虫刺されからとびひになる?原因・症状・治療法を医師が解説

夏になると子どもを中心に増える「とびひ」。実は、虫刺されがきっかけとなってとびひに発展するケースは非常に多く見られます。かゆくて掻いてしまった傷口から細菌が侵入し、みるみる広がってしまうのがとびひの怖いところです。「ただの虫刺されだと思っていたら、いつの間にか水ぶくれが広がっていた」という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、虫刺されととびひの関係性、症状の見分け方、治療法、そして日常生活でできる予防策まで、わかりやすく解説していきます。


目次

  1. とびひとはどんな病気か
  2. 虫刺されがとびひのきっかけになる理由
  3. とびひの種類と症状の特徴
  4. 虫刺されととびひを見分けるポイント
  5. とびひが広がるメカニズム
  6. とびひの治療法
  7. 虫刺されからとびひにならないための予防策
  8. こんな症状が出たらすぐに受診を
  9. まとめ

この記事のポイント

虫刺されの掻き傷から黄色ブドウ球菌などが侵入しとびひへ発展することが多い。水ぶくれが急速に広がる場合はとびひを疑い早めに皮膚科を受診し、抗菌薬で適切に治療することが重要。

🎯 とびひとはどんな病気か

とびひは、医学的には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼ばれる皮膚の感染症です。主に細菌が皮膚の浅い部分に感染することで発症し、その名の通り「飛び火」のように皮膚上を広がっていくことからとびひと呼ばれています。

原因となる細菌は主に2種類で、黄色ブドウ球菌と溶血性連鎖球菌(溶連菌)です。黄色ブドウ球菌による感染は「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と呼ばれ、透明な水ぶくれが特徴的です。一方、溶連菌による感染は「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」と呼ばれ、厚いかさぶたが形成されます。

とびひは年間を通じて発症しますが、特に夏場に多く見られます。その理由は、高温多湿の環境が細菌の繁殖を助けること、汗による肌のかぶれや虫刺されによって皮膚のバリア機能が低下しやすいこと、薄着になることで肌が露出する機会が増えることなどが挙げられます。子どもに多い病気ですが、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患を持つ大人でも発症することがあります。

とびひの最大の特徴は感染力の強さです。水ぶくれの内容物やかさぶたに触れると、そこに含まれる細菌が他の部位の皮膚に付着し、新たな病変を作ります。自分の身体の中で広がるだけでなく、他の人へもうつす可能性があるため、保育園や幼稚園、学校などの集団生活の場で注意が必要です。

Q. とびひとはどのような病気ですか?

とびひ(伝染性膿痂疹)は、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌が皮膚に感染する細菌性皮膚疾患です。病変が「飛び火」のように広がるのが特徴で、夏場の子どもに多く見られます。水ぶくれが生じる水疱性と、厚いかさぶたが生じる痂皮性の2種類があります。

📋 虫刺されがとびひのきっかけになる理由

虫刺されとのとびひの関係を理解するためには、まず皮膚のバリア機能について知っておく必要があります。健康な皮膚は表皮が外側からの細菌の侵入を防ぐ役割を担っています。しかし、この皮膚のバリアが何らかの理由で損傷すると、細菌が侵入しやすくなります。

虫刺されが発生すると、刺された部位には虫の唾液や毒素に対するアレルギー反応が起こり、強いかゆみが生じます。このかゆみに耐えきれず掻いてしまうと、皮膚に細かな傷ができます。この傷が細菌の侵入口となり、とびひへの入り口になってしまうのです。

特に子どもは、かゆみのコントロールが難しく、無意識のうちに強く掻いてしまうことがよくあります。爪の間には多くの細菌が存在しており、掻いた際にそれらの細菌が傷口に入り込みます。黄色ブドウ球菌は健康な人の皮膚や鼻の粘膜にも常在している細菌で、掻き傷から侵入することで感染が成立します。

また、蚊やブヨ、アブなどに刺された場合、刺し口自体が小さな傷となります。この傷が不衛生な環境で放置されたり、汚れた手で触れたりすることでも細菌が侵入する可能性があります。

