
ニキビが治ったあとに残る、皮膚の凹凸やデコボコした跡。「クレーター」と呼ばれるこの状態は、多くの方が悩みを抱えるお肌のトラブルのひとつです。
そんな悩みを抱えていませんか?
- 📌 クレーターのタイプを間違えると、効果のないケアにお金と時間を浪費
- 📌 真皮層へのダメージは自然治癒がほぼ不可能——放置するほど後悔する
- 📌 間違った習慣がクレーターをさらに深くしてしまう
目次
- クレーターとは何か?皮膚の凹みが生じるメカニズム
- クレーターの主な種類と特徴
- クレーターの種類別:アイスピック型について詳しく知る
- クレーターの種類別:ボックス型(ボックスカー型)について詳しく知る
- クレーターの種類別:ローリング型について詳しく知る
- その他のクレータータイプと複合型について
- クレーターができやすい部位とその理由
- クレーターの深さと重症度の分類
- クレーターを悪化させる習慣と注意点
- クレーターの種類によって異なるアプローチの考え方
- まとめ
💡 この記事のポイント
ニキビ跡のクレーターはアイスピック型・ボックス型・ローリング型の3種類に分類され、それぞれ形成メカニズムと深さが異なるため、適切なアプローチも異なる。真皮層へのダメージによる陥凹は自然治癒が難しく、アイシークリニックでは専門医による正確な診断と個別対応を推奨している。
💡 1. クレーターとは何か?皮膚の凹みが生じるメカニズム
クレーターとは、ニキビや外傷などによって皮膚の真皮層が傷つき、その部分が陥没した状態を指します。医学的には「瘢痕(はんこん)」の一種で、特に「陥凹性瘢痕(かんおうせいはんこん)」と分類されることが多い状態です。名前の由来は、月面や火山のクレーターに似た凹んだ形状から来ています。
皮膚はもともと、表皮・真皮・皮下組織という3層構造から成り立っています。ニキビが炎症を起こすと、この真皮層にまでダメージが及ぶことがあります。真皮にはコラーゲンやエラスチンといったタンパク質が含まれており、これらが皮膚のハリや弾力を保つ役割を担っています。炎症が真皮を傷つけると、コラーゲンが破壊され、修復の過程で正常な量・質のコラーゲンが再生されないまま組織が固まってしまいます。その結果、皮膚の表面が凹んだ状態、いわゆるクレーターが形成されるのです。
クレーターが残りやすいかどうかには、個人差もあります。遺伝的な皮膚の特性、ニキビの重症度、そしてニキビをつぶしたり触ったりする習慣なども、クレーターの形成に深く関与しています。また、炎症が長期間続くほど真皮へのダメージが蓄積されるため、早期の適切なニキビ治療がクレーター予防の観点でも重要とされています。
クレーターは自然に消えることが非常に難しいとされています。表皮の傷であれば細胞の入れ替わり(ターンオーバー)によって改善されることもありますが、真皮層にまで及んだダメージは、ターンオーバーだけでは補いきれません。そのため、長期間にわたって凹みが残り続けるケースがほとんどです。
