膿は出した方がいい?正しい対処法と危険なケースを医師が解説

「膿、自分で出したら悪化した…」そんな経験、していませんか?

膿を自己処置で出すと、感染拡大・敗血症・一生残る瘢痕のリスクがあります。この記事を読めば、「やっていい処置」と「絶対NGな処置」がわかり、正しい対処ができるようになります。

🚨 読まないと起きること

  • 📌 誤った自己処置で症状が悪化・跡が残る
  • 📌 最悪の場合、全身に感染が広がる「敗血症」の危険も
  • 📌 病院に行くべきタイミングを逃して手遅れになるケース
🙋
ニキビや傷口の膿、「早く出した方がいい?それとも放置?」って迷いますよね…
👨‍⚕️
実は自己処置が一番危険なんです!正しい知識で安全に対処しましょう👇

目次

  1. 膿とは何か―その正体と発生のしくみ
  2. 膿は出した方がいいのか?基本的な考え方
  3. 自分で膿を出してはいけない理由
  4. 膿を出してもよいケースと注意点
  5. 部位別・症状別の膿への対処法
  6. 病院に行くべき「危険なサイン」
  7. 膿の治療―病院ではどんな処置をするのか
  8. 膿を予防するためのスキンケアと生活習慣
  9. まとめ

💡 この記事のポイント

膿は医学的に排出すべきだが、自己処置は感染拡大・敗血症・瘢痕のリスクがあり原則禁止。顔の危険三角地帯発熱・広範囲の赤みを伴う場合は速やかに医療機関を受診することが重要。

💡 膿とは何か―その正体と発生のしくみ

膿(うみ)は、細菌などの病原体に感染した際に体が戦った証拠ともいえる物質です。その正体は、細菌と戦うために集まった白血球の死骸、細菌の残骸、壊死した組織、組織液などが混合したものです。黄色や黄緑色をしていることが多く、独特のにおいを伴うこともあります。

膿が形成されるプロセスを簡単に説明すると、まず皮膚や粘膜のバリアに傷がつくか、毛穴や皮脂腺に細菌が侵入することで感染が始まります。体の免疫機能が反応し、白血球が感染部位に集まって細菌を攻撃します。この戦いの過程で組織が壊死し、液状になったものが膿です。感染が皮膚の深い部分に及ぶと、周囲を線維組織が取り囲んで「膿瘍(のうよう)」と呼ばれる袋状の空間をつくります。

膿をつくる代表的な細菌としては、黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス)が最もよく知られています。そのほか、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌なども原因となることがあります。口腔内や腸内の常在菌が感染の原因になるケースも少なくありません。

膿のたまる場所は多岐にわたります。皮膚表面に近いものとしてはニキビや毛包炎、おできなどがあり、より深いところでは蜂窩織炎(ほうかしきえん)や膿瘍が形成されることもあります。歯や歯茎に膿がたまる歯根膿瘍、扁桃の周囲に膿がたまる扁桃周囲膿瘍なども頻繁に見られます。

Q. 膿とは何でできているのですか?

膿は、細菌と戦うために集まった白血球の死骸・細菌の残骸・壊死した組織・組織液が混合したものです。黄色や黄緑色を呈し、独特のにおいを伴うこともあります。体の免疫機能が感染部位に反応した結果として形成される物質です。

📌 膿は出した方がいいのか?基本的な考え方

医学的な観点から言えば、「膿はたまっていれば基本的に排出した方がよい」という考え方が一般的です。これは膿を放置すると感染が周囲に広がり、より深刻な状態になりやすいからです。しかし、「膿を出した方がいい」という原則がそのまま「自分で絞り出してよい」という意味にはなりません。この点が非常に重要です。

膿を適切に排出するためには、感染の範囲や深さ、原因となっている細菌の種類などを正しく評価する必要があります。膿の出口が自然にできている場合や、表面ごく近くにある小さなニキビなどは、適切なケアによって自然に排出されることもあります。一方で、皮膚の深いところに膿瘍が形成されている場合や、感染が広範囲に及んでいる場合は、医療機関で切開排膿という処置が必要になります。

