乳様突起を押すと痛い原因と対処法|耳の後ろの骨が痛む理由を解説

クリニックでカウンセリングを受ける患者と女性医師

👂 耳の後ろを押すと痛い…それ、放置すると危険なサインかもしれません。

この記事を読めば、「なぜ痛いのか」「今すぐ病院に行くべきか」が3分でわかります。逆に読まないと、重大な合併症を見逃してしまうリスクがあります。

🗣️ こんな症状、ありませんか?

「耳の後ろの骨っぽいとこ、押したら痛い…」
「いつからか腫れてる気がする…」
「熱もあるし、耳がジュクジュクしてる…」

👆 それ、耳鼻咽喉科への受診サインかもしれません!

耳の後ろにある骨の出っ張り、それが「乳様突起(にゅうようとっき)」です。ここが痛むとき、原因は軽いものから、緊急処置が必要なものまでさまざまです。この記事では原因・症状・受診タイミングをわかりやすく解説します。


目次

  1. 乳様突起とはどこにある骨なのか
  2. 乳様突起を押すと痛い原因として考えられる疾患
  3. 乳突炎(乳様突起炎)について詳しく解説
  4. 中耳炎と乳様突起の痛みの関係
  5. リンパ節腫脹・頸部リンパ節炎との関連
  6. 外耳道炎・耳介周囲炎が引き起こす痛み
  7. その他の原因(筋肉痛・腫瘍・帯状疱疹など)
  8. 痛みとともに現れる注意すべき症状
  9. 受診の目安と診察の流れ
  10. 自宅でできるケアと注意点
  11. まとめ

💡 この記事のポイント

乳様突起を押すと痛い原因には乳突炎・中耳炎・リンパ節腫脹・帯状疱疹などがある。乳突炎は放置すると顔面神経麻痺や頭蓋内合併症に発展するリスクがあり、発熱・耳だれ・顔面の動きの異常を伴う場合は速やかに耳鼻咽喉科を受診することが重要。

💡 乳様突起とはどこにある骨なのか

乳様突起は、耳の後ろ側にある骨の突起部分です。頭部の骨の一つである側頭骨(そくとうこつ)の下部に位置しており、乳頭状の形をしていることから「乳様突起」という名前がつけられています。耳たぶの後方から少し下あたりを触ると、硬くて丸みのある骨の出っ張りを感じることができます。

この乳様突起の内部には、「乳突蜂巣(にゅうとつほうそう)」と呼ばれる空洞(蜂の巣のような小さな空気の部屋)が無数に存在しています。これらの空洞は鼓室(こしつ:中耳の空間)と繋がっており、中耳炎などで細菌感染が起きると、そこから乳突蜂巣にまで炎症が波及することがあります。これが「乳突炎(乳様突起炎)」と呼ばれる状態です。

乳様突起は成人になるにつれて発達する組織であり、子どもの頃は乳突蜂巣の発達が不完全なため、成人に比べて構造的に異なる部分があります。乳様突起の周囲には、顔面神経・後耳介動脈・頸静脈など重要な血管や神経が通っており、この部位の炎症が重篤化すると深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

また、乳様突起の表面(骨の外側)には、後頭筋・胸鎖乳突筋などの筋肉が付着しています。そのため、筋肉の緊張や疲労が原因で押したときに痛みを感じるケースもあり、原因の鑑別が重要になります。

Q. 乳様突起とはどこにある骨で、なぜ炎症が起きやすいのか?

乳様突起は耳たぶ後方にある側頭骨の突起で、内部に乳突蜂巣と呼ばれる小さな空洞が無数に存在します。この空洞は中耳と繋がっているため、中耳炎が重症化すると炎症が波及し、乳突炎を引き起こすリスクがあります。

📌 乳様突起を押すと痛い原因として考えられる疾患

乳様突起を押すと痛みがある場合、その原因はさまざまです。大きく分けると、耳の内部から波及した感染症、周囲のリンパ節の炎症、皮膚・軟部組織の病変、筋肉や神経の問題などが挙げられます。以下に主な原因疾患を整理します。