Q. ニキビ跡のクレーターはなぜ自然に治りにくいのですか?
ニキビ跡のクレーターが自然に治りにくい理由は、ダメージが皮膚の真皮層にまで及んでいるためです。真皮のコラーゲンが破壊されると、肌のターンオーバーだけでは正常な量・質のコラーゲンが再生されず、凹んだ状態が長期間残り続けます。表皮の傷とは根本的にメカニズムが異なります。
📌 2. クレーターの主な種類と特徴
クレーターは、その形状や深さによって大きくいくつかの種類に分類されています。世界的に広く使用されている分類法のひとつに「Goodmanの分類」があり、主にアイスピック型(Icepick)、ボックス型(Boxcar)、ローリング型(Rolling)という3つのタイプが基本とされています。それぞれのタイプは形成原因や皮膚へのダメージの及び方が異なるため、見た目や触感にも違いがあります。
実際には、ひとつのタイプだけでなく、複数の種類が混在しているケースも珍しくありません。自分の肌をよく観察し、どのようなタイプのクレーターがあるかを把握することは、その後の適切なケアを検討するうえでとても重要な視点となります。
以下では、各タイプについてひとつひとつ詳しく説明していきます。それぞれの特徴を知ることで、自分の肌の状態をより深く理解する助けになるでしょう。
✨ 3. クレーターの種類別:アイスピック型について詳しく知る
アイスピック型(Icepick scar)は、クレーターの中でも最もよく見られるタイプのひとつです。「アイスピック」とは氷を砕くための細長い錐(きり)のことで、その名が示すとおり、細くて深い穴が皮膚に刺さったような形状が特徴です。
見た目は小さな点のように見えることも多いですが、皮膚の内部では深く真皮層やときに皮下脂肪層にまで及んでいることがあります。直径は一般的に2ミリメートル以下と小さいものの、深さが最も深いタイプとされており、表面上の開口部は小さくても皮膚の奥に向かって縦に深く伸びているのが大きな特徴です。
アイスピック型が形成される主な原因は、毛包(毛穴)を中心とした強い炎症です。ニキビの中でも特に「嚢腫(のうしゅ)」や「膿疱(のうほう)」のような深在性の炎症性ニキビが、毛包周囲の真皮組織を破壊することで生じます。毛穴の内部から炎症が広がるため、その通り道に沿って縦に長い凹みが形成されるのです。
アイスピック型は他のタイプに比べて治療が難しいとされています。その理由は、凹みが縦に深く伸びているため、表面からのアプローチだけでは凹みの底部まで十分に働きかけることが難しいためです。皮膚科や美容クリニックでは、このタイプに特化した治療法の選択が行われることが多く、適切な対処法を選ぶためにも専門医による診断が非常に重要とされています。
Q. クレーターの3つの種類とその特徴を教えてください
クレーターはアイスピック型・ボックス型・ローリング型の3種類に分類されます。アイスピック型は直径2mm以下の細く深い穴、ボックス型は壁が垂直で底面が平らな箱状の凹み、ローリング型は波状になだらかに連続する起伏が特徴です。それぞれ形成メカニズムと深さが異なります。
🔍 4. クレーターの種類別:ボックス型(ボックスカー型)について詳しく知る
ボックス型(Boxcar scar、ボックスカー型とも呼ばれる)は、垂直な壁を持ち、底面が平らまたは丸みを帯びた、箱状(ボックス状)の形をした凹みが特徴です。名前の「ボックスカー(貨車)」は、その四角い形状に由来しています。
直径は1.5〜4ミリメートル程度のものが多く、アイスピック型に比べると開口部が広く、見た目にわかりやすいタイプです。凹みの縁(エッジ)がはっきりとしており、辺縁が比較的シャープに落ち込んでいるため、光の当たり方によって影ができやすく、肌の凹凸として目立ちやすいという特徴があります。
ボックス型は、浅いものと深いものに分けられます。浅いタイプは比較的改善しやすく、深いボックス型になるほど対処が難しくなるとされています。
ボックス型が形成される主な原因は、炎症による真皮のコラーゲン破壊です。ニキビの炎症が広範囲に及ぶと、真皮のある一定の範囲が破壊され、その部分が陥没して底面を持つ凹みになります。アイスピック型のように縦方向ではなく、横方向に広がりながら真皮を傷つけるため、比較的広い面積の凹みとなって現れます。