「膿は出した方がいい」は医療の基本原則ですが、それを誰が・どのように行うかが問題です。自己判断で無理やり絞り出すことは、感染を悪化させる危険があり、専門家による適切な処置が必要なケースが多くあります。特に、顔のいわゆる「危険三角地帯」(鼻の周囲から口角にかけての領域)にある膿は、自己処置が重大な合併症につながるリスクがあるため、絶対に自分で処置してはいけません。

✨ 自分で膿を出してはいけない理由

「少し絞れば出てきそう」と思っても、自己処置がかえって危険を招くことがあります。その主な理由を詳しく解説します。

✅ 感染が深部や周囲に広がる

皮膚を無理に押したり、針で刺したりすると、膿の中の細菌が周囲の組織に押し出される可能性があります。表面近くにとどまっていた感染が、真皮や皮下組織、さらには筋肉の層にまで広がることがあります。これを蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼び、広い範囲が赤く腫れて高熱を伴うことがあります。さらに進行すると、壊死性筋膜炎など生命を脅かす重篤な状態になることもあります。

📝 血流に細菌が入り敗血症になるリスク

自己処置により皮膚組織が傷ついたり、血管が損傷したりすると、細菌が血液中に入り込み、敗血症(はいけつしょう)を引き起こす可能性があります。敗血症は全身に炎症反応が広がる重篤な状態であり、適切な治療が遅れると生命に関わります。健康な若い人でも、免疫が低下しているタイミングであれば発症することがあります。

🔸 顔の危険三角地帯は特に注意

顔の鼻先・鼻翼・上口唇を結んだ三角形の領域は、「危険三角地帯」と呼ばれています。この部位の静脈は、脳の静脈(海綿静脈洞)と直接つながっているため、自己処置によって細菌が血流に入ると、脳への感染(海綿静脈洞血栓症や脳膿瘍)が起こる危険があります。これは非常にまれですが、重篤な合併症となりえます。

⚡ 傷跡・瘢痕が残りやすい

正しい切開方法ではなく、爪や異物で無理に膿を押し出すと、皮膚組織が必要以上に傷つきます。特に炎症が強い状態では、皮膚の修復機能が乱れ、クレーター状のへこみやケロイドなど目立つ傷跡が残る可能性があります。ニキビ跡に悩む方の多くは、自己処置によってかえって悪化させてしまっているケースが少なくありません。

🌟 不完全な排膿が再発を招く

膿瘍が深い場所に形成されている場合、外からの圧迫では完全に排膿できないことがあります。中途半端に膿が残ると、感染が長引き、再発しやすくなります。医療機関での適切な切開・排膿の場合は、膿腔の洗浄や処置も合わせて行われるため、より確実に感染を取り除くことができます。

Q. 顔の膿を自分で処置してはいけない理由は?

鼻周囲から口角にかけての「危険三角地帯」の静脈は、脳の静脈(海綿静脈洞)と直接つながっています。自己処置により細菌が血流に入ると、海綿静脈洞血栓症や脳膿瘍といった重篤な合併症を引き起こす危険があるため、たとえ小さなできものでも皮膚科の受診が必要です。

🔍 膿を出してもよいケースと注意点

すべての膿を自己処置してはいけないわけではありませんが、自分でケアできる範囲は非常に限られています。以下に、比較的安全に自己ケアできるケースと注意点を示します。

💬 白ニキビ・小さな膿疱が自然に破れたとき

小さな白ニキビ(閉鎖面皰)や表面に膿が見えている膿疱が自然に開いた場合、清潔なガーゼや綿棒で軽く押さえて分泌物を取り除くことは許容されます。ただし、まだ破れていない状態のものを無理に押し潰すのは避けるべきです。また処置後は必ず清潔を保ち、抗菌成分を含む外用薬を使用しましょう。

✅ 表面に出口がある小さなできもの

毛穴の先端に白い膿の頭が見えており、赤みや腫れが軽度な場合、温かいタオルで温めて血行を促すと自然に排出されやすくなります。無理に絞るのではなく、温熱を使って自然排出を促す方法が皮膚へのダメージを最小限にします。

