
ふと耳の後ろを触ったとき、「なんだか骨が出っ張っている」「しこりのようなものがある」と気になった経験はありませんか?
💬 「放っておいて大丈夫?」
その判断、間違えると手遅れになることも。
💬 「病院に行くべきか迷ってる…」
この記事を読めば、今すぐ受診すべきかどうか、3分でわかります。
🚨 こんな人は要注意!
- 📌 出っ張りが4週間以上続いている
- 📌 痛み・発熱・急激な腫れがある
- 📌 耳鳴りや難聴など耳の症状も出ている
💡 この記事でわかること
- ✅ 耳の後ろが出っ張る原因ごとの特徴と見分け方
- ✅ 絶対に見逃してはいけない危険なサイン
- ✅ 何科に行けばいいか・受診の目安
- ✅ 自宅でできるセルフチェック法
目次
- 耳の後ろの骨の構造について知っておこう
- 耳の後ろが出っ張る主な原因
- 乳様突起炎(にゅうようとっきえん)とは
- リンパ節の腫れが原因の場合
- 皮膚や皮下組織が原因の場合(粉瘤・脂肪腫など)
- 外骨腫(がいこつしゅ)・骨腫(こつしゅ)の可能性
- 中耳炎との関係
- 悪性腫瘍の可能性はあるか
- 耳の後ろの出っ張りに伴う症状のチェックポイント
- 何科を受診すればよいか
- 自宅でできるセルフチェックの方法
- まとめ
この記事のポイント
耳の後ろの出っ張りは、乳様突起の正常構造のほか、乳様突起炎・リンパ節腫脹・粉瘤・脂肪腫・外骨腫が原因となる。痛み・発熱・急激な腫脹・4週間以上の持続・耳症状がある場合は速やかに耳鼻咽喉科等を受診することが重要。
💡 耳の後ろの骨の構造について知っておこう
耳の後ろ側には「乳様突起(にゅうようとっき)」と呼ばれる骨の突起部分があります。乳様突起は側頭骨の一部であり、耳介(じかい)の後ろに指で触れると硬くて丸みのある骨として感じられます。名前の由来は「乳頭のような形」から来ており、英語では「mastoid process(マストイド・プロセス)」と呼ばれます。
乳様突起の内部は「蜂の巣状の空洞(乳突蜂巣)」で構成されており、この空洞は中耳と連続しています。そのため、中耳の感染が乳様突起に広がることがあり、これが後述する「乳様突起炎」の原因となります。
また、耳の後ろには後耳介リンパ節(こうじかいリンパせつ)と呼ばれるリンパ節が存在します。リンパ節は免疫機能を担う組織であり、感染や炎症が起きたときに腫れてしこりのように触れることがあります。耳の後ろの「出っ張り」や「腫れ」を感じた場合、この乳様突起の変化なのか、リンパ節の腫れなのか、あるいはそれ以外の皮膚や皮下組織の変化なのかを見極めることが重要です。
正常な乳様突起でも、体格や骨格の差異によって「触ると少し骨が出っ張っている感じがする」という方は珍しくありません。しかし、左右差がある・急に大きくなった・痛みや赤みを伴うといった変化がある場合は注意が必要です。