このタイプは、アイスピック型と並んでニキビ跡のクレーターとして非常に多く見られます。両頬や額などに複数のボックス型クレーターが混在しているケースも多く、全体的に肌がでこぼこした印象を与えることがあります。
💪 5. クレーターの種類別:ローリング型について詳しく知る
ローリング型(Rolling scar)は、皮膚の表面が波打つように起伏しており、なだらかな丘と谷が連続するような外観が特徴です。「ローリング(rolling)」という名称は、凹みの縁がなだらかで、波のように連続したうねりを示すことから名付けられています。
アイスピック型やボックス型と比べると、個々の凹みの境界線が不明確で、皮膚が全体的にたるんだように見えることがあります。凹みの端が急激に落ち込まず、なだらかにつながっているため、ひとつひとつの凹みを特定するのが難しい場合もあります。
ローリング型の特徴的な点は、皮膚を横に引っ張るとある程度凹みが目立たなくなることです。これは、このタイプのクレーターが真皮と皮下組織を繋ぐ線維性の組織(線維性癒着)によって引っ張られて生じているためです。炎症が収まったあとに形成された線維組織が、真皮と深部組織の間で皮膚を下方向に引っ張ることで、表面に波のような凹凸が生じるのです。
ローリング型は、長期間にわたる炎症性ニキビや、繰り返す慢性的なニキビによって形成されることが多いとされています。単発のニキビよりも、広範囲にわたって繰り返しニキビが生じた部位に現れやすい傾向があります。
このタイプは、3つの主要なクレータータイプの中では比較的改善の可能性が高いとされることが多いですが、線維性癒着が深い部分に及んでいる場合には根本的なアプローチが必要になります。また、加齢や皮膚のたるみによってより目立ちやすくなる傾向があるため、早めに対策を検討することが望ましいとされています。

🎯 6. その他のクレータータイプと複合型について
クレーターの基本分類はアイスピック型・ボックス型・ローリング型の3種類ですが、実際の臨床現場ではこれら以外の形状や、複数のタイプが混在する「複合型」のケースが多く見られます。
まず、「ハイパートロフィック瘢痕(肥厚性瘢痕)」と「ケロイド」について触れておきましょう。これらはクレーターとは反対に、皮膚が盛り上がった状態を指します。ニキビ跡すべてが凹むわけではなく、体質によってはコラーゲンが過剰に産生され、傷跡が盛り上がることもあります。特にケロイドは遺伝的な体質と深く関連しており、胸や肩、あごなどの部位に生じやすいとされています。このような盛り上がり型の瘢痕は、クレーターとは別の対応が必要となります。
また、クレーターと混同されることもある状態として「毛穴の開き」があります。毛穴の開きは、皮脂の過剰分泌や皮膚のたるみによって毛穴が目立つ状態であり、真皮の破壊によって生じるクレーターとはメカニズムが異なります。ただし、両方が同時に存在することも多く、外見上の区別がつきにくい場合もあります。
さらに、実際の患者さんの肌を観察すると、アイスピック型とボックス型が混在していたり、ローリング型の中にアイスピック型が含まれていたりする複合パターンが非常に一般的です。このような複合型のクレーターは、単一タイプのクレーターよりも対処が複雑になる場合があります。専門家の目で正確に評価してもらうことで、それぞれのタイプに適した対応を組み合わせることが可能になります。
また、クレーターの周囲に色素沈着(赤みや茶色いシミ)が伴うことも多いです。炎症後色素沈着(PIH)や炎症後紅斑(PIE)と呼ばれるこれらの状態は、クレーターと同時に存在することで、肌の凹凸がより目立って見える場合があります。クレーターの種類を評価する際には、このような周囲の皮膚の状態も合わせて考慮されることが重要です。
Q. クレーターが顔の頬に最も多くできる理由は何ですか?
