を早期中断する、②自己診断で市販薬を使い続け別疾患を見逃す、③かゆみ止め目的でステロイド薬を使い菌を増殖させる、④薬を塗る範囲が患部のみで不十分、⑤イトラコナゾール服用時に他薬との相互作用を見落とすことが挙げられます。
💡 水虫治療でよくある失敗と注意点
水虫の治療では、いくつかのよくある失敗パターンがあります。これらを事前に知っておくことで、治療の失敗を防ぐことができます。
💫 自己診断で市販薬を使い続ける
かゆみや皮膚の変化があると、多くの方は「水虫かもしれない」と考えて市販の水虫薬を購入します。しかし、同様の症状を引き起こす皮膚疾患は水虫以外にも多く存在します。掌蹠膿疱症、接触性皮膚炎、多形性紅斑、皮膚カンジダ症など、外見だけでは水虫と見分けがつかない疾患も少なくありません。水虫でない疾患に抗真菌薬を塗り続けることは効果がなく、時間の無駄になるだけでなく、かえって皮膚を傷める可能性もあります。特に2週間程度市販薬を使用しても改善が見られない場合は、皮膚科を受診して顕微鏡検査で確定診断を受けることを強く推奨します。
🦠 水虫と気づかずに放置する
角化型白癬はかゆみが少なく、「足がカサカサしているだけ」「かかとが硬い」と思って放置されているケースがあります。また爪白癬も「爪が老化している」と誤解されることがあります。実は水虫だったというケースは珍しくなく、放置している間に家族への感染が広がることもあります。爪の変色や変形、足のカサつきが気になる場合は一度皮膚科で診てもらうことが大切です。
👴 ステロイド系市販薬を使ってしまう
かゆみを抑えるためにステロイドが含まれた市販薬(かゆみ止めや湿疹薬)を使うと、白癬菌の増殖が促進されて症状が悪化することがあります。ステロイドは免疫反応を抑制するため、感染症に対しては原則として使用しないのが基本です。水虫が疑われる場合はステロイド薬ではなく抗真菌薬を使用し、正確な診断のもとで治療を進めましょう。
🔸 治療期間を途中でやめる
水虫の外用薬は最低でも1〜3か月、爪白癬の内服薬は6か月程度の継続が必要です。「症状が消えた」「薬がなくなった」などの理由で治療を中断すると、残っている白癬菌が再増殖して再発します。医師から指示された治療期間を守り、途中でやめないことが完治への鍵です。
💧 薬を塗る範囲が足りない
見えている病変部分だけに薬を塗るのでは不十分なことがあります。白癬菌は症状が出ていない角質層にも広がっていることがあるため、患部周辺も含めた広い範囲に塗布することが推奨されます。足全体(足底全体、足の側面)を覆うように塗ることが理想的とされているタイプも存在します。
✨ 薬物相互作用を見落とす
イトラコナゾールなどの内服薬は多くの薬と相互作用があります。特定の降圧薬、抗不整脈薬、スタチン系薬(コレステロール降下薬)、一部の抗血小板薬などと同時に使用できない場合があります。内服薬が処方される際は、現在服用中の薬を必ず医師・薬剤師に伝え、安全に使用できるかどうかを確認してください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、水虫の症状があるにもかかわらず市販薬を長期間使い続けた結果、爪白癬まで進行してから受診される患者さんが少なくありません。爪白癬は内服薬による数か月単位の治療が必要になるため、足の皮膚の変化や爪の濁り・肥厚に気づいた際にはなるべく早めにご相談いただくことが大切です。正確な診断のもとで適切な薬を選択し、治療期間をしっかり守ることが完治への近道ですので、些細な症状でも遠慮なく皮膚科を受診してください。」
✨ よくある質問
2週間程度市販薬を使用しても改善が見られない場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。水虫に似た症状でも、掌蹠膿疱症や接触性皮膚炎など別の疾患である可能性があります。当院では顕微鏡検査(直接鏡検法)で正確に診断し、症状に合った処方薬を選択します。
爪水虫(爪白癬)は爪の構造上、外用薬の成分が奥まで浸透しにくいため、内服薬による治療が基本となります。テルビナフィン錠やイトラコナゾールなどが代表的です。肝機能の問題などで内服が難しい場合は、エフィナコナゾール爪外用液などの外用薬が選択されることもありますが、内服薬より治癒率は低い傾向にあります。
外用薬の場合、症状が消えた後も2〜4週間程度の継続使用が推奨されており、全体で1〜3か月程度が目安です。爪白癬の内服薬はさらに長く、テルビナフィンでは約6か月、イトラコナゾールのパルス療法では約3か月かかります。症状が改善しても途中でやめると再発の原因になるため、指示された期間を必ず守ることが重要です。
主に3つのポイントがあります。①入浴後など清潔で乾いた状態で塗布する、②症状が出ている部分だけでなく周囲も含めて広めに塗る、③症状が消えても指示された期間は使い続ける、です。特に趾間型は液剤タイプが塗りやすく、足底全体に症状がある場合は足底全体に丁寧に塗布することが大切です。
内服抗真菌薬、特にイトラコナゾールは多くの薬と相互作用があるため、服用中の薬を必ず医師・薬剤師に伝えてください。また、テルビナフィンやイトラコナゾールは肝機能に負担をかける可能性があるため、内服中は定期的な血液検査が必要です。黄疸・倦怠感・食欲不振などの症状が現れた場合は、すぐに当院または処方医にご相談ください。
📌 まとめ
水虫(白癬)は、適切な治療を行えば完治が可能な感染症です。皮膚科での処方薬は市販薬より選択肢が豊富で、症状やタイプに合わせた薬を使用することができます。外用薬ではルリコナゾール(ルリコン)、ラノコナゾール(アスタット)、エフィナコナゾール(クレナフィン)などが多く処方されており、内服薬ではテルビナフィン(ラミシール錠)、イトラコナゾール、ホスラブコナゾール(ネイリンカプセル)などが爪白癬などの治療に使用されています。
治療を成功させるためには、正確な診断を受けること、処方された薬を指示通りの期間使い続けること、再感染を防ぐ生活習慣を実践することが大切です。市販薬で改善しない場合や、爪の変形・肥厚が気になる場合は、早めに皮膚科を受診して専門的な診察と治療を受けるようにしてください。水虫は放置すると慢性化・重症化するだけでなく、家族への感染リスクも生じます。適切な治療を早期に開始することが、根本的な解決への第一歩です。
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- おしりの毛嚢炎とは?原因・症状・治療法と再発を防ぐ正しいケア方法
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 日本皮膚科学会が公表している「白癬診療ガイドライン」。足白癬・爪白癬の診断基準、外用薬・内服薬の選択基準、治療期間の推奨など、記事全体の医学的根拠として参照
- 厚生労働省 – 厚生労働省による抗真菌薬(テルビナフィン・イトラコナゾール・ホスラブコナゾール等)の承認情報および添付文書に関する情報。内服薬の用法・用量・副作用・禁忌事項の根拠として参照
- PubMed – 爪白癬に対するテルビナフィンおよびイトラコナゾールの有効性を比較した臨床試験・系統的レビュー。内服薬の治療成績・パルス療法の有効性・治癒率に関する記述の科学的根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