📝 自己ケアの際の注意点

自己ケアを行う場合でも、以下の点を必ず守ってください。手を石けんでよく洗い清潔にすること、使用する道具(綿棒、ガーゼなど)は清潔なものを使うこと、処置後は患部を清潔に保ちアルコール消毒または抗菌外用薬を使用すること、処置後も赤みや腫れが続く・悪化する場合は速やかに医療機関を受診することが大切です。

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💪 部位別・症状別の膿への対処法

膿が生じる場所や状態によって、適切な対処法は異なります。代表的なケースについて解説します。

🔸 ニキビの膿

ニキビの膿は、アクネ菌が毛穴の中で増殖して炎症を起こし、白血球が集まった結果生じます。表面に白い点として見える状態(白ニキビ・膿疱)と、皮膚の深いところで炎症が起きている状態(炎症性ニキビ・嚢腫)では対処が異なります

表面に出口があるものは、前述の通り温熱ケアや清潔な処置で対応できることもありますが、皮膚の深部に硬いしこりとして触れる嚢腫型のニキビは自己処置を避けるべきです。皮膚科では、ニキビの状態に合わせて外用薬(過酸化ベンゾイル、アダパレンなど)や抗菌薬の内服、場合によってはステロイド注射や切開処置が行われます。繰り返す炎症性ニキビは、保険診療の皮膚科を受診することを強くお勧めします。

⚡ 毛包炎・おでき(癤)

毛包炎は毛穴の入り口付近に感染が起きた状態で、小さな赤みと中心部の白い膿が特徴です。軽症の毛包炎は、清潔を保ち抗菌外用薬を使用することで改善することがあります。一方、おでき(癤)と呼ばれる、より深い毛包やその周囲組織まで炎症が及んだ状態は、医療機関での処置が必要です

特に複数の毛包が同時に侵されてつながった「痈(よう)」は、高熱を伴うこともあり必ず医師の診察を受けてください。自己処置は感染拡大のリスクが高く危険です。

🌟 粉瘤(アテローム)が感染した場合

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に垢や皮脂が蓄積したものです。普段は無症状のことが多いですが、細菌感染を起こすと赤く腫れて膿がたまります。感染した粉瘤を自分で絞り出そうとしても、袋の中のすべての内容物を排出することは不可能であり、再び感染を繰り返します

感染した粉瘤の治療は、まず切開排膿で炎症を鎮めてから、炎症が落ち着いた後に袋ごと摘出する手術が必要です。粉瘤の袋を完全に取り除かないかぎり、根本的な治癒は得られません。自己処置は一切行わず、皮膚科または外科を受診してください。

💬 爪の周囲(ひょうそ・爪囲炎)

指の爪の周囲に炎症と膿がたまった状態を爪囲炎、またはひょうそと呼びます。爪のケア中の傷や、深爪、逆むけなどが入口になって細菌感染が起きます。軽症の場合は温塩水につける足浴・手浴が有効なこともありますが、膿がはっきりたまってズキズキとした痛みが続く場合は、医療機関での切開処置が必要です

自己処置で針などを刺す行為は、感染をより深部に押し込む危険があります。特に糖尿病の方は感染が重篤化しやすいため、軽症でも必ず医師に相談するようにしましょう

✅ 歯・歯茎の膿(歯根膿瘍)

歯の根元や歯茎に膿がたまる歯根膿瘍は、歯科疾患の中でも強い痛みを引き起こします。歯茎が腫れてぷっくりとした膨らみができることがあります。この場合は自己処置は禁物で、必ず歯科医院を受診してください。治療は膿の排膿処置、根管治療(歯の根の治療)、場合によっては抜歯や抗菌薬の内服が行われます

📝 術後の傷口の膿

外科手術後の傷口に膿が生じた場合は、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。術後の創部感染は、縫合不全や深部感染に進行する危険があります。自己判断で傷口を開けたり絞ったりするのは絶対に避けてください。

Q. 粉瘤の膿を自分で絞っても治りますか?

感染した粉瘤を自己処置で絞り出しても、皮膚の下にある袋状の構造物は残るため完治しません。膿が再びたまり感染を繰り返します。正しい治療は、まず切開排膿で炎症を鎮め、その後に袋ごと摘出する根治手術を行うことです。アイシークリニックでは保険適用で対応しています。