頬にクレーターが多い理由は、ニキビが発生しやすい部位であることに加え、皮膚が比較的薄く炎症が真皮層に届きやすいためです。また、頬は光と影の関係で凹凸が目立ちやすく、当事者にとって大きな悩みになりやすい部位でもあります。顔では他に鼻・額・あごにも生じやすい傾向があります。
💡 7. クレーターができやすい部位とその理由
クレーターは体のさまざまな部位に生じる可能性がありますが、特にできやすい場所があります。その筆頭は、やはり顔面です。中でも頬、鼻、額、あご(顎)といった皮脂の分泌が多い部位に集中しやすい傾向があります。
頬はニキビが最も多く発生する場所のひとつであり、同時にクレーターも最も多く見られる部位です。頬の皮膚は比較的薄く、炎症が真皮に及びやすいと考えられています。また、両頬は他の部位に比べて皮膚に凹凸ができると光と影の関係で目立ちやすく、当事者にとって大きな悩みになりやすい部位です。
鼻や鼻周りは、皮脂腺が密集しており、ニキビが繰り返しできやすい部位です。この部位のクレーターは、小さなアイスピック型が複数できやすいという特徴があります。毛穴が大きく開いているように見える状態と区別がつきにくいこともあります。
額は思春期のニキビが特に多い部位であり、炎症が繰り返されることでクレーターが形成されることがあります。額のクレーターは、前髪やメイクで隠しやすい部位である一方、皮膚が比較的薄く、凹みが形成されやすい部位でもあります。
あご(顎)やフェイスラインは、特にホルモンバランスの影響を受けやすい部位で、成人女性のニキビが多く発生する場所として知られています。この部位にできるニキビは深在性のものが多く、クレーターが形成されやすい傾向があります。
顔以外では、背中や胸にもクレーターが形成されることがあります。背中ニキビ(背中にできるニキビ)は広い面積に炎症が及ぶことがあり、クレーターも広範囲にわたることがあります。また、胸部はケロイド体質の方で盛り上がり型の瘢痕ができやすい部位としても知られており、クレーターと肥厚性瘢痕・ケロイドの両方が混在するケースもあります。
部位によって皮膚の厚さや皮脂分泌量が異なるため、同じ程度の炎症でもクレーターの深さや範囲が異なることがあります。部位ごとの皮膚の特性を理解することは、クレーターができるメカニズムを深く理解するうえで重要な視点です。
📌 8. クレーターの深さと重症度の分類
クレーターは種類だけでなく、その深さや重症度によっても分類されることがあります。医療現場では、適切な対応を選択するために重症度の評価が行われます。代表的な評価システムとして「GEASスコア(Global Evaluation Acne Scale)」や「SASSADスコア」などがありますが、ここでは一般的な深さによる分類をわかりやすく説明します。
まず、深さという観点では「浅い(表在性)」と「深い(深在性)」に大別されます。浅いクレーターは表皮から真皮浅層(乳頭層)程度にとどまるもので、深いクレーターは真皮の深い部分(網状層)や皮下組織にまで達するものを指します。当然ながら、深いクレーターほど改善が難しいとされています。
重症度の観点では、クレーターの数・深さ・面積・周囲の色素沈着の有無などを総合的に評価します。少数かつ浅いクレーターは軽症に分類され、多数かつ深いクレーターが広範囲に存在する場合は重症に分類されます。
クレーターの深さを自分で判断するのは難しいですが、以下のような目安が参考になることがあります。指で皮膚を軽く引っ張ったときにクレーターが目立たなくなる場合は比較的浅いか、ローリング型である可能性があります。一方、引っ張っても凹みが消えない場合は、アイスピック型のような深いクレーターである可能性があります。
また、クレーターの縁の硬さも重症度の一因となります。縁が硬く線維化が進んでいるほど、真皮の再構築が起きにくくなっていることを示しており、改善に向けたアプローチの選択肢が限られてくることがあります。こうした詳細な評価は、専門医が触診や詳細な視診を行うことで初めて正確に判断できるものです。
重症度の判断は、その後の対策を考えるうえで欠かせない要素です。自己判断で対策を続けても効果を実感しにくい場合は、専門家に相談して客観的な評価を受けることを検討することが大切です。