まず最も注意が必要な原因として、乳突炎(乳様突起炎)があります。これは中耳炎から引き続いて起こる感染症であり、乳様突起の骨の内部に炎症が広がった状態です。次に、急性中耳炎や慢性中耳炎によって耳の後ろに痛みが生じることがあります。中耳炎そのものが乳様突起の圧痛を引き起こすケースもあります。

また、耳の後ろには複数のリンパ節(後耳介リンパ節)が存在しており、風邪や感染症の際にこれらが腫れて押すと痛みを感じることがあります。外耳道炎や耳介周囲の皮膚炎が周囲の組織に波及した場合も、乳様突起付近に痛みが出ることがあります。さらにまれなケースとして、良性・悪性腫瘍、帯状疱疹(耳性帯状疱疹:ラムゼイ・ハント症候群)なども原因となり得ます。

これらの原因を見極めるには、痛みの性質・発症のタイミング・随伴症状(発熱・耳の聞こえにくさ・耳だれなど)を総合的に評価する必要があります。自己判断で放置することなく、適切な医療機関を受診することが重要です。

✨ 乳突炎(乳様突起炎)について詳しく解説

乳突炎は乳様突起を押すと痛い症状の中でも、特に注意が必要な疾患です。中耳(鼓室)と乳突蜂巣は解剖学的に繋がっているため、中耳炎が適切に治療されなかった場合や重症化した場合に、炎症が乳突蜂巣にまで広がって発症します。

急性乳突炎の主な症状としては、耳の後ろ(乳様突起部)の発赤・腫脹・熱感・圧痛があり、発熱を伴うことも多いです。重症化すると耳介(耳たぶ)が前方に押し出されるように突出することがあります。また、耳の痛み・耳だれ・聴力低下なども同時に起こることが多く、これらの症状が重なる場合は乳突炎を強く疑う必要があります。

乳突炎の原因菌としては、肺炎球菌・インフルエンザ菌・黄色ブドウ球菌などが代表的です。診断には身体所見のほか、CT検査が非常に重要であり、乳突蜂巣内の液体貯留・骨の破壊像などを確認します。

治療は感染の程度によって異なります。軽症であれば入院のうえ抗菌薬(抗生物質)の静脈内投与で改善を目指しますが、膿の貯留(膿瘍形成)や骨破壊が認められる場合は外科的処置(乳突削開術:マストイデクトミー)が必要になることがあります。乳突炎を放置すると、頭蓋内合併症(髄膜炎・脳膿瘍・静脈洞血栓症など)や顔面神経麻痺など、生命に関わる重篤な状態に発展するリスクがあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

慢性乳突炎は、慢性中耳炎(特に真珠腫性中耳炎)に伴って起こることが多く、比較的緩やかに進行します。ただし慢性であっても骨破壊が進行する場合があり、定期的な経過観察と適切な治療が必要です。

Q. 乳突炎を放置するとどのような合併症が起きるか?

乳突炎を放置すると、顔面神経麻痺・髄膜炎・脳膿瘍・静脈洞血栓症など生命に関わる重篤な合併症に発展する危険があります。軽症は抗菌薬の点滴で対応できますが、骨破壊や膿瘍形成がある場合は乳突削開術などの外科的処置が必要になることもあります。

🔍 中耳炎と乳様突起の痛みの関係

中耳炎は耳の痛みや耳だれを引き起こす代表的な疾患ですが、その痛みが乳様突起部分にまで及ぶことがあります。中耳炎には急性中耳炎・滲出性中耳炎・慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎などがあり、それぞれ乳様突起への影響が異なります。

急性中耳炎は、主に上気道炎(風邪)に続発して耳管を通じて細菌やウイルスが中耳に侵入し、炎症を起こす疾患です。急性中耳炎の段階でも、炎症の程度によっては乳様突起の圧痛を感じることがあります。これは中耳と乳突蜂巣が繋がっているためで、中耳内の炎症が乳突蜂巣にわずかに波及している状態を示している場合があります。

真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が中耳腔内に陥凹・増殖してできた袋状の構造物(真珠腫)が骨を侵食しながら進行する疾患です。真珠腫は乳突蜂巣方向に進展することが多く、乳様突起の骨が破壊されると強い圧痛や耳後部の腫脹が生じます。この場合は手術的な治療(鼓室形成術・乳突削開術)が必要になることがほとんどです。