さらに、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能がもともと低下している場合や、汗疹(あせも)などで皮膚が荒れている場合は、虫刺されの傷からとびひに発展するリスクがさらに高まります。夏場は汗をかきやすく、皮膚が湿潤な状態になるため、細菌が繁殖しやすい環境になっていることも関係しています。

💊 とびひの種類と症状の特徴

とびひには大きく分けて2つの種類があり、それぞれ症状の現れ方が異なります。正確に見分けることが適切な治療への第一歩となります。

🦠 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)

水疱性膿痂疹は、主に黄色ブドウ球菌が原因となるとびひで、子どもに多く見られるタイプです。最初は小さな水ぶくれとして始まり、急速に大きくなっていくことが特徴です。水ぶくれの中には透明または黄色がかった液体が入っており、破れやすいのが特徴です。破れると薄い皮だけが残り、ジュクジュクとした状態になります。この液体には細菌が含まれており、触れた部位に新たな病変を作ります。

水疱性膿痂疹は顔、首、体幹、四肢など全身に現れる可能性があります。かゆみを伴うことが多く、掻くことでさらに広がっていきます。発熱などの全身症状は比較的少ないですが、病変が広範囲に広がった場合や免疫機能が低下している場合には全身症状が現れることもあります。

👴 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)

痂皮性膿痂疹は、主に溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因となるタイプで、水疱性膿痂疹に比べると発症頻度は低いですが、症状が重くなりやすい傾向があります。水ぶくれよりもかさぶたが目立つのが特徴で、厚くて黄色い痂皮(かさぶた)が皮膚を覆います。

痂皮性膿痂疹では、発熱、リンパ節の腫れ、全身のだるさなどの全身症状を伴うことがあります。また、稀に急性糸球体腎炎(腎臓の炎症)を引き起こすことがあるため、適切な治療が特に重要です。顔や首周りに発症しやすく、かゆみよりも痛みを伴うことが多いです。

🔸 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)

まれに、黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって広範囲の皮膚剥離が起こる「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)」という重篤な状態に進展することがあります。これは通常のとびひとは異なり、広範囲の皮膚が薄皮一枚剥けるように赤くなり、やけどのように見えます。発熱を伴い、早急な入院治療が必要になります。特に新生児や乳幼児、免疫機能が低下している方でリスクが高まります。

Q. 虫刺されがとびひの原因になるのはなぜですか?

虫刺されによる強いかゆみで皮膚を掻くと、細かな傷ができます。爪の間に潜む黄色ブドウ球菌などの細菌がその傷口から侵入し、とびひへと発展します。アトピー性皮膚炎や汗疹で皮膚バリアが低下している場合は、さらに感染リスクが高まるため注意が必要です。

🏥 虫刺されととびひを見分けるポイント

虫刺されととびひは、見た目が似ていることもあり、見分けが難しい場合があります。適切な対処のために、それぞれの特徴を知っておきましょう。

💧 虫刺されの主な特徴

虫刺されの場合、刺された直後から数時間以内に赤みやかゆみが現れます。蚊であれば赤くふくれた丘疹(きゅうしん)が1〜2か所にできることが多く、ブヨやアブの場合は強いかゆみや痛みを伴う腫れが生じます。虫刺されは刺された箇所が中心となり、多くの場合1か所または数か所に限られます。

通常の虫刺されであれば、適切なケア(冷却、かゆみ止めの塗布など)で数日以内に改善します。水ぶくれができることもありますが、ブヨなどの場合には大きな水ぶくれが生じることもあり、その場合はとびひとの鑑別が難しくなることがあります。

✨ とびひの主な特徴

とびひは時間とともに病変が広がっていくことが最大の特徴です。最初は小さな水ぶくれや赤みから始まりますが、数日で急速に病変が拡大します。また、掻いた手で触れた別の部位にも新たな病変ができるため、離れた場所に複数の病変が現れることが特徴的です。

