耳の後ろが腫れて触ると痛い原因と対処法を医師が解説

💡 耳の後ろがぷっくり腫れて、触ると痛い…そんな経験ありませんか?

「何これ…病院行くべき?」と不安になりますよね。放置すると悪化するケースもあるので、原因を正しく知ることが大切です。

この記事を読めば、耳の後ろの腫れの原因・危険なサイン・受診すべきタイミングがすべてわかります。

🚨 こんな症状は要注意!

発熱がある
顔面麻痺・しびれがある
耳まわりに発疹が出ている
上記がある場合はすぐに耳鼻咽喉科か皮膚科へ


目次

  1. 耳の後ろの構造を知っておこう
  2. 耳の後ろが腫れる原因一覧
  3. リンパ節炎(頸部リンパ節腫脹)
  4. 粉瘤(アテローム)
  5. 乳様突起炎(にゅうようとつきえん)
  6. 帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)
  7. 脂肪腫
  8. 耳下腺炎(おたふく風邪)との違い
  9. その他に考えられる原因
  10. 触ると痛い腫れと触っても痛くない腫れの違い
  11. 受診すべきタイミングと診療科
  12. 自宅でできるケアと注意点
  13. まとめ

📌 この記事のポイント

耳の後ろの腫れは、リンパ節炎・粉瘤・乳様突起炎・帯状疱疹など多様な原因があり、発熱・顔面麻痺・耳周囲の発疹を伴う場合は早急に耳鼻咽喉科または皮膚科を受診すべきである。

💡 耳の後ろの構造を知っておこう

耳の後ろには、医学的に「耳介後部」や「乳様突起部」と呼ばれる領域が広がっています。この部位には皮下脂肪や皮膚だけでなく、いくつかの重要な構造物が存在しています。

まず知っておきたいのがリンパ節です。耳の後ろには「耳介後リンパ節」と呼ばれるリンパ節が複数存在しており、頭皮や耳介周囲からのリンパ液が集まる場所となっています。リンパ節は免疫システムの一部であり、細菌やウイルスと戦うときに一時的に腫れることがあります。

次に「乳様突起」という骨の突起があります。耳の後ろを触ると硬い骨の出っ張りを感じることができますが、これが乳様突起です。耳と頭蓋骨をつなぐ側頭骨の一部で、内部には「蜂巣」と呼ばれる空洞が多く存在しています。この空洞が中耳と繋がっているため、中耳炎が悪化すると乳様突起にまで炎症が波及することがあります。

また、耳の後ろの皮膚には毛包や皮脂腺が分布しており、これらが詰まったり感染したりすることで、できものや腫れが生じることもあります。このように耳の後ろはさまざまな組織が密集した部位であるため、腫れや痛みの原因も多岐にわたります。

Q. 耳の後ろが腫れる原因で最も多いものは何ですか?

耳の後ろが腫れて触ると痛い場合、最も多い原因はリンパ節炎です。風邪・扁桃炎・中耳炎・頭皮の皮膚炎などの感染を契機に耳介後リンパ節が腫れます。次いで粉瘤(アテローム)も多く、炎症を起こすと強い痛みと発赤を伴います。

📌 耳の後ろが腫れる原因一覧

耳の後ろの腫れには多くの原因が考えられます。主なものを挙げると以下のとおりです。

  • リンパ節炎(頸部・耳介後リンパ節の腫脹)
  • 粉瘤(アテローム)
  • 乳様突起炎
  • 帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群を含む)
  • 脂肪腫
  • 耳下腺炎(流行性耳下腺炎、いわゆるおたふく風邪)
  • 皮膚炎・毛包炎
  • 外耳炎の波及
  • 悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患

これらのうち、触ると痛みを伴うケースと、痛みがほとんどないケースがあります。痛みの有無、腫れの硬さや動き、発熱や皮疹の有無などを総合的に判断することが、原因の絞り込みに役立ちます。以下ではそれぞれについて詳しく解説します。

✨ リンパ節炎(頸部リンパ節腫脹)

耳の後ろが腫れて触ると痛いという症状で最も多い原因の一つが、リンパ節炎です。耳の後ろにある耳介後リンパ節は、頭皮や耳介周囲の皮膚、あるいは咽頭などで起きた感染に反応して腫れることがあります。