滲出性中耳炎は、中耳腔に液体が貯留する疾患ですが、通常は乳様突起への痛みを引き起こすことは少ないです。ただし長期に及ぶ場合や二次感染を起こした場合は注意が必要です。

中耳炎の治療を受けているにもかかわらず乳様突起の痛みが続く場合や、治療後に再び痛みが出現した場合は、乳突炎への移行を疑って担当医に相談することが重要です。

💪 リンパ節腫脹・頸部リンパ節炎との関連

耳の後ろには「後耳介リンパ節(こうじかいリンパせつ)」と呼ばれるリンパ節が存在しています。このリンパ節が何らかの原因で腫れると、乳様突起部分を押したときに痛みや違和感を感じることがあります。

後耳介リンパ節が腫れる主な原因としては、上気道炎(風邪)・咽頭炎・扁桃炎などの感染症があります。また、頭皮や耳介周囲の皮膚感染症(毛嚢炎・癤(せつ)など)、あるいは湿疹・脂漏性皮膚炎なども後耳介リンパ節の腫脹を引き起こすことがあります。

ウイルス感染では、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)による伝染性単核球症が後耳介リンパ節腫脹の原因となることがあります。伝染性単核球症は発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹が特徴的な疾患で、特に若年者に多く見られます。

また、風疹(三日はしか)では後耳介リンパ節や後頸部リンパ節が腫れることが特徴的であり、発疹を伴うことが多いです。成人が罹患した場合は関節痛を合併することもあります。

リンパ節腫脹が原因の場合、多くは感染が落ち着くとともにリンパ節の腫れも改善していきます。ただし、リンパ節が数週間以上にわたって腫れ続ける場合、急速に増大する場合、複数の部位に腫れがある場合、発熱・体重減少・寝汗などの全身症状を伴う場合は、悪性リンパ腫などの血液腫瘍や転移性リンパ節の可能性も否定できないため、速やかに医療機関を受診することが大切です。

予約バナー

🎯 外耳道炎・耳介周囲炎が引き起こす痛み

外耳道炎は、耳の穴(外耳道)に炎症が起きる疾患です。耳かきや水泳などによる物理的刺激・細菌・真菌(カビ)などが原因で発症します。外耳道炎自体は耳の穴やその入り口の痛みが主体ですが、炎症が強い場合や細菌感染が周囲に波及した場合は、乳様突起部分にまで痛みが広がることがあります。

特に注意が必要なのが「悪性外耳道炎(壊死性外耳道炎)」です。これは主に糖尿病患者や免疫機能が低下した方に起こる重篤な感染症で、緑膿菌(りょくのうきん)が外耳道の皮膚から軟骨・骨へと侵食するように進行します。乳様突起や頭蓋底の骨まで波及すると、顔面神経麻痺や他の脳神経麻痺を引き起こす可能性があり、生命を脅かす疾患です。

耳介周囲炎は、耳介(耳たぶを含む外耳全体)の周囲に起きる感染症や炎症で、蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる皮下組織の感染が乳様突起周囲に広がることがあります。ピアスの穴の感染や、外傷後の二次感染がきっかけになることもあります。

これらの疾患では、患部の発赤・腫脹・熱感・痛みが主な症状です。外耳道炎の場合は耳を引っ張ったり押したりすると痛みが増強する「牽引痛・圧痛」が特徴的です。症状の程度によって抗菌薬の外用(点耳薬・塗り薬)または内服・点滴治療を選択します。

Q. 耳の後ろのリンパ節が腫れる原因と受診すべき目安は?

後耳介リンパ節は風邪・扁桃炎・伝染性単核球症・風疹などの感染症で腫れることがあります。多くは感染回復とともに改善しますが、数週間以上の持続・急速な増大・発熱や体重減少などの全身症状を伴う場合は悪性リンパ腫などの可能性もあるため、速やかに医療機関を受診することが重要です。

💡 その他の原因(筋肉痛・腫瘍・帯状疱疹など)

