爪水虫と間違えやすい病気を徹底解説|正しい診断と治療のポイント

「爪が白く濁ってきた」「爪が厚くなって割れやすい」といった症状に気づいたとき、多くの方が爪水虫(爪白癬)を疑います。しかし実際には、爪に起きるトラブルは爪水虫だけではなく、外見がよく似た別の病気が原因であることも珍しくありません。市販の水虫薬を使っても改善しない場合、それは爪水虫ではない可能性があります。自己判断で治療を続けることは、本来の病気の悪化につながることもあるため、正確な診断がとても重要です。この記事では、爪水虫と間違えやすい病気の種類や症状の違い、正しい診断方法について詳しく解説します。


目次

  1. 爪水虫(爪白癬)とはどんな病気か
  2. 爪水虫の主な症状と特徴
  3. 爪水虫と間違えやすい代表的な病気
  4. 爪乾癬(つめかんせん)
  5. 爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)
  6. 爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)
  7. 爪扁平苔癬(つめへんぺいたいせん)
  8. 黒色爪(こくしょくつめ)・爪下出血
  9. 爪の悪性腫瘍(メラノーマなど)
  10. なぜ自己判断は危険なのか
  11. 正確に診断するための検査方法
  12. 病院で受けられる治療と爪水虫との違い
  13. まとめ

この記事のポイント

爪の変色・変形は爪水虫以外に爪乾癬・爪甲剥離症・メラノーマなど多様な疾患が原因となり得る。自己判断での市販薬使用は危険で、KOH検査による正確な診断が不可欠。異常が続く場合は皮膚科専門医への受診が推奨される。

🎯 爪水虫(爪白癬)とはどんな病気か

爪水虫は、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビの一種(真菌)が爪に感染することで起きる病気です。医学的には「爪白癬(そうはくせん)」と呼ばれ、足や手の爪に発症します。特に足の爪に多く見られ、足の皮膚に発症する足白癬(いわゆる水虫)から爪へと感染が広がるケースが一般的です。

白癬菌は高温多湿な環境を好み、公共の風呂場やスポーツ施設のシャワールームなど、素足で歩く場所での感染リスクが高くなります。感染した爪から周囲の人に感染することもあるため、家族内での感染を防ぐことも大切です。

日本では成人の約10〜20%が爪水虫に感染していると推定されており、決して珍しい病気ではありません。年齢とともに発症率は高くなる傾向があり、高齢者では特に注意が必要です。免疫機能が低下している方や、糖尿病を持つ方なども感染しやすいとされています。

爪水虫は放置するとどんどん進行し、完治が難しくなります。また、周囲への感染源にもなるため、早期に正確な診断を受けて適切な治療を行うことが重要です。

Q. 爪水虫と爪乾癬の見分け方は?

爪乾癬では爪表面に小さな点状のくぼみ(ピッティング)が見られ、体の他の部位に白いフケ状の鱗屑を伴う赤い皮疹が現れることがあります。ただし外見だけでの判断には限界があり、乾癬患者は爪水虫を合併しやすいため、KOH検査による真菌の有無の確認が不可欠です。

📋 爪水虫の主な症状と特徴

爪水虫の症状は、感染の程度や経過した期間によって異なりますが、代表的な変化として以下のものが挙げられます。

まず、爪の色が白や黄色、褐色に変化することが多く見られます。感染が爪の先端や側面から始まり、徐々に爪の根元に向かって広がっていくのが典型的なパターンです。爪の表面が白く濁ったり、粉っぽくなったりすることもあります。

進行すると爪が厚くなってきます。これは爪の下に白癬菌が繁殖して角質が増殖するためで、爪切りでは切りにくいほど硬く分厚くなることもあります。また、爪が脆くなってもろく崩れやすくなったり、爪の縁がボロボロになって欠けたりすることも特徴的です。

爪水虫の多くは痛みやかゆみなどの自覚症状が少なく、気づかないうちに進行していることがあります。足の水虫がある場合は、爪にも感染している可能性が高いため、皮膚の症状とあわせて確認することが大切です。

こうした症状は爪水虫に特有のものではなく、他の爪の病気でも似たような変化が起きることがあります。そのため、見た目だけで判断するのは難しく、専門的な検査が必要になります。