🎯 病院に行くべき「危険なサイン」

次のような症状が見られる場合は、迷わず医療機関を受診してください。自己処置で対応できる範囲を超えています。

🔸 発熱がある

皮膚のできものや傷に伴って37.5度以上の発熱がある場合、感染が全身に広がっている可能性があります。高熱・悪寒・関節痛などを伴う場合は特に緊急性が高く、すぐに内科・救急を受診してください。

⚡ 赤みが広がっている

膿のある部位の周囲に赤みが広がり、触ると熱を帯びていて、境界が不明瞭な場合は蜂窩織炎の可能性があります。赤みが時間とともに広がっていく場合は特に注意が必要で、速やかに医療機関を受診してください。

🌟 痛みが強く、ズキズキする

安静にしていても強い拍動性の痛みがある場合、深部に膿瘍が形成されていることを示している可能性があります。自然に排出される見込みは低く、医療機関での切開処置が必要なケースが多いです。

💬 腫れが硬く、触っても膿が感じられない

腫れているが硬く、中に波動感(ぷよぷよした感触)がない場合は、まだ膿が液化していない段階か、または非感染性の腫瘤の可能性があります。このような場合は抗菌薬による治療が先に必要で、自己処置は意味がないどころか有害です。

✅ 顔の危険三角地帯にある

前述の通り、鼻周囲から口角にかけての三角形の領域(危険三角地帯)に膿がある場合は、たとえ小さなできものであっても自己処置は避け、皮膚科を受診してください

📝 糖尿病・免疫抑制状態の方

糖尿病のある方、ステロイドや免疫抑制薬を使用している方、HIV感染者など免疫機能が低下している方は、通常よりも感染が重篤化しやすく、治癒が遅れやすいという特徴があります。小さな膿のできものでも自己判断せず、医師に相談することを強くお勧めします。

🔸 繰り返し同じ場所に膿がたまる

同じ場所に繰り返し膿がたまる場合は、粉瘤や瘻孔(膿のトンネル)の存在、あるいは化膿性汗腺炎(ひだまり病)などの慢性疾患の可能性があります。これらは根本的な原因を治療しない限り再発を繰り返すため、皮膚科や外科を受診して診断を確定させることが重要です。

💡 膿の治療―病院ではどんな処置をするのか

医療機関では、膿の状態に応じて以下のような治療が行われます。どのような処置が行われるかを事前に知っておくと、受診の際の不安が少なくなります。

⚡ 切開排膿(せっかいはいのう)

膿がたまった部位を局所麻酔の下でメスで切開し、膿を排出する処置です。膿腔(膿がたまった空間)を生理食塩水などで洗浄し、再び膿がたまらないようにガーゼやドレーン(排液管)を挿入することもあります。切開排膿は外科的処置の中でも比較的シンプルなものですが、適切な部位・適切な深さで切開しないと効果がないため、医師が行う必要があります。

処置後は傷が開いた状態で治癒を促す「開放療法」が基本で、数日ごとのガーゼ交換が必要です。傷の大きさや感染の程度によりますが、多くは数週間で治癒します

🌟 抗菌薬の内服・点滴

感染の範囲や程度によっては、抗菌薬(抗生物質)の内服や点滴が必要になります。軽症から中等症では内服抗菌薬が処方されますが、重症や全身症状がある場合は入院して点滴での抗菌薬治療が行われることもあります

抗菌薬の種類は、感染している細菌の種類や感受性によって選ばれます。処方された抗菌薬を症状が改善したからといって途中でやめたりすることは、耐性菌の発生につながるため避けてください

💬 粉瘤の摘出手術

感染した粉瘤は、まず切開排膿で急性炎症を鎮め、その後に炎症が完全に落ち着いた段階で袋ごと摘出する根治手術を行います。最近では、くり抜き法(トレパン法)と呼ばれる小さな穴から袋を取り出す低侵襲な方法も行われています。粉瘤の手術は保険適用で受けることができます

✅ ニキビに対する医療的治療

膿を伴う炎症性ニキビに対しては、外用薬(過酸化ベンゾイル、アダパレン、抗菌薬外用薬など)や抗菌薬の内服が処方されます。また、皮膚科では膿疱に対してコメドエクストラクターという専用器具を使った面疱圧出を行うことがあり、これは自己処置よりも皮膚へのダメージが少なく、より安全に膿を取り除ける方法です。