Q. 耳の後ろにある乳様突起とはどんな骨ですか?
乳様突起は側頭骨の一部で、耳介の後ろに位置する硬くて丸みのある骨の突起です。内部は蜂の巣状の空洞(乳突蜂巣)で構成され、中耳と連続しています。体格差により触れやすい方もいますが、左右差や急な変化がある場合は受診が必要です。
📌 耳の後ろが出っ張る主な原因
耳の後ろに出っ張りや腫れを感じる原因は複数あります。大きく分けると、骨そのものの変化、リンパ節の腫れ、皮膚・皮下組織の問題の3つに分類できます。以下にそれぞれの概要をまとめます。
まず、骨そのものの変化としては「乳様突起炎」や「外骨腫(がいこつしゅ)」「骨腫(こつしゅ)」などが挙げられます。乳様突起炎は細菌感染によって骨に炎症が生じるもので、放置すると重篤化する可能性があります。外骨腫や骨腫は骨の異常増殖によって出っ張りが生じるものです。
次に、リンパ節の腫れが原因となる場合です。耳の後ろのリンパ節は、頭皮の感染(頭皮炎)、中耳炎、扁桃炎、風疹ウイルスなどの感染症、さらにはリンパ腫などの病気によって腫れることがあります。
そして、皮膚や皮下組織が原因となるケースとしては、粉瘤(ふんりゅう)や脂肪腫(しぼうしゅ)が代表的です。これらは良性の腫瘤であり、体のさまざまな場所に生じますが、耳の後ろにもよく見られます。
それぞれの原因について、以下のセクションで詳しく解説していきます。
✨ 乳様突起炎(にゅうようとっきえん)とは
乳様突起炎は、中耳炎(特に急性中耳炎)が悪化・波及して乳様突起の骨に細菌感染が及んだ状態です。かつては小児に多い重篤な感染症でしたが、抗菌薬の普及により現在は発症頻度が低下しています。しかし、依然として存在する疾患であり、見逃すと重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
乳様突起炎の主な症状としては、耳の後ろの赤みや腫れ、強い痛み、発熱、耳だれ(耳から膿が出ること)などがあります。また、乳様突起の炎症によって耳介(耳全体)が前方に押し出されるように見えることがあります。これは「耳介前方偏位」と呼ばれ、乳様突起炎の典型的なサインのひとつです。
原因菌としては、肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く、緑膿菌なども関与することがあります。診断にはCT検査が有効であり、乳突蜂巣の混濁(感染による変化)を確認することができます。
治療は、抗菌薬の点滴投与が基本となります。膿が溜まっている場合や抗菌薬の効果が不十分な場合には、外科的に膿を排出する処置(乳突削開術)が行われることもあります。早期に治療を開始することで多くのケースで完治しますが、放置すると脳膿瘍や髄膜炎などの重篤な合併症に発展する可能性があるため、早急な受診が必要です。
中耳炎を治療中に耳の後ろが急に腫れてきた・痛みが強くなってきた・発熱が続くといった場合は、乳様突起炎を疑って速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
Q. 乳様突起炎はどのような病気で、どんな症状が出ますか?
乳様突起炎は急性中耳炎が悪化し、耳の後ろの骨に細菌感染が及んだ状態です。主な症状は耳の後ろの赤みや腫れ、強い痛み、発熱、耳だれです。また耳全体が前方へ押し出される「耳介前方偏位」が特徴的なサインです。放置すると髄膜炎などの重篤な合併症につながる恐れがあります。
🔍 リンパ節の腫れが原因の場合
耳の後ろに感じる出っ張りの多くは、実は骨ではなくリンパ節の腫れであるケースが少なくありません。後耳介リンパ節(耳の後ろのリンパ節)はさまざまな原因で腫れることがあります。
リンパ節が腫れる原因として最も多いのは、感染症に対する免疫反応です。たとえば頭皮の湿疹や傷、毛嚢炎(もうのうえん)などの局所感染、中耳炎、外耳炎などが耳の後ろのリンパ節腫脹を引き起こすことがあります。このような場合、原因となる感染が改善されればリンパ節の腫れも自然に落ち着くことがほとんどです。
また、風疹(三日はしか)は耳の後ろのリンパ節が腫れやすいウイルス感染症として知られています。風疹では発疹と発熱に加え、耳の後ろや首筋のリンパ節が腫れることが特徴的です。予防接種を受けていない方や免疫のない方に感染するリスクがあります。
伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)もリンパ節腫脹の原因のひとつです。EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)への初感染によって起こるもので、発熱・咽頭痛・倦怠感とともに頸部リンパ節や耳後部リンパ節が腫れることがあります。
さらに注意が必要なのは、リンパ腫(悪性リンパ腫)や白血病などの血液系の悪性疾患によるリンパ節腫脹です。これらの場合は、複数の部位のリンパ節が腫れる・長期間腫れが続く・痛みがない・発熱や体重減少・寝汗などの全身症状を伴うことがあります。腫れが4週間以上続く場合は医療機関への相談をお勧めします。
リンパ節の腫れを骨の出っ張りと区別するポイントとして、触ったときに少し動く感触があること、左右差があること、短期間で大きさが変化することなどが挙げられます。一方、骨の出っ張りは固定されていて動かず、左右対称であることが多いです。ただし、自己判断は難しい部分もあるため、気になる場合は医師に診てもらうのが最善です。
💪 皮膚や皮下組織が原因の場合(粉瘤・脂肪腫など)
耳の後ろに触れる出っ張りやしこりが、皮膚や皮下組織の変化によるものである場合もあります。代表的なものとして「粉瘤(ふんりゅう)」と「脂肪腫(しぼうしゅ)」があります。
粉瘤は「アテローム」とも呼ばれ、皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に皮脂や古い角質が蓄積されてしこりとなったものです。耳の後ろは粉瘤ができやすい部位のひとつとして知られており、触るとやや弾力があり、中心部に小さな穴(開口部)が見られることもあります。粉瘤は基本的に良性であり、悪性化することはほとんどありませんが、細菌感染を起こすと「炎症性粉瘤」となり、急に赤く腫れて痛みが生じることがあります。治療は外科的な切除が基本です。
脂肪腫は皮下の脂肪組織が増殖してできる良性の腫瘤です。柔らかくて弾力があり、皮膚の下でゆっくりと大きくなることがあります。痛みを伴わないことが多く、経過観察で済むケースも多いですが、大きくなってきた場合や気になる場合は外科的切除が行われます。
そのほか、耳の後ろには毛嚢炎(毛根部分の感染による小さな化膿)や皮脂腺囊腫(ひしせんのうしゅ)、石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)なども生じることがあります。石灰化上皮腫は特に小児や若年者に多く、皮膚の下に硬いしこりとして触れ、骨のように感じられることがあります。
粉瘤や脂肪腫などの良性腫瘤は、皮膚科や形成外科、耳鼻咽喉科などで診察・治療を受けることができます。「しこりが気になる」「急に赤くなって痛い」「どんどん大きくなっている」といった場合には、早めに受診することをお勧めします。
🎯 外骨腫(がいこつしゅ)・骨腫(こつしゅ)の可能性
耳の後ろの出っ張りが、骨そのものの増殖によるものである場合があります。「外骨腫(がいこつしゅ)」や「骨腫(こつしゅ)」と呼ばれるものがその代表です。
外骨腫は骨の表面から硬い骨性の突出が生じる状態で、良性の骨の変化です。乳様突起(耳の後ろの骨)に外骨腫が生じることは比較的まれですが、まったく起こらないわけではありません。触るとまるで骨のように非常に硬く、動かないのが特徴です。多くの場合は症状がなく経過観察となりますが、神経や周囲組織への圧迫が生じる場合は外科的切除が検討されます。
骨腫は緻密骨から構成される良性の骨性腫瘤で、頭蓋骨(特に前頭骨や下顎骨)に多いとされていますが、側頭骨・乳様突起周辺にも生じることがあります。成長が非常にゆっくりで、多くの場合は無症状であるため、経過観察が選択されることが多いです。
外骨腫や骨腫は、画像検査(レントゲンやCT)によって診断されます。「硬くて動かない出っ張りが耳の後ろにある」「ずっと前からあったが最近少し大きくなってきた気がする」といった場合には、耳鼻咽喉科や形成外科、整形外科などを受診して画像検査を受けることが推奨されます。
Q. 耳の後ろにできる粉瘤と脂肪腫の違いは何ですか?
粉瘤(アテローム)は皮膚の下に袋状組織ができ皮脂や角質が蓄積したしこりで、中心部に小さな開口部が見られることがあります。脂肪腫は皮下の脂肪組織が増殖した柔らかい腫瘤です。どちらも良性ですが、粉瘤は感染すると急に赤く腫れて痛むため、気になる場合は皮膚科や形成外科への受診をお勧めします。