Q. クレーターを悪化させる日常習慣にはどんなものがありますか?
クレーターを悪化させる主な習慣として、ニキビを触ったりつぶしたりする行為、紫外線への過度な露出、刺激の強いスキンケアの使用が挙げられます。紫外線はコラーゲン破壊と色素沈着悪化を招き、クレーターをより目立たせます。睡眠不足やストレスによるホルモンバランスの乱れもニキビ再発につながるため注意が必要です。
✨ 9. クレーターを悪化させる習慣と注意点
クレーターが形成されたあと、日常の習慣によってさらに悪化したり、改善を妨げたりすることがあります。クレーターを深刻化させないために、以下のような点に注意することが重要です。
まず、ニキビをつぶす・触る行為は最も避けるべき習慣のひとつです。ニキビに強い圧力をかけると、炎症が真皮深部まで及びやすくなり、クレーターが深く・広く形成されるリスクが高まります。ニキビが気になって触ってしまうことは多くの方が経験することですが、触る行為自体が細菌の侵入を招き、炎症を長引かせる原因にもなります。
次に、紫外線への過度な露出も注意が必要です。紫外線はコラーゲンを破壊し、皮膚の自己修復能力を低下させることが知られています。クレーターがある部位に紫外線を浴びると、修復の妨げになるだけでなく、周囲の色素沈着が濃くなることでクレーターがより目立つ結果につながることがあります。日焼け止めをしっかり使用し、紫外線対策を日常的に行うことが望ましいです。
スキンケアに関しては、過度な洗顔や刺激の強い製品の使用も避けることが大切です。皮膚のバリア機能が低下すると、外部刺激に対して敏感になり、新たなニキビが発生しやすくなります。クレーターがある肌はすでにダメージを受けた状態ですので、刺激を最小限に抑えた穏やかなスキンケアが基本となります。
生活習慣も無視できない要因です。睡眠不足や過度なストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌やニキビの再発を引き起こすことがあります。食事においては、糖質の過剰摂取や乳製品が一部の方でニキビを悪化させるとの報告もあります(ただし、個人差が大きく、医学的なコンセンサスはまだ形成段階です)。全体的に栄養バランスのとれた食事と十分な休息を心がけることは、皮膚の健康を維持するうえで基本となります。
また、クレーターがある部位に対して市販の美容液やピーリング製品を自己判断で多用することも注意が必要です。成分の濃度や種類によっては皮膚に過度な刺激を与え、炎症を引き起こす可能性があります。特に、ニキビが活動性の状態(現在進行形で炎症が起きている状態)のときには、刺激の強いスキンケアは逆効果になりかねません。
さらに、誤った民間療法にも注意が必要です。インターネット上にはさまざまなクレーター対策の情報が溢れていますが、科学的根拠が乏しいものや、場合によっては皮膚を傷つけるリスクがあるものも存在します。信頼できる情報源をもとに正しい知識を持つことが、クレーターの悪化を防ぐ第一歩となります。
🔍 10. クレーターの種類によって異なるアプローチの考え方

クレーターへの対応を考えるとき、その種類や深さによってアプローチの方向性が異なることを理解しておくことは非常に重要です。ここでは、各タイプに対してどのような考え方でアプローチされるのかという概論をご紹介します。具体的な治療の選択については、必ず専門医に相談してください。
アイスピック型のクレーターは、その深さと細さから対応が難しいタイプとされています。真皮深くまで達している線維性の壁を処理する必要があるため、表面への刺激だけでは十分な効果が得にくいとされています。医療機関では、穴の周囲を切除・縫合して傷を小さくする方法や、化学薬品を用いて局所的に作用させる方法などが検討されることがあります。その後、さらに皮膚の再生を促すアプローチを組み合わせることも多いです。
ボックス型のクレーターについては、深さによって大きくアプローチが変わります。浅いボックス型は比較的改善しやすいとされており、コラーゲンの産生を促すさまざまな医療的アプローチが検討されます。深いボックス型は、縁の線維化が進んでいることが多く、より積極的な介入が検討される場合があります。縁の鋭さをなだらかにしつつ、底部のボリュームを回復させるような方向性でのアプローチが行われることがあります。
ローリング型のクレーターは、皮膚と深部を繋ぐ線維性の索状物(線維性癒着)が原因であるため、この癒着を切断・解放することがアプローチの核心となります。医療的には「サブシジョン(皮下切開術)」という手技が有効とされることが多く、針や専用器具を用いて皮膚の内部で線維性癒着を切断し、皮膚が下に引っ張られないようにすることで凹みの改善を図ります。
複合型のクレーターに対しては、それぞれのタイプに合わせた複数のアプローチを組み合わせることが一般的です。クレーターの改善には、ひとつの方法だけで完結することはほとんどなく、複数のアプローチを段階的に行うことが多いです。
また、クレーターへのアプローチを検討する際には、現在ニキビが活動性かどうかも重要な判断ポイントとなります。活動性の炎症がある状態では、クレーターへのアプローチの前にまずニキビそのものを落ち着かせることが優先されます。クレーター改善のアプローチは、ニキビの炎症が十分に落ち着いた状態で行われることが原則です。