乳様突起付近の痛みには、感染症以外にもさまざまな原因が考えられます。ここでは比較的見落とされがちな原因について説明します。

胸鎖乳突筋の緊張・筋膜炎は、乳様突起周囲の痛みの原因として意外に多いものです。胸鎖乳突筋は耳の後ろ(乳様突起)から胸骨・鎖骨にかけて走行する大きな筋肉で、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による姿勢不良、睡眠時の不自然な頸部の向きなどで緊張し、乳様突起への付着部に痛みを生じることがあります。この場合、押すと鈍い痛みがあり、首の動きに伴って痛みが変化することが多いです。

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって起こる疾患です。耳や顔面の神経節(顔面神経節・膝神経節)に潜伏したウイルスが再活性化すると、耳介周囲・外耳道・乳様突起周辺に痛みや発疹が現れます。これを「耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)」と呼び、顔面神経麻痺・耳鳴り・難聴・めまいなどを伴う場合があります。発疹が出現する前から激しい痛みを感じることがあり、診断が難しい時期もあります。

腫瘍性病変については、乳様突起周囲の良性腫瘍として脂肪腫・類皮嚢胞・耳下腺腫瘍の一部などが挙げられます。悪性腫瘍としては、側頭骨に原発するまれな悪性腫瘍や、他の部位からの転移巣が乳様突起周囲に出現することがあります。腫瘍性病変は徐々に増大し、圧痛を伴う硬い腫瘤として触れることが多いです。

また、後頭神経痛(こうとうしんけいつう)も乳様突起部分の痛みを引き起こすことがあります。後頭部から耳の後ろにかけて走行する後頭神経が刺激されると、ズキンとした鋭い痛みや電気が走るような痛みが乳様突起部位に感じられます。首や肩のこり・緊張型頭痛・頚椎症などと関連することが多いです。

📌 痛みとともに現れる注意すべき症状

乳様突起の痛みが単独で現れることもありますが、他の症状が同時に起きている場合は、より深刻な疾患が背景にある可能性があります。以下に、特に注意が必要な組み合わせの症状を挙げます。

まず、38度以上の発熱を伴う場合は、細菌感染による乳突炎・頸部リンパ節炎・蜂窩織炎などを強く疑う必要があります。発熱が高く、乳様突起部分の腫れや発赤が著明な場合は、速やかに耳鼻咽喉科または救急を受診してください。

耳だれ(耳漏)が増加している場合も要注意です。中耳炎に続発した乳突炎では、耳だれが増量したり、粘稠度や色が変化したりすることがあります。特に悪臭を伴う耳だれは、骨破壊を伴う慢性中耳炎や乳突炎の可能性を示唆します。

顔面の表情筋が動きにくい・口角が下がる・目が閉じにくいなどの顔面神経麻痺の症状が現れた場合は、乳突炎・ラムゼイ・ハント症候群・悪性外耳道炎などで顔面神経が侵されている可能性があります。顔面神経麻痺は早期治療が予後に大きく影響するため、一刻も早く医療機関を受診することが必要です。

めまい・歩行の不安定感・聴力の急激な低下(急性感音難聴)なども、内耳や神経への炎症波及を示唆する重要なサインです。頭痛が激しくなる・項部硬直(うなじの筋肉が固くなって顎を胸につけにくい状態)・嘔吐などが加わる場合は、頭蓋内への炎症波及(髄膜炎など)が起きている可能性があり、緊急対応が必要です。

耳の後ろから首にかけて急速に広がる痛みと腫れ・硬い腫瘤の急速な増大・皮膚の発赤や皮膚の壊死を思わせる変色なども、緊急性の高いサインです。これらの症状が現れた場合は、時間帯を問わず救急受診を検討してください。

Q. 乳様突起の痛みで緊急受診が必要な症状は何か?

38度以上の発熱・耳だれの増加・顔面神経麻痺(目が閉じにくい・口角が下がる)・急激な聴力低下・めまい・激しい頭痛・項部硬直などが現れた場合は緊急性が高いサインです。これらは乳突炎や頭蓋内合併症を示す可能性があり、耳鼻咽喉科または救急への速やかな受診が必要です。

✨ 受診の目安と診察の流れ

乳様突起を押すと痛い場合、どのような状態であれば医療機関を受診すべきかについて説明します。まず受診を優先すべき状況として、発熱を伴う場合・痛みが数日以上続く場合・耳だれがある場合・聴こえの悪さを感じる場合・顔の動きに違和感がある場合・腫れや発赤がある場合などが挙げられます。特に子どもの場合は中耳炎から乳突炎に移行するリスクが比較的高いため、早めの受診が望ましいです。