Q. 爪の黒いすじが現れたときに考えられる病気は?

爪の黒いすじは、外傷による爪下出血のほか、メラノーマ(悪性黒色腫)の可能性があります。すじの幅が広い・色が不均一・爪周囲の皮膚に色素が広がる「ハッチンソンサイン」がある場合は特に要注意です。自己判断せず、早急に皮膚科専門医を受診することが重要です。

💊 爪水虫と間違えやすい代表的な病気

爪の変色や変形は、爪水虫以外の様々な原因で起こります。代表的な疾患をいくつか紹介します。これらは爪水虫と見た目が似ているため、自己判断での区別が難しいものです。

🦠 爪乾癬(つめかんせん)

爪乾癬は、皮膚の慢性炎症性疾患である乾癬が爪に影響を与えることで起きる病変です。乾癬は免疫系の異常によって皮膚の細胞が過剰に増殖する病気で、全身の皮膚に起こりますが、爪に単独で症状が現れることもあります。

爪乾癬の典型的な症状としては、爪の表面にできる小さなくぼみ(点状陥凹と呼ばれ、「ピッティング」とも言います)があります。また、爪が爪床(爪の下の皮膚)から剥がれる爪甲剥離、爪の下に油のような変色が見られる「オイルスポット」、爪の肥厚や崩壊なども見られます。

爪乾癬と爪水虫の違いは、爪の表面の細かな点状のくぼみや、皮膚に乾癬の症状(白いフケのような鱗屑を伴う赤い皮疹)が他の部位にもあるかどうかで判断の手がかりになります。ただし、外見での判断には限界があります。

特に注意が必要なのは、乾癬患者さんでは爪水虫も合併しやすいとされていることです。そのため「乾癬だから爪の変化も乾癬によるもの」と決めつけずに、真菌検査で確認することが重要です。治療方法が全く異なるため、正確な鑑別が治療の成功につながります。

👴 爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)

爪甲剥離症は、爪が爪床(爪の下の皮膚)から剥がれてしまう状態です。爪の先端や側面から徐々に剥がれが進み、その部分が白く見えるため、爪水虫と間違えられることがよくあります。

爪甲剥離症の原因は様々で、爪への物理的な外力(長い爪でのキーボード操作や、爪への圧力)、薬剤性(特定の抗生物質や抗がん剤など)、甲状腺疾患などの全身疾患、接触皮膚炎(マニキュアや洗剤などのかぶれ)などが挙げられます。また、乾癬の爪症状の一つとしても起こります。

爪甲剥離症は爪水虫とは異なり、感染症ではないため、抗真菌薬を使っても改善しません。剥がれた部分の爪の下に汚れや菌が入りやすくなるため、衛生管理が大切です。原因を特定して取り除くことが治療の基本となります。

ただし、爪甲剥離が生じた爪は二次的に爪水虫に感染しやすい状態になっています。そのため、爪甲剥離症と爪水虫が同時に起きていることもあり、この場合は両方の治療が必要になります。

🔸 爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)

爪甲鉤彎症は、爪が異常に厚くなり、鉤(かぎ)のように曲がって変形する疾患です。特に足の親指の爪に多く見られ、爪が黄褐色に変色して肥厚し、爪表面が縦方向に筋が入ったように盛り上がります。外見が爪水虫の進行例ととてもよく似ているため、混同されやすい病気の一つです。

原因としては、靴による慢性的な圧迫や外傷、血液循環の不良、高齢化に伴う爪の代謝低下、末梢神経障害などが考えられています。老年期に多く発症することから「老人性爪甲鉤彎症」とも呼ばれます。

爪甲鉤彎症は真菌による感染ではないため、抗真菌薬での治療は効果がありません。治療としては、変形した爪を適切に整えることや、原因となる靴のサイズを見直すこと、血行を改善するためのケアなどが行われます。

なお、爪甲鉤彎症の変形した爪には爪水虫が合併することも多く、単純に見た目だけで判断することが難しい疾患です。専門医による検査で確認することが大切です。

💧 爪扁平苔癬(つめへんぺいたいせん)