水疱性膿痂疹では透明または黄色がかった水ぶくれが目立ち、それが破れると薄い皮とジュクジュクした状態が残ります。この分泌物が乾燥するとかさぶたになります。痂皮性膿痂疹では最初から厚いかさぶたが形成されることが多く、かゆみより痛みが強い傾向があります。

📌 見分けが難しいケース

虫刺されの傷からとびひが始まった場合、最初は虫刺されのように見えても、時間が経つにつれて症状が変化していきます。特に以下のような場合は、とびひを疑う必要があります。

虫刺されの後に水ぶくれがみるみる大きくなる、虫刺されの周囲が赤く広がる、刺された部位とは別の場所に同様の症状が現れる、数日経っても症状が改善しない、むしろ悪化している、といった変化がみられた場合はとびひを疑い、皮膚科を受診することをおすすめします。自己判断でとびひを放置すると症状が悪化し、治療が長引く可能性があります。

⚠️ とびひが広がるメカニズム

とびひが「飛び火」のように広がるメカニズムを理解することは、感染の拡大を防ぐ上でとても重要です。

とびひの病変部位には大量の細菌が含まれています。特に水疱性膿痂疹の水ぶくれの内容液は細菌が豊富で、非常に感染力が強い状態です。この液体が破れて他の皮膚部位に付着すると、その部位に小さな傷や皮膚のバリア機能の弱い部分があれば、そこから細菌が侵入して新たな病変を作ります。

掻く行為が拡大に最も大きく関与しています。病変部位をかいた手で体の別の部位を触ると、手から別の部位へと細菌が移動します。また、タオルや衣類を介した感染も起こります。病変部位に触れたタオルや衣類を他の人が使用したり、自分の別の部位に使用したりすることで感染が広がります。

プールや水遊びも感染拡大の要因になります。プールの水を介して感染が広がることがあるため、とびひの診断がついている場合はプールへの参加を控えることが推奨されています。

自分自身の体内での拡大だけでなく、他者への感染にも注意が必要です。家族や同じ学校・保育園の友達への感染を防ぐためにも、早期の診断と治療が重要です。特に、水疱性膿痂疹は感染力が非常に強く、流行することがあります。病変が広範囲にわたる場合や、全身症状がある場合は特に注意が必要です。

Q. とびひと虫刺されの見分け方を教えてください。

虫刺されは刺された箇所が中心で数日以内に改善しますが、とびひは水ぶくれが急速に拡大し、離れた部位にも新たな病変が現れます。数日経っても症状が改善しない、または悪化している場合はとびひを疑い、早めに皮膚科を受診することが推奨されます。

🔍 とびひの治療法

とびひの治療は、細菌感染を治療するため抗菌薬の使用が基本となります。症状の程度や病型によって、外用薬(塗り薬)のみの場合と、内服薬(飲み薬)を組み合わせる場合があります。

▶️ 外用抗菌薬(塗り薬)

軽度のとびひや病変が限られた範囲にとどまる場合は、外用抗菌薬(塗り薬)のみで治療することがあります。日本では主にフシジン酸ナトリウムやムピロシン(バクトロバン)などの抗菌薬含有軟膏が使用されます。これらは患部に直接塗布することで、局所の細菌を殺菌します。

塗り薬を使用する際は、まず患部を清潔に保つことが重要です。ぬるま湯で優しく洗い、清潔なタオルやガーゼで水分を拭き取ってから薬を塗布します。患部を覆うことで、かいて病変が広がることを防ぐとともに、分泌液が他の部位につくことも防げます。ただし、完全に密閉すると湿潤環境が続き、かえって細菌が繁殖しやすくなることがあるため、通気性を保つことも大切です。

🔹 内服抗菌薬(飲み薬)

病変が広範囲に広がっている場合、外用薬だけでは効果が不十分な場合、または痂皮性膿痂疹のように全身症状を伴う場合は、内服抗菌薬が処方されます。使用される抗菌薬の種類は原因菌によって異なります。