受診する診療科としては、耳鼻咽喉科(耳鼻科)が最も適切です。耳鼻咽喉科では、外耳道・鼓膜の観察、聴力検査、画像検査などを通じて原因を的確に診断することができます。近くに耳鼻咽喉科がない場合や緊急性が高い場合は、内科や外科、または救急外来を受診してください。

診察の流れとしては、まず問診(いつから痛いか・どのような痛みか・発熱や耳だれなどの随伴症状・過去の中耳炎の既往など)が行われます。その後、耳鏡や内視鏡を用いた外耳道・鼓膜の視診、乳様突起部分の触診(圧痛・腫脹・発赤の確認)などの身体診察が行われます。

必要に応じて、聴力検査(純音聴力検査・ティンパノメトリー)が施行されます。また、乳突炎が疑われる場合はCT検査(コンピュータ断層撮影)が重要な診断ツールとなります。CTでは乳突蜂巣内の液体貯留・骨破壊の有無・炎症の広がりを確認することができます。さらに重篤な合併症が疑われる場合はMRI検査も追加されることがあります。

血液検査では、白血球数・CRP(炎症マーカー)などを確認して炎症の程度を評価します。耳だれがある場合は細菌培養検査を行い、原因菌の同定と抗菌薬感受性の確認を行います。これらの検査結果を総合して診断・治療方針が決定されます。

🔍 自宅でできるケアと注意点

乳様突起の痛みに対して、医療機関を受診するまでの間、あるいは軽症の場合に自宅で取り組めるケアについて説明します。ただし、自己判断で治療を行うことには限界があり、症状が改善しない場合や悪化する場合は必ず医療機関を受診してください

痛みの緩和という観点では、市販の鎮痛剤(アセトアミノフェン・イブプロフェンなど)を用法・容量を守って使用することができます。ただし、感染症に対して抗菌薬なしに鎮痛剤だけで対処しようとすることは危険です。鎮痛剤はあくまで一時的な症状緩和であり、根本的な治療にはなりません。

耳かきは控えることが重要です。痛みがある時期に耳かきを行うと、外耳道の皮膚を傷つけて感染を悪化させたり、新たな炎症を引き起こしたりする可能性があります。特に綿棒による耳かきは外耳道を傷つけやすく、耳垢を奥に押し込んでしまう問題もあるため、避けることが推奨されます。

水が耳に入らないよう注意することも大切です。水泳・シャワー・入浴などの際に耳に水が入ると、感染のリスクが高まります。綿球などで耳の入り口を軽く塞ぐとよいですが、奥まで詰め込まないようにしましょう。

姿勢の見直しも効果的な場合があります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による頸部・肩の緊張が乳様突起周囲の筋肉痛を引き起こしている場合は、適度なストレッチや姿勢改善が痛みの緩和につながることがあります。ただし、炎症が起きている部位を強くマッサージすることは避けてください

十分な休養と水分補給も感染症の回復を助けます。睡眠を十分に取り、栄養バランスのよい食事を心がけることで免疫機能を維持することができます。

一方で、絶対に避けるべきことがあります。腫れている部分を強く押したり、自分で切開しようとしたりすることは非常に危険です。また、処方されていない抗菌薬を自己判断で服用することも、適切な菌の同定が行われていない状態での使用は耐性菌の問題につながる可能性があります。痛みを和らげるために耳の中に薬品・オリーブ油などを勝手に滴下することも、鼓膜穿孔がある場合には中耳を傷める可能性があるため控えてください

小さな子どもが乳様突起部分を気にしている場合や、触ると泣く場合は、子ども自身が症状を適切に伝えることが難しいため、保護者が早めに耳鼻咽喉科を受診させることが重要です。乳幼児・幼児は中耳炎に罹患しやすく、乳突炎への移行のリスクも考慮する必要があります。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、耳の後ろの痛みを主訴にご来院される患者様の中に、中耳炎から乳突炎へ移行しているケースが少なくなく、早期発見・早期治療の重要性を日々実感しております。乳様突起の痛みは「少し様子を見よう」と自己判断されがちですが、顔面神経麻痺や頭蓋内合併症など深刻な状態につながるリスクもあるため、発熱・耳だれ・腫れなどの症状が重なる場合は特に速やかにご受診いただくことをお勧めします。患者様お一人おひとりの症状に丁寧に向き合い、適切な診断と治療をご提供してまいりますので、耳の後ろに気になる痛みや違和感がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。」

💪 よくある質問

乳様突起とはどこにある骨ですか?