💡 中耳炎との関係
中耳炎は耳の後ろの出っ張りや腫れと密接に関連する疾患です。特に急性中耳炎が適切に治療されなかった場合や、再発を繰り返している場合には、乳様突起炎へと発展するリスクがあります。
急性中耳炎は、鼻やのどの感染が耳管(じかん)を通じて中耳に波及することで生じます。特に乳幼児や小児は耳管が短く水平に近い角度であるため、大人よりも中耳炎になりやすい傾向があります。急性中耳炎の症状は耳の痛み・発熱・耳だれなどです。
慢性中耳炎の場合も、長期間にわたる慢性的な感染によって周囲の骨が溶けたり、真珠腫(しんじゅしゅ)と呼ばれる特殊な病変が生じたりすることがあります。真珠腫性中耳炎は、中耳に角化上皮が入り込み骨を溶かしながら拡大する疾患で、放置すると顔面神経麻痺、聴力低下、めまい、髄膜炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。真珠腫が乳様突起方向へ拡大した場合、耳の後ろの出っ張りや腫れとして現れることがあります。
中耳炎の既往がある方が耳の後ろに新たな腫れや出っ張りを感じた場合には、特に注意が必要です。自己判断せず、速やかに耳鼻咽喉科を受診して適切な検査・治療を受けましょう。
📌 悪性腫瘍の可能性はあるか
耳の後ろの出っ張りが悪性腫瘍である可能性は、全体としては低いですが、ゼロではありません。悪性の可能性を考える必要がある状況についても正しく理解しておきましょう。
悪性リンパ腫はリンパ系の悪性腫瘍であり、リンパ節に腫れとして現れることがあります。耳の後ろのリンパ節が悪性リンパ腫によって腫れている場合の特徴としては、痛みが少ないまたはまったくない・4週間以上腫れが持続する・複数のリンパ節が同時に腫れる・発熱・体重減少・夜間の大量発汗(盗汗)などの全身症状を伴うことが挙げられます。
また、耳周囲の皮膚がんが深部に浸潤してリンパ節転移を起こしている場合や、頭頸部がんのリンパ節転移として耳の後ろのリンパ節が腫れることもあります。頭皮のメラノーマ(悪性黒色腫)はリンパ節転移を起こしやすい皮膚がんのひとつであり、早期発見・早期治療が極めて重要です。
側頭骨そのものに原発する悪性腫瘍(骨肉腫など)は非常にまれですが、存在しないわけではありません。骨の悪性腫瘍の場合には、急速な増大・強い痛み・皮膚の変色などが見られることがあります。
悪性疾患はどれも早期発見・早期治療が予後に大きく影響します。特に、腫れや出っ張りが1か月以上続く・大きくなっている・全身症状がある・痛みがないのに硬いしこりがあるといった場合には、医療機関への受診をためらわないようにしましょう。
✨ 耳の後ろの出っ張りに伴う症状のチェックポイント
耳の後ろの出っ張りや腫れに気づいたとき、どのような症状を伴っているかを把握することが、原因の絞り込みや受診の緊急度を判断するうえで非常に重要です。以下のチェックポイントを参考にしてください。
まず、痛みの有無と程度について確認しましょう。乳様突起炎や感染性のリンパ節炎、炎症性粉瘤などは痛みを伴うことが多いです。一方、リンパ腫や脂肪腫などは無痛であることが多くあります。押したときに痛む(圧痛)かどうかも重要な情報です。
次に、発熱の有無です。発熱が伴う場合は、感染症(乳様突起炎・リンパ節炎・中耳炎・伝染性単核球症など)が疑われます。
腫れの変化のスピードも重要です。数日で急速に大きくなった場合は感染性病変の可能性が高く、数か月~数年かけてゆっくり大きくなってきた場合は粉瘤・脂肪腫・外骨腫・悪性腫瘍などが疑われます。
左右差も確認しましょう。両側に同様の出っ張りがある場合は正常な骨格の変異や両側のリンパ節腫脹(全身性感染症など)が考えられます。片側だけにある場合は局所的な問題の可能性が高まります。
触れた際の硬さや動きも参考になります。骨のように非常に硬く動かないものは骨性の病変(乳様突起・外骨腫・骨腫)が疑われます。少し弾力があって動く場合はリンパ節・粉瘤・脂肪腫などが考えられます。石のように硬いが少し動く場合は石灰化上皮腫や転移性リンパ節のこともあります。
皮膚の状態も観察しましょう。赤みや熱感がある場合は感染や炎症が示唆されます。皮膚の色調が変化している・潰瘍を形成しているといった場合は皮膚がんの可能性も考慮されます。