リンパ節炎の多くは細菌やウイルスへの感染に伴うものです。たとえば、かぜや咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、頭皮の皮膚炎などが引き金になることがあります。特に小児では、風疹ウイルスへの感染時に耳の後ろや後頭部のリンパ節が著明に腫れることが知られており、風疹の特徴的な症状の一つとして知られています。

リンパ節炎の特徴としては、腫れたリンパ節が比較的柔らかく、触ると痛みを感じることが多い点が挙げられます。また、周囲に熱感や発赤を伴うことがあります。ウイルス性のリンパ節炎の多くは感染が落ち着くとともに自然に縮小しますが、細菌性の場合は化膿して膿が溜まること(リンパ節膿瘍)もあるため、適切な抗菌薬治療が必要になることがあります。

なお、EBウイルスによる伝染性単核球症(キスウイルス感染症)の場合も、全身のリンパ節が腫れ、特に頸部から耳後部にかけての腫れが目立つことがあります。この場合は発熱、咽頭痛、倦怠感などを伴うことが多く、血液検査で診断されます。

リンパ節の腫れが2〜4週間以上続く場合や、硬さが増してきた場合、あるいは体重減少や夜間の発汗などの全身症状が出てきた場合は、より詳しい検査が必要です。

🔍 粉瘤(アテローム)

耳の後ろに触ると痛い腫れができた場合、粉瘤(ふんりゅう)も原因として非常に多く見られます。粉瘤は「アテローム」とも呼ばれ、皮膚の下に袋状の構造物ができて、その中に古い角質や皮脂が溜まることによって生じる良性の腫瘍です。

耳の周囲は皮脂腺や毛包が多く分布しているため、粉瘤ができやすい部位の一つです。粉瘤は通常、弾力があってやや硬め、境界がはっきりした腫れとして感じられ、中央部分に小さな穴(開口部)が見えることもあります。感染が起きていない状態では痛みが少ないのが特徴ですが、細菌が内部に侵入して炎症を起こすと(炎症性粉瘤)、急激に赤く腫れ上がり、強い痛みを伴うようになります。

炎症を起こした粉瘤は膿が溜まって内部の圧力が高まるため、触ると非常に強い痛みを感じます。この状態になると、自然に破れて膿が排出されることもありますが、再発を繰り返すことも多いため、炎症が落ち着いた時点で根本的な治療(摘出手術)が必要になります。

粉瘤の治療は外科的な切除が基本です。感染を起こしている急性期には、まず抗菌薬の投与や切開・排膿を行い、炎症が治まってから根治的な摘出手術を行うのが一般的な流れです。無理に自分で絞ったり針で刺したりすると、感染が悪化したり袋が破れて再発しやすくなったりするため、注意が必要です。

Q. 乳様突起炎はどんな病気で、なぜ危険ですか?

乳様突起炎は中耳炎が悪化し、耳の後ろの骨(乳様突起)に細菌感染が波及する疾患です。発熱・耳後部の強い圧痛・耳からの排膿が主な症状で、放置すると髄膜炎・脳膿瘍・顔面神経麻痺などの重篤な合併症に進行するリスクがあるため、早急に耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

💪 乳様突起炎(にゅうようとつきえん)

乳様突起炎は、耳の後ろの骨(乳様突起)に細菌感染が起きて炎症を起こす疾患です。多くの場合、中耳炎が適切に治療されないまま悪化し、炎症が乳様突起にまで波及することで発症します。かつてはよく見られた合併症でしたが、抗菌薬が普及した現代でも依然として発生することがある、注意が必要な病態です。

乳様突起炎の主な症状は、耳の後ろの腫れと強い押したときの痛み(圧痛)です。これに加えて、発熱、耳痛、耳からの排膿なども見られることがあります。腫れがひどい場合は耳介(耳たぶを含む外側の耳の部分)が前方に押し出されるように突き出て見えることもあります。小児に多い疾患ですが、大人にも発症します。

乳様突起炎は重篤な合併症を引き起こす可能性がある疾患です。炎症が頭蓋内に波及すると髄膜炎や脳膿瘍、あるいは静脈洞血栓症などを招くリスクがあります。また顔面神経麻痺を引き起こすこともあります。そのため、疑わしい症状がある場合には速やかに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

治療は入院のうえ、静脈注射による抗菌薬投与が基本となります。内科的治療だけでは不十分な場合や、合併症が疑われる場合は外科的治療(乳様突起削開術)が必要になることもあります。CTやMRIなどの画像検査で炎症の範囲を確認することも大切です。