黄色ブドウ球菌が原因の場合は、セファロスポリン系(セファレキシンなど)やペニシリン系抗菌薬が使用されることが多いです。ただし、近年メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染が増加しており、通常の抗菌薬が効かないケースも見られます。MRSAが疑われる場合は、バンコマイシンやリネゾリドなど特殊な抗菌薬が必要になります。

溶連菌が原因の痂皮性膿痂疹の場合は、ペニシリン系抗菌薬が第一選択となります。アレルギーがある場合はマクロライド系抗菌薬が使用されることがあります。内服薬は処方された期間、症状が改善したからといって自己判断で中断せず、しっかりと飲み切ることが重要です。治療を途中でやめると、細菌が完全に死滅せず再発の原因になるだけでなく、耐性菌の発生にもつながりかねません。

📍 かゆみの対処

とびひに伴うかゆみには、抗ヒスタミン薬(内服)が処方されることがあります。かゆみを抑えることで、かいて病変を広げるリスクを減らすことができます。かゆみが強い場合は医師に相談し、適切な薬を処方してもらうことが重要です。

💫 日常生活での注意点

治療中の日常生活では、病変部位を清潔に保つことが最も重要です。毎日シャワーや入浴で身体を洗い、患部の細菌を洗い流します。ただし、強くこすることは避け、石鹸を泡立てて優しく洗い流すようにしましょう。

タオルや衣類の共有は避け、病変部位に触れた後は必ず手を洗いましょう。爪は短く切っておき、かゆくても掻かないよう心がけることが大切です。小さな子どもの場合は、就寝時に手袋をつけるなどの工夫で、無意識に掻いてしまうことを防ぐ方法もあります。

プールや水遊びは、とびひが完全に治癒するまで控えることが推奨されています。また、病変が広範囲に広がっている場合や、学校保健安全法の観点から、医師の指示に従って集団生活を休む必要が生じることもあります。

🦠 治癒の目安

適切な治療を行えば、多くの場合1〜2週間程度で改善します。水ぶくれが乾燥し、かさぶたが自然に剥がれ落ちるようになれば回復のサインです。かさぶたを無理に剥がすと傷が残ることがあるため、自然に取れるのを待つことが大切です。症状が改善しない場合や悪化する場合は、耐性菌の可能性も含めて再度医師に相談することが重要です。

📝 虫刺されからとびひにならないための予防策

虫刺されをきっかけにとびひが発症することが多いため、まず虫刺されを予防し、刺された場合でも適切に対処することがとびひ予防の第一歩となります。

👴 虫刺されを防ぐための対策

虫が多い場所へ行く際には、長袖・長ズボンで肌の露出を減らすことが基本的な対策です。特に夏場の草むらや林など虫が多い場所では注意が必要です。市販の虫よけスプレーや虫よけ剤を使用することも効果的です。ディート(DEET)やイカリジンを含む虫よけ剤は効果が高いとされており、適切な濃度・用法に従って使用することが大切です。子どもへの使用は年齢制限がある製品もあるため、製品の説明書をよく確認しましょう。

室内では、網戸を使用して蚊などの侵入を防ぐことが大切です。蚊取り線香や電気蚊取りなど、室内向けの虫よけ用品も活用しましょう。特に寝る時間帯は蚊帳や蚊取り線香を使用することで、睡眠中の虫刺されを防ぐことができます。

🔸 虫刺されが起きてしまったら

虫に刺されたら、できるだけ掻かないようにすることが最も重要です。かゆみが強い場合はかゆみ止めの外用薬(ステロイドや抗ヒスタミン薬配合のもの)を早めに塗ることで、かゆみを和らげ掻き傷を作ることを防げます。市販のムヒやキンダベートなどのかゆみ止め薬を活用しましょう。

刺された部位を冷やすことも効果的です。冷たいタオルやアイスパックを当てることで、血管が収縮して腫れやかゆみが和らぎます。ただし、直接氷を肌に当てることは凍傷の原因になることがあるため、タオルなどで包んで使用しましょう。