扁平苔癬は、皮膚や粘膜に炎症を起こす病気で、爪に現れることもあります。爪扁平苔癬では、爪が薄くなって縦に裂けやすくなったり、爪の表面に縦の筋(縦溝)が入ったりします。進行すると爪が萎縮して消えてしまうこともあります。

初期の症状では爪が白く変色したり、もろくなったりすることがあり、これが爪水虫と間違えられることがあります。しかし、扁平苔癬は自己免疫的な機序で起きる炎症疾患であり、爪水虫とは原因も治療法も全く異なります。

爪扁平苔癬の治療は、ステロイドの局所投与や全身投与が中心です。爪水虫と誤って抗真菌薬を使い続けても効果がなく、診断が遅れると爪が永続的に変形してしまうリスクがあります。早期に皮膚科を受診して正確な診断を受けることが非常に重要な病気です。

✨ 黒色爪(こくしょくつめ)・爪下出血

爪が黒や茶色に変色する場合、爪下出血(爪の下の出血)であることがよくあります。スポーツ時のつま先への繰り返しの衝撃(ランナーに多い「ランナーズトー」など)や、重いものを落とすなどの外傷で爪の下に血が溜まることで、爪が黒や暗褐色に見えます。

爪下出血は、出血の原因となった外傷に心当たりがある場合が多く、爪水虫とは全く異なる原因です。通常は爪の成長とともに出血部分が先端方向に移動し、数ヶ月で自然に消えることがほとんどです。ただし、外傷の記憶がない場合や、色素沈着が根元から続いている場合は注意が必要です。

爪の黒い変色は後述する悪性黒色腫(メラノーマ)でも起きるため、出血との区別が重要です。一般的に爪下出血の場合は、爪の先端から根元に向かう明確な境界線(ハッチンソンサイン陰性)がなく、爪の成長とともに変化しますが、専門医の診察を受けることで正確に判断できます。

📌 爪の悪性腫瘍(メラノーマなど)

爪の変化として最も見逃してはならないのが、悪性腫瘍の可能性です。特に爪の下や爪の周囲に発生するメラノーマ(悪性黒色腫)は、早期発見が命に関わる重大な疾患です。

爪のメラノーマは、爪に黒や茶色の縦のすじ(爪甲色素線条)として現れることがあります。日本人を含むアジア系の人種では、メラノーマが手足の末端(手足の平、爪)に発生する「末端黒子型メラノーマ」が多いとされており、爪のメラノーマは決して稀なものではありません。

メラノーマの特徴的なサインとして「ハッチンソンサイン」があります。これは、色素が爪の周囲の皮膚(爪上皮や爪郭部)にまで広がっている状態で、良性の色素沈着との重要な鑑別ポイントです。また、縦のすじの幅が広い(6mm以上)、幅が均一でない、色が不均一、急速に変化しているなどの特徴がある場合は特に注意が必要です。

爪のメラノーマが爪水虫と間違えられることはやや稀ですが、爪の変形や変色を水虫と思い込んで放置することで、重大な疾患の発見が遅れるリスクがあります。爪の変化が長期間続く場合や、形や色が急に変わった場合は、必ず専門医を受診してください。

🏥 なぜ自己判断は危険なのか

爪の変化に気づいたとき、「どうせ水虫だろう」と思って市販の水虫薬(抗真菌薬)を使い始める方は少なくありません。しかし、これには様々なリスクが伴います。

まず最大の問題は、爪水虫ではない病気に水虫薬を使っても全く効果がないことです。使い続けても症状が改善せず、かえって診断の遅れにつながります。たとえば爪扁平苔癬のように、診断が遅れることで爪が永続的に変形してしまう可能性がある病気もあります。

また、市販の外用抗真菌薬(塗り薬)は、爪白癬に対してはあまり効果が期待できません。爪は皮膚の表面とは異なり、薬剤が浸透しにくい構造をしているため、爪水虫の治療には内服薬(飲み薬)が基本となります。市販の塗り薬を使い続けることで、「治療している」という安心感から受診が遅れてしまうこともあります。

さらに、爪の異常が悪性腫瘍のサインである可能性があります。水虫だと思って放置していた結果、メラノーマの発見が遅れたというケースも報告されています。爪の変化を軽く見ずに、適切な時期に受診することが自分の健康を守ることにつながります。