乳様突起は耳たぶの後方から少し下あたりにある、硬くて丸みのある骨の出っ張りです。側頭骨の一部であり、内部には乳突蜂巣と呼ばれる小さな空洞が無数に存在しています。この空洞は中耳と繋がっているため、中耳炎が重症化すると炎症が波及し、乳突炎を引き起こすことがあります。

乳様突起を押すと痛い場合、何科を受診すればよいですか?

耳鼻咽喉科(耳鼻科)への受診が最も適切です。耳鼻咽喉科では外耳道・鼓膜の視診、聴力検査、必要に応じてCT検査などを通じて原因を的確に診断できます。近くに耳鼻咽喉科がない場合や症状が重篤な場合は、内科・外科・救急外来への受診も検討してください。アイシークリニック新宿院でもご相談いただけます。

乳様突起の痛みで緊急受診が必要な症状はどれですか?

以下の症状が現れた場合は速やかに受診してください。38度以上の発熱・耳だれの増加・顔面神経麻痺(目が閉じにくい・口角が下がるなど)・急激な聴力低下・めまい・激しい頭痛・項部硬直(うなじが固くなる)などです。これらは乳突炎や頭蓋内合併症など、重篤な状態を示すサインである可能性があります。

乳突炎を放置するとどのようなリスクがありますか?

乳突炎を放置すると、顔面神経麻痺・髄膜炎・脳膿瘍・静脈洞血栓症など、生命に関わる重篤な合併症に発展するリスクがあります。治療は軽症であれば抗菌薬の点滴投与で対応できますが、骨破壊や膿瘍形成が認められる場合は外科的処置(乳突削開術)が必要になることもあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

乳様突起の痛みに対して自宅でできるケアはありますか?

市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)で一時的に痛みを和らげることは可能ですが、あくまで応急処置です。耳かきや耳への水の侵入は避け、十分な休養と水分補給を心がけてください。腫れている部分を強く押したり自己判断で切開したりすることは非常に危険です。数日以上症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。

🎯 まとめ

乳様突起を押すと痛い症状には、乳突炎・中耳炎・リンパ節腫脹・外耳道炎・帯状疱疹・筋肉の緊張など、多岐にわたる原因が考えられます。中でも乳突炎は適切な治療が遅れると顔面神経麻痺や頭蓋内合併症など深刻な状態に発展するリスクがあるため、耳の後ろの痛みを軽視しないことが大切です。

発熱・耳だれ・顔面の動きの異常・急速な腫れの拡大などを伴う場合は、緊急性が高いため速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。軽症と思われる場合でも、数日以上症状が続く場合や痛みが増強する場合は自己判断せず、専門医による診断を受けることが重要です。

耳の後ろの痛みは比較的見落とされやすい症状ですが、その背景には重要な疾患が隠れている可能性があります。日頃から自身の体の変化に気を配り、気になる症状があれば早めに医療機関に相談するようにしましょう。アイシークリニック新宿院では、耳鼻咽喉科領域の診療を行っており、乳様突起周辺の痛みやその他の耳の症状についてもご相談いただけます。何かお悩みのことがあれば、お気軽にご受診ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 乳突炎・中耳炎の治療に用いられる抗菌薬(抗生物質)の適正使用および耐性菌対策に関する情報として参照
  • 国立感染症研究所 – 帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)・伝染性単核球症・風疹など、乳様突起周囲のリンパ節腫脹や痛みを引き起こす感染症の疫学・病態情報として参照
  • PubMed – 乳突炎(mastoiditis)の診断・治療・合併症(顔面神経麻痺・頭蓋内合併症など)および中耳炎との関連に関する国際的な医学文献として参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

プロフィールを見る

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

プロフィールを見る

電話予約
0120-780-194
1分で入力完了
簡単Web予約
LINE
運営:医療法人社団鉄結会