特に小さな子どもは爪を短く清潔に保つことが大切です。爪が長いと掻いた際に傷が深くなり、爪の間の汚れも傷口から感染するリスクを高めます。定期的に爪切りをする習慣をつけましょう。

💧 皮膚のバリア機能を高める

皮膚のバリア機能を維持・強化することも、とびひ予防に重要な役割を果たします。日々のスキンケアでしっかりと保湿を行い、肌の乾燥を防ぐことが基本です。特にアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある場合は、医師の指示のもと適切なスキンケアと治療を継続することが大切です。

汗をかいた後はこまめにシャワーや清拭で汗を流し、皮膚を清潔に保ちましょう。通気性の良い衣類を着用することで汗による肌荒れを防ぐことができます。汗疹(あせも)ができた場合は早めに対処し、掻き傷を作らないよう注意することも重要です。

✨ とびひになった人への対応

家族にとびひの方がいる場合は、病変部に触れた後は必ず手洗いを行い、タオルや衣類は別々に洗濯することが感染拡大防止になります。入浴は共用のバスタオルを避け、それぞれ別のタオルを使用しましょう。患者の衣類は熱湯処理または乾燥機での乾燥でさらに殺菌効果が高まります。

Q. とびひの治療期間と治療中の注意点は何ですか?

とびひは外用・内服の抗菌薬による治療が基本で、適切に治療すれば多くの場合1〜2週間程度で改善します。症状が改善しても自己判断で薬を中断すると再発や耐性菌発生の原因になります。治療中はプールを控え、タオルや衣類の共有を避けることで感染拡大を防ぐことが重要です。

💡 こんな症状が出たらすぐに受診を

虫刺されやとびひの症状が現れた場合、セルフケアで対処できる場合もありますが、以下のような場合は早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

まず、水ぶくれが急速に大きくなったり、数が増えたりしている場合は、とびひが疑われるため早急な受診が必要です。自己判断での市販薬のみでの対応は、症状の悪化を招く可能性があります。

虫刺されや皮膚症状とともに発熱がある場合も受診が必要です。特に38度以上の発熱を伴う場合は、痂皮性膿痂疹などの重篤なタイプや、SSSSへの移行を疑う必要があります。また、皮膚の赤みが急速に広がる場合は、蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮下組織にまで感染が及んだ状態)などより深い感染症が起きている可能性があり、入院治療が必要なケースもあります。

リンパ節が腫れている場合も注意が必要です。耳の後ろや首、脇の下などのリンパ節が腫れて痛む場合は、細菌感染が広がっているサインかもしれません。とびひの治療を始めても1週間程度で改善が見られない場合や、悪化している場合も再診を検討してください。耐性菌による感染の可能性があり、抗菌薬の変更が必要なことがあります。

新生児や乳幼児、高齢者、糖尿病や免疫抑制剤使用中など免疫機能が低下している方の場合は、特に慎重な対応が必要です。これらの方々はとびひが重症化しやすく、通常より速やかな受診と治療が求められます。

また、顔面、特に目の周りや口の周りに病変が広がっている場合も早めの受診が望ましいです。顔面の感染は目や口への影響が懸念されるほか、審美的な問題もあります。

ハチやムカデなどに刺された場合は、アナフィラキシーショック(重篤なアレルギー反応)が起きることがあります。刺された後に呼吸困難、全身のじんましん、顔面の腫れ、血圧低下などの症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼んでください。これはとびひとは別の緊急事態です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、夏場になると虫刺されをきっかけにとびひへ発展したお子さんが多くご来院されます。「最初は虫刺されだと思っていた」というケースが非常に多く、水ぶくれが急に広がってきたり、離れた部位にも似たような症状が現れてきたりした際は、早めにご受診いただくことが大切です。かゆみ止めや保湿などの適切なスキンケアで皮膚のバリア機能を守ることがとびひ予防の第一歩となりますので、気になる症状があればどうぞお気軽にご相談ください。」

✨ よくある質問

虫刺されからとびひになるのはなぜですか?