耳症状(耳鳴り・難聴・耳だれ・耳痛)の有無も確認してください。これらを伴う場合は、中耳炎・乳様突起炎・真珠腫などの耳の疾患が原因である可能性が高くなります。
全身症状(発熱・倦怠感・体重減少・寝汗)を伴う場合は、血液系の悪性疾患(悪性リンパ腫・白血病)や全身性感染症の可能性を考慮する必要があります。
Q. 耳の後ろの腫れで緊急受診が必要な症状は何ですか?
耳の後ろの腫れが急速に増大する、高熱が続く、強い頭痛や首の硬直がある、顔面神経麻痺(顔の動きが悪くなる)、意識がぼんやりするといった症状が現れた場合は緊急の医療対応が必要です。これらは脳膿瘍や髄膜炎などの重篤な合併症を示す可能性があるため、すぐに医療機関を受診するか救急車を呼んでください。
🔍 何科を受診すればよいか

耳の後ろの出っ張りや腫れを感じた場合、どの診療科を受診すべきか迷う方も多いでしょう。症状の内容によって適切な受診先が異なります。
最初の受診先として多くの場合に適しているのは、耳鼻咽喉科です。耳・鼻・のどの専門科であり、中耳炎・乳様突起炎・外耳炎・真珠腫性中耳炎など耳の後ろに出っ張りや腫れを引き起こす耳鼻科的疾患に精通しています。耳症状(耳痛・耳だれ・難聴・耳鳴り)を伴う場合や、発熱・耳の後ろの発赤・腫れが強い場合には特に耳鼻咽喉科への受診をお勧めします。
皮膚の下に動くしこりがある場合や、皮膚の変化(発赤・硬結・色素沈着など)を伴う場合は皮膚科が適しています。粉瘤・脂肪腫・皮膚がんなどの診断・治療が行われます。
全身的なリンパ節腫脹や、発熱・体重減少・倦怠感などの全身症状を伴う場合は内科(特に血液内科や総合内科)への受診が適しています。悪性リンパ腫や白血病などの血液系疾患の精査が必要となる場合があります。
形成外科は、粉瘤や脂肪腫などの良性腫瘤の外科的切除を行う診療科です。「しこりを取ってほしい」という場合には形成外科への受診も選択肢のひとつです。
どの科を受診すべきか判断が難しい場合は、まずかかりつけ医(内科・総合診療科など)に相談し、必要に応じて専門科に紹介してもらうことも有効な方法です。特に症状が複数科にまたがる場合や原因がはっきりしない場合には、かかりつけ医への相談を起点にするとスムーズです。
緊急受診が必要な目安としては、耳の後ろの腫れが急速に増大する・高熱が続く・強い頭痛や首の硬直がある・顔面の動きが悪くなった(顔面神経麻痺)・意識がぼんやりするといった症状が出た場合です。このような場合は緊急の医療対応が必要となるため、すぐに医療機関を受診するか救急車を呼ぶことを検討してください。
💪 自宅でできるセルフチェックの方法
耳の後ろの出っ張りが気になる場合、受診前に自宅でいくつかの点を確認しておくと、医師への情報提供がスムーズになります。ただし、セルフチェックはあくまでも参考情報の収集であり、診断や治療は必ず医師が行うものです。自己診断や自己治療は避けてください。
セルフチェックの手順として、まず手を清潔に洗ってから耳の後ろを優しく触れます。強く押さえたり揉んだりすることは避けてください。以下の点を確認してメモしておきましょう。
出っ張りやしこりの大きさについては、大まかな大きさ(小豆大・碁石大など)を確認します。左右の耳の後ろを比較して、対称かどうかも確認します。
硬さと動きについては、骨のように非常に硬いか、やや弾力があるか、柔らかいかを確認します。また、触れると動くか、固定されて動かないかも確認しましょう。
皮膚の状態については、出っ張り部分の皮膚が赤くなっていないか、熱感がないか、皮膚の中心部に小さな穴や点がないか(粉瘤の目安)を確認します。
期間と変化については、いつから気づいたか、大きくなっている・変わらない・小さくなっているかを確認します。
随伴症状については、痛みの有無、発熱の有無、耳の症状(耳鳴り・難聴・耳だれ・耳痛)の有無、全身症状(倦怠感・体重減少・寝汗)の有無を確認しましょう。
近い過去の出来事としては、最近の感染症(風邪・扁桃炎など)の罹患、中耳炎の既往、頭皮の傷や湿疹、虫刺されなども記録しておくと診察の参考になります。
これらの情報を受診時に医師に伝えることで、より正確な診断の手助けになります。出っ張りをスマートフォンで撮影しておくことも、変化の記録として有効です。ただし、出っ張りを強く押したり、針や爪で突いたりすることは絶対に行わないでください。感染を悪化させたり、破裂して炎症が広がる危険性があります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、耳の後ろの出っ張りやしこりを主訴に来院される患者さんの多くが、実は正常な乳様突起の触感や良性のリンパ節腫脹であることも少なくありませんが、中には乳様突起炎や真珠腫性中耳炎など早期対応が必要な疾患が隠れているケースもございます。「たいしたことないかもしれない」とご自身で判断されてしまうことが治療の遅れにつながることがあるため、痛み・発熱・耳症状・腫れの急激な変化を感じた際にはどうぞためらわずにご相談ください。患者さんお一人おひとりの不安に寄り添いながら、丁寧な診察と適切な検査で原因をしっかり見極めてまいります。」