🎯 帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって起こる感染症です。一度水痘(水ぼうそう)にかかったあと、ウイルスが神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに再び活発化することで発症します。

帯状疱疹が顔面神経(第VII脳神経)の領域で発症すると、耳介や耳の周囲、耳の後ろに水ぶくれを伴う発疹が現れ、強い耳の痛みや灼熱感が生じます。この病態を「ラムゼイ・ハント症候群」と呼びます。ラムゼイ・ハント症候群では、耳の後ろや耳介の発疹・腫れに加え、顔面神経麻痺(顔の片側の麻痺)や難聴、耳鳴り、めまいなどを合併することがあります。

この疾患の特徴的な点は、発疹が出る前から数日間、耳周囲に強い痛みを感じることがある点です。最初は「何かが触れると痛い」「じりじりとした灼けるような痛みがある」といった症状で始まることがあり、その後に赤みや水ぶくれが出現します。耳の後ろや耳介に小さな水疱が密集しているのを確認できれば、帯状疱疹を強く疑う必要があります。

治療は抗ウイルス薬(アシクロビルやバラシクロビルなど)の早期投与が重要です。発疹が出てから72時間以内に治療を開始することで、症状の重症化や後遺症(帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺の残存)を予防する効果が期待できます。症状が疑われる場合はできる限り早く受診してください。

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💡 脂肪腫

脂肪腫は脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍で、体のさまざまな部位に発生しますが、耳の後ろにできることもあります。脂肪腫はやわらかくて弾力があり、皮膚の下を指で押すとゆっくりと動く感触があるのが特徴です。

基本的に脂肪腫は触っても痛みを感じないことが多いのですが、大きくなって神経や周囲組織を圧迫したり、炎症を起こしたりした場合には痛みを伴うことがあります。また、触ったときに何となく不快感を感じるケースもあります。

脂肪腫は悪性化することはほとんどなく、放置しても危険なものではありませんが、大きくなる場合や、外見が気になる場合、あるいは症状がある場合は切除手術を検討することになります。

一方で、脂肪腫に似た疾患として「脂肪肉腫」という悪性腫瘍が稀に存在します。急速に大きくなる、硬くなる、痛みが増強するといった変化がある場合は、悪性腫瘍の可能性も否定できないため、早めに医療機関を受診して超音波検査やMRI検査などで評価してもらうことが大切です。

Q. 帯状疱疹が耳の後ろに起きた場合の特徴は?

耳の後ろや耳介に帯状疱疹が生じる病態を「ラムゼイ・ハント症候群」と呼びます。発疹が出る数日前から灼けるような耳周囲の痛みが先行し、その後に水ぶくれが出現します。顔面神経麻痺・難聴・めまいを合併することがあり、発疹出現から72時間以内に抗ウイルス薬を開始することが重要です。

📌 耳下腺炎(おたふく風邪)との違い

「耳の後ろが腫れている」と思っていたら、実は耳の前から下にかけて腫れている「耳下腺炎」だったというケースもあります。耳下腺はほおの内側から耳の前方にかけて位置する唾液腺の一つで、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)やウイルス・細菌性の耳下腺炎を起こすことがあります。

耳下腺炎では耳の前から下顎にかけて腫れが広がるため、腫れの部位は「耳の後ろ」よりも「耳の前・下」が中心になります。しかし腫れが大きくなると耳の後ろ側にまで違和感が広がることもあり、自分では「耳の後ろが腫れた」と感じることがあります。

流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス感染症)は主に小児に多い感染症で、発熱と耳下腺の腫れが特徴的です。両側性に腫れることが多いですが、片側だけのこともあります。大人でも免疫がない場合に感染することがあり、大人が感染すると睾丸炎や卵巣炎などの合併症を起こすことがあるため注意が必要です。

耳の後ろの腫れと耳下腺炎を自分で見分けるのは難しい場合もあります。腫れの位置や硬さ、発熱の有無、周囲の人が同じ症状になっているかどうかなどを確認して、疑わしい場合は医師の診察を受けましょう。