また、同じ爪の変化に見えても、複数の原因が重なっていることもあります。爪甲鉤彎症に爪水虫が合併している場合、乾癬の爪病変に水虫が重なっている場合など、一つの原因だけを治療しても完治しないことがあります。こうした複合的な状態は、専門医でなければ把握することが難しいです。

爪の変化は確かに軽視されやすい症状ですが、その背後にある原因によっては適切な治療が必要な場合があります。自己診断・自己治療の限界を理解して、専門家の診察を受けることを強くおすすめします。

Q. 爪水虫の治療期間と使用する薬は?

爪水虫の治療は、テルビナフィンやイトラコナゾールなどの抗真菌薬の内服が基本で、通常6ヶ月〜1年程度かかります。治療中は肝機能確認のための定期的な血液検査も必要です。内服が難しい場合はクレナフィンなど爪専用の外用薬が使われますが、内服薬より効果はやや劣るとされています。

⚠️ 正確に診断するための検査方法

爪水虫かどうかを確実に診断するためには、医療機関での検査が不可欠です。最も重要な検査は「直接鏡検(KOH検査)」と呼ばれるものです。

KOH検査とは、変色や変形した爪のかけらや粉末をわずかに採取し、水酸化カリウム(KOH)溶液で処理してから顕微鏡で観察する検査です。白癬菌の菌糸(細い糸状の構造)が確認されれば爪白癬と診断できます。この検査は比較的短時間で結果が出る即時性があり、病院でよく行われています。ただし、採取した部位や量によって菌が見つからないこともあり、検査の感度が100%ではないことも理解しておく必要があります。

より確実な診断が必要な場合は、採取した検体を培地に植えて白癬菌を培養する「培養検査」が行われることもあります。培養検査では菌の種類まで特定できますが、結果が出るまでに数週間かかることがデメリットです。

近年では、より感度の高い「PCR法(遺伝子検査)」を用いた真菌検査も一部の医療機関で実施されています。少量の検体でも高精度に白癬菌の遺伝子を検出できますが、すべての施設で行われているわけではありません。

爪水虫以外の疾患が疑われる場合は、追加の検査も行われます。皮膚生検(爪や周囲の皮膚の一部を採取して病理組織検査を行う)は、爪扁平苔癬や爪乾癬、腫瘍性病変の診断に有用です。血液検査では、甲状腺疾患や全身的な炎症の有無を確認できます。

重要なのは、「見た目だけで判断せず、検査で確認する」という姿勢です。熟練した皮膚科医でも、肉眼での観察だけでは爪水虫と他の疾患を正確に区別することが難しい場合があります。特に治療を始める前には必ず真菌検査を行い、白癬菌の存在を確認してから抗真菌薬を使用することが適切な医療の原則となっています。

また、ダーモスコピー(皮膚鏡)と呼ばれる拡大鏡を使った検査も、爪の病変観察に役立ちます。色素性病変(黒いすじなど)の良悪性の判断や、爪の構造変化の観察に使用されます。

🔍 病院で受けられる治療と爪水虫との違い

爪の病気に対する治療は、原因によって大きく異なります。ここでは爪水虫と他の代表的な疾患の治療の違いを説明します。

爪水虫(爪白癬)の治療は、主に抗真菌薬の内服(飲み薬)が基本です。日本で一般的に使用される内服薬としては、テルビナフィン(ラミシール)やイトラコナゾール(イトリゾール)などがあります。治療期間は通常6ヶ月〜1年程度と長く、定期的な通院と薬の継続が必要です。内服薬は肝臓で代謝されるため、治療中は肝機能の確認のための血液検査が行われます。

爪への外用抗真菌薬としては、エフィコナゾール(クレナフィン)やルリコナゾール(ルコナック)といった爪専用の塗り薬も開発されており、内服が難しい方や軽症の方に使用されることがあります。これらは爪への浸透性が高められた製剤ですが、効果は内服薬に比べてやや劣るとされています。