重症のニキビや繰り返す嚢腫性ニキビには、ビタミンA誘導体であるイソトレチノイン(保険外)が有効なことがあります。レーザー治療やケミカルピーリングなどの自由診療も、ニキビ治療の選択肢に含まれます。

📝 化膿性汗腺炎(hidradenitis suppurativa)の治療

わきの下、鼠径部、臀部などに繰り返し膿のたまるしこりができる化膿性汗腺炎は、慢性・再発性の炎症性疾患です。以前は「毛巣洞」「ひだまり病」とも呼ばれていました。軽症には抗菌薬の長期投与、重症には生物学的製剤(アダリムマブ)や外科的切除が行われます。長年にわたって繰り返すケースも多く、専門の皮膚科への受診が重要です。

Q. 膿ができないための日常的な予防法は何ですか?

膿の予防には、肌タイプに合った低刺激の洗浄剤で皮膚を清潔に保つこと、小さな傷も流水洗浄と抗菌軟膏で適切に処置することが基本です。加えて、十分な睡眠・バランスの良い食事・禁煙で免疫力を維持し、ニキビ予防にはノンコメドジェニック製品を選ぶことも効果的です。

📌 膿を予防するためのスキンケアと生活習慣

膿が形成されるような皮膚感染症を予防するには、日常のスキンケアと生活習慣の見直しが効果的です。

🔸 皮膚を清潔に保つ

皮膚を清潔に保つことは、細菌感染を予防する基本中の基本です。毎日の洗顔・入浴で皮脂や汚れをきちんと落としましょう。ただし、過剰な洗浄は皮膚のバリア機能を壊し、かえって感染しやすくなることがあります。肌タイプに合った低刺激の洗浄剤を使用し、やさしく洗うことを心がけましょう。

⚡ 傷口の適切なケア

小さな傷や擦り傷であっても、適切に処置することが感染予防につながります。傷口は流水でよく洗い流し、抗菌軟膏を塗布した上で清潔なガーゼや絆創膏で保護します。傷口が汚れていたり、動物や錆びた金属による刺し傷の場合は、破傷風の予防も含めて医療機関での処置を受けてください。

🌟 免疫力を維持する生活習慣

体の免疫機能が低下すると、皮膚のバリアを突破した細菌に対する抵抗力が弱まります。十分な睡眠・バランスのよい食事・適度な運動・ストレス管理が免疫機能を維持するための基本です。喫煙は皮膚の血行を悪化させ、傷の治癒を遅らせるため、禁煙も有効な予防策といえます。

💬 ニキビを悪化させないスキンケア

ニキビ予防・悪化防止のためには、過度に皮脂を取りすぎないこと、紫外線対策をすること、刺激の少ない化粧品を選ぶことが重要です。油分の多いクリームや日焼け止め、スキンケア製品の中には毛穴を詰まらせやすいものがあるため、ノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶのが望ましいです。また、頬や顎を手で触る習慣は、細菌を皮膚に移す原因になるため改めましょう。

✅ 糖尿病のコントロール

糖尿病があると皮膚感染症が起きやすく、かつ重症化しやすいことが知られています。血糖コントロールが不良だと、白血球の機能が低下し、細菌に対する抵抗力が弱まります。糖尿病のある方は、血糖管理を徹底するとともに、皮膚の状態にも注意を払い、異常があれば早めに医師に相談することが大切です。

📝 黄色ブドウ球菌の保菌に注意

黄色ブドウ球菌は皮膚感染の主要な原因菌ですが、健康な人でも鼻腔内に保菌していることがあります。繰り返し皮膚感染を起こす方では、鼻腔内の除菌(鼻腔内への抗菌薬塗布など)が感染再発予防に有効なことがあります。気になる方は皮膚科に相談してみましょう。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、「自分で膿を出してしまってから悪化した」というご相談を多くいただきますが、特に粉瘤やニキビの自己処置による感染拡大や瘢痕形成で後悔される患者様が少なくありません。膿を「出せばスッキリする」というイメージはよく理解できますが、皮膚の深さや感染の状態によっては、自己処置がかえって治癒を遠ざけてしまうことがあります。気になる膿やできものは、悪化する前にお気軽にご相談いただくことで、より早く・より綺麗に治癒へと導ける可能性が高まりますので、ひとりで悩まず受診されることをお勧めします。」

✨ よくある質問

膿は自分で絞り出しても大丈夫ですか?