✨ その他に考えられる原因

耳の後ろの腫れには、上記以外にもさまざまな原因が考えられます。ここではいくつかの重要なものを補足して説明します。

毛包炎・せつ(おでき)は、毛根に細菌が感染して炎症を起こしたものです。耳の後ろの皮膚には細かい毛が生えており、毛包が塞がることで感染が起きることがあります。局所が赤く腫れ、膿点が見えることもあります。通常は比較的小さな腫れで、抗菌薬や切開排膿で治癒します。

接触性皮膚炎は、耳飾り(ピアスやイヤリング)の金属アレルギーや、シャンプー・整髪料などのアレルゲンへの接触によって皮膚が炎症を起こすものです。耳の後ろが赤く腫れてかゆみや痛みを伴い、皮膚が荒れたり水ぶくれができたりします。原因となる物質を避けることと、ステロイド外用薬による治療が基本です。

悪性リンパ腫は、リンパ節のリンパ球ががん化する血液のがんです。耳の後ろのリンパ節が腫れる原因になることがあります。悪性リンパ腫によるリンパ節の腫れは、触っても痛みが少なく、硬くて動きが悪いことが多いのですが、必ずしもそうとは限りません。体重減少、発熱、夜間の大量発汗(B症状)などが伴う場合は特に注意が必要です。

また、頭部や顔面に発生した皮膚がんや、その他の悪性腫瘍が耳後部リンパ節に転移して腫れを引き起こすケースもあります。こうした場合も触っても痛みが少ないことが多いです。

外耳炎が広がる形で耳の後ろの皮膚や皮下組織に炎症が及ぶケースもあります。特に糖尿病の患者さんや免疫抑制状態の方では「悪性外耳道炎」という重篤な感染症が起きることがあり、耳の後ろや側頭部に激しい痛みが広がることがあります。

🔍 触ると痛い腫れと触っても痛くない腫れの違い

耳の後ろに腫れを見つけたとき、「触ると痛い」かどうかは原因を絞り込む重要な手がかりになります。ただし、触って痛くないからといって安心できるわけではなく、痛みのない腫れの中には注意が必要な疾患が含まれていることがあります。

触ると痛みを伴いやすい腫れとしては、炎症を起こしたリンパ節(リンパ節炎)、炎症性の粉瘤、乳様突起炎、帯状疱疹、毛包炎・せつなどが挙げられます。これらはいずれも炎症や感染が関与しており、周囲の組織が刺激されることで痛みが生じます。熱感や発赤を伴うことも多く、急性の経過をたどることが多い特徴があります。

一方、触ってもあまり痛みを感じない腫れには、良性の脂肪腫、感染を起こしていない粉瘤、悪性リンパ腫、転移性リンパ節などがあります。これらは炎症を伴わないことが多く、ゆっくりと大きくなる傾向があります。痛みがないからといって軽視せず、腫れが続くようであれば医師に診てもらうことが大切です。

また、帯状疱疹のように、最初は「触ると痛い」「じりじりした痛みがある」という状態から始まり、後から発疹が出てくるケースもあります。腫れそのものよりも痛みが先行する場合は帯状疱疹を念頭に置くことが重要です。

腫れの硬さも参考になります。やわらかくてよく動く腫れは脂肪腫や良性のリンパ節腫脹に多く、硬くて動きが悪い腫れは悪性の可能性を考える必要があります。ただし、これらの特徴だけで自己判断することは難しいため、気になる症状がある場合は専門家の診察を受けることをおすすめします。

Q. 耳の後ろの腫れが痛くない場合も受診が必要ですか?

痛みのない耳の後ろの腫れでも放置は禁物です。悪性リンパ腫や転移性リンパ節は痛みを伴わないケースが多く、見逃しのリスクがあります。腫れが2〜4週間以上続く、徐々に大きくなる、硬くて動きが悪い、体重減少や夜間発汗などの全身症状がある場合は、皮膚科や耳鼻咽喉科を受診して原因を確認してください。

💪 受診すべきタイミングと診療科

耳の後ろの腫れは原因によって緊急性が大きく異なります。どのような場合に、どの診療科を受診すればよいかを整理しておきましょう。

まず、以下の症状がある場合は速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

  • 発熱を伴う耳の後ろの腫れや強い痛み
  • 耳からの排膿や聞こえにくさを伴う腫れ
  • 顔面の麻痺(口や目が動かしにくい)を伴う場合
  • 耳の後ろや耳介に水ぶくれや発疹が出ている場合
  • 腫れが急速に大きくなっている場合
  • 皮膚が赤く熱を持ち、波を打つような感触がある場合(膿瘍形成の可能性)
  • 首や喉の腫れも同時にある場合