一方、爪乾癬の治療は全く異なります。乾癬の皮膚症状がある場合はその治療(ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、免疫抑制剤、生物学的製剤など)が優先されます。爪乾癬単独の場合は、爪への局所ステロイド注射や外用薬が使われることがあります。生物学的製剤(TNF阻害薬やIL阻害薬など)が爪乾癬にも効果的であることが報告されており、症状が重い場合は専門医による総合的な治療が検討されます。

爪甲剥離症の場合、原因を取り除くことが最も重要です。薬剤が原因であれば薬の変更や中止、物理的な刺激が原因であれば生活習慣の改善、接触皮膚炎が原因であればアレルゲンを避けることなどが対処法となります。甲状腺疾患など全身疾患が原因の場合は、その治療が優先されます。

爪扁平苔癬の治療では、炎症を抑えるためにステロイドが中心的な役割を果たします。局所療法(爪の根元へのステロイド注射など)や、症状が広範囲の場合は全身性の治療(ステロイドの内服、免疫抑制剤など)が検討されます。早期治療が爪の永続的な変形を防ぐために重要です。

爪甲鉤彎症の場合、変形した爪を定期的に削って整えることが基本的な管理となります。靴のサイズを適正なものにすること、フットケア専門家によるケアなども有効です。爪水虫が合併している場合は、抗真菌薬の治療も並行して行います。

爪のメラノーマが疑われる場合は、迅速な生検と病理検査が必要です。確定診断後は、外科的切除を基本とした治療が行われます。転移の有無によって治療方針が変わるため、早期発見が予後に大きく影響します。

このように、爪の病気によって治療内容は全く異なります。正確な診断なしに治療を続けることは、有効な治療の機会を逃すことになりかねません。皮膚科を受診して適切な検査を受けることが、回り道のない最短の治療につながります。

Q. 市販の水虫薬が爪に効きにくい理由は?

市販の外用抗真菌薬は爪への浸透性が低く、爪水虫には効果が限定的です。また爪の変色・変形は爪甲剥離症や爪扁平苔癬など爪水虫以外の疾患が原因の場合もあり、抗真菌薬では改善しません。アイシークリニックでは、市販薬で改善しない場合はKOH検査による正確な診断を受けることを推奨しています。

📝 受診の目安と日常的な爪のケア

爪の変化に気づいたとき、どのタイミングで受診すればよいかわからない方も多いと思います。以下のような場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

爪の変色(白・黄・褐色・黒)が1枚以上の爪に起きている場合、爪が厚くなって切りにくくなっている場合、爪がもろくなって欠けやすくなっている場合、爪が部分的または全体的に爪床から剥がれている場合、爪の縦方向の黒いすじが広がっている場合や爪の周囲の皮膚にまで色素が及んでいる場合、市販の水虫薬を使っても改善がない場合などは、専門的な診察が必要です。

特に、黒いすじが急速に広がっている・幅が広い・爪周囲の皮膚に広がっているなどの特徴がある場合は、悪性腫瘍の可能性を除外するために早急に受診してください。

日常的な爪のケアとしては、爪を適切な長さに保つこと、足の爪は深く切りすぎないこと(深爪は陥入爪の原因になります)、入浴後などに爪を清潔に保つこと、足を乾燥した状態に保つこと(特に爪と皮膚の間)が大切です。

公共の場での素足歩行を避けることも爪水虫の予防に重要です。スポーツジム、公衆浴場、プールなどでは、サンダルやスリッパを着用することで感染リスクを下げることができます。

足の水虫がある場合は、爪への感染を防ぐためにも早めに治療することが大切です。足の皮膚の水虫は市販薬でも治療できますが、爪水虫は医療機関での治療が必要です。

糖尿病や末梢血管障害、免疫抑制状態にある方は爪のトラブルが起きやすく、重症化しやすいため、足のケアには特に注意が必要です。定期的に足と爪の状態を確認する習慣をつけることをおすすめします。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、爪の変色や肥厚を主訴に来院される患者様のうち、実際に爪白癬が確認されるのは半数程度であり、爪乾癬や爪甲剥離症など別の疾患が原因であるケースも少なくありません。市販の水虫薬を長期間使用しても改善が見られない場合は、そもそも診断が異なる可能性を念頭に置いていただき、まずは皮膚科でKOH検査などによる正確な診断を受けることをお勧めします。特に爪に黒いすじや急激な変化が生じている場合はメラノーマの除外も必要となりますので、どうかご自身の判断だけで経過を追わず、早めに専門医へご相談ください。」

💡 よくある質問

市販の水虫薬を使っても爪の症状が改善しない場合はどうすればよいですか?