基本的には自己処置はお勧めしません。無理に絞り出すと、細菌が周囲の組織に広がり蜂窩織炎や敗血症などの重篤な状態につながる危険があります。自己ケアが許容されるのは、表面ごく近くにある小さな膿疱が自然に開いた場合など、非常に限られたケースのみです。

顔の膿は特に危険と聞きましたが、なぜですか?

鼻周囲から口角にかけての「危険三角地帯」は、顔の静脈が脳の静脈(海綿静脈洞)と直接つながっているためです。この部位を自己処置すると、細菌が血流に入り脳への感染(海綿静脈洞血栓症など)を引き起こす危険があります。たとえ小さなできものでも、必ず皮膚科を受診してください。

病院ではどのような治療が行われますか?

主な治療法は「切開排膿」です。局所麻酔をしてメスで切開し、膿を排出・洗浄する処置で、必要に応じてガーゼやドレーンを挿入します。感染の程度によっては抗菌薬の内服や点滴も行われます。粉瘤の場合は切開排膿で炎症を鎮めた後、袋ごと摘出する根治手術が必要です。

すぐに病院へ行くべき「危険なサイン」はどれですか?

以下のサインがある場合は速やかに受診してください。①37.5度以上の発熱がある、②周囲の赤みが広がっている、③安静にしていてもズキズキと強い痛みがある、④顔の危険三角地帯に膿がある、⑤同じ場所に繰り返し膿がたまる、などが該当します。糖尿病など免疫が低下している方は特に注意が必要です。

膿ができないようにするための予防法はありますか?

日常的なケアとして、①肌タイプに合った低刺激の洗浄剤で皮膚を清潔に保つ、②小さな傷も流水洗浄と抗菌軟膏で適切に処置する、③十分な睡眠・バランスの良い食事・禁煙など免疫力を維持する生活を心がける、④ニキビ予防にはノンコメドジェニック製品を選ぶ、といった対策が効果的です。

🔍 まとめ

膿は体が細菌と戦った結果として形成されるものであり、医学的には「排出した方がよい」とされています。しかし、これはあくまで適切な方法・適切なタイミングで排出することを意味しており、自己判断で無理に絞り出してよいということではありません

自己処置が許容されるのは、表面ごく近くにある小さな膿疱が自然に開いた場合など、非常に限られたケースに限られます。顔の危険三角地帯の膿、発熱を伴う膿、広範囲に広がる赤み、繰り返す膿などは必ず医療機関を受診してください

皮膚の感染症は、適切な処置を受ければ多くは治癒します。一方で、自己処置による悪化は傷跡や深刻な合併症につながることがあります。「膿が出れば治る」という思い込みは捨て、状態に応じて医師に判断を仰ぐことが、最も賢明な選択です

膿やニキビ、皮膚のできものでお悩みの方は、ぜひアイシークリニック新宿院にご相談ください。皮膚の状態を正しく診断し、最適な治療を提案いたします。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – ニキビ(尋常性痤瘡)・毛包炎・粉瘤(アテローム)・化膿性汗腺炎などの皮膚感染症における膿の形成メカニズム、切開排膿処置、外用薬・抗菌薬治療の適応に関する診療ガイドラインおよび患者向け情報
  • 厚生労働省 – 抗菌薬(抗生物質)の適正使用・耐性菌対策に関する情報。記事内で言及している抗菌薬の内服・点滴治療や、自己判断による抗菌薬使用の危険性・耐性菌発生リスクの根拠として参照
  • 国立感染症研究所 – 黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス)・連鎖球菌などの皮膚感染原因菌の特性、蜂窩織炎・敗血症・壊死性筋膜炎などの重篤な感染症への進展に関する疫学・感染症情報の根拠として参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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