上記のような緊急性の高い症状がない場合でも、以下のような状況では一度受診することを検討してください。

  • 腫れが2〜4週間以上続いている場合
  • 腫れが徐々に大きくなっている場合
  • 触ると痛みがある腫れが繰り返し起きる場合
  • 体重減少、倦怠感、夜間発汗などの全身症状がある場合
  • 見た目が気になり、日常生活に支障がある場合

受診する診療科については、症状に応じて選択します。耳の痛みや難聴、耳からの排膿を伴う場合は耳鼻咽喉科が適切です。乳様突起炎や外耳炎、帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)、リンパ節炎なども基本的には耳鼻咽喉科で対応できます。

皮膚の腫れや発疹(粉瘤、脂肪腫、毛包炎、接触性皮膚炎など)が主な症状の場合は皮膚科への受診が適しています。皮膚科では超音波検査(エコー)などで腫れの性質を確認し、必要に応じて切除手術を行うことができます。

どの科を受診すればよいか迷う場合は、まずはかかりつけ医(内科・一般外科)に相談し、適切な専門科に紹介してもらうのも一つの方法です。特に悪性リンパ腫などが疑われる場合は、血液内科や頭頸部外科への紹介が必要になることがあります。

🎯 自宅でできるケアと注意点

耳の後ろに腫れを発見したとき、医療機関に行くまでの間に自宅でできることと、やってはいけないことを知っておくことは大切です。

まず、清潔を保つことが基本です。耳の後ろの皮膚を清潔に保ち、患部を不必要に触らないようにしましょう。特に粉瘤や毛包炎などでは、汚れた手で触ったり、無理に絞ったりすると感染が悪化する恐れがあります。

腫れに熱感があり炎症が起きているような場合は、氷嚢や保冷剤などで患部を冷やすと痛みが和らぐことがあります。ただし、長時間の冷却は血行を悪化させることがあるため、10〜15分程度を目安に行い、皮膚に直接当てないようにタオルなどで包んで使用してください。

市販の痛み止め(イブプロフェンやアセトアミノフェンなど)は、痛みや発熱がつらい場合に一時的な使用を検討できますが、あくまで症状の緩和であり、根本的な治療にはなりません。また、胃腸の弱い方や特定の疾患をお持ちの方は、使用前に添付文書をよく読むか薬剤師に相談してください。

以下は絶対にやってはいけないことです。

まず、腫れた部分を無理に押しつぶしたり、針で刺して膿を出そうとする行為は危険です。粉瘤の内容物が周囲組織に広がると炎症が悪化し、より大きな切開手術が必要になることがあります。また、菌血症(細菌が血液中に入ること)を引き起こすリスクもあります。

次に、帯状疱疹による水ぶくれを破らないようにしてください。水疱の内容液にはウイルスが含まれており、破れると感染が広がったり、二次感染を起こしやすくなります。

また、症状が出ているにもかかわらず長期間放置することもリスクがあります。特に乳様突起炎は早期治療が重要で、治療が遅れると頭蓋内合併症に至ることがあります。「そのうち治るだろう」と様子を見すぎないようにしましょう。

接触性皮膚炎が原因と考えられる場合は、原因となる可能性のあるもの(金属製のイヤリングやピアス、特定のシャンプーや化粧品など)を一時的に使用しないようにすることで、症状の改善が期待できます。

生活習慣の面では、免疫力を維持することが帯状疱疹の予防に重要です。過労や睡眠不足、ストレスが続くとウイルスの再活性化リスクが高まります。特に50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されていますので、かかりつけ医に相談してみてください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、耳の後ろの腫れを主訴にご来院される患者さんの多くが、リンパ節炎や粉瘤(アテローム)によるものですが、中には乳様突起炎や帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)のように早急な治療が必要なケースも見受けられます。「様子を見ているうちに症状が悪化してしまった」というご経験をお持ちの患者さんも少なくないため、発熱・顔面麻痺・耳周囲の発疹などが伴う場合はとくに、躊躇せず早めにご相談いただくことを強くおすすめします。腫れの原因によって対処法はまったく異なりますので、「触ると痛い」「なかなか引かない」と感じたときは、どうぞお気軽に受診してください。」

💡 よくある質問

耳の後ろが腫れて痛い原因で最も多いものは何ですか?