市販の水虫薬を使っても改善しない場合、そもそも爪水虫ではない可能性があります。爪乾癬や爪甲剥離症など、抗真菌薬が効かない別の疾患が原因のこともあります。また、爪水虫であっても市販の塗り薬は爪への浸透性が低く効果が限定的です。早めに皮膚科を受診し、KOH検査などで正確な診断を受けることをお勧めします。

爪水虫かどうかは病院でどのように診断されますか?

最も一般的な検査は「KOH検査(直接鏡検)」です。変色した爪のかけらをわずかに採取し、顕微鏡で白癬菌の菌糸を確認します。比較的短時間で結果が出ますが、確実性を高めるために培養検査やPCR法(遺伝子検査)が追加されることもあります。当院でも視診だけでなく、こうした検査を組み合わせて正確な診断を行っています。

爪に黒いすじが現れた場合、何が考えられますか?

爪の黒いすじは、爪下出血(外傷による爪の下の出血)のほか、メラノーマ(悪性黒色腫)の可能性も考えられます。特に黒いすじの幅が広い・色が不均一・爪周囲の皮膚にまで色素が広がっている(ハッチンソンサイン)などの特徴がある場合は要注意です。自己判断せず、早急に皮膚科専門医を受診してください。

爪水虫と爪乾癬はどのように見分けられますか?

爪乾癬では爪表面に小さな点状のくぼみ(ピッティング)が見られたり、体の他の部位に白いフケのような鱗屑を伴う赤い皮疹がある場合があります。ただし、外見だけでの判断には限界があり、専門医でも難しいケースがあります。また乾癬患者は爪水虫を合併しやすいため、KOH検査による真菌の有無の確認が重要です。

爪水虫の治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

爪水虫の治療は、主に抗真菌薬の内服薬(テルビナフィンやイトラコナゾールなど)が基本で、通常6ヶ月〜1年程度の治療期間が必要です。治療中は肝機能確認のための定期的な血液検査も行われます。内服が難しい場合は爪専用の塗り薬が使用されることもありますが、内服薬と比べると効果はやや劣るとされています。

✨ まとめ

爪の変色や変形は爪水虫だけが原因ではなく、爪乾癬・爪甲剥離症・爪甲鉤彎症・爪扁平苔癬・爪下出血・爪のメラノーマなど、様々な疾患が原因となることがあります。これらはそれぞれ原因や治療法が全く異なるため、自己判断で水虫薬を使い続けることは適切ではありません。

爪水虫の確定診断には、顕微鏡検査(KOH検査)による白癬菌の確認が必要です。医療機関では視診だけでなく、必要に応じて様々な検査を組み合わせることで正確な診断が可能です。特に爪の黒いすじや急速な変化には、悪性腫瘍を念頭に置いた早急な受診が求められます。

爪のトラブルは「見た目の問題」と軽視されがちですが、背後に重要な病気が隠れていることもあります。長期間改善しない爪の変化や、市販薬で効果がない場合は、ぜひ皮膚科専門医への相談をご検討ください。アイシークリニック新宿院では、爪の異常についての相談・診察を行っております。気になる症状がある方は、お気軽にご来院ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 爪白癬(爪水虫)の診断基準・治療ガイドライン、KOH検査の方法、抗真菌薬(テルビナフィン・イトラコナゾール等)の使用指針に関する情報
  • 日本皮膚科学会 – 乾癬(爪乾癬を含む)の診療ガイドライン、爪乾癬の症状・診断・生物学的製剤を含む治療方針に関する情報
  • 国立感染症研究所 – 白癬菌の感染経路・疫学・日本国内における感染実態(成人の約10〜20%が罹患)および予防策に関する情報

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

プロフィールを見る

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

プロフィールを見る

電話予約
0120-780-194
1分で入力完了
簡単Web予約
LINE
運営:医療法人社団鉄結会