🎯 よくある質問
耳の後ろには「乳様突起」と呼ばれる骨の突起が誰にでもあり、体格や骨格の差異によって触れやすい方もいます。ただし、左右差がある・急に大きくなった・痛みや赤みを伴うといった変化がある場合は、乳様突起炎やリンパ節の腫れなど医療的な対応が必要な状態の可能性があるため、受診をお勧めします。
耳の痛み・耳だれ・難聴などの耳症状を伴う場合はまず耳鼻咽喉科、皮膚の赤みや動くしこりがある場合は皮膚科、発熱・体重減少などの全身症状を伴う場合は内科が適しています。どの科を受診すべきか迷う場合は、かかりつけ医に相談して専門科に紹介してもらう方法も有効です。
粉瘤(アテローム)は皮膚の下にやや弾力のある袋状のしこりとして触れ、中心部に小さな穴(開口部)が見られることがあります。耳の後ろはできやすい部位のひとつです。ただし、自己判断は難しいため、しこりが気になる・赤く腫れて痛い・大きくなっているといった場合は、皮膚科や形成外科への受診をお勧めします。
以下の症状がある場合は緊急の医療対応が必要です。腫れが急速に増大する・高熱が続く・強い頭痛や首の硬直がある・顔面の動きが悪くなった(顔面神経麻痺)・意識がぼんやりするといった場合はすぐに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶことを検討してください。放置すると脳膿瘍や髄膜炎などの重篤な合併症につながる危険性があります。
リンパ節の腫れは、風邪や局所感染など一時的な免疫反応によるものであれば、原因が改善されるとともに自然に落ち着くことが多いです。ただし、腫れが4週間以上続く・大きくなっている・痛みがない・発熱や体重減少・寝汗などの全身症状を伴う場合は、悪性リンパ腫などの可能性も考慮されるため、速やかに医療機関へご相談ください。
💡 まとめ
耳の後ろの骨が出っ張って感じられる原因はさまざまです。正常な乳様突起(側頭骨の突起部分)の触感である場合もありますが、乳様突起炎・リンパ節の腫れ・粉瘤・脂肪腫・外骨腫・骨腫・中耳炎の合併症など、医療的な対応が必要な状態である可能性もあります。
特に、急に腫れが大きくなった・痛みや発熱を伴う・長期間(4週間以上)腫れが引かない・全身症状を伴う・耳の症状(難聴・耳だれ・耳鳴り)がある・顔面の動きが悪い・強い頭痛がある、といった場合には早急に医療機関を受診することが大切です。
受診科は症状に応じて異なりますが、耳症状を伴う場合はまず耳鼻咽喉科を、皮膚の変化が目立つ場合は皮膚科を、全身症状を伴う場合は内科(または総合診療科)への受診が適しています。判断に迷う場合はかかりつけ医への相談から始めるとよいでしょう。
「耳の後ろの骨が出っ張っているだけかもしれない」と思って様子を見ることは、多くの場合は問題ありませんが、変化が続いたり症状が加わったりしたときには必ず受診するよう心がけてください。早期発見・早期治療が、あらゆる疾患において最も重要なことに変わりはありません。自分の体のサインを見逃さず、適切なタイミングで専門家に相談することが健康を守ることにつながります。
📚 関連記事
- 耳の後ろにしこりがあって痛い!原因と病気・受診の目安を解説
- 耳の後ろの骨が片方だけ出っ張っている原因と対処法を解説
- 耳の後ろのしこりとストレスの関係|原因・症状・受診の目安を解説
- アテローム(粉瘤)の手術とは?方法・費用・術後ケアを解説
- 耳の下のリンパが腫れる原因と対処法|痛みや症状別に解説
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 風疹・伝染性単核球症などの感染症に関する情報、および中耳炎・乳様突起炎の原因となる感染症の予防・対策に関する公式情報の参照
- 国立感染症研究所 – 風疹ウイルス感染によるリンパ節腫脹、EBウイルス(伝染性単核球症)、肺炎球菌・インフルエンザ菌による乳様突起炎など、感染症の疫学・病原体・症状に関する詳細情報の参照
- 日本皮膚科学会 – 耳の後ろに生じる粉瘤(アテローム)・脂肪腫・石灰化上皮腫などの皮膚・皮下組織由来の良性腫瘤の定義、診断基準および治療方針に関する情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