最も多い原因の一つはリンパ節炎です。風邪や扁桃炎、中耳炎、頭皮の皮膚炎などの感染をきっかけに、耳介後リンパ節が腫れて痛みを生じます。次いで、皮膚の下に角質や皮脂が溜まる粉瘤(アテローム)も多く見られます。いずれも炎症を起こすと強い痛みを伴うことがあります。

耳の後ろの腫れで、すぐに病院へ行くべき症状を教えてください。

以下の症状がある場合は速やかに受診してください。①発熱を伴う強い痛みや腫れ、②耳からの排膿や聞こえにくさ、③顔面麻痺(口・目が動かしにくい)、④耳介や耳の後ろへの水ぶくれ・発疹、⑤腫れの急速な拡大。特に乳様突起炎や帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)が疑われる場合は早急な治療が必要です。

耳の後ろの腫れを自分で押しつぶしたり、針で刺して膿を出してもよいですか?

絶対に避けてください。無理に押しつぶしたり針で刺すと、粉瘤の内容物が周囲組織に広がって炎症が悪化し、より大きな手術が必要になるケースがあります。また、細菌が血液中に入る菌血症のリスクもあります。自宅では患部を清潔に保ち、触らないようにして、早めに医療機関を受診することが重要です。

耳の後ろの腫れは何科を受診すればよいですか?

症状によって適切な診療科が異なります。耳の痛み・難聴・耳からの排膿・顔面麻痺・耳周囲の発疹を伴う場合は耳鼻咽喉科が適切です。粉瘤・脂肪腫・毛包炎・皮膚の発疹が主な症状なら皮膚科が向いています。どの科を受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談し、専門科への紹介を依頼するとよいでしょう。

耳の後ろの腫れが痛くない場合でも、放置してよいですか?

痛みがない腫れでも放置は禁物です。悪性リンパ腫や転移性リンパ節など、注意が必要な疾患は痛みを伴わないケースが多くあります。腫れが2〜4週間以上続く、徐々に大きくなる、硬くて動きが悪い、体重減少や夜間発汗などの全身症状がある場合は、早めに皮膚科や耳鼻咽喉科を受診して原因を確認することをおすすめします。

📌 まとめ

耳の後ろが腫れて触ると痛いという症状は、リンパ節炎、粉瘤、乳様突起炎、帯状疱疹、脂肪腫、毛包炎など、さまざまな原因によって引き起こされます。それぞれ原因によって治療法が異なり、中には早急に対処が必要なものもあります。

特に乳様突起炎は放置すると頭蓋内合併症に進行するリスクがあり、帯状疱疹は早期の抗ウイルス薬投与が予後を左右します。これらは自己判断で様子を見ることが危険な疾患です。発熱や強い痛み、顔面麻痺、耳介への発疹などが伴う場合は迷わず医療機関を受診してください。

一方、炎症を起こした粉瘤や脂肪腫、リンパ節炎のような場合は、緊急性は低いことが多いものの、適切な診断と治療を受けることで症状を確実に改善させることができます。2〜4週間以上続く腫れや、徐々に大きくなる腫れも放置せず、皮膚科や耳鼻咽喉科などの専門科を受診することをおすすめします。

自宅での対処としては、清潔を保つこと、無理に腫れを潰さないことが基本です。市販の痛み止めで一時的に症状を和らげることはできますが、根本的な治療のためには医師の診察が不可欠です。自分の体の異変に気づいたら、早めに専門家に相談するという習慣が、疾患の早期発見・早期治療につながります。耳の後ろの腫れや痛みでお困りの方は、ぜひ一度医療機関へご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 国立感染症研究所 – 帯状疱疹(水痘・帯状疱疹ウイルス)・風疹・伝染性単核球症・流行性耳下腺炎(おたふく風邪)などの感染症に関する疫学情報および診断・治療の根拠として参照
  • 日本皮膚科学会 – 粉瘤(アテローム)・脂肪腫・毛包炎・接触性皮膚炎など皮膚疾患の診断基準および治療ガイドラインの根拠として参照
  • 厚生労働省 – 帯状疱疹ワクチン接種の推奨・感染症対策に関する公的情報および乳様突起炎・リンパ節炎を含む感染症全般の予防・治療方針の根拠として参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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