虫刺されのかゆみに耐えられず掻いてしまうと、皮膚に細かな傷ができます。爪の間には黄色ブドウ球菌などの細菌が存在しており、その傷口から細菌が侵入することでとびひへと発展します。特に子どもはかゆみのコントロールが難しく、無意識に強く掻いてしまうため注意が必要です。

とびひと虫刺されはどう見分けたらよいですか?

虫刺されは刺された箇所が中心で、数か所に限られ数日で改善します。一方、とびひは時間とともに水ぶくれが急速に広がり、離れた部位にも新たな病変が現れるのが特徴です。症状が拡大したり、数日経っても改善しない場合はとびひを疑い、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

とびひの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

適切な治療を行えば、多くの場合1〜2週間程度で改善します。治療の基本は外用・内服の抗菌薬です。症状が軽快しても自己判断で薬を中断せず、処方された期間はしっかり使い切ることが大切です。途中でやめると再発や耐性菌発生の原因になる場合があります。

とびひのとき、プールや学校はどうすればよいですか?

とびひと診断された場合、プールや水遊びは完全に治癒するまで控えることが推奨されています。学校や保育園については、病変が広範囲に広がっている場合などは医師の指示に従って集団生活を休む必要が生じることもあります。感染力が強い病気のため、周囲への感染防止のためにも医師に確認しましょう。

虫刺されからとびひにならないために何ができますか?

まず虫よけスプレーや長袖・長ズボンで虫刺されを予防することが大切です。刺されてしまった場合は、かゆみ止め外用薬を早めに塗り、できるだけ掻かないようにしましょう。また、日々の保湿ケアで皮膚のバリア機能を高めること、爪を短く清潔に保つことも有効な予防策です。気になる症状があれば当院へお気軽にご相談ください。

📌 まとめ

虫刺されととびひの関係について解説してきましたが、ポイントをまとめると以下のとおりです。

とびひ(伝染性膿痂疹)は黄色ブドウ球菌や溶連菌による皮膚の細菌感染症で、特に夏場の子どもに多く見られます。虫刺されは、強いかゆみによる掻き傷を通じて細菌の侵入口になり、とびひのきっかけになりやすいため、虫刺されを予防すること、刺された場合でも掻かないようにすることが重要です。

とびひには水疱性と痂皮性の2種類があり、水ぶくれが急速に広がる、病変が複数箇所に飛び散るように現れるといった特徴があります。虫刺されと区別が難しいケースもありますが、症状が広がったり長引いたりする場合はとびひを疑い、早めに皮膚科を受診することが大切です。

とびひの治療は外用・内服の抗菌薬が基本で、適切な治療を行えば多くの場合1〜2週間程度で改善します。処方された薬は自己判断で中断せず、しっかりと使い切ることが重要です。また、患部を清潔に保ち、タオルや衣類の共有を避けるなど、感染拡大を防ぐための日常的なケアも欠かせません。

皮膚のバリア機能を高めるための日々のスキンケアと保湿、清潔な生活習慣の維持が、虫刺されからとびひへの発展を防ぐ上でとても重要です。特にアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患をお持ちの場合は、夏場は特に注意が必要です。

「ただの虫刺され」と思って放置せず、症状の変化に注意し、異変を感じたら早めに専門の医師に相談するようにしましょう。アイシークリニック新宿院では、皮膚の症状に関するご相談を承っております。虫刺されやとびひでお困りの際は、お気軽にご受診ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – とびひ(伝染性膿痂疹)の診断基準・治療ガイドライン。水疱性膿痂疹・痂皮性膿痂疹の病型分類、原因菌(黄色ブドウ球菌・溶連菌)、抗菌薬治療の選択に関する医学的根拠として参照
  • 国立感染症研究所 – 伝染性膿痂疹の感染症情報。感染経路・流行状況・集団生活における感染拡大防止策(プール・学校での対応)、MRSA・溶連菌による感染の疫学データとして参照
  • 厚生労働省 – 学校保健安全法に基づくとびひの出席停止基準・集団生活における感染症対策の公的指針として参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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