セルフケアの観点では、保湿によって皮膚のバリア機能を維持すること、紫外線対策を徹底すること、そして規則正しい生活習慣を維持することが、現状のクレーターをこれ以上悪化させないための基本となります。レチノールなどの成分が配合されたスキンケア製品は、皮膚のターンオーバーを促進し、表在性の変化に一定の働きかけができるとされていますが、深いクレーターへの効果には限界があります。また、肌の状態によっては刺激になることもありますので、使用前に専門家に相談することが望ましいです。
クレーターは一度形成されると自然に消えることが難しい状態ですが、適切なアプローチを継続することで改善できる可能性があります。大切なのは、自分のクレーターのタイプと状態を正確に把握したうえで、それに合った方法を選択することです。自己判断や誤った情報に基づいたセルフケアを続けるよりも、早めに専門医の意見を聞くことが、最終的には時間と費用の節約にもつながります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、クレーターのご相談にいらっしゃる患者様の多くが、複数のタイプが混在した複合型であるケースが多く、自己判断で対策を続けてなかなか効果を実感できずにお悩みの方が少なくありません。クレーターはその種類や深さによって適切なアプローチが大きく異なるため、まず正確な診断を受けたうえで、ひとりひとりの肌状態に合った方針を立てることがとても大切です。一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。」
💪 よくある質問
クレーターは真皮層にまでダメージが及んでいるため、表皮の傷とは異なり、肌のターンオーバーだけでは自然に改善することが非常に難しいとされています。長期間にわたって凹みが残り続けるケースがほとんどであるため、気になる場合は早めに専門医へ相談されることをお勧めします。
クレーターは主に3つのタイプに分類されます。細く深い穴が特徴の「アイスピック型」、壁が垂直で底面が平らな「ボックス型(ボックスカー型)」、なだらかな波状の凹凸が連続する「ローリング型」です。実際にはこれらが混在する複合型のケースも多く見られます。
皮脂分泌が多い顔面、特に両頬・鼻・額・あご(顎)にできやすい傾向があります。頬は皮膚が比較的薄く炎症が真皮に及びやすいため、クレーターが最も多く見られる部位です。顔以外にも背中や胸に生じるケースがあります。
ニキビをつぶしたり触ったりする行為、紫外線への過度な露出、刺激の強いスキンケアの使用、睡眠不足やストレスなどが挙げられます。これらはクレーターの悪化や新たなニキビの発生につながるため、日常的に意識して避けることが大切です。
皮膚を軽く横に引っ張ったとき凹みが目立たなくなる場合はローリング型の可能性があり、引っ張っても変化しない場合はアイスピック型のような深いタイプの可能性があります。ただし正確な判断は専門医による視診・触診が必要です。当院では一人ひとりの肌状態を丁寧に評価し、適切な方針をご提案しています。
🎯 まとめ
この記事では、クレーター(ニキビ跡の凹み)の種類について詳しく解説してきました。最後に要点を整理してみましょう。
クレーターとは、ニキビなどの炎症によって真皮が破壊され、皮膚が凹んだ状態のことです。主な種類として、細く深い「アイスピック型」、広くて壁が垂直な「ボックス型(ボックスカー型)」、なだらかな波状の「ローリング型」の3つが広く知られています。それぞれ形成メカニズムが異なり、深さや範囲にも差があります。
クレーターは顔(特に頬・鼻・額・あご)に多く見られますが、背中や胸にも生じることがあります。また、実際には複数のタイプが混在することが多く、周囲の色素沈着と組み合わさることで見た目の印象がさらに複雑になることもあります。
クレーターを悪化させないためには、ニキビを触ったりつぶしたりしないこと、紫外線対策をしっかり行うこと、肌に過度な刺激を与えないこと、そして生活習慣を整えることが基本となります。
クレーターへのアプローチはタイプや深さによって異なるため、自分のクレーターがどのタイプなのかを正確に把握することが重要です。セルフケアで対応できる範囲には限界があるため、気になる方は専門の医療機関で診察を受け、自分の状態に合った方針について相談されることをお勧めします。アイシークリニック新宿院では、肌の悩みに関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – ニキビ(尋常性痤瘡)の診療ガイドラインおよび瘢痕・ニキビ跡の分類・診断基準に関する学術的根拠として参照
- 日本形成外科学会 – 瘢痕(陥凹性瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイド)の種類・メカニズム・重症度分類に関する医学的根拠として参照
- PubMed – Goodmanの分類を含むニキビ跡クレーターの種類別分類・サブシジョン等の治療アプローチに関する国際的な学術論